JP2005244698A - 無線通信システムおよび無線通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 無線基地局または無線端末が宛先基地局または宛先端末と通信する際に、無駄な送信電力を省き、尚且つ、宛先基地局または宛先端末以外の無線端末等へ干渉をもたらすことなく、セキュリティ上安全な無線通信システムおよび無線通信方法を提供する。
【解決手段】 無線通信システム100は、相互に無線通信可能な通信装置101、通信装置102および通信装置103を含む無線通信システムであって、通信装置102は、信号を受信する受信部406と、通信装置103を宛先とする第1の送信信号を、通信装置101および通信装置103の両方へ到達する電力で送信し、並びに、通信装置103における第1の送信信号の受信電力または受信品質に関連する情報を含む通信装置103からの応答信号に基づいて、通信装置103を宛先とする第2の送信信号を、通信装置103へ到達するに足る電力で送信する送信部404とを備えている。
【選択図】 図3

Description

本発明は無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
IEEE802.11の規格に従った無線LANシステムにおいては、複数の無線端末が1つの無線基地局に通信接続されていることが多い。無線基地局およびこれに無線通信可能なように接続された無線端末から構成される単位をBSS(Basic Service Set)という。
IEEE802.11の規格では、或るBSSに含まれる複数の無線端末は無線基地局を介して互いに通信することができる(以下、間接通信という)。さらに、これらの複数の無線端末は、無線基地局を介することなく互いに直接通信することもできる(以下、直接通信という)。(例えば、特許文献1を参照)
(ケース1)無線端末が直接通信を行う場合には、まず、送信元端末が、無線基地局を介して宛先端末へ直接通信要求を送信する。次に、宛先端末が無線基地局を介して送信元端末へ直接通信応答を送信する。無線基地局は、直接通信要求および直接通信応答を認識することによって、これらの送信元端末および宛先端末に優先時間を与える。無線基地局は送信元端末に直接通信の開始を許可するフレーム(以下、許可フレームという)を送信する。これにより、送信元端末は宛先端末と直接通信を開始することができる。優先時間は、無線基地局及び優先時間を与えられた無線端末以外が直接通信を行なっている無線端末への信号を送信することなく格納している時間をいう。無線基地局は、優先期間後、即ち、直接通信の終了後に、格納していた信号をそれらの無線端末へ送信する。
(ケース2)また、IEEE802.11の規格には、送信抑制要求についても記載されている。送信抑制要求は、BSS内の宛先端末または宛先基地局以外の無線端末または無線基地局に対して一定期間送信を抑制させる信号である。例えば、無線基地局は、宛先端末と通信を行う前に、他の無線端末に対して送信抑制要求を送信する。送信抑制要求を受信した宛先端末以外の無線端末は、一定期間、データの送信を待機する。これにより、無線基地局および宛先端末は、他の無線端末から障害を受けることなく通信することができる。
特開2003−174452公報
ケース1の場合、無線基地局が許可フレームを送信した後に、無線基地局は、実際に送信元端末が宛先端末へデータを直接に送信したか否かを監視する。これにより、無線端末同士が直接通信を実行していない場合に、無線基地局は、その優先時間を他の無線端末へ与えることができる。
通常、無線基地局が監視する信号は、許可フレームを送信元無線端末へ与えた直後の最初のデータだけである。即ち、無線基地局は、その最初のデータを確認した時点から所定の優先時間を無線端末同士に与え、その優先時間内は監視を行わない。従って、直接通信開始後、宛先端末へ送信される最初のデータは、宛先端末だけでなく、無線基地局にも到達する必要がある。一方、その最初のデータ以降のデータは、宛先端末だけに到達すれば足り、無線基地局には到達する必要がない。
しかし、従来においては、送信元端末および宛先端末は送信電力を制御していなかったので、直接通信において各無線端末の電力が過剰に消費されるという問題があった。また、無線端末が必要以上に大きな電力値で送信を継続することは、この直接通信に関係のない他の無線端末にとって干渉の原因となるおそれがあり、さらに、情報の漏洩を招致するおそれがある。
ケース2の場合、最初に送信する送信抑制要求は、宛先端末だけでなく、その他の無線端末にも到達する必要がある。よって、送信抑制要求を送信する無線基地局または無線端末は、宛先端末および他の無線端末に到達するほどの比較的大きな電力で送信抑制要求を送信しなければならない。しかし、その後、無線基地局または無線端末は、宛先端末のみに到達するほどの比較的小さな電力で信号を送信すれば足りる。
よって、送信信号が宛先端末および他の無線端末に到達するように送信電力を設定すると、ケース1の場合と同様に、無線基地局または無線端末の電力が過剰に消費されるという問題が生じる。また、無線基地局または無線端末が必要以上に大きな電力値で送信を継続することによって、ケース1の場合と同様に、宛先端末以外の無線端末にとって干渉の原因となるおそれがあり、さらに、情報の漏洩を招致するおそれがある。
そこで、本発明の目的は、無線基地局または無線端末が宛先基地局または宛先端末と通信する際に、無駄な送信電力を省き、尚且つ、宛先基地局または宛先端末以外の無線基地局または無線端末へ干渉をもたらすことなく、セキュリティ上安全な無線通信システムおよび無線通信方法を提供することである。
本発明に係る実施形態に従った無線通信システムは、相互に無線通信可能な第1の通信装置、第2の通信装置および第3の通信装置を含む無線通信システムであって、
前記第1の通信装置は、信号を受信する第1の受信部と、前記第2の通信装置を宛先とする第1の送信信号を、前記第2の通信装置および前記第3の通信装置の両方へ送信し、並びに、前記第2の通信装置における前記第1の送信信号の受信電力または受信品質に関連する情報を含む前記第2の通信装置からの応答信号に基づいて、前記第2の通信装置を宛先とする第2の送信信号を、前記第2の通信装置へ到達するに足る電力で送信する第1の送信部とを備え、
前記第2の通信装置は、前記第1の送信信号を受信する第2の受信部と、前記第1の送信信号の受信電力または受信品質を測定する測定部と、前記第1の送信信号も応じて前記応答信号を前記第1の通信装置へ送信する第2の送信部とを備え、
前記第3の通信装置は、前記第1の送信信号を受信する第3の受信部と、前記第1の送信信号の受信後、所定期間の間、前記第1の通信装置および前記第2の通信装置への信号の送信を抑制する第3の送信部とを備えている。
本発明に係る実施形態に従った無線通信方法は、相互に無線通信可能な第1の通信装置、第2の通信装置および第3の通信装置を含む無線通信システムを用いた無線通信方法であって、
前記第1の通信装置が、前記第2の通信装置を宛先とする第1の送信信号を、前記第2の通信装置および前記第3の通信装置の両方へ到達する電力で送信するステップと、前記第2の通信装置が、前記第1の送信信号を受信し、該第1の送信信号の受信電力または受信品質を測定するステップと、前記第2の通信装置が、前記応答信号を前記第1の通信装置へ送信するステップと、前記第3の通信装置が、前記第1の送信信号の受信後、所定期間の間、前記第1の通信装置および前記第2の通信装置への信号の送信を抑制するステップとを具備する。
本発明による無線通信システムおよび無線通信方法は、無線基地局または無線端末が宛先基地局または宛先端末と通信する際に、無駄な送信電力を低減することができ、尚且つ、宛先基地局または宛先端末以外の無線基地局または無線端末には干渉や漏洩の原因となるような信号を与えない。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態について詳細に説明する。これらの実施形態は本発明を限定するものではない。
これらの実施形態による無線通信システムにおいて、送信元端末または送信元基地局は、宛先端末または宛先基地局との通信が確立した後、宛先端末または宛先基地局に送信信号が到達する程度に送信電力を低下させる。これにより、送信元端末または送信元基地局は無駄な送信電力を低減することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態に従った無線LANシステム100の構成図である。理解を容易にするために、無線LANシステム100は、1つの無線基地局101、2つの無線端末102、103から成るBSSで構成されている。無線端末は3つ以上含まれていてもよい。
無線基地局101は、無線端末102、103のそれぞれとIEEE802.11に従って通信することができる。尚、IEEE802.11は、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11gのいずれでもよい。
また、無線LANシステム100は、IEEE802.11eにも従う。よって、無線端末102および無線端末103は、無線基地局101を介して無線通信(間接通信)することができ、また、無線基地局101を介することなく無線通信(直接通信)することができる。
図2は、無線端末102の構成を示すブロック図である。無線端末102は、通信制御部401、送信PHY(Physical Layer)部403、無線送信部404、アンテナ405、無線受信部406、受信PHY部407および送信電力制御部408を備えている。
無線受信部406は、アンテナ405で受信した受信信号の無線周波数をダウンコンバートして受信PHY部407へ出力する。また、無線受信部406は、受信信号の受信電力または受信品質を測定する測定部409を有する。測定部409は、受信電力または受信品質の値を出力する。送信PHY部407は、無線周波数の受信信号を復調処理し、通信制御部401へ出力する。
通信制御部401は、データの伝送制御を行うものであり、データリンクコネクションの確立、データ転送、データリンクコネクション解放の処理を実行する。また、通信制御部401は、送信信号のMACフレームの生成、MACフレームをエア(媒体)に送出する方法の決定、受信したMACフレームの種別の認識なども行う。また、通信制御部401は、測定部409の測定結果を基に受信電力や受信品質の判定を行い、この判定結果に基づいて送信電力制御部408を制御する。例えば、通信制御部401は、受信信号の受信電力の基準値を有し、受信電力とこの基準値との差分値を演算してよい。
一方、送信PHY部403は、送信信号を無線で送信できるように、送信信号のデジタル変調処理を行う。無線送信部404は、送信PHY部403からの送信信号を無線周波数に変換する。また、無線送信部404は、送信信号の電力増幅率を調整することができる可変増幅器を備え、送信信号の電力を増幅してアンテナ405へ出力する。送信電力制御部408は、受信信号のMACフレームの受信電力、受信品質またはこれらの演算結果に基づいて、送信電力値を増減するように無線送信部404の可変増幅器を制御する。尚、無線端末103および無線基地局101は、無線端末102と同様の構成を有するのでその説明を省略する。
図3は、IEEE802.11に従ったMAC(Media Access Control)フレームのフォーマットを示す図である。MACフレームは、MACヘッダ部、フレームボディ部およびFCS(Frame Check Sequence)部により構成される。MACヘッダ部は、フレームの受信処理に必要なデータ識別情報を有する。フレームボディ部はフレームの種類に応じた情報を有する。FCS部は、MACヘッダ部およびフレームボディ部が正確に受信できたか否かを判定するために用いられ、CRC(Cyclic Redundancy Code)で構成される。
MACヘッダ部には、さらに、フレームの種別などが示されるフレーム制御フィールド(Frame Control Field)、仮想キャリアセンスを行い他の無線端末の送信を抑制する期間NAV(Network Allocation Vector)を示す有効期間(Duration)フィールド、送信先のMACアドレス、最終の宛先のMACアドレス、送信元のMACアドレスを示すアドレスフィールド等が含まれている。
IEEE802.11に従って直接通信を開始するために用いられるMACフレームは、データフレーム、管理フレームおよび制御フレームの3つに分類することができる。この分類は、MACヘッダ部によって識別される。直接通信要求および直接通信応答は、管理フレームであってもよく、データフレームであってもよい。
図4は、無線通信システム100の動作を示すフロー図である。図5は、第1の実施形態の動作のタイミングおよび無線基地局101、無線端末102、103のそれぞれの送信電力を示す図である。無線端末102が無線端末103を宛先とするフレームを生成する(S10)。このフレームを無線端末103へ直接通信によって送信する場合には、無線端末102は、まず、無線基地局101を介して直接通信要求フレームを無線端末103へ送信する(S12)。直接通信要求フレームは、例えば、DLP(Direct Link Protocol)に従う。
無線端末103は、直接通信要求フレームを受信し、無線基地局101を介して直接通信応答フレームを無線端末102へ送信する(S14)。直接通信応答フレームは、例えば、DLP(Direct Link Protocol)に従う。この直接通信応答フレームがSUCCESSならば、無線端末103が直接通信を受諾したことを意味する。これにより、無線端末102と103とは、無線基地局101を介することなく、直接通信することができる。
通常、直接通信するときは、無線基地局101を介して間接通信するときよりも、無線端末102と無線端末103とが比較的低い送信電力で通信することができる場合である。よって、無線端末102と無線端末103とが間接通信する場合、無線端末102、103は、無線基地局101を介する必要があるので、比較的高い送信電力を要する。即ち、この直接通信が確立するまでのステップS12〜S14では、図5に示すように、無線端末102および103は、ともに送信信号を、無線基地局101へ到達し得るほどの比較的高い送信電力値で送信する。
直接通信が確立した後、無線端末102は無線端末103へ第1の送信フレームを直接送信する。無線送信部404は、この直接通信開始直後の第1の送信フレームを、無線端末103だけでなく、無線基地局101にも到達するように比較的高い送信電力で送信する(S16)。このときの送信電力は、図5に示すようにステップS12〜S14における送信電力と同程度でよい。これは、無線端末102および103によって優先時間が実際に使用されていることを無線基地局101が監視するためである。無線基地局101は、第1の送信フレームを受信すると、優先期間の間、無線端末102、103を宛先とする他の無線端末からの信号を格納し、その信号の送信を待機する。
次に、無線端末103が第1の送信フレームを受信し、無線端末103の測定部409が第1の送信フレームの受信電力を測定する(S18)。さらに、無線端末103の通信制御部401が、予め設定されている受信電力の基準値と第1の送信フレームの受信電力との差分値を演算する(S20)。この基準値は、無線端末103が受信可能な信号の受信電力値、あるいは、或る受信品質を保持可能な受信電力値に設定される。その後、無線端末103は、第1の送信フレームに対する応答フレームとして、この差分値の情報を含むフレームを無線端末102へ送信する(S22)。このとき、図5に示すように、無線端末103は、この差分値に基づいて、無線端末102に到達するに足る送信電力で応答フレームを送信すればよい。例えば、その差分値が所定のしきい値以上である場合、送信電力に余裕があると判断する。この場合、送信電力制御部408は、送信電力値を下げるように無線送信部404を制御する。一方、無線端末102の通信制御部401は、その差分値がしきい値より小さい場合、送信電力に余裕がないと判断する。この場合、送信電力制御部408は、送信電力値を増加または一定とするように無線送信部404を制御する(S21)。
無線端末102は、応答フレームを受信し、差分値の情報を得る(S24)。無線端末102の通信制御部401は、その差分値が所定のしきい値以上である場合、送信電力に余裕があると判断する。この場合、送信電力制御部408は、送信電力値を下げるように無線送信部404を制御する。一方、無線端末102の通信制御部401は、その差分値がしきい値より小さい場合、送信電力に余裕がないと判断する。この場合、送信電力制御部408は、送信電力値を増加または一定とするように無線送信部404を制御する(S24)。
これにより、無線端末102、103は、第2の送信フレーム以降の送信フレームまたはこれらに対する応答フレームを適切な電力値で送信することができる(S26)。これらの信号の電力値に関する情報の通信は、IEEE802.11hに従ってよい。
本実施形態によれば、図5に示すように、無線端末102は、直接通信において、最初の送信フレームを無線基地局101に到達するほどの比較的高い送信電力で送信する。よって、無線基地局101は、優先時間を確実に無線端末102および103に割り当てることができる。一方、無線端末102および103は、最初の送信フレーム以降の送信フレームをそれぞれ無線端末103および102に到達すれば足りるほどの比較的低い電力で送信する。よって、無線端末102および103は、余分な消費電力を削減することができる。また、無線端末102および103は、送信電力が低すぎる場合に、これを上昇させることができる。よって、無線端末102および103は、適切な送信電力で信号を送信することができる。
尚、無線端末102からの最初のフレームが無線基地局101に到達しない場合には、無線基地局101は、無線端末102と103とが直接通信を行っていないと判断し、優先時間を無効にしてしまう。よって、直接通信確立後の最初のフレームは、宛先端末だけでなく、直接通信を許可した無線基地局101にも到達する必要がある。本実施形態によれば、最初のフレームは、無線端末103だけでなく、無線基地局101にも到達するので、優先時間は無効とされることがない。よって、無線端末102および103は直接通信を継続することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、無線端末103は、受信電力の基準値と第1の送信フレームの受信電力との差分値を応答フレームに含めた。しかし、第2の実施形態では、無線端末103は、単に、送信電力の増減を指示する送信電力指示信号を応答フレームとして無線端末102へ送信する。尚、本実施形態の構成は、第1の実施形態の構成と同様であるので省略する。
本実施形態の動作は、図4に示すステップS10〜S16までは第1の実施形態と同様である。次に、ステップS18において、無線端末103の測定部409は、受信電力または受信品質を測定する。ここで、受信品質とは、例えば、フレーム誤り率、パケット誤り率、ビット誤り率である。次に、ステップS20において、通信制御部401が予め設定されたしきい値と受信電力または受信品質と比較する。さらに、ステップS22において、受信電力または受信品質がしきい値以上である場合には、無線端末103は、送信電力を低減させる送信電力指示信号、若しくは、送信電力を一定に維持する送信電力指示信号を無線端末102へ送信する。受信電力または受信品質がしきい値より小さい場合には、無線端末103は、送信電力を増加させる送信電力指示信号を無線端末102へ送信する。
無線端末102は、送信電力指示信号を受信し、ステップS24において送信電力指示信号に従って送信電力を増減する。
無線端末103におけるしきい値は、最適な受信電力よりも一定値だけ高い値または一定値だけ低い値に設定されている。無線端末102における送信電力の増減幅は、この一定値と等しいかそれよりも小さいことが好ましい。それによって、無線端末102の送信電力の調節後、無線端末103の受信電力を最適な受信電力から乖離させることなく、接近させることができる。本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を有する。
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態における無線通信システムの動作を示すフロー図である。図7は、第3の実施形態の動作のタイミングおよび無線基地局101、無線端末102、103、104のそれぞれの送信電力を示す図である。本実施形態の構成は、図1、図2に示す第1の実施形態の構成と同様であるので省略する。本実施形態では、無線基地局101が無線端末102と直接通信する。
この場合、まず、或るBSSの無線基地局101が、無線端末102を宛先とする送信抑制要求を生成し(S30)、送信する(S31)。このとき、無線基地局101は、送信抑制要求がそのBSS内の無線端末102、103に到達するように、比較的高い送信電力で送信抑制要求を送信する(図7参照)。送信抑制要求は、宛先となる端末以外の無線端末に対して、無線基地局や宛先となる端末への信号の送信を抑制させるための信号である。送信抑制要求は、IEEE802.11では、RTS(Request To Send)と呼ばれる。
無線端末103は、送信抑制要求を受信すると、所定の通信抑制期間の間、無線基地局101および無線端末102への信号の送信を抑制する(S32)。通信抑制期間は、Duration、あるいは、無線基地局101と無線端末102とが直接通信するための優先期間と換言してもよい。
送信抑制要求の宛先である無線端末102は、送信抑制要求を受信すると、測定部409において送信抑制要求の受信電力を測定する(S34)。無線端末102の通信制御部401は、予め設定されている受信電力の基準値と送信抑制要求の受信電力との差分値を演算する(S36)。受信電力の基準値は、無線端末102が受信可能な信号の受信電力値、あるいは、或る受信品質を保持可能な受信電力値に設定される。無線端末102は、この差分値の情報を送信抑制応答に含めて無線基地局101へ送信する(S38)。
このとき、無線端末102は、送信抑制応答がBSS内の他の無線端末103および無線端末102の周辺に存在する無線端末104(図1では図示せず)に到達するように、比較的高い送信電力で送信抑制応答を送信する(図7参照)。無線端末102の周辺に存在する無線端末は、例えば、無線基地局101からの送信抑制要求が到達しない位置に存在する隠れ端末である。送信抑制応答は、送信抑制要求に対する承諾の応答信号であり、かつ、無線端末102の周辺に存在する無線端末に対して、無線端末102への信号の送信を抑制させるための信号である。送信抑制応答は、IEEE802.11では、CTS(Clear To Send)と呼ばれる。
無線端末102の周辺に存在する無線端末104は、無線端末102から送信抑制応答を受信すると、所定の送信抑制期間の間、無線端末102への信号の送信を抑制する(S39)。これによって、無線基地局101および無線端末102は、BSS内の他の無線端末103だけでなく、無線端末102の周辺に存在する無線端末からも妨害されることなく通信することが可能となる。
次に、無線基地局101は、送信抑制応答を受信し、差分値の情報を得る(S40)。無線基地局101の通信制御部401は、その差分値が所定のしきい値以上である場合、送信電力に余裕があると判断する。この場合、送信電力制御部408は、送信電力値を下げるように無線送信部404を制御する。一方、無線基地局101の通信制御部401は、その差分値がしきい値より小さい場合、送信電力に余裕がないと判断する。この場合、送信電力制御部408は、送信電力値を増加または一定とするように無線送信部404を制御する(S42)。
無線端末102は、送信抑制要求の差分値が所定のしきい値以上である場合、送信電力に余裕があると判断する。この場合、送信電力制御部408は、送信電力値を下げるように無線送信部404を制御する。一方、無線基地局101の通信制御部401は、その差分値がしきい値より小さい場合、送信電力に余裕がないと判断する。この場合、送信電力制御部408は、送信電力値を増加または一定とするように無線送信部404を制御する(S43)。無線端末102における送信電力値の制御は、送信抑制応答の送信(S38)後、第1の応答フレームの送信前に実行される。
これにより、その後、無線基地局101と無線端末102とは、適切な電力値で信号を送信することができる。これらの信号の電力値に関する情報の通信は、IEEE802.11hに従ってよい。
本実施形態によれば、無線基地局101および無線端末102は、図7に示すように、送信抑制応答後の信号をそれぞれ無線端末102および無線基地局101に到達すれば足りるほどの比較的低い電力で送信する。よって、無線端末102および無線基地局101は、余分な消費電力を削減することができる。また、無線端末102および無線基地局101は、送信電力が低すぎる場合に、これを上昇させることができる。よって、無線端末102および無線基地局101は、適切な送信電力で信号を送信することができる。
本実施形態において、無線端末102は、第1の実施形態と同様に、予め設定されている受信電力の基準値と送信抑制要求の受信電力との差分値を演算した。しかし、無線端末102は、第2の実施形態と同様に、単に、送信電力の増減を指示する送信電力指示信号を送信抑制応答に含めて送信してもよい。この場合、上述のように、無線端末102におけるしきい値は、最適な受信電力よりも一定値だけ高い値または一定値だけ低い価に設定されている。無線基地局101における送信電力の調節幅は、この一定値と等しいかそれよりも小さいことが好ましい。
以上の実施形態では、第1の送信フレームの送信直後、あるいは、送信抑制応答の送信直後の信号から送信電力が増減されている。しかし、送信電力が増減されるタイミングは、第1の送信フレームの送信以降、あるいは、送信抑制応答の送信以降であればよく、特に限定しない。
本実施形態では、無線基地局と無線端末とは、無線によって接続されていたが、両者は有線ネットワークによって接続されてもよい。また、図1には、1つのBSSから成る無線LANシステムを図示した。しかし、図8のように、無線LANシステムは、複数のBSSから構成されてもよい。このような無線LANシステムの構成をIEEE802.11ではESS(Extended Service Set)と呼ぶ。無線基地局201および202は、IEEE802.11ではDS(Distributed System)と呼び、それらの間は、有線ネットワークで接続してもよく、無線で接続してもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明に係る第1の実施形態に従った無線LANシステム100の構成図。 無線端末102の構成を示すブロック図。 IEEE802.11に従ったMACフレームのフォーマットを示す図。 無線通信システム100の動作を示すフロー図。 第1の実施形態の動作のタイミングおよび無線基地局101、無線端末102、103のそれぞれの送信電力を示す図。 第3の実施形態における無線通信システムの動作を示すフロー図。 第3の実施形態の動作のタイミングおよび無線基地局101、無線端末102、103、104のそれぞれの送信電力を示す図。 複数のBSSから構成された無線LANシステムの構成図。
符号の説明
100 無線LANシステム
101 無線基地局
102、103 無線端末
401 通信制御部
403 送信PHY部
404 無線送信部
405 アンテナ
406 無線受信部
407 受信PHY部
408 送信電力制御部

Claims (7)

  1. 相互に無線通信可能な第1の通信装置、第2の通信装置および第3の通信装置を含む無線通信システムにおいて、
    前記第1の通信装置は、
    信号を受信する第1の受信部と、
    前記第2の通信装置を宛先とする第1の送信信号を、前記第2の通信装置および前記第3の通信装置の両方へ送信し、並びに、前記第2の通信装置における前記第1の送信信号の受信電力または受信品質に関連する情報を含む前記第2の通信装置からの応答信号に基づいて、前記第2の通信装置を宛先とする第2の送信信号を、前記第2の通信装置へ到達するに足る電力で送信する第1の送信部とを備え、
    前記第2の通信装置は、
    前記第1の送信信号を受信する第2の受信部と、
    前記第1の送信信号の受信電力または受信品質を測定する測定部と、
    前記第1の送信信号も応じて前記応答信号を前記第1の通信装置へ送信する第2の送信部とを備え、
    前記第3の通信装置は、
    前記第1の送信信号を受信する第3の受信部と、
    前記第1の送信信号の受信後、所定期間の間、前記第1の通信装置および前記第2の通信装置への信号の送信を抑制する第3の送信部とを備えていることを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記第3の通信装置は無線基地局であり、
    前記第1の通信装置および前記第2の通信装置は、前記第3の通信装置を介して互いに間接通信することができ、尚且つ、互いに直接通信することができる通信端末であり、
    前記第1の通信装置は、前記間接通信から前記直接通信への切替え後に前記第1の送信信号を前記第2の通信装置および前記第3の通信装置へ送信し、
    前記第3の通信装置は、前記第1の送信信号によって前記直接通信のための優先時間を前記第1の通信装置および前記第2の通信装置へ与えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記第2の通信装置は、前記第1の送信信号の受信電力または受信品質と予め設定された閾値とを比較する比較演算部をさらに備え、
    前記第1の送信信号の受信電力または受信品質が前記閾値より大きい場合には、前記第1の送信部の送信電力が過剰であることを示す送信電力指示信号を前記第1の通信装置へ送信し、
    前記第1の通信装置は、前記送信電力指示信号に基づいて前記第2の送信信号の電力を低減することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。
  4. 前記第2の通信装置は、前記第1の送信信号の受信電力または受信品質と予め設定された閾値との差分値を算出する比較演算部をさらに備え、該差分値を前記応答信号に含めて前記第1の通信装置へ送信し、
    前記第1の通信装置は、前記差分値に基づいて前記第2の送信信号の電力を増減することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。
  5. 前記第1の送信信号の受信品質とは、前記第1の送信信号のフレーム誤り率、パケット誤り率またはビット誤り率のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線通信システム。
  6. 前記第1の通信装置は無線基地局であり、
    前記第2の通信装置および前記第3の通信装置は、前記第1の通信装置を介して互いに通信することができる通信端末であり、
    前記第1の通信装置は、前記第1の送信信号の宛先である前記第2の通信装置以外の通信装置から前記第1の通信装置への送信を抑制する信号を前記第1の送信信号として送信し、
    前記第3の通信装置は、前記第1の送信信号または前記応答信号の受信後、所定期間の間は前記第1の通信装置および前記第2の通信装置への信号の送信を抑制することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  7. 相互に無線通信可能な第1の通信装置、第2の通信装置および第3の通信装置を含む無線通信システムを用いた無線通信方法であって、
    前記第1の通信装置が、前記第2の通信装置を宛先とする第1の送信信号を、前記第2の通信装置および前記第3の通信装置の両方へ到達する電力で送信するステップと、
    前記第2の通信装置が、前記第1の送信信号を受信し、該第1の送信信号の受信電力または受信品質を測定するステップと、
    前記第2の通信装置が、前記応答信号を前記第1の通信装置へ送信するステップと、
    前記第3の通信装置が、前記第1の送信信号の受信後、所定期間の間、前記第1の通信装置および前記第2の通信装置への信号の送信を抑制するステップとを具備する無線通信方法。
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