以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(STA(Station)は、AP(Access Point)から通知されたマージン値に基づいて拡張CCA(Clear Channel Assessment)閾値を決定する例)
2.第2の実施の形態(拡張CCA閾値の上限レベル、送信電力の下限レベル等を設定する例)
3.第3の実施の形態(STAは、APから通知された拡張CCA閾値を用いる例)
4.第4の実施の形態(希望検出レベルを通信相手に通知する例)
5.第5の実施の形態(STAにおいて送信電力制御の実行を前提に拡張CCA閾値の設定を行う例)
6.第6の実施の形態(状況に応じて送信電力の下げ過ぎを抑制する処理をルールとして追加する例)
7.第7の実施の形態(PLCPヘッダを利用する拡張CCA動作とMACヘッダを利用する拡張CCA動作とを併用する例)
8.応用例
<1.第1の実施の形態>
[通信システムの構成例]
図1は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10のシステム構成の一例を示す図である。
通信システム10は、情報処理装置(AP)100と、情報処理装置(STA)200と、情報処理装置(STA)250とを備える。通信システム10は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、または、無線LANに準ずる通信方式に従ったシステムである。
情報処理装置(AP)100は、通信システム10の中心となる親機(親局、基地局)に相当する無線通信装置である。情報処理装置(AP)100は、インターネット等の外部ネットワークと有線または無線で接続されていてもよい。例えば、情報処理装置(AP)100は、無線LANシステムにおけるアクセスポイントとすることができる。
情報処理装置(STA)200および情報処理装置(STA)250は、それぞれ情報処理装置(AP)100と無線接続して通信する子機(子局)に相当する無線通信装置である。また、図1では、各機器間における無線接続を点線で模式的に示す。例えば、情報処理装置(STA)200および情報処理装置(STA)250は、無線LANシステムにおけるステーションとすることができる。
情報処理装置(STA)200は、拡張CCA機能または送信電力を変更する機能(TPC(Transmit Power Control)機能)のうちの少なくとも1つを備える。
ここで、拡張CCA機能は、検出されたパケットが、自装置が属する無線ネットワークとは異なる無線ネットワークから送信されたパケットと判断されたときに、受信動作を途中で打ち切って待ち受け状態に戻り、そのパケットの受信強度と判定閾値(以降では、拡張CCA閾値と称する。)との関係が所定条件を満たすときに、そのパケットの信号継続時間中であっても、チャネル状態をアイドルとして扱う動作をする機能を意味する。
情報処理装置(STA)200が拡張CCA機能を有する場合には、拡張CCAを使用しての送信と、拡張CCAを使用しない通常の送信との両方が可能である。情報処理装置(STA)200は、拡張CCAを使用しない場合には、検出されたパケットの送信元の機器が属する無線ネットワークに関わらず、パケットの信号継続時間中は、予期せぬ信号の消失やPHY(Physical Layer)ヘッダのエラー等の例外を除き、チャネル状態をビジーとして扱う。
また、例えば、情報処理装置(STA)200がTPC機能を有する場合には、TPCを使用しての送信と、TPCを使用しない通常の送信との両方が可能である。
情報処理装置(STA)250は、拡張CCA機能を有しない。すなわち、情報処理装置(STA)250は、検出されたパケットの送信元の機器が属する無線ネットワークと受信強度との条件に基づいて、そのパケットの信号継続時間中にチャネル状態をアイドルとして扱う機能を備えていない。このため、情報処理装置(STA)250は、検出されたパケットの送信元の機器が属する無線ネットワークに関わらず、そのパケットの信号継続時間中は上述した例外を除き、チャネル状態をビジーとして扱う。以下では、情報処理装置(STA)200を、HE(High Efficiency)装置とも称し、情報処理装置(STA)250をレガシー装置とも称する。また、HE装置およびレガシー装置を特に区別しない場合、これらを単に情報処理装置(STA)とも総称する。
情報処理装置(STA)200は、上述した拡張CCA閾値を動的に変化させてもよい。このように、情報処理装置(STA)200は、法律で定められた範囲内で、拡張CCA閾値を動的に変化させることができる。
また、情報処理装置(STA)200における拡張CCAを使用しないときの動作モードを、通常モードとも称し、拡張CCAを使用して拡張CCA閾値を動的に変更するときの動作モードを、拡張CCAモードとも称する。また、情報処理装置(STA)200がデータ送信に用いるパラメータを、送信パラメータとも称する。この送信パラメータは、例えば、送信電力、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)パラメータ、スロットパラメータ、最大フレーム時間長、帯域幅、動作チャネル等のパラメータである。また、通常モードにおける送信パラメータを、デフォルト送信パラメータとも称し、拡張CCAモードにおける送信パラメータを、連動パラメータとも称する。なお、レガシー装置は、デフォルト閾値およびデフォルト送信パラメータを用いるものとする。また、デフォルト閾値およびデフォルト送信パラメータは、各装置で同一とするようにしてもよく、異なるようにしてもよい。
[情報処理装置の構成例]
図2は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(AP)100の機能構成例を示すブロック図である。なお、情報処理装置(STA)200の機能構成については、情報処理装置(AP)100と略同様であるため、これらの説明を省略する。
情報処理装置(AP)100は、通信部110と、アンテナ111と、記憶部120と、制御部130とを備える。
通信部110は、アンテナ111を介してパケットの送受信を行うものである。例えば、データの送受に関わるデータリンク層および物理層の信号処理全般が通信部110に含まれる。
ここで、データリンク層処理は、具体的には、上位層からのデータペイロードに対してLLC(Logical Link Control)/SNAP(Subnetwork Access Protocol)ヘッダの付加、除去、MAC(Media Access Control)ヘッダの付加/除去、誤り検出符号の付加/パケット誤りの検出、再送、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)によるメディアアクセス処理、マネジメントフレームおよびコントロールフレームの生成等を含む。
また、物理層処理は、具体的には、制御部130により設定されるコーディングおよび変調スキームに基づいて、エンコード、インターリーブ、変調する処理、および、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダとPLCPプリアンブルの付加、プリアンブルによる検出やチャネル推定処理、アナログ/デジタルの信号変換、周波数コンバート、増幅、フィルタリング等を含む。
記憶部120は、所定の記録媒体に対してデータの記録再生を行うものである。例えば、記憶部120は、各種の記録媒体により実現される。例えば、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ等の固体メモリ、固定メモリを内蔵したメモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、ホログラムメモリ等の記録媒体を用いることができる。
制御部130は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置(AP)100内の動作全般を制御するものである。例えば、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路により実現される。なお、制御部130は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含むようにしてもよい。
例えば、制御部130は、通信部110において使用される各種パラメータの設定を行う。また、制御部130は、情報処理装置(AP)100に接続されている情報処理装置(STA)に対して報知すべきルール(ネットワーク内で使用される拡張CCA閾値の変更に関するルール(拡張CCA用マージン値および連動パラメータ算出用情報))を生成する。
また、例えば、制御部130は、情報処理装置(AP)100が属する第1ネットワークとは異なる第2ネットワークから送信されたと判断されたパケットを検出した場合に、そのパケットの受信を打ち切る制御を行う。この場合に、制御部130は、そのパケットの受信強度に基づいて、キャリアセンスをアイドル状態として扱う制御を行う。具体的には、制御部130は、そのパケットの受信強度と、第1閾値(拡張CCA閾値)とを比較し、その比較結果に基づいて、キャリアセンスをアイドル状態として扱う制御を行う。
例えば、制御部130は、受信したパケットにおける物理層(例えば、PLCP層)のヘッダに付加されたネットワーク識別子(例えば、COLOR情報やBSS COLOR情報と呼ばれる)に基づいて、そのパケットを送信した機器が属するネットワークを識別することができる。具体的には、制御部130は、パケットにおける物理層のヘッダに付加されたネットワーク識別子と、自装置が属するネットワークのネットワーク識別子との比較結果に基づいて、そのパケットを送信した機器が属するネットワークを識別することができる。
また、例えば、制御部130は、第1閾値(拡張CCA閾値)を変化させ、その変化後の第1閾値に応じて変化させた無線送信パラメータに基づいて、データを送信する制御を行う。この場合に、制御部130は、第1閾値に連動して無線送信パラメータを変化させることができる。
[キャリアセンスおよび拡張CCAの動作例]
ここでは、一般的なキャリアセンスおよび拡張CCAの動作例について説明する。
図3は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(AP)100によるパケット送受信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図3では、情報処理装置(AP)100について説明するが、他の情報処理装置(情報処理装置(STA)200)についても同様に適用することができる。すなわち、この送受信処理は、親局側も子局側も同等の処理となる。
情報処理装置(AP)100の制御部130は、送信中、受信中以外の時間、パケット検出/受信判定処理を行う(ステップS810)。このパケット検出/受信判定処理については、図5を参照して詳細に説明する。
続いて、情報処理装置(AP)100の制御部130は、送信すべきパケットが存在するか否かを判断する(ステップS801)。送信すべきパケットが存在しない場合には(ステップS801)、パケット送受信処理の動作を終了する。
送信すべきパケットが存在する場合には(ステップS801)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、情報処理装置(AP)100が送信権を獲得しているか否かを判断する(ステップS802)。
ここで、送信権を獲得している状態は、例えば、キャリアセンス結果がIDLEである時間に応じてデクリメントされるバックオフカウンタが0になっている状態を意味するものとする。
情報処理装置(AP)100が送信権を獲得している場合には(ステップS802)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、パケット送信を行う(ステップS804)。情報処理装置(AP)100が送信権を獲得していない場合には(ステップS802)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、送信すべきパケットが、通信相手から受信したパケットに対する即時応答であるか否かを判断する(ステップS803)。
なお、通信相手から受信したパケットに対する即時応答となるパケットは、例えば、CTS(Clear to Send))フレーム、ACK(ACKnowledge)フレーム、Block Ackフレームである。
送信すべきパケットが、通信相手から受信したパケットに対する即時応答でない場合には(ステップS803)、そのパケットの送信を行わずに、パケット送受信処理の動作を終了する。送信すべきパケットが、通信相手から受信したパケットに対する即時応答である場合には(ステップS803)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、パケット送信を行う(ステップS804)。このように、通信相手から受信したパケットに対する即時応答であるパケットの送信については、キャリアセンスの状態に関わらず行うことができる。
このように、情報処理装置(AP)100は、送信すべきパケットがあり、かつ、送信権を獲得している場合と、送信すべきパケットが通信相手からのパケットに対する即時応答である場合には、パケットの送信を行う。
[パケット検出/受信判定処理の動作例]
図4は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(AP)100が行う処理とPLCPヘッダとの関係例(処理分類テーブル)を示す図である。なお、図4については、図5を参照して詳細に説明する。
図5は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(AP)100による送受信処理のうちのパケット検出/受信判定処理(図3に示すステップS810の処理手順)を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置(AP)100の制御部130は、アンテナ111を介して入力される信号に対して、RSSI(Received signal strength indication)の計測を行い、その計測により求められたRSSIを保持する(ステップS811)。また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、Preambleパターンの相関計算を行い、相関器出力を求める(ステップS811)。この相関器出力は、相関出力強度COL(Correlator Output Level)を意味する。ここで、RSSIおよび相関出力強度COLの関係は、次の式により簡略的に示すことができる。
相関出力強度COL=RSSI×正規化された相関器出力
すなわち、相関器出力は、正規化された相関器出力レベルではなく、受信電力を反映して換算された相関器出力である。
このように、情報処理装置(AP、STA)のそれぞれは、待ち受け状態にいる間、アンテナを介して入力される信号に対して、RSSIの測定とPreamble相関器出力とをモニタする(ステップS811)。
続いて、情報処理装置(AP)100の制御部130は、Preambleパターンの相関計算を行い、その出力(Preamble相関器出力)と検出閾値とを比較する(ステップS812)。ここで、検出閾値は、本判定処理に先立ってSIGNALフィールドを読むための検出閾値である。
Preamble相関器出力の値が検出閾値以下である場合には(ステップS812)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、測定されたRSSIとエネルギー検出閾値EDとを比較する(ステップS813)。そして、情報処理装置(AP)100の制御部130は、そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えているか否かを判断する(ステップS813)。ここで、エネルギー検出閾値EDは、例えば、20MHz帯域幅あたり-62dBmとすることができる。
そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えている場合には(ステップS813)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、キャリアセンスBUSY状態を維持して(ステップS814)、パケット検出/受信判定処理の動作を終了する。一方、そのRSSIがエネルギー検出閾値ED以下である場合には(ステップS813)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、キャリアセンスIDLE状態に遷移して(ステップS815)、パケット検出/受信判定処理の動作を終了する。
また、Preamble相関器出力の値が検出閾値を超えた場合には(ステップS812)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、キャリアセンスBUSY状態に遷移する(ステップS816)。続いて、情報処理装置(AP)100の制御部130は、PLCPヘッダ内の後続のSIGNALフィールドをデコードして、そのSIGNALフィールド内の情報等を読み出す(ステップS817)。
例えば、図20に示す「COLOR」フィールド、PLCPヘッダのCRC(Cyclic Redundancy Check(巡回冗長検査))のそれぞれを読み出す。「COLOR」フィールドには、無線ネットワーク識別子であるCOLOR情報が格納される。
ここで、COLOR情報(BSS COLOR情報)は、接続されている相手装置(例えば、親局)から事前に報知されている情報であり、自装置が属しているBSS(Basic Service Set)を識別することができる情報(例えば、数値)である。すなわち、COLOR情報(BSS COLOR情報)は、ネットワークを識別するための識別子の一例である。また、COLOR情報(BSS COLOR情報)は、PLCP層においてBSSを識別する識別子の一例である。なお、同様の情報として、MACヘッダ内には、BSSIDが格納されている。ただし、COLOR情報は、BSSIDよりもさらに簡略化した形で、物理層(PLCP層)において表現することができる。
また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、読み出された各情報と、図4に示す処理分類テーブルとを照合し、以降の処理を決定する(ステップS817)。
具体的には、情報処理装置(AP)100の制御部130は、PLCPヘッダのCRCを計算し、PLCPヘッダのエラーの有無を確認する。ここで、PLCPヘッダにエラーがある場合には、フィールドの値の正当性を確認することができない。このため、図4に示すように、PLCPヘッダにエラーがある場合には、以降の処理を「受信打ち切り(ERROR)」と決定する。また、PLCPヘッダのCRCにエラーがない場合には、「COLOR」フィールドの内容に基づいて、処理を決定する。
具体的には、COLORフィールドが存在し、かつ、COLORフィールドの値が、自装置が属するBSSの値と同一である場合には、以降の処理を「受信」と決定する。また、COLORフィールドが存在し、かつ、COLORフィールドの値が、自装置が属するBSSのものと異なる場合には、以降の処理を「受信打ち切り」と決定する。また、COLORフィールドが存在しない場合には、以降の処理を「受信」と決定する。
仮に、情報処理装置(AP)100がCOLOR情報を解釈する機能を有さない場合を想定する。この場合に、PLCPヘッダのCRC計算結果にエラーが無いときには、COLOR情報の有無、COLOR情報の値によらず、以降の処理を「受信」とする。
このように、情報処理装置(AP)100の制御部130は、以降の処理として、「受信」、「受信打ち切り」、「受信打ち切り(ERROR)」の何れかを決定する(ステップS817)。
以降の処理として「受信」が決定された場合には(ステップS818)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、検出したパケットの受信を最後まで継続して行う(ステップS819)。
以降の処理として「受信打ち切り」が決定された場合には(ステップS818)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、検出したパケットの受信をPLCPヘッダ終了時点で打ち切り、待ち受け状態に戻る(ステップS820)。ただし、キャリアセンス状態は、そのパケットの終了時刻までBUSYとして扱う(ステップS821)。また、次回の送信試行の前のフレーム間隔(IFS(Inter Frame Space))を、AIFS(Arbitration IFS)、または、DIFS(Distributedaccess IFS)とする。
また、以降の処理として「受信打ち切り(ERROR)」が決定された場合には(ステップS818)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、検出したパケットの受信をPLCPヘッダ終了時点で打ち切り、待ち受け状態に戻る(ステップS822)。
ここで、本技術の実施の形態では、上述した拡張CCA機能を使用している場合の例を示す。すなわち、BSS識別子(COLOR情報)と、拡張CCA閾値(判定閾値)とを用いて、自装置が属するBSSから送信されたものではないと判断されるパケットの受信を打ち切り、さらに条件によってはチャネルを空き状態として扱うという動作を行う例を示す。この動作を本技術の実施の形態では、拡張CCA動作と称する。また、この動作に使用する拡張CCA閾値を得る方法については、複数のバリエーションが考えられる。
なお、拡張CCA閾値は、特に指定を行わない場合のデフォルト値としては、上述した一般的なキャリアセンス動作と同等の動作をする値であるものとする。すなわち、プリアンブル検出閾値以下であるとして等価的に図5と同様の動作を行うものとする。
[拡張CCA動作時のパケット検出/受信判定処理の動作例]
図6は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(AP)100が行う処理とPLCPヘッダとの関係例(処理分類テーブル)を示す図である。なお、図6については、図7を参照して詳細に説明する。
図7は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(AP)100による送受信処理のうちのパケット検出/受信判定処理(図3に示すステップS810の処理手順)を示すフローチャートである。なお、図7は、図5の一部を変形したものであるため、図5と共通する部分には、同一の符号を付して、これらの説明を省略する。
情報処理装置(AP)100の制御部130は、PLCPヘッダ内の後続のSIGNALフィールドをデコードして、そのSIGNALフィールド内の情報等を読み出す(ステップS817)。
また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、読み出された各情報と、図6に示す処理分類テーブルとを照合し、以降の処理を決定する(ステップS825)。
具体的には、情報処理装置(AP)100の制御部130は、PLCPヘッダのCRCを計算し、PLCPヘッダのエラーの有無を確認する。ここで、PLCPヘッダにエラーがある場合には、フィールドの値の正当性を確認することができない。このため、図6に示すように、PLCPヘッダにエラーがある場合には、以降の処理を「受信打ち切り(ERROR)」と決定する。また、PLCPヘッダのCRCにエラーがない場合には、拡張CCA閾値および「COLOR」フィールドの各内容に基づいて、処理を決定する。
ここで、特に、拡張CCA閾値を特定する情報がパケットそのものに含まれていることを前提とする場合(すなわち、到来するパケットのPPDUフォーマットとして図20に示されるフォーマットを前提とする場合)には、到来したパケットそのものに記載されている「Requested Detection Level」フィールドの内容から特定される値を拡張CCA閾値として使用する。拡張CCA閾値を特定する情報がパケットそのものに含まれていないことを前提とする場合には、拡張CCA閾値は、別の方法で予め導出され、保持されている値を使用する。
具体的には、COLORフィールドが存在し、かつ、COLORフィールドの値が、自装置が属するBSSの値と同一である場合には、以降の処理を「受信」と決定する。また、COLORフィールドが存在しない場合には、以降の処理を「受信」と決定する。
また、COLORフィールドが存在し、かつ、COLORフィールドの値が、自装置が属するBSSのものと異なる場合には、以降の処理を「受信打ち切り」と決定する。この場合に、相関器出力強度(Preamble相関器出力の値)が、拡張CCA閾値よりも低いか、以上であるかを判断する。そして、相関器出力強度が拡張CCA閾値よりも低い場合には、以降の処理を「受信打ち切り(IDLE)」と決定する。一方、相関器出力強度が拡張CCA閾値以上である場合には、以降の処理を「受信打ち切り(BUSY)」と決定する。なお、拡張CCA閾値と比較する値は、RSSIなど、受信信号の強度を表す別の指標であってもよい。
このように、情報処理装置(AP)100の制御部130は、以降の処理として、「受信」、「受信打ち切り(IDLE)」、「受信打ち切り(BUSY)」、「受信打ち切り(ERROR)」の何れかを決定する(ステップS817)。
また、以降の処理として「受信打ち切り(IDLE)」が決定された場合には(ステップS825)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、検出したパケットの受信をPLCPヘッダ終了時点で打ち切り、待ち受け状態に戻る(ステップS822)。この場合には、情報処理装置(AP)100の制御部130は、キャリアセンスをアイドル状態として扱う(ステップS822)。
[全体処理例]
図8は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10を構成する各情報処理装置により実行される処理全体の流れの一例を示すシーケンスチャートである。図8では、通信システム10を構成する各情報処理装置として、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200に関する処理全体の流れを示す。
最初に、情報処理装置(AP)100は、拡張CCA用マージン値決定処理を行う(ステップS711)。続いて、情報処理装置(AP)100は、連動パラメータ情報決定処理を行う(ステップS712)。続いて、情報処理装置(AP)100は、情報処理装置(STA)200への通知処理を行う(ステップS713)。
続いて、情報処理装置(STA)200は、拡張CCA閾値決定処理を行う(ステップS714)。続いて、情報処理装置(STA)200は、連動パラメータ設定処理を行う(ステップS715)。
[各処理の流れの一例]
図9は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10を構成する各情報処理装置における各部により実行される各処理の流れの一例を示す図である。図9では、通信システム10を構成する各情報処理装置における各部として、情報処理装置(AP)100の通信部110および制御部130と、情報処理装置(STA)200における通信部210および制御部230とに関する処理の流れを示す。なお、通信部210および制御部230は、図2に示す通信部110および制御部130に対応する。
最初に、情報処理装置(AP)100の制御部130は、拡張CCA閾値を決定する場合に用いるマージン値(拡張CCA用マージン値)を決定し、連動パラメータ算出用情報を導出する(301)。また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、ビーコンの内容を生成する(301)。そして、情報処理装置(AP)100の制御部130は、それらの内容を通信部110に出力する(302)。
情報処理装置(AP)100の通信部110は、制御部130の制御に基づいて、拡張CCA用マージン値を含めたビーコンを情報処理装置(STA)200に送信する(303)。情報処理装置(STA)200の通信部210は、受信したビーコンの内容を制御部230に出力する(304)。
続いて、情報処理装置(STA)200の制御部230は、受信したビーコンの受信強度と、受信したビーコンに含まれる拡張CCA用マージン値とに基づいて、拡張CCA閾値を変更する(305)。また、情報処理装置(STA)200の制御部230は、拡張CCA閾値の補正量に基づいて、連動パラメータを設定する(305)。そして、情報処理装置(STA)200の制御部230は、それらの内容を通信部210に出力する(306)。情報処理装置(STA)200の通信部210は、制御部230からの設定内容に基づいて、送信処理を行う。
また、情報処理装置(STA)200の制御部230は、連動パラメータとして送信電力を設定した場合、その連動パラメータ(送信電力情報)を送信データの一部に含める旨を通信部210に指示する(307、308)。
また、情報処理装置(STA)200の通信部210は、制御部230の制御に基づいて、データを情報処理装置(AP)100に送信する(309)。情報処理装置(AP)100の通信部110は、受信したデータの内容を制御部130に出力する(310)。
情報処理装置(AP)100の制御部130は、受信したデータに送信電力情報が含まれる場合には、その内容に基づいて、受信したデータに対するACKの送信電力を制御して通信部110にACKを送信させる(311、312)。また、情報処理装置(AP)100の通信部110は、制御部130の制御に基づいて、ACKを送信する(313)。
このように、情報処理装置(STA)200の制御部230は、送信電力に関する無線送信パラメータを変更する場合には、同一ネットワークに属する機器に送信するフレームに、その変更後の送信電力に関する情報を含める制御を行う。
また、同一ネットワークに属する他の機器から送信された自装置宛てのフレームにそのフレームの送信電力に関する情報が含まれている場合を想定する。この場合には、情報処理装置(AP)100の制御部130は、その送信電力に関する情報に基づいて、そのフレームの受領応答(ACK)の送信電力を変更してその受領応答を送信する制御を行う。
次に、各処理について説明する。
[拡張CCA用マージン値決定処理(図8に示すステップS711)]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、変更規則の1つとして、接続中の配下装置(STA)が、拡張CCA閾値を決定する際に用いるマージン値(拡張CCA用マージン値)を決定する。本技術の第1の実施の形態では、情報処理装置(STA)200が決定した閾値を拡張CCA閾値として扱う。なお、以下では、拡張CCA閾値を、EXTCCA_THと称する場合がある。
情報処理装置(AP)100の制御部130は、多様な基準でマージン値を決定し得る。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、周囲をモニタして干渉の平均強度を測定し、測定した干渉の平均強度に基づいてマージン値を決定することができる。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、干渉の平均強度が閾値を基準として高い場合には大きい値をマージン値として決定し、干渉の平均強度が閾値を基準として低い場合には小さい値をマージン値として決定することができる。
また、例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、HE装置とレガシー装置とのそれぞれの台数(または割合)に応じてマージン値を決定することができる。ここで、レガシー装置は、特定機能(例えば、拡張CCA動作を実行する機能)を備えない情報処理装置である。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、配下装置(STA)のうち、拡張CCA動作を実行する機能を備えるHE装置の数と、その機能を備えないレガシー装置の数とを加味して、マージン値を決定することができる。
また、例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、他のBSS(Basic Service Set)に属するHE装置とレガシー装置との台数の情報を加味してマージン値を決定するようにしてもよい。
また、例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、情報処理装置の台数と、干渉の平均強度との組み合わせに基づいて、マージン値を決定するようにしてもよい。また、情報処理装置(AP)100は、所定の値(例えば、固定値)をマージン値として採用するようにしてもよい。
[連動パラメータ情報決定処理(図8に示すステップS712)]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、変更規則の1つとして、接続中の配下装置(STA)が、送信パラメータを決定する際に用いる連動パラメータ算出用情報を決定する。すなわち、情報処理装置(AP)100の制御部130は、送信パラメータをデフォルトから変更する。
連動パラメータは、配下装置(STA)に、拡張CCAによる送信機会の増減の、逆向きの影響を与えるような値に、送信パラメータを変更させるためのパラメータである。
すなわち、連動パラメータは、情報処理装置(STA)200が拡張CCA閾値EXTCCA_THを変更した場合に、システム全体として不公平を緩和する目的で課される付随的なパラメータである。連動パラメータは、拡張CCA閾値EXTCCA_THを上昇させる場合には送信機会の増加と引き換えに課すペナルティとしての意味合いがある。一方、拡張CCA閾値EXTCCA_THを低下させる場合には送信機会の減少と引き換えに与える優遇措置としての意味合いがある。
この連動パラメータにより、拡張CCA閾値EXTCCA_THの変更に連動してデフォルトの送信パラメータから変更された送信パラメータが設定される。
連動パラメータ算出用情報は、例えば、上述したマージン値と1対1に対応するものとすることができる。すなわち、マージン値に連動パラメータ算出用情報が一意に対応するようにすることができる。この場合には、情報処理装置(AP)100において、マージン値が同一であれば連動パラメータ算出用情報が同一となることが保証される。また、マージン値と連動パラメータ算出用情報との組み合わせは、他の情報処理装置(AP)との間で共通とするようにしてもよい。この場合には、異なる情報処理装置(AP)においても、マージン値が同一であれば連動パラメータ算出用情報も同一となることが保証される。
例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせを記憶部120に記憶しておき、その組み合わせの中から、用いる組み合わせを選択することができる。この組み合わせ例を図10に示す。
ここで、組み合わせの選択基準は、マージン値の決定基準と同様の基準を用いることができる。また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、マージン値と連動パラメータ算出用情報とを1対1に対応させる計算式を用いて、連動パラメータ算出用情報を導出するようにしてもよい。
ここで、連動パラメータ算出用情報により変更される送信パラメータは多様に考えられる。例えば、連動パラメータ算出用情報は、送信電力を変更するためのパラメータとして、送信電力変更係数αおよびβを含むようにしてもよい。これにより、拡張CCA閾値EXTCCA_THの変更に連動して送信電力を変更することができる。
また、連動パラメータ算出用情報は、送信用固定待ち時間を変更するためのパラメータとして、送信用固定待ち時間変更係数γ、κ、τを含むようにしてもよい。これにより、拡張CCA閾値EXTCCA_THの変更に連動して送信用固定待ち時間を変更することができる。
また、連動パラメータ算出用情報は、キャリアセンス用ランダム待ち時間を変更するためのパラメータとして、キャリアセンス用ランダム待ち時間変更係数δ、εを含むようにしてもよい。これにより、拡張CCA閾値EXTCCA_THの変更に連動してキャリアセンス用ランダム待ち時間を変更することができる。
また、連動パラメータ算出用情報は、無線リソース(例えば、周波数)の専有時間長を変更するためのパラメータとして、最大フレーム時間長変更係数μ、νを含むようにしてもよい。これにより、拡張CCA閾値EXTCCA_THの変更に連動して無線リソースの専有時間長を変更することができる。
また、同様の趣旨で、一度のフレーム送信における最大送信情報量、一度の送信における最大パケット連結個数、同じパケットの最大再送回数、複数フレームの連続送信に使用できる最大時間長(例えば、TXOP limit)を変更するためのパラメータを、連動パラメータ算出用情報に含むようにしてもよい。
また、連動パラメータ算出用情報は、使用可能なチャネル帯域幅を変更するためのパラメータとして、使用可能チャネル帯域幅変更係数λを含むようにしてもよい。これにより、拡張CCA閾値EXTCCA_THの変更に連動して使用可能なチャネル帯域幅を変更することができる。
また、連動パラメータ算出用情報は、使用可能なチャネル周波数を限定するためのパラメータとして、チャネル限定動作判定係数ω、または、使用可能なチャネル群を指定する情報の少なくとも何れかを含むようにしてもよい。これにより、拡張CCA閾値EXTCCA_THの変更に連動して使用可能なチャネル周波数を限定することができる。
[マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせ例]
図10は、本技術の第1の実施の形態における記憶部120に記憶されるマージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせの一例を示す図である。
図10では、送信電力および送信用固定待ち時間(例えば、AIFSN(Arbitration Inter Frame Space number))が変更対象の送信パラメータである場合の例を示す。情報処理装置(AP)100は、これらの組み合わせの中から1つのエントリ(行)を選択することができる。なお、変更量(ペナルティまたは優遇措置の規模)が大きくなるように、情報処理装置(AP)100(または、通知先の情報処理装置(STA)200)の制御に基づいて、連動パラメータ算出用情報の値を変更するようにしてもよい。
[通知処理(図8に示すステップS713)]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、生成した変更規則を示す情報を情報処理装置(STA)200に通知する。本技術の第1の実施の形態では、情報処理装置(AP)100は、拡張CCA閾値算出のためのマージン値および連動パラメータ算出用情報をフレームに格納して通知する例を示す。それらの各情報を格納するフレームは、例えば、配下装置(STA)全体に通知されるビーコンフレームとするようにしてもよく、個別に通知される他のマネジメントフレームとするようにしてもよい。ここでは、一例として、それらの各情報をビーコンフレームに格納する場合のフォーマット例を示す。
[ビーコンのフォーマット例]
図11は、本技術の第1の実施の形態における各情報処理装置間でやりとりされるビーコンフレームのフォーマット例を示す図である。
図11に示すビーコンフレームにおけるペイロード401には、Dynamic CCA Parameters402が配置される。Dynamic CCA Parameters402には、変更規則を示す情報が格納される。
具体的に、Dynamic CCA Parameters402は、Element ID403と、Length404と、CCA Margin405と、Linked Parameter List406とにより構成される。
Element ID403には、識別情報が格納される。Length404には、フィールド長が格納される。
CCA Margin405には、上述した拡張CCA用マージン値決定処理(図8に示すステップS711)により決定されたマージン値(拡張CCA閾値算出のためのマージン値)が格納される。
Linked Parameter List406には、上述した連動パラメータ情報決定処理(図8に示すステップS712)により決定された連動パラメータ算出用情報が格納される。
Linked Parameter List406は、Num of Entries407と、Parameter Type408、410と、Coefficient Values409、411とにより構成される。また、Parameter Type408、410と、Coefficient Values409、411とは、N個の組により構成される。ここで、Nは、変更対象の連動パラメータ算出用情報の数を示す値である。
Num of Entries407には、変更対象の連動パラメータ算出用情報の数が格納される。Parameter Type408、410には、変更対象の連動パラメータの種類が格納される。Coefficient Values409、411には、変更係数値(連動パラメータ算出用情報)が格納される。
このように、ビーコンフレームにマージン値および連動パラメータ算出用情報を格納して通知することにより、上述した「マージン値と連動パラメータ算出用情報とは1対1に対応する」というルールが遵守される。また、ビーコンフレームにマージン値および連動パラメータ算出用情報を格納して通知することにより、システムの品質を毀損するような不正な設定を情報処理装置(AP)100がしても、情報処理装置(STA)200、または、その他の装置が不正を検知することができる。これにより、テスタビリティを確保することができる。
このように、マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせ(すなわち、変更規則)を示す情報は、情報処理装置(AP)100から情報処理装置(STA)200に通知される。
このように、本技術の第1の実施の形態では、図11に示すように、マージン値および連動パラメータ算出用情報自体をビーコンフレームに格納して情報処理装置(STA)に通知する例を示す。ただし、マージン値および連動パラメータ算出用情報の少なくとも1つを特定するための情報(例えば、各値を特定するための識別情報)をビーコンフレームに格納して情報処理装置(STA)に通知するようにしてもよい。
[拡張CCA閾値決定処理(図8に示すステップS714)]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、情報処理装置(AP)100からの通知に基づいて、拡張CCA閾値を決定して設定する。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、通知されたマージン値と、参照フレームの受信強度(例えば、RSSI)とに基づいて、拡張CCA閾値を決定する。ここで、参照フレームは、例えば、上述した変更規則を示す情報を格納したビーコンフレームである。また、他のフレームを参照フレームとするようにしてもよい。以下、図12を参照して、拡張CCA閾値決定処理について説明する。
図12は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(STA)200による拡張CCA閾値決定処理の一例を示す図である。図12では、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200間におけるやりとりの一例を示す。
最初に、情報処理装置(STA)200の通信部210は、接続先の情報処理装置(AP)100から送信されたビーコンフレームを受信する。
ここで、接続先の情報処理装置(AP)100から受信した最新の参照フレーム(ビーコンフレーム)の、情報処理装置(STA)200における受信強度(RSSI)をR_ref(dBm)とする。また、上述した通知処理において情報処理装置(AP)100から通知されたマージン値(図11に示すCCA Margin405により特定されるマージン値)をM(dB)とする。なお、R_refとして、複数の参照フレームに亘る計測結果に、平均化等のフィルタリングを行った値を用いるようにしてもよい。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、参照フレームの受信強度R_refからマージン値Mを減算した値を、設定可能な拡張CCA閾値EXTCCA_THの上限値EXTCCA_TH_capableとして算出する。具体的には、次の式1を用いて、上限値EXTCCA_TH_capableを算出する。なお、次の式1は、対数での表現である。
EXTCCA_TH_capable=R_ref-M … 式1
続いて、情報処理装置(STA)200の制御部230は、上限値EXTCCA_TH_capableを超えない範囲で、拡張CCA閾値EXTCCA_THを変更する(すなわち、拡張CCA閾値を決定する)。これにより、情報処理装置(AP)100が送信した信号が、情報処理装置(STA)200において検出される可能性を高めることができる。
なお、拡張CCA閾値EXTCCA_TH_capableは、他の要因に基づく上限値または下限値により値を制限するようにしてもよい。
ここで、デフォルトの拡張CCA閾値EXTCCA_THの値をEXTCCA_TH_defaultとし、変更後の拡張CCA閾値EXTCCA_TH(すなわち、拡張CCA閾値)の値を、EXTCCA_TH_updatedとする。例えば、EXTCCA_TH_defaultは、20MHz帯域幅あたり-82dBmとするようにしてもよい。
また、EXTCCA_TH_defaultとEXTCCA_TH_updatedとの差分D_EXTCCA_THは、次の式2を用いて算出される。なお、次の式2も対数での表現である。また、これ以降に示す数式におけるD_EXTCCA_THは、全てdB値である。
D_EXTCCA_TH=EXTCCA_TH_updated
-EXTCCA_TH_default … 式2
上述した式1を参照すると、RSSIが大きい情報処理装置(STA)200ほど、高い拡張CCA閾値EXTCCA_THへの変更が許容される。なお、拡張CCA閾値EXTCCA_THの変更は範囲内で自由度があり、必ずしも情報処理装置(STA)200が拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedをEXTCCA_TH_capableとする必要は無い。
例えば、情報処理装置(STA)200は、拡張CCA閾値EXTCCA_THを全く変化させなくてもよい。すなわち、情報処理装置(STA)200の制御により、拡張CCA閾値EXTCCA_THは変わり得る。これにより、リンク状態が悪い情報処理装置(STA)200が高い拡張CCA閾値EXTCCA_THに変更してしまい、予期しない送信失敗を増加させてシステム全体のパフォーマンスを低下させることを防ぐことができる。
[連動パラメータ設定処理(図8に示すステップS715)]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、連動パラメータ(送信パラメータ)を決定して設定する。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、上述した拡張CCA閾値決定処理において決定した拡張CCA閾値とデフォルト閾値との差分(すなわち、D_EXTCCA_TH)に基づいて、連動パラメータを制御することができる。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、その差分が大きくなるのに応じて変更量(ペナルティまたは優遇措置の規模)を大きくし、その差分が小さくなるのに応じて変更量を小さくすることができる。これにより、拡張CCA閾値EXTCCA_THの上げ幅または下げ幅に応じて生じる、システム全体の不公平を適切に緩和することができる。
また、情報処理装置(STA)200の制御部230は、マージン値に対応する連動パラメータ算出用情報を用いて連動パラメータを設定することができる。例えば、情報処理装置(STA)200は、情報処理装置(AP)100から通知された変更規則を遵守して連動パラメータを決定するものとし、逸脱することはないものとする。以下では、各送信パラメータの設定例について説明する。
[送信電力の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_EXTCCA_THに基づいて、送信電力を変更することができる。例えば、変更係数α、βを用いた送信電力変更の一例を、次の式3に示す。なお、変更後の送信電力をP_updatedとし、基準となる送信電力をP_defaultとし、これらは、dB値であるものとする。また、基準送信電力P_defaultは、予め何らかの方法でシステム内の各情報処理装置(APおよび配下装置)において共有されているものとする。次式は対数での表現である。
P_updated=P_default
-(D_EXTCCA_TH/α)+β … 式3
例えば、αが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが高い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが大きくなるに応じて、送信電力が下がる。すなわち、拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが高くなるに応じて、送信電力が下がる。
また、αが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが低い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが小さくなるに応じて、送信電力が上がる。すなわち、拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが低くなるに応じて、送信電力が上がる。
また、αが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが高い場合を想定する。このような場合であっても、上述した式3により算出されたP_updatedがP_defaultよりも高くなることが有り得る。この場合には、情報処理装置(STA)200の制御部230は、送信電力を変更せずにP_defaultを用いるものとする。
同様に、αが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが低い場合を想定する。このような場合であっても、上述した式3により算出されたP_updatedがP_defaultよりも低くなることが有り得る。この場合は、情報処理装置(STA)200の制御部230は、送信電力を変更せずにP_defaultを用いるものとする。
ここで、情報処理装置(STA)200の制御部230は、算出されたP_updatedよりも低い送信電力を使用すること(すなわち、自装置がより不利になる方向の別の値を使用すること)は制限されない。この場合、算出されたP_updatedは、制御部230が設定可能な上限値として扱われる。
このように、課すべきペナルティまたは優遇措置が逆向きに作用してしまう場合には、情報処理装置(STA)200の制御部230は、デフォルトの送信パラメータを用いるものとする。また、以下に示す他の送信パラメータに関しても同様である。
[送信用固定待ち時間の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_EXTCCA_THに基づいて、送信用固定待ち時間を変更することができる。
ここで、送信用固定待ち時間は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11規格におけるAIFS(Arbitration Inter Frame Space)に相当するものである。また、AIFSは、送信試行を行う際に待たなければならないタイムスロット数(AIFSN(Arbitration Inter Frame Space number))に対応する。
すなわち、情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_EXTCCA_THに基づいて、AIFSNを変更することができる。
例えば、変更係数(送信用固定待ち時間変更係数)γを用いて、AIFSNを変更する例を、次の式4に示す。ここで、変更後のAIFSNをAIFSN_updatedとし、デフォルトのAIFSNをAIFSN_defaultとし、これらは真値であるとする。
AIFSN_updated=AIFSN_default
+(D_EXTCCA_TH/γ) … 式4
ここで、デフォルトのAIFSNは、情報処理装置(AP)100がビーコンフレームのEDCA Parameter IEを用いて報知しているAIFSNの値を指すものとする。このAIFSNの変更は、全てのアクセスカテゴリに対して適用される。
例えば、γが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが高い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが大きくなるに応じて、AIFSN(すなわち、待ちスロット数)が増える。
また、例えば、γが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが低い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが小さくなるに応じて、AIFSN(すなわち、待ちスロット数)が減る。
また、例えば、変更係数(送信用固定待ち時間変更係数)κを用いて、1スロット時間長T_slotを変更する例を、次の式5に示す。ここで、変更後のT_slotをT_slot_updatedとし、デフォルトのT_slotをT_slot_defaultとし、これらは真値であるとする。
T_slot_updated=
T_slot_default×κ … 式5
また、例えば、変更係数(送信用固定待ち時間変更係数)τを用いて、AIFSN=0時の待ち時間であるSIFS(Short Inter Frame Space)長を変更する例を、次の式6に示す。ここで、変更後のSIFSをSIFS_updatedとし、デフォルトのSIFSをSIFS_defaultとし、これらは真値であるとする。
SIFS_updated=SIFS_default×τ … 式6
ここで、情報処理装置(STA)200の制御部230は、算出されたAIFSN_updated、T_slot_updated、SIFS_updatedよりも長い設定値を使用すること(すなわち、自装置がより不利になる方向の別の値を使用すること)は制限されない。
[キャリアセンス用ランダム待ち時間の設定例]
キャリアセンス用ランダム待ち時間は、例えば、IEEE802.11規格におけるランダムバックオフの範囲を示すCW(Contention Window)に相当するものである。CWには、CWminおよびCWmaxがある。以下では、一例として、情報処理装置(STA)200の制御部230が、CWminをD_EXTCCA_THに基づいて、変更する場合の例を示す。
変更係数δおよびεを用いて、CWminを変更する例を、次の式7に示す。ここで、変更後のCWminをCW_updatedとし、デフォルトのCWminをCW_defaultとし、これらは真値であるとする。
CW_updated=
CW_default×(D_EXTCCA_TH/δ)
+(D_EXTCCA_TH/ε) … 式7
ここで、デフォルトのCWminは、情報処理装置(AP)100がビーコンフレームのEDCA Parameter IEを用いて報知しているCWminの値を指すものとする。このCWminの変更は、全てのアクセスカテゴリに対して適用される。なお、δおよびεは、各アクセスカテゴリに別々の値を割り当てるようにしてもよい。
また、ここでは、CWminについて説明したが、CWmaxに関しても同様の変更を行うようにしてもよい。
例えば、δおよびεが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが高い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが大きくなるに応じて(すなわち、拡張CCA閾値が高くなるに応じて)、CWminが大きくなり、ランダム待ち時間の期待値が長くなる。
また、δおよびεが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが低い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが小さくなるに応じて(すなわち、拡張CCA閾値が低くなるに応じて)、CWminが小さくなり、ランダム待ち時間の期待値が短くなる。
ここで、情報処理装置(STA)200の制御部230は、算出されたCW_updatedよりも長い設定値を使用すること(すなわち、自装置がより不利になる方向の別の値を使用すること)は制限されない。
[最大フレーム時間長の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_EXTCCA_THに基づいて、最大フレーム時間長を変更することができる。ここで、最大フレーム時間長は、例えば、PPDU(PLCP(Physical. Layer Convergence Protocol) Protocol Data Unit)時間長に相当する。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、PPDU時間長に上限を設け、その上限をD_EXTCCA_THに基づいて決定することができる。
変更係数μおよびνを用いて、PPDU時間長の上限値を変更する例を、次の式8に示す。ここで、変更後のPPDU時間長上限値をT_updatedとし、これは真値であるとする。
T_updated=μ-v×D_EXTCCA_TH … 式8
例えば、νが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが高い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが大きくなるに応じて(すなわち、拡張CCA閾値が高くなるに応じて)、T_updated(すなわち、PPDUの時間長)が短くなる。
また、νが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが低い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが小さくなるに応じて(すなわち、拡張CCA閾値が低くなるに応じて)、T_updated(すなわち、PPDUの時間長)が長くなる。
ここで、情報処理装置(STA)200の制御部230は、算出されたT_updatedよりも短い設定値を使用すること(すなわち、自装置がより不利になる方向の別の値を使用すること)は制限されない。
なお、上述したように、無線リソースの専有時間長を変更する、という趣旨から、一度のフレーム送信における最大送信情報量、一度の送信における最大パケット連結個数、同じパケットの最大再送回数、複数フレームの連続送信に使用できる最大時間長に関しても、同様の計算を適用することが可能である。
[使用可能なチャネル帯域幅の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、送信に使用可能なチャネル帯域幅を、D_EXTCCA_THに基づいて変更することができる。
変更係数λを用いて、使用可能チャネル帯域幅を変更する例を、次の式9に示す。ここで、変更後の使用可能チャネル帯域幅をBW_updatedとし、デフォルトの使用可能チャネル帯域幅をBW_defaultとし、チャネル帯域幅の最小粒度をBW_unitとし、これらは真値であるとする。
BW_updated=BW_default
-{(λ×D_EXTCCA_TH)/BW_unit}
×BW_unit … 式9
例えば、λが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが高い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが大きくなるに応じて(すなわち、拡張CCA閾値が高くなるに応じて)、BW_updated(すなわち、使用可能なチャネル帯域幅)が狭くなる。
また、λが正の値の場合であって、デフォルト閾値EXTCCA_TH_defaultよりも拡張CCA閾値EXTCCA_TH_updatedが低い場合を想定する。この場合には、D_EXTCCA_THが小さくなるに応じて(すなわち、拡張CCA閾値が低くなるに応じて)、BW_updated(すなわち、使用可能なチャネル帯域幅)が広くなる。
ここで、情報処理装置(STA)200の制御部230は、算出されたBW_updatedよりも小さい設定値を使用すること(すなわち、自装置がより不利になる方向の別の値を使用すること)は制限されない。
[使用可能なチャネル周波数の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、送信に使用可能なチャネル周波数を、D_EXTCCA_THに基づいて変更することができる。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_EXTCCA_THがチャネル限定動作判定係数ωよりも大きい場合には、情報処理装置(AP)100から指定されたチャネルを使用するようにする。
なお、上述したそれぞれの送信パラメータの変更において、複数の変更係数が必ずしも全て通知、使用されないこととしてもよい。例えば、上述したβが無くαのみ、εが無くδのみ、というような処理も許容される。これは他の実施の形態においても同様である。
[送信処理および受領応答処理]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、上述したように、情報処理装置(AP)100からの通知に基づいて連動パラメータ(送信パラメータ)の変更を行う。そして、情報処理装置(STA)200の制御部230は、その変更後に、拡張CCA動作および送信処理を行う。なお、拡張CCA動作については、図3、図7に示す。
ここで、情報処理装置(STA)200が、連動パラメータとして、送信電力を変更した場合を想定する。この場合には、情報処理装置(STA)200の制御部230は、その設定した送信電力に関する情報(送信電力情報)を接続先の情報処理装置(AP)100に通知する。例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、変更後の送信電力P_updatedを示す情報をフレームの一部に格納して送信する。これにより、情報処理装置(AP)100は、情報処理装置(STA)200側での送信電力の変更に合わせて、送信電力制御を行うことができる。このように、変更後の送信電力を通知するためのフレームフォーマットの一例を、図13に示す。
[送信に使用するフレームのフォーマット例]
図13は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(STA)200が送信に使用するフレームのフォーマット例を示す図である。
図13のaには、PLCPヘッダに、送信電力情報を格納する場合のフレームフォーマット例を示す。具体的には、PLCPヘッダにおけるSIG421に送信電力情報を格納する例を示す。
図13のbには、MACヘッダ422、423に、送信電力情報を格納する場合のフレームフォーマット例を示す。
図13のcには、マネジメントフレームのペイロード部424に、送信電力情報を格納する場合のフレームフォーマット例を示す。なお、そのペイロード部424は、フレームアグリゲーションにより送信フレームの一部に連結される。
図13のdには、LLC-SNAPヘッダのEtherTypeが通常と異なる値となるデータフレームのペイロード部425に、送信電力情報を格納する場合のフレームフォーマット例を示す。なお、そのペイロード部425は、フレームアグリゲーションにより送信フレームの一部に連結される。
図13のaおよびbに示すフレームフォーマットは、オーバーヘッドが少ないものの、既存のフォーマットを変更する必要がある。このため、レガシー装置が、信号からデータを正しく取得できなくなり、予期しない動作を行うおそれがある。
図13のcおよびdに示すフレームフォーマットは、図13のaおよびbに示すフレームフォーマットよりもオーバーヘッドが大きくなる。ただし、レガシー装置は、格納されている送信電力情報を読み飛ばすことができ、後方互換性を確保することができる。
なお、図13では、情報処理装置(STA)200が送信するフレームがデータフレームであり、そのデータフレームが複数のフレームが連結されているA-MPDU(aggregation MAC protocol data unit)である場合のフレームフォーマットの一例を示した。ただし、情報処理装置(STA)200は、他の任意のフレームに送信電力情報を格納するようにしてもよい。例えば、情報処理装置(STA)200は、アグリゲーションされてないデータフレーム、マネジメントフレーム、コントロールフレーム等に、送信電力情報を格納して別途送信するようにしてもよい。
[送信電力制御例]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、情報処理装置(STA)200から通知された情報に基づいて送信電力制御を行うことができる。
例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、情報処理装置(STA)200から通知された送信電力情報に基づいて、情報処理装置(STA)200に送信するフレームの送信電力を設定することができる。例えば、情報処理装置(STA)200において送信電力が基準送信電力よりも低く設定された場合には、情報処理装置(AP)100の制御部130は、情報処理装置(STA)200に送信するフレームの送信電力を基準送信電力よりも下げるようにする。これにより、システム全体として公平性確保のためのペナルティまたは優遇措置が課されることとなる。また、システムを構成する装置の個々の送信電力が低下した場合には、干渉が削減されてシステム全体の効率を向上させることができる。
また、例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、送信電力制御後の送信電力を用いて、情報処理装置(STA)200から受信したフレームに対するACK/NACK(Negative ACKnowledgement)の応答フレームを、情報処理装置(STA)200に返信するようにしてもよい。
ここで、情報処理装置(STA)200は、参照フレームの受信強度に基づいて拡張CCA閾値を決定する。このため、情報処理装置(AP)100は、参照フレームの送信電力を所定値(基準送信電力)に維持するようにすることが好ましい。
このように、情報処理装置(STA)200の制御部230は、情報処理装置(AP)100から送信されたフレームに含まれる情報(例えば、マージン値)に基づいて、拡張CCA閾値を変更する制御を行うことができる。例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、フレームに含まれるマージン値と、そのフレームの受信強度とに基づいて、拡張CCA閾値を変更することができる。また、情報処理装置(STA)200の制御部230は、そのマージン値とその受信強度とに基づいて決定される範囲内で拡張CCA閾値を変更することができる。
また、情報処理装置(STA)200の制御部230は、情報処理装置(AP)100から送信されたフレームに含まれる情報と、拡張CCA閾値の基準値からの変化量とに基づいて、無線送信パラメータを決定することができる。例えば、送信電力、送信用固定待ち時間、キャリアセンス用ランダム待ち時間、最大フレーム時間長、使用可能チャネル帯域幅、使用可能チャネル周波数のうちの少なくとも1つを決定することができる。
[他の処理例]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、自装置で決定したマージン値および連動パラメータ算出用情報を用いて、EXTCCA_THおよび送信パラメータの動的な変更を行うようにしてもよい。
この場合、情報処理装置(AP)100の配下装置(例えば、情報処理装置(STA)200)は、情報処理装置(AP)100に対して定期的に参照フレームを送信することが要求される。なお、情報処理装置(STA)200において、上述した処理により送信電力が変更された場合であっても、参照フレームの送信電力は所定値に維持することが好ましい。
情報処理装置(AP)100の制御部130は、全ての配下装置(STA)からの参照フレームの受信強度のうち、最も小さい受信強度を、上述したR_refとして取り扱い、上述したように、拡張CCA閾値決定処理、連動パラメータ設定処理等を行ってもよい。ここで、R_refとして扱う受信強度は、必ずしも最も小さい受信強度でなく、他の基準により選択された受信強度であってもよい。例えば、最も大きな受信強度、ある複数の受信強度サンプルから得られる平均値/中間値、最後に受信した配下装置(STA)からの信号の受信強度、最後に自装置が送信した宛先装置からの信号の受信強度、自装置が次に送信を行おうとしている宛先装置からの直近の受信強度等が考えられる。なお、情報処理装置(AP)100において、送信電力が変更される場合であっても、参照フレームの送信電力は所定値に維持することが好ましい。
[マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせを共有する例]
図10に示すマージン値と連動パラメータ算出用情報との組み合わせは、情報処理装置(STA)200に共有されるようにしてもよい。このように共有する場合には、通知処理(図8に示すステップS713)において情報処理装置(AP)100から情報処理装置(STA)200に通知される情報量を削減することができ、通知のためのフレームフォーマットを簡素化することができる。
例えば、マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせの各々を識別するための識別情報(例えば、モード番号)を、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200間で共有することができる。このモード番号と、マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせとの関係例を、図14に示す。
図14は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200間で共有するマージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせの一例を示す図である。
情報処理装置(AP)100の制御部130は、通知処理(図8に示すステップS713)において、マージン値と連動パラメータ算出用情報との組み合わせを示す情報として、モード番号を通知する。この場合には、情報処理装置(STA)200の制御部230は、図14に示す情報を参照することにより、通知されたモード番号に基づいて、マージン値と連動パラメータ算出用情報との組み合わせを取得することができる。このように、モード番号を通知するため、ビーコンフレームにモード番号を格納する場合のフォーマットの例を図15に示す。
[モード番号の通知に使用するビーコンのフォーマット例]
図15は、本技術の第1の実施の形態における各情報処理装置間でやりとりされるビーコンフレームのフォーマット例を示す図である。
図15に示すビーコンフレームにおけるペイロード431には、Dynamic CCA Parameters432が配置される。Dynamic CCA Parameters432には、変更規則を示す情報として、モード番号を通知するための情報が格納される。
具体的に、Dynamic CCA Parameters432は、Element ID433と、Length434と、Mode Index435とにより構成される。
Element ID433には、識別情報が格納される。Length434には、フィールド長が格納される。Mode Index435には、モード番号を特定するための情報が格納される。
このように、情報処理装置(AP)100の制御部130は、拡張CCA閾値の決定に用いられる第1情報と、この第1情報と連動する無線送信パラメータとの組を特定するための情報を情報処理装置(STA)200に送信する制御を行う。また、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200は、第1情報と無線送信パラメータとの組を特定するための情報を、同一ネットワークに属する他の機器と共有することができる。
なお、この例では、マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせを、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200間で共有する例を示した。ただし、マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせを、他のネットワークに属する情報処理装置(AP)との間で共有するようにしてもよい。すなわち、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200は、その組み合わせを特定するための情報を、同一ネットワークに属する他の機器と、他のネットワークに属する他の機器とのうちの少なくとも1つと共有することができる。
ここで、情報処理装置(STA)は、全て平等である必要があるため、一部のみが有利なリストを使用することはできない。ただし、情報処理装置(AP)については、情報処理装置(STA)よりも有利な条件にしてもよいと考えられる。そこで、情報処理装置(AP)100が保持する組み合わせ情報(マージン値および連動パラメータ算出用情報の組み合わせの候補リスト)を、情報処理装置(STA)200が保持する組み合わせ情報よりも、有利な情報(有利な別のリスト)とするようにしてもよい。
[拡張CCA動作に明示的な許可を必要とさせる変形例]
拡張CCA動作を行う場合に、情報処理装置(AP)100からの明示的な許可を必要とするようにしてもよい。具体的には、情報処理装置(AP)100は、ビーコンフレーム内に情報を追加して許可・不許可を配下装置(STA)に通知する。また、BSS内の配下装置(STA)は、そのビーコンに含まれる情報に従うようにする。この場合のビーコンのフォーマット例を図16に示す。
[ビーコンのフォーマット例]
図16は、本技術の第1の実施の形態における各情報処理装置間でやりとりされるビーコンフレームのフォーマット例を示す図である。
図16に示す例は、図11に示すDynamic CCA Parameters402において、Allow Extended CCA415を追加する例である。なお、図11に示す例と同一名称のフィールドは、図11に示す例に対応するため、ここでの説明を省略する。
Allow Extended CCA415のフィールドには、BSS内の情報処理装置(STA、AP)のそれぞれが、拡張CCA動作を行うことを許可するか否かを示す情報が格納される。
情報処理装置(STA)は、ビーコンフレームを受信した場合には、ビーコンフレーム内のAllow Extended CCA415に格納されている情報に基づいて、拡張CCA動作を行うことが許可されているか否かを確認する。そして、情報処理装置(STA)は、拡張CCA動作が許可されている場合にのみ、拡張CCA動作を行う。一方、許可されていない場合には、拡張CCA動作に対応しているHE装置であっても、レガシー装置と同様の動作を維持する。この場合には、CCA Margin405のフィールドやLinked Parameter List406のフィールドの内容は使用されないこととする。
[他のキャリアセンス閾値の変更も併用する例]
拡張CCA閾値の変更に加えて、通常のキャリアセンス用の検出閾値の変更が併用されてもよい。通常のキャリアセンス用の検出閾値とは、具体的には、プリアンブル検出閾値、エネルギー検出閾値、CCA Mid Packet検出閾値を指す。例えば、プリアンブル検出閾値を変更する場合には、決定した拡張CCA閾値以下の値となるように制御することができる。
<2.第2の実施の形態>
本技術の第2の実施の形態では、拡張CCA閾値の上限レベル、送信電力の下限レベル等を設定する例を示す。
なお、本技術の第2の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1および図2等に示す情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200、250と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[全体処理]
全体処理については、本技術の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
[拡張CCA用マージン決定処理]
拡張CCA用マージン決定処理については、本技術の第1の実施の形態と同様である。ただし、本技術の第2の実施の形態では、情報処理装置(AP)100は、マージン値を決定するとともに、情報処理装置(AP)100の配下装置(STA)が連動パラメータ設定処理において使用するパラメータ(送信電力下限レベル)を決定する。この送信電力下限レベルは、干渉の強度に基づいて決定されることが望ましい。以下では、送信電力下限レベルの決定例を示す。
例えば、情報処理装置(AP)100は、干渉の平均強度をモニタにより測定し、その測定値をIとする。また、情報処理装置(AP)100は、そのIと雑音電力Nに対して十分なSINRを確保できるレベルを下限レベル(送信電力下限レベル)に設定する。この下限レベルをLLとする。ある変調および符号化方式(MCS)が十分な伝送特性を確保できるだけのSINRを、MCSのインデックスをmとしてSINR(m)とすると、各mに対応する下限レベルLL(m)は次の式10で表される。式10は、真値での表現である。
LL(m)=SINR(m)×{I+N} … 式10
ここで、各LL(m)については、式10により得られた値に所定のオフセットが加算された値とするようにてもよい。また、LLは、必ずしも使用されるMCSの数だけなくてもよく、例えば、特定のMCSを想定したLLで代表されるようにしてもよい。
[連動パラメータ情報決定処理]
連動パラメータ情報決定処理については、本技術の第1の実施の形態と同様である。ただし、本技術の第2の実施の形態では、連動パラメータとして、少なくとも送信電力に関する情報が含まれるものとする。
[通知処理]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、生成した変更規則を示す情報を情報処理装置(STA)200に通知する。本技術の第2の実施の形態では、情報処理装置(AP)100は、拡張CCA閾値算出のためのマージン値と、連動パラメータ算出用情報(少なくとも送信電力下限レベルを含む)とをフレームに格納して通知する例を示す。それらの各情報を格納するフレームは、例えば、配下装置(STA)全体に通知されるビーコンフレームとするようにしてもよく、個別に通知される他のマネジメントフレームとするようにしてもよい。ここでは、一例として、それらの各情報をビーコンフレームに格納する場合のフォーマット例を示す。
[ビーコンのフォーマット例]
図17は、本技術の第2の実施の形態における各情報処理装置間でやりとりされるビーコンフレームのフォーマット例を示す図である。
図17に示すビーコンフレームにおけるペイロード441には、Associated STAs Info442と、Tx Power Info443と、Dynamic CCA Parameters444とが配置される。
なお、図17に示す例は、図11に示すペイロード401において、Associated STAs Info442およびTx Power Info443を追加する例である。また、図17に示す例は、図11に示すDynamic CCA Parameters402において、Lower Limitation Level List455を追加する例である。このため、図11に示す例と同一名称のフィールドは、図11に示す例に対応するため、ここでの説明を省略する。
Associated STAs Info442は、Element ID445と、Length446と、Number of Active HE-STA447と、Number of Active Legacy STA448とにより構成される。
Element ID445には、識別情報が格納される。Length446には、フィールド長が格納される。
Number of Active HE-STA447には、情報処理装置(AP)100が接続している配下装置(STA)のうちの特定機能を備える装置(HE装置)の数が格納される。
Number of Active Legacy STA448には、情報処理装置(AP)100が接続している配下装置(STA)のうちのレガシー装置の数が格納される。
これにより、情報処理装置(AP)100は、このフォーマットで他の情報処理装置(AP)から送信されたビーコンを受信すると、他の無線ネットワークに属しているHE装置とレガシー装置との数を把握することができる。
なお、各装置の数を格納する場合に、ある時間当たりのトラフィックの量を加味した装置の数を格納するようにしてもよい。例えば、接続はしているが全く通信していない装置は、他局への通信に与える干渉としての寄与が無いため、計数時に寄与を小さくする、または、係数から省くようにしてもよい。
Tx Power Info443は、Element ID449と、Length450と、Tx Power451とにより構成される。
Element ID449には、識別情報が格納される。Length450には、フィールド長が格納される。
Tx Power451には、参照フレーム(ビーコン)の送信に用いられる送信電力(例えば、基準送信電力)を特定するための情報が格納される。
Dynamic CCA Parameters444は、Element ID452と、Length453と、CCA Margin454と、Lower Limitation Level List455と、Linked Parameter List456とにより構成される。
Lower Limitation Level List455は、Num of Entries457と、Lower Limitation Level 1 458と、Lower Limitation Level (M-1)459と、Lower Limitation Level M 460とにより構成される。このように、Lower Limitation Levelは、M個のフィールドにより構成される。ここで、Mは、下限レベルの値の数を示す。
Num of Entries457には、送信電力下限レベルの値の数が格納される。
Lower Limitation Level 1 458には、上述した拡張CCA用マージン決定処理(送信電力マージン決定処理)で決定された送信電力下限レベルの値LLが格納される。また、LLが複数存在する場合には、それらが順次格納される。例えば、Lower Limitation Level (M-1)459、Lower Limitation Level M 460に格納される。
なお、Associated STAS Info442およびLower Limitation Level List455の情報が格納される位置、階層は、図17に示す例に限定されるものではなく、他の位置、階層とするようにしてもよい。
[拡張CCA閾値決定処理]
本技術の第2の実施の形態では、情報処理装置(STA)200は、上述した式1を用いて、上限値EXTCCA_TH_capableを算出し、この算出されたEXTCCA_TH_capableにさらに上限を設ける演算を行う。
ここで、EXTCCA_TH_capableは、EXTCCA_TH_updatedを設定するための上限値であるが、その演算は、EXTCCA_TH_capableの値の上限を指定するものである。
情報処理装置(STA)200は、上限値を、連動パラメータ設定処理で設定される送信電力の変更から逆算して求めることができる。以下では、その演算方法について説明する。
例えば、情報処理装置(STA)200は、情報処理装置(AP)100のEXTCCA_THよりもマージン値の分だけ高い受信強度で、自装置が送信した信号が情報処理装置(AP)100に受信されると推定される送信電力を、設定可能な送信電力の下限値とする。具体的には、情報処理装置(STA)200は、参照フレームの送信電力から受信強度を減算した値に情報処理装置(AP)100のデフォルトの拡張CCA閾値およびマージン値を加算した値を、設定可能な送信電力の下限値TXPOWER_capableとする。すなわち、次の式11を用いて、設定可能な送信電力の下限値TXPOWER_capableを算出することができる。ここで、情報処理装置(AP)100のデフォルトの拡張CCA閾値であるEXTCCA_TH_defaultは、システム内の各情報処理装置において既知の共通の値であるとする。なお、次の式11は対数での表現である。
TXPOWER_capable=
TXPOWER_ref-R_ref
+EXTCCA_TH_default+M … 式11
ここで、式11において、接続先の情報処理装置(AP)100から受信した最新の参照フレーム(ビーコンフレーム)の、情報処理装置(STA)200における受信強度(RSSI)をR_ref(dBm)とする。また、上述した通知処理において情報処理装置(AP)100から通知されたマージン値をM(dB)とし、情報処理装置(AP)100から通知された参照フレームの送信電力をTXPOWER_refとする。なお、R_refは、複数の参照フレームに亘る計測結果に、平均化等のフィルタリングを行った値とするようにしてもよい。また、Mは、マージン値である。また、TXPOWER_capableは、他の要因に基づく上限値または下限値により値が制限されてもよい。
続いて、情報処理装置(STA)200は、次の式12を用いて、TXPOWER_capableに下限処理を行う。
TXPOWER_capable=
max(TXPOWER_capable,
TXPOWER_ref-R_ref+R_LL) … 式12
ここで、式12において、下限受信レベルR_LLは、通知処理において情報処理装置(AP)100から通知された下限レベル情報LL(m)に基づいて算出される。例えば、LL(m)の中で、R_ref(例えば、ビーコンのRSSI)を超えない最大の値をR_LLとすることができる。また、R_refがLL(m)の何れよりも低い場合には、LL(m)のうち最小の値をR_LLとすることができる。また、情報処理装置(STA)200は、予め情報処理装置(AP)100との間で共有されている所定のオフセットをLL(m)に加算してからR_LLを決定するようにしてもよい。
そして、情報処理装置(STA)200は、下限値TXPOWER_capableを下回らない範囲(すなわち、未満にならない範囲)で、TXPOWER_updatedを決定することができる。
続いて、情報処理装置(STA)200は、TXPOWER_updatedの値と、情報処理装置(AP)100から通知された連動パラメータ算出用情報のうちの送信電力に関するα、βの値とを使用して、EXTCCA_THの上限値EXTCCA_TH_ULを算出する。具体的には、式13を用いて、上限値EXTCCA_TH_ULを算出する。
EXTCCA_TH_UL=
α(P_default-TXPOWER_updated+β)
+EXTCCA_TH_default … 式13
ここで、式13は、上述した式2および式3において、P_updatedに対して上述したTXPOWER_updatedを与えてD_EXTCCA_THを逆算するために変形させたものであり、基本的に同じものである。
情報処理装置(STA)200は、EXTCCA_THの上限値EXTCCA_TH_ULを用いて、EXTCCA_TH_capableを更新する。具体的には、式14を用いて、更新する。
EXTCCA_TH_capable=
min(EXTCCA_TH_capable,
EXTCCA_TH_UL) … 式14
ここで、情報処理装置(STA)200が、EXTCCA_TH_capableを適用してEXTCCA_TH_defaultとの間の範囲内でEXTCCA_TH_updatedを決定し、D_EXTCCA_THを算出する点は、本技術の第1の実施の形態と同様である。
ここで、情報処理装置(STA)200は、接続している情報処理装置(AP)100から受信したAssociated STAs Info442(図17に示す)の情報を加味しEXTCCA_TH_updatedを決定するようにしてもよい。例えば、情報処理装置(STA)200は、全体の接続装置数に対してレガシー装置の比率が高い場合には高めのEXTCCA_TH_updatedを決定し、低い場合には低めのEXTCCA_TH_updatedを決定することができる。
このように、拡張CCA閾値の上限レベルを、送信電力ペナルティの下限レベルに対応させることができる。
[連動パラメータ設定処理]
基本的に、本技術の第1の実施の形態と同様であり、情報処理装置(STA)200は、D_EXTCCA_THの値に基づいて連動パラメータを決定する。ただし、送信電力の変更値に関しては、情報処理装置(STA)200は、上述した拡張CCA閾値決定処理において算出されるTXPOWER_updatedを適用する。
[送信処理および受領応答処理]
送信処理および受領応答処理については、本技術の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
このように、本技術の第2の実施の形態では、本技術の第1の実施の形態に対して拡張を行う。これにより、単純にEXTCCA_THの値を上昇させる際に、送信電力が連動して低くなり過ぎることにより、システム全体としての効率が低下することを防止することができる。また、同時に、EXTCCA_THの上昇と送信電力の対応を維持することができるようになるため、公平性を維持することができる。
なお、本技術の第2の実施の形態では、上述したTXPOWER_capableの下限機構と、HE装置、レガシー装置の数の情報を加味した補正との2つの拡張の要素を適用する例を示した。ただし、これらは必ずしも組み合わせて利用される必要は無く、何れか一方の要素を独立に適用するようにしてもよい。
<3.第3の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、情報処理装置(STA)が、情報処理装置(AP)100から通知されたマージン値に基づいて拡張CCA閾値を決定する例を示した。
本技術の第3の実施の形態では、情報処理装置(AP)100が情報処理装置(STA)に拡張CCA閾値を通知し、情報処理装置(STA)は、その通知された拡張CCA閾値を用いる例を示す。すなわち、本技術の第3の実施の形態では、通知処理において、情報処理装置(AP)100が、マージン値ではなく情報処理装置(STA)が適用すべき拡張CCA閾値を即値で直接渡す例を示す。
なお、本技術の第3の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1および図2等に示す情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[全体処理例]
図18は、本技術の第3の実施の形態における通信システム10を構成する各情報処理装置により実行される処理全体の流れの一例を示すシーケンスチャートである。図18では、通信システム10を構成する各情報処理装置として、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200に関する処理全体の流れを示す。
最初に、情報処理装置(AP)100は、拡張CCA閾値決定処理を行う(ステップS721)。続いて、情報処理装置(AP)100は、連動パラメータ情報決定処理を行う(ステップS722)。続いて、情報処理装置(AP)100は、情報処理装置(STA)200への通知処理を行う(ステップS723)。
続いて、情報処理装置(STA)200は、拡張CCA閾値設定処理を行う(ステップS724)。続いて、情報処理装置(STA)200は、連動パラメータ設定処理を行う(ステップS725)。
[拡張CCA用マージン決定処理(図18に示すステップS721)]
上述したように、本技術の第3の実施の形態では、情報処理装置(AP)100が情報処理装置(STA)に拡張CCA閾値を通知する。そして、情報処理装置(STA)は、その通知された拡張CCA閾値を用いる。このため、本技術の第3の実施の形態では、情報処理装置(AP)100が、マージン値ではなく情報処理装置(STA)が適用すべき拡張CCA閾値を決定する。
最初に、情報処理装置(AP)100の制御部130は、各配下装置(STA)との伝搬減衰を推定する。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、各配下装置(STA)から取得した情報に基づいて、各配下装置(STA)との伝搬減衰を推定することができる。この情報として、例えば、事前に配下装置(STA)より通知されている情報(参照フレームの送信電力P_ref、配下装置(STA)からの参照フレームの受信強度R_ref)を用いることができる。
続いて、情報処理装置(AP)100の制御部130は、伝搬減衰量と、自装置の送信電力P_selfと内部に保持している拡張CCA用マージン値Mとを加味した値を、配下装置(STA)の拡張CCA閾値EXTCCA_THとする。具体的には、次の式15を用いて、拡張CCA閾値EXTCCA_THを求めることができる。次式は対数での表現である。
EXTCCA_TH_capable=
P_self-P_ref+R_ref+M … 式15
このように、情報処理装置(AP)100の制御部130は、各配下装置(STA)について、拡張CCA閾値EXTCCA_THを順次決定する。
[連動パラメータ情報決定処理(図18に示すステップS722)]
連動パラメータ情報決定処理については、本技術の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
[通知処理(図18に示すステップS723)]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、生成した変更規則を示す情報を情報処理装置(STA)200に通知する。本技術の第3の実施の形態では、情報処理装置(AP)100は、拡張CCA閾値算出のためのマージン値の代わりに、拡張CCA閾値をフレームに格納して通知する例を示す。それらの各情報を格納するフレームは、例えば、配下装置(STA)全体に通知されるビーコンフレームとするようにしてもよく、個別に通知される他のマネジメントフレームとするようにしてもよい。ここでは、一例として、それらの各情報をビーコンフレームに格納する場合のフォーマット例を示す。
[ビーコンのフォーマット例]
図19は、本技術の第3の実施の形態における各情報処理装置間でやりとりされるビーコンフレームのフォーマット例を示す図である。
図19に示すビーコンフレームにおけるペイロード471には、Dynamic CCA Parameters472が配置される。
なお、図19に示す例は、図11に示すDynamic CCA Parameters402において、CCA Margin405の代わりに、Extended CCA Threshold List473を配置する点が図11に示す例と異なる。また、Extended CCA Threshold List473には、各配下装置(STA)宛の拡張CCA閾値が配下装置(STA)毎に格納される。このため、図11に示す例と共通する部分には、同一の符号を付して、これらの説明を省略する。
Extended CCA Threshold List473は、Num of Entries(M)474と、AID475、477と、Extended CCA Threshold476、478とにより構成される。
Num of Entries(M)474には、情報処理装置(AP)100が接続している配下装置(STA)の数(拡張CCA閾値を通知する配下装置(STA)の数)が格納される。
AID475、477には、各拡張CCA閾値がどの配下装置(STA)に対するものであるかを特定することができる情報が格納される。図19では、その情報として、AID(Association ID)を用いる例を示す。
Extended CCA Threshold476、478には、拡張CCA閾値が格納される。また、AID475、477と、Extended CCA Threshold476、478との組み合わせは、拡張CCA閾値を通知する配下装置(STA)の数だけ格納される。
[拡張CCA閾値設定処理(図18に示すステップS724)]
上述した通知処理において、情報処理装置(AP)100から配下装置(STA)に拡張CCA閾値が通知される。このため、情報処理装置(STA)200は、通知処理において通知された拡張CCA閾値(自装置が適用すべき拡張CCA閾値)をそのまま適用する。
なお、情報処理装置(STA)200は、通知された拡張CCA閾値を上限として、その拡張CCA閾値以下の範囲で別の拡張CCA閾値を設定するようにしてもよい。
[連動パラメータ設定処理]
連動パラメータ設定処理については、本技術の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
[送信処理および受領応答処理]
送信処理および受領応答処理については、本技術の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
このように、情報処理装置(AP)100の制御部130は、拡張CCA閾値を特定するための情報(例えば、拡張CCA閾値)と、参照フレームの受信強度との比に基づいて参照フレームを受信した他の機器において拡張CCA閾値を変化させる範囲を指定するための情報(例えば、マージン値)との何れかを送信することができる。
なお、本技術の第3の実施の形態では、情報処理装置(AP)100の制御部130が拡張CCA閾値のみを算出して通知し、配下装置(STA)が使用する連動パラメータ(例えば、送信電力)の算出は情報処理装置(STA)200の制御部230が行う例を示す。ただし、連動パラメータ(例えば、送信電力)の算出についても情報処理装置(AP)100の制御部130が行い、配下装置(STA)に通知するようにしてもよい。この場合には、情報処理装置(STA)200は、通知された拡張CCA閾値および連動パラメータ(例えば、送信電力)の値をそのまま適用することができる。
また、情報処理装置(STA)200の制御部230が、通知された送信電力よりも小さい別の設定値を使用することは制限されない。
ここでは、連動パラメータの一例として送信電力を用いて説明したが、AIFSN等の他の連動パラメータに関しても同様である。他の連動パラメータの場合においても、情報処理装置(STA)200の制御部230が、通知されたパラメータ設定値よりも、より不利になるような別の設定値を使用することは制限されない。
[他のキャリアセンス閾値の変更も併用する例]
拡張CCA閾値の変更に加えて、通常のキャリアセンス用の検出閾値の変更が併用されてもよい。通常のキャリアセンス用の検出閾値とは、具体的には、プリアンブル検出閾値、エネルギー検出閾値、CCA Mid Packet検出閾値を指す。例えば、プリアンブル検出閾値を変更する場合には、決定した拡張CCA閾値以下の値となるように制御することができる。
<4.第4の実施の形態>
本技術の第4の実施の形態では、希望検出レベル(希望受信レベル)を通信相手に通知する例を示す。すなわち、本技術の第4の実施の形態では、拡張CCA動作をする場合に用いる拡張CCA閾値を取得する方法が本技術の第1乃至第3の実施の形態と異なる。
なお、本技術の第4の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1および図2等に示す情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[拡張CCA動作例]
最初に、本技術の第4の実施の形態における拡張CCA動作の仕組みについて説明する。
拡張CCA動作をする情報処理装置(AP、STA)は、自装置が送信するパケットに対して、希望検出レベルを特定する情報を付加して送信する。ここで、希望検出レベルを特定する情報を付加するフィールドとして、例えば、PLCPヘッダ内のフィールドの一部が考えられる。このように、希望検出レベルを特定する情報をPLCPヘッダ内のフィールドの一部に格納する例を図20に示す。
[PLCPヘッダのフォーマット例]
図20は、本技術の第4の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるPLCPヘッダのフォーマットの一例を示す図である。図20では、PPDU(Presentation-layer Protocol Data Unit)のフォーマットを例にして説明する。
PPDUは、Preamble481と、SIGNAL482と、Extension483と、Service484と、MPDU(MAC Protocol Data Unit)485と、Tail&Pad486とにより構成される。
Preamble481は、図20のbに示すIEEE802.11 L-STF(Legacy Short Training Field)やL-LTF(Legacy Long Training Field)に相当する部分を指す。また、Preamble481は、それらと互換性のあるフォーマットとする。
SIGNAL482は、それ以降の信号をデコードするために必要な情報が記載されたフィールドである。例としては、図20のbに示すIEEE802.11 L-SIG(Legacy SIGNAL)、VHT-SIG-A(Very High Throughput SIGNAL-A)が相当する。
なお、フォーマットによっては、さらにその後ろに追加フィールド(VHT-STF、VHT-LTF、VHT-SIG-B)がつくこともある。
ここで、本技術の第4の実施の形態では、物理ヘッダのうちPLCPヘッダ部であるSIGNAL482のフィールドの一部に、希望検出レベル(Requested Detection Level)およびBSS識別子(COLOR情報)を格納するためのフィールドを新たに用意する。すなわち、PLCPヘッダ部のSIGNAL482内のReserved扱いとなっている部分に、希望検出レベルおよびBSS識別子を格納するためのフィールドを新たに設ける。そして、各情報処理装置(レガシィ装置以外)は、送信の際に、通信相手との減衰量を推定した後に、その減衰量に基づいて希望検出レベルを算出してSIGNAL482に格納する。また、各情報処理装置(レガシィ装置以外)は、BSS識別子についてもSIGNAL482に格納して送信する。
このように、本技術の第4の実施の形態では、希望検出レベルおよびBSS識別子をSIGNAL482内のReserved扱いとなっている部分に設ける。これにより、レガシィ装置の受信も妨げることなく、本技術の第4の実施の形態における特定機能を実現することができる。
希望検出レベルおよびBSS識別子が格納されているパケットを受信した情報処理装置(レガシィ装置以外)は、希望検出レベルおよびBSS識別子を取得して拡張CCA動作に用いる。
また、本技術の第4の実施の形態では、希望検出レベルを特定する情報をPLCPヘッダ内のフィールドの一部に格納する場合には、PLCPヘッダ内にCOLOR情報も一緒に格納する。
[希望検出レベルの設定例]
図21は、本技術の第4の実施の形態における情報処理装置(STA)200による希望検出レベルの設定例を示すシーケンスチャートである。図21では、通信システム10を構成する各情報処理装置として、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200に関する処理全体の流れを示す。また、図21では、情報処理装置(STA)200側が、パケットの宛先を情報処理装置(AP)100として拡張CCA動作をする場合の例を示す。
最初に、情報処理装置(AP)100は、希望検出レベル算出用マージン値を算出する。この算出方法については、本技術の第1の実施の形態における拡張CCA用マージン決定処理(図18に示すステップS721)と同様とすることができる。そして、情報処理装置(AP)100は、算出された希望検出レベル算出用マージン値をビーコンに含めて送信する(ステップS731)。
情報処理装置(STA)200は、そのビーコンを受信する(ステップS732)。続いて、情報処理装置(STA)200は、希望検出レベルEXTCCA_TH_REQを算出する。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、自装置(STA)とパケットの宛先(情報処理装置(AP)100)との間の伝搬減衰量を推定する。例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、情報処理装置(AP)100から取得した情報に基づいて、情報処理装置(AP)100との伝搬減衰を推定することができる。この情報として、例えば、事前に情報処理装置(AP)100より通知されている情報(参照フレームの送信電力P_ref、情報処理装置(AP)100からの参照フレームの受信強度R_ref)を用いることができる。この例では、宛先を情報処理装置(AP)100とし、参照フレームをビーコンフレームとする例を示す。この場合のビーコンフレームのフォーマット例を図22に示す。
[ビーコンのフォーマット例]
図22は、本技術の第4の実施の形態における各情報処理装置間でやりとりされるビーコンフレームのフォーマット例を示す図である。
図22に示すビーコンフレームにおけるペイロード491には、Tx info492と、Dynamic CCA Parameters402とが配置される。なお、図22に示す例は、図11に示すペイロード401において、Tx info492を追加する例である。このため、図11に示す例と共通する部分には、同一の符号を付して、これらの説明を省略する。
Tx Power Info492は、Element ID493と、Length494と、Tx Power495とにより構成される。なお、これらは、図17に示す同一名称の各部に対応する。
図22に示すように、ビーコンフレームにおいて、参照フレームの送信電力P_refがTx Power495に格納される。また、希望検出レベル算出のために必要なマージン値Mは、CCA Margin405に格納される。また、ビーコンフレームのRSSIが、参照フレームの受信強度R_refとなる。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、伝搬減衰量と、自装置の送信電力P_selfと、ビーコンから読み出された希望検出レベル算出用マージン値Mとを加味した値を、希望検出レベルEXTCCA_TH_REQとすることができる。具体的には、次の式16を用いて、希望検出レベルEXTCCA_TH_REQを求めることができる(ステップS733)。
EXTCCA_TH_REQ=
P_self-P_ref+R_ref+M … 式16
ここで、上述したMは、チャネル変動に対するマージン量の意味合いがある。例えば、Mを10dB乃至20dB程度とすることができる。
そして、情報処理装置(STA)200は、その算出された希望検出レベルEXTCCA_TH_REQを内部に保持する(ステップS733)。
続いて、情報処理装置(STA)200は、自装置が情報処理装置(AP)100に送信する際に、その保持された希望検出レベルEXTCCA_TH_REQと、COLOR情報とをPLCPヘッダに格納して送信する(ステップS734)。例えば、図20に示すSIGNAL482のRequested Detection LevelフィールドにEXTCCA_TH_REQの値を一定の量子化を加えて記載することができる。
なお、この例では、情報処理装置(STA)200側での希望検出レベル算出例を示したが、情報処理装置(AP)100側でも同様に、希望検出レベルを算出して使用するようにしてもよい。例えば、情報処理装置(AP)100は、配下装置(STA)から参照フレームと送信電力情報とを取得することにより、希望検出レベルを算出することができる。ここで、情報処理装置(AP)100の場合には、宛先となる配下装置(STA)が複数存在することが考えられる。このため、情報処理装置(AP)100は、宛先毎に希望検出レベルEXTCCA_TH_REQを算出し、保持するようにする。そして、情報処理装置(AP)100は、パケットを送信する際に、宛先毎に対応するEXTCCA_TH_REQを記載して送信するようにする。
また、この例では、希望検出閾値算出用マージン値として、ビーコンフレームに格納されている情報を用いる例を示したが、予め定められた既知の値を内部で保持して使用するようにしてもよい。
本技術の第4の実施の形態における拡張CCA動作は、基本的に図7と同様である。この場合に、PLCPヘッダフィールドのデコード時に、PLCPヘッダに記載されている希望検出レベルの値も同時に読み出す。そして、読み出された希望検出レベルの値を拡張CCA閾値として使用する。すなわち、図6に示す処理分類テーブルに基づいて処理を判断する際に、読み出された拡張CCA閾値を用いる。
これにより、希望検出レベルが高い値に設定された他の無線ネットワークからのパケットが低い受信レベルで到来したような場合には、キャリアセンスをアイドルとして扱えるようになり、同時に送信をすることができるようになる。
このように、本技術の第4の実施の形態では、適用する拡張CCA閾値が、各装置がパケットを検出したときに確定するため、閾値を決定するための事前のシグナリングを省略することができる。
また、本技術の第4の実施の形態では、基本的に拡張CCA機能のON/OFFに応じた連動パラメータ算出用情報を与える。
[全体処理例]
図23は、本技術の第4の実施の形態における通信システム10を構成する各情報処理装置により実行される処理全体の流れの一例を示すシーケンスチャートである。図23では、通信システム10を構成する各情報処理装置として、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200に関する処理全体の流れを示す。
最初に、情報処理装置(AP)100は、連動パラメータ情報決定処理を行う(ステップS731)。続いて、情報処理装置(AP)100は、情報処理装置(STA)200への通知処理を行う(ステップS732)。
続いて、情報処理装置(STA)200は、連動パラメータ設定処理を行う(ステップS733)。これらの各処理については、以下で説明する。
[連動パラメータ情報決定処理(図23に示すステップS731)]
上述したように、本技術の第4の実施の形態では、本技術の第1乃至第3の実施の形態と異なり、拡張CCA閾値については、受信したパケットに格納されている値をその都度使用する。このため、連動パラメータは、拡張CCA閾値に依存しない。このため、連動パラメータ情報決定処理では、拡張CCA機能のON/OFFに応じた連動パラメータ算出用情報を決定する。
[連動パラメータ算出用情報の決定例]
例えば、各情報処理装置(AP、STA)は、拡張CCA動作ON時に適用すべき連動パラメータ算出用情報を記憶部に予め記憶しておく。そして、各情報処理装置(AP、STA)は、拡張CCA動作ON時には、記憶部に記憶されている連動パラメータ算出用情報を読み出して使用する。
ここで、連動パラメータ算出用情報自体は、拡張CCA機能の起動によって他の装置が被り得る劣化を打ち消すような値とすることが望ましい。
また、連動パラメータ算出用情報のバリエーションとして、複数の種類のパラメータが指定されてもよい。そこで、以下では、これらの例を示す。
例えば、連動パラメータ算出用情報は、送信電力を連動させて変更させるためのパラメータとして、送信電力補正係数α、βを含むようにしてもよい。
また、例えば、連動パラメータ算出用情報は、送信用固定待ち時間を連動させて変更させるためのパラメータとして、送信用固定待ち時間補正係数γ、κ、τを含むようにしてもよい。
また、例えば、連動パラメータ算出用情報は、キャリアセンス用ランダム待ち時間を連動させて変更させるためのパラメータとして、キャリアセンス用ランダム待ち時間補正係数δ、εを含むようにしてもよい。
また、例えば、連動パラメータ算出用情報は、最大フレーム時間長を連動させて変更させるためのパラメータとして、最大フレーム時間長補正係数μ、νを含むようにしてもよい。なお、同様の考え方は、一度のフレーム送信における最大送信情報量、一度の送信における最大パケット連結個数、同じパケットの最大再送回数、複数フレームの連続送信に使用できる最大時間長に置き換えても適用可能である。
また、例えば、連動パラメータ算出用情報は、使用可能チャネル帯域幅を連動させて変更させるためのパラメータとして、使用可能チャネル帯域幅補正係数λを含むようにしてもよい。
また、例えば、連動パラメータ算出用情報は、使用可能チャネル周波数を限定するためのパラメータとして、使用可能なチャネル群を含むようにしてもよい。
[通知処理(図23に示すステップS732)]
通知フレームとして、図22に示すビーコンを用いることができる。
[連動パラメータ設定処理(図23に示すステップS733)]
本技術の第4の実施の形態では、拡張CCA動作を行う情報処理装置(STA)は、情報処理装置(AP)から通知された連動パラメータ算出用情報を遵守する。連動パラメータ情報決定処理(図23に示すステップS731)で決定された連動パラメータ算出用情報は、その種類に応じて以下のように利用される。
なお、複数種類の連動パラメータ算出用情報が指定されている場合には、全てを遵守しなければならない。
また、本技術の第4の実施の形態では、上述したように、拡張CCA動作をする情報処理装置(AP、STA)は、自装置が送信するパケットに希望受信レベルの情報を格納する。
ここで、各情報処理装置(STA)は、デバイスの性能、通信状況(例えば、高い変調の使用を希望)等によっては、連動パラメータを設定したくない場合も想定される。そこで、各情報処理装置(STA)は、デバイスの性能、通信状況等に基づいて、拡張CCA動作をしないという決定をするようにしてもよい。
以下では、各連動パラメータの設定例を示す。
[送信電力を連動させて変更させる例]
通知処理において情報処理装置(AP)から得た補正係数α、βを用いて、送信電力を変更することができる。例えば、送信電力変更の一例を次の式17に示す。ここで、変更後の送信電力をP_updatedとし、デフォルトの送信電力をP_defaultとする。次式は対数での表現である。
P_updated=(P_default/α)+β … 式17
[送信用固定待ち時間を連動させて変更させる例]
送信用固定待ち時間は、例えば、IEEE802.11規格におけるAIFSに相当するものである。また、送信用固定待ち時間は、送信試行を行う際に待機しなければならないタイムスロット数(AIFSN)に対応する。この送信用固定待ち時間を変化させることができる。例えば、補正係数γを用いたAIFSN変更の一例を次の式18に示す。ここで、変更後のAIFSNをAIFSN_updatedとし、デフォルトのAIFSNをAIFSN_defaultとする。次式は真値での表現である。
AIFSN_updated=
AIFSN_default+γ … 式18
ここで、デフォルトのAIFSNは、情報処理装置(AP)100がビーコンのEDCA Parameter IEにおいて報知しているAIFSNの値を指す。このAIFSNの補正は、全てのアクセスカテゴリに対して適用される。
[キャリアセンス用ランダム待ち時間を連動させて変更させる例]
キャリアセンス用ランダム待ち時間は、例えば、IEE802.11規格におけるランダムバックオフの範囲を示すCW(Contention Window)に相当するものである。CWは、CWminおよびCWmaxがあるが、ここでは、CWminを変化させる例を示す。例えば、補正係数δ、εを用いたCWmin変更の一例を次の式19に示す。ここで、変更後のCWminをCW_updatedとし、デフォルトのCWminをCW_defaultとする。次式は真値での表現である。
CW_updated=CW_default×δ+ε … 式19
ここで、デフォルトのCWminは、情報処理装置(AP)100がビーコンのEDCA Parameter IEにおいて報知しているCWminの値を指す。このCWminの補正は、全てのアクセスカテゴリに対してそれぞれ行われる。δ、εとして、例えば、各アクセスカテゴリに対して別々の値が割り当てられるようにしてもよい。また、CWmaxに対しても同様の補正を行うようにしてもよい。
[最大フレーム時間長を連動させて変更させる例]
ここでは、最大フレーム時間長を変化させる例を示す。例えば、PPDU時間長がこれに対応する。これに上限を設ける。例えば、補正係数μ、νを用いたPPDU時間長制限値の算出の例を次の式20に示す。ここで、変更後のPPDU時間長制限値をT_updatedとし、デフォルトのPPDU時間長制限値をT_defaultとする。次式は真値での表現である。
T_updated=T_default×μ-ν … 式20
なお、上述したように、同様の考え方は、一度のフレーム送信における最大送信情報量、一度の送信における最大パケット連結個数、同じパケットの最大再送回数、複数フレームの連続送信に使用できる最大時間長に置き換えても適用可能である
[使用可能チャネル帯域幅を連動させて変更させる例]
ここでは、送信に使用できるチャネル帯域幅を変化させる例を示す。例えば、補正係数λを用いた使用可能チャネル帯域幅制限値の算出の例を次の式21に示す。ここで、変更後の使用可能チャネル帯域幅をBW_updatedとし、デフォルトの使用可能チャネル帯域幅をBW_defaultとし、チャネル帯域幅の最小粒度をBW_unitとする。次式は真値での表現である。
BW_updated=
BW_default-λ×BW_unit … 式21
[使用可能チャネル周波数を限定する例]
例えば、情報処理装置(AP)100から指定されたチャネルがある場合には、その指定されたチャネルのみを使用することができる。
[送信処理および受領応答処理]
送信処理および受領応答処理については、拡張CCA動作をする場合に用いる拡張CCA閾値をその都度取得して用いる点以外は、本技術の第1の実施の形態と略同様である。このため、ここでの説明を省略する。
本技術の第4の実施の形態では、情報処理装置(AP)100の制御部130が、連動パラメータ算出用情報を決定して配下装置(STA)に通知する例を示した。ただし、本技術の第3の実施の形態に示すように、連動パラメータ算出用情報ではなく、連動パラメータそのもの(例えば、送信電力の設定値)を情報処理装置(AP)100の制御部130が決定して、配下装置(STA)に通知するようにしてもよい。この場合に、配下装置(STA)200の制御部230が、通知されたパラメータ設定値よりも、より不利になるような別の設定値を使用することは制限されない。
<5.第5の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、情報処理装置(STA)において、拡張CCA動作の実行を前提として送信電力制御(TPC)を行う例を示した。
本技術の第5の実施の形態では、情報処理装置(STA)において、送信電力制御の実行を前提に拡張CCA動作を行う例を示す。なお、本技術の第5の実施の形態では、情報処理装置(STA)において、EXTCCA_THが変更されない(すなわち、拡張CCA動作を実施しない)場合も許容するものとする。また、送信電力制御により変更される送信電力を、TPC用送信電力とも称する。また、送信電力制御による補正量算出のための基準となる送信電力を基準送信電力とも称する。また、送信電力制御に連動して変更される送信パラメータを、TPC用送信パラメータとも称する。
なお、本技術の第5の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1および図2等に示す情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[全体処理例]
図24は、本技術の第5の実施の形態における通信システム10を構成する各情報処理装置により実行される処理全体の流れの一例を示すシーケンスチャートである。図24では、通信システム10を構成する各情報処理装置として、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200に関する処理全体の流れを示す。
最初に、情報処理装置(AP)100は、送信電力マージン決定処理を行う(ステップS741)。続いて、情報処理装置(AP)100は、連動パラメータ情報決定処理を行う(ステップS742)。続いて、情報処理装置(AP)100は、情報処理装置(STA)200への通知処理を行う(ステップS743)。
続いて、情報処理装置(STA)200は、送信電力決定処理を行う(ステップS744)。続いて、情報処理装置(STA)200は、連動パラメータ設定処理を行う(ステップS745)。
続いて、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200間で送信処理および受領確認処理が行われる(ステップS746)。
続いて、情報処理装置(AP)100は、送信電力制御処理を行う(ステップS747)。これらの各処理については、以下で説明する。
[送信電力マージン決定処理(図24に示すステップS741)]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、変更規則の1つとして、接続中の配下装置(STA)が送信電力(TPC用送信電力)を決定する際に用いるマージン値を決定する。
情報処理装置(AP)100は、多様な基準に基づいてマージン値を決定することができる。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、周囲をモニタして干渉の平均強度を測定し、その測定した干渉の平均強度に基づいてマージン値を決定することができる。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、干渉の平均強度が閾値を基準として高い場合には大きい値を決定し、干渉の平均強度が閾値を基準として低い場合には小さい値を決定することができる。
また、他の決定方法を用いるようにしてもよい。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、配下装置(STA)のうちのHE装置およびレガシー装置のそれぞれの台数(または割合)に基づいてマージン値を決定するようにしてもよい。また、例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、他のBSSのHE装置およびレガシー装置の台数(または割合)の情報を加味してマージン値を決定するようにしてもよい。また、例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、拡張CCA動作に対応する装置の数とその機能を有しないレガシー装置の数との内訳を加味してマージン値を決定するようにしてもよい。
また、例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、上述した情報処理装置(STA)の台数と干渉の平均強度との組み合わせに基づいてマージン値を決定するようにしてもよい。また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、所定の値をマージン値として採用してもよい。
[連動パラメータ情報決定処理(図24に示すステップS742)]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、変更規則の1つとして、接続中の配下装置(STA)が送信パラメータを決定する際に用いる連動パラメータを決定する。すなわち、情報処理装置(AP)100の制御部130は、送信パラメータをデフォルトから変更する。
ここで、連動パラメータは、情報処理装置(STA)に、送信電力が基準送信電力に対して変更されることによる送信成功率の増減の、逆向きの影響を与えるような値に、送信パラメータを変更させるためのパラメータである。すなわち、連動パラメータは、情報処理装置(STA)が送信電力を変更した場合に、システム全体として不公平の緩和する目的で課される付随的なパラメータである。例えば、連動パラメータは、送信電力を上昇させる場合には、送信成功率の増加と引き換えに課すペナルティとしての意味合いがある。一方、送信電力を低下させる場合には、送信成功率の減少と引き換えに与える優遇措置としての意味合いがある。この連動パラメータにより、送信電力の変更に連動してデフォルトの送信パラメータから変更された送信パラメータが設定される。
連動パラメータは、上述したマージン値と1対1に対応するものとする。すなわち、マージン値に連動パラメータが一意に対応する。このため、情報処理装置(AP)100において、マージン値が同一であれば変更パラメータが同一となることが保証される。また、マージン値と連動パラメータとの組み合わせは、他の情報処理装置(AP)との間で共通とするようにしてもよい。このように共通とする場合には、異なる情報処理装置(AP)においても、マージン値が同一であれば変更パラメータも同一となることが保証される。
例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、マージン値および連動パラメータの組み合わせを記憶部120に記憶しておき、その中から、用いる組み合わせを選択することができる。ここで、選択基準は、マージン値の決定基準において説明した通りである。また、マージン値と連動パラメータとを1対1に対応させる計算式を用いて、組み合わせを導出するようにしてもよい。
ここで、連動パラメータにより変更される送信パラメータは多様に考えられる。
例えば、連動パラメータは、EXTCCA_THを変更するためのパラメータとして、EXTCCA_TH変更係数αおよびβを含むようにしてもよい。これにより、送信電力の変更に連動してEXTCCA_THが変更される。
また、連動パラメータは、送信用固定待ち時間を変更するためのパラメータとして、送信用固定待ち時間変更係数γ、κ、τを含むようにしてもよい。これにより、送信電力の変更に連動して送信用固定待ち時間が変更される。
また、連動パラメータは、キャリアセンス用ランダム待ち時間を変更するためのパラメータとして、キャリアセンス用ランダム待ち時間変更係数δ、εを含むようにしてもよい。これにより、送信電力の変更に連動してキャリアセンス用ランダム待ち時間が変更される。
また、連動パラメータは、無線リソース(例えば、周波数)の専有時間長を変更するためのパラメータとして、最大フレーム時間長変更係数μ、νを含むようにしてもよい。これにより、送信電力の変更に連動して無線リソースの専有時間長が変更される。なお、同様の趣旨で、一度のフレーム送信における最大送信情報量、一度の送信における最大パケット連結個数、同じパケットの最大再送回数、複数フレームの連続送信に使用できる最大時間長を変更するためのパラメータが、連動パラメータに含まれるようにしてもよい。
また、連動パラメータは、使用可能なチャネル帯域幅を変更するためのパラメータとして、使用可能チャネル帯域幅変更係数λを含むようにしてもよい。これにより、送信電力の変更に連動して使用可能なチャネル帯域幅が変更される。
また、連動パラメータは、使用可能なチャネル周波数を限定するためのパラメータとして、チャネル限定動作判定係数ω、または、使用可能なチャネル群を指定する情報の少なくとも何れかを含むようにしてもよい。これにより、送信電力の変更に連動して使用可能なチャネル周波数が限定される。
[通知処理(図24に示すステップS743)]
情報処理装置(AP)100の通信部110および制御部130は、生成した変更規則を示す情報を情報処理装置(STA)200に通知する。
本技術の第5の実施の形態では、情報処理装置(AP)100は、マージン値および連動パラメータをフレーム内に格納して通知する。ここで、格納先のフレームは、配下装置(STA)全体に通知されるビーコンフレームとするようにしてもよく、個別に通知される他のフレーム(例えば、マネジメントフレーム)とするようにしもよい。ここでは、ビーコンフレームに格納する場合のフォーマット例を図25に示す。
[ビーコンのフォーマット例]
図25は、本技術の第5の実施の形態における各情報処理装置間でやりとりされるビーコンフレームのフォーマット例を示す図である。
図25に示すビーコンフレームにおけるペイロード501には、Tx info492と、Dynamic TPC Parameters502とが配置される。なお、図25に示す例は、図22に示すペイロード491において、Dynamic CCA Parameters402の代わりに、Dynamic TPC Parameters502を配置する例である。また、図22に示すDynamic CCA Parameters402において、CCA margin405の代わりに、TPC margin503を配置する例である。このため、図22に示す例と共通する部分には、同一の符号を付して、これらの説明を省略する。
TPC margin503には、上述した送信電力マージン決定処理(図24に示すステップS741)により決定されたマージン値(送信電力を決定するためのマージン値)が格納される。
図25に示すように、ビーコンフレームにおいて、参照フレームの送信電力P_refがTx Power495に格納される。また、送信電力を決定するためのマージン値Mは、TPC Margin503に格納される。
このように、マージン値および連動パラメータの組み合わせ(すなわち、変更規則)を示す情報は、上述したように情報処理装置(AP)100から情報処理装置(STA)200に通知される。なお、本技術の第1の実施の形態と同様に、マージン値および連動パラメータを送信する代わりに、これらの特定するためのモード番号を情報処理装置(STA)200に通知するようにしてもよい。
[送信電力決定処理(図24に示すステップS744)]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、情報処理装置(AP)100からの通知に基づいて、送信電力(TPC用送信電力)を決定して設定する。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、通知されたマージン値と、参照フレームの受信強度(RSSI)とに基づいて、送信電力を決定する。ここで、参照フレームは、上述した変更規則を示す情報を格納したビーコンフレームとするようにしてもよい。
図26は、本技術の第5の実施の形態における情報処理装置(STA)200による送信電力決定処理(TPC用送信電力決定処理)の一例を示す図である。図26では、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200間におけるやりとりの一例を示す。
最初に、情報処理装置(STA)200の通信部210は、接続先の情報処理装置(AP)100から送信されたビーコンフレームを受信する。
例えば、情報処理装置(STA)200は、情報処理装置(AP)100側のEXTCCA_THよりもマージン値Mの分だけ高い受信強度で、自装置が送信した信号が情報処理装置(AP)100に受信されると推定される送信電力を、設定可能な送信電力の下限値とする。
具体的には、情報処理装置(STA)200の制御部230は、参照フレームの送信電力から受信強度を減算した値に情報処理装置(AP)100のデフォルトの拡張CCA閾値およびマージン値を加算した値を、設定可能な送信電力の下限値TXPOWER_capableとして、次の式22を用いて算出する。ここで、情報処理装置(AP)100のデフォルトの拡張CCA閾値EXTCCA_TH_defaultは、システム内の各情報処理装置(AP、STA)において既知の共通の値であるものとする。なお、次の式22は、対数での表現である。
TXPOWER_capable=
TXPOWER_ref-R_ref
+EXTCCA_TH_default+M … 式22
ここで、式22において、接続先の情報処理装置(AP)100から受信した最新の参照フレーム(ビーコンフレーム)の、情報処理装置(STA)200における受信強度(RSSI)をR_ref(dBm)とする。また、上述した通知処理において情報処理装置(AP)100から通知されたマージン値をM(dB)とし、情報処理装置(AP)100から通知された参照フレームの送信電力をTXPOWER_refとする。なお、R_refは、複数の参照フレームに亘る計測結果に、平均化等のフィルタリングを行った値とするようにしてもよい。また、Mは、マージン値である。また、TXPOWER_capableは、他の要因に基づく上限値または下限値により値が制限されてもよい。
そして、情報処理装置(STA)200の制御部230は、下限値TXPOWER_capableを下回らない範囲(すなわち、未満にならない)範囲で、送信電力を変更する(すなわち、TPC用送信電力を決定する)。これにより、情報処理装置(STA)200が送信した信号を、情報処理装置(AP)100が検出できる可能性を高めることができる。
また、基準送信電力の値をTXPOWER_refとし、変更後の送信電力(すなわち、TPC用送信電力)の値を、TXPOWER_updatedとする。この場合に、TXPOWER_refとTXPOWER_updatedとの差分D_TXPOWERは、次の式23を用いて算出される。なお、次の式23も対数での表現である。
D_TXPOWER=TXPOWER_ref
-TXPOWER_updated … 式23
ここで、式23において、基準送信電力の値は、システム内の各情報処理装置(AP、STA)のそれぞれが既知である共通の値であれば、TXPOWER_refと必ずしも一致する値とする必要はない。また、上述した式22を参照すると、RSSIが大きい情報処理装置(STA)200ほど、低い送信電力への変更が許容される。なお、送信電力の変更は範囲内で自由度があり、必ずしも情報処理装置(STA)200がTXPOWER_updatedをTXPOWER_capableとする必要は無い。例えば、情報処理装置(STA)200は、送信電力を全く変化させなくてもよい。すなわち、情報処理装置(STA)200の制御に基づいて、D_TXPOWERは変わり得る。これにより、リンク状態が悪い情報処理装置(STA)200が低い送信電力へ変更してしまい、予期しない送信失敗を増加させてシステム全体のパフォーマンスを低下させることを防止することができる。また、情報処理装置(STA)200は、使用する変調方式および誤り訂正符号化方式に応じて、範囲内で送信電力を設定するようにしてもよい。
[連動パラメータ設定処理(図24に示すステップS745)]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、連動パラメータ(TPC用送信パラメータ)を決定して設定する。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、上述した送信電力決定処理において決定した送信電力(TPC用送信電力)と基準送信電力との差分(すなわち、D_TXPOWER)に基づいて送信パラメータを制御することができる。
例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、差分が大きくなるに応じて変更量(ペナルティまたは優遇措置の規模)を大きくし、差分が小さくなるに応じて変更量を小さくすることができる。これにより、送信電力の上げ幅または下げ幅に応じて生じる、システム全体の不公平を適切に緩和することができる。
また、情報処理装置(STA)200の制御部230は、マージン値に対応する連動パラメータを用いて送信パラメータ(TPC用送信パラメータ)を設定することができる。情報処理装置(STA)200は、情報処理装置(AP)100から通知された変更規則を遵守して送信パラメータを決定するものとし、逸脱することはないものとする。以下、通知された連動パラメータに基づく送信パラメータの決定方法について説明する。
[拡張CCA閾値の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_TXPOWERに応じて自装置の拡張CCA閾値EXTCCA_THを変更することができる。変更係数α、βを用いて拡張CCA閾値EXTCCA_THを変更する場合の例を、次の式24に示す。なお、変更後のEXTCCA_THをEXTCCA_TH_updatedとし、デフォルトのEXTCCA_THをEXTCCA_TH_defaultとし、これらは、dB値であるものとする。次式は対数での表現である。
EXTCCA_TH_updated=
EXTCCA_TH_default
+(D_TXPOWER/α)+β … 式24
ここで、αが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が低い場合には、D_TXPOWERが大きくなるに応じて(すなわち、送信電力が低い程)、EXTCCA_THは上がる。また、αが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が高い場合には、D_TXPOWERが小さくなるに応じて(すなわち、送信電力が高い程)、EXTCCA_THは下がる。
また、αが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が低い場合であっても、上述の式24により算出されたEXTCCA_TH_updatedがEXTCCA_TH_defaultよりも低くなる場合が有り得る。この場合には、情報処理装置(STA)200の制御部230は、EXTCCA_THを変更せずに、EXTCCA_TH_defaultを用いるものとする。
同様に、αが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が高い場合であっても、上述した式24により算出されたEXTCCA_TH_updatedがEXTCCA_TH_defaultよりも高くなる場合が有り得る。この場合には、情報処理装置(STA)200の制御部230は、EXTCCA_THを変更せずに、EXTCCA_TH_defaultを用いるものとする。このように、課すべきペナルティまたは優遇措置が逆向きに作用してしまう場合には、情報処理装置(STA)200は、デフォルトの送信パラメータを用いるものとする。また、これ以降に説明する他の送信パラメータに関しても同様であるものとする。
[送信用固定待ち時間の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_TXPOWERに応じて送信用固定待ち時間を変更することができる。例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_TXPOWERに応じてAIFSNを変更することができる。
変更係数γを用いてAIFSNを変更する場合の例を、次の式25に示す。ここで、変更後のAIFSNをAIFSN_updatedとし、デフォルトのAIFSNをAIFSN_defaultとし、これらは、真値であるとする。
AIFSN_updated=AIFSN_default
-(D_TXPOWER/γ) … 式25
ここで、デフォルトのAIFSNは、情報処理装置(AP)100がビーコンフレームのEDCA Parameter IEを用いて報知しているAIFSNの値を指すものとする。このAIFSNの変更は、全てのアクセスカテゴリに対して適用される。
例えば、γが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が低い場合には、D_TXPOWERが大きくなるに応じて(すなわち、送信電力が低い程)、AIFSN(すなわち、待ちスロット数)が減少する。また、γが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が高い場合には、D_TXPOWERが小さくなるに応じて(すなわち、送信電力が高い程)、AIFSN(すなわち、待ちスロット数)が増加する。
また、1スロット時間長T_slotを、次の式26を用いて変更させることができる。次式は真値での表現である。
T_slot_updated=
T_slot_default×κ … 式26
また、AIFSN=0時の待ち時間であるSIFS長を、次の式27を用いて変更させることができる。次式は真値での表現である。
SIFS_updated=
SIFS_default×τ … 式27
[キャリアセンス用ランダム待ち時間の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_TXPOWERに応じてキャリアセンス用ランダム待ち時間を変更することができる。例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、CWminをD_TXPOWERに応じて変更することができる。
変更係数δおよびεを用いたCWmin変更の一例を、次の式28に示す。ここで、変更後のCWminをCW_updatedとし、デフォルトのCWminをCW_defaultとし、これらは、真値であるものとする。
CW_updated=
CW_default/(D_TXPOWER/δ)
-(D_TXPOWER/ε) … 式28
ここで、デフォルトのCWminは、情報処理装置(AP)100がビーコンフレームのEDCA Parameter IEを用いて報知しているCWminの値を指すものとする。このCWminの変更は、全てのアクセスカテゴリに対して適用される。なお、δおよびεを、各アクセスカテゴリに別々の値を割り当てるようにしてもよい。
また、以上では、CWminについて説明したが、CWmaxに関しても同様に変更するようにしてもよい。
例えば、δおよびεが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が低い場合には、D_TXPOWERが大きくなるに応じて(すなわち、送信電力が低い程)、CWminは小さくなり、ランダム待ち時間の期待値が短くなる。また、δおよびεが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が高い場合には、D_TXPOWERが小さくなるに応じて(すなわち、送信電力が高い程)、CWminは大きくなり、ランダム待ち時間の期待値が長くなる。
[最大フレーム時間長の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、D_TXPOWERに応じて最大フレーム時間長を変更することができる。例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、PPDU時間長に上限を設け、この上限をD_TXPOWERに応じて決定することができる。
変更係数μおよびνを用いたPPDU時間長の上限値を変更する場合の例を、次の式29に示す。ここで、変更後のPPDU時間長の上限値をT_updatedとし、これは、真値であるものとする。
T_updated=μ+ν×D_TXPOWER … 式29
例えば、νが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が低い場合には、D_TXPOWERが大きくなるに応じて(すなわち、送信電力が低い程)、T_updated(すなわち、PPDUの時間長)は長くなる。また、νが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が高い場合には、D_TXPOWERが小さいほど(すなわち、送信電力が高い程)、T_updated(すなわち、PPDUの時間長)は短くなる。
なお、上述したように、無線リソースの専有時間長を変更する、という趣旨から、一度のフレーム送信における最大送信情報量、一度の送信における最大パケット連結個数、同じパケットの最大再送回数、複数フレームの連続送信に使用できる最大時間長に関しても、同様の計算を適用することが可能である。
[使用可能なチャネル帯域幅の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、送信に使用可能なチャネル帯域幅を、D_TXPOWERに応じて変更することができる。例えば、変更係数λを用いて使用可能チャネル帯域幅を変更する場合の例を、次の式30に示す。ここで、変更後の使用可能チャネル帯域幅をBW_updatedとし、デフォルトの使用可能チャネル帯域幅をBW_defaultとし、チャネル帯域幅の最小粒度をBW_unitとし、これらは、真値であるものとする。
BW_updated=BW_default
+{(λ×D_TXPOWER)/BW_unit}
×BW_unit … 式30
例えば、λが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が低い場合には、D_TXPOWERが大きくなるに応じて(すなわち、送信電力が低い程)、BW_updated(すなわち、使用可能なチャネル帯域幅)は広くなる。また、λが正の値の場合であって、基準送信電力よりも送信電力の方が高い場合には、D_TXPOWERが小さくなるに応じて(すなわち、送信電力が高い程)、BW_updated(すなわち、使用可能なチャネル帯域幅)は狭くなる。
[使用可能なチャネル周波数の設定例]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、送信に使用可能なチャネル周波数を、D_TXPOWERに応じて変更することができる。例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、使用可能なチャネルが情報処理装置(AP)100により限定されている場合において、D_TXPOWERがチャネル限定動作判定係数ωよりも大きい場合は、その限定を外すことができる。これにより、情報処理装置(AP)100は、対応するチャネルで送信を行うことが可能となる。
[送信処理および受領応答処理(図24に示すステップS746)]
送信処理および受領応答処理については、本技術の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。なお、情報処理装置(STA)200は、設定した送信電力を示す情報を接続先の情報処理装置(AP)100に通知する。
[送信電力制御処理(図24に示すステップS747)]
送信電力制御処理については、本技術の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。なお、情報処理装置(AP)100は、情報処理装置(STA)200において設定された送信電力を示す情報に基づいて、情報処理装置(STA)200に送信するフレームの送信電力を設定する。ただし、情報処理装置(AP)100は、参照フレームの送信電力を所定値(デフォルトの送信電力)に維持する。
[他の処理例]
情報処理装置(AP)100の制御部130は、自装置で決定したマージン値および連動パラメータを用いて、送信電力および送信パラメータの動的な変更を行うようにしてもよい。
この場合には、情報処理装置(AP)100の配下装置(例えば、情報処理装置(STA)200)は、情報処理装置(AP)100に対して定期的に参照フレームを送信する必要がある。この場合には、情報処理装置(STA)200において、上述した処理により送信電力が変更された場合であっても、参照フレームの送信電力は所定値に維持するものとする。また、この参照フレームには、その参照フレームの送信に用いられる送信電力を示す情報が格納される。
情報処理装置(AP)100の制御部130は、配下装置(STA)の各々からの参照フレームの受信強度R_refを測定して、配下装置(STA)毎にR_refに基づいて送信電力の変更を行うことができる。また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、配下装置(STA)毎にD_TXPOWERに基づいて送信パラメータを変更することができる。ここで、配下装置(STA)毎に個別に値を設定せず、配下装置(STA)毎のD_TXPOWERのうち、何らかの基準により選択されたD_TXPOWERを代表値として、連動した送信パラメータを決定することとしてもよい。例えば、最も小さなD_TXPOWER、最も大きなD_TXPOWER、ある複数の宛先に対する複数のD_TXPOWERサンプルから得られる平均値/中間値、最後に自装置が送信を行った宛先装置に対するD_TXPOWER、最後にパケットを受信した送信元装置に対するD_TXPOWER、自装置が次に送信を行おうとしている宛先装置に対するD_TXPOWER等が考えられる。
なお、本技術の第1の実施の形態と同様に、マージン値および連動パラメータの組み合わせを、情報処理装置(AP)100および情報処理装置(STA)200間で共有するようにしてもよい。この場合には、情報処理装置(AP)100が保持する組み合わせ情報(マージン値および連動パラメータの組み合わせの候補リスト)を、情報処理装置(STA)200が保持する組み合わせ情報よりも、有利な情報(有利な別のリスト)とするようにしてもよい。
<6.第6の実施の形態>
本技術の第6の実施の形態では、本技術の第5の実施の形態をベースとして、状況に応じて送信電力の下げ過ぎを抑制する処理をルールとして追加する例を示す。これにより、システム全体の効率をさらに向上させる仕組みを提供することができる。
具体的には、本技術の第6の実施の形態では、本技術の第5の実施の形態において、図26を参照して説明したTXPOWER_capableへの下限値による制限を具体化する例を示す。また、本技術の第6の実施の形態では、HE装置およびレガシー装置の台数を加味することにより、効率を向上させるための仕組みを提供する例を示す。
なお、本技術の第6の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1および図2等に示す情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、以下では、図24を参照して、本技術の第6の実施の形態における特徴的な処理について説明する。
[送信電力マージン決定処理(図24に示すステップS741)]
本技術の第6の実施の形態では、情報処理装置(AP)100は、送信電力マージンを決定する場合に、HE装置およびレガシー装置のそれぞれの台数の情報を利用する例を示す。
情報処理装置(AP)100は、多様な基準でマージン値を決定することができる。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、周囲をモニタして干渉の平均強度を測定し、その測定した干渉の平均強度に基づいてマージン値を決定することができる。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、干渉の平均強度が閾値を基準として高い場合には大きい値を決定し、干渉の平均強度が閾値を基準として低い場合には小さい値を決定することができる。
また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、配下装置のうちのHE装置およびレガシー装置のそれぞれの台数(または割合)に基づいてマージン値を決定することができる。また、例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、他の情報処理装置(AP)が開設している無線ネットワークに属するHE装置およびレガシー装置の台数(または割合)の情報を加味して送信電力マージン値を決定するようにしてもよい。例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、全体の装置数に対してレガシー装置の比率が閾値を基準として高い場合には大きいマージン値を決定し、閾値を基準として低い場合には小さいマージン値を決定することができる。
また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、配下装置のうちのHE装置およびレガシー装置の台数を、情報処理装置(AP)100が所持している情報から取得することができる。また、情報処理装置(AP)100の制御部130は、他の無線ネットワークのHE装置およびレガシー装置の台数の情報を、他の無線ネットワークの情報処理装置(AP)が送信するビーコンの内容から取得することができる。この場合のビーコンのフォーマット例について、図27に示す。
また、本技術の第6の実施の形態では、情報処理装置(AP)100は、送信電力マージン値を決定するとともに、配下装置(STA)が送信電力決定処理において使用するパラメータである下限レベルを決定する例を示す。ここで、下限レベルは、干渉の強度に基づいて決定されることが望ましい。この決定処理の一例を以下に示す。
例えば、情報処理装置(AP)100の制御部130は、干渉の平均強度をモニタにより測定し、その測定結果の値をIとする。そして、情報処理装置(AP)100の制御部130は、そのIと雑音電力Nに対して十分なSINRを確保できるレベルを下限レベルに設定する。ここで、下限レベルをLLとする。また、ある変調および符号化方式(MCS)が十分な伝送特性を確保できるだけのSINRを、MCSのインデックスをmとしてSINR(m)とすると、各mに対応する下限レベルLL(m)は、次の式31を用いて求めることができる。次の式31は、真値での表現である。
LL(m)=SINR(m)×{I+N} … 式31
なお、各LL(m)は、式31により得られた値に所定のオフセットが加算された値とするようにしてもよい。また、LLは、必ずしも使用されるMCSの数だけなくてもよく、例えば、特定のMCSを想定したLLで代表される値とするようにしてもよい。
[連動パラメータ情報決定処理(図24に示すステップS742)]
連動パラメータ情報決定処理については、本技術の第5の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
[通知処理(図24に示すステップS743)]
マージン値および連動パラメータを第6の実施の形態と同様にビーコンフレームに格納するとしたときの、ビーコンフレームのフォーマットを図27に示す。
[ビーコンのフォーマット例]
図27は、本技術の第6の実施の形態における各情報処理装置間でやりとりされるビーコンフレームのフォーマット例を示す図である。
図27に示す例は、図17に示すDynamic CCA Parameters444の代わりに、Dynamic TPC Parameters511を配置する例である。また、図17に示すDynamic CCA Parameters444において、CCA margin454の代わりに、TPC margin512を配置する例である。このため、図17に示す例と共通する部分には、同一の符号を付して、これらの説明を省略する。
TPC margin512には、上述した送信電力マージン決定処理(図24に示すステップS741)により決定されたマージン値(送信電力を決定するためのマージン値)が格納される。
[送信電力決定処理(図24に示すステップS744)]
情報処理装置(STA)200の制御部230は、本技術の第5の実施の形態と同様に、上述した式22によりTXPOWER_capableを取得することができる。また、情報処理装置(STA)200の制御部230は、通知処理(図24に示すステップS743)において情報処理装置(AP)100から通知された下限レベル情報LL(m)に基づいて、下限受信レベルR_LLを取得することができる。なお、TXPOWER_capable自体もTXPOWER_updatedの設定の下限値であるが、この演算は、TXPOWER_capableの値の下限を指定するものである。
ここで、LL(m)の中で、R_ref(図26に示すビーコンのRSSI)を超えない最大のものをR_LLとする。また、R_refがLL(m)の何れよりも低い場合には、LL(m)のうち最小のものをR_LLとする。なお、情報処理装置(STA)200の制御部230は、情報処理装置(AP)100と共有されている所定のオフセットをLL(m)に加算してからR_LLを決定するようにしてもよい。
そして、情報処理装置(STA)200の制御部230は、次の式32を用いてTXPOWER_capableを更新することができる。なお、次の式32は、対数での表現である。
TXPOWER_capable=
max(TXPOWER_capable,
TXPOWER_ref-R_ref+R_LL) … 式32
情報処理装置(STA)200の制御部230は、下限値TXPOWER_capableを下回らない範囲(すなわち、未満にならない)範囲で、送信電力を変更することができる(すなわち、送信電力を決定することができる)。また、変更後の送信電力の値を、TXPOWER_updatedとする。これにより、情報処理装置(STA)200が送信した信号が、情報処理装置(AP)100において検出される可能性を高めることができる。
なお、情報処理装置(STA)200の制御部230は、情報処理装置(AP)100から受信したAssociated STAs Info442(図27に示す)の情報を加味してTXPOWER_updatedを決定するようにしてもよい。例えば、情報処理装置(STA)200の制御部230は、全体の装置数に対してレガシー装置の比率が閾値を基準として高い場合には、高めのTXPOWER_updatedを決定することができる。一方、情報処理装置(STA)200の制御部230は、全体の装置数に対してレガシー装置の比率が閾値を基準として低い場合には、低めのTXPOWER_updatedを決定することができる。
[連動パラメータ設定処理(図24に示すS745)]
連動パラメータ設定処理については、本技術の第5の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
[送信処理および受領確認処理(図24に示すステップS746)]
送信処理および受領確認処理については、本技術の第5の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
[送信電力制御処理(図24に示すステップS747)]
送信電力制御処理については、本技術の第5の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
このように、本技術の第5の実施の形態に対して、本技術の第6の実施の形態のような拡張を行うことにより、上述したTXPOWER_capableの下限機構により、TXPOWER_capableをより高い値とすることができる。これにより、送信電力を下げ過ぎてしまうことによる弊害を回避することができる。なお、ここでの弊害は、送信電力が必要以上に下がり過ぎると、使用できる変調がデータレートに低いものになり過ぎて、システム全体として無線資源の利用効率を下げてしまう状態を意味する。
なお、本技術の第6の実施の形態では、上述したTXPOWER_capableの下限機構と、HE装置およびレガシー装置の数(または割合)の情報を加味した補正との2つの拡張の要素を用いる例を示した。ただし、これらは必ずしも組み合わせて用いる必要は無く、何れか一方の要素を独立に適用するようにしてもよい。
<第7の実施の形態>
本技術の第1乃至第6の実施の形態では、検出されたパケットが、自装置が属する無線ネットワークとは異なる無線ネットワークから送信されたパケットかどうかの判定を、BSS COLOR情報を利用して行う例を示した。ただし、その判定を、MACヘッダ内のBSSIDを利用して行うようにしてもよい。
例えば、複数のMPDUが連結されて送信されるA-MPDUの場合、各MPDU(A-MPDUサブフレーム)には、BSSIDの情報と、その信憑性を確認するためのFCS(Frame Check Sequence)情報とが含まれる。このため、受信中のA-MPDUサブフレームに対するFCSの内容とCRC計算結果とが一致した場合には、A-MPDU受信中であっても、その時点で、BSSID情報が自装置が属するものと異なっていれば、検出されたパケットが、自装置が属する無線ネットワークとは異なる無線ネットワークから送信されたパケットであると判断することができる。このような場合にも、以降の処理に対して拡張CCA動作を適用することができる。
このように、本技術の第7の実施の形態では、本技術の第1乃至第6の実施の形態で示したPLCPヘッダを利用する拡張CCA動作と、MACヘッダを利用する拡張CCA動作とを併用する例を示す。
[フレームのフォーマット例]
図28は、本技術の第7の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるフレームのフォーマットの一例を示す図である。図28のaには、MACヘッダを利用する拡張CCA処理に用いるフレームのフォーマット例を示す。また、図28のbには、本技術の第1乃至第6の実施の形態で用いたフレーム(PLCPヘッダを利用する拡張CCA処理に用いるフレーム)のフォーマット例を示す。
図28のaに示すフレームは、Preamble521と、SIGNAL522と、Extension523と、Service524と、A-MPDU Subframe530、540、550と、Tail&Pad525とにより構成される。
また、A-MPDU Subframe530は、MPDU Delimiter531と、MAC Header532と、MSDU(MAC service data unit)533と、FCS534とにより構成される。MAC Header532には、BSSIDの情報が含まれる。なお、A-MPDU Subframe540、550の構成は、A-MPDU Subframe530と同様である。
例えば、MPDUのCRCにエラーが無い場合には、MAC Header532に含まれるBSSIDの情報に基づいて、矢印Aの時点で検出パケットの送信元の機器が属する無線ネットワークを判定することができる。この場合には、上述したように、拡張CCA動作を行うことができる。
図28のbに示すフレームは、Preamble521と、SIGNAL522と、Extension523と、Service524と、PSDU560と、Tail&Pad525とにより構成される。
例えば、SIGNAL522のCRCにエラーが無い場合には、SIGNAL522に含まれるCOLOR情報に基づいて、矢印Bの時点で検出パケットの送信元の機器が属する無線ネットワークを判定することができる。この場合には、本技術の第1乃至第6の実施の形態で示したように、拡張CCA動作を行うことができる。
[拡張CCA動作時のパケット検出/受信判定処理の動作例]
図29は、本技術の第7の実施の形態における情報処理装置(AP)100が行う処理とPLCPヘッダ、MACヘッダとの関係例(処理分類テーブル)を示す図である。図29のaには、PLCPヘッダを用いて判定を行う場合の処理分類テーブルの一例を示す。この処理分類テーブルは、図6に示す処理分類テーブルと同一である。
図29のbには、MACヘッダを用いて判定を行う場合の処理分類テーブルの一例を示す。これらの処理分類テーブルについては、図30を参照して詳細に説明する。
図30は、本技術の第7の実施の形態における情報処理装置(AP)100による送受信処理のうちのパケット検出/受信判定処理(図3に示すステップS810の処理手順)を示すフローチャートである。なお、図30は、図7の一部を変形したものであるため、図7と共通する部分には、同一の符号を付して、これらの説明を省略する。ただし、図30では、図6に示す処理分類テーブルの代わりに、図29のaに示す第1処理分類テーブルを用いるものとする。
また、図30に示すパケット検出/受信判定処理では、MACヘッダを利用する拡張CCA処理も許容するパケット検出/受信判定処理の一例を示す。
情報処理装置(AP)100の制御部130は、読み出された各情報と、図29のaに示す第1処理分類テーブルとを照合し、以降の処理を決定する(ステップS825)。
以降の処理として「受信」が決定された場合には(ステップS825)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、受信中のMACヘッダにおける各情報と、図29のbに示す第2処理分類テーブルとを照合し、以降の処理を決定する(ステップS831)。すなわち、情報処理装置(AP)100の制御部130は、受信中のMPDU単位で、FCSの計算結果と、MACヘッダのBSSIDとに基づいて、以降の処理を決定する(ステップS831)。
具体的には、情報処理装置(AP)100の制御部130は、MACヘッダのFCSに対するCRCを計算し、MACヘッダのFCSに対するCRCの計算結果のエラーの有無を確認する。ここで、MACヘッダのFCSに対するCRCの計算結果にエラーがある場合には、図29のbに示すように、以降の処理を「受信継続」と決定する。また、MACヘッダのFCSに対するCRCの計算結果にエラーがない場合には、拡張CCA閾値およびMACヘッダにおけるBSSIDの各内容に基づいて、処理を決定する。
具体的には、MACヘッダにおけるBSSIDの値が、自装置が属するBSSの値と同一である場合には、以降の処理を「受信継続」と決定する。
また、MACヘッダにおけるBSSIDの値が、自装置が属するBSSのものと異なる場合には、以降の処理を「受信打ち切り」と決定する。この場合に、相関器出力強度(Preamble相関器出力の値)が、拡張CCA閾値よりも低いか、以上であるかを判断する。そして、相関器出力強度が拡張CCA閾値よりも低い場合には、以降の処理を「受信打ち切り(IDLE)」と決定する。一方、相関器出力強度が拡張CCA閾値以上である場合には、以降の処理を「受信打ち切り(BUSY)」と決定する。なお、拡張CCA閾値と比較する値は、RSSIなど、受信信号の強度を表す別の指標であってもよい。
このように、情報処理装置(AP)100の制御部130は、以降の処理として、「受信継続」、「受信打ち切り(IDLE)」、「受信打ち切り(BUSY)」の何れかを決定する(ステップS831)。
以降の処理として「受信継続」が決定された場合には(ステップS832)、情報処理装置(AP)100の制御部130は、PPDUの受信が終了したか否かを判断する(ステップS833)。そして、PPDUの受信が終了していない場合には(ステップS833)、ステップS831に戻る。また、PPDUの受信が終了した場合には(ステップS833)、ステップS813に進む。
また、以降の処理として「受信打ち切り(IDLE)」が決定された場合には(ステップS832)、ステップS822に進む。また、以降の処理として「受信打ち切り(BUSY)」が決定された場合には(ステップS832)、ステップS820に進む。
また、以降の処理として「受信打ち切り(IDLE)」が決定されたとき、制御部130は、バックオフカウンタの扱いを、通常のデクリメント処理と異なるものとしてもよい。通常は、キャリアセンスがビジー状態である間は、バックオフカウンタの値は保持され、アイドル状態に遷移したらその値からデクリメントが再開される。そこで、例えば、その再開する値の扱いを次のように変更することができる。
例えば、制御部130は、パケットのプリアンブル検出でのビジー遷移から、受信打ち切りを判定した時刻まで受信時間をタイムスロットに換算して、バックオフカウンタの値から減算し、減算した値を再開値として以降のデクリメントを開始することができる。つまり、制御部130は、受信打ち切りを行い、拡張CCAにより以降のキャリアセンスをアイドル状態とする場合に、等価的に受信打ち切りを行うまでの時間も遡ってアイドルだったものとして扱う。この例を図31に示す。
[バックオフカウンタの仮想減算処理例]
図31は、本技術の第7の実施の形態における情報処理装置(AP)100によるバックオフカウンタの仮想減算処理の一例を模式的に示す図である。なお、図31の上側(図の左側)に示すフレームは、図28のaに示すフレームに対応する。また、図31では、説明の容易のため、第2のバックオフカウンタを定義する。
図31では、制御部130が、先頭のMPDU530のFCS534の受信時点で受信打ち切り(IDLE)を判定する例を示す。この場合、制御部130は、プリアンブルの先頭でビジー状態に遷移したとすると、その時点でのバックオフカウンタの値を第2のバックオフカウンタに代入し、プリアンブル先頭から受信打ち切りまでの時間をタイムスロットに換算して第2のバックオフカウンタをデクリメントしていく。そして、受信打ち切り時点での第2のバックオフカウンタの値をバックオフカウンタに代入する。これにより、受信打ち切り時点でのバックオフカウンタは、通常動作よりも小さな値となり、よりメディアアクセスを効率的に行うことができる。なお、受信打ち切り(BUSY)と判定された場合には、第2のバックオフカウンタの値は代入されない。
ここで、図31の上段(3つの時間軸の最上段)に示すように、受信打ち切り時点において、第2のバックオフカウンタの値が0以下になる場合がある。このようなときには、制御部130は、バックオフカウンタの値を以下の第1乃至第3の値のうちの何れかに設定することができる。
第1の値として、制御部130は、バックオフカウンタの値を0に設定することができる。この場合、チャネルの状態がアイドル状態に遷移した後、バックオフによる待機時間は無いものとして送信を行うことになる。
第2の値として、制御部130は、バックオフカウンタの値をデクリメント前の値と0との間の値に設定することができる。具体的には、チャネルの状態がビジー状態になると第2のバックオフカウンタの値のデクリメントが開始され、第2のバックオフカウンタの値が0になると今度はインクリメントが開始される。そして、第2のバックオフカウンタの値がデクリメント開始時の値に達すると、再びデクリメントが開始される。制御部130は、チャネルの状態がビジー状態である間、上述した処理を繰り返すことにより得られる値にバックオフカウンタの値を設定する。
例えば、図31における第2のバックオフカウンタの値の段に示すように、第2のバックオフカウンタの値は、受信開始時に9であったものとする。この場合には、図31の中段(3つの時間軸の中段)に示すように、第2のバックオフカウンタの値は、9に設定された後、0になるまでデクリメントされ、0になると9になるまでインクリメントされる。続いて、第2のバックオフカウンタの値は、9になると再びデクリメントされ、ビジー状態の終了時において2になる。そして、図31の実際のバックオフカウンタの値の段(3つの時間軸の最下段)に示すように、その第2のバックオフカウンタの値がバックオフカウンタの値に設定される。
なお、ビジー状態の終了時に、上述したような第2の値が算出され、算出される値がバックオフカウンタの値に設定されてもよい。例えば、第2のバックオフカウンタ値が負の値である場合、第2のバックオフカウンタ値が0との差分(すなわち、第2のバックオフカウンタ値の絶対値)を設定することができる。この場合に、第2のバックオフカウンタ値がデクリメント前の値以上である場合には、そのデクリメント前の値との差分を、そのデクリメント前の値から差し引いた値を第2のバックオフカウンタ値に設定することができる。
また、バックオフカウンタの値は、バックオフカウンタの値のデクリメント前の値(すなわち、バックオフカウンタの初期値)と0との間の値に設定するようにしてもよく、第2のバックオフカウンタの値のデクリメント前の値と0との間の値に設定するようにしてもよい。
第3の値として、制御部130は、第2の値の設定方法と異なる方法で、バックオフカウンタの値をデクリメント前の値と0との間の値に設定することができる。例えば、制御部130は、ビジー状態が終了した際に、バックオフカウンタまたは第2のバックオフカウンタのデクリメント前の値と0との間の値からランダムに値を選択する。そして、制御部130は、選択される値をバックオフカウンタの値に設定することができる。
ここで、受信打ち切りを行ってアイドル状態に遷移した後には、所定の時間の待機時間を設けないようにしてもよい。例えば、制御部130は、ビジー状態の終了後にIFSによる待機時間を設けず、バックオフカウンタの値のデクリメントを開始するようにしてもよい。なお、当然ながら、その所定の時間の待機時間が設けられることは否定されない。
このように、情報処理装置(AP)100の制御部130は、パケットにおけるデータリンク層のヘッダに付加されたネットワーク識別子と、自装置が属するネットワークのネットワーク識別子とを比較する。そして、情報処理装置(AP)100の制御部130は、その比較結果に基づいて、そのパケットを送信した機器が属する無線ネットワークを識別することができる。
なお、図30では、PLCPヘッダを利用する拡張CCA動作と、MACヘッダを利用する拡張CCA動作とを併用する例を示した。ただし、これらの各動作を併用する必要は無く、例えば、MACヘッダを利用した判定のみの処理とするようにしてもよい。
このように、本技術の第7の実施の形態によれば、PLCPヘッダにCOLOR情報を有しないフォーマットのパケットに対しても拡張CCA動作を適用することができる。
なお、本技術の第1乃至第7の実施の形態は、その一部または全部を組み合わせ、または、変更して他の形態とするようにしてもよい。例えば、本技術の第5および第6の実施の形態に示すように、送信電力制御をベースにして、その送信電力を本技術の第3の実施の形態に示すように、情報処理装置(AP)が個別指定するようにしてもよい。
ここで、ランダムアクセス型無線システムにおいて、無線の利用効率を向上させる技術が存在する。例えば、自装置が属するBSSと異なるBSSから送信されたと判断されたパケットの受信を打ち切り、そのパケットの受信強度をある判定閾値と比較して、その結果に基づいてキャリアセンスをアイドルとして扱う技術が存在する。
しかしながら、その判定閾値を上昇させる場合には、上昇させた機器と閾値が低いままの機器との間で送信機会の公平性が損なわれるおそれがある。
そこで、本技術の実施の形態では、その判定閾値(拡張CCA閾値)の変更と、その判定閾値に連動するパラメータ(無線送信パラメータ)の変更とをセットで行うようにする。これにより、送信機会の公平性への影響を抑えつつ、システムの無線リソースの利用効率を向上させることができる。また、その際に、情報処理装置(AP)および情報処理装置(STA)間のリンク品質に基づいて、判定閾値を適切に設定することができる。また、公平性を損なうような不正な設定値を情報処理装置(AP)が設定しても検知できる仕組みを提供することができる。
このように、本技術の実施の形態によれば、拡張CCA動作の実施に伴う機器間の公平性を確保することができる。また、拡張CCA動作の実施に伴う、システム全体としての干渉増加を抑制することができる。また、機器のリンクの強度に応じた拡張CCA閾値の設定を実現することができる。また、ルール違反の設定を検知するテスタビリティを確保することができる。
また、本技術の実施の形態における情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200は、各分野において使用される機器に適用することができる。例えば、自動車内で使用される無線機器(例えば、カーナビゲーション装置、スマートフォン)に適用することができる。また、例えば、車車間通信や路車間通信(V2X(vehicle to X))に適用することができる。また、例えば、教育分野で使用される学習機器(例えば、タブレット端末)に適用可能である。また、例えば、農業分野で使用される無線機器(例えば、牛管理システムの端末)に適用可能である。同様に、例えば、スポーツ分野や医療分野等で使用される各無線機器に適用可能である。
<8.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、テレビジョン受像機、プリンタ、デジタルスキャナ若しくはネットワークストレージなどの固定端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200は、スマートメータ、自動販売機、遠隔監視装置又はPOS(Point Of Sale)端末などの、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、情報処理装置(AP)100、情報処理装置(STA)200は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
一方、例えば、情報処理装置(AP)100は、ルータ機能を有し又はルータ機能を有しない無線LANアクセスポイント(無線基地局ともいう)として実現されてもよい。また、情報処理装置(AP)100は、モバイル無線LANルータとして実現されてもよい。さらに、情報処理装置(AP)100は、これら装置に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
[8-1.第1の応用例]
図32は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913、アンテナスイッチ914、アンテナ915、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース913は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース913は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース913は、アドホックモード又はWi-Fi Direct等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。なお、Wi-Fi Directでは、アドホックモードとは異なり2つの端末の一方がアクセスポイントとして動作するが、通信はそれら端末間で直接的に行われる。無線通信インタフェース913は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF(Radio Frequency)回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース913は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース913は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ914は、無線通信インタフェース913に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ915の接続先を切り替える。アンテナ915は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース913による無線信号の送信及び受信のために使用される。
なお、図32の例に限定されず、スマートフォン900は、複数のアンテナ(例えば、無線LAN用のアンテナ及び近接無線通信方式用のアンテナ、など)を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ914は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図32に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
図32に示したスマートフォン900において、図2を用いて説明した制御部130は、無線通信インタフェース913において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。
なお、スマートフォン900は、プロセッサ901がアプリケーションレベルでアクセスポイント機能を実行することにより、無線アクセスポイント(ソフトウェアAP)として動作してもよい。また、無線通信インタフェース913が無線アクセスポイント機能を有していてもよい。
[8-2.第2の応用例]
図33は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、アンテナスイッチ934、アンテナ935及びバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース933は、アドホックモード又はWi-Fi Direct等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。無線通信インタフェース933は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース933は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ934は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路の間でアンテナ935の接続先を切り替える。アンテナ935は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送信及び受信のために使用される。
なお、図33の例に限定されず、カーナビゲーション装置920は、複数のアンテナを備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ934は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図33に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
図33に示したカーナビゲーション装置920において、図2を用いて説明した制御部130は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。
また、無線通信インタフェース933は、上述した情報処理装置(AP)100として動作し、車両に乗るユーザが有する端末に無線接続を提供してもよい。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
[8-3.第3の応用例]
図34は、本開示に係る技術が適用され得る無線アクセスポイント950の概略的な構成の一例を示すブロック図である。無線アクセスポイント950は、コントローラ951、メモリ952、入力デバイス954、表示デバイス955、ネットワークインタフェース957、無線通信インタフェース963、アンテナスイッチ964及びアンテナ965を備える。
コントローラ951は、例えばCPU又はDSP(Digital Signal Processor)であってよく、無線アクセスポイント950のIP(Internet Protocol)レイヤ及びより上位のレイヤの様々な機能(例えば、アクセス制限、ルーティング、暗号化、ファイアウォール及びログ管理など)を動作させる。メモリ952は、RAM及びROMを含み、コントローラ951により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、ルーティングテーブル、暗号鍵、セキュリティ設定及びログなど)を記憶する。
入力デバイス954は、例えば、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作を受け付ける。表示デバイス955は、LEDランプなどを含み、無線アクセスポイント950の動作ステータスを表示する。
ネットワークインタフェース957は、無線アクセスポイント950が有線通信ネットワーク958に接続するための有線通信インタフェースである。ネットワークインタフェース957は、複数の接続端子を有してもよい。有線通信ネットワーク958は、イーサネット(登録商標)などのLANであってもよく、又はWAN(Wide Area Network)であってもよい。
無線通信インタフェース963は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、近傍の端末へアクセスポイントとして無線接続を提供する。無線通信インタフェース963は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース963は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。アンテナスイッチ964は、無線通信インタフェース963に含まれる複数の回路の間でアンテナ965の接続先を切り替える。アンテナ965は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース963による無線信号の送信及び受信のために使用される。
図34に示した無線アクセスポイント950において、図2を用いて説明した制御部130は、無線通信インタフェース963において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、コントローラ951において実装されてもよい。
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
自装置が属する第1ネットワークとは異なる第2ネットワークから送信されたと判断されたパケットを検出した場合に前記パケットの受信を打ち切り、前記パケットの受信強度に基づいてキャリアセンスをアイドル状態として扱う制御を行う制御部を具備する情報処理装置。
(2)
前記制御部は、前記パケットの受信強度と第1閾値との比較結果に基づいてキャリアセンスをアイドル状態として扱う制御を行う前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記制御部は、前記パケットにおける物理層のヘッダに付加されたネットワーク識別子に基づいて、前記パケットを送信した機器が属する前記第2ネットワークを識別する前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記制御部は、前記パケットにおける物理層のヘッダに付加されたネットワーク識別子と、前記第1ネットワークのネットワーク識別子との比較結果に基づいて、前記第2ネットワークを識別する前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記制御部は、前記パケットにおけるデータリンク層のヘッダに付加されたネットワーク識別子と、前記第1ネットワークのネットワーク識別子との比較結果に基づいて、前記第2ネットワークを識別する前記(2)または(3)に記載の情報処理装置。
(6)
前記制御部は、前記第1ネットワークに属する他の機器が使用する前記第1閾値の決定に用いられる第1情報と当該第1情報と連動する無線送信パラメータとの組を特定するための情報を前記他の機器に送信する制御を行う前記(2)に記載の情報処理装置。
(7)
前記制御部は、前記第1情報として、前記第1閾値を特定するための情報と、参照フレームの受信強度との比に基づいて前記参照フレームを受信した前記他の機器において前記第1閾値を変化させる範囲を指定するための情報との何れかを送信する制御を行う前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記無線送信パラメータは、送信電力と、送信用固定待ち時間と、キャリアセンス用ランダム待ち時間と、最大フレーム時間長と、使用可能チャネル帯域幅と、使用可能チャネル周波数とのうちの少なくとも1つである前記(6)または(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記制御部は、前記第1ネットワークに属する他の機器から送信された自装置宛てのフレームに当該フレームの送信電力に関する情報が含まれている場合には、前記送信電力に関する情報に基づいて、前記フレームの受領応答の送信電力を変更して前記受領応答を送信する制御を行う前記(1)から(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
(10)
前記参照フレームは、前記第1ネットワークに属する機器から送信されるビーコンである前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記情報処理装置は、前記第1情報と前記無線送信パラメータとの組を特定するための情報を、前記第1ネットワークに属する他の機器と、前記第2ネットワークに属する他の機器とのうちの少なくとも1つと共有する前記(6)から(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
(12)
前記制御部は、前記第1閾値を変化させ、前記変化後の前記第1閾値に応じて変化させた無線送信パラメータに基づいてデータを送信する制御を行う前記(2)、(6)から(8)、(11)のいずれかに記載の情報処理装置。
(13)
前記制御部は、前記第1閾値に連動して前記無線送信パラメータを変化させる前記(12)に記載の情報処理装置。
(14)
前記制御部は、前記第1ネットワークに属する他の機器から送信されたフレームに含まれる情報に基づいて前記第1閾値を変更する制御を行う前記(2)、(6)から(8)、(11)から(13)のいずれかに記載の情報処理装置。
(15)
前記制御部は、前記フレームに含まれるマージン値と、前記フレームの受信強度とに基づいて前記第1閾値を変更する制御を行う前記(14)に記載の情報処理装置。
(16)
前記制御部は、前記マージン値と前記受信強度とに基づいて決定される範囲内で前記第1閾値を変更する制御を行う前記(15)に記載の情報処理装置。
(17)
前記制御部は、前記第1ネットワークに属する他の機器から送信されたフレームに含まれる情報と前記第1閾値の基準値からの変化量とに基づいて前記無線送信パラメータを決定する制御を行う前記(12)に記載の情報処理装置。
(18)
前記無線送信パラメータは、送信電力を設定するためのパラメータであり、
前記制御部は、前記無線送信パラメータを変更する場合には、前記第1ネットワークに属する機器に送信するフレームに、当該変更後の無線送信パラメータにより設定される送信電力に関する情報を含める制御を行う
前記(12)から(17)のいずれかに記載の情報処理装置。
(19)
前記フレームは、前記第1ネットワークに属する機器から送信されるビーコンである前記(17)に記載の情報処理装置。
(20)
自装置が属する第1ネットワークとは異なる第2ネットワークから送信されたと判断されたパケットを検出した場合に前記パケットの受信を打ち切る第1手順と、
前記パケットの受信強度に基づいてキャリアセンスをアイドル状態として扱う第2手順と
を具備する情報処理方法。