JP2019220979A - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】他の無線通信ネットワークに属する無線通信装置の送信期間における通信リソースの利用効率を向上させることが可能な仕組みを提供する。【解決手段】自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置からPHY(Physical Layer)ヘッダを受信する通信部と、PHYヘッダの受信により得られる許容信号情報と、第1の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置から受信される信号の受信電力情報と、に基づいて送信電力を制御する制御部と、を備え、許容信号情報により、PHYヘッダの後に続くフレームの宛先となる第2の無線通信装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される、無線通信装置および無線通信方法。【選択図】図5

Description

本開示は、無線通信装置および無線通信方法に関する。
近年、通信技術の発達に伴い、無線LAN(Local Area Network)の普及が進んでいる。また、それに伴って無線LAN対応製品(以下、無線通信装置とも称する。)も増加している。無線通信装置が増加すると、通信効率が低下する可能性が高くなるため、通信効率の向上が望まれる。
無線通信における通信効率が低下する理由の1つとして、フレーム(パケット)の衝突がある。例えば、同時に複数の無線通信装置がフレームを送信すると、フレームが衝突し、当該フレームが成功裏に受信される可能性が低くなる。その結果、衝突したフレームが再送されることになり、通信効率が低下する。
これに対し、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格では、RTS(Request To Send)/CTS(Clear To Send)方式といった仕組みが提供されている。具体的には、データ送信元の無線通信装置は、データ送信要求としてRTSフレームを送信し、データ送信先の無線通信装置から確認通知としてCTSフレームを受信されると、データ送信を開始する。他方で、RTSフレームおよびCTSフレームのうちの少なくとも一方を受信した無線通信装置は、RTS/CTS手続に基づくデータ送信期間だけ自装置の送信を停止する送信停止期間を設定する。例えば、当該送信停止期間は、NAV(Network Allocation Vector)期間と呼ばれる。これにより、フレームの衝突が回避される。
また、特許文献1では、RTS/CTS方式に変更が加えられた方式に係る発明が提案されている。具体的には、無線通信装置は、RTSフレームが受信されるとL−SIG(Legacy−Signal) Durationに基づいてNAV1を設定する。そして、NAV1に所定時間を加えた期間内にRTSフレームの送信元からのフレームが検出されない場合、無線通信装置は、MAC(Media Access Control) Durationに基づくNAV2を解除して送信を開始する。
特開2008−252867号公報
しかし、従来のRTS/CTS方式および特許文献1で開示される発明では、フレーム(信号)の衝突による通信効率の低下は抑制できるが、送信停止期間内の通信リソースの利用効率を向上させることが困難である。例えば、従来では、他の無線通信ネットワーク(例えば、BSS(Basic Service Set)等)に属する無線通信装置から受信された信号であっても、当該信号を受信した無線通信装置はNAV期間を設定するため、一律に送信が停止される。従って、自装置の送信が当該他のBSSの通信の妨げとならない場合であっても送信が停止されるので、送信停止期間中の通信リソースの活用が困難である。
そこで、本開示では、他の無線通信ネットワークに属する無線通信装置の送信期間における通信リソースの利用効率を向上させることが可能な仕組みを提案する。
本開示によれば、自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置から変調方式情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダを受信する通信部と、前記PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて送信電力を制御する制御部と、を備える、無線通信装置が提供される。
また、本開示によれば、自装置が属する第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置における送信電力の制御に用いられる、変調方式情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダを送信する通信部を備える、無線通信装置が提供される。
また、本開示によれば、自装置が属する第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置における送信電力の制御に用いられる、変調方式情報を含む信号を送信する通信部を備える、無線通信装置が提供される。
また、本開示によれば、通信部により、自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置から変調方式情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダを受信することと、制御部により、前記PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて送信電力を制御することと、を含む、無線通信方法が提供される。
以上説明したように本開示によれば、他の無線通信ネットワークに属する無線通信装置の送信期間における通信リソースの利用効率を向上させることが可能な仕組みが提供される。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
本開示の一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。 本開示の第1の実施形態に係る無線通信装置の概略的な機能構成の例を示すブロック図である。 同実施形態における送信電力の制御処理を説明するための図である。 BER、MCSおよびSIRの関係の例を示すグラフである。 同実施形態における信号の送信シーケンスおよび当該信号の送信シーケンスにおけるSTA#2の許容送信電力の変化の例を示す図である。 同実施形態に係るSTA#2の許容送信電力の制御処理を概念的に示すフローチャートである。 同実施形態に係るSTA#2の信号送信処理を概念的に示すフローチャートである。 本開示の第2の実施形態における送信電力の制御処理を説明するための図である。 本開示の第3の実施形態における送信電力の制御処理を説明するための図である。 スマートフォンの概略的な構成の一例を示すブロック図である。 カーナビゲーション装置の概略的な構成の一例を示すブロック図である。 無線アクセスポイントの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる番号を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能を有する複数の構成を、必要に応じてAP100#1およびAP100#2などのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を区別する必要が無い場合、同一符号のみを付する。例えば、AP100#1およびAP100#2を特に区別する必要がない場合には、単にAP100と称する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の一実施形態に係る無線通信装置の概要
2.本開示の第1の実施形態
2−1.装置の基本的な機能構成
2−2.装置の機能詳細
2−3.装置の処理
2−4.第1の実施形態のまとめ
3.本開示の第2の実施形態(他BSSのAPから信号が受信されない場合)
3−1.装置の機能詳細
3−2.第2の実施形態のまとめ
4.本開示の第3の実施形態(他BSSのAPから信号が受信される場合)
4−1.装置の機能詳細
4−2.第3の実施形態のまとめ
5.応用例
6.むすび
<1.本開示の一実施形態に係る無線通信装置の概要>
まず、図1を参照して、本開示の一実施形態に係る無線通信システムの概要について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
本開示の一実施形態に係る無線通信システムは、アクセスポイント(AP:Access Point)として動作する無線通信装置(以下、単にAPとも称する。)およびステーション(STA:Station)として動作する無線通信装置(以下、単にSTAとも称する。)を備える。APとSTAとは互いに接続され、接続により無線通信ネットワークが形成される。また、STAは、他のSTAの送信期間において自装置の送信を停止する機能を有する。例えば、当該送信停止期間は、NAV期間である。
例えば、無線通信システムは、図1に示したように、AP100#1およびSTA200#1を備える。AP100#1とSTA200#1とは互いに接続され、BSS(Basic Service Set)#1という単位の無線通信ネットワークが形成される。また、図1においては簡単のため図示していないが、AP100#1には複数のSTA200#1が接続される場合がある。この場合、あるSTA200#1がAP100#1に対して送信中である間、別のSTA200#1はNAV期間として自装置の送信を停止する。そして、当該あるSTA200#1の送信の終了後に、当該別のSTA200#1の送信が開始される。
ここで、APが複数設置される場合には、当該APの各々の通信範囲が重なることがある。例えば、図1に示したように、AP100#1の通信範囲すなわちAP100#1と接続され得るBSS#1の範囲と、AP100#2の通信範囲すなわちBSS#2の範囲とが重なることがある。このような環境は、OBSS(Overlapping BSS)環境と呼ばれる。
当該OBSS環境においては、STAの送信する信号が当該STAの属するBSSと異なる他のBSSのAPに受信される可能性がある。そのため、他のSTAから信号が受信されると、当該他のSTAが他のBSSのSTAであっても、STAは当該信号の送信期間はNAV期間であるとして自装置の送信を停止する。その結果、OBSS環境下にあるSTAの送信機会が減少し、ひいては通信リソースの利用効率が低下することになりかねない。
そこで、本開示では、自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置から変調方式情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダ(またはPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダ)を受信し、当該PHYヘッダに含まれる情報に基づいて送信電力を制御する無線通信装置(STA200)を提案する。
例えば、STA200は、他のBSSに属するSTAから信号が受信されると、当該信号のPHYヘッダに含まれる変調方式情報を取得する。詳細には、図1に示したようなBSS#2に属するSTA200#2は、BSS#1に属するSTA200#1から送信される信号が受信されると、当該受信信号のPHYヘッダに含まれるMCS情報を取得する。
次に、STA200は、取得された変調方式情報に基づいて自装置の許容される送信電力(以下、許容送信電力とも称する。)を決定する。例えば、STA200#2は、MCS情報に基づいて自装置の許容送信電力を決定する。
次に、STA200は、AP100#2から要求される送信電力が許容送信電力以下である場合に、自装置の信号を送信する。例えば、STA200#2は、STA200#1の送信期間中であっても、要求される送信電力が許容送信電力以下であれば、当該要求される送信電力で信号を送信する。
このように、本開示の一実施形態に係る無線通信装置は、自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置から変調方式情報を含むPHYヘッダを受信し、当該PHYヘッダに含まれる情報に基づいて送信電力を制御する。このため、他のBSSの無線通信装置から信号が受信されるOBSS環境下においても、他のBSSにおける通信を妨げることなく、自装置の通信を行うことができる。従って、OBSS環境下における通信リソースの利用効率を向上させることが可能となる。以下に、その詳細について説明する。
なお、説明の便宜上、第1〜第3の実施形態に係るSTA200等の装置を、STA200−1〜STA200−3のように、末尾に実施形態に対応する番号を付することにより区別する。また、図1においては無線通信システムの一例として、無線通信システムがAP100およびSTA200の両方を備える例を説明したが、無線通信装置の全てがSTA200であり、これらのSTA200のうちの1つが他のSTA200との複数のダイレクトリンクを持つ無線通信装置であってもよい。その場合、ダウンリンクが「1つのSTA200から複数のSTA200への同時送信」と、アップリンクが「複数のSTA200から1つのSTA200への同時送信」と、読み替えられる。
<2.本開示の第1の実施形態>
以上、本開示の一実施形態に係る無線通信装置の概要について説明した。次に、本開示の第1の実施形態に係るAP100−1およびSTA200−1(以下、無線通信装置100−1(200−1)とも称する。)について説明する。
<2−1.装置の基本的な機能構成>
まず、図2を参照して、本開示の第1の実施形態に係る無線通信装置100−1(200−1)の基本的な機能構成について説明する。図2は、本開示の第1の実施形態に係る無線通信装置100−1(200−1)の概略的な機能構成の例を示すブロック図である。
無線通信装置100−1(200−1)は、図2に示したように、データ処理部110(210)、無線通信部120(220)、制御部130(230)および記憶部140(240)を備える。なお、データ処理部110(210)および無線通信部120(220)をまとめて通信部とも称する。
データ処理部110(210)は、通信部の一部として、データに対して送受信のための処理を行う。具体的には、データ処理部110(210)は、通信上位層からのデータに基づいてフレームを生成し、生成されるフレームを無線通信部120(220)に提供する。例えば、データ処理部110(210)は、データからフレーム(パケット)を生成し、生成されるフレームにメディアアクセス制御(MAC)のためのMACヘッダの付加および誤り検出符号の付加等の処理を行う。また、データ処理部110(210)は、受信されるフレームからデータを抽出し、抽出されるデータを通信上位層に提供する。例えば、データ処理部110(210)は、受信されるフレームについて、MACヘッダの解析、符号誤りの検出および訂正、ならびにリオーダ処理等を行うことによりデータを取得する。
無線通信部120(220)は、通信部の一部として、信号処理機能および無線インタフェース機能等を備える。
信号処理機能は、フレームについて変調等の信号処理を行う機能である。具体的には、無線通信部120(220)は、データ処理部110(210)から提供されるフレームについて、制御部130(230)によって設定されるコーディングおよび変調方式等に従って、エンコード、インタリーブおよび変調を行い、プリアンブル、PHYヘッダを付加することによりシンボルストリームを生成する。また、無線通信部120(220)は、無線インタフェース機能の処理によって得られるシンボルストリームについて、復調およびデコード等を行うことによりフレームを取得し、取得されるフレームをデータ処理部110(210)または制御部130(230)に提供する。
無線インタフェース機能は、アンテナを介して信号の送受信を行う機能である。具体的には、無線通信部120(220)は、信号処理機能の処理によって得られるシンボルストリームに係る信号を、アナログ信号に変換し、増幅し、フィルタリングし、および周波数アップコンバートする。そして、無線通信部120(220)は、アンテナを介して処理された信号を送信する。また、無線通信部120(220)は、アンテナから得られる信号について、信号送信の際と逆の処理、例えば周波数ダウンコンバートおよびデジタル信号変換等を行う。
制御部130(230)は、無線通信装置100−1(200−1)の動作を全体的に制御する。具体的には、制御部130(230)は、各機能間の情報の受け渡し、通信パラメタの設定、およびデータ処理部110(210)におけるフレームのスケジューリング等の処理を行う。
記憶部140(240)は、データ処理部110(210)または制御部130(230)の処理に用いられる情報を記憶する。具体的には、記憶部140(240)は、送信フレームに格納される情報、受信フレームから取得された情報および通信パラメタの情報等を記憶する。
<2−2.装置の機能詳細>
次に、本開示の第1の実施形態に係る無線通信装置100−1(200−1)の機能詳細について説明する。以下では、BSS#1に属するAP100−1#1および上述したPHYヘッダを送信するSTA200−1#1、ならびにBSS#2に属するAP100−1#2および当該PHYヘッダを受信するSTA200−1#2の各々について個別に説明する。
(AP#1の機能)
まず、第1の宛先無線通信装置としてのAP100−1#1の機能詳細について説明する。
AP100−1#1は、変調方式情報を含む信号をSTA200−1#1に送信する。また、当該信号には、要求送信電力情報および自装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される情報(以下、許容信号情報とも称する。)が含まれる。具体的には、制御部130は、STA200−1#1の送信を許可する場合に、STA200−1#1に使用させる、変調方式を示す変調方式情報および送信電力を示す要求送信電力情報、ならびに上記許容信号情報を生成する。そして、通信部は、生成される変調方式情報、要求送信電力情報および許容信号情報(以下、トリガ通知情報とも称する。)を含む信号(以下、トリガ信号とも称する。)をSTA200−1#1に送信する。
例えば、変調方式情報は、MCS(Modulation and Coding Set)情報である。また、許容信号情報は、許容される他の信号による干渉の程度(以下、許容干渉レベルとも称する。)または許容される他の信号の受信電力の程度(以下、受信電力余裕度とも称する。)を含む。なお、トリガ通知情報は、例えばPHYヘッダもしくはMACヘッダまたはペイロードに含まれる。また、当該トリガ通知情報は、STA200−1#1に送信を許可する度に生成されてもよい。また、当該トリガ通知情報が含まれるトリガ信号に、自装置のBSS識別子が含まれてもよい。
また、AP100−1#1は、トリガ信号への応答となる信号をSTA200−1#1から受信する。具体的には、AP100−1#1は、トリガ信号の送信後に、STA200−1#1から後述する応答信号を受信する。
(STA#1の機能)
次に、第1の無線通信装置としてのSTA200−1#1の機能詳細について説明する。
STA200−1#1は、上記トリガ通知情報を含むトリガ信号をAP100−1#1から受信する。具体的には、通信部は、AP100−1#1からトリガ信号が受信されると、当該トリガ信号に含まれるトリガ通知情報を取得する。
また、STA200−1#1は、変調方式情報を含むPHYヘッダを送信する。また、当該PHYヘッダには、BSS識別子、送信電力情報および許容信号情報が含まれる。具体的には、制御部230は、取得された通信情報としての変調方式情報および要求送信電力情報に基づいて、AP100−1#1宛ての送信に用いる通信パラメタとしての変調方式および送信電力を設定する。そして、通信部は、設定された変調方式に係る変調方式情報、設定された送信電力に係る送信電力情報、取得された許容信号情報およびBSS識別子(以下、応答ヘッダ情報とも称する。)を含むPHYヘッダと上記フレームとを含む信号(以下、応答信号とも称する。)を設定される通信パラメタで送信する。
なお、要求送信電力情報に基づいて設定される送信電力は、要求送信電力情報から特定される送信電力と異なってもよい。例えば、PHYヘッダすなわちAP100−1#1宛ての送信に用いられる送信電力は、要求送信電力情報から特定される送信電力と許容される範囲内で異なってもよい。なお、この場合、PHYヘッダに含まれる要求送信電力情報が、PHYヘッダの送信に用いられる送信電力が特定される情報に置き換えられる。
(STA#2の機能)
次に、第2の無線通信装置としてのSTA200−1#2の機能詳細について説明する。
(A.PHYヘッダの受信)
STA200−1#2は、上記STA200−1#1から応答信号を受信する。具体的には、STA200−1#2は、自装置が属するBSS#2と異なるBSS#1に属するSTA200−1#1から変調方式情報を含むPHYヘッダを受信する。
例えば、通信部は、PHYヘッダが受信されると、当該PHYヘッダに含まれる応答ヘッダ情報、すなわち変調方式情報、送信電力情報、許容信号情報およびBSS識別子を取得する。また、通信部は、当該PHYヘッダの送信元であるSTAの送信についての送信停止期間(NAV期間)を設定する。次に、通信部は、取得されたBSS識別子が自装置の属するBSS#2のBSS識別子と一致するかを判定する。取得されるBSS識別子が自装置のBSS識別子と一致しないと判定される場合、通信部は、取得された変調方式情報、送信電力情報および許容信号情報を制御部230に提供する。なお、取得されるBSS識別子が自装置のBSS識別子と一致すると判定される場合、許容送信電力は変更されなくてもよく、送信が困難な程度の低い値に設定されてもよい。
また、STA200−1#2は、応答信号の信号強度を測定する。具体的には、通信部は、受信されるPHYヘッダの信号強度を測定する。例えば、通信部は、PHYヘッダについてRSSI(Received Signal Strength Indicator)を測定する。そして、測定により得られた値は受信電力情報として制御部230に提供される。
(B.送信電力の制御)
STA200−1#2は、PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて送信電力を制御する。具体的には、制御部230は、自装置の送信する信号に係る電波の減衰量に基づいて送信電力を決定する。また、当該減衰量は、PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて推定される。
(B−1.許容送信電力の決定)
より具体的には、制御部230は、許容される送信電力(以下、許容送信電力とも称する。)を決定し、当該許容送信電力以下の範囲で自装置の送信電力を決定する。
例えば、当該減衰量は、自装置とAP100−1#1との距離dに基づいて推定され、当該距離dは、PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて推定される。なお、PHYヘッダの受信により得られる情報は、PHYヘッダに含まれる変調方式情報、送信電力情報および許容信号情報ならびにPHYヘッダについての受信信号強度のうちの少なくとも1つを含む。さらに、図3を参照して、送信電力の制御処理について詳細に説明する。図3は、本実施形態における送信電力の制御処理を説明するための図である。図3には、各装置の位置関係の例が示されている。
まず、制御部230は、自装置とAP100−1#1との距離dを算出する。具体的には、当該距離dは、STA200−1#1とAP100−1#1との距離dと、自装置とSTA200−1#1との距離dとの差を含む。
例えば、図3に示したようにAP100−1#1およびSTA200−1#1が位置し、自装置すなわちSTA200−1#2が当該STA200−1#1から応答信号を受信した場合を考える。この場合、自装置は、STA200−1#1から距離dだけ離れた円周上のどこかに位置するはずである。当該円周上においてAP100−1#1から最も遠くに位置するときの自装置とAP100−1#1との距離は図3に示したようなdmaxであり、当該dmaxはdとdとの和である。また、当該円周上においてAP100−1#1の最も近くに位置するときの自装置とAP100−1#1との距離は図3に示したようなdminであり、当該dminはdとdとの差である。
ここでは、他BSSにおける通信に影響を与える可能性を低くするために、距離d3minが自装置とAP100−1#1との距離として採用される。そこで、制御部230は、距離d3minを算出するために距離dおよびdを算出する。
先に、距離dの算出について説明する。制御部230は、STA200−1#1からAP100−1#1に送信される信号に係る電波の減衰量に基づいて距離dを算出する。具体的には、制御部230は、PHYヘッダから取得される送信電力情報と推定されるAP100−1#1における応答信号についての受信信号強度とに基づいて距離dを算出する。例えば、距離dは次式(1)から算出される。
Figure 2019220979
上記の式(1)において、fは減衰量から距離が算出される関数を示す。また、TxPSTA#1はSTA200−1#1の送信電力を示し、RxPSTA#1>AP#1はSTA200−1#1から受信される信号についてのAP100−1#1の受信電力、例えば受信信号強度を示す。なお、当該関数fは、過去の算出結果に基づいて改善されてもよい。
また、制御部230は、上記の式(1)に代入される、AP100−1#1における応答信号についての受信信号強度を推定する。具体的には、当該受信信号強度は、信号対干渉比(SIR:Signal to Interference Ratio)と許容信号情報とに基づいて推定される。例えば、当該受信信号強度は次式(2)から算出される。
Figure 2019220979
上記の式(2)において、fはSIRおよび許容干渉レベルから受信信号強度が算出される関数を示す。また、SIRAP#1はAP100−1#1におけるSIRを示し、IAP#1はAP100−1#1の許容干渉レベルを示す。なお、当該関数fは、過去の算出結果に基づいて改善されてもよい。
また、制御部230は、上記の式(2)に代入される、AP100−1#1における応答信号についてのSIRを推定する。具体的には、当該SIRは、変調方式情報と受信特性とに基づいて推定される。当該受信特性を示す指標は、例えばビットエラー率(BER:Bit Error Rate)である。例えば、当該SIRは次式(3)から算出される。
Figure 2019220979
上記の式(3)において、fはMCSおよびBERからSIRが算出される関数を示す。また、MCSSTA#1は、STA200−1#1から受信されるPHYヘッダから取得される変調方式情報としてのMCSである。また、BERは、AP100−1#1において達成されることが好ましいMCSSTA#1についてのビットエラー率を示す。さらに、図4を参照して、関数fについて説明する。図4は、BER、MCSおよびSIRの関係の例を示すグラフである。
SIRとBERとはある程度の範囲内で相関する。例えば、図4に示したように、MCSがどの値であっても、BERを低くするためにはSIRを高くすることが要求される。また、MCSの値(インデックス)によってBERとSIRとの関係性が異なる。例えば、図4に示したように、MCSの値が大きくなるほど、同じBERを達成するためにより高いSIRが要求される。例えば、BER0という値以下のBERを達成するためには、MCSの値が0である場合(MCS0の場合)には、SIR0という値以上のSIRが要求される。MCS1の場合には、SIR1という値以上のSIRが要求され、MCS7の場合には、SIR7という値以上のSIRが要求される。なお、SIR0、SIR1、SIR7の順にSIRの値は高くなる。
なお、上記では、受信特性を示す指標がビットエラー率である例を説明したが、パケットエラー率(PER:Packet Error Rate)、シンボル誤り率またはブロック誤り率等の他の受信特性を示す指標であってもよい。
このようにして距離dは算出される。なお、距離dは下記の式(4)のように変形されてもよい。
Figure 2019220979
以上、距離dの算出について説明した。続いて、距離dの算出について説明する。制御部230は、STA200−1#1から自装置が受信する信号に係る電波の減衰量に基づいて距離dを算出する。具体的には、制御部230は、PHYヘッダから取得される送信電力情報と推定される自装置における応答信号についての受信信号強度とに基づいて距離dを算出する。当該受信信号強度は、通信部から得られる受信電力情報から特定される。例えば、距離dは次式(5)から算出される。
Figure 2019220979
上記の式(5)において、RxPSTA#2はSTA200−1#1から受信されるPHYヘッダについてのSTA200−1#2の受信電力、例えば受信信号強度を示す。
以上、距離dの算出について説明した。このように算出された距離dおよびdを用いて、上述したように距離d、ここでは距離dminが算出される。
次に、制御部230は、算出された距離dから電波の減衰量を算出する。具体的には、制御部230は、自装置の信号の送信電力と算出された距離dとに基づいて当該信号に係る電波の減衰量を算出する。例えば、当該減衰量は次式(6)から算出される。
Figure 2019220979
上記の式(6)において、fは距離から減衰量が算出される関数を示す。また、ASTA#2は、STA200−1#1から送信され、STA200−1#2において受信される信号に係る電波の減衰量を示す。なお、当該関数fは、過去の算出結果に基づいて改善されてもよい。
次に、制御部230は、算出された減衰量と上述した許容信号情報とに基づいて送信電力を決定するための許容送信電力を決定する。ここで、自装置から送信される信号についてのAP100−1#1の受信信号強度RxPSTA#2>AP#1は、自装置の送信電力と上記の式(6)で算出された減衰量とから算出される。例えば、当該受信信号強度RxPSTA#2>AP#1は次式(7)から算出される。
Figure 2019220979
上記の式(7)において、TxPSTA#2はSTA200−1#2の送信電力を示す。
当該受信信号強度RxPSTA#2>AP#1は、AP100−1#1がSTA200−1#1の信号を受信するにあたっての干渉信号(干渉電力)となるため、AP100−1#1の許容干渉レベルIAP#1よりも小さいことが望ましい。従って、受信信号強度RxPSTA#2>AP#1と許容干渉レベルとの間には次式(8)の関係性がある。
Figure 2019220979
当該関係性に基づいてSTA200−1#2に許容送信電力Tolerable_TxPSTA#2は、次式(9)のように決定される。
Figure 2019220979
なお、上記の式(9)の右辺の値が当該許容送信電力の範囲の上限として含まれてもよい。
(B−2.送信電力の設定)
STA200−1#2は、自装置のBSS#2に属するAP100−1#2との通信において、決定された許容送信電力の範囲内で送信電力を制御する。具体的には、STA200−1#2は、AP100−1#2からトリガ信号を受信し、受信されるトリガ信号に含まれる要求送信電力情報と許容送信電力とに基づいて自装置の送信電力を設定する。そして、STA200−1#2は、当該トリガ信号への応答となる信号を設定された送信電力で送信する。なお、当該信号は、上記応答信号と実質的に同一であってもよく、当該応答信号と異なる信号であってもよい。
例えば、通信部は、AP100−1#2からトリガ信号が受信されると、当該トリガ信号に含まれる要求送信電力情報を取得する。次に、制御部230は、取得された要求送信電力情報の示す送信電力と自装置の許容送信電力とを比較する。要求送信電力情報の示す送信電力が自装置の許容送信電力以下である場合、制御部230は、自装置の送信電力を当該要求送信電力情報の示す送信電力に設定し、通信部に信号を送信させる。この場合、STA200−1#1からの信号の受信により設定される送信停止時間中であっても、制御部230は、通信部に信号を送信させる。他方で、要求送信電力情報の示す送信電力が自装置の許容送信電力よりも大きい場合、制御部230は、通信部に信号を送信させない。
なお、制御部230は、許容送信電力がSTA200−1#1からのPHYヘッダの受信により変更されている場合、当該STA200−1#1の送信についての送信停止期間が終了すると、許容送信電力を元に戻す。例えば、制御部230は、送信停止期間が設定される前の送信電力または予め決定されている送信電力に許容送信電力を戻す。
(AP#2の機能)
第2の宛先無線通信装置としてのAP100−1#2の機能詳細については、異なるBSSに属すること以外は実質的にAP100−1#1の機能詳細と同一であるため、説明を省略する。
<2−3.装置の処理>
次に、本実施形態に係るAP100−1およびSTA200−1の処理について説明する。
(処理の概要)
まず、図5を参照して、AP100−1およびSTA200−1の処理の概要について説明する。図5は、本実施形態における信号の送信シーケンスおよび当該信号の送信シーケンスにおけるSTA200−1#2の許容送信電力の変化の例を示す図である。
まず、AP100−1#1は、トリガ信号をSTA200−1#1に送信する。例えば、AP100−1#1は、自装置の属するBSS#1に属するSTA200−1#1に送信を許可する場合に、図5に示したようにトリガ信号を送信する。
トリガ信号を受信したSTA200−1#1は、トリガ通知情報に基づいてPHYヘッダを含む応答信号を送信する。例えば、STA200−1#1は、トリガ信号が受信されると、当該トリガ信号に含まれるトリガ通知情報を取得する。次に、STA200−1#1は、トリガ通知情報に基づいて応答ヘッダ情報を生成する。なお、応答ヘッダ情報は、実質的にトリガ通知情報と同一の情報であってもよい。そして、STA200−1#1は、当該トリガ通知情報に基づいて設定される変調方式および送信電力で、応答ヘッダ情報を有するPHYヘッダを含む応答信号をAP100−1#1に送信する。
応答信号を受信したSTA200−1#2は、当該応答信号のPHYヘッダに含まれる応答ヘッダ情報に基づいて許容送信電力を決定する。例えば、STA200−1#2は、AP100−1#1宛てに送信された応答信号が受信されると、当該応答信号のPHYヘッダに含まれる応答ヘッダ情報を取得する。次に、STA200−1#2は、取得される応答ヘッダ情報のうちの変調方式情報、送信電力情報および許容信号情報ならびに応答信号についての受信信号強度に基づいて許容送信電力を決定する。当該決定される許容送信電力は、図5に示したように、STA200−1#1から応答信号が受信される前の値よりも低い。
次に、AP100−1#2は、トリガ信号をSTA200−1#2に送信する。例えば、AP100−1#2は、STA200−1#2に送信を許可する場合、図5に示したようにトリガ信号を送信する。
トリガ信号を受信したSTA200−1#2は、要求される送信電力と許容送信電力とに基づいて信号を送信する。例えば、STA200−1#2は、トリガ信号が受信されると、当該トリガ信号に含まれるトリガ通知情報のうちの要求送信電力情報の示す送信電力が許容送信電力以下である場合、図5に示したように、送信停止期間であってもAP100−1#2宛てに信号を送信する。
また、STA200−1#2は、STA200−1#1の送信が終了すると、許容送信電力を元に戻す。例えば、STA200−1#2は、STA200−1#1の送信についての送信停止期間が終了すると、図5に示したように許容送信電力をSTA200−1#1から信号が受信される前の値に戻す。
(許容送信電力の制御処理)
続いて、図6を参照して、STA200−1#2の許容送信電力の制御処理について説明する。図6は、本実施形態に係るSTA200−1#2の許容送信電力の制御処理を概念的に示すフローチャートである。なお、上述した処理と実質的に同一である処理については説明を省略する。
STA200−1#2は、PHYヘッダの受信を待ち受ける(ステップS302)。具体的には、通信部は、PHYヘッダが受信可能な状態で待機する。
PHYヘッダが受信されると、STA200−1#2は、当該PHYヘッダに含まれる変調方式情報、BSS識別子、送信電力情報および許容信号情報を取得する(ステップS304)。具体的には、通信部は、PHYヘッダが受信されると、当該PHYヘッダに含まれるMCS情報、BSS識別子、送信電力情報および許容信号情報を取得する。
次に、STA200−1#2は、受信されたPHYヘッダが他BSSからのPHYヘッダであるかを判定する(ステップS306)。具体的には、制御部230は、取得されたBSS識別子が自装置の属するBSS#2と一致するかを判定する。
受信されたPHYヘッダが他BSSからのPHYヘッダであると判定されると、STA200−1#2は、他BSSのSTA200−1#1とAP100−1#1との距離dを推定する(ステップS308)。具体的には、制御部230は、取得されたBSS識別子が自装置の属するBSS#2と一致すると判定されると、取得されたMCS情報、送信電力情報および許容信号情報に基づいて上述した距離dを推定する。
次に、STA200−1#2は、他BSSのSTA200−1#1と自装置との距離dを推定する(ステップS310)。具体的には、制御部230は、取得された送信電力情報およびPHYヘッダについての受信信号強度に基づいて上述した距離dを推定する。
次に、STA200−1#2は、他BSSのAP100−1#1と自装置との距離dを推定する(ステップS312)。具体的には、制御部230は、推定された距離dおよびdから距離dを推定する。
次に、STA200−1#2は、距離dを用いて自装置の送信信号の減衰量を推定する(ステップS314)。具体的には、制御部230は、推定された距離dを用いて自装置が送信し、AP100−1#1に受信される信号に係る電波の減衰量を推定する。
次に、STA200−1#2は、許容信号情報と減衰量とに基づいて許容送信電力を決定する(ステップS316)。具体的には、制御部230は、推定された減衰量と許容信号情報とに基づいて許容送信電力を決定する。
次に、STA200−1#2は、PHYヘッダの後に続く信号の送信が終了したかを判定する(ステップS318)。具体的には、制御部230は、STA200−1#1からの送信についての送信停止期間が終了したかを判定する。
PHYヘッダの後に続く信号の送信が終了したと判定されると、STA200−1#2は、許容送信電力を元に戻す(ステップS320)。具体的には、制御部230は、送信停止期間が終了したと判定されると、許容送信電力を元の値に戻す。
(信号送信処理)
続いて、図7を参照して、STA200−1#2の信号送信処理について説明する。図7は、本実施形態に係るSTA200−1#2の信号送信処理を概念的に示すフローチャートである。なお、上述した処理と実質的に同一である処理については説明を省略する。
STA200−1#2は、送信許可の有無を判定する(ステップS402)。具体的には、通信部は、AP100−1#2からトリガ信号が受信されたかを判定する。
送信が許可されたと判定されると、STA200−1#2は、要求送信電力が許容送信電力以下であるかを判定する(ステップS404)。具体的には、制御部230は、トリガ信号が受信されたと判定されると、当該トリガ信号に含まれる要求送信電力情報の示す送信電力が許容送信電力以下であるかを判定する。
要求送信電力が許容送信電力以下であると判定されると、STA200−1#2は、送信処理を実行する(ステップS406)。具体的には、制御部230は、要求送信電力情報の示す送信電力が許容送信電力以下であると判定されると、通信部に信号を送信させる。
<2−4.第1の実施形態のまとめ>
このように、本開示の第1の実施形態によれば、STA200−1#2は、自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属するSTA200−1#1から変調方式情報を含むPHYヘッダを受信し、当該PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて送信電力を制御する。また、STA200−1#1は、当該変調方式情報を含むPHYヘッダを送信する。また、AP100−1#1は、当該変調方式情報を含む信号を送信する。このため、他のBSSの無線通信装置から信号が受信される場合に、当該他のBSSにおける通信を妨げない程度の送信電力で信号を送信することができる。従って、従来のNAV期間のような送信停止期間であっても送信が行われることにより、当該期間における通信リソースの利用効率を向上させることが可能となる。
また、上記PHYヘッダは、上記無線通信ネットワークの識別子を含む。このため、受信されたPHYヘッダが他のBSSに属する装置から送信されたPHYヘッダであるのかを判別することができる。従って、自装置の属するBSSに属する装置からPHYヘッダが受信された場合の送信が防止され、自装置の属するBSSにおける通信が妨げられることを抑制することが可能となる。
また、上記PHYヘッダは、STA200−1#1の送信電力が特定される送信電力情報を含む。ここで、送信電力は固定であってもよく、可変であってもよいため、変動する可能性がある。固定である場合は、STA200−1#2に送信電力情報が予め記憶されればよいが、可変である場合には、送信電力を把握することが困難となる。その結果、送信電力を用いた上述した装置間の距離等の推定について正確性が確保されない。これに対し、本構成によれば、PHYヘッダの送信元であるSTA200−1#1の送信電力に基づいて上述した装置間の距離等をより正確に推定することができる。
また、上記PHYヘッダは、当該PHYヘッダの後に続くフレームの宛先となるAP100−1#1における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される許容信号情報を含む。ここで、許容信号情報は通信状況に応じて変化するため、把握することが困難である。これに対し、本構成によれば、許容信号情報がSTA200−1#1を介して通知されるため、上述した装置間の距離等をより正確に推定することができる。なお、当該許容信号情報として、予め記憶された値が用いられてもよい。
また、上記信号受信のための他の信号に対する許容度は、許容される当該他の信号による干渉の程度または許容される当該他の信号の受信電力の程度を含む。このため、許容干渉レベルまたは受信電力余裕度といった既存の指標が利用されることにより、送信電力の決定処理の実現を容易にすることができる。
また、STA200−1#2は、自装置の送信する信号に係る電波の減衰量に基づいて送信電力を決定し、当該減衰量は、上記PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて推定される。このため、電波の減衰分を考慮して送信電力が決定されることにより、送信電力の過不足を抑制できる。従って、他のBSSの通信を妨げる可能性を抑制しながら、自装置の送信する信号の受信成功率を維持しまたは向上させることが可能となる。
また、STA200−1#2は、上記許容信号情報と上記減衰量とに基づいて送信電力を決定する。このため、AP100−1#1の信号受信を妨げないであろう範囲でより高い送信電力を選択することができる。
また、上記減衰量は、自装置とAP100−1#1との距離に基づいて推定され、当該距離は、上記PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて推定される。このため、当該減衰量の直接的な推定が困難である場合であっても、当該距離を用いて当該減衰量を推定することができる。
また、上記距離は、STA200−1#1とAP100−1#1との距離と、自装置とSTA200−1#1との距離との差を含む。このため、STA200−1#2の送信が他BSSにおける通信に影響を与える可能性を低くすることができる。
また、上記送信電力の制御に用いられるPHYヘッダの受信により得られる情報は、PHYヘッダに含まれる変調方式情報、送信電力情報および許容信号情報ならびにPHYヘッダについての受信信号強度のうちの少なくとも1つを含む。このため、全ての情報が揃う場合には、送信電力制御処理の正確性を向上させることができる。他方で、一部の情報が不足する場合であっても、不足する情報については、例えば予め記憶されている値を用いることにより、送信電力制御処理を行うことができる。
また、STA200−1#2は、自装置の送信する信号の宛先となるAP100−1#2から要求される送信電力が決定される送信電力以下である場合、当該要求される送信電力で信号を送信する。このため、AP100−1#2からの要求を満たしながら、他のBSSの通信に影響を与えにくい送信電力でのみ信号が送信されることにより、受信成功率を維持しながら、他のBSSの通信を妨げることを抑制できる。
また、上記要求される送信電力での信号の送信は、STA200−1#1からの信号の受信により設定される送信停止時間における信号の送信を含む。このため、従来であれば送信が抑制される期間に信号の送信が許可されることにより、通信機会を増加させることができる。従って、通信リソースの利用効率を向上させることが可能となる。
<3.本開示の第2の実施形態(他BSSのAPから信号が受信されない場合)>
以上、本開示の第1の実施形態に係るAP100−1およびSTA200−1について説明した。次に、本開示の第2の実施形態に係るAP100−2およびSTA200−2について説明する。本実施形態では、他のBSSに属するAP100−2#1から送信される信号がSTA200−2#2にて受信されない場合が想定される。なお、装置の構成は、第1の実施形態に係る構成と実質的に同一であるため説明を省略する。また、装置の処理は、第1の実施形態における処理とフロー自体は実質的に同一であるため説明を省略する。
<3−1.装置の機能詳細>
本実施形態に係るAP100−2#1および100−2#2ならびにSTA200−2#1の機能は第1の実施形態における機能と実質的に同一であるため、STA200−2#2の機能についてのみ説明する。
(STA#2の機能)
STA200−2#2は、AP100−2#1から信号が受信されていない場合、AP100−2#1と自装置との距離dはAP100−2#1とSTA200−2#1との距離d以上であるとして送信電力制御を行う。図8を参照して、本実施形態における送信電力の制御処理について詳細に説明する。図8は、本実施形態における送信電力の制御処理を説明するための図である。
本実施形態においては、STA200−2#2は、AP100−2#1から信号を受信しておらず、STA200−2#1から信号を受信した状況が想定される。この状況では、STA200−2#2は、少なくともAP100−2#1とSTA200−2#1との距離dよりもAP100−2#1から遠くに位置していると考えられる。例えば、図8に示したようにSTA200−2#2が位置している可能性がある。そのため、STA200−2#2とAP100−2#1との距離dは、上記距離dよりも長いと考えられる。従って、許容送信電力は、距離dが距離dの長さである場合に許容される送信電力よりも小さければよいと考えられる。
そこで、制御部230は、上述した式(7)および式(9)に基づく次式(10)から許容送信電力を算出する。
Figure 2019220979
なお、上記の式(10)の右辺の値が当該許容送信電力の範囲の上限として含まれてもよい。
<3−2.第2の実施形態のまとめ>
このように、本開示の第2の実施形態によれば、STA200−2#2とAP100−2#1との距離は、AP100−2#1から信号が受信されていない場合、STA200−2#1とAP100−2#1との距離を含む。このため、第1の実施形態のようにAP100−2#1からの信号の受信有無によらず許容送信電力が決定される場合と比べて、許容送信電力が高く決定され易くなる。従って、AP100−2#2から要求される送信電力を満たす可能性が高くなり、STA200−2#2の送信機会が増加する。その結果、通信リソースの利用効率を向上させることができる。
<4.本開示の第3の実施形態(他BSSのAPから信号が受信される場合)>
以上、本開示の第2の実施形態に係るAP100−2およびSTA200−2について説明した。次に、本開示の第3の実施形態に係るAP100−3およびSTA200−3について説明する。本実施形態では、他のBSSに属するAP100−3#1から送信される信号がSTA200−3#2にて受信される場合が想定される。なお、第2の実施形態と同様に、装置の構成および処理については説明を省略する。
<4−1.装置の機能詳細>
本実施形態に係るAP100−3#1および100−3#2ならびにSTA200−3#1の機能は第1の実施形態における機能と実質的に同一であるため、STA200−3#2の機能についてのみ説明する。
(STA#2の機能)
STA200−3#2は、AP100−3#1から信号が受信された場合、当該信号の受信に基づいて推定されるAP100−3#1と自装置との距離dに基づいて送信電力制御を行う。具体的には、制御部230は、AP100−3#1から信号が受信されている場合、AP100−3#1からの信号の受信に基づいて距離dを推定する。図9を参照して、本実施形態における送信電力の制御処理について詳細に説明する。図9は、本実施形態における送信電力の制御処理を説明するための図である。
本実施形態においては、STA200−3#2は、AP100−3#1から信号を受信している状況が想定される。例えば、図9に示したようにSTA200−3#2が位置している可能性がある。この状況では、STA200−3#2は、直接的にAP100−3#1と自装置との距離を推定できる。
そこで、制御部230は、AP100−3#1から受信された信号についての受信電力情報とAP100−3#1の送信電力情報とに基づいて距離dを推定する。そして、制御部230は、推定される距離dを用いて許容送信電力を決定する。
具体的には、まず、制御部230は、AP100−3#1から受信された信号についての受信電力情報すなわち受信信号強度を取得する。例えば、当該受信信号強度は、通信部の測定により得られる。
次に、制御部230は、AP100−3#1の送信電力情報を取得する。例えば、当該送信電力情報は、AP100−3#1の送信する信号に含まれる。なお、AP100−3#1の送信電力は、STA200−3#2に予め記憶される値であってもよい。
次に、制御部230は、上述した関数fを用いて距離dを算出する。例えば、距離dは次式(11)から算出される。
Figure 2019220979
上記の式(11)において、TxPAP#1はAP100−3#1の送信電力を示し、RxPAP#1>STA#2はAP100−3#1から受信される信号についてのSTA200−3#2の受信電力、例えば受信信号強度を示す。
そして、制御部230は、上述した式(7)および式(9)に基づく次式(12)から許容送信電力を算出する。
Figure 2019220979
なお、上記の式(12)の右辺の値が当該許容送信電力の範囲の上限として含まれてもよい。
<4−2.第3の実施形態のまとめ>
このように、本開示の第3の実施形態によれば、STA200−3#2とAP100−3#1との距離は、AP100−3#1から信号が受信されている場合、当該AP100−3#1からの信号の受信に基づいて推定されるSTA200−3#2と当該AP100−3#1との距離を含む。このため、推定されるSTA200−3#2とAP100−3#1との距離dの正確性を向上させることができる。従って、許容送信電力が適切な値に決定され易くなり、他のBSSの通信を妨げることなくSTA200−3#2の送信機会を増加させることをより確実に実現することが可能となる。
<5.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、STA200は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、テレビジョン受像機、プリンタ、デジタルスキャナ若しくはネットワークストレージなどの固定端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、STA200は、スマートメータ、自動販売機、遠隔監視装置又はPOS(Point Of Sale)端末などの、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、STA200は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
一方、例えば、AP100は、ルータ機能を有し又はルータ機能を有しない無線LANアクセスポイント(無線基地局ともいう)として実現されてもよい。また、AP100は、モバイル無線LANルータとして実現されてもよい。さらに、AP100は、これら装置に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
<5−1.第1の応用例>
図10は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913、アンテナスイッチ914、アンテナ915、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース913は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース913は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース913は、アドホックモード又はWi−Fi Direct(登録商標)等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。なお、Wi−Fi Directでは、アドホックモードとは異なり2つの端末の一方がアクセスポイントとして動作するが、通信はそれら端末間で直接的に行われる。無線通信インタフェース913は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF(Radio Frequency)回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース913は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース913は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ914は、無線通信インタフェース913に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ915の接続先を切り替える。アンテナ915は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース913による無線信号の送信及び受信のために使用される。
なお、図10の例に限定されず、スマートフォン900は、複数のアンテナ(例えば、無線LAN用のアンテナ及び近接無線通信方式用のアンテナ、など)を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ914は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図10に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
図10に示したスマートフォン900において、図2を用いて説明したデータ処理部210、無線通信部220および制御部230は、無線通信インタフェース913において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。例えば、無線通信部220は、PHYヘッダが受信されると、当該PHYヘッダに含まれる変調方式情報等の情報を取得する。次に、制御部230は、取得された情報に基づいて許容送信電力を決定し、当該許容送信電力の範囲内で送信電力を設定する。そして、無線通信部220は、設定される送信電力で信号を送信する。これにより、他のBSSに属する無線通信装置の通信中においても、スマートフォン900は通信することができる。従って、通信リソースの利用効率を向上させることが可能となる。
なお、スマートフォン900は、プロセッサ901がアプリケーションレベルでアクセスポイント機能を実行することにより、無線アクセスポイント(ソフトウェアAP)として動作してもよい。また、無線通信インタフェース913が無線アクセスポイント機能を有していてもよい。
<5−2.第2の応用例>
図11は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、アンテナスイッチ934、アンテナ935及びバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース933は、アドホックモード又はWi−Fi Direct等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。無線通信インタフェース933は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース933は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ934は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路の間でアンテナ935の接続先を切り替える。アンテナ935は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送信及び受信のために使用される。
なお、図11の例に限定されず、カーナビゲーション装置920は、複数のアンテナを備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ934は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図11に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
図11に示したカーナビゲーション装置920において、図2を用いて説明したデータ処理部210、無線通信部220および制御部230は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。例えば、無線通信部220は、PHYヘッダが受信されると、当該PHYヘッダに含まれる変調方式情報等の情報を取得する。次に、制御部230は、取得された情報に基づいて許容送信電力を決定し、当該許容送信電力の範囲内で送信電力を設定する。そして、無線通信部220は、設定される送信電力で信号を送信する。これにより、他のBSSに属する無線通信装置の通信中においても、カーナビゲーション装置920は通信することができる。従って、通信リソースの利用効率を向上させることが可能となる。
また、無線通信インタフェース933は、上述したAP100として動作し、車両に乗るユーザが有する端末に無線接続を提供してもよい。その際、例えば、当該端末が上述した本開示の各実施形態のいずれかに係るSTA200と実質的に同一の構成を有する場合には、カーナビゲーション装置920は、当該端末にトリガ信号を送信することにより、他のBSSに属する端末が通信中であっても、当該端末と通信を行うことができる。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
<5−3.第3の応用例>
図12は、本開示に係る技術が適用され得る無線アクセスポイント950の概略的な構成の一例を示すブロック図である。無線アクセスポイント950は、コントローラ951、メモリ952、入力デバイス954、表示デバイス955、ネットワークインタフェース957、無線通信インタフェース963、アンテナスイッチ964及びアンテナ965を備える。
コントローラ951は、例えばCPU又はDSP(Digital Signal Processor)であってよく、無線アクセスポイント950のIP(Internet Protocol)レイヤ及びより上位のレイヤの様々な機能(例えば、アクセス制限、ルーティング、暗号化、ファイアウォール及びログ管理など)を動作させる。メモリ952は、RAM及びROMを含み、コントローラ951により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、ルーティングテーブル、暗号鍵、セキュリティ設定及びログなど)を記憶する。
入力デバイス954は、例えば、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作を受け付ける。表示デバイス955は、LEDランプなどを含み、無線アクセスポイント950の動作ステータスを表示する。
ネットワークインタフェース957は、無線アクセスポイント950が有線通信ネットワーク958に接続するための有線通信インタフェースである。ネットワークインタフェース957は、複数の接続端子を有してもよい。有線通信ネットワーク958は、イーサネット(登録商標)などのLANであってもよく、又はWAN(Wide Area Network)であってもよい。
無線通信インタフェース963は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、近傍の端末へアクセスポイントとして無線接続を提供する。無線通信インタフェース963は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース963は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。アンテナスイッチ964は、無線通信インタフェース963に含まれる複数の回路の間でアンテナ965の接続先を切り替える。アンテナ965は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース963による無線信号の送信及び受信のために使用される。
図12に示した無線アクセスポイント950において、図2を用いて説明したデータ処理部110、無線通信部120および制御部130は、無線通信インタフェース963において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、コントローラ951において実装されてもよい。例えば、当該無線アクセスポイント950と接続される端末が上述した本開示の各実施形態のいずれかに係るSTA200と実質的に同一の構成を有する場合には、無線アクセスポイント950は、当該端末にトリガ信号を送信することにより、他のBSSに属する端末が通信中であっても、当該端末と通信を行うことができる。
<6.むすび>
以上、本開示の第1の実施形態によれば、他のBSSの無線通信装置から信号が受信される場合に、当該他のBSSにおける通信を妨げない程度の送信電力で信号を送信することができる。従って、従来のNAV期間のような送信停止期間であっても送信が行われることにより、当該期間における通信リソースの利用効率を向上させることが可能となる。
また、本開示の第2の実施形態によれば、第1の実施形態のようにAP100−2#1からの信号の受信有無によらず許容送信電力が決定される場合と比べて、許容送信電力が高く決定され易くなる。従って、AP100−2#2から要求される送信電力を満たす可能性が高くなり、STA200−2#2の送信機会が増加する。その結果、通信リソースの利用効率を向上させることができる。
また、本開示の第3の実施形態によれば、推定されるSTA200−3#2とAP100−3#1との距離dの正確性を向上させることができる。従って、許容送信電力が適切な値に決定され易くなり、他のBSSの通信を妨げることなくSTA200−3#2の送信機会を増加させることをより確実に実現することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、STA200#1から受信されるPHYヘッダに基づいてSTA200#2の送信電力制御が行われるとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、AP100#1から同様のPHYヘッダを含む信号が受信される場合は、STA200#2は、当該AP100#1から受信されるPHYヘッダに基づいて送信電力制御を行ってもよい。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
また、上記の実施形態のフローチャートに示されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的にまたは個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置から変調方式情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダを受信する通信部と、
前記PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて送信電力を制御する制御部と、
を備える、無線通信装置。
(2)
前記PHYヘッダは、無線通信ネットワークの識別子を含む、前記(1)に記載の無線通信装置。
(3)
前記PHYヘッダは、前記第1の無線通信装置の送信電力が特定される送信電力情報を含む、前記(1)または(2)に記載の無線通信装置。
(4)
前記PHYヘッダは、前記PHYヘッダの後に続くフレームの宛先となる第1の宛先無線通信装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される許容信号情報を含む、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(5)
前記信号受信のための他の信号に対する許容度は、許容される前記他の信号による干渉の程度または許容される前記他の信号の受信電力の程度を含む、前記(4)に記載の無線通信装置。
(6)
前記制御部は、自装置の送信する信号に係る電波の減衰量に基づいて送信電力を決定し、
前記減衰量は、前記PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて推定される、前記(4)または(5)に記載の無線通信装置。
(7)
前記制御部は、前記許容信号情報と前記減衰量とに基づいて送信電力を決定する、前記(6)に記載の無線通信装置。
(8)
前記減衰量は、自装置と前記第1の宛先無線通信装置との距離に基づいて推定され、
前記距離は、前記PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて推定される、前記(6)または(7)に記載の無線通信装置。
(9)
前記距離は、前記第1の無線通信装置と前記第1の宛先無線通信装置との距離と、自装置と前記第1の無線通信装置との距離との差を含む、前記(8)に記載の無線通信装置。
(10)
前記距離は、前記第1の宛先無線通信装置から信号が受信されていない場合、前記第1の無線通信装置と前記第1の宛先無線通信装置との距離を含む、前記(8)または(9)に記載の無線通信装置。
(11)
前記距離は、前記第1の宛先無線通信装置から信号が受信されている場合、前記第1の宛先無線通信装置からの信号の受信に基づいて推定される自装置と前記第1の宛先無線通信装置との距離を含む、前記(8)〜(10)のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(12)
前記送信電力の制御に用いられる前記PHYヘッダの受信により得られる情報は、前記PHYヘッダに含まれる前記変調方式情報、送信電力情報および許容信号情報ならびに前記PHYヘッダについての受信信号強度のうちの少なくとも1つを含む、前記(6)〜(11)のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(13)
前記通信部は、自装置の送信する信号の宛先となる第2の宛先無線通信装置から要求される送信電力が、前記制御部により決定される送信電力以下である場合、前記要求される送信電力で信号を送信する、前記(6)〜(12)のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(14)
前記要求される送信電力での信号の送信は、前記第1の無線通信装置からの信号の受信により設定される送信停止時間における信号の送信を含む、前記(13)に記載の無線通信装置。
(15)
自装置が属する第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置における送信電力の制御に用いられる、変調方式情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダを送信する通信部を備える、無線通信装置。
(16)
自装置が属する第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置における送信電力の制御に用いられる、変調方式情報を含む信号を送信する通信部を備える、無線通信装置。
(17)
通信部により、自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置から変調方式情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダを受信することと、
制御部により、前記PHYヘッダの受信により得られる情報に基づいて送信電力を制御することと、
を含む、無線通信方法。
100 AP
110、210 データ処理部
120、220 無線通信部
130、230 制御部
140、240 記憶部
200 STA

Claims (8)

  1. 自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置からPHY(Physical Layer)ヘッダを受信する通信部と、
    前記PHYヘッダの受信により得られる許容信号情報と、前記第1の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置から受信される信号の受信電力情報と、に基づいて送信電力を制御する制御部と、
    を備え、
    前記許容信号情報により、前記PHYヘッダの後に続くフレームの宛先となる前記第2の無線通信装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される、無線通信装置。
  2. 前記PHYヘッダは、無線通信ネットワークの識別子を含む、請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 前記信号受信のための他の信号に対する許容度は、許容される前記他の信号による干渉の程度または許容される前記他の信号の受信電力の程度を含む、請求項1に記載の無線通信装置。
  4. 自装置が属する第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置における送信電力の制御に用いられる、許容信号情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダを送信する通信部を備え、
    前記許容信号情報により、前記PHYヘッダの後に続くフレームの宛先となる第1の無線通信装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される、無線通信装置。
  5. 自装置が属する第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置における送信電力の制御に用いられる、許容信号情報を含む信号を送信する通信部を備え、
    前記許容信号情報により、前記第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置が送信するフレームの宛先となる自装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される、無線通信装置。
  6. 通信部により、自装置が属する第2の無線通信ネットワークと異なる第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置からPHY(Physical Layer)ヘッダを受信することと、
    制御部により、前記PHYヘッダの受信により得られる許容信号情報と、前記第1の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置から受信される信号の受信電力情報と、に基づいて送信電力を制御することと、
    を含み、
    前記許容信号情報により、前記PHYヘッダの後に続くフレームの宛先となる前記第2の無線通信装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される、無線通信方法。
  7. 通信部により、自装置が属する第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置における送信電力の制御に用いられる、許容信号情報を含むPHY(Physical Layer)ヘッダを送信すること
    を含み、
    前記許容信号情報により、前記PHYヘッダの後に続くフレームの宛先となる第1の無線通信装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される、無線通信方法。
  8. 通信部により、自装置が属する第1の無線通信ネットワークと異なる第2の無線通信ネットワークに属する第2の無線通信装置における送信電力の制御に用いられる、許容信号情報を含む信号を送信すること
    を含み、
    前記許容信号情報により、前記第1の無線通信ネットワークに属する第1の無線通信装置が送信するフレームの宛先となる自装置における信号受信のための他の信号に対する許容度が特定される、無線通信方法。
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