JP2005243563A - 防水圧接コネクタとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 防水剤充填作業時等のコネクタ製造時に、防水剤が圧接端子に付着するのを抑え、コネクタの電気的特性を向上させる防水圧接コネクタとその製造方法を提供する。
【解決手段】 電線Wの圧接スロットを有する圧接端子21と、圧接端子21を収容するハウジング27及び圧接端子21を保持する端子保持部29が設けられたコネクタ本体25と、圧接端子21を被うようにハウジング27に装着されるカバー21と、圧接端子21とカバー31との間のハウジング27の内部に充填される防水剤33とを備えた防水圧接コネクタにおいて、前記カバー31が内カバー体47と外カバー体49とからなり、内カバー体47がハウジング27の内部に圧接端子21を被うように装着され、外カバー体49がハウジング27の開口部側に装着され、内カバー体47の装着に伴う押付力で圧接端子21の圧接スロットに電線Wが圧接接続される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両等の配線に用いられるワイヤーハーネス用の電線間を導通接続する防水圧接コネクタに関するものである。
従来、車両等の配線に用いられるワイヤーハーネスの電線間を導通接続する防水圧接コネクタとしては、図12(a)(b)に示す構成のものが知られている。この防水圧接コネクタは、複数の電線Wが圧入挟持されて被覆W2が破断され、導体W1と圧接接続される複数の電線Wの圧接スロット2を有する圧接端子1と、圧接端子1を内部に収容するハウジング3A及び圧接端子1を保持する端子保持部3Bが設けられたコネクタ本体3と、コネクタ本体3のハウジング3Aとの間に内部空間5が形成されるように圧接端子1を被ってコネクタ本体3のハウジング3Aに装着されるカバー4とを備え、圧接端子1の圧接スロット2に電線Wが圧接接続され、コネクタ本体3、カバー4の少なく一方に形成された防水剤充填穴6を通して防水剤充填ノズル7から内部空間5にシリコンやグリス等の適度の粘性を有する防水剤8が充填され、圧接端子1の電線Wとの接続点である圧接ポイント12が常時防水剤8中に浸漬され、コネクタ本体3のハウジング3A内が水密状態に密封される構成になっている(特許文献1参照)。
また、図13に示す構成のものも知られている。この防水圧接コネクタは、電線Wが圧接接続される電線Wの圧接スロット2を有する圧接端子1と、その圧接端子1を内部に収容するハウジング3A及び圧接端子1を保持する端子保持部9が設けられたコネクタ本体3と、圧接端子1を被うようにコネクタ本体3のハウジング3Aに装着されるカバー4とを備えた防水圧接コネクタにおいて、コネクタ本体3のハウジング3Aの周縁部に、圧接端子1及び端子保持部9を取り囲むように防水剤8の充填される防水剤堀溝10が形成され、前記カバー4の下側に、上方と側方を閉鎖して下方を開口した防水突起枠11が突設され、コネクタ本体3の周縁部の上面が圧接端子1の圧接ポイント12より低く形成され、防水突起枠11がカバー4の装着時に防水剤堀溝10に充填された防水剤8中に突入して電線WをU字状に屈曲させて沈め込める構成になっている(特許文献2参照)。
特開2001−160429号公報(発明の詳細な説明の項の段落番号0009乃至0011、図1(a)(b)) 実開平04−74869号全文明細書(実用新案登録請求の範囲、第1図(C))
一般に車両等の配線に使用される電線Wは、配索の柔軟性が求められることから銅線等の良導電性線材を撚り合わせた導体W1にプラスチック材等の電気絶縁性の被覆W2を施した絶縁被覆電線が多く用いられている。従って、この電線Wの導体W1内には通常多数の隙間(空隙)が形成されている。
そこで、このような電線Wを導通接続する防水圧接コネクタとして、図12に示す構成の防水圧接コネクタを使用した場合には、コネクタ本体3のハウジング3Aとカバー4により形成された内部空間5に防水剤6が充填され、圧接端子1の圧接ポイント12が常時防水剤8中に浸漬される構成になっているため、高い防水性能が得られる利点がある反面、圧接端子1の圧接ポイント12に流動性を有する防水剤6が被覆W2の破断で露出した導体W1内の多数の隙間を通して侵入して付着し易い。圧接ポイント12に防水剤6が付着すると、防水剤6が一般的に電気絶縁材料であることから、圧接ポイント12における圧接端子1と電線Wとの接触抵抗が増大する。
因みに、本発明の発明者が圧接端子1の圧接スロット2に粘度450cpsのシリコンからなる防水剤8を予め付着させたものと、圧接スロット2にポリオールとトリレンジイソシアネートの2液ポリウレタ系RIM(Reaction Injection Molding)樹脂の防水剤8を予め付着させたものを2種類準備し、それぞれの圧接スロット2に電線(0.5sq)Wを圧接接続させた後、−40℃〜+80℃のサーマルショック試験を行い、各圧接ポイント12の接触抵抗を測定してその変化を調べたところ、図14に示すように、防水剤8の種類により差があるが、サーマルショックサイクル数の増加に伴って接触抵抗が増大し、防水圧接コネクタの電気特性に悪影響を及ぼしていることが判明した。
このようなわけで、図12に示す前者の防水圧接コネクタは、圧接端子1の圧接ポイント12に防水剤8が付着し易く、防水圧接コネクタの電気的特性を悪化させる問題がある。
一方、図13に示す後者の防水圧接コネクタは、コネクタ本体3におけるハウジング3Aの周縁部の上面が圧接ポイント12より低く形成され、防水突起枠11がカバー4の装着時に防水剤堀溝10に充填された防水剤8中に突入して電線WをU字状に屈曲させて沈め込める構成になっているため、圧接端子1の圧接ポイント12が常時防水剤8中に浸漬されることがなくなる。従って、前者の防水圧接コネクタの問題点がかなり改善される。
しかしながら、防水剤堀溝10に防水剤8を充填させる防水剤充填作業時や圧接端子1の圧接スロット2に電線Wを圧接接続する際必要となる電線位置決め作業時等のコネクタ製造時には、カバー4をコネクタ本体3のハウジング3Aから上方等に退避させるため、防水剤堀溝10と圧接端子1間を遮るものがなく、圧接端子1がコネクタ本体3上で四方に露出状態になる。このため、防水剤充填作業時に防水剤充填治具が圧接端子1に触れたり、電線位置決め作業時に作業手袋が防水剤で汚されたりして、防水剤が圧接ポイントに付着する恐れがある。このため、後者の防水圧接コネクタも電気的特性を悪化させる問題がある。
本発明の目的は、防水剤充填作業時や電線位置決め作業時等のコネクタ製造時に、防水剤が圧接端子の圧接ポイントに容易に付着することがなく、コネクタの電気的特性を向上させることができる防水圧接コネクタ及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載された防水圧接コネクタは、電線の圧接スロットを有する圧接端子と、圧接端子を収容するハウジング及び圧接端子を保持する端子保持部が設けられたコネクタ本体と、圧接端子を被うようにコネクタ本体のハウジングに装着されるカバーと、圧接端子とカバーとの間に充填されてハウジング内を水密状態に密封する防水剤とを備えた防水圧接コネクタにおいて、前記カバーが内カバー体と外カバー体とからなり、内カバー体がハウジングの内部に圧接端子を被うように装着され、外カバー体がハウジングの開口部側に装着され、内カバー体の装着に伴う押付力で圧接端子の圧接スロットに電線が圧接接続され、内カバー体と外カバー体との間に防水剤が充填されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に記載された防水圧接コネクタは、請求項1記載のものにおいて、前記ハウジングの開口部側に端子保持部側よりも拡径された拡径筒部が設けられ、端子保持部側から拡径筒部に至る境界部分におけるハウジングの内壁面に外側に出っ張る環状の段差部が形成され、前記内カバー体がハウジングの拡径されていない端子保持部側の内部に装着され、前記外カバー体がハウジングの拡径筒部に装着されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に記載された防水圧接コネクタは、請求項1又は2記載のものにおいて、前記端子保持部に圧接端子を取り囲むように防水剤の侵入を抑制する防水剤侵入抑制枠が設けられてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に記載された防水圧接コネクタの製造方法は、ベース体の上に請求項1記載のカバーの内カバー体を載置し、内カバー体の上にベース体にまたがるように電線を位置決め配置した後、内カバー体、ベース体及び電線の上に電線屈曲治具を被せて、電線を上に凸になるようにコ字状に屈曲させ、電線屈曲治具を取り外した後、請求項1記載のコネクタ本体を、ハウジングの開口部側が下向きで、圧接端子の圧接スロットが電線に対向するようにして内カバー体、ベース体及び電線の上に被せて押し付け、圧接スロットに電線を圧接接続し、その後、コネクタ本体を上下反転させて内カバー体からベース体を取り外し、又は、内カバー体からベース体を取り外した後、コネクタ本体を上下反転させ、コネクタ本体のハウジングの内部に装着された内カバー体の上に防水剤を充填した後、ハウジングの開口部に外カバー体を装着し、ハウジング内を水密状態に密封することを特徴とするものである。
本発明の請求項5に記載された防水圧接コネクタの製造方法は、請求項4記載の製造方法において、前記ベース体が請求項1記載のカバーの外カバー体で構成されることを特徴とするものである。
本発明の請求項1に記載された防水圧接コネクタによると、内カバー体の装着に伴う押付力で圧接端子の圧接スロットに電線が圧接接続された後、内カバー体がハウジングに装着された状態で、内カバー体と外カバー体との間に防水剤が充填されるので、圧接端子の圧接スロットに電線を圧接接続するとき必要な内カバー体に電線を位置決め配置する電線位置決め作業が防水剤充填作業前に行われ、電線位置決め作業時に作業手袋が防水剤で汚されることがなくなる。また、防水剤充填作業時に、内カバー体が仕切り壁の役目をして、防水剤充填治具が圧接端子に触れたり、防水剤が圧接端子側に侵入したりするようなことがなくなる。その結果、防水剤充填作業時や電線位置決め作業時等のコネクタ製造時に、防水剤が圧接端子の電線との接続点である圧接ポイントに付着することがなくなり、防水圧接コネクタの電気的特性を向上させることができる。
本発明の請求項2に記載された防水圧接コネクタによると、ハウジングの開口部側に拡径筒部が設けられて、ハウジングの内壁面に環状の段差部が形成され、内カバー体がハウジングの拡径されていない端子保持部側の内部に装着され、前記外カバー体が拡径筒部に装着されているので、内カバー体の上面及び外周縁ばかりでなく、ハウジングに環状の段差部にわたる範囲まで、且つ、内カバー体で電線を保持した状態で防水剤を充填することが可能になり、コネクタの防水性をより向上させることができる。更に、防水性能が向上するので、防水剤33の使用量が少なくて済み経済的であり、コネクタを小型にすることができる。
本発明の請求項3に記載された防水圧接コネクタによると、前記端子保持部に圧接端子を取り囲むように防水剤の侵入を抑制する防水剤侵入抑制枠が設けられているので、防水剤侵入抑制枠により防水剤が圧接端子側に侵入しにくくなり、圧接端子の圧接ポイントに付着するのが抑制されるので、防水圧接コネクタの電気的特性を更に向上させることができる。
本発明の請求項4に記載された防水圧接コネクタの製造方法によると、ベース体の上に内カバー体を載置し、内カバー体の上にベース体にまたがるように電線を位置決め配置し、電線を上に凸になるようにコ字状に屈曲させてから、コネクタ本体をハウジングの開口部側が下向きになるようにして内カバー体、ベース体及び電線の上に被せて押し付けるので、電線を圧接端子の圧接スロットに均等な力で確実に圧入挟持することができる。従って、圧接スロットで電線の被覆が確実に破断されて、圧接スロットに電線を精度よく圧接接続することができ、防水圧接コネクタを容易に能率よく製造することができる。
本発明の請求項5に記載された防水圧接コネクタの製造方法によると、前記ベース体が外カバー体で構成されるので、ベース体を別に準備しておく必要がなくなり、コネクタの製造コストを低減させることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面により詳細に説明する。図1は本発明の防水圧接コネクタの一実施形態を示す断面図、図2はその分解斜視図、図3はそのコネクタにおけるコネクタ本体の端子保持部に圧接端子が保持された状態を示す拡大斜視図、図4はその圧接端子の圧接スロットに電線が圧接接続されている状態を示す拡大部分断面図である。
本実施形態の防水圧接コネクタは、図1乃至4に示すように、例えば、断面円形の電線(絶縁被覆電線)Wが圧入挟持されて被覆W2(図4参照)が破断され、導体W1(図4参照)と圧接接続される電線Wの圧接スロット23を有する良導電性金属材料、例えば、銅材料からなる複数の圧接端子21と、一方側(上方側)にこれら複数の圧接端子21を収容する角筒状の上方に開口するハウジング27及び長手方向のほぼ中央部に圧接端子21を保持する隔壁からなる端子保持部29が設けられたプラスチック成形体からなるコネクタ本体25と、圧接端子21を被うようにコネクタ本体25のハウジング27に装着されるプラスチック製のカバー31と、圧接端子21とカバー31との間に充填されてハウジング27内を水密状態に密封する防水剤33とを備えている。
複数個の圧接端子21は、例えば、千鳥状に配列され、図3に示すように、各々に上部の電線挿入口が末広がり状に開口する略U、V字状をした1個の圧接スロット23が設けられている。圧接端子21はその各々に1個の圧接スロット23を設ける代わりに、共通1個の圧接端子21に複数の圧接スロット23を形成するようにしてもよく、圧接端子21の構成は本実施形態のものに限定されない。また、端子保持部29に圧接端子21を取り囲むように防水剤33が圧接端子21側に侵入するのを抑制する、例えば、四角形状の防水剤侵入抑制枠35が端子保持部29の上面から起立するように設けられている。この防水剤侵入抑制枠35が設けられていると、これにより防水剤33が圧接端子21側に侵入しにくくなり、圧接端子21の電線Wとの接続点である圧接ポイント37(図4参照)に付着するのが抑制されるので、防水圧接コネクタの電気的特性を更に向上させることができる。
コネクタ本体25のハウジング27の開口部側には、図1、2に示すように、端子保持部29側よりも拡径された角筒状の拡径筒部が設けられ、端子保持部29側から拡径筒部39に至る境界部分におけるハウジング27の内壁面に外側に出っ張る角環状の段差部41が形成される。
また、コネクタ本体25の他方側(下方側)には、図1に示すように、前記ハウジング27と同形状(角筒状)の下方に開口するハウジング43が設けられ、端子保持部29に圧接端子21と一体成形された平型棒状の雄端子45がハウジング43の内部に突出するようにして設けられ、ハウジング43内に挿入される雌コネクタ(図示せず)と接続可能になっている。
カバー31は、図1、2に示すように、それぞれプラスチック成形に四角形板状に形成された内カバー体47と外カバー体49とからなる。内カバー体47は上面の両側部付近に係止用突起51が突設され、下面に複数本の電線Wを案内するための下方に開口する、例えば、コ字状片からなる複数個の案内部材53が電線Wの配設方向及びこれに垂直な方向(内カバー体47の幅方向)に所定間隔をおいて突設され、また、下面の両側部付近に係止用穴56を有する係止用腕55が突設される。更に、電線Wが配設される方向の前後部に、内カバー体47の装着に伴う押付力でコ字状に屈曲した電線Wを案内する電線案内溝57が内カバー体47の幅方向(電線Wの配設方向に垂直な方向)に所定間隔をおいて複数個設けられる。
なお、コネクタ本体のハウジング27の拡径されていない端子保持部29側の内壁面には、内カバー体47がハウジング27内に装着されたとき、前記内カバー体47の係止用腕55の係止用穴56に係入する2個の係止用爪59が対向するように内方に向けて突設されている。
外カバー体49は下面の両側部付近の前記係止用突起51に対応する部位に、内カバー体47の係止用突起51が上方に向けて係入する係止用溝61が設けられる。また、電線Wが配設される方向の前後部にあって、前記内カバー体47の電線案内溝55に対応する部位に、同様に電線Wを案内する電線案内溝55が外カバー体49の幅方向に所定間隔をおいて複数個設けられる。
内カバー体47はハウジング27の拡径されていない端子保持部29側の内部に圧接端子21を被うように装着され、ハウジング27側の係止用爪59が内カバー体47の係止用穴56に係入してハウジング27に係止される。そして、内カバー体47の装着に伴う押付力で圧接端子21の圧接スロット23に電線Wが圧入挟持されて被覆W2が破断され、導体W1と圧接接続される。
外カバー体49は、内カバー体47の上に防水剤33を介して、ハウジング27の開口部側の拡径筒部39にその開口部を塞ぐように装着されると共に、その係止用溝61に内カバー体47の係止用突起51が係入して、内カバー体47に係止、固定される。
防水剤33は、内カバー体47と外カバー体49との間におけるハウジング27の少なくとも拡径筒部39内に、防水剤充填治具(図示せず)や手作業により、注入、塗布、貼付け等することにより所定厚さに充填される。防水剤31は、適度の粘性を有するシリコンやグリス、ホットメルト接着剤、2液混合型硬化弾性樹脂等、内カバー体と外カバー体との間に充填される前に少なくとも流動性を有するものを使用するのが望ましい。更に、防水剤33は、外カバー体49を装着した後に充填してもよいが、後記の防水圧接コネクタの製造方法で説明するように、内カバー体47を装着した後、外カバー体49を装着する前に充填する方が充填作業を容易、且つ、能率よく行うことができるので望ましい。本実施形態の防水圧接コネクタは以上のような構成になっている。
本発明の防水圧接コネクタによると、内カバー体47の装着に伴う押付力で圧接端子21の圧接スロット23に電線Wが圧接接続された後、内カバー体47がハウジング27に装着された状態で、内カバー体47と外カバー体49との間に防水剤33が充填されるので、圧接端子21の圧接スロット23に電線Wを圧接接続するとき必要な内カバー体47に電線Wを位置決め配置する電線位置決め作業が防水剤充填作業前に行われ、電線位置決め作業時に作業手袋が防水剤33で汚されることがなくなる。また、防水剤充填作業時に、内カバー体47が仕切り壁の役目をして、防水剤充填治具が圧接端子21に触れたり、防水剤33が圧接端子21側に侵入したりするようなことがなくなる。その結果、防水剤充填作業時や電線位置決め作業時等のコネクタ製造時に、防水剤33が圧接端子21の電線Wとの接続点である圧接ポイント37に付着することがなくなり、防水圧接コネクタの電気的特性を向上させることができる。
また、上記実施形態のように、ハウジング27の開口部側に拡径筒部39が設けられて、ハウジング27の内壁面に環状の段差部41が形成され、内カバー体47がハウジング27の拡径されていない端子保持部29側の内部に装着され、前記外カバー体49が拡径筒部39に装着されていると、内カバー体47の上面及び外周縁ばかりでなく、ハウジング27に環状の段差部41にわたる範囲まで、且つ、内カバー体47で電線Wを保持した状態で防水剤33を充填することが可能になり、コネクタの防水性をより向上させることができる。更に、防水性能が向上するので、防水剤33の使用量が少なくて済み経済的であり、コネクタを小型にすることができる。
次に本発明に係る防水圧接コネクタの製造方法(組立方法)の一実施形態を上記防水圧接コネクタを製造する場合について、図5〜11に基づいて説明する。
先ず、図5に示すように、プラスチック成形体で出来た矩形板状のベース体63の中央に形成された台座64に、内カバー体47を載置して着脱自在に固定する。次に、図6に示すように、内カバー体47の上に複数本(図示例は5本)の断面円形の電線Wを案内部材53で案内しながらベース体63にまたがるように位置決め配置した後、図7に示すように、内カバー体47、ベース体63及び電線Wの上に、内側に内カバー体47を挿入し得る角形穴66を有する角形環状の電線屈曲治具65を、その角形穴66に内カバー体47を挿入して嵌合しながら被せて、電線Wを上に凸になるようにコ字状に屈曲させる。
次に、図8に示すように、内カバー体47から電線屈曲治具65を取り外した後、図9に示すように、コネクタ本体25を、ハウジング27の開口部が下向きで、圧接端子21の圧接スロット23が電線Wに対向するようにして、内カバー体47、ベース体63及び電線Wの上に被せて押し付け、圧接スロット23に電線Wを圧入挟持して被覆W2を破断し、導体W1と圧接接続する。
次に、図10に示すように、コネクタ本体25を上下180度反転させて、内カバー体47をコネクタ本体25のハウジング27内に残した状態で、該内カバー体47からベース体63を取り外した後、図示省略するが、ハウジング27の内部に装着された内カバー体47の上に、防水剤33を注入、塗布、貼付け等により所定厚さに充填する。その後、図11に示すように、ハウジング27の開口部に外カバー体49を装着し、ハウジング27内を水密に密封することにより、防水圧接コネクタの製造を終了する。
なお、上記製造方法の実施形態では、先にコネクタ本体25を上下反転させてから内カバー体47からベース体63を取り外すようにしたが、先に内カバー体47からベース体63を取り外してからコネクタ本体25を上下反転させるようにしてもよい。
本発明に係る防水圧接コネクタの製造方法によると、ベース体63の上に内カバー体47を載置し、内カバー体47の上にベース体63にまたがるように電線Wを位置決め配置し、電線Wを上に凸になるようにコ字状に屈曲させてから、コネクタ本体25をハウジング27の開口部側が下向きになるようにして内カバー体47、ベース体63及び電線Wの上に被せて押し付けるので、電線Wを圧接端子21の圧接スロット23に均等な力で確実に圧入挟持することができる。従って、圧接スロット23で電線Wの被覆W2が確実に破断されて、圧接スロット23に電線Wを精度よく圧接接続することができ、防水圧接コネクタを容易に能率よく製造することができる。
また、上記製造方法の実施形態では、ベース体63を別に準備したが、外カバー体49をベース体63として使用するようにしてもよい。このようにして防水圧接コネクタを製造すると、ベース体63を予め別個に製作して準備しておく必要がなくなるので、コネクタの製造コストを低減させることができ経済的である。
本発明の防水圧接コネクタの一実施形態を示す断面図である。 上記コネクタの分解斜視図である。 上記コネクタにおけるコネクタ本体の端子保持部に圧接端子が保持された状態を示す拡大斜視図である。 図3の圧接端子の圧接スロットに電線が圧接接続されている状態を示す拡大部分断面図である。 図1の防水圧接コネクタを製造するために、ベース体の台座に内カバー体を載置した状態を示す斜視図である。 図5の状態から、内カバー体の上に電線をベース体にまたがるように位置決め配置した状態を示す斜視図である。 図6の状態から、内カバー体、ベース体及び電線の上に電線屈曲治具を被せて、電線を上に凸になるようにコ字状に屈曲させた状態を示す斜視図である。 図7の状態から、内カバー体から電線屈曲治具を取り外した状態を示す斜視図である。 図8の状態から、コネクタ本体を内カバー体、ベース体及び電線の上に被せて押し付け、圧接スロットに電線を圧接接続した状態を示す斜視図である。 図9の状態から、コネクタ本体を上下反転させて内カバー体からベース体を取り外した状態を示す斜視図である。 図10の状態から、内カバー体の上に防水剤を充填してハウジングの開口部に外カバー体を装着した状態を示す斜視図である。 従来の防水ジョイントコネクタの一例を示すもので、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。 従来の防水圧接コネクタの他例を示す断面図である。 防水剤が付着された圧接端子に電線を圧接させた後、サーマルショック試験による圧接ポイントの接触抵抗の変化を示すグラフである。
符号の説明
21 圧接端子
23 圧接スロット
25 コネクタ本体
27 ハウジング
29 端子保持部
31 カバー
33 防水剤
35 防水剤侵入抑制枠
37 圧接ポイント
39 拡径筒部
41 段差部
43 ハウジング
45 雄端子
47 内カバー体
49 外カバー体
51 係止用突起
53 係止用穴
55 電線案内溝
57 係止用溝
59 係止用爪
61 係止用溝
63 ベース体
64 台座
65 電線屈曲治具
66 角形穴
W 電線
W1 導体
W2 被覆

Claims (5)

  1. 電線の圧接スロットを有する圧接端子と、圧接端子を収容するハウジング及び圧接端子を保持する端子保持部が設けられたコネクタ本体と、圧接端子を被うようにコネクタ本体のハウジングに装着されるカバーと、圧接端子とカバーとの間に充填されてハウジング内を水密状態に密封する防水剤とを備えた防水圧接コネクタにおいて、前記カバーが内カバー体と外カバー体とからなり、内カバー体がハウジングの内部に圧接端子を被うように装着され、外カバー体がハウジングの開口部側に装着され、内カバー体の装着に伴う押付力で圧接端子の圧接スロットに電線が圧接接続され、内カバー体と外カバー体との間に防水剤が充填されてなることを特徴とする防水圧接コネクタ。
  2. 前記ハウジングの開口部側に端子保持部側よりも拡径された拡径筒部が設けられ、端子保持部側から拡径筒部に至る境界部分におけるハウジングの内壁面に外側に出っ張る環状の段差部が形成され、前記内カバー体がハウジングの拡径されていない端子保持部側の内部に装着され、前記外カバー体がハウジングの拡径筒部に装着されてなることを特徴とする請求項1記載の防水圧接コネクタ。
  3. 前記端子保持部に圧接端子を取り囲むように防水剤の侵入を抑制する防水剤侵入抑制枠が設けられてなることを特徴とする請求項1又は2記載の防水圧接コネクタ。
  4. ベース体の上に請求項1記載のカバーの内カバー体を載置し、内カバー体の上にベース体にまたがるように電線を位置決め配置した後、内カバー体、ベース体及び電線の上に電線屈曲治具を被せて、電線を上に凸になるようにコ字状に屈曲させ、電線屈曲治具を取り外した後、請求項1記載のコネクタ本体を、ハウジングの開口部側が下向きで、圧接端子の圧接スロットが電線に対向するようにして内カバー体、ベース体及び電線の上に被せて押し付け、圧接スロットに電線を圧接接続し、その後、コネクタ本体を上下反転させて内カバー体からベース体を取り外し、又は、内カバー体からベース体を取り外した後、コネクタ本体を上下反転させ、コネクタ本体のハウジングの内部に装着された内カバー体の上に防水剤を充填した後、ハウジングの開口部に外カバー体を装着し、ハウジング内を水密状態に密封することを特徴とする防水圧接コネクタの製造方法。
  5. 前記ベース体が請求項1記載のカバーの外カバー体で構成されることを特徴とする請求項4記載の防水圧接コネクタの製造方法。
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