JP2005241820A - ホログラム記録媒体及びその記録方法 - Google Patents

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明子 平尾
Rumiko Hayase
留美子 早瀬
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一紀 松本
Takayuki Tsukamoto
隆之 塚本
Katsutaro Ichihara
勝太郎 市原
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Abstract

【課題】 高記録感度かつ高屈折率差である体積ホログラム記録媒体及びその記録方法の提供。
【解決手段】 本発明のホログラム記録媒体は、透光性の第1及び第2の基板と、第1の基板と第2の基板間に形成され、金属、金属酸化物の微粒子及びカーボンクラスターの少なくともいずれか、3次元架橋ポリマーマトリクス、ラジカル重合性化合物、及び、光ラジカル重合開始剤を有する記録層とを備えることを特徴とする。光加熱成分として、金属、金属酸化物の微粒子又はカーボンクラスターを有することにより、記録感度及び屈折率差を向上することができた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光を用いて記録再生を行う体積ホログラム記録媒体及びその記録方法に係わる。
光を用いて記録再生を行うホログラム記録媒体は、光磁気記録媒体や相変化光記録媒体等に比べ、大容量・高速転送を実現する光記録技術の一つであり、盛んに研究開発が進められている。
特に、体積ホログラム記録媒体は、高い回折効率や優れた波長選択性を備えているため、高記録密度を実現する媒体として有望視されている。
体積ホログラム記録媒体は、少なくとも、第1及び第2の基板と、第1の基板と第2の基板間に形成される記録層を有し、記録層はラジカル重合性化合物と光ラジカル重合開始剤を有する。
記録時において、記録光と参照光が照射されると、記録層には明部と暗部からなる干渉縞が形成される。明部では、光ラジカル重合開始剤が光を吸収してラジカル活性種へと変化する。このラジカル活性種は近隣のラジカル重合性化合物に付加反応し、その付加生成物はラジカル活性種へと変化する。さらに、このラジカル活性種となった付加生成物は近隣のラジカル重合性化合物に付加反応する。この一連の光重合反応が繰り返し起こることで記録層の明部にポリマーが生成される。
一方、記録層中の暗部にあるラジカル重合性化合物は明部へと拡散し、反対に、明部にある他の成分は暗部へと拡散する。これにより、干渉縞の明部と暗部は異なる化合物により構成されて、異なる屈折率を持つようになる。体積ホログラム記録媒体は、この屈折率差を記録情報として保持する。
しかし、光重合反応の反応量は大きく、記録時の成分の移動量は暗部から明部への移動の方が大きい。このため、記録後の記録層では、明部は膨張し暗部は収縮し、体積ホログラム記録媒体表面に凹凸が生じてしまう。この体積変化を抑制するために、記録層に3次元架橋ポリマーマトリクスを用いる提案が為された(特許文献1参照)。
一方、体積ホログラム記録媒体において、記録層に誘電体、半導体、金属等からなる無機微粒子を添加し、明部と暗部の屈折率差を向上させる提案が為された(特許文献2参照。)。光散乱抑制の観点から、この無機微粒子は微細であるほど好ましいとされている。
特開平11‐352303号公報 特開2003‐84651号公報
発明者らは鋭意努力した結果、以下のことを見出した。
まず、3次元架橋ポリマーマトリクスは、ラジカル重合性化合物と光ラジカル重合開始剤による光重合反応を物理的に抑制する。このため、光重合反応の過剰反応は抑制できたが、反応速度は低下し、記録感度が低下するという弊害がわかった。
従来、記録感度を改善するための第1の方法として、露光時間を長くすることが行われた。しかし、長い露光時間は製造時間の長期化を招くため好ましくない。
第2の方法として、記録後に媒体を加熱する処理を加え、熱活性型である光重合反応を促進させることが行われた。しかし、ホログラム記録媒体を、記録後に加熱するのは民生用装置として現実的ではない。
次に、無機微粒子は、記録光及び参照光の吸収効率が低いものでなければ、記録光及び参照光の回折効率を低下させ、記録感度が低下するという弊害が生じることがわかった。また、無機微粒子は、微細であるほど暗部への拡散、偏析が活発となる。これは、ラジカル重合性化合物の明部への拡散を促進するため、体積変化を助長するという問題もある。
本発明は、このような事情に鑑み、高記録感度かつ高屈折率差である体積ホログラム記録媒体の提供を目的とする。
本発明のホログラム記録媒体は、前記第1の基板と前記第2の基板間に形成され、金属、金属酸化物の微粒子及びカーボンクラスターの少なくともいずれか、3次元架橋ポリマーマトリクス、ラジカル重合性化合物、及び、光ラジカル重合開始剤を有する記録層とを備えることを特徴とする。
本発明のホログラム記録方法は、サーボ光が記録光と参照光により照射される前記記録層の記録部を照射することを特徴とする。
本発明によれば、ホログラム記録媒体の記録層に金属、金属酸化物の微粒子又はカーボンクラスターを含むことにより、記録感度と屈折率差の高いホログラム記録媒体を提供する。
また、本発明によれば、サーボ光が記録部を照射することにより、記録感度と屈折率差の高いホログラム記録方法を提供する。
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は発明の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係わるホログラム記録媒体について、詳細に説明する。
ホログラム記録媒体は、第1及び第2の基板と、第1の基板と第2の基板間に形成された記録層により構成される。その他、ホログラム記録媒体は、適宜、反射層、中間層、保護層、スペーサ等を備える。
1) 記録層
記録層は、光加熱成分、3次元架橋ポリマーマトリクス、ラジカル重合性化合物及び光ラジカル重合開始剤により構成される。その他、適宜、添加剤、溶媒等を加えても良い。
次に、記録層に含まれる成分について、順次説明する。
1a) 光加熱成分
光加熱成分は、サーボ光を吸収して熱を発生させるため、熱活性型である光重合反応を活性化する。記録時において、サーボ光は、記録光と参照光が照射される記録部を照射する。これにより、記録部は効率的に加熱され、記録感度を向上できる。
光加熱成分は、記録光及び参照光における吸収が低く、サーボ光における吸収及び光加熱効率が高い。これにより、記録光及び参照光の回折効率は低下せず、記録感度を向上できる。
このような性質を有する光加熱成分として、金属、金属酸化物の微粒子及びカーボンクラスターが挙げられる。これらは、光ラジカル重合開始剤の吸収波長、記録光、参照光及びサーボ光の波長等により適宜選択される。なお、金属、金属酸化物の微粒子とカーボンクラスターを混合してもかまわない。
また、記録前後において、光加熱成分は3次元架橋ポリマーマトリクスの細孔中に保持されることが好ましい。これにより、光加熱成分の拡散、偏析を抑制し、ホログラム記録媒体の体積変化を抑制できる。
まず、金属、金属酸化物の微粒子に関して述べる。
金属、金属酸化物の微粒子は、可視・近紫外光の光加熱効率に優れるため、可視・紫外のサーボ光を用いる場合に適している。
なお、微粒子とは、干渉縞の格子間隔より充分小さく記録を妨げないものを示す。また、その含有率は、金属、金属酸化物の微粒子、他の成分に望まれる含有率により、適宜定められる。
金属の微粒子は、金、銀、パラジウム、白金より選ばれる1種以上であり、金属酸化物の微粒子は、酸化チタンより選ばれる1種以上の微粒子であることが好ましい。
これらの金属、金属酸化物は、可視・紫外光の光加熱効率が他の金属、金属酸化物に比べて高い他に、微粒子の製造が容易である、微粒子の分散が容易である、記録層の他の成分との反応性が低い、という点で好ましい。
特に、金の微粒子は、450nm以上550nm以下の光加熱効率に優れ、銀、パラジウム、白金及び酸化チタンの微粒子は、短波長の光加熱効率に優れる。
金属、金属酸化物の微粒子の平均粒径は、1nm以上100nm以下が好ましい。
金属、金属酸化物の微粒子の平均粒径は1nm以上とすることにより、3次元架橋ポリマーマトリクスの細孔中に保持される。100nm以下とすることにより、一般的な干渉縞の格子間隔(約150-200nm)より充分小さく、記録を妨げない。
なお、本発明では、平均粒径とは長径と短径の平均を指し、電子顕微鏡、原子間顕微鏡等を用いて測定した10個の微粒子の平均とする。
記録層中の含有率は、10wt%以上40wt%以下であることが好ましい。
含有率は、10wt%以上とすることにより、光を加熱する効果が高まり、40wt%以下とすることにより、記録光及び参照光の吸収過多とならず、回折効率を低下させない。また、他の成分の割合の低下による不具合が起こりにくい。
なお、金属、金属酸化物の微粒子は、3次元架橋ポリマーマトリクスと結合してもよい。これにより、金属、金属酸化物の微粒子は、3次元架橋ポリマーマトリクスの細孔中に確実に保持される。
この場合、金属、金属酸化物の微粒子は、常温で液状である重合性化合物、硬化剤等と同様の置換基を有する有機基を修飾している。後述する作成方法を用いることにより、これら有機基を修飾した金属、金属酸化物の微粒子は、常温で液状である重合性化合物、硬化剤等と反応し、3次元架橋ポリマーマトリクスと結合する。
例えば、金の微粒子の場合、エポキシ基を有するチオレート、同ジアルキルジスルフィド等の有機基が修飾されている。
次に、カーボンクラスターに関して述べる。
カーボンクラスターは、可視・近赤外光の光加熱効率に優れるため、可視・赤外のサーボ光を用いる場合に適している。
カーボンクラスターとしては、例えば、C60、C70等のフラーレン、C60@C240@C540等の多重同心球状のバッキーオニオン、ナノチューブ等の他、メタノフラーレン等の化学修飾されたカーボンクラスターが挙げられる。
カーボンクラスターとしては、メタノフラーレンが好ましい。
メタノフラーレンは記録層の他の成分との相溶性が高く、また、フラーレンに比して、耐酸素性、耐熱性も向上する。
メタノフラーレンは、例えば、式(1)に示すように、フラーレンを構成する炭素原子の5員環と6員環のネットワークに炭素原子を架橋させ、その炭素原子は側鎖(R1、R2)を備える。以下、便宜上、化学修飾は1か所の炭素原子による架橋であり、フラーレンはC60である場合について説明する。
Figure 2005241820
(イ)は、架橋により7員環と6員環を形成しているメタノフラーレンである。(ロ)は、架橋により3員環を形成し、その架橋は5員環と6員環の間にあるメタノフラーレンである。(ハ)は、架橋により3員環を形成し、その架橋は6員環と6員環の間にあるメタノフラーレンである。(ニ)は、架橋により2つの7員環を形成しているメタノフラーレンである。
なお、メタノフラーレンは、上記構造式で示されるように理論上(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の4つの異性体があり、すでに(イ)と(ニ)の構造が確認されている。また、本発明においては、これらの異性体を分離することなく用いることができる。
式(1)中、R1及びR2は、同一若しくは異なる鎖状有機基又は環状有機基である。R1及びR2は式(1)に示すフラーレン内の他の炭素原子又は他のフラーレンの炭素原子と結合していてもよい。
メタノフラーレンの合成方法は、例えば、トルエン溶液中でフラーレンにジアゾメタンを反応させる等、公知の様々な方法により合成できる。
カーボンクラスターの分子量は、720以上10000以下であることが好ましい。
これは、カーボンクラスターは、分子量を720以上とすると、3次元架橋ポリマーマトリクスの細孔中に保持される。10000以下とすることにより、一般的な干渉縞の格子間隔(約150-200nm)より充分小さくさせることができ、記録を妨げないためである。
なお、カーボンクラスターは、3次元架橋ポリマーマトリクスと結合してもよい。これにより、カーボンクラスターは、3次元架橋ポリマーマトリクスの細孔中に確実に保持される。
この場合、カーボンクラスターは、常温で液状である重合性化合物、硬化剤等と同様の置換基を有する有機基を修飾している。後述する作成方法を用いることにより、これら有機基を修飾したカーボンクラスターは、常温で液状である重合性化合物、硬化剤等と反応し、3次元架橋ポリマーマトリクスと結合する。
1b) 3次元架橋ポリマーマトリクス
3次元架橋ポリマーマトリクスは、常温で液状である重合性化合物とその硬化剤により形成される。この形成反応は、記録層となる調製溶液の調合時に生じ、記録層形成時には完了している。
3次元架橋ポリマーマトリクスは、物理的な障害となるため、各成分の移動を妨げ、記録時における体積変化を抑制する。すなわち、3次元架橋ポリマーマトリクスは、明部にて生じるラジカル重合性化合物の過剰な光重合反応、光重合反応に伴うラジカル重合成化合物の明部への拡散、及び、光重合反応により生じるポリマーにより押し出された光加熱成分の暗部への拡散、偏析を抑制できる。
3次元架橋ポリマーマトリクスの平均細孔直径は、0.3 nm以上1 nm以下であることが好ましい。
平均細孔直径は、0.3nm以上であることにより、光重合反応の反応速度が上昇し、記録感度が向上する。1nm以下であることにより、光加熱成分の暗部への拡散、偏析による記録層の体積変化をさらに抑制することができる。
常温で液状である重合性化合物としては、エポキシ化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ビニル化合物等が挙げられ、これらの1種以上を使用する。これらは、硬化剤との反応後に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等を形成する。
例えば、エポキシ化合物として、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、1,2,5,6−ジエポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3',4'−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4',5'−エポキシ−2'−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、
ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル等が挙げられる。また、エーテル化合物として、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジル
エーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、パラターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4'−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル等が挙げられる。また、エステル化合物として、アジピン酸ジグリシジルエステル、オルソフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、ビニル化合物としては、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
硬化剤としては、第一級若しくは第二級の脂肪族アミンと芳香族アミン等が挙げられ、これらの1種以上を使用する。硬化剤は、光不活性であるものが好ましい。
例えば、脂肪族アミンには、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、イソフォロジアミン、ジアミノジンクロヘキシルメタン、キシレンジアミン等が挙げられ、芳香族アミンには、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
1c) ラジカル重合性化合物
ラジカル重合性化合物は、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル活性種により光重合反応を生じ、ポリマーを形成する。
ラジカル重合性化合物としては、アクリレート反応基、メタクリレート反応基、ビニル反応基等を有する化合物等が挙げられ、これらの1種以上を使用する。なお、このラジカル重合性化合物は、シロキサン結合を有していてもかまわない。
例えば、アクリレート反応基を有する化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、ジフェン酸(2−メタクリロキシエチル)モノエステル、ベンジルアクリレート、2,3−ジブロムプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−(9−カルバゾリル)エチルアクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、2−(トリシクロ〔5,2,10〕ジブロモデシルチオ)エチルアクリレート、S−(1−ナフチルメチル)チオアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジフェン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、2,3−ナフタリンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、4,5−フェナントレンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、ジブロムネオペンチルグリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,3−ビス〔2−アクリロキシ−3−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)プロポキシ〕ベンゼン、ジエチレンジチオグリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタン、
ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)スルホン等が挙げられる。また、メタクリレート反応基を有する化合物としては、アクリレート反応基を有する化合物として例示した化合物において、アクリレートをメタクリレートに変えた化合物等が挙げられる。また、ビニル反応基を持つものとして、スチレン、2−ブロモスチレン、N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。
1d) 光ラジカル重合開始剤
光ラジカル重合開始剤は、記録光及び参照光によりラジカル活性種を発生し、ラジカル重合性化合物に付加反応し、光重合反応を開始させる。
例えば、米国特許第4,766,055号明細書、同第4,868,092号明細書、同第4,965,171号明細書、特開昭54−151024号公報、同58−15,503号公報、同58−29,803号公報、同59−189,340号公報、同60−76735号公報、特開平1−28715号公報、特開平4−239505号公報及び「プロシーディングス・オブ・コンファレンス・オン・ラジエーション・キュアリング・エイジア」(PROCEEDINGS OF CONFERENCE ON RADIATION CURING ASIA)」(第461〜477頁、1988年)等に記載の公知の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
なお、後述する増感剤としてシアニン系色素を用いる場合、ジアリールヨードニウム塩類、2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類等が好ましい(特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特開平4−239505号公報参照。)。特に、高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類等の使用が好ましい。
ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4'−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3'−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホン酸塩、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸塩等が挙げられる。
2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4'−メトキシ−1'−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
1e) その他
記録層には、適宜、増感剤、高分子結合剤、熱重合防止剤、消泡剤、着色剤、消色剤等の添加剤を加えてもよい。
記録時の光重合反応の際に、これらの添加剤は暗部に移動する。このため、添加剤は、ラジカル重合性化合物との屈折率差が0.01以上であることが好ましい。これにより、記録層の屈折率差を高めることができる。
増感剤は光を吸収し、ラジカル活性種へと変化する成分である。ただし、増感剤は、光ラジカル開始剤に比して、ラジカル活性種の寿命が短い。そのため、記録光及び参照光の波長と光ラジカル開始剤の吸収波長が異なるとき等に用いられる。なお、記録光が可視光の場合、増感剤は色素のような有色化合物が用いられる場合が多い。
増感剤としては、例えば、シアニン系色素(特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号公報参照。)が挙げられ、これらの1種以上を使用する。
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3'−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2'チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3',9'−ジエチル−2,2'チアカルボシアニンベタイン、3,3',9−トリエチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3'−カルボキシメチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3',9−トリエチル−2,2'−(4,5,4',5'−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−〔3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル〕−6−〔2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ〕−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−〔〔3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ヘンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン〕メチル〕3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1',3,3,3',3'−ヘキサメチル−2,2'−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3'−ジエチル−2,2'−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3'−カルボキシメチル−5'−クロロ−2,2'−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5'−ジフェニル−9−エチル−3,3'−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩等が挙げられる。
高分子結合剤は調製溶液の粘度を向上させる成分である。これは、後述する作製方法を採る場合、調製溶液は一定の粘度を有することが好ましいためである。
高分子結合剤の具体例としては、塩素化ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂(アクリル酸エステルの単独重合体もしくは共重合体)、メタアクリル樹脂(メタアクリル酸エステルの単独重合体もしくは共重合体)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、エチルセルロース、アセチルセルロース等が挙げられる。高分子結合剤は、その側鎖または主鎖にカチオン重合性基などの反応性基を有していても良い。
熱重合防止剤は、熱による光重合反応を抑える成分である。これにより、記録後の屈折率の差が減少することを抑制できる。
消泡剤は、調製溶液作成時に生じる泡を消す成分である。例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。
着色剤は、特定波長の光の吸収を高める成分である。
消色剤は、回折効率を高める成分である。
1f) 各成分の割合等
記録層を構成する好ましい各成分の割合は、3次元架橋ポリマーマトリクスは20wt%以上90wt%以下(より好ましくは35wt%以上85wt%以下)、ラジカル重合性化合物は7wt%以上70wt%以下(より好ましくは12wt%以上45wt%以下)、光ラジカル
重合開始剤は0.3wt%以上8wt%以下(より好ましくは0.01wt%以上5wt%以下)、添加剤は0wt%以上10wt%以下(より好ましくは0.01wt%以上10wt%以下)である。
各成分は、この範囲であることにより、各成分の効果を特に発揮できる。例えば、光ラジカル重合開始剤の割合が過大であると、記録光及び参照高の吸収が過多となり、記録層の内部まで干渉縞が形成されないという問題が生じる。
なお、記録層の成分を均一にするために、各成分の相溶性は高い方が好ましい。また、回折効率向上の観点から、記録後には、記録層は無色透明となる成分を組合せることが好ましい。
1g) 作成方法
本発明の記録層の調製溶液は通常の方法で作成される。例えば、上述の各成分を冷暗所にて高速撹拌機を使用して混合することにより作成する。
各成分の分散性を高めるために、有機系溶媒を加えて混合してもよい。有機系溶媒は、低融点を有し、記録層形成時には揮発するものが好ましい。
有機系溶媒の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
このように作成された記録層は、通常のホログラフィー露光装置による干渉縞露光によりその内部に干渉縞を記録することができる。なお、記録光及び参照光には、レーザー光等の高コヒーレンス性(高指向性と狭スペクトル性)の光を用いる。また、一般に、記録光及び参照光の波長は、約300nm以上約1200nm以下である。
記録層中に残存している未反応成分を重合させるために、後露光としてキセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハロゲンランプなどの光源からの光をホログラム記録媒体に全面露光することが好ましい。
2)第1の基板
第1の基板は透光性であり、少なくとも、記録光、参照光及びサーボ光について透光性を有する。
第1の基板の材料は、合成樹脂を用いることができる。第1の基板の厚みは、約100μm以上約1mm以下の厚みを用いるのが好ましい。いわゆるエンジニアリングプラスチックは、透明かつ高機械的強度を備えるため好ましい。また、複屈折がないプラスチックが好ましい。
第1の基板としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリアリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ(エチレンジメチルアクリレート)、ポリジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
3)第2の基板
第2の基板は透光性であり、少なくとも、記録光、参照光及びサーボ光について透光性を有する。
第2の基板の材料及び厚みは、第1の基板と同様である。
なお、ホログラフィー露光装置として、反射型同軸記録装置を用いる場合、第2の基板の厚みは、約200μm以上が好ましい。これは、記録層内における記録光のパワー密度を低下させて、シフト多重距離を短くし、高記録密度を実現するためである。また、第2の基板の記録層側とは反対の面は、位置決めのためのプリグルーブを備える方が好ましい。位置を詳細に把握するために、プリグルーブの突起間隔は、記録シフトより小である方が好ましい。
4)その他
ホログラム記録媒体は、反射層、中間層、保護層、スペーサ等を備えても良い。
ホログラフィー露光装置として、反射型同軸記録装置を用いる場合、ホログラム記録媒体は、第2の基板の記録層側と反対の面に反射層を備える。
反射層の材料は、記録光、参照光及びサーボ光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。例えば、使用する光の波長が約400nm以上約780nm以下である場合にはAl合金やAg合金等を用いることが好ましく、約650nm以上である場合には、Al合金、Ag合金の他、Au合金、Cu合金、TiN等を用いることが好ましい。
反射層の厚さは、十分な反射率を実現し得るように、約50nm以上とすることが好ましく、約100nm以上とすることがより好ましい。
記録層と第1の基板の間又は記録層と第2の基板の間に中間層を備えても良い。これは、第1の基板及び第2の基板の成分と記録層の成分の反応を抑えるためである。
中間層の材料は、記録光、参照光及びサーボ光に対する透過率が高く、記録層、第1の基板及び第2の基板と近い屈折率を有するものが好ましい。
例えば、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化ジルコニウム、弗化パラジウム、弗化バリウム、臭化セシウム、沃化セシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化テルル、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、炭化珪素、硫化亜鉛、チタン酸バリウム、ダイアモンド等が挙げられる。
ホログラム記録媒体の最外面に保護層を備えても良い。
保護層の材料は、記録光、参照光及びサーボ光に対する透過率が高く、記録層、第1の基板及び第2の基板と近い屈折率を有するものが好ましい。
記録層の物理的保護の観点から、保護層は、ガラス、透明樹脂の他、中間層に関して挙げた材料等が好ましい。
記録層の自然光による劣化防止によるシェルフライフ向上の観点から、保護層は、記録光のみに対し透過性を示すフォトブリーチ機能、フォトクロミック機能を有する膜を備え
ることが好ましい。これは、記録前の記録層は、モノマーが分散した準安定状態にあるので自然光劣化が問題となるためである。なお、記録後の記録層は、干渉縞に対応し、ラジカル重合性化合物の重合が完了した安定状態にあるため、自然光によるアーカイブルライフ短寿命化は起こらない。
スペーサは、第1の基板と第2の基板の間に設けられる。スペーサは記録層の膜厚を所望の厚さにするために用いる。スペーサの材料は、記録層の成分との相溶性が低い材料を用いる。例えば、ガラス板、ガラスビーズ、テフロン(R)樹脂、テフロン(R)ビーズ、金属板等が挙げられる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明に係わるホログラム記録方法について、詳細に説明する。
本発明のホログラム記録方法は、サーボ光が記録光と参照光により照射される前記記録層の記録部を照射することを特徴とする。
サーボ光が記録部を照射することにより、光加熱成分を有した記録部は加熱され、熱活性型である光重合反応は活性化し、ホログラム記録媒体の記録感度は向上する。
第2の実施の形態のホログラム記録方法の一例について図1を参照して説明する。便宜上、反射型コリニア方式対応のホログラム記録媒体の記録方法について説明する。図1は、反射型コリニア方式対応のホログラム記録媒体の記録方法を説明するための断面模式図である。
図1に示すように、記録光と参照光は、第1の基板1、記録層2、第2の基板3を通り、反射層4上で集光し、夫々反射し、再び、第2の基板3、記録層2、第1の基板1を透過する。図1では記載を割愛したが、サーボ光についても同様の挙動を示す。
記録光と参照光の照射された記録層の記録部は干渉縞を形成し、記録層に情報を記録する。サーボ光は記録部を照射し、光加熱成分はサーボ光を吸収して記録部を加熱し、記録感度を向上させる。また、サーボ光は、ホログラム記録媒体の平面の位置情報の読み出し(トラッキング)と高さの位置情報の読み出し(フォーカシング)を行う。例えば、サーボ光は、第2の基板の反射層側に備えられたプリグルーブにより位置情報を読み出す。
記録光と参照光は集光するように照射されるので、記録層上面における記録光のビーム径d1は記録層下面における記録光のビーム径d2に比して大である。シフト多重記録は、一定の記録シフトdSの間隔で記録光、参照光、サーボ光を照射し、記録を行う。
以下、サーボ光と記録光と参照光について詳細に説明する。
まず、サーボ光について説明する。
記録部を効率的に加熱するために、本発明のサーボ光のエネルギー密度は通常の光ディスクに比して大であることが望まれる。赤色から赤外にかけての半導体レーザの出力は50
mW以上100 mW以下程度である。従って、サーボ光のエネルギー密度は1 W/cm2以上5000 W/cm2以下程度である。
なお、サーボ光のエネルギー密度は、記録層の感度、第1及び第2の基板の厚み、記録層の深さ、レンズの開口数、ヘッドとディスクの相対回転速度、空間光変調器の使用面積等に依存する。これは、記録光及び参照光についても同様である。
また、記録部全体にサーボ光を照射するため、記録層におけるサーボ光のビーム径は記録光、参照光とほぼ同等であることが好ましい。通常、半導体レーザから出射されたビーム径は狭いため、サーボ光はレンズ、ビームエキスパンダー等で適宜拡げられる。反射型ホログラム記録媒体の場合、記録層においてサーボ光のビーム径は記録光とほぼ同等であり、ビームの広がり角度は反射層で集光するように調整される。
また、光重合反応を妨げないために、サーボ光の波長は光重合性化合物の吸収が低い波長が好ましい。なお、光加熱成分として、短波長の光加熱効率に優れた金属、金属酸化物の微粒子を用いる場合、サーボ光は記録光に比しては長いが、可能な範囲で短い波長が好ましい。例えば、記録光として405nmの青い光を用いる場合で、かつ光重合性化合物が500nm以上に吸収をもたない場合には、500nm以上の波長の光であり、なるべく短波長の光をサーボ光に用いる。
次に、記録光及び参照光について説明する。
記録光は、青色から緑色程度が好ましく、波長は380nm以上550nm以下程度が好ましい。反射型ホログラム記録媒体の場合、記録光及び参照光のエネルギー密度は、記録層下面において1 mW/cm2以上10 W/cm2以下程度である。記録光のビーム径は、記録層上面及び下面において50μm以上1000μm以下である。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
試験Aにより、光加熱成分に銀を用いたホログラム記録媒体について、記録時間及びエラー率を測定した。試験Bにより、光加熱成分に種種の金属、金属酸化物の微粒子を用いたホログラム記録媒体について記録時間を測定した。試験Cにより、光加熱成分にカーボンクラスターを用いたホログラム記録媒体について、記録時間及びエラー率を測定した。
まず、試験Aを説明する。
実施例A1のホログラム記録媒体は、以下の方法により作製した。
まず、記録層となる調製溶液は次に示す化合物を調合して作成した。
光加熱成分として平均粒子径10nmの銀微粒子13.83wt%、3次元架橋ポリマーマトリクスとしてジ(ウレタン−アクリレート)オリゴマーを50.0wt%、ラジカル重合性化合物としてイソボルニルアクリレート25.0wt%とビニル1−ナフトエートを10.0wt%、光ラジカル重合開始剤として、ビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム1.0wt%、消色剤としてtert−ブチルヒドロパーオキシドを0.17wt%を用いた。
次に、第1の基板として、厚さ200μmのポリカーボネート基板を、第2の基板として、厚さ600μmのポリカーボネート基板を準備した。第2の基板には、一面にプリグルーブを形成後、プリグルーブに沿うように反射層を形成した。
そして、第2の基板の反射層側とは反対の面に、記録層となる調整溶液を載せ、乾燥させた後、記録層上に200μm厚のスペーサを介して第1の基板を圧着した。
比較例A1は、実施例A1の光加熱成分の含有率を0wt%とし、3次元架橋ポリマーマト
リクスの含有率を63.83wt%とした以外は、実施例A1と同様である。
以上の方法により得られたホログラム記録媒体を、反射型コリニア方式ホログラフィック記録再生装置に搭載し、記録試験及び再生試験を行った。
なお、反射型コリニア方式ホログラム記録再生装置のレンズの開口数は0.5とした。記録光及び参照光は、波長405nm、パワー30mWの半導体レーザー(日亜化学社製、型番NDHV310ACA)を用いた。なお、記録光の光源はコヒーレンス性を高めるため、外部共振器(Toptica社製、外部共振器半導体レーザシステム、型番DL100)に搭載した。サーボ光は、波長650nm、パワー30mWの半導体レーザー(High Power Device社製、型番HPD-1202)を用いた。記録光及び参照光に記録を載せるために液晶空間光変調器(Display Tech社製Light Caster 1280×768 型番Model LDP-0983-HS1)を用いた。
ここで、図1を参照して、本実施例の試験条件について説明する。記録層上面における記録光及び参照光のビーム径d1は1200μm、記録層下面における記録光及び参照光のビーム径d2は900μm、記録シフトdSは5μmとし、シフト多重記録を行った。サーボ光の記録層上面及び下面におけるビーム径は記録光及び参照光と同様とした。
記録光と参照光のパワーを100分の1に落とし、再生試験を行った。再生光をCCD(Charge Coupled Device)カメラで読みこみ、その結果からRAW(生)ビットエラーレートを算出した。結果を表1に示す。
Figure 2005241820
なお、表1中の3次元架橋ポリマーマトリクスの平均細孔直径は、3次元架橋ポリマーマトリクスの分子の長さ、又は、常温で液状である重合性化合物と硬化剤の分子の長さより求めた。
また、表1の試験Bでは、3次元架橋ポリマーマトリクスの含有率が小さいほど平均細孔直径は大きくなっている。これは、3次元架橋ポリマーマトリクスの含有率が小さいほど、常温で液状である重合性化合物及び硬化剤の反応性が低くなるためである。
実施例A1より、金属、金属酸化物の微粒子を含有することにより、1フレームの記録時間とRAWビットエラーレートが低下していることが解る。これにより、記録感度と記録層の屈折率差が向上したことが解る。
次に、試験Bを説明する。
まず、以下に示すように、ラジカル重合性化合物その他の溶液と3次元架橋ポリマーマトリクスの溶液を調合した。
ラジカル重合性化合物その他の溶液は、次に示す化合物を調合し作成した。ラジカル重合性化合物としてビニルピロリドン 5.023gとビニルカルバソール 2.896g、光ラジカル開始剤として(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム 0.182g、消色剤としてt−ブチルヒドロパーオキシド 0.036g。
3次元架橋ポリマーマトリクスの溶液は次に示す化合物を調合して作成した。常温で液状である重合性化合物として1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 1.000g、硬化剤としてジエチルトリアミン 1.750g。
実施例B1乃至B6及び比較例B1乃至B2について、表1に示す割合で記録層を作成した。その後、試験Aと同様の方法を用いてホログラム記録媒体を作成し、試験Aと同様の記録試験を行った。なお、各実施例及び比較例で用いたサーボ光の波長は、光加熱成分によって適宜変更した。試験結果を表1に示す。
実施例B1乃至B6より、金、銀、パラジウム、白金、酸化チタンの様々な種類の金属、金属酸化物の微粒子を含有することにより、実施例A1と同様に、1フレームの記録時間が短いことが解る。これにより、記録感度が向上したことが解る。
なお、比較例B1は、銀の粒子の平均粒径が干渉縞の格子間隔より充分小さくなかったために、屈折率差が低く、1フレームの記録時間が測定できなかった。
また、比較例B2は、金の微粒子の含有率が多すぎ、回折光の透過を妨げたため、また、光重合性化合物の含有率が低いため、1フレームの記録時間が長くなってしまった。
実施例B1乃至B6及び比較例B1及びB2より、金属、金属酸化物の微粒子の平均粒径は1nm以上100nm以下であり、記録層中の含有率は10wt%以上40wt%以下であることにより、他の弊害を生じることなく記録感度が向上することが解る。
最後に、試験Cを説明する。
光加熱成分に、ビス(トリエチレングリコールモノメチルエーテル)C60誘導体を用いた他は試験Bと同様の方法を用いてホログラム記録媒体を作成した。その後、記録シフトdSを10μmとする以外、試験Aと同様の記録試験と再生試験を行った。試験結果を表1に示す。
実施例C1より、メタノフラーレンを含有することにより、1フレームの記録時間が短いことが解る。これにより、記録感度が向上したことが解る。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限られず、特許請求の範囲に記載の発明の要旨の範疇において様々に変更可能である。また、本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
反射型コリニア方式対応のホログラム記録媒体の記録方法を説明するための断面模式図。
符号の説明
1 第1の基板
2 記録層
3 第2の基板
4 反射層
1 記録層上面における記録光及び参照光のビーム径
2 記録層下面における記録光及び参照光のビーム径
S 記録シフト

Claims (7)

  1. 透光性の第1及び第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板間に形成され、金属、金属酸化物の微粒子及びカーボンクラスターの少なくともいずれか、3次元架橋ポリマーマトリクス、ラジカル重合性化合物、及び、光ラジカル重合開始剤を有する記録層とを備えることを特徴とするホログラム記録媒体。
  2. 前記金属、金属酸化物の微粒子及びカーボンクラスターのいずれかは、前記3次元架橋ポリマーマトリクスの細孔中に保持されることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
  3. 前記金属は、金、銀、パラジウム、白金より選ばれる1種以上であり、前記金属酸化物は、酸化チタンより選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のホログラム記録媒体。
  4. 前記金属、金属酸化物の微粒子の平均粒径は1nm以上100nm以下であり、前記記録層中の含有率は10wt%以上40wt%以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のホログラム記録媒体。
  5. 前記カーボンクラスターはメタノフラーレンであることを特徴とする請求項1又は2記載のホログラム記録媒体。
  6. 前記ホログラム記録媒体は、前記第2の基板の前記記録層側と反対の面に反射層を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のホログラム記録媒体。
  7. サーボ光は記録光と参照光により照射される前記記録層の記録部を照射し、前記金属、金属酸化物の微粒子及びカーボンクラスターの少なくともいずれかはサーボ光を吸収し前記記録部を加熱することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のホログラム記録媒体の記録方法。


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