JP2005240080A - スポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】めっき密着性を良好に確保したまま、スポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】めっき浴中に侵入する鋼板の板温をめっき浴温度より20〜40℃低くすると共に、めっき浴中Al濃度を0.17〜0.30質量%として溶融亜鉛めっきを施し、めっき層/鋼板界面に存在するめっき層中のFe−Al金属間化合物の被覆面積率が40〜90%であり、かつ、めっき層中Fe含有量が0.2g/m2以下である溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関し、例えば自動車用防錆鋼板として用いられる鋼板およびその製造方法に関する。
亜鉛系めっき鋼板は、その優れた犠牲防食性のため自動車用防錆鋼板として国内外を問わず実用化されている。なかでも、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は製造コストが低廉で高耐食性を有することから、現在自動車用防錆鋼板の主流となっている。
自動車製造工程で問題となる亜鉛系めっき鋼板の性能の一つとして、スポット溶接性がある。周知のとおり溶接性はめっき付着量と密接な関係があり、付着量低減により溶接性は改善される。しかしながら、自動車用鋼板として十分な耐食性を確保するために必要なめっき付着量を確保すると、亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性はめっきのない冷延鋼板などに比べると劣っている。
亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接性改善に関しては、従来から以下に示すようないくつかの提案がなされている。
例えば、亜鉛めっき鋼板の表面にZnOを主体とする酸化皮膜を付与することにより、スポット溶接性を改善するという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、最近では、亜鉛系めっき鋼板を酸やアルカリと接触させることにより、めっき最表面の金属Zn量、Al23量を規定した技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、酸化膜量及び酸化膜中のZn含有量とAl含有量との比を規定した技術もある(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、上記技術は主に合金化溶融亜鉛めっき鋼板を対象にした技術である。同じ溶融系亜鉛めっき鋼板であっても、めっき層が主に純亜鉛層からなる溶融亜鉛めっき鋼板とめっき層がZn−Fe金属間化合物からなる合金化溶融亜鉛めっき鋼板とでは、そのスポット溶接時の溶接挙動が根本的に異なり、溶融亜鉛めっき鋼板の溶接性は合金化溶融亜鉛めっき鋼板のそれに比べ著しく劣るという問題がある。
また、溶融亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性とめっき層性状との関係については、めっき中のAl量とスポット溶接性との関係が過去に調査、報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
それによれば、溶融亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性はめっき中のAl量と密接な関係があり、Al量が多くなるとスポット溶接性が劣化することが報告されている。
一方、近年、従来問題であったドロスなどの外観品質上の問題が解決されつつあるため従来自動車用防錆鋼板の主流であった合金化溶融亜鉛めっき鋼板にかわり、溶融亜鉛めっき鋼板が自動車用防錆鋼板として採用される機運が高まってきた。溶融亜鉛めっき鋼板は、合金化処理がないため製造コスト的にもさらに有利であり、今後の自動車用防錆鋼板としての需要の伸びが予想される。従って、性能上の問題として溶融亜鉛めっき鋼板のスポッ卜溶接性の改善が切望されている。
溶融亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性とめっき密着性のいずれにもすぐれた鋼板及びその製造方法について、次のような技術がある。
例えば、めっき層中の総Al量とめっき付着量との関係を特定すること、及びめっき層表層のAl濃度とめっき層η層中のAl濃度との関係を特定した技術がある(例えば、特許文献4参照。)。
また、B及び/又はPを含有する鋼板の少なくとも片面に、めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板(例えば、特許文献5参照。)があり、めっき層中の総Al量とめっき/鋼板界面に存在するFe−Al金属間化合物中のAl量との関係、及びめっき付着量との関係が特定範囲にあるよう規定されている。またこの技術では、めっき浴浴温に対してめっき浴への侵入板温を0〜50℃高くすること、めっき浴浴温とめっき浴中Al濃度との関係が特定範囲にあるようにすることが示されている。
さらに、溶融亜鉛めっき鋼板の降伏応力とめっき付着量とめっき層中の総Al量とが一定の関係にある鋼板がある(例えば、特許文献6参照。)。
特開昭63−230861号公報(第2−3頁) 特開平10−330902号公報(第2−9頁、図1) 特開2000−73183号公報(第2−12頁、図1) 特開2002−105614号公報(第2−11頁、図1) 特開2002−173754号公報(第2−9頁、図1) 特開2002−173755号公報(第2−9頁、図1) 溶接学会論文集 第14巻 第1号(第47−54頁)(1996)
溶融亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性は、上述のように、めっき中のAl量を低減させることにより改善することができる。しかしながら、本来めっき浴中へのAlの添加はめっき密着性を確保するために行われており、ある水準以下にめっき中のAl量を低減させることはめっき密着性の劣化を招来する可能性がある。
上述の先行技術によれば、スポット溶接性が著しく変化するめっき層中のAl濃度は、めっき/鋼板界面にFe2Al5xZnx(以下、Fe−Al金属間化合物という)が明瞭に存在するときのめっき層中のAl濃度に一致することが報告されている。めっき密着性は、このFe−Al金属間化合物の形成状況により大きく変化する。すなわち、Fe−Al金属間化合物が鋼板全面に形成された場合にはZn−Fe合金層の生成が抑制されるため良好な密着性が確保される。しかし、Al濃度を低下させて製造された溶融亜鉛めっき鋼板では、Fe−Al金属間化合物が十分形成されてないためにZn−Fe合金反応が進行して、めっき密着性が著しく劣化する。
従って、従来、めっき密着性を良好に確保したままスポット溶接性を改善することは、技術的な困難を伴うものであった。
本発明はこのような実情に鑑み、スポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、次の技術手段を講じたことを特徴とする。すなわち、本発明は、めっき層/鋼板界面に存在する前記めっき層中のFe−Al金属間化合物の被覆面積率が40〜90%であり、かつ前記めっき層中Fe含有量が0.2g/m2以下であることを特徴とするスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板である。
発明者らは溶融亜鉛めっき鋼板の良好なめっき密着性を確保したままスポット溶接性を改善する方法について鋭意検討を行った。その結果、
(1)めっき層/鋼板界面に存在するめっき層中のFe−Al金属間化合物の被覆面積率が40〜90%であること。
(2)めっき層中Fe含有量が0.2g/m2以下であること。
の条件に合致する溶融亜鉛めっき鋼板が、良好なめっき密着性と優れたスポット溶接性を両立可能であることを見出し、本発明に至った。
上記本発明のスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を好適に製造することができる本発明方法は、鋼板を溶融亜鉛めっき浴に浸漬後、引き上げてめっきを施す溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、めっき浴中に侵入する鋼板の板温をめっき浴温度より20〜40℃低くすると共に、めっき浴中Al濃度:NAlを0.17〜0.30質量%に保って鋼板に溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とするスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
つまり、上記条件を充足する鋼板を製造する方法としては、めっき浴浴温:Tb(℃)、めっき浴への侵入板温:Te(℃)およびめっき浴中Al濃度:NAl(質量%)が下記式(1)、(2)を満足する条件下で鋼板に溶融亜鉛めっきを施すことにより、製造可能であることを見出した。
20≦Tb−Te≦40 ……(1)
0.17≦NAl≦0.30 ……(2)
本発明の技術思想は以下に基づくものである。
亜鉛系めっき鋼板の連続打点時の電極損耗挙動に関しては、電極の銅と亜鉛とが反応して電極先端に生成するCu−Zn合金が脆いので、打点中に剥離することによって電極が虫食い状に浸食されていき、最終的には電極先端径が拡大して溶接電流密度が低下し、電極の寿命にいたるという機構が一般的である。
溶融亜鉛めっき鋼板よりも連続打点性に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合には、電極先端にZn−Fe−O系の酸化物が堆積していき、これが電極保護皮膜となって先端形状が凸状に維持されたまま電流密度が確保されるため、連続打点性に優れるものと考えられている。しかし、溶融亜鉛めっき鋼板の場合には、このZn−Fe−O系の酸化物による電極先端保護皮膜の形成がほとんどないため、すぐに電極形状が虫食い状態となり連続打点性が劣る。
このような電極保護皮膜の形成挙動の差異を生ずる原因としては、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合にはめっき層であるZn−Fe合金層そのものが電極先端に付着して保護皮膜を形成すると考えられるが、溶融亜鉛めっき鋼板の場合にはめっき層が純亜鉛であるためFeはめっき層からは供給されない。また、通常はめっき密着性を確保するために溶融亜鉛めっき鋼板のめっき/鋼板界面はZn−Fe合金化反応を妨げるFe−Al金属間化合物で覆われており、鋼板からのFeの供給も起こらない。さらに、Fe−Al金属間化合物の融点はFe2Al5の場合1169℃であり、溶接時の電極先端温度よりも高温であることから電極先端への融着が起こらず、やはりZn−Fe−O系の酸化物による電極先端保護皮膜のFe供給源とはなり得ない。
そこで本発明者らは、溶融亜鉛めっき鋼板の溶接時に、電極先端にZn−Fe−O系酸化物の保護皮膜を形成させる方法について鋭意検討を行ってきた。その結果、めっき層/鋼板界面のFe−Al金属間化合物の被覆面積率を90%以下とすることにより、溶接通電時に低融点の純Zn層部分は溶融し電極−鋼板間から排出され、電極と鋼板との直接接触が可能となり、電極先端にFeが供給され、めっき層中のZn、大気中のOと反応してZn−Fe−O系酸化物の保護皮膜が形成されることを知見した。
ただし、単にめっき浴中のAl濃度を下げるなどの方法によってFe−Al金属間化合物の被覆面積率を90%以下とした場合には、当然ながらZn−Fe合金化反応が進行し密着性に不利なΓ相、Γ1相などの金属間化合物がめっき時に生成するため、めっき密着性が大きく劣化することも知見した。そこで、良好なめっき密着性を確保する観点から、Fe−Al金属間化合物の被覆面積率は40%以上必要であること、さらにめっき層中Fe含有量は0.2g/m2以下としなければならないことも見出した。
また、このような溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法としては、単純にめっき浴中のAl濃度を下げるなどの手段では達成できず、本発明ではこれまでにない製造条件、すなわち所定の高Al濃度、低侵入板温の領域で製造することによりはじめて実現可能であることを明らかにした。
本発明によれば、従来問題となっていた溶融亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性低下の問題を解決し、スポット溶接性およびめっき密着性のいずれの特性も優れた溶融亜鉛めっき鋼板を提供することが可能となった。従って本発明は工業的にきわめて価値の高いものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき層/鋼板界面に存在するFe−Al金属間化合物の被覆面積率が40〜90%であり、かつめっき層中Fe含有量が0.2g/m2以下であることを必須の要件とする。
本発明においてFe含有量が0.2g/m2以下とするめっき層には、鋼表面上に形成される純Zn層、Zn−Fe合金層およびFe−Al金属間化合物のすべてを含むものである。
めっき層/鋼板界面に存在するFe−Al金属間化合物の被覆面積率が40%未満では、Zn−Fe合金化反応によりめっき密着性が劣化する。一方、被覆面積率が90%を超えるとスポット溶接時の電極と鋼板との直接接触面積が減少するため、Zn−Fe−O系の酸化物による電極先端保護皮膜の形成が不十分となり、スポット溶接性が劣化する。そして被覆面積率が40〜90%の範囲内ではスポット溶接性とめっき密着性の両方が優れている。
なお、Fe−Al金属間化合物の被覆面積率の調査方法は、従来から知られている方法で行えばよい。例えば、溶融亜鉛めっき鋼板を発煙硝酸に浸漬して純Zn層およびZn−Fe合金層を溶解し、鋼板上にFe−Al金属間化合物のみが残存する状態とする。この鋼板を例えばSEM(走査型電子顕微鏡)やEPMA(Electron Probe Micro−Analysis;X線マイクロアナライザ)などを用いて表面から観察し、Fe−Al金属間化合物で覆われた部分の面積率を目視又は画像処理により算出すればよい。被覆面積率の算出精度をより高めるためには、観察倍率を100〜1000倍程度とし、一つの供試材に対して3〜10視野程度観察するのが望ましい。
本発明において、めっき層中のFe含有量は0.2g/m2以下とする。めっき層中のFe含有量が0.2g/m2を超えると、溶融亜鉛めっき鋼板が本来有する良好なめっき密着性が損なわれるので好ましくない。
Fe含有量の下限値は特に定めないが、好ましい下限値は0.01g/m2である。めっき密着性の観点からは、Fe含有量は少ない程好ましいが、実製造においては、鋼中からのFeの拡散によりめっき層にFeが入り、浴中にも鋼板から溶解したFeが存在するので、めっき層中にFeが入ることは避けられず、0.01g/m2未満とすることは困難であるからである。また0.01g/m2未満としようとすると、Fe−Al金属間化合物の被覆面積率を90%超100%以下にするなどして鋼中からめっき層へのFeの拡散を抑える必要が生ずるため、結局、Fe−Al金属間化合物の被覆面積率が本発明の範囲外となり、スポット溶接性が劣化してしまうことがある。
なお、本発明では、溶融亜鉛めっきのめっき付着量を限定するものではないが、通常、自動車用の防錆鋼板として用いられる片面当り付着量30〜150g/m2のものが好適である。
また、本発明は溶融亜鉛めっき鋼板を対象としたものであるが、めっき浴中にAl以外の元素、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性向上を目的としてMg、Cr、Mn、Co、Niなどの元素が添加されたものはこれを制限するものでなく、亜鉛中にこれら元素を含有した溶融亜鉛めっき鋼板も本発明の範疇である。
また、溶融亜鉛めっき鋼板の場合、めっきの濡れ性を確保する目的で、めっき浴中にPb、Sb、Bi、As、Cd、Snなどの元素を添加する場合があるが、これらの溶融亜鉛めっき鋼板も本発明の範疇である。
また、本発明は素材の鋼種もこれを特に制限するものではなく、自動車用鋼板として使用されている冷延鋼板、熱延鋼板などであればよく、機械的特性、鋼中成分、製造方法などは限定されない。
次に、本発明の製造方法について説明する。
通常行われている溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によれば、本発明の特性を有する鋼板、すなわち、Fe−Al金属間化合物の被覆面積率が40〜90%でめっき層中Fe含有量が0.2g/m2以下である鋼板を、安定的に製造することは困難である。これは、単純にめっき浴中のAl濃度を下げるなどの手段によってFe−Al金属間化合物の被覆面積率を40〜90%とした場合には、Zn−Fe合金化反応の進行が促進されるため、めっき層中のFe含有量が0.2g/m2を超えてしまうからである。また、逆に、めっき層中のFe含有量を0.2g/m2以下にしようとした場合には、Fe−Al金属間化合物を鋼板の全面に被覆させる必要があり、Fe−Al金属間化合物の被覆面積率を40〜90%にすることは困難であった。
そこで、本発明では、特にめっき浴中のAl濃度と、鋼板のめっき浴への侵入板温を所定範囲の高Al濃度、低侵入板温の領域とすることにより、Fe−Al金属間化合物の被覆面積率が40〜90%であり、かつめっき層中Fe含有量が0.2g/m2以下である鋼板を安定的に製造することを実現可能にした。
すなわち、本発明のスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、めっき浴温度:Tb(℃)、めっき浴への侵入板温:Te(℃)およびめっき浴中Al濃度:NAl(質量%)が下記式(1)、(2)を満足する条件下で鋼板に溶融亜鉛めっきを施すことである。
20≦Tb−Te≦40 ……(1)
0.17≦NAl≦0.30 ……(2)
本発明では、(1)式に示すように、鋼板のめっき浴への侵入板温をめっき浴温度よりも低い値とする。これは、鋼板からめっき浴中へのFeの溶出速度を遅くし、めっき層/鋼板界面近傍におけるFe濃度を減少させることにより、Fe−Al金属間化合物の生成反応をFeの拡散律速領域とし、結果的にFe−Al金属間化合物の被覆面積率が40〜90%となるようにするためである。また、Feの溶出が抑制されることにより、同時にめっき層中のFe含有量も0.2g/m2以下と低く抑えられ、結果的にめっき密着性の劣化を引き起こさない。
さらに、(2)式に示すように、浴中Al濃度も比較的高濃度の領域とする必要がある。これは、低侵入板温であるためにFeの溶出が少ないうえに、低濃度のAl濃度領域ではAlの供給も少なくなり、Fe−Al金属間化合物の生成量が極端に減少し、結果的にはZn−Fe合金化反応によるめっき密着性の劣化を引き起こしてしまうためである。
本発明において、鋼板のめっき浴への侵入板温とめっき浴温度との差であるTb−Teの値は20℃以上40℃以下とする。Tb−Teの値が20℃未満では、Feの拡散が多く、Fe−Al金属間化合物が鋼板全面を覆ってしまい、スポット溶接性が不良となる。−方、この値が40℃を越えると、Feの拡散が少なくなりすぎるため、Fe−Al金属間化合物の生成量が極端に減少し、結果的にはZn−Fe合金化反応によるめっき密着性の劣化を引き起こす。また、めっき浴の温度保持が困難となる問題もある。
めっき浴中Al濃度NAlは、0.17〜0.30質量%の範囲とする。0.17質量%未満では、Fe−Al金属間化合物の生成量が極端に減少し、結果的にはZn−Fe合金化反応によるめっき密着性の劣化を引き起こす。めっき浴中Al濃度NAlが0.30質量%を超えると、Fe−Al金属間化合物が鋼板全面を覆ってしまい、スポット溶接性が不良となる。
なお、本発明においては、上記のとおり鋼板のめっき浴への侵入板温とめっき浴温度との差が最も重要であり、この値が上記の範囲内であれぱ浴温の影響はあまり大きくない。このため、めっき浴温度は特に限定されず操業の容易さ等を考慮して適宜選択すればよいが、好ましくは440〜490℃、さらに好ましくは450〜475℃である。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
板厚0.8mmの極低炭冷延鋼板を素材とし、連続溶融亜鉛めっきラインにおいて溶融亜鉛めっきを施した。めっき浴中のAl濃度、めっき浴温度、めっき浴中への鋼板の侵入板温を表1に示した。
また、得られた溶融亜鉛めっき鋼板を、インヒビターとしてSbCl3を添加した5質量%塩酸に溶解し、溶解液をICP(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析することにより、めっき層の付着量およびFe含有量(g/m2)を求めた。また、Fe−Al金属間化合物の被覆面積率の調査は、溶融亜鉛めっき鋼板を発煙硝酸に浸漬して純Zn層およびZn−Fe合金層を溶解し、鋼板上にFe−Al金属間化合物のみが残存する状態とした後、この鋼板をSEM(走査型電子顕微鏡)により500倍で各5視野の表面観察を行い、Fe−Al金属間化合物で覆われた部分の面積率を画像処理により算出し、5視野の平均値を求めた。
さらに、比較例5〜7として合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe含有率:10質量%)、電気Zn−Niめっき鋼板(Ni含有率:11質量%)、電気Zn−Feめっき鋼板(Fe含有率:15質量%)についても評価を行った。以下に示すスポット溶接性(連続打点数)、めっき密着性および塗装後耐食性の評価結果も表1に併せて示した。
表1に示す本発明の実施例の鋼板および比較例の鋼板に対して、以下に示す溶接条件によりスポット溶接時の連続打点数の調査を行った。なお、連続打点性調査における溶接電流値は板厚をt(mm)とした時の4√tで示されるナゲット径が得られる電流値I1(kA)及び溶着電流値I2(kA)の平均値を用い、4√tのナゲット径が維持された最大打点数を求めた。3000点以上の連続打点数が得られればスポット溶接性が優れていると判定される。
(溶接条件)
電極CF型
先端径 4.5mmφ
先端角 120°
外径 13mmφ
材質 Cu−Cr
溶接条件
通電時間 10サイクル
加圧力 170kgf(1.7kN)
加圧条件
通電前 30サイクル
通電後 7サイクル
アップダウンスロープなし
また、めっき密着性に関しては以下に示す条件でデュポン衝撃試験を行うことで調査した。めっき密着性は試験後、凸部に対してセロハン粘着テープ剥離を行い、セロハン粘着テープに付着しためっき層の量を蛍光X線で測定し、亜鉛のカウント数(cps)で評価した。1000cps以下であれば、めっき密着性が優れていると判定される。
(試験条件)
荷重 1kg
落重高さ 50cm
ポンチ径 1/4inch
電着塗装後の耐食性は、化成処理及び電着塗装を施した試験板について、塩水噴霧試験により評価した。ここで、化成処理工程は、アルカリ脱脂を日本パーカライジング株式会社製のFC−L4460を用い、温度43℃で、浸漬時間を120秒として行い、室温で、スプレー時間を30秒として水洗を行い、表面調整を日本パーカライジング株式会社製のPL−4040を用い、室温で、スプレー時間を30秒として行った。また化成処理は日本パーカライジング株式会社製のPB−L3020を用い、温度43℃で、浸漬時間を120秒として行い、室温で、スプレー時間を30秒として水洗を行い、次いで熱風乾燥の手順で行った。
また、化成処理を施した試験板の表面に、電着塗料として関西ペイント株式会社製のGT−10LFを用いて、クーロン制御により膜厚が20μmとなるように電着塗装を行い、175℃×25分の条件で焼き付け乾燥を行った。このようにして作製した試験板にクロスカットを入れ、JIS Z 2371:2000の中性塩水噴霧試験に準拠した塩水噴霧試験を行った。塩水噴霧試験を600時間行った後の試験板について、以下のクロスカット部の電着塗膜ふくれの基準により電着塗装後の耐食性を評価した。
◎:片側最大ふくれ幅4mm未満
○:片側最大ふくれ幅4mm以上5mm未満
×:片側最大ふくれ幅5mm以上
これらの試験結果を表1に示す。
Figure 2005240080
表1に示すように、実施例1〜13では、連続打点数、めっき密着性、塗装後耐食性とも優れた特性を示している。
比較例1〜4では、連続打点数、めっき密着性のいずれかが不十分である。また、比較例5〜7に示す合金めっき鋼板では、本発明のような優れた特性は得られない。

Claims (2)

  1. めっき層/鋼板界面に存在する前記めっき層中のFe−Al金属間化合物の被覆面積率が40〜90%であり、かつ前記めっき層中Fe含有量が0.2g/m2以下であることを特徴とするスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 鋼板を溶融亜鉛めっき浴に浸漬後、引き上げてめっきを施す溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、めっき浴中に侵入する鋼板の板温をめっき浴温度より20〜40℃低くすると共に、めっき浴中Al濃度:NAlを0.17〜0.30質量%に保って鋼板に溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とするスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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