JP2005239687A - 嚢胞内投与薬 - Google Patents

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伸彦 由井
Koichi Murakami
弘一 村上
Toru Otani
亨 大谷
Takeshi Nakama
剛 名嘉真
Ikuo Sato
郁夫 佐藤
Ryoji Kawabata
良二 河端
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Abstract

【課題】子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与するための嚢胞内投与薬を提供すること。
【解決手段】本発明の嚢胞内投与薬は、ダナゾールなどの子宮内膜症治療薬及び疎水性基修飾ヒアルロン酸ゲルなどのキャリアを含有する、子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与するための嚢胞内投与薬とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与するための嚢胞内投与薬に関する。
子宮内膜症は、月経痛、性交痛、排便痛、不妊などの原因となる疾患であり、多くの疫学的調査の結果から、生殖年齢層にある女性の5〜10%が罹患していると考えられている。この子宮内膜症に付随して、嚢胞が生じることがある。例えば、子宮内膜症に由来する嚢胞が卵巣内に生じた、卵巣チョコレート嚢胞が知られている。この卵巣チョコレート嚢胞の発生機序は未だに確定されていないが、卵巣に生じた子宮内膜症が出血をともなって嚢胞を形成したものと考えられている。嚢胞内に貯留した血液成分や炎症物質により、慢性的な下腹部痛、腰痛、不妊症が生じると考えられている。
卵巣チョコレート嚢胞の治療としては、子宮内膜症治療薬の経口投与・皮下注射などの内科的治療の他、内視鏡手術などの外科的手術による嚢胞除去や嚢胞内へのエタノール注入による病巣固定術などの外科的治療が行われている。しかし、内科的治療においては、薬剤を全身投与するため肝機能障害、体重増加、不妊、月経の消失、むくみ、ほてり、肩こり、頭痛、骨量低下などの副作用が問題となっている。また、外科的治療は患者の肉体的負担が大きく、エタノール固定術は術後の再発率が30〜40%と高率であることが報告されている。
そこで、シリコーンゴムなどの高分子化合物をマトリックス基剤として子宮内膜症治療薬を保持させた子宮内投与製剤及び膣内投与製剤(例えば特許文献1参照)や、ヒアルロン酸(塩)及び修飾ヒアルロン酸(塩)を担体にして子宮内膜症治療薬を担持させた子宮内投与薬、膣内投与薬、腫瘍内投与薬、及び骨盤内投与薬(例えば特許文献2参照)が開発された。
しかしながら、現在まで、子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に、キャリアとともに子宮内膜症治療薬を注入した子宮内膜症の治療方法は開示されていない。
特許公報第2590358号 特開2002−356447号
そこで、本発明は、子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与するための嚢胞内投与薬を提供することを課題とする。
本発明者らは、子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与するための嚢胞内投与薬の開発に際し、ラット子宮内膜を腹壁皮下に自家移植して卵巣チョコレート嚢胞のモデルラットを作成した。嚢胞内に、ダナゾール含有n−ステアロイル化ヒアルロン酸ゲルを注入することにより、性周期が維持された状況でチョコレート嚢胞内の子宮内膜上皮細胞の萎縮と嚢胞の縮小を観察し、本発明の完成に至った。
[1]子宮内膜症治療薬及びキャリアを含有する、子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与するための嚢胞内投与薬。
[2]前記嚢胞が、卵巣チョコレート嚢胞であることを特徴とする前記[1]項記載の嚢胞内投与薬。
[3]前記子宮内膜症治療薬が、ダナゾールであることを特徴とする前記[1]項または前記[2]項記載の嚢胞内投与薬。
[4]前記キャリアが、生体内分解性高分子であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項記載の嚢胞内投与薬。
[5]前記生体内分解性高分子が、ヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする前記[4]項記載の嚢胞内投与薬。
[6]前記ヒアルロン酸またはその塩が、疎水性基で修飾されている修飾ヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする前記[5]項記載の嚢胞内投与薬。
[7]前記疎水性基で修飾されている修飾ヒアルロン酸またはその塩が、O−アシル化ヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする前記[6]項記載の嚢胞内投与薬。
[8]前記ヒアルロン酸またはその塩が、疎水性基と親水性基で修飾されている修飾ヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする前記[5]項記載の嚢胞内投与薬。
[9]子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与する際、所定量の嚢胞内内容物を抜き取った後、嚢胞内に投与することを特徴とする前記請求項[1]〜[8]のいずれか1項記載の嚢胞内投与薬。
本発明によれば、子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与するための嚢胞内投与薬を提供することができる。
以下、本発明にかかる嚢胞内投与薬の作製方法及び使用方法を、実施例と共に詳細に記述する。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==子宮内膜症治療薬とそのキャリア==
本発明の嚢胞内投与薬は、子宮内膜症治療薬及びそのキャリアを含有する。
子宮内膜症治療薬としては、ダナゾール、非ステロイド性消炎鎮痛剤、漢方薬、プロゲストーゲン、GnRH−アンタゴニスト、ジェノゲスト、血管新生阻害剤およびアロマターゼ阻害剤などを挙げることができる。その中でもダナゾールは局所的に使用した際に顕著な薬効が期待できるので、特に好ましい。
この子宮内膜症治療薬を、単独で嚢胞内に投与すると、すぐに拡散し分解されるので、嚢胞内である程度の時間、保持させたり、徐放させたりするため、キャリアと共に嚢胞内に投与する。キャリアは、医療用の高分子化合物が好ましく、例えば、シリコーンゴム、エチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマーなどが挙げられる。特に、ほ乳類体内で分解されたり吸収されたりする生体内分解性高分子であることが好ましく、例えば、(1)コラーゲンなどのポリペプチド及びその塩、(2)ポリエチレングリコールやポリビニルアルコールなどの親水性高分子、(3)ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチンなどのムコ多糖及びそれらの塩、(4)ヘパラン流酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、硫酸デキストランなどの硫酸化多糖及びそれらの塩(5)アルギン酸、ポリガラクチュロン酸、デキストラン、カルボキシメチルキチンなどの水溶性多糖類及びそれらの塩、などが挙げられる。このような生体内分解性高分子は、嚢胞内部の酵素や活性酸素によって徐々に分解されるため、子宮内膜症治療薬の徐放性に優れているだけでなく、最終的にキャリアである自己を取り出さずに済むという利点がある。
このような嚢胞内投与薬を投与する対象は、ヒトの女性に限定されるものではなく、ヒト以外の哺乳類の雌でもよい。
==ヒアルロン酸(塩)の精製==
以下、キャリアの一例として、ヒアルロン酸(塩)を用いた場合の実施の形態を詳細に述べる。ヒアルロン酸の塩としては、ナトリウム塩が好ましいが、それに限らず、カリウム塩、アルカリ金属塩など、特に限定されない。
まず、ヒアルロン酸(塩)の精製方法を述べる。ヒアルロン酸(塩)の起源は特に限定されず、鶏の鶏冠など各種動物組織由来であっても、ヒアルロン酸(塩)の生産能を有する微生物由来であってもよい。ヒアルロン酸(塩)生産能を有する微生物には、例えば、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenesu)、ストレプトコッカス・エクイシミリス(Streptococcus equisimilis)、ストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(Streptococcus dysgalactiae)、ストレプトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus zooepidemicus)などがある。例えば、これら微生物から、以下のようにしてヒアルロン酸ナトリウムを精製する。まず、上記いずれかの細菌を常法で培養して増殖させると、細菌は培養液中にヒアルロン酸(塩)を分泌する。そこで、この培養液を遠心して菌体を除去後、限外濾過または透析により、低分子を除去する。20℃以下で、濾過液に塩化ナトリウムを0.2mol/lの濃度になるように溶解後、水溶性有機溶媒(エタノール等)を2倍容量添加し、遠心して得られた沈殿を乾燥させ、ヒアルロン酸ナトリウムを得る。
このようにしてヒアルロン酸ナトリウムを精製してもよいが、和光純薬、ナカライテスク、東京化成、生化学工業、シグマなどから市販されている試薬グレードのヒアルロン酸(塩)を購入して用いてもよい。
キャリアとして用いるヒアルロン酸(塩)は、分子量が高くなるほど粘性が大きくなり、分解時間が長くなるため、ヒアルロン酸(塩)の分子量が高いほど、徐放効果は高くなる。そこで、ヒアルロン酸(塩)の分子量を調節することによって、ヒアルロン酸(塩)とともに投与された子宮内膜症治療薬の分解時間を制御できる。
ヒアルロン酸ナトリウムを分子量により分別する具体的な方法としては、ゲルろ過を挙げることができる。この方法を利用すれば、例えば、精製ヒアルロン酸ナトリウムをヒアルロニダーゼ等の酵素により分解し、種々の分子量のヒアルロン酸ナトリウムを生じさせ、これをゲルろ過し、分画を採取することで、必要な分子量のヒアルロン酸ナトリウムが得られる。
ヒアルロン酸(塩)の平均分子量は、HPLCで測定したとき、5000ダルトン〜150万ダルトンであることが好ましいが、この範囲に限定されない。
==修飾ヒアルロン酸(塩)の合成==
次に、このようにして得られたヒアルロン酸(塩)に対し、疎水性基、または疎水性基と親水性基で化学修飾する。子宮内膜症治療薬がダナゾールのように疎水性である場合、疎水性基で修飾されたヒアルロン酸(塩)を用いることによって、子宮内膜症治療薬とヒアルロン酸(塩)の親和性が高まり、徐放性を強化することができる。さらに親水性基を持たせることにより、嚢胞内部の水分と親和性が高まり、スムーズな治療薬の徐放が起こると考えられる。この場合、疎水性基と親水性基の両方を持つ修飾分子で修飾してもよく、どちらか一方を持つ複数の修飾分子で修飾してもよいが、疎水性基の効果を打ち消し、環境との親和性を高めるため、親水基が疎水基の近くにある方が好ましく、この点で、疎水性基と親水性基の両方を持つ修飾分子で化学修飾する方が好ましい。疎水性基としては、炭素官能基(アルキル基、アリール基等)等が挙げられ、親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、リン酸基、硫酸基、アミノ基等が挙げられる。
修飾ヒアルロン酸(塩)は、例えば、ヒアルロン酸(塩)とカチオン性化合物との複合体を用い、非水系溶媒中で、O−アシル化反応、アルコキシル化反応、または架橋化反応などを行うことにより合成できる。
ヒアルロン酸(塩)とカチオン性化合物との複合体とは、ここでは、ヒアルロン酸のアニオン性部位(カルボキシル基)とカチオン性化合物がイオン結合したものをいい、以下のように作成する。まず、カチオン性化合物の水溶液中のカチオン基とヒアルロン酸(塩)の0.05〜1重量%水溶液中のカルボキシル基とのモル比が、0.5〜5:1、好ましくは0.7〜1.5:1、例えば1:1になるように2つの水溶液を混合する。混合により発生した水不溶物を、遠心分離等により回収し、水で洗浄後、乾燥させる。全体の過程において、反応を行う温度は室温でもよいが、使用する溶液を、使用するカチオン性化合物のゲル−液晶転移温度以上に加温して反応させることが好ましい。
なお、ここで用いるカチオン性化合物は、具体的には第4級アンモニウム塩、アミノ基を2個以上有するアミノ酸、ペプチド、ポリアミノ酸の塩、およびアミノ基を有する糖質の塩などであり、好ましくは第4級アンモニウム塩である。第4級アンモニウム塩としては、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(Distearyldimethylammonium Chloride)、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド(Dioleyldimethylammonium Chloride)、セチルピリジニウムクロライド(Cetylpyridinium Chloride)、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(Cetyltrimethylammonium Chloride)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(Cetyltrimethylammonium Bromide)、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロマイド(Ditetradecyldimethylammonium Bromide)、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(Didodecyldimethylammonium Bromide)、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド(Didecyldimethylammonium Bromide)、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(Octadecyltrimethylammonium Chloride)、ノルマルオクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド(n−Octadecyltrimethylammonium Bromide)、トリドデシルメチルアンモニウムクロライド(Tridodecylmethylammonium Chloride)、トリオクチルメチルアンモニウムブロミド(Trioctylmethylammonium Bromide)、ジオクタノイルL−アルファ−フォスファチジルコリン(Dioctanoyl L−α−Phosphatidylcholine)、ジラウロイルL−アルファーフォスファチジルコリン(Dilauroyl L−α−Phosphatidylcholine)、ジパルミトイルDL−アルファ−フォスファチジルコリン(Dipalmitoyl DL−α−Phosphatidylcholine)、1,2−ジミリストイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(1,2−Dimyristoyl−3−Trimethylammonium Propane)、1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(1,2−Dioleoyl−3−Trimethylammonium Propane)、1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(1,2−Dipalmitoyl−3−Trimethylammonium Propane)、1,2−ジステアロイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(1,2−Distearoyl−3−Trimethylammonium Propane)、ベンザルコニウムクロライド(Benzalkonium Chloride)、ベンゼトニウムクロライド(Benzethonium Chloride)などを挙げることができる。
非水系溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、DMF、DMSO、THF、ヘプタン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いることができる。好ましくは、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、DMF、ヘプタン、または、これらの混合溶媒である。また、これらから選ばれた2種以上の混合溶媒を使用してもよい。非水系溶媒に溶解させる上記複合体の濃度は、1〜1000mmol/L の範囲であることが好ましいが、この範囲に限定されない。
疎水性基を持つ修飾ヒアルロン酸を得るためには、これらの非水系溶媒中、上記複合体を、ハロゲン化n−アルカノイル、酸ハロゲン化物、または酸無水物でO−アシル化する。また、ブロンステッド酸、ルイス(Lewis)酸を酸触媒とするアルコールとヒアルロン酸のヒドロキシル基間の脱水反応によるアルコキシル化反応等を行ってもよい。ここで、ハロゲン化n−アルカノイルとしては、n−ブチリルクロライド、n−ヘキサノイルクロライド、n−オクタノイルクロライド、n−デカノイルクロライド、n−ドデカノイルクロライド、n−ステアロイルクロライド等を用いることができる。酸ハロゲン化物としては、ブチリルクロライド、ヘキサノイルクロライド、オクタノイルクロライド、デカノイルクロライド、ドデカノイルクロライド、ステアロイルクロライド、オレオイルクロライド、ベンジルクロライド等を用いることができる。酸無水物としてはブチル酸無水物、ヘキサン酸無水物、ドデカン酸無水物、ステアリン酸無水物、オレイン酸無水物、リノール酸無水物等を用いることができる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール等を用いることができる。
また、疎水性基と親水性基とを持つ修飾ヒアルロン酸を得るためには、カルボキシル基を2つ以上持つ化合物の酸ハロゲン化物、分子内カルボン酸同士を酸無水物化した化合物によるO−アシル化や、多官能性アルコールによるアルコキシル化を行う。例えば、酸ハロゲン化物としては、グルタリルクロライド、アジポイルクロライド、オクタンジオイルクロライド、デカンジオイルクロライド、ドデカンジオイルクロライド、オクタデカンジオイルクロライド、フタロイルクロライド等を用いることができる。酸無水物としては、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、コハク酸無水物、セバシン酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、フタル酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物等を用いることができる。また、多官能性アルコールとしては、エチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、オクタデカンジオール等を用いることができる。
架橋化反応としては、ヒアルロン酸(塩)溶液に対するγ線などの放射線照射、ヒアルロン酸(塩)溶液のpHを調整し、場合によりさらに凍結と解凍を繰り返すなどの処理による自己架橋化反応、ケイ皮酸のような光反応性の官能基をヒアルロン酸(塩)に導入後所定の波長の光を照射する光架橋化反応、さらには(1)多官能性アルデヒド(グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド)、(2)多官能性エポキシ化合物(エピクロルヒドリン、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)エタン、エチレングリコールジグリシジルエーテル)、または(3)多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール)などを架橋剤とする架橋化反応を挙げることができる。
==嚢胞内投与薬の性状及び形状==
本発明の嚢胞内投与薬において、子宮内膜症治療薬とキャリアとの比率は特に限定されるものではなく、患者・病状などによって、適当な比率で混合する。例えば、子宮内膜症治療薬とキャリアとを粉末状で混ぜ合わせ、少なくともキャリアが可溶である溶媒に、溶解あるいは懸濁するまで、混合する。最終的に、嚢胞内投与薬の性状は、固形状、ゲル状、液状の何れであってもよいが、徐放性を考慮に入れた時、ゲル状が最も好ましい。ゲル状であれば、シート状ゲル、球状ゲル、ペースト状ゲルなど、形状は問わないが、嚢胞内に注射器(シリンジ)で注入できる、ペースト状ゲルが特に好ましい。
==嚢胞内投与薬の嚢胞への投与==
本発明の嚢胞内投与薬の適用対象の嚢胞としては、子宮内膜症に併発したものであれば何でもよいが、典型的には、子宮内膜症の好発部位である卵巣に生じた卵巣チョコレート嚢胞が考えられる。
嚢胞内投与薬を嚢胞に投与する手段は、注射器が考えられるが、これに限らない。嚢胞内投与薬を嚢胞内に投与する際、そのまま投与してもよいが、あらかじめ嚢胞の内容物を抜き取った後、嚢胞内投与薬を投与するのが好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明の嚢胞内投与薬を詳細に説明する。ここでは、修飾ヒアルロン酸(塩)として、n−ステアロイル化ヒアルロン酸(塩)を例に挙げる。この場合、ヒアルロン酸の二糖単位に対するモル比で表したn−ステアロイル基の導入量(以下、DSと略す)は、0.01〜0.03が好ましく、0.02が最も好ましい。
==n−ステアロイル化ヒアルロン酸(以下、StHAと略す)の調整==
ヒアルロン酸ナトリウム(チッソ(株)製、平均分子量5万ダルトン)(以下、CHAと略す)1.8gを純水300mlに溶解した。一方、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業(株)製)(以下、DSCと略す)2.47gを純水560mlに加え、懸濁させた。これらの水溶液を45℃に加温後、攪拌しながら混合し、さらに5分間攪拌を続けた。生じた錯体を5000rpm、室温で遠心分離し、沈殿を回収し、45℃の温水で洗浄した。洗浄した沈殿を、一晩、凍結乾燥し、ヒアルロン酸とジステアリルジメチルアンモニウムクロライドの錯体(以下、CHA−DSCと略す)を得た。
こうして得られたCHA−DSC493mgを、窒素中でDMF30mlに攪拌しながら溶解させ、ピリジン3.3mgとn−ステアロイルクロライド12.6mgを加え、60℃で2時間攪拌し、反応させた。反応終了後、飽和酢酸ナトリウムエタノール溶液150mlを加え、ゲルを折出させた。減圧ろ過を行って、ゲルを分離後、90容量%アセトンで5回洗浄後、60℃で真空乾燥し、白色固体のStHAを得た。
H−NMRによるDSは、0.02であり、HPLCによって測定された平均分子量は40万ダルトンであった。
==ダナゾール含有n−ステアロイル化ヒアルロン酸ゲル(以下、D−StHAゲルと略す)の調整==
ダナゾール100mgをメタノール5mlに溶解させ、一方、StHA100mgを純水5mlに溶解させた。これらを混合し、激しく攪拌した後、減圧乾燥により、メタノールを除去した後、凍結乾燥を行い、ダナゾールとStHAの固体混合物を得た。この混合物をPBS(pH7.4、0.14mol/l)10mlに加え、攪拌し、ダナゾール(10mg/ml)含有n−ステアロイル化ヒアルロン酸ゲルD−StHAゲルを得た。
==D−StHAゲルの嚢胞への投与==
ラット子宮内膜を切除し、腹壁皮下に自家移植した。約1週間後、ラット腹壁皮下にチョコレート嚢胞様嚢胞が形成され、卵巣チョコレート嚢胞モデルラットが得られた。
上記嚢胞から、23ゲージのシリンジを用いて内容物(0.5ml)を抜き取り、等量のD−StHAゲルを、23ゲージのシリンジを用いて注入した。なお、未処理の嚢胞を持つラット、及びダナゾールを含まないStHAゲルを注入した嚢胞を持つラット、をネガティブ・コントロールとした。1週間ごとに嚢胞の体積を計測し、4週間後に嚢胞を回収し、常法に従って、パラフィン切片を作製し、ヘマトキシレン−エオシンで染色して観察を行った。
図1〜3に結果を示す。図1は未処理の嚢胞の子宮内膜上皮細胞、図2はダナゾールを含まないStHAゲルを注入した嚢胞の子宮内膜上皮細胞、図3はD−StHAゲルを注入した嚢胞の子宮内膜上皮細胞を示している。図1、図2のネガティブ・コントロールに示す肥厚した子宮内膜上皮細胞に比べ、図3に示す子宮内膜上皮細胞は性周期が維持されているにもかかわらず一様に萎縮した。このように嚢胞内投与薬による卵巣チョコレート嚢胞様嚢胞の治療効果が観察された。
本発明の実施例において、卵巣チョコレート嚢胞モデルラットの未処理の嚢胞の組織切片を示す写真である。 本発明の実施例において、ダナゾールを含まないStHAゲルを注入した、卵巣チョコレート嚢胞モデルラットの嚢胞の組織切片を示す写真である。 本発明の実施例において、D−StHAゲルを注入した、卵巣チョコレート嚢胞モデルラットの嚢胞の組織切片を示す写真である。

Claims (9)

  1. 子宮内膜症治療薬及びキャリアを含有する、子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与するための嚢胞内投与薬。
  2. 前記嚢胞が、卵巣チョコレート嚢胞であることを特徴とする請求項1記載の嚢胞内投与薬。
  3. 前記子宮内膜症治療薬が、ダナゾールであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の嚢胞内投与薬。
  4. 前記キャリアが、生体内分解性高分子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の嚢胞内投与薬。
  5. 前記生体内分解性高分子が、ヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする請求項4記載の嚢胞内投与薬。
  6. 前記ヒアルロン酸またはその塩が、疎水性基で修飾されている修飾ヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする請求項5記載の嚢胞内投与薬。
  7. 前記疎水性基で修飾されている修飾ヒアルロン酸またはその塩が、O−アシル化ヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする請求項6記載の嚢胞内投与薬。
  8. 前記ヒアルロン酸またはその塩が、疎水性基と親水性基で修飾されている修飾ヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする請求項5記載の嚢胞内投与薬。
  9. 子宮内膜症に由来する嚢胞の嚢胞内に投与する際、所定量の嚢胞内内容物を抜き取った後、嚢胞内に投与することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の嚢胞内投与薬。
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