JP2005238072A - 二酸化炭素散布装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 二酸化炭素散布装置1を、海上を航行する船舶から海中に吊り下げられて曳航される配管Pに設けられる装置本体2と、配管Pから液体二酸化炭素を供給されるとともにこの液体二酸化炭素を散布する複数のノズル3とを有する構成とする。装置本体2を、曳航方向に直交する水平軸4aを有するヒンジ4によって配管Pに接続して、装置本体2を、配管Pに対して、曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能にして設ける。
【選択図】 図2
Description
二酸化炭素濃度の上昇を抑えるための一つの手法として、事業所や火力発電所等の二酸化炭素の固定発生源から排出された二酸化炭素ガスを回収して液化し、この液体二酸化炭素を海中に送り込んで、長期にわたって大気と隔離するという構想が提案されている。
ここで、この手法においては、海中の生態系を崩さないよう、海水中における二酸化炭素濃度の上昇を適切な範囲に抑える必要があるので、より大量の二酸化炭素を海中に保存するためには、より広範囲に二酸化炭素を散布する必要がある。
このような二酸化炭素散布装置としては、例えば、後記の特許文献1に記載の希釈放流装置がある。
この希釈放流装置は、船舶から海中に吊り下げられた供給管に設けられるものであって、液体二酸化炭素を散布するノズルを有している。
二酸化炭素の液滴の溶解速度は、液滴と海水との接触面積に比例するので、海水中の二酸化炭素濃度の制御には、二酸化炭素の液滴が消滅するまでに浮上する距離が適切な範囲内となるよう、液滴の表面積を制御する必要がある。ここで、液滴は略球状に形成されるので、液滴の表面積の制御は、液滴の径を制御することによって行われる。
この乱れが大きいと、希釈放流装置から散布された二酸化炭素の液滴の適正な形成が阻害されて、所望の大きさの液滴を発生させることができなくなる恐れがある。
このように希釈放流装置が傾斜すると、希釈放流装置の流体抵抗が大きくなり、曳航方向後方で生じる海流の乱れも大きくなるため、散布した液体二酸化炭素の流れに大きな乱れが生じてしまう恐れがある。
すなわち、本発明にかかる二酸化炭素散布装置は、船舶から海中に吊り下げられて曳航される配管に設けられ、該配管を通じて前記船舶から供給される液体二酸化炭素を散布する二酸化炭素散布装置であって、前記配管に対して、曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能にして設けられていることを特徴とする。
この場合には、ノズルを装置本体の上面側に設けているので、ノズルから散布された液体二酸化炭素が、装置本体の後方に生じる海流の乱れに巻き込まれにくいので、二酸化炭素の液滴の散布を良好に行うことができる。
このため、この二酸化炭素散布装置では、装置本体を大型化することなく、ノズルの設置数を増やすことができるので、流体抵抗の増加を最低限に抑えつつ、二酸化炭素の散布量を増加させることができる。
また、この二酸化炭素散布装置では、ノズルの設置数を同じとした場合には、装置本体をより小型化することができ、より流体抵抗を小さくすることができる。
しかし、配管との接続構造を装置本体の曳航方向中央部に設けた場合には、配管との接続位置が装置本体が相対的な流れを受けることによって生じる揚力中心位置からずれてしまい、装置本体に傾きが生じる恐れがある。
本発明にかかる二酸化炭素散布装置では、装置本体の曳航方向の中央部に、配管との接続構造及び前記配管設備が設けられており、さらに、装置本体には姿勢保持のためのフラップが設けられているので、装置本体の小型化を図りながら、装置本体を流体抵抗の少ない姿勢に保持することができる。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図3を用いて説明する。
本実施の形態にかかる二酸化炭素散布装置1は、図1に示すように、海上を航行する船舶Sから海中に吊り下げられて曳航される配管Pに設けられて、海洋中層(水深1000〜2500m)に保持されるものである。
船舶Sには、液体二酸化炭素が貯蔵される貯蔵タンクと、貯蔵タンク内の液体二酸化炭素を配管Pに圧送するポンプとが設けられており、二酸化炭素散布装置1には、配管Pを通じて、貯蔵タンク内の液体二酸化炭素が供給されるようになっている。
装置本体2は、配管Pに対して、曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能にして設けられている。本実施の形態では、装置本体2の前記一長辺には、曳航方向に直交する水平軸4aを有するヒンジ4が設けられており、装置本体2は、このヒンジ4によるヒンジ結合によって、配管Pに対して、曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能にして接続されている。
これら各ノズル3は、装置本体2の上面側に対して、長手方向(すなわち曳航方向に交差する方向)に、位置をずらして複数設けられており、それぞれ装置本体2に対して、ステー2aを介して、装置本体2から上方に離間した状態にして取り付けられている。
また、これらノズル3は、曳航時の流体抵抗を低減するために、曳航方向に対して流線型をなしている。ここで、各ノズル3の吐出口の径は、二酸化炭素の液滴の好ましい大きさと同程度とされている。
本実施の形態では、配管設備として、配管Pと各ノズル3とを接続する管路Wの一部を構成するマニフォールド6と、各管路Wに設けられてノズル3からの海水の逆流を防止するチェックバルブ7と、各管路Wに設けられてノズル3に供給される液体二酸化炭素の背圧が周囲の水圧以上になった場合にのみ液体二酸化炭素の通過を許容するリリーフバルブ8とが設けられている。
二酸化炭素散布装置1は、このようにして海中で曳航されながら、船舶S上の貯留タンクから配管Pを通じて液体二酸化炭素を供給されることで、ノズル3の吐出口から、液体二酸化炭素を吐出するものである。
また、チェックバルブ7によってノズル3から配管P内への海水の逆流が防止されているので、配管P内でのCO2ハイドレートの形成が防止されて、配管Pの目詰まりが防止されている。
さらに、各ノズル3は、配管Pに対してマニフォールド6を介して接続されているので、各ノズル3には、配管Pから均等な圧力で液体二酸化炭素が供給され、各ノズル3からの液体二酸化炭素が均一に吐出される。
このため、周囲の海水の流れに乱れが生じていない場合には、ノズル3から吐出された液体二酸化炭素は、ノズル3の吐出口の径とほぼ同一の大きさの液滴となって、二酸化炭素散布装置1の軌跡に沿って帯状に広がる。
また、この深度では、二酸化炭素の液滴は、周囲の海水よりもわずかに密度が小さいので、ノズル3から散布された後は、ゆっくりと浮上してゆく。そして、この液滴は、次第に周囲の海中に溶け出して小さくなってゆき、所定高さ上昇した時点で消滅する。
ここで、二酸化炭素散布装置1による液体二酸化炭素の単位時間当たりの散布量をQとし、液滴が吐出されてから上昇した距離をh、液滴の帯の幅をbとすると、海流等の影響による自然拡散が生じる前の段階での二酸化炭素の希釈率(初期希釈率αS)は、次式(1)で表される。
αS=Q/bvh (1)
初期希釈率αSの値は、海水中における二酸化炭素濃度の上昇が海中の生態系を崩さない範囲内となるよう、その上限が定められる。
二酸化炭素の液滴の初期の径が適正(20mm程度)である場合には、液滴は、散布位置から1000m程度まで上昇する可能性があり、この場合には、液体二酸化炭素を数万倍に希釈することが可能となる。
装置本体2が、配管Pに対して、曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能にして設けられているので、曳航時には、配管Pの傾斜の大きさによらず、最も流体抵抗が少なくなる姿勢をとる。
これにより、二酸化炭素散布装置1の後方での海流の乱れが最低限に抑えられる。
すなわち、この二酸化炭素散布装置1では、二酸化炭素の液滴の径を、適切な大きさに保つことができるので、従来構成の二酸化炭素散布装置よりも、上記式(1)で示すhの値を大きくすることができる。
次に、本発明の第二実施形態について、図4及び図5を用いて説明する。
図4及び図5に示すように、本実施の形態にかかる二酸化炭素散布装置21は、第一実施形態に示した二酸化炭素散布装置1において、ノズル3を、装置本体2の上面側だけでなく、下面側にも設けたことを主たる特徴とするものである。
さらに、この二酸化炭素散布装置21では、図5に示すように、装置本体2の上面側に設けられるノズル3と装置本体2の下面側に設けられるノズル3とを、曳航方向に交差する方向の位置をずらして設けている。
本実施の形態では、装置本体2には、長手方向の中央部を挟んで対称にしてノズル3が設けられている。また、装置本体2には、その長手方向の一端側から中央部に向けて、下面側のノズル3、上面側のノズル3とを、この順番で交互に設けている。
ここで、装置本体2の上下面で、ノズル3の設置数は同一とされている。
また、この二酸化炭素散布装置21では、ノズル3の設置数を第一実施形態に示す二酸化炭素散布装置1と同数とした場合には、装置本体2の曳航方向に交差する方向の寸法をより小型化することができ、流体抵抗を一層小さくすることができる。
この場合には、装置本体2の上下方向でノズル3に加わる流体抵抗のバランスが保たれるので、装置本体2の姿勢がより安定する。
以下、本発明の第三実施形態について、図7を用いて説明する。
図7に示すように、本実施の形態にかかる二酸化炭素散布装置31は、第二実施形態に示した二酸化炭素散布装置1において、装置本体2を、配管Pとの接続構造及び配管設備が曳航方向の中央部に設けられ、さらに、姿勢保持のためのフラップ32が設けられた構成としたことを主たる特徴とするものである。
以下、本実施の形態について、第一実施形態に示す二酸化炭素散布装置1と同一または同様の構成については、同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
ここで、本実施の形態では、マニフォールド6は、下端部のみを装置本体2内に収容されている。すなわち、装置本体2の厚みは、マニフォールド6の厚み(高さ)よりも薄く設定されている。
また、マニフォールド6において、装置本体2から突出する上部には、曳航時に生じる流体抵抗を低減するために、平面視において曳航方向に対して流線型をなすフェアリング33が設けられている。
これにより、装置本体2を小型化することができ、流体抵抗を一層小さくして、二酸化炭素散布装置31の曳航方向後方に生じる海流の乱れを小さくすることができる。
また、マニフォールド6と各ノズル3との距離が近くなるため、配管Wの長さを短くすることができ、配管設備のレイアウトが容易となる。
本実施の形態では、マニフォールド6は、上部を装置本体2上に突出させて設けられているが、その分だけ装置本体2自体を小さくすることができるので、装置本体2にマニフォールド6全体を収納する構成とした場合に比べて、流体抵抗が小さくなる。
しかし、本実施形態にかかる二酸化炭素散布装置31では、装置本体2には姿勢保持のためのフラップ32が設けられている。このフラップ32には、装置本体2が曳航されることによって装置本体2に対する相対的な海流を受けることで、装置本体2の曳航方向後部に、下方に向く力Fが作用するので、この二酸化炭素散布装置31では、装置本体2を略水平に保持して、流体抵抗を低減することができる。
以下、本発明の第四実施形態について、図8及び図9を用いて説明する。
図8及び図9に示すように、本実施の形態にかかる二酸化炭素散布装置41は、配管Pに対して曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能にして設けられるマニフォールド42を設けて、このマニフォールド42に対して、配管43を介して、第二実施形態に示す二酸化炭素散布装置21の装置本体2を、装置本体2に設けられる複数のノズル3も含めて、複数台並列に設けたことを主たる特徴とするものである。
ここで、配管Pとマニフォールド42とを接続する管路Wのうち、ヒンジ44の近傍部分は、ヒンジ44の揺動に追従して屈伸することができるよう、耐圧構造を有するフレキシブル配管が用いられる。
また、図9に示すように、マニフォールド42には、平面視において曳航方向に対して流線型をなすフェアリング46が設けられている。
本実施の形態では、配管43は、マニフォールド42から曳航方向の斜め後方(曳航方向に対して側方または上下方向)に向けて延びる傾斜部43aと、傾斜部43aの先端から曳航方向後方に延びる直管部43bとを有している。
各装置本体2は、配管43に対して、ヒンジ結合等によって接続されており、曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能とされている。
また、本実施の形態では、装置本体2として、第二実施形態に示す二酸化炭素散布装置21の装置本体2を用いた例を示したが、これに限られることなく、第一、第二、第三実施形態に示す二酸化炭素散布装置1、26、31の装置本体2を用いてもよい。
2 装置本体
3 ノズル
4,44 ヒンジ(接続構造)
32 フラップ
42 マニフォールド
46 フェアリング
P 配管
S 船舶
Claims (10)
- 船舶から海中に吊り下げられて曳航される配管に設けられ、該配管を通じて前記船舶から供給される液体二酸化炭素を散布する二酸化炭素散布装置であって、
前記配管に対して、曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能にして設けられていることを特徴とする二酸化炭素散布装置。 - 前記配管との接続構造が、ヒンジ結合であることを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素散布装置。
- 前記配管から前記液体二酸化炭素を供給されて該液体二酸化炭素を吐出するノズルと、
前記配管と前記ノズルとの間に設けられる配管設備を収容する装置本体とを有し、
該装置本体は、前記曳航方向に対して流線型をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載の二酸化炭素散布装置。 - 前記ノズルは、前記装置本体の上面側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素散布装置。
- 前記ノズルは、曳航方向に交差する方向に位置をずらして複数設けられていることを特徴とする請求項4記載の二酸化炭素散布装置。
- 前記ノズルは、前記装置本体の上面側及び下面側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素散布装置。
- 前記ノズルのうち、少なくとも前記装置本体の上面側に設けられる前記ノズルと前記装置本体の下面側に設けられる前記ノズルとは、曳航方向に交差する方向に位置をずらして設けられていることを特徴とする請求項6記載の二酸化炭素散布装置。
- 前記装置本体は、前記配管との接続構造及び前記配管設備が前記曳航方向の中央部に設けられるとともに、
姿勢保持のためのフラップが設けられていることを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の二酸化炭素散布装置。 - 前記配管に対して前記曳航方向に直交する水平軸回りに揺動可能にして設けられるマニフォールドを有しており、
前記装置本体は、前記マニフォールドに対して複数台並列に設けられていることを特徴とする請求項3から8のいずれかに記載の二酸化炭素散布装置。 - 前記マニフォールド自体が前記曳航方向に対して流線型をなしているか、もしくは、該マニフォールドには、前記曳航方向に対して流線型をなすフェアリングが設けられていることを特徴とする請求項9記載の二酸化炭素散布装置。
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