JP2005237632A - コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法、及びそれを用いた硬組織代替材料 - Google Patents
コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法、及びそれを用いた硬組織代替材料 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法であって、多量のリン酸カルシウムをコラーゲンの表面に析出させてリン酸カルシウム皮膜を速やかに形成することができ、手術中などにもコラーゲンーリン酸カルシウム複合体を短時間に、かつ簡便に作製することができる方法を提供する。
【解決手段】 コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液である方法;及び上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(c)自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ(d)それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように調製された溶液である上記の方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液である方法;及び上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(c)自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ(d)それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように調製された溶液である上記の方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、コラーゲンとリン酸カルシウムとを含むコラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法に関する。本発明の方法により製造されるコラーゲン−リン酸カルシウム複合体は生体と類似組成を有しており、生体と融和する硬組織材料の成形体として調製できることから、顎骨補填等の骨充填材料、靭帯や腱の修復材料、組織工学スキャホールド、タンパク質徐放体として利用される。
動物においてコラーゲンは重要なタンパク質であり、脊椎動物のタンパク質の30%を占める。ヒト骨において、コラーゲンは構成材料としての有機マトリックスを意味し、そこにはカルシウム、リン酸塩、水酸イオン、フッ化物イオン、および炭酸塩イオンなどからなるリン酸カルシウムが複合化されている。従来、生体内に植入するための無機素材からなる生体材料は、無機素材の骨伝導誘導能ないしは細胞活性が不十分であるため、骨置換、組織再建能が低く十分な医療効果を得ることが困難であった。また、有機材料のみを用いた場合は、強度が弱いうえに周辺組織との癒着が起こり、組織誘導再生法において骨組織などの生体組織の再建が遅れることとなっていた。
骨組織はコラーゲンとリン酸カルシウムとからなる。したがって、骨組織については、コラーゲンにリン酸カルシウムを人工的に複合化したコラーゲン−リン酸カルシウム複合体を用いて組織最構築すると効率的である。そのような観点から、水酸アパタイト顆粒にコラーゲンゲルを添加して骨形成因子を粘着固定する方法(Biomaterials, 22, 1643-1651(2001))、コラーゲンを構成成分とする脱灰骨基質にアパタイトを混合した混合物(J. Biomater. Appl., 9, 275-288 (1995)、US 4,795,467)、コラーゲンとアパタイト顆粒の混合物(Biomaterials, 10, 129(1989)、Biomaterials, 11,568−572(1990))、多結晶リン酸カルシウムセラミック微粒子、ホスホホリンカルシウム塩およびタイプIコラーゲンの混合物(US 4,780,450)、凍結コラーゲンスポンジとリン酸カルシウムの混合物(Biomaterials, 20, 1513-1520 (1999))、非繊維状コラーゲンとリン酸カルシウム粉末との混合物(特開平8-336583号公報)、コラーゲンとリン酸三カルシウムの混合物(WO 94/15653)、コラーゲンをカルシウムイオン含有溶液およびリン酸イオン含有溶液に交互浸漬することにより、リン酸カルシウムを傾斜複合化した複合体(特開2004−8634号公報)、コラーゲンとリン酸カルシウムとの共沈物を加圧成形することにより得られる複合体(特開2001−276207号公報)、石灰化させたコラーゲン(Spine, 23, 2276-2281(1998))、カルシウム含有酸性コラーゲン溶液と、リン酸塩と塩化ナトリウム含有緩衝液を混合して作製するコラーゲン‐リン酸カルシウム複合体(特開平11-313883号公報)、コラーゲン含有リン酸水溶液と、カルシウム含有水溶液とを混合して作製するコラーゲン‐リン酸カルシウム複合体(特開平7-101708号公報、特開平11-199209号公報)、アパタイトとリン酸三カルシウムの顆粒を牛由来繊維性コラーゲンと複合化した複合体(J. Bone Jt. Surg. (Am), 79-A, 495-502(1997)、Bioceramics, 3, 295-304 (1992))、可溶性コラーゲン及び固定化リン酸カルシウムの結合されたネットワークを含む生体内分解性マトリックス(特表平11-513590号公報)、コラーゲンあるいはコラーゲン誘導体を含むリン酸カルシウムセメント(特開平10-216219号公報)、不溶性コラーゲンと混合されたアパタイトの重合無機質前駆体粒子(WO 95/08304)、コラーゲン粒子表面がCa/P比1.0〜2.0のリン酸カルシウム系化合物で被覆されている複合体粒子(特開平9-208457号公報)、ナノメートルサイズの微小結晶を含むコラーゲン/コンドロイチン硫酸-アパタイトコンポジット(Biomaterials., 22, 2843-2847, (2001))、過飽和のリン酸カルシウム溶液中で再構成および石灰化した可溶性コラーゲン(UK 11068 587)、コラーゲン含有酸性溶液に中性カルシウムおよびリン酸塩溶液を添加することで石灰化させた架橋コラーゲン(US 5,320,844)、塩基性コラーゲン溶液中にカルシウムおよびリン酸塩溶液を数時間にわたって滴下した架橋コラーゲン(US 5,455,231、US 5,231,169、WO93/12736)などが開示されている。
一方、コラーゲンなどの有機高分子上にリン酸カルシウム皮膜を形成する方法として、リン酸カルシウム過飽和溶液を用いた浸漬法が考案されている。過飽和溶液浸漬法による皮膜形成を用いると、基板表面に均一なコーティングを常温で形成できる。また、この皮膜形成法は、非常に安価で簡単に行える点が他のコーティング方法と大きく異なる。過飽和溶液浸漬法により析出されるリン酸カルシウムは骨類似アパタイトであることが多く、結晶性が低く、生体吸収性を有している。骨組織が再生するためには、生体材料が生体骨と結合し、その後、生体骨と置換することが必要である。
リン酸カルシウム過飽和溶液浸漬によるコラーゲン上へのリン酸カルシウム皮膜形成法としては、長軸方向に配列させたコラーゲン繊維を、カルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液に浸漬し、コラーゲン繊維上にリン酸カルシウムを均一にコーティングする方法(特開平10-127753号公報)、所望の形状のコラーゲン表面をハイドロキシアパタイトで被覆し、該ハイドロキシアパタイトがコラーゲンと実質的に化学結合している合成骨材を製造する方法(特開平8-117323号公報)が知られている。リン酸カルシウム過飽和溶液を用いてリン酸カルシウムとコラーゲンを複合化させるこれらの方法では、リン酸カルシウムについては過飽和であるものの、自発核形成は生じないハンクス液などの安定過飽和溶液を使用し、不均一核形成を利用してコラーゲン基板上にリン酸カルシウムを析出させる。しかしながら、いずれの方法においても、皮膜形成には数時間から10日の浸漬時間が必要であり、リン酸カルシウムの析出量が少なく生産効率が悪いという問題がある。また、リン酸カルシウム過飽和溶液の調製は煩雑であり、しかも時間がかかることから、手術室で手術中にコラーゲンーリン酸カルシウム複合体を作製することができず、この点でも生産効率が悪い。さらに、上記で使用されたリン酸カルシウム過飽和溶液は滅菌されておらず、発熱性物質なども除去されてないため、これらの液から作製されたリン酸カルシウム皮膜上記のように作製されたリン酸カルシウム被覆コラーゲンは、医療用としてそのまますぐに体内に埋入して使用できないという問題点があった。
米国特許第4795467号明細書
米国特許第4780450号明細書
特開平8−336583号公報
WO 94/15653
特開2004−8634号公報
特開2001−276207号公報
特開平11−313883号公報
特開平7−101708号公報
特開平11−199209号公報
特表平11−513590号公報
特開平10−216219号公報
WO 95/08304
特開平9−208457号公報
英国特許第11068587号明細書
米国特許第5320844号明細書
米国特許第5455231号明細書
米国特許第5231169号明細書
WO 93/12736
特開平10−127753号公報
特開平8−117323号公報
Biomaterials, 22, 1643-1651 (2001)
J. Biomater. Appl., 9, 275-288 (1995)
Biomaterials, 10, 129 (1989)
Biomaterials, 11, 568-572(1990)
Biomaterials, 20, 1513-1520 (1999)
Spine, 23, 2276-2281 (1998)
J. Bone Jt. Surg. (Am) 79-A, 495-502 (1997)
Bioceramics, 3, 295-304 (1992)
Biomaterials., 22, 2843-2847, (2001)
本発明の課題は、上記の問題点を解決したコラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法を提供することにある。より具体的には、多量のリン酸カルシウムをコラーゲンの表面に析出させてリン酸カルシウム皮膜を速やかに形成することができ、また、手術中などにもコラーゲンーリン酸カルシウム複合体を短時間に、かつ簡便に作製することができる方法を提供することが本発明の課題である。また、生体適合性の高いコラーゲン‐リン酸カルシウム複合体を容易に製造することができる方法を提供することも本発明の課題である。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記の本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明により、コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液である方法が提供される。上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、(c)自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ(d)それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように調製された溶液である。
すなわち、本発明により、コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液である方法が提供される。上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、(c)自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ(d)それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように調製された溶液である。
本発明の好ましい態様によれば、上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が医学的に許容可能な2種以上の溶液を混合することにより調製された溶液である上記の方法;上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、少なくとも下記の2種類の医学的に許容可能な溶液:(1)リン酸イオンを含み、カルシウムイオンを実質的に含まない溶液;及び(2)リン酸イオンを実質的に含まず、かつカルシウムイオンを含む溶液を混合することにより調製された溶液である上記の方法;上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が医学的に許容可能なカルシウム不含有リン酸塩含有電解質輸液、カルシウム含有リン酸塩不含有電解質輸液、pH調節用の電解質を含む静脈内投与用製剤、及び透析ろ過型人工腎臓用透析液専用炭酸水素ナトリウム補充用輸液からなる群から選ばれる2種以上の輸液を混合することにより調製された溶液である上記の方法が提供される。
さらに好ましい態様によれば、上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が1又は2以上の被担持分子を含み、リン酸カルシウムの析出と被担持分子のリン酸カルシウム皮膜への担持とを行う工程を含む上記の方法;上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、Ca成分1.2〜4.5mM、リン酸成分0.6〜5.0mM、K成分4〜15mM、Na成分100〜150mM、Mg成分0.1〜1mM、Cl成分70〜150mM、HCO3成分0〜60mMを含み、かつ該溶液のpHが5.0〜9.0の範囲である上記の方法;リン酸カルシウムが炭酸含有アパタイト、非晶質リン酸カルシウム、及び低結晶性アパタイトからなる群から選ばれた1種又は2種以上のリン酸カルシウムである上記の方法が提供される。
別の観点からは、上記の方法で製造することができるコラーゲン−リン酸カルシウム複合体;上記の方法で製造することができるコラーゲン−リン酸カルシウム複合体を含む生体材料;及びコラーゲン−リン酸カルシウム複合体を含む生体材料の製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液である方法が提供される。これらの発明の好ましい態様によれば、生体材料は、例えば、腱又は靭帯である。さらに本発明により、コラーゲン−リン酸カルシウム複合体を含むタンパク質徐放体の製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液である方法;及びコラーゲン−リン酸カルシウム複合体を含む組織工学スキャフォールドの製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液である方法が提供される。本明細書において、「組織工学スキャフォールド」という用語は、人工的に生体組織を作成するために細胞の足場として用いられる材料一般のことを示す。
本発明の方法によれば、多量のリン酸カルシウムをコラーゲンの表面に析出させてリン酸カルシウム皮膜を速やかに形成することができ、また、手術中などにもコラーゲン−リン酸カルシウム複合体を短時間に、かつ簡便に作製することができる。また、医学的に許容される2種以上の輸液の混合により調製された不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を用いることにより、医学的に許容されるコラーゲン−リン酸カルシウム複合体を容易に製造することができる。
本発明の方法は、コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液であることを特徴としている。また、この不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、(c)自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ(d)それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように調製された溶液であることを特徴としている。
本明細書において用いられる「不安定リン酸カルシウム過飽和溶液」の用語は、自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液を意味している。従って、「不安定リン酸カルシウム過飽和溶液」の用語には、リン酸カルシウムについては過飽和でありながら、リン酸カルシウム沈殿を生成しない安定リン酸カルシウム過飽和溶液、例えばハンクス溶液や1倍濃度擬似体液に相当する医療用輸液の混合溶液などは含まれない。
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、リン酸カルシウムの自発核形成までの誘導時間が短い通常の沈殿形成の場合は、最後に添加した溶液の液滴と周囲の溶液との界面での沈殿形成が卓越してしまい、リン酸カルシウムの沈殿をコラーゲン上に集中させることはできない。本発明の方法では、自発核形成までの誘導時間が十分に遅延されており、それによってリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が調製されており、リン酸カルシウムの沈殿は実質的にコラーゲン上に集中する。本明細書において、「十分に遅延された」という用語は、自発核形成によるリン酸カルシウム析出までの時間が最後の溶液混合から10秒以上で、かつ7日以下、好ましくは2分以上で、かつ2日以下となることを意味する。
自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ、それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を調製するために、本発明の方法では2種類以上の溶液を適宜の割合で混合してリン酸カルシウム過飽和溶液を調製する。2種以上の溶液の組み合わせは特に限定されず、混合後に不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が得られ、かつその不安定リン酸カルシウム過飽和溶液において自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ、それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように調製できるものであれば、いかなる溶液の組み合わせを用いてもよい。
典型的には、上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、室温下、好ましくは20〜37℃において自発核形成によるリン酸カルシウム析出までの誘導時間が最後の溶液混合時から10秒以上で、かつ7日以下、好ましくは2分以上で、かつ2日以下となるように2種以上の溶液を混合して調製することができる。上記の誘導時間は、コラーゲンを該溶液に浸漬せずに、目視で溶液が白濁又は沈殿粒子が光散乱法で検出されるまでの時間である。混合する2種以上の溶液の組成と、必要に応じて温度を選択することによって、自発核形成までの誘導時間を十分に遅延させることができる。本明細書の実施例には、2種類の溶液を混合することにより自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ、それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を調製する具体的方法が示されている。従って、上記の一般的説明及び実施例の具体的説明を参照することにより、当業者は本発明の方法に用いる不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を容易に調製することができる。
例えば、カルシウムイオンを含む溶液とリン酸成分を含む溶液とを混合して得られる溶液がリン酸カルシウムに対して過飽和になるpHは、混合後のカルシウムイオン濃度とリン酸イオン濃度に依存する。一例を挙げれば、塩化カルシウム濃度2.5mM、リン酸水素カリウム濃度1.0mMの場合はpH5以上においてリン酸カルシウムについて過飽和となる。一般的に、過飽和溶液が安定な過飽和状態か不安定な過飽和状態かは、共存イオンとイオン強度によって影響されることが知られており、当業者は本発明の方法を実施するにあたって適宜の共存イオン及びイオン強度、並びに適宜のpHなどを適宜選択できる。
本発明の方法に用いられる不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、例えば、医学的に許容される2種以上の溶液を混合することにより調製することができる。医学的に許容される溶液としては、栄養供給や医薬の投与に用いられる静脈内投与用製剤(例えば静脈内投与用の注射剤又は点滴剤を挙げることができ、後者は輸液と呼ばれる場合もある)の形態の溶液が好ましい。このような医学的に許容される溶液を用いることにより、滅菌の手間を省くことができ、また、医学的に許容される静脈内投与用製剤の形態の溶液は発熱性物質(パイロジェン)も除去されているので、本発明の方法で調製されたコラーゲン−リン酸カルシウム複合体をそのまま安全に生体に適用することが可能になり、得られたコラーゲン−リン酸カルシウム複合体の生体適合性が高まるという利点がある。例えば、医学的に許容される2種以上の溶液を混合することにより、手術室内でコラーゲン−リン酸カルシウム複合体をin situ調製して手術に用いることができる。例えば、手術中に腱や靭帯などのコラーゲン組織やコラーゲン上にリン酸カルシウム皮膜を製造することも本発明の方法の好ましい一態様である。
医学的に許容される静脈内投与用製剤の形態の溶液の組み合わせとしては、例えば、カルシウムイオンを含み、かつ実質的にリン酸イオンを含まない溶液と、リン酸イオンを含み、かつ実質的にカルシウムイオンを含まない溶液の組み合わせが好適である。例えば、カルシウム不含有リン酸塩含有電解質輸液、カルシウム含有リン酸塩不含有電解質輸液、補正用電解質輸液、又は透析ろ過型人工腎臓用透析液専用炭酸水素ナトリウム補充用輸液などを適宜組み合わせることができるが、組み合わせに用いられる溶液はこれらに限定されることはない。必要に応じてpH調整のための酸性又はアルカリ性の静脈内投与用製剤を組み合わせることができ、さらに必要に応じて自発核形成までの誘導時間を制御するための電解質を含む静脈内投与用製剤を組み合わせることができる。カルシウムイオンを含有する静脈内投与用製剤としては、例えば、市販のリンゲル液(大塚製薬)を挙げることができ、リン酸イオンを含有する静脈内投与用製剤としては、例えば、市販のクリニザルツB(小林薬工)を挙げることができる。pH調節用の電解質を含む静脈内投与用製剤としては、例えば、市販のメイロン(大塚製薬)や透析専用炭酸水素ナトリウム補充液であるバイフィル(武田薬品工業)などのアルカリ性静脈内投与用製剤又はコンクライト−A(大塚製薬)などの酸性静脈内投与用製剤を挙げることができる。自発核形成までの誘導時間を制御するための静脈内投与用製剤としては、例えば、市販のカリウム輸液剤であるメディジェクト−K(テルモ)、市販の生理的食塩水、10%塩化ナトリウム(各社)などの電解輸液を使用することができる。
上記のようにして得られる不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、例えば、Ca成分1.2〜4.5mM、好ましくは3.00〜3.67mM、リン酸成分0.6〜5.0mM、好ましくは3.00〜3.67mM、K成分4〜15mM、好ましくは9.82〜11.15mM、Na成分100〜150mM、好ましくは110〜145mM、Mg成分0.1〜1mM、好ましくは0.2〜0.9mM、Cl成分70〜150mM、好ましくは80〜145mM、HCO3成分0〜60mM、好ましくは7〜20mMを含み、pH5.0〜9.0、好ましくは5.8〜8.5の溶液である。溶液のCa/Pモル比は特に限定されないが、好ましくは0.5〜1.5の範囲である。なお、Ca成分が1.26mMである場合、及び/又はリン酸成分が1.8〜2.0mMではないことが望ましい。
コラーゲンは、動物の骨、軟骨、皮膚および結合組織の主要なタンパク成分である。天然のコラーゲンは、典型的には、およそ長さ300ナノメーター(nm)および直径1.5 nmの分子である。コラーゲンは、三重らせんを形成する3種のコラーゲンポリペプチドから構成される。これらのコラーゲンポリペプチドは、-Gly-X-Y-の繰り返し配列を有する長い中央部分に特徴があり、ここで、XおよびYは、しばしば、「テロペプチド」領域により各末端で結合したプロリンまたはヒドロキシプロリンであり、この「テロペプチド」領域は、免疫原性の原因となる。
本発明の方法で用いるコラーゲンの種類は特に限定されず、ヒトまたは他の哺乳類源(例えば、ウシまたはブタの真皮およびヒト胎盤)から抽出又は精製されたコラーゲンのほか、遺伝子組み換え技術または他の方法により調製されたコラーゲンを用いてもよい。腱や靭帯などのコラーゲン組織を直接使用することもできる。I型、II型、III型、IV型またはそれらの組み合わせ(これらに限定されないが)を包含する任意のタイプのコラーゲンが使用可能であるが、I型が好適に使用される。また、アテロペプチドコラーゲンまたはテロペプチド含有コラーゲンのいずれか又は両方を使用してもよい。異種供給源に由来のコラーゲン(例えば、ウシコラーゲン)を用いるときには、アテロペプチドコラーゲンの免疫原性がテロペプチド含有コラーゲンより低いことから、アテロペプチドコラーゲンが一般に好ましい。ペプシン処理したコラーゲンも低抗原性であり、本発明の方法に好適に用いられる。コラーゲンの形態は特に限定されず、例えば、繊維状、粉体状、スポンジ状、シート状、非繊維状などの任意の形態のコラーゲンを用いることができる。
また、界面自由エネルギーの低い官能基やリン酸カルシウムを主成分とする相をコラーゲン上に共存させることによって、リン酸カルシウムの生成が界面自由エネルギーの低いコラーゲン上に集中し、リン酸カルシウムと共存タンパク質を基板上に固定することが可能になる場合がある。さらに、多孔質またはスポンジ状のコラーゲン上にリン酸カルシウム皮膜を形成する場合には、コラーゲンを体内に埋入した後に、血管、骨、上皮、神経等の再生組織を多孔質またはスポンジ状コラーゲン気孔内に侵入させることができるので大きな医療効果が達成できる。空隙率は20%以上80%以下であることが好ましい。多孔質またはスポンジ状コラーゲンの空隙率が20%より低いと実質的に緻密質となって組織侵入に適しない場合があり、空隙率が80%より高いと強度が低下して実用上の価値が損なわれることがある。一般に、空隙内に組織が侵入するためには少なくとも2個以上の細胞が細孔内に侵入する必要があることから、細胞1個の大きさを30ミクロンとして細孔の直径の最小値は70ミクロンであることが好ましい。直径が4mmより大きい組織を侵入させる必要性は実用上生じないことから、細孔の直径の上限は4mm程度である。
本発明の方法によりコラーゲン上に析出するリン酸カルシウムはリン酸イオンとカルシウムイオンとが反応して生成した塩であり、通常はCaO成分及びP2O5成分の合計の含有量が50%より高い塩である。本発明の方法によりコラーゲン上に析出するリン酸カルシウムは、水、金属、水酸イオンなどの他の成分を含んでいてもよいが、通常、これらの物質の含有量は50%未満である。本発明の方法によりコラーゲン上に析出するリン酸カルシウムの皮膜の厚さは特に制限されない。本明細書において、「皮膜」という用語は、例えば、基材として用いるコラーゲンの全表面積の5%以上の面積を被覆している状態を意味しており、基材表面を完全に被覆していない場合も包含する。通常、皮膜の厚さは10nm〜100μm程度である。コラーゲン上に形成された皮膜による被覆面積又は皮膜の厚さは、例えば、光学顕微鏡や電子顕微鏡で計測することができる。コラーゲンを不安定リン酸カルシウム過飽和溶液に接触させる方法は特に限定されず、例えば、コラーゲン基材の全体又は一部を不安定リン酸カルシウム不飽和溶液中に浸漬する方法や、コラーゲン基材やコラーゲン組織の表面に不安定リン酸カルシウム不飽和溶液を滴下あるいは塗布するなどの方法が挙げられるが、これらに限定されることはない。また、接触は連続的に行ってもよいが、接触を複数回に分けて行ってもよい。
皮膜として形成されるリン酸カルシウムの相は当業者に既知の方法で同定することができる。例えば、コラーゲン上に皮膜形成後、乾燥して、より好ましくは凍結乾燥して、さらに好ましくは皮膜を分離して、粉末X線回折で相の同定を行えばよい。皮膜が結晶質である場合には、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡等の当業者に既知の方法で自形結晶粒子の形態を観察し、格子定数と結晶点群で一意的に決定される結晶面間の角度をもって結晶相を同定すればよい。
コラーゲン上に形成したリン酸カルシウム皮膜のCa/Pモル比は、皮膜を酸で溶解した後、当業者に既知の方法で化学分析を行って溶液のCa及びP含有量を算出することにより決定できる。さらに好ましくは、皮膜を直接化学分析することもできる。皮膜に炭酸カルシウムが共存する場合は、粉末X線回折法で炭酸カルシウム量を定量して補正することができる。粉末X線回折などで相同定し、その相に固有のCa/Pモル比を特定することで、皮膜のCa/Pモル比を決定することもできる。例えば、皮膜が炭酸含有アパタイトであると同定された場合には、炭酸含有アパタイト固有のCa/Pモル比は1.5以上であるので、皮膜のCa/Pモル比は1.5以上であることがわかる。
不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の調製に用いる2種以上の溶液中、好ましくは医学的に許容される2種以上の静脈内投与用製剤の形態の溶液中に水溶性の医薬の有効成分やタンパク質などの被担持分子を含有させておき、沈殿により形成されるリン酸カルシウムの皮膜に被担持分子を担持させることができる。本明細書において「担持」という用語は、リン酸カルシウム皮膜表面への単なる吸着だけでなく、リン酸カルシウム粒子間や粒内に捕捉されることで被担持分子がリン酸カルシウムに保持されることを意味する。いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の方法によれば、リン酸カルシウムが不安定過飽和溶液から成長する際に被担持分子がリン酸カルシウムの表面に吸着され、吸着された被担持分子の上にさらにリン酸カルシウムが析出し、この過程が繰り返される。その結果、被担持分子がリン酸カルシウムの隙間空間に閉じ込められて内包され、あるいは複数のリン酸カルシウム粒子に挟み込まれたりすることで、リン酸カルシウムの粒界や粒内にも捕捉される。
被担持分子の種類は特に限定されず、高分子化合物、低分子有機化合物、無機物質などのいずれであってもよいが、好ましくはタンパク質(血清タンパク質又は生体構造タンパク質を含む)、ポリサッカライドなどの高分子化合物、糖化合物、脂質化合物、核酸化合物、天然物有機化合物、合成低分子有機化合物などを例示でき、2種以上の分子の混合物や動物組織や植物などからの粗抽出物などであってもよい。被担持物質は、生理活性物質であることが好ましい。本明細書において「生理活性物質」とは、生物に対して何らかの生物活性を有する物質を意味しているが、この用語はいかなる意味においても限定的に解釈してはならず、最も広義に解釈する必要がある。例えば、アルブミンなども生理活性物質に含まれる。生理活性物質には、例えば、生体の調節や生体の機能を変化させ得るサイトカイン、ホルモン等の生理活性物質が含まれ、例えば成長因子や細胞接着因子などが挙げられる。また、生理活性物質には、医薬の有効成分として用いられる低分子有機化合物なども含まれる。生理活性物質は親水性又は疎水性物質のいずれであってもよい。親水性の生理活性物質としては、例えば水溶性の生理活性物質を挙げることができる。水溶性生理活性物質には、非水溶性又は疎水性の生理活性物質をアルブミンなどの水溶性担体タンパク質又はポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルポキメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリピニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、若しくはポリアミノ酸類(ホモポリマー又はランダムコポリマ)などの水溶性ポリマーに結合させることで水可溶性とした生理活性物質も含まれる。非水溶性の生理活物質と上記水溶性担体タンパク質又は水溶性ポリマーとの結合は両方の物質の官能基を利用すればよく、種々の公知の方法で結合させることができる。疎水性の生理活性物質としては、例えば、ステロイド類、プロスタグランジン類などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
生理活性物質の例としては、塩基性繊維芽細胞成長因子、IL−1(インターロイキン1)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−17、IL−18、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、エリスロポエチン、CSF−1(コロニー刺激因子)、SCF(幹細胞因子)、トロンボポエチン、EGF(上皮増殖因子)、TGF−α(トランスフォーミング増殖因子−α)、HB−EGF(へパリン結合性EGF様増殖因子)、エピレグリン、ニューレグリン1,2,3、PDGF(血小板由来増殖因子)、インスリン、HGF(肝細胞増殖因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、NGF(神経成長因子)、GDNF(グリア細胞株由来神経栄養因子)、ミッドカイン、TGF−β(トランスフォーミング増殖因子−β)、ベータグリカン、アクチビン、BMP(骨形成因子)、TNF(腫瘍壊死因子)、IFN−α/β(インターフェロン−α/β)、IFN−γ(インターフェロン−γ)、フィブロネクチン、ラミニン、カドヘリン、インテグリン、セレクチンなどを挙げることができるが、これらに限定はされることはない。生理活性物質のうち、医薬の有効成分として用いられる親水性化合物としては、例えば、アドリアマイシンを挙げることができ、医薬の有効成分として用いられる疎水性化合物としては、例えば、水に難溶性の薬物であって有機溶媒に易溶性の化合物として、例えばマイトマイシンCを挙げることができる。もっとも、医薬の有効成分として用いられる化合物はこれらに限定されることはない。
被担持分子を添加しておく溶液は、いずれの医学的に許容される溶液に添加しておいてもよいが、タンパク質の変性を防止する観点からpH5以上8以下の溶液に添加しておくことが望ましい。 また、医学的に許容される溶液及び混合後の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の温度及びpHは被担持分子の変性を防止できる温度及びpHであれば特に制限はない。一般的には、多くのタンパク質は体温以上では変成することが多いので、被担持分子がタンパク質である場合には、各溶液及び混合後の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の温度は37℃以下であることが望ましい。もっとも、タンパク質の変性温度はタンパク質の種類によって異なるので、使用するタンパク質によっては37℃以下に限るものではない。pHは一般的には6.5〜8.1の中性領域が好ましい。リン酸カルシウム皮膜に担持されたタンパク質の量は、皮膜を酸で溶解後、種々の方法で定量することができる。例えば、ビュレット法にBicinchonic Acidを組み合わせた、比色分析で定量することができる。担持されたタンパク質の徐放性はタンパク質担持コラーゲン−リン酸カルシウム複合体を生理的食塩水に浸し、経時的に食塩水中のタンパク量を定量して評価することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
コラーゲンシート(明治製菓(株)製、医療用アテロコラーゲン創傷被覆材、メイパック)を1×1cm2に裁断し、24穴のマルチプレートに入れ、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を2mlずつ注入した。この不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、医療用の点滴剤であるリンゲル液、クリニザルツB、医療用点滴剤バイフィルの炭酸ナトリウム補充液(以下、実施例中で「バイフィル」と呼ぶ)を混合して作製した。表1に各医療用点滴剤の組成を示す。リンゲル液とクリニザルツBの混合比を変えて不安定リン酸カルシウム過飽和溶液のCa/P比を0.5、1.0、1.5の3段階に変化させ、バイフィルの添加量を7、10、15及び20vol%の4段階に変化させ、全部で12種類の組成の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を調製した。表2に不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の組成を示す。
例1
コラーゲンシート(明治製菓(株)製、医療用アテロコラーゲン創傷被覆材、メイパック)を1×1cm2に裁断し、24穴のマルチプレートに入れ、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を2mlずつ注入した。この不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、医療用の点滴剤であるリンゲル液、クリニザルツB、医療用点滴剤バイフィルの炭酸ナトリウム補充液(以下、実施例中で「バイフィル」と呼ぶ)を混合して作製した。表1に各医療用点滴剤の組成を示す。リンゲル液とクリニザルツBの混合比を変えて不安定リン酸カルシウム過飽和溶液のCa/P比を0.5、1.0、1.5の3段階に変化させ、バイフィルの添加量を7、10、15及び20vol%の4段階に変化させ、全部で12種類の組成の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を調製した。表2に不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の組成を示す。
コラーゲンシートの浸漬時間は2日間(48h)とし、その際の処理温度は体温とほぼ等しい37℃に設定した。浸漬後、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液をマルチプレートから吸い取り、コラーゲンシートを2mlの超純水で3回洗浄した。その後洗浄したコラーゲンシートは、室温にて乾燥させた。コラーゲンシートの表面形態を光学顕微鏡とSEMで観察した。さらに、コラーゲンシートの6μm×25μmの範囲内に析出した結晶粒子を光学顕微鏡下で計数し(n=6)、単位面積あたりの平均析出結晶粒子数を求めた。
表3に浸漬前の不安定リン酸カルシウム過飽和のpHを示す。pHはいずれも中性ないし弱塩基性付近であり、この溶液を用いることにより担持タンパク質の変性や担持薬剤の変質が生じにくいことが確認された。
表3に浸漬前の不安定リン酸カルシウム過飽和のpHを示す。pHはいずれも中性ないし弱塩基性付近であり、この溶液を用いることにより担持タンパク質の変性や担持薬剤の変質が生じにくいことが確認された。
図1〜13は、各組成に調製したリン酸カルシウム溶液に浸漬させたコラーゲンシートを走査電子顕微鏡(SEM)で観察した結果である。コラーゲンシートを各組成に調製したリン酸カルシウム溶液に浸漬した場合、浸漬前に不規則に絡み合っていたコラーゲン繊維に球状粒子が付着していることを確認できた。溶液の組成によって析出状態は変化し、個々の粒子が確認できるもの(例えば試料4)や、析出した粒子同士が結合しコラーゲン繊維を完全に被覆しているもの(例えば試料11)があった。
光学顕微鏡を用いてコラーゲンシートの広い範囲で表面観察をおこなった結果、特に、均一に析出物が見られるのは、バイフィル7vol%でCa/P=0.5の場合、バイフィル10vol%でCa/P=0.5、1.0の場合、または、バイフィル20vol%でCa/P=1.0、1.5の場合である。他の条件でも析出が均一であるとはいえないが析出物を確認することができた。
図14は、光学顕微鏡観察で確認できた析出結晶粒子数の測定結果である。単純に平均値のみを比較すると特に、試料2(Ca/P=0.5,バイフィル10%)、試料6(Ca/P=1.0,バイフィル10%)、試料8(Ca/P=1.0,バイフィル20%)で析出結晶粒子が多かった。
図14は、光学顕微鏡観察で確認できた析出結晶粒子数の測定結果である。単純に平均値のみを比較すると特に、試料2(Ca/P=0.5,バイフィル10%)、試料6(Ca/P=1.0,バイフィル10%)、試料8(Ca/P=1.0,バイフィル20%)で析出結晶粒子が多かった。
図15及び図16は、測定した結晶粒子数をCa/P比とバイフィルの添加量別に整理した結果である。Ca/P比別にまとめた結果(図15)では、Ca/P=1.0が最も多く、バイフィルの添加量別にまとめた結果(図16)では、添加量10vol%が最も多い。したがって、コラーゲンシートをリン酸カルシウムコーティングする場合の最適条件として、Ca/P=1.0、バイフィル添加量10vol%がよいと考えられる。本実施例により、市販の複数の医療用点滴剤を用いて不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を調製することができ、混合比率を適宜選択することによってコラーゲン上へのリン酸カルシウムの皮膜形成を制御できることが示された。
例2
コラーゲンシート上に析出したリン酸カルシウムを同定するために、析出リン酸カルシウム量を実施例1より増加させることを試みた。使用した不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、Ca/P=1.0、 バイフィル添加量10vol%とし、コラーゲン浸漬させる溶液量は、2ml、5ml、10ml、20mlとした。コラーゲンシート(明治製菓株式会社製、医療用アテロコラーゲン創傷被覆材、メイパック)を1×1cm2に裁断し、プラスチック容器に入れ、設定した各々の量のリン酸カルシウム溶液を注入した。コラーゲンシートは2日間(48h)浸漬し、再度、同量の溶液に1日間(24h)浸漬した。その際の処理温度は体温とほぼ等しい37℃に設定した。浸漬後、コラーゲンシートをプラスチック容器から取り出し、2mlの超純水で3回洗浄し、室温にて乾燥させた。乾燥後のコラーゲンシートはSEMを用いて観察し、XRDにより析出した物質の相同定を行った。
コラーゲンシート上に析出したリン酸カルシウムを同定するために、析出リン酸カルシウム量を実施例1より増加させることを試みた。使用した不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、Ca/P=1.0、 バイフィル添加量10vol%とし、コラーゲン浸漬させる溶液量は、2ml、5ml、10ml、20mlとした。コラーゲンシート(明治製菓株式会社製、医療用アテロコラーゲン創傷被覆材、メイパック)を1×1cm2に裁断し、プラスチック容器に入れ、設定した各々の量のリン酸カルシウム溶液を注入した。コラーゲンシートは2日間(48h)浸漬し、再度、同量の溶液に1日間(24h)浸漬した。その際の処理温度は体温とほぼ等しい37℃に設定した。浸漬後、コラーゲンシートをプラスチック容器から取り出し、2mlの超純水で3回洗浄し、室温にて乾燥させた。乾燥後のコラーゲンシートはSEMを用いて観察し、XRDにより析出した物質の相同定を行った。
図17〜21は、Ca/P=1.0, NaHCO3 10vol%、浸漬時間2日間(48h)とし、浸漬溶液量を増量させ、リン酸カルシウムコーティングを施したコラーゲンシート表面をSEMで観察した結果である。液量の増加にともない析出物も増加し、コラーゲン繊維が析出物で覆われているのがわかる。さらに図22〜25は、各々の量の溶液に2日間(48h)浸漬させた後、同組成、同量の溶液に再度1日間(24h)浸漬させたコラーゲンシートをSEMで観察した結果である。2日間浸漬させた場合(図18〜21)と比べて2回にわけて合計72時間溶液に浸漬させた場合の方が析出物による被覆が一様に見られ、析出物でコーティングされたコラーゲン繊維上には、やや大きい球状粒子が析出している。
図26は液量と浸漬時間を増加させたコラーゲンシートのXRDパターン測定の結果である。液量を20mlに設定した場合のみ、コーティングによって得られたリン酸カルシウムが低結晶質水酸アパタイトであることが確認された。また、図26のコラーゲンのピークに着目してみると、液量の増加にともないコラーゲンのピークの高さが低下していることが確認できる。この結果は、2種類の医療用点滴剤を混合して調製した不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の液量を調整することによりリン酸カルシウム皮膜の形成量を調節できることが示された。
例3
コラーゲン上へのリン酸カルシウムの析出時間を短縮するためには、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の濃度を上昇させればよい。そこで、高濃度医療用点滴剤を添加して、カルシウム濃度とリン酸濃度がリンゲル液、クリニザルツ液の1.2倍〜2.2倍濃度の溶液を作製し、これらを混合して不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を作製した。添加した高濃度医療用点滴剤はコンクライト‐Ca、コンクライト‐Pである。以下、これらの濃度増加リンゲル液及び濃度増加クリニザルツBはそれぞれ上昇の倍率を付記することで示す。すなわち、リンゲル液1.2と記述した場合にはカルシウム濃度のみ1.2倍に調製されたリンゲル液とし、クリニザルツB2.0と記述した場合はリン酸濃度のみ2.0倍に調製されたクリニザルツBとする。各溶液の成分を表4に示す。バイフィルについてはこれまでの実施例と同様のものを使用した。混合させる溶液の組合せは、濃度増加率が等しいもの同士を混合した。例えばリンゲル液1.2(1.2倍濃度リンゲル液)を用いる場合、クリニザルツBはクリニザルツB1.2(1.2倍濃度クリニザルツB液)を混合した。以下、1.2倍濃度のリンゲル液とクリニザルツBを混合したこの溶液は溶液1.2と示すこととし、他の倍率に関しても倍率に応じて同様の表記をする。Ca/P比は1.0で固定し、バイフィルの添加量は5,7,10,15vol%の4段階に変化させ、全部で24種類の溶液を調製した。
コラーゲン上へのリン酸カルシウムの析出時間を短縮するためには、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の濃度を上昇させればよい。そこで、高濃度医療用点滴剤を添加して、カルシウム濃度とリン酸濃度がリンゲル液、クリニザルツ液の1.2倍〜2.2倍濃度の溶液を作製し、これらを混合して不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を作製した。添加した高濃度医療用点滴剤はコンクライト‐Ca、コンクライト‐Pである。以下、これらの濃度増加リンゲル液及び濃度増加クリニザルツBはそれぞれ上昇の倍率を付記することで示す。すなわち、リンゲル液1.2と記述した場合にはカルシウム濃度のみ1.2倍に調製されたリンゲル液とし、クリニザルツB2.0と記述した場合はリン酸濃度のみ2.0倍に調製されたクリニザルツBとする。各溶液の成分を表4に示す。バイフィルについてはこれまでの実施例と同様のものを使用した。混合させる溶液の組合せは、濃度増加率が等しいもの同士を混合した。例えばリンゲル液1.2(1.2倍濃度リンゲル液)を用いる場合、クリニザルツBはクリニザルツB1.2(1.2倍濃度クリニザルツB液)を混合した。以下、1.2倍濃度のリンゲル液とクリニザルツBを混合したこの溶液は溶液1.2と示すこととし、他の倍率に関しても倍率に応じて同様の表記をする。Ca/P比は1.0で固定し、バイフィルの添加量は5,7,10,15vol%の4段階に変化させ、全部で24種類の溶液を調製した。
溶液の性質を調べるため、各溶液にコラーゲンシートを浸漬させずに各溶液のみをマルチプレートに2mlずつ注ぎ入れ、室温で溶液混合してから白濁が始まるまでの様子を観察した。図27は溶液を混合してから白濁が始まるまでの時間(以下、白濁開始時間とする)を各溶液についてまとめたものである。溶液の濃度が高くなるにつれて白濁開始時間は早くなっていることが確認できる。また、バイフィルの添加量の増加とともない、白濁開始時間が早まることが確認できた。したがって、リン酸カルシウムコーティングに費やす時間を短縮させるためには、溶液の濃度を高くし、バイフィルの添加量を増加させたものを利用すればよいことがわかる。溶液のpHはいずれも7.2〜8.1の範囲で中性-弱塩基性領域であった。以上のように、pHを中性領域に保ったまま医療用点滴剤のみで自発核形成までの遅延時間を制御でき、析出までの待ち時間を5分程度にまで短縮できることが示された。また、これにより、初期pHにおいて安定な生理活性物質を、失活せずにリン酸カルシウム皮膜に担持させることができることが示唆された。
例4
例3で得られた高濃度不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を用いて、コラーゲンシート上へのリン酸カルシウム皮膜形成を行った。使用した不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、本来のリンゲル液のCa含有量を10割増しした溶液であるリンゲル液2.0、クリニザルツBのP含有量を10割増ししたクリニザルツB2.0、バイフィルを混合させることにより得た(表4)。Ca/P比は1.0とし、バイフィルの添加量は10vol%に固定して組成を調整した。コラーゲンシート(明治製菓株式会社製医療用アテロコラーゲン創傷被覆材、メイパック)を1×1cm2に裁断し、マルチプレートに入れ、上記のリン酸カルシウム溶液2mlを注入した。コラーゲンシートの浸漬時間は30分、45分、60分、90分、120分、180分とし、処理温度は室温に設定した。浸漬後、溶液からコラーゲンシートを取り出し超純水で洗浄し、室温にて乾燥させた。その後、SEMを用いてコラーゲンの表面を観察した。
例3で得られた高濃度不安定リン酸カルシウム過飽和溶液を用いて、コラーゲンシート上へのリン酸カルシウム皮膜形成を行った。使用した不安定リン酸カルシウム過飽和溶液は、本来のリンゲル液のCa含有量を10割増しした溶液であるリンゲル液2.0、クリニザルツBのP含有量を10割増ししたクリニザルツB2.0、バイフィルを混合させることにより得た(表4)。Ca/P比は1.0とし、バイフィルの添加量は10vol%に固定して組成を調整した。コラーゲンシート(明治製菓株式会社製医療用アテロコラーゲン創傷被覆材、メイパック)を1×1cm2に裁断し、マルチプレートに入れ、上記のリン酸カルシウム溶液2mlを注入した。コラーゲンシートの浸漬時間は30分、45分、60分、90分、120分、180分とし、処理温度は室温に設定した。浸漬後、溶液からコラーゲンシートを取り出し超純水で洗浄し、室温にて乾燥させた。その後、SEMを用いてコラーゲンの表面を観察した。
また同じ条件の溶液を用いて、浸漬に使用する不安定リン酸カルシウム過飽和溶液の液量を20mlとし、浸漬時間を30分、60分、180分、24h、48hとした場合についても試験を行った。これらの試験についても、浸漬後、リン酸カルシウム溶液からコラーゲンシートを回収し、超純水で洗浄した後室温にて乾燥させた。図28〜34は高濃度不安定リン酸カルシウム過飽和溶液に浸漬後のコラーゲンシートをSEMを用いて観察した結果である。コラーゲンシートを浸漬させてから0分後、15分後、30分後、45分後ではコラーゲン繊維上に析出物を確認することができなかった。しかし60分以上浸漬させると析出物の形成が認められ、180分の浸漬でコラーゲン繊維表面は析出物によってほぼ全体を被覆された。例1及び2では2日かかっていたコラーゲンシート上へのリン酸カルシウム皮膜作成が60分にまで短縮することができ、リン酸カルシウムの析出までに要する時間を大幅に短縮することができた。
Claims (8)
- コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法であって、不安定リン酸カルシウム過飽和溶液とコラーゲンとを接触させる工程を含み、該不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(a)自発核形成によりリン酸カルシウム沈殿が自然に生じる溶液であり、かつ(b)少なくとも2種類の溶液の混合により調製された溶液である方法が提供される。
- 上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、(c)自発核形成が十分に遅延された状態で生じ、かつ(d)それによりリン酸カルシウムの析出が実質的にコラーゲン上だけに生ずるように調製された溶液である請求項1に記載の方法。
- 上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が医学的に許容可能な2種以上の溶液を混合することにより調製された溶液である請求項1又は2に記載の方法。
- 上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、少なくとも下記の2種類の医学的に許容可能な溶液:(1)リン酸イオンを含み、カルシウムイオンを実質的に含まない溶液;及び(2)リン酸イオンを実質的に含まず、かつカルシウムイオンを含む溶液を混合することにより調製された溶液である請求項3に記載の方法。
- 上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が医学的に許容可能なカルシウム不含有リン酸塩含有電解質輸液、カルシウム含有リン酸塩不含有電解質輸液、pH調節用の電解質を含む静脈内投与用製剤、及び透析ろ過型人工腎臓用透析液専用炭酸水素ナトリウム補充用輸液からなる群から選ばれる2種以上の輸液を混合することにより調製された溶液である請求項3又は4に記載の方法。
- 上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が1又は2以上の被担持分子を含み、リン酸カルシウムの析出と被担持分子のリン酸カルシウム皮膜への担持とを行う工程を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
- 上記の不安定リン酸カルシウム過飽和溶液が、Ca成分1.2〜4.5mM、リン酸成分0.6〜5.0mM、K成分4〜15mM、Na成分100〜150mM、Mg成分0.1〜1mM、Cl成分70〜150mM、HCO3成分0〜60mMを含み、かつ該溶液のpHが5.0〜9.0の範囲である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
- リン酸カルシウムが炭酸含有アパタイト、非晶質リン酸カルシウム、及び低結晶性アパタイトからなる群から選ばれた1種又は2種以上のリン酸カルシウムである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
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JP2004050927A JP2005237632A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | コラーゲン−リン酸カルシウム複合体の製造方法、及びそれを用いた硬組織代替材料 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005319022A (ja) * | 2004-05-07 | 2005-11-17 | Japan Science & Technology Agency | 無機化合物複合体、および、その製造方法、並びに、医療用材料 |
JP2022544457A (ja) * | 2020-03-31 | 2022-10-19 | 中国人民解放軍第四軍医大学 | 核酸-リン酸カルシウムナノ粒子複合体及び生物鉱化におけるその使用 |
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2004
- 2004-02-26 JP JP2004050927A patent/JP2005237632A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP2005319022A (ja) * | 2004-05-07 | 2005-11-17 | Japan Science & Technology Agency | 無機化合物複合体、および、その製造方法、並びに、医療用材料 |
JP2022544457A (ja) * | 2020-03-31 | 2022-10-19 | 中国人民解放軍第四軍医大学 | 核酸-リン酸カルシウムナノ粒子複合体及び生物鉱化におけるその使用 |
JP7453334B2 (ja) | 2020-03-31 | 2024-03-19 | 中国人民解放軍第四軍医大学 | 核酸-リン酸カルシウムナノ粒子複合体及び生物鉱化におけるその使用 |
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