JP2005236968A - データ変換器、およびデータ変換方法、ならびにそれらを用いた送信回路、通信機器、および電子機器 - Google Patents

データ変換器、およびデータ変換方法、ならびにそれらを用いた送信回路、通信機器、および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 量子化雑音を抑圧し、かつ消費電力の低減を図ることができる送信回路およびそれに用いられるデータ変換器、データ変換方法、ならびにそれらを用いた通信機器を提供すること。
【解決手段】 本発明は、入力信号を増幅器に入力するための信号に変換して出力するデータ変換器である。データ変換器は、入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、振幅検知部によって検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、領域判断部によって、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、入力信号よりも分解能が低い信号に入力信号を変換して出力する信号処理部とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、携帯電話、無線LAN等の通信機器に用いられる送信回路、およびオーディオ機器、映像機器等の電子機器ならびにそれに用いられるデータ変換器、データ変換方法に関し、より特定的には、量子化雑音を抑圧することができる送信回路、通信機器および電子機器ならびにそれらに用いられるデータ変換器、データ変換方法に関する。
図28は、従来の通信機器900の構成を示すブロック図である。図28において、従来の通信機器900は、送信回路901と、受信回路902と、アンテナ共用器903と、アンテナ904とを備える。送信回路901で生成された高周波送信信号は、アンテナ共用器903を介して、アンテナ904から空間に放射させる。一方、アンテナ904で受信された高周波信号は、アンテナ共用器903を介して、受信回路902に送られて、受信処理される。アンテナ共用器903として、たとえば、スイッチや誘電体、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)フィルタ等を用いた共用器(デュプレクサ)が用いられる。
図29は、図28に示す従来の通信機器900における送信回路901の構成の一例を示すブロック図である。図29では、主要部における波形を模式的に示した。送信回路901は、ポーラ(polar)変調によって送信信号を生成する送信回路である。図29において、従来の送信回路901は、データ生成部910と、角度変調器920と、振幅変調器930とを含む。
データ生成部910は、互いに直交するIデータ(in−phase data)と、Qデータ(quadrature−phase data)とで表される直交座標系のベースバンド信号を極座標系に変換して、振幅データと位相データとを出力する。振幅データは、振幅変調器930に入力される。位相データは、角度変調器920に入力される。
角度変調器920は、入力される位相データを角度変調して、搬送波を出力する。出力された搬送波は、振幅変調器930に入力される。
振幅変調器930は、データ生成部910からの振幅データで、角度変調器920からの搬送波を振幅変調して出力する。これによって、送信信号が得られる。このような変調方式が、ポーラ変調と呼ばれる。
図30は、振幅変調器930の構成を示すブロック図である。図30において、振幅変調器930は、整合回路931,936と、トランジスタ932と、直流電源933と、バイアス回路934,935とを有する。
角度変調器920から出力された角度変調波は、整合回路931を介して、トランジスタ932で増幅され、整合回路936を介して出力される。整合回路931,936は、トランジスタ932の入出力間の整合をとるための回路である。バイアス回路934,935は、それぞれ、トランジスタのベースあるいはゲート、コレクタあるいはドレインにバイアス電圧を供給するための回路である。トランジスタ932のベース端子には、直流電源933によって、バイアス回路934を介して、直流電圧が供給される。データ生成部910から供給される電圧に応じて、トランジスタ932の利得が変化する。すなわち、データ生成部910から出力される振幅データに比例した電圧がトランジスタ932に供給されることによって、振幅変調が実現される。
しかし、図29に示す送信回路901には、たとえば、トランジスタ932への入力電力が高くなった場合、あるいは、低くなった場合に、出力信号が歪んでしまうという問題があった。図31は、この歪みが発生する原因を説明するための模式図の一例である。
図31において、横軸は、トランジスタ932への入力電力の大きさ、すなわち振幅データの大きさを示す。左側の縦軸は、トランジスタ932の出力電力の大きさを示す。右側の縦軸は、トランジスタ932を通過する信号の位相(以下、通過位相という)を示す。
図31では、出力電力と通過位相とを合わせて表示している。したがって、グラフ上で特性を示している線が、どちらの特性を示しているのかを示す必要がある。図31では、どちらの特性を示しているかを、矢印が付いた楕円枠を用いて表している。楕円枠で囲まれた線の特性は、当該楕円枠に付いている矢印が指し示す縦軸である。
理想的なトランジスタでは、入力電力と出力電力とが比例関係になっている。また、理想的なトランジスタでは、入力電力が大きくなっても、通過位相が一定に保たれている。図31では、この理想的なトランジスタの特性を高入力電力側では点線で示す。このように、理想的なトランジスタでは、全ての入力電力において、出力電力および通過位相が線形的に変化する。
しかし、実際のトランジスタは、必ずしも、全ての入力電力において、線形的であるとは限らない。図31に示すように、入力電力がPよりも大きい場合、出力電力と入力電力とは比例関係にならず、また、通過位相は一定とならない。すなわち、入力電力がPよりも大きい場合、トランジスタの特性は非線形的となる。
このような非線形領域に振幅データが入力されると、出力電力が比例せずに増幅され、さらに、位相がずれる。すなわち、非線形領域に振幅データが入力されると出力信号が歪むこととなる。つまり、送信回路の出力が高出力となった場合、出力信号は歪んでしまうこととなる。
従来、このような問題を解決するために、振幅データを離散化する方法が提案されている。図32は、図28に示す従来の通信機器900における送信回路の他の構成例を示すブロック図である(特許文献1参照)。図32おいて、送信回路901aは、データ生成部910と、角度変調器920と、振幅変調器930と、バンドパスフィルタ940と、デルタシグマ変調器950とを含む。図32において、図29と同様の部分については、同一の参照符号を付す。図32では、主要部の波形を模式的に示した。
送信回路901aにおいて、データ生成部910から出力される振幅データは、デルタシグマ変調器950において、デルタシグマ変調され、二値の信号(典型的には0と正の実数の2値)に離散化されて、振幅変調器930に入力される。
一方、データ生成部910から出力される位相データは、角度変調器920に入力され、角度変調され、角度変調波として出力され、振幅変調器930に入力される。
振幅変調器930は、角度変調器920からの搬送波を、デルタシグマ変調器950からの信号で振幅変調する。振幅変調器930の構成は、図30に示すものと同様である。したがって、デルタシグマ変調器950から出力される二値の信号に対応する電圧がトランジスタ932に供給されることによって、搬送波が当該二値の信号によってオンオフされ、振幅変調が実現される。
バンドパスフィルタ940は、デルタシグマ変調により発生した量子化雑音を除去して、送信信号を出力する。
このように、送信回路901aでは、デルタシグマ変調された二値の信号を用いて振幅変調するので、振幅変調器930から出力される信号は、角度変調波が、オンオフされるだけである。したがって、送信回路901aからの出力信号が歪まないこととなる。
特開2002−325109号公報、図1
しかし、図32に示す送信回路901aには、量子化雑音が多く含まれるという問題がある。図33は、図32に示す送信回路901aの振幅変調器930からの出力スペクトラムを示す図である。図34は、図32に示す送信回路901aのバンドパスフィルタ940からの出力スペクトラムを示す図である。なお、横軸の周波数のゼロ点は、中心周波数を表している。
図33に示すように、振幅変調器930からの出力には、量子化雑音が多く含まれている。したがって、量子化雑音は、バンドパスフィルタ940で取り除く必要があるが、量子化雑音を取り除くことは損失となってしまう。例えば、量子化雑音のエネルギーが全体のエネルギーの30から40%を占めている場合、振幅変調器930の効率を100%にしたとしても、送信回路901aトータルの効率は60から70%に低下してしまう。したがって、量子化雑音の電力を小さくしなければ、送信回路全体の消費電力を小さくできない。すなわち、量子化雑音の電力が大きいと、送信回路全体の消費電力も大きくなってしまう。
さらに、不要な量子化雑音を十分に除去するために、バンドパスフィルタ940で大きな抑圧量が必要となる。これを実現するために、バンドパスフィルタ940での通過損失が大きくなる。また、大きな抑圧量を得るためにバンドパスフィルタ940の構成も大きくなり、結果、送信回路全体の回路規模も大きくなってしまう。
また、図34に示すように、所望波周波数近傍の量子化雑音はバンドパスフィルタでは取り除くことができない。そのため、所望波周波数近傍の量子化雑音を取り除くためには、デルタシグマ変調器950で十分に低雑音としておく必要がある。これを実現するためにはデルタシグマ変調器950のクロック周波数を高くして、所望波周波数近傍の量子化雑音を下げなければならない。しかし、これは、デルタシグマ変調器950での消費電力増大を招いてしまう。
それゆえ、本発明の目的は、量子化雑音を抑圧し、かつ消費電力の低減を図ることができる送信回路、通信機器、および電子機器ならびにそれらに用いられるデータ変換器、データ変換方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、入力信号を増幅器に入力するための信号に変換して出力するデータ変換器であって、入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、振幅検知部によって検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、領域判断部によって、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、入力信号よりも分解能が低い信号に入力信号を変換して出力する信号処理部とを備える。
たとえば、入力信号が離散化されている場合、信号処理部は、離散値同士の間隔を広くすることによって、入力信号よりも分解能が低い信号に入力信号を変換するとよい。
また、たとえば、入力信号が離散化されていない場合、信号処理部は、入力信号を離散化することによって、入力信号よりも分解能が低い信号に入力信号を変換するとよい。
さらに、たとえば、信号処理部は、さらに、領域判断部によって、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属さないと判断された場合、非線形領域に属すると判断されて離散化する場合に比べて、離散値の間隔が狭くなるように入力信号を離散化するとよい。
好ましくは、入力信号が直交データである場合、振幅検知部は、これらの二乗和の平方根を求めることによって、入力信号の振幅の大きさを検知するとよい。
好ましくは、信号処理部による変換後の信号を、増幅器で発生する歪みが抑圧されるように補正する補正部をさらに備えるとよい。
たとえば、補正部は、入力信号の振幅および位相を補正するとよい。
また、たとえば、補正部は、増幅器で発生する歪みに対して、等振幅逆位相の信号を発生させるとよい。
たとえば、領域判断部は、入力信号の振幅の大きさが第1の閾値を超える場合、増幅器への入力電圧が非線形領域に属すると判断するとよい。
また、たとえば、領域判断部は、入力信号の振幅の大きさが第2の閾値を超えない場合、非線形領域に属すると判断するとよい。
また、たとえば、領域判断部は、入力信号の振幅の大きさが第3の閾値を超えないか、または第4の閾値を超える場合、非線形領域に属すると判断するとよい。
たとえば、信号処理部は、デルタシグマ変調によって、入力信号より分解能が低い信号に入力信号を変換するとよい。
好ましくは、増幅器には、利得可変増幅器による増幅後の信号が入力されており、領域判断部は、入力信号の振幅の大きさが設定範囲外であるか否かに基づいて、増幅器への入力電圧が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断し、さらに、利得可変増幅器の利得を示す情報に基づいて、設定範囲を調整する設定範囲調整部を備えるとよい。
また、たとえば、信号処理部は、入力信号を振幅データおよび位相データに変換する座標系変換部と、座標系変換部によって変換された振幅データをデルタシグマ変調するデルタシグマ変調器と、位相データとデルタシグマ変調器によってデルタシグマ変調された振幅データとを掛け算する掛け算器とを含むとよい。
また、たとえば、入力信号は、直交データであって、信号処理部は、入力信号が入力される引き算器と、引き算器に接続され、直交データの各要素を積分するベクトル積分器と、ベクトル積分器によって積分された直交データに対して、少なくとも二以上の離散値を用い、当該二以上の離散値の中から、入力された直交データのなすベクトルの大きさよりも小さい最大の離散値を求め、積分された直交データのなすベクトルの大きさが当該最大の離散値となるようにし、かつ、積分された直交データの位相が入力された直交データの位相と等しくなるようにして量子化するベクトル量子化器とを備え、引き算器は、入力された直交データからベクトル量子化器によって量子化された直交データを引くとよい。
また、本発明は、送信信号を生成するための送信回路であって、増幅器と、入力信号を増幅器の入力に用いられる信号に変換するデータ変換器とを備え、データ変換器は、入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、振幅検知部によって検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、領域判断部によって、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、入力信号よりも分解能が低い信号に入力信号を変換して出力する信号処理部とを含む。
好ましくは、信号処理部による変換後の信号を、増幅器で発生する歪みが抑圧されるように補正する補正部をさらに備えるとよい。
好ましくは、増幅器の後段に接続されたフィルタをさらに備えるとよい。
好ましい実施形態では、さらに、増幅器に入力される信号の電力を調整する利得可変増幅器を備え、領域判断部は、入力信号の振幅の大きさが所定の設定範囲外であるか否かに基づいて、増幅器への入力電力が非線形領域に属するか否かを判断し、データ変換器は、さらに、利得可変増幅器の利得を示す情報に基づいて、設定範囲を調整する設定範囲調整部を含む。
好ましい実施形態では、データ変換器への入力信号は、直交データであり、データ変換器は、変換後の直交データを出力し、さらに、データ変換器によって出力された変換後の直交データを変調して出力するベクトル変調器を備え、振幅検知部は、直交データに基づいて、入力信号の振幅の大きさを検知する。
好ましい実施形態では、データ変換器への入力信号は、直交データであり、データ変換器は、変換後の直交データを出力し、さらに、変換後の直交データを極座標系のデータに変換して、振幅データおよび位相データを生成する座標系変換部と、座標系変換部によって生成された位相データを角度変調する角度変調器とを備え、増幅器は、角度変調器によって角度変調された位相データを座標系変換部によって生成された振幅データに基づいて振幅変調する振幅変調器であり、振幅検知部は、直交データに基づいて、入力信号の振幅の大きさを検知する。
好ましい実施形態では、さらに、振幅データおよび位相データを生成するデータ生成部と、データ生成部によって生成された位相データを角度変調して、角度変調波を生成する角度変調器とを備え、データ変換器への入力信号は、データ生成部が生成した振幅データであり、データ変換器は、変換後の振幅データを出力し、振幅検知部は、振幅データに基づいて、入力信号の振幅の大きさを検知し、増幅器は、角度変調器によって角度変調された位相データをデータ変換器によって変換された振幅データに基づいて振幅変調する振幅変調器であり、振幅検知部は、振幅データの大きさに基づいて、入力信号の振幅の大きさを検知する。
本発明は、通信機器であって、送信信号を生成するための送信回路と、受信信号を処理するための受信回路とを備え、送信回路は、増幅器と、入力信号を増幅器の入力に用いられる信号に変換するデータ変換器とを含み、データ変換器は、入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、振幅検知部によって検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、領域判断部によって、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、入力信号よりも分解能が低い信号に入力信号を変換して出力する信号処理部とを有する。
本発明は、電子機器であって、増幅器と、入力信号を増幅器に入力するための信号に変換して出力するデータ変換器とを備え、データ変換器は、入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、振幅検知部によって検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、領域判断部によって、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、入力信号よりも分解能が低い信号に入力信号を変換して出力する信号処理部とを備える。
本発明は、入力信号を増幅器に入力するための信号に変換するデータ変換器での処理方法であって、入力信号の振幅の大きさを検知するステップと、検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断するステップと、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、入力信号よりも分解能が低い信号に入力信号を変換して出力するステップとを備える。
好ましくは、増幅器の非線形領域に属するか否かを判断するステップでは、入力信号の振幅の大きさが設定範囲外であるか否かに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断し、さらに、増幅器の前段に接続される利得可変増幅器の利得を示す情報に基づいて、設定範囲を調整するステップを備えるとよい。
以下、本発明の効果について説明する。本発明では、入力信号の振幅の大きさを検知して、検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断して、非線形領域に属する場合、入力信号の分解能を低くして出力する。したがって、入力信号の内、増幅器の非線形領域に対応する部分のみを離散化することとなる。ゆえに、入力信号の一部のみが離散化されることとなるので、従来のように入力信号の全てを離散化する場合に比べて、量子化雑音が低減されることとなる。
量子化雑音が低減することによって、増幅器で不要な信号を増幅する必要がなくなるので、送信回路全体の消費電力を低減することができる。
さらに、補正部によって、離散化された入力信号の電力および位相と当該離散化された入力信号に対応する出力信号の電力および位相とが補正されるので、増幅器での歪みが発生しないこととなる。
また、全体に量子化雑音が抑圧されているので、所望波周波数近傍の量子化雑音も抑圧されることとなる。したがって、送信回路におけるバンドパスフィルタに求められる減衰特性が緩和され、その結果、通過損失が低減することとなる。また、急峻なバンドパスフィルタを用いなくてもよくなり、送信回路の消費電力の低減につながる。結果、送信回路全体の小型化も図られることとなる。
また、本実施形態では、振幅の分解能が小さいので、デルタシグマ変調器によるデータ変換を行わない従来の送信回路において補償テーブルを用意する場合と比べて、極めてテーブルが小さくなる。
なお、一般に、データ変換器における離散化のためのクロック周波数を上げて、所望波周波数近傍の量子化雑音を低減する場合があるが、本発明では、量子化雑音がすでに低減されているので、データ変換器のクロック周波数を上げる必要がなくなるので、データ変換器の消費電力低減につながる。
入力信号が離散化されている場合、信号処理部は、離散値同士の間隔を広くすることによって、入力信号よりも分解能が低い信号を得ることができるので、処理が簡易である。
入力信号が離散化されていない場合、信号処理部は、入力信号を離散化することによって、入力信号よりも分解能が低い信号を得ることができるので、デルタシグマ変調等の一般的な離散化方式を用いるだけで、入力信号よりも分解能が低い信号を得ることができる。
信号処理部は、さらに、領域判断部によって、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属さないと判断された場合、非線形領域に属すると判断されて離散化する場合に比べて、離散値の間隔が狭くなるように入力信号を離散化することによって、入力信号よりも分解能が低い信号を得ることができる。
入力信号が直交データである場合、振幅検知部は、これらの二乗和の平方根を求めることによって、入力信号の振幅の大きさを検知するので、容易に入力信号の振幅の大きさを検知することができる。
領域判断部は、第1〜第4の閾値のいずれかを用いることによって、増幅器への入力電力が非線形領域に属しているか否かを容易に判断することができる。
設定範囲調整部は、利得可変増幅器の利得を示す情報に基づいて、設定範囲を調整するので、実際に増幅器に入力される電力に応じて、入力信号を分解能が低い信号にするか否かが判断されることとなる。
信号処理部にデルタシグマ変調器やベクトル量子化器を用いることによって、入力信号の一部を分解能が低い信号にすることができる。
本発明のデータ変換器を備える送信回路、通信機器、電子機器は、量子化雑音を抑圧し、かつ消費電力の低減を図ることができる。
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本発明の送信回路が適用される通信機器は、従来と同様であるので、以下の実施形態においても、図28を援用することとする。なお、以下の実施形態では、本発明のデータ変換器を通信機器に応用したときを中心に説明するが、本発明のデータ変換器は、通信機器のみならず、オーディオ機器や映像機器等、増幅器を備える全ての電子機器に応用することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る送信回路100の構成を示すブロック図である。図1において、送信回路100は、入力端子101と、データ変換器110と、補正部120と、補償テーブル部130と、ベクトル変調器140と、利得可変増幅器150と、増幅器160と、バンドパスフィルタ170と、出力端子102とを備える。
送信回路100には、データ生成部(図示せず)から、直交データであるIデータおよびQデータが入力される。送信回路100は、入力されたIデータおよびQデータを高周波の送信信号に変換して出力する。
入力端子101の一端には、データ生成部(図示せず)が接続される。入力端子の他端には、データ変換器110が接続される。データ変換器110の出力側には、補正部120が接続される。補償テーブル部130は、補正部120と接続される。補正部120の出力側には、ベクトル変調器140が接続される。ベクトル変調器140の出力側には、利得可変増幅器150が接続される。利得可変増幅器150の出力側には、増幅器160が接続される。増幅器160の出力側には、バンドパスフィルタ170が接続される。バンドパスフィルタ170の出力側には、出力端子102が接続される。
データ変換器110は、入力端子101に入力される信号を増幅器160に入力するための信号に変換する。補正部120は、データ変換器110が出力した信号のデータ値(振幅値および位相値)を補正する。補償テーブル部130は、補正部120で補正を行う際に参照される補償テーブルを格納する記憶部である。データ変換器110、補正部120、および補償テーブル部130は、入力信号を増幅器160に入力するための信号に変換するための装置であるので、これらを合わせて、データ変換器と呼ぶこともできる。
ベクトル変調器140は、直交データが搬送波に乗るように変調するための変調器である。利得可変増幅器150は、外部制御部(図示せず)からの指示に応じて、利得を可変にし、増幅器160に入力するための電力を調整する。増幅器160は、トランジスタからなっており、入力された信号を増幅して出力する。バンドパスフィルタは、所望の周波数帯域の信号を通過するためのフィルタである。
以下、送信回路100の動作について説明する。
データ変換器110への入力信号は、IデータおよびQデータで示される直交データでる。データ変換器110は、入力端子101に入力されるIデータおよびQデータに基づいて、入力信号である直交データの振幅の大きさである(I2 +Q2 1/2 を検知する。データ変換器110は、検知した振幅の大きさ(I2 +Q2 1/2 が、設定範囲内の大きさであるか否かを判断する。データ変換器110は、設定範囲を、外部制御部(図示せず)から伝えられる増幅器160が出力すべき電力の大きさに応じて、変化させる。
設定範囲内の大きさである場合、データ変換器110は、IデータおよびQデータをそのまま出力する。一方、設定範囲内の大きさでない場合、データ変換器110は、入力されたIデータおよびQデータのなすベクトルの大きさの分解能を低くして、I2データおよびQ2データとして出力する。なお、本明細書において、直交データの大きさといった場合、直交データのなすベクトルの大きさのことを意味するものとする。具体的には、直交データが予め離散化されているとき、データ変換器110は、設定範囲内の大きさでない場合、離散値同士の間隔を広くすることによって、分解能を低くする。一方、直交データが予め離散化されていないとき、データ変換器110は、設定範囲内の大きさでない場合、入力信号の大きさを離散化することによって分解能を低くする。このようにして、データ変換器は、設定範囲外の振幅値を有する入力信号を、その振幅の大きさに関して、それよりも分解能が低い信号に変換して出力する。
補償テーブル部130の補償テーブルには、I2データおよびQ2データに基づく振幅信号の振幅値および位相値を補正するための情報が定義されている。
補正部120は、データ変換器110から入力されたデータがI2データおよびQ2データである場合、補償テーブル部130に格納されている補償テーブルを参照して、I2データおよびQ2データから求められる振幅値および位相値を補正して、I3データおよびQ3データとして出力する。一方、補正部120は、データ変換器110から入力されたデータがIデータおよびQデータである場合、そのままIデータおよびQデータを出力する。
ベクトル変調器140は、入力される直交データと搬送波とを合成して、直交データが搬送波に乗るように変調する。
たとえば、ベクトル変調器140は、直交変調器である。この場合、ベクトル変調器140は、入力されるIデータ(またはI3データ)およびQデータ(またはQ3データ)を、Icos(ωt)−Qsin(ωt)、またはI3cos(ωt)−Q3sin(ωt)に変換して出力する。なお、ここで、I,Q,I3,Q3は、Iデータ、Qデータ、I3データ、Q3データの値を指しているとする(以下、同様)。
また、たとえば、ベクトル変調器140は、ポーラ変調器であってもよい。この場合、ベクトル変調器140は、入力されるIデータおよびQデータを(I2 +Q2 1/2 cos(ωt+φ)に変換して出力する。ただし、φはIデータ、Qデータの構成するベクトルのなす角度で、φ=tan―1(Q/I)で表される。
利得可変増幅器150は、外部制御部(図示せず)からの指示に応じて利得を可変にする。たとえば、増幅器160の出力電力を1/2倍にしなければならない場合、利得可変増幅器150は、利得を1/2倍にして、増幅器160に入力される信号の電力を下げて、増幅器160の出力電力を1/2倍にする。このように、利得可変増幅器150が利得を可変にする典型的な例は、送信回路100を内蔵している通信機器と交信する他の通信機器が、当該通信機器の近くにいたり、遠くにいたりする場合である。このような場合、利得可変増幅器150の利得を増減させることによって、送信信号の電力を増減させる。
増幅器160は、ベクトル変調器140から出力される変調信号を増幅して出力する。
バンドパスフィルタ170は、増幅器160によって増幅された信号の内、帯域外の不要な量子化雑音成分を除去して出力する。
先述のように、データ変換器110における設定範囲は、増幅器160から出力すべき電力の大きさに応じて変化させられる。図2は、データ変換器110における設定範囲の設定方法を説明するための図である。増幅器160から出力すべき電力の大きさが小さい場合、利得可変増幅器150での利得は小さくてよい。利得可変増幅器150の利得が小さい場合、増幅器160への入力電力は小さくなり、当該入力電力は増幅器160の線形領域に属することとなる。従って、このような場合、当該設定範囲を狭くしておくと、増幅器160への入力電力が線形領域に属するにもかかわらず、分解能が低くされてしまうこととなるので、当該設定範囲は、広くなるように設定されなければならない。一方、増幅器160から出力すべき電力の大きさが大きい場合、利得可変増幅器150での利得は大きくなければならない。利得可変増幅器150の利得が大きい場合、増幅器160への入力電力は大きくなり、当該入力電力は増幅器160の非線形領域に属することとなる。従って、このような場合、当該設定範囲を広くしておくと、増幅器160への入力電力が非線形領域に属するにもかかわらず、分解能が低くならなくなってしまうので、当該設定範囲は、狭くなるように設定されなければならない。このようにして、データ変換器110は、利得可変増幅器150の利得を示す情報である増幅器160から出力すべき電力に応じて、設定範囲を狭くしたり、広くしたりする。なお、データ変換器110は、利得可変増幅器150の利得を示す情報として利得可変増幅器150の利得そのものに応じて、設定範囲を調整するようにしてもよい。いずれの場合であっても、データ変換器110(後述の設定範囲調整部111c)は、利得可変増幅器150の利得を示す情報に基づいて、設定範囲を調整する。
図3は、データ変換器110の機能的構成の一例を示すブロック図である。図3において、データ変換器110は、制御部111と、信号処理部112と、スイッチ部113とを含む。
制御部111は、スイッチ部113のスイッチングを制御する。図4は、制御部111の機能的構成を示すブロック図である。図4において、制御部111は、振幅検知部111aと、領域判断部111bと、設定範囲調整部111cとを含む。図5は、制御部111の動作を示すフローチャートである。以下、図5を参照しながら、制御部111の動作について説明する。まず、制御部111の振幅検知部111aは、IデータおよびQデータによって表される直交データに相当する振幅信号の振幅の大きさである(I2 +Q2 1/2 を検知する(ステップS101)。次に、制御部111の設定範囲調整部111cは、外部制御部から与えられる利得可変増幅器150の利得を示す情報に基づいて、設定範囲を調整する(ステップS102)。次に、制御部111の領域判断部111bは、求めた振幅の大きさ(I2 +Q2 1/2 が設定範囲内であるか否かを判断する(ステップS103)。なお、ステップS101の動作とS102の動作とは、逆の順番で実行されてもよいし、並列に実行されてもよい。
設定範囲内であるか否かを判断するための方法としては、いくつか考えられる。たとえば、制御部111をDSP(Digital Signal Processor)として、IデータおよびQデータから、(I2 +Q2 1/2 を求め、設定範囲内であるか否かをある閾値を超えるか否かによって判定してもよい。また、制御部111を専用のデジタル回路によって閾値判定してもよい。また、制御部111を専用のアナログ回路として、ダイオードを用いて閾値判定してもよい。
設定範囲内である場合、制御部111の領域判断部111bは、IデータおよびQデータをそのまま出力するようスイッチ部113をスイッチングする(ステップS104)。
一方、設定範囲内でない場合、制御部111の領域判断部111bは、IデータおよびQデータを信号処理部112で信号処理してI2データおよびQ2データを出力するようスイッチングする(ステップS105)。
データ変換器110は、スイッチ部113の切り替えの際、入力側から出力側への経路で発生する遅延時間と、信号処理部112を介した経路で発生する遅延時間とが一致するように工夫されている。たとえば、データ変換器110がDSPによって実現されている場合、データ変換器110は、IデータおよびQデータをそのまま出力する場合、信号処理部112での処理に必要な時間だけ経過した後にIデータおよびQデータを出力する。また、データ変換器110がデジタル回路やアナログ回路で構成されている場合、信号処理部112での処理に必要な時間だけ遅延を与える遅延回路を、スイッチ部113において信号処理部112が接続されていない端子と入力端子101との間に挿入する。
先述のように、(I2 +Q2 1/2 の大きさの設定範囲は、増幅器160の線形領域によって定義される。増幅器160の線形領域は、増幅器160への入力電力の大小、すなわち増幅器160へ入力される振幅信号の大小によって決まる。入力電力に対して、出力電力および通過位相が線形(比例関係)である領域が線形領域である。入力電力に対して、出力電力および通過位相が非線形である(比例関係にない)領域が非線形領域である。
たとえば、入力電力がP1よりも大きい場合に増幅器160が非線形となる場合、入力電力P1に対応する利得可変増幅器150から出力される信号の電力の大きさをA1とし、利得可変増幅器150の利得をαとすると、設定範囲は、
0≦(I2 +Q2 1/2 ≦a1
となる。ここで、a1は、A1とαとで一意に決まるデータ変換器110からの出力振幅である。
なお、データ変換器110は、外部制御回路(図示せず)から入力される増幅器160が出力すべき電力の大きさに関する情報に基づいて、利得可変増幅器150の利得αを知ることができる(以下同様)。
また、たとえば、入力電力がP2よりも小さい場合に増幅器160が非線形となる場合、入力電力P2に対応する利得可変増幅器150から出力される信号の電力の大きさをA2とし、最大入力電力に対応する利得可変増幅器150から出力される信号の電力の大きさをBとし、利得可変増幅器の利得をαとすると、設定範囲は、
a2≦(I2 +Q2 1/2 ≦b
となる。ここで、a2は、A2とαとで一意に決まるデータ変換器110からの出力振幅である。bは、Bとαとで一意に決まるデータ変換器110からの出力振幅である。
また、たとえば、入力電力がP3より小さい場合またはP4より大きい場合に増幅器160が非線形となる場合、入力電力P3に対応する利得可変増幅器150から出力される信号の電力の大きさをA3とし、入力電力P4に対応する利得可変増幅器150から出力される信号の電力の大きさをA4とし、利得可変増幅器150の利得をαとすると、設定範囲は、
a3≦(I2 +Q2 1/2 ≦a4
となる。ここで、a3は、A3とαとで一意に決まるデータ変換器110からの出力振幅である。a4は、A4とαとで一意に決まるデータ変換器110からの出力振幅である。
スイッチ部113は、制御部111からの制御信号に応じて、スイッチングする。ベクトル変調器140と信号処理部112とが接続されるようにスイッチングされた場合、信号処理部112は、入力された信号をデルタシグマ変調して、I2データおよびQ2データとして、ベクトル変調器140に入力する。それ以外の場合、IデータおよびQデータは、そのままベクトル変調器140に入力される。
図6は、信号処理部112の機能的構成の一例を示すブロック図である。図6において、信号処理部112は、座標系変換部1121と、デルタシグマ変調器1122と、掛け算器1123とを有する。
座標系変換部1121は、入力される直交データであるIデータおよびQデータを、極座標系のデータである振幅データおよび位相データに変換して出力する。ここで、座標系変換部1121は、位相データを直交座標系のデータで表すようにする。すなわち、振幅データをM、位相を表す直交座標系のデータをIp,Qpとすると、これらは、下記の(式1)〜(式3)によって表される。ここで、Ip,Qpのなすベクトルの大きさは一定であるとする。
M=(I+Q)1/2 …(式1)
Ip=I/M …(式2)
Qp=Q/M …(式3)
座標系変換部1121から出力された振幅データMは、デルタシグマ変調器1122に入力される。デルタシグマ変調器1122は、入力される振幅データMをデルタシグマ変調し、デルタシグマ変調データMdを出力する。デルタシグマ変調信号Mdは、掛け算器1123に入力される。ここで、デルタシグマ変調器1122としては、一次のデルタシグマ変調器を用いてもよいし、二次のデルタシグマ変調器を用いてもよい。次数の高いデルタシグマ変調器を用いる程、所望波周波数近傍の量子化雑音を低減することができる。
座標系変換部1121から出力された位相データを表す直交データIp,Qpは、掛け算器1123に入力される。
掛け算器1123は、デルタシグマ変調データMdと、直交データIp,Qpとをそれぞれ掛け算して出力する。すなわち、掛け算器1123からは、下記の(式4)および(式5)で表されるデータI2,Q2が出力される。
I2=Md×Ip
Q2=Md×Qp
このようにして、信号処理部112は、デルタシグマ変調された直交データI2,Q2を出力することとなる。デルタシグマ変調された直交データI2,Q2は、直交データI2,Q2によるベクトルの大きさに関して、離散化されているので、分解能が低くなったデータといえる。
データ変換器110の出力側と信号処理部112とがスイッチ部113によって接続されている場合、補正部120は、信号処理部112から出力された離散化された直交データの振幅値および位相値を補正して、ベクトル変調器140に入力する。一方、データ変換器110の出力側と入力側とがスイッチ部113によって接続されている場合、補正部120は、直交データをそのままベクトル変調器140に入力する。
図7A,B,Cは、設定範囲が0≦(I2 +Q2 1/2 ≦a1のときのデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図である。図7Aは、設定範囲を模式的に示す図である。図7Aにおいて、ハッチングされた四角枠が、設定範囲内を示す。白色の四角枠が設定範囲外を示す。図7Bは、データ変換器110に入力されるIデータおよびQデータから求められる振幅データの時間波形を示す図である。図7Bに示す例では、閾値a1からbまでの設定範囲外の時間波形部分が存在する。図7Cは、データ変換器110から出力される振幅データの時間波形を示す図である。図7Cに示すように、データ変換器110は、設定範囲内では信号処理を行わず、設定範囲外では信号処理部112でデルタシグマ変調を行って離散化する。
図8は、補正部120の動作および歪みが抑圧される根拠を具体的に説明するための図である。図9は、図7Aに示すような設定範囲を用いた場合の補償テーブルの一例を示す図である。補償テーブルは、利得可変増幅器150の利得毎に設けられてもよいし、利得可変増幅器150の利得に基づいて演算処理で求められてもよい。
図8において、入力電力がP1に対応する利得可変増幅器150から出力される信号の電力の大きさがA1であるとする。電力の大きさA1は、利得可変増幅器150によって増幅される前の直交データの振幅の大きさa1に対応しているとする。また、入力電力がP1aに対応する利得可変増幅器150から出力される信号の電力の大きさがBであるとする。電力の大きさBは、利得可変増幅器150によって増幅される前の直交データの振幅の大きさbに対応しているとする。入力電力P1bに対応する利得可変増幅器150から出力される信号の電力の大きさがB1であるとする。電力の大きさB1は、利得可変増幅器150によって増幅される前の直交データの振幅の大きさb1に対応しているとする。
図9に示す補償テーブル部130は、利得可変増幅器150のある利得において、入力された振幅の大きさがbである場合、振幅の大きさをb1に補正し、位相をθからθ+θ1に補正するように、補正テーブルを定義している。θ+θ1は、相互変調歪みを抑圧するために、位相θと逆位相となっている。すなわち、P1bでの位相回転量は−θ1で表されている。
図10Aは、b1の求め方を説明するための図である。出力電力P0を得るためには、もし、増幅器160が線形であれば、入力電力はPi1であるとよい。しかし、増幅器160は非線形であるので、出力電力P0を得るためには、大きめの入力電力Pi2が入力しなければならない。このときの入力電力、すなわち、利得可変増幅器150から出力される信号Pi2に対応する直交データの振幅の大きさが、b1となる。
図10Bは、位相回転量θ1の求め方を説明するための図である。増幅器160が、図10Bに示すように、入力電圧の増加に伴って位相が遅れる特性を有しているとしたら、入力電圧がPi2のとき、位相がθ1だけ遅れていることが分かる。したがって、補正後の位相をθ+θ1とすればよい。
補正部120は、利得可変増幅器150における利得に応じて、補償テーブルを参照する。補正部120は、データ変換器110から入力される振幅の大きさを求める。直交データの大きさがbであり、かつ図9に示す補償テーブルを用いる利得である場合、補正部120は、大きさがb1となり、位相がθ+θ1となるように、入力された直交データを変換して出力する。これにより、図8に示すように、離散された部分の最大電力値がB1となり、それに対応する供給電力がP1bとなる。よって、増幅器160には、P1bの電力が供給されることとなる。入力電力P1bに対応する出力電力は、増幅器160が理想的な線形性を有している場合の入力電力P1aに対応する出力電力と同じとなる。さらに、補正部120は、入力された直交データの位相θを、θ+θ1に変換する。したがって、出力電力および通過位相の線形性が保たれることとなる。よって、増幅器160は、歪みのない信号を出力することができる。
このように、第1の実施形態では、送信回路は、送信回路の入力信号である直交データの振幅の大きさを検知して、検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断して、非線形領域に属する場合、入力信号の分解能を低くして出力する。したがって、第1の実施形態に係るデータ変換器は、入力信号の内、増幅器の非線形領域に対応する電力を有する部分のみを離散化することとなる。ゆえに、入力信号の一部のみが離散化されることとなるので、従来のように入力信号の全てを離散化する場合に比べて、量子化雑音が低減されることとなる。
量子化雑音が低減することによって、増幅器で不要な信号を増幅する必要がなくなるので、送信回路全体の消費電力を低減することができる。
さらに、離散化された増幅器への入力信号の電力および位相と当該離散化された当該入力信号に対応する増幅器からの出力信号の電力および位相との関係が、線形領域における入出力関係と同一となるので、増幅器での歪みが発生しないこととなる。
また、全体に量子化雑音が抑圧されているので、所望波周波数近傍の量子化雑音も抑圧されることとなる。したがって、バンドパスフィルタにおける通過損失が低減することとなる。また、急峻な減衰特性を有するバンドパスフィルタを用いなくてもよくなり、送信回路の消費電力の低減につながる。結果、送信回路全体の小型化も図られることとなる。
また、本実施形態では、振幅の分解能が小さいので、デルタシグマ変調器によるデータ変換を行わない従来の送信回路において補償テーブルを用意する場合と比べて、極めてテーブルが小さくなる。
なお、一般に、データ変換器における離散化のためのクロック周波数を上げて、所望波周波数近傍の量子化雑音を低減する場合があるが、本発明では、量子化雑音がすでに低減されているので、データ変換器のクロック周波数を上げる必要がなくなるので、データ変換器の消費電力低減につながる。
なお、第1の実施形態において、データ変換器110では、閾値判定に基づいて、分解能が低い信号処理を行うか、それとも、信号処理を行わずにそのまま信号を出力するか決定していたが、設定範囲外について分解能が低くなるようにデータ変換するのであれば、これに限られるものではない。
たとえば、制御部111は、設定範囲外であれば、信号処理部112を動作させ、設定範囲内であれば信号処理部112を動作させないようにしてもよい。これによって、設定範囲外の分解能が低くなる。
また、入力信号が離散化されていない場合、制御部111は、設定範囲内であれば、離散値の間隔が狭くなるように信号処理部112を動作させ、設定範囲外であれば、離散値の間隔が広くなるように信号処理部112を動作させようにしてもよい。すなわち、設定範囲内の場合、入力信号をそのまま出力することとしたが、設定範囲内においても、量子化雑音が大きくならないような狭い間隔で、信号処理によって量子化しても構わない。これによっても、設定範囲外での分解能が低くなる。
なお、第1の実施形態では、信号を離散化するような変調器であれば、デルタシグマ変調器に限定されるものではない。たとえば、デルタ変調(DM)器であってもよいし、パルス幅変調(PWM)器であってもよい。
なお、増幅器160の量子化雑音が十分小さい場合、バンドパスフィルタ170は省略してもよい。
なお、データ変換器110は、上記動作を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納しておき、当該プログラムを当該記録媒体からCPUが読み出して実行することによって実現されてもよい。データ変換器110をプログラムとCPUとに基づいて実現してもよい点については、他の実施形態においても同様である。
なお、第1の実施形態において、補正部120は、補償テーブルを参照して、直交データの振幅および位相を補正することとした。しかし、補正部120は、図10A,Bに示すような増幅器160の特性を示すカーブを記憶しておき、補正後の直交データの振幅および位相を計算するようにしてもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、入力電力が低いときに歪む増幅器160を用いる場合の送信回路の構成について説明する。なお、設定範囲以外は、第1の実施形態と同様であるので、第2の実施形態では、図1,3,4,5,6を援用することとする。図11A,B,Cは、本発明の第2の実施形態に係るデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図である。第2の実施形態では、データ変換器110における設定範囲が、a2≦(I2 +Q2 1/2 ≦bであるとする。第1の実施形態と同様、a2およびbは、利得可変増幅器150の利得に応じて、可変である。図11Aは、設定範囲を模式的に示す図である。図11Aにおいて、ハッチングされた四角枠が、設定範囲内を示す。白色の四角枠が設定範囲外を示す。図11Bは、データ変換器110に入力されるIデータおよびQデータから求められる振幅データの時間波形を示す図である。図11Bに示す例では、閾値a2からbまでの設定範囲内以外の部分に時間波形が存在する。図11Cは、データ変換器110から出力される振幅データの時間波形を示す図である。図11Cに示すように、設定範囲内では信号処理が行われず、設定範囲外の部分については、信号処理部112でデルタシグマ変調されて離散化される。
図12は、第2の実施形態に係る補正部120の動作および歪みが抑圧される根拠を具体的に説明するための図である。図12に示すように、非線形領域では、供給電力が0かP2の二値に離散化される。0になるように離散化された場合、出力電力も0になるので、歪みが発生しない。ただし、この場合、入力電力が0になった場合、増幅器160に一切電力が供給されないような回路構成を第2の実施形態では設けなければならない。これは、増幅器160と利得可変増幅器150との間にスイッチ回路を設け、データ変換器110の制御部が、入力電力が0に相当する場合、当該スイッチをオフにして、増幅器160に電力が一切供給されないようにすればよい。
このように、第2の実施形態において、送信回路は、送信回路の入力信号である直交データの振幅の大きさを検知して、検知された入力信号の振幅の大きさに基づいて、増幅器への入力電力が増幅器の非線形領域に属するか否かを判断して、非線形領域に属する場合、入力信号の分解能を低くして出力する。したがって、入力信号の一部のみが離散化されることとなるので、従来のように入力信号の全てを離散化する場合に比べて、量子化雑音が低減されることとなる。また、量子化雑音が低減されることによって、第1の実施形態と同様のその他の効果が生じる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、入力電力が高いときおよび低いときに歪む増幅器を用いる場合の送信回路の構成について説明する。なお、設定範囲以外は、第1の実施形態と同様であるので、第3の実施形態では、図1,3,4,5,6を援用することとする。図13A,B,Cは、本発明の第3の実施形態に係るデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図である。第3の実施形態では、データ変換器110における設定範囲が、a3≦(I2 +Q2 1/2 ≦a4であるとする。図13Aは、設定範囲を模式的に示す図である。図13Aにおいて、ハッチングされた四角枠が、設定範囲内を示す。白色の四角枠が設定範囲外を示す。図13Bは、データ変換器110に入力されるIデータおよびQデータから求められる振幅データの時間波形を示す図である。図13Bに示す例では、閾値a3からa4までの設定範囲内以外の部分に時間波形が存在する。図13Cは、データ変換器110から出力される振幅データの時間波形を示す図である。図13Cに示すように、設定範囲内では信号処理が行われず、設定範囲外の部分については、信号処理部112で離散化される。
図14は、第3の実施形態に係る補正部120の動作および歪みが抑圧される根拠を具体的に説明するための図である。図14に示すように、入力電力が高い方の非線形領域では、第1の実施形態と同様にして、離散化が行われ、かつ直交データの補正が行われる。一方、入力電力が低い方の非線形領域では、第2の実施形態と同様にして、離散化が行われる。したがって、第3の実施形態では、量子化雑音が低減され、かつ増幅器における歪みが抑圧されることとなる。
なお、第1〜第3の実施形態では、利得可変増幅器150における利得に応じて、データ変換器110での閾値を変化させるようにした。利得可変増幅器150の利得を考慮しなかったとすると、たとえば、利得可変増幅器150の利得が1/2倍になっているような場合、増幅器160に入力される電力が低くなるにもかかわらず、振幅の大きさが閾値a1以上であれば、入力信号の分解能が低くなるように変換されてしまう場合がある。しかし、このような場合、利得可変増幅器150によって、増幅器160に入力される電力が下げられてしまうので、入力電力は、増幅器160における線形領域に属する可能性がある。それゆえ、第1〜第3の実施形態では、利得可変増幅器150の利得に変化があった場合、それに応じて、データ変換器110における設定範囲を変化させることとした。たとえば、図7Aに示すような閾値判定を用いる場合、利得可変増幅器150の利得が下がれば、閾値a1を上げるようにし、利得が上がれば、閾値a1を下げるようにすればよい。また、図11Aに示すような閾値判定を用いる場合、利得可変増幅器150の利得が下がれば、閾値a2を上げるようにし、利得が上がれば、閾値a2を下げるようにすればよい。また、図13Aに示すような閾値判定を用いる場合、利得可変増幅器の利得が下がれば、閾値a3,a4を上げるようにし、利得が上がれば、閾値a3,a4を下げるようにすればよい。
なお、第1〜第3の実施形態では、利得可変増幅器150の利得を示す情報に基づいて、設定範囲を変化させることとした。しかし、データ変換器110は、設定範囲を固定しておき、利得可変増幅器150の利得に応じて、直交データの振幅の大きさを変化させ、設定範囲内に直交データの振幅の大きさが属するか否か判断してもよい。これによって、データ変換器110は、増幅器160への入力電圧が非線形領域に属するかを判断することができる。
なお、利得可変増幅器150を用いず信号を増幅する場合、設定範囲は、固定であってもよい。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態では、信号処理部の構成が第1の実施形態とは異なる。以下、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図15は、本発明の第4の実施形態に係る信号処理部112の機能的構成を示すブロック図である。図15において、信号処理部112は、引き算部1124と、ベクトル積分器1125と、ベクトル量子化器1126とを有する。
信号処理部112に入力されたIデータおよびQデータは、引き算器1124を経由して、ベクトル積分器1125に入力される。ベクトル積分器1125は、IデータおよびQデータのそれぞれについて、ベクトル演算で積分し、Iv,Qvとして出力する。すなわち、ベクトル積分器1125に入力される直交データ列を(Ii ,Qi )とした場合(iは自然数)、ベクトル積分器1125からは、(Iv,Qv)=(ΣIi ,ΣQi )が出力される。ベクトル積分器1125からの出力は、ベクトル量子化器1126に入力される。
ベクトル量子化器1126は、ベクトル積分器1125からの出力ベクトルについて、ベクトルの大きさを量子化して、Iv3,Qv3として出力する。
ベクトル量子化器1126での量子化は以下のようにして行われる。ベクトルの大きさの離散値をqn (nは1以上の整数)とする。nが2以上の場合、qn-1 <qn であるとする。ベクトル量子化器1126は、ベクトル積分器1125から入力される(Iv,Qv)に対して、(Iv+Qv)1/2 を求める。そして、ベクトル量子化器1126は、(式6)を満たす最大のqn を求める。次に、当該qn を用いて、ベクトル量子化器1126は、出力ベクトル(Iv3,Qv3)を(式7)および(式8)によって求める。
n ≦(Iv+Qv)1/2 …(式6)
Iv3=qn ・Iv/(Iv+Qv)1/2 …(式7)
Qv3=qn ・Qv/(Iv+Qv)1/2 …(式8)
ここで行われている量子化は、換言すると、以下のようになる。ベクトル量子化器1126は、少なくとも二以上の離散値を用いる。ベクトル量子化器1126は、当該二以上の離散値の中から、入力された直交データのベクトルの大きさよりも小さい最大の離散値を求める。そして、ベクトル量子化器1126は、ベクトル的に積分された直交データの大きさが当該最大の離散値となり、かつ、ベクトル的に積分された直交データの位相が入力された直交データの位相に等しくなるように、量子化後のIv3データおよびQv3データを求める。
引き算器1124は、入力データからベクトル量子化器の出力を引き算し、ベクトル積分器1125に出力する。
このように、第4の実施形態では、入力信号の一部が離散化されることとなるので、量子化雑音を低減することができる。また、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
以下、具体的に、図15に示す信号処理部112を用いて、W−CDMA基地局の送信用データをデータ変換したときの量子化雑音低減の効果について例示する。ここでは、図7Aに示すように、データ変換器110は、閾値をa1と設定し、直交データの大きさがa1より大きい場合のみ、IデータおよびQデータをベクトル的にデルタシグマ変調することとする。また、オーバーサンプリングのための周波数をシンボルレートの256倍とし、入力信号のピークを10dBで制限し、閾値a1を入力信号の最大出力より6dB低くいところに設定する。この場合、全パワーの内、所望波の比率は、97%であることを本発明者は確かめた。これは、従来技術において、所望波の比率が37%であることと比べれば、飛躍的に量子化雑音が低減されていることが分かる。
図16Aは、上記条件の下、閾値判定を行ったデータ変換器110から出力される信号のスペクトラムを示す図である。一方、図16Bは、全ての領域において信号処理を行ったときのデータ変換器110から出力される信号のスペクトラムを示す図である。図16Aと図16Bとを比較すると分かるように、図16Aの方が、所望波周波数近傍およびトータルで見て、量子化雑音が低減されていることが分かる。
(第5の実施形態)
図17は、本発明の第5の実施形態に係る送信回路200の構成を示すブロック図である。図17において、送信回路200は、入力端子101と、データ変換器110と、ベクトル変調器140と、増幅器260と、バンドパスフィルタ170と、出力端子102とを備える。図17において、第1の実施形態と同様の部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。ただし、図17では、利得可変増幅器が省略されているので、データ変換器110は、固定された設定範囲を用いることとする。
図18は、増幅器260の特性および送信回路200の動作を説明するための図である。図18に示すように、第5の実施形態で用いる増幅器260は、入力電力P1aにおいて、線形領域における入力電力と出力電力との比例関係が保たれている点A1,A2を有している。
このような増幅器260の場合、第1の実施形態のように補正部を設けなくても、データ変換器110は、直交データの大きさをaおよびbの二値で離散化することによって、入力電力P1およびP1aにすることができ、歪みの発生を抑圧することが可能となる。
なお、第5の実施形態においても、第1〜3の実施形態と同様、利得可変増幅器150の利得に応じて、データ変換器110における設定範囲を変化させてもよい。
なお、第5の実施形態においても、データ変換器110は、設定範囲を固定させておいて、直交データの振幅の大きさを利得に応じて変化させ、増幅器160への入力電力が非線形領域に属するか否かを判断してもよい。
(第6の実施形態)
図19は、本発明の第6の実施形態に係る送信回路300の構成を示すブロック図である。図19において、送信回路300は、入力端子101と、データ変換器110と、ベクトル変調器140と、補正回路320と、利得可変増幅器150と、増幅器160と、バンドパスフィルタ170と、出力端子102とを備える。図19において、第1の実施形態と同様の部分については、同一の参照符号を付し説明を省略することとする。
第6の実施形態では、増幅器160で発生する歪みを補償するための補正回路320が、利得可変増幅器150の前段に設けられている。補正回路320は、増幅器160で発生する歪み成分と等振幅逆位相の信号を発生して、出力する。補正回路320で発生した等振幅逆位相の信号は、利得可変増幅器150を介して増幅器160に入力される。増幅器160には、歪み成分と等振幅逆位相の信号が入力されることとなるので、増幅器160は、歪み成分を抑圧することができる。
図20,21,22は、補正回路320の一例を示す図である。図20では、ダイオードD1の非線形性を利用して、等振幅逆位相の信号を発生するリニアライザが示されている。図21では、ダイオードD2の非線形性を利用して、等振幅逆位相の信号を発生すリニアライザが示されている。図22では、FETの非線形性を利用して等振幅逆位相の信号を発生するリニアライザが示されている。
このように、第6の実施形態では、プリディストーション回路構成を設けることによって、増幅器160で発生する歪み成分を抑圧することができる。
なお、第6の実施形態においても、第1〜3の実施形態と同様、利得可変増幅器150の利得を示す情報に基づいて、データ変換器110は、設定範囲を変化させる。また、データ変換器110は、固定された設定範囲を用いてもよい。また、第6の実施形態においても、データ変換器110は、設定範囲を固定させておいて、直交データの振幅の大きさを利得に応じて変化させ、増幅器160への入力電力が非線形領域に属するか否かを判断してもよい。
(第7の実施形態)
図23は、本発明の第7の実施形態に係る送信回路400の構成を示す図である。図23において、送信回路400は、入力端子101と、データ変換器410と、補正部120aと、補償テーブル部130aと、利得可変増幅器150と、増幅器160と、バンドパスフィルタ170と、出力端子102とを備える。図23において、第1の実施形態と同様の部分については、同一の参照符号を付し説明を省略することとする。
データ変換器410の基本構成は、図3,4と同様であるので、第7の実施形態では、図3,4を援用することとする。第7の実施形態において第1の実施形態と異なるのは、データ変換器410が、入力信号として、直交データを処理するのではなく振幅データを処理する点である。したがって、補正部120aは、補償テーブルに定義されている信号の大きさの補正値に基づいて、入力される信号の大きさ(スカラー)を補正する。第7の実施形態における信号処理部112としては、例えばデルタシグマ変調器であってもよいし、デルタ変調器であってもよいし、PWM変調器であってもよく、信号を離散化するものであれば何でもよい。
図24は、データ変換器410における制御部111の動作を示すフローチャートである。まず、制御部111の振幅検知部111aは、入力信号である振幅データxの振幅の大きさを検知する(ステップS201)。次に、制御部111の設定範囲調整部111cは、外部制御部から与えられる利得可変増幅器150の利得を示す情報に基づいて、設定範囲を調整する(ステップS202)。次に、制御部111の領域判断部111bは、検知した振幅の大きさが設定範囲内であるか否かを判断する(ステップS203)。ここでの設定範囲は、入力される振幅データによって閾値が決定されている以外は、第1の実施形態と同様である。
設定範囲内である場合、制御部111の領域判断部111bは、振幅データxをそのまま出力するようにスイッチ部113をスイッチングする(ステップS204)。一方、設定範囲内でない場合、制御部111の領域判断部111bは、振幅データxを信号処理部112で信号処理するようにスイッチングする(ステップS205)。これにより、振幅データxの電力が設定範囲外である場合は、分解能が低くなったデータxrが出力される。一方、振幅データxの電力が設定範囲内である場合は、そのままの振幅データxが出力される。
このように、第7の実施形態では、増幅器の線形な領域については、信号処理を行われず、非線形な領域については信号処理を行って離散化することとなるので、振幅信号の一部のみが離散化されることとなるので、量子化雑音を低減することができる。また、第1の実施形態と同様の効果も得られる。
なお、第7の実施形態においても、利得可変増幅器150を用いず信号を増幅する場合、設定範囲は、固定であってもよい。また、データ変換器410は、設定範囲を固定させておいて、振幅データの大きさを利得に応じて変化させ、増幅器160への入力電力が非線形領域に属するか否かを判断してもよい。
なお、第7の実施形態では、バンドパスフィルタを用いることとしたが、デルタシグマ変調器における量子化雑音の形によっては、バンドパスフィルタの代わりにローパスフィルタを用いてもよい。
(第8の実施形態)
図25は、本発明の第8の実施形態に係る送信回路500の構成を示すブロック図である。図25において、送信回路500は、入力端子101と、データ変換器110と、補正部120と、補償テーブル部130と、座標系変換部520と、角度変調器530と、振幅変調器540と、バンドパスフィルタ550と、出力端子102とを備える。図25において、第1の実施形態と同様の部分については、同一の参照符号を付し、説明を簡素にする。
データ変換器110は、第1の実施形態と同様、設定範囲内であれば、入力されたベースバンド信号をそのまま出力し、設定範囲外であれば、分解能の低いデータに変換して出力する。
入力端子101に入力された信号は、データ変換器110で、上記のようにデータ変換されて、補正部120に入力される。補正部120は、第1の実施形態と同様にして、入力された信号を補正して、座標系変換部520に入力する。
座標系変換部520は、入力されたベースバンドデータを直交座標系から、極座標系に変換し、振幅データおよび位相データを出力する。
位相データは、角度変調器530に入力され、角度変調される。角度変調器530は、角度変調した位相データを振幅変調器540に入力する。
座標系変換部520から出力された振幅データは、振幅変調器540に入力される。
振幅変調器540では、角度変調器530からの出力信号を、座標系変換部520から出力される振幅データで振幅変調する。この出力が、バンドパスフィルタ550に入力されて帯域外の量子化雑音が除去され、出力端子102から出力される。
このように、第5の実施形態では、増幅器の線形な領域については、信号処理が行われず、非線形な領域については信号処理が行われ離散化されることとなるので、振幅信号の一部のみが離散化されることとなり、量子化雑音が低減されることとなる。
なお、第8の実施形態においても、振幅変調器540の前段である角度変調器530と振幅変調器540との間または角度変調器530と座標系変換部520との間に利得可変増幅器を設けてもよく、この場合、第1〜3の実施形態と同様、当該利得可変増幅器の利得に応じて、データ変換器110における設定範囲を変化させるとよい。また、データ変換器110は、設定範囲を固定させておいて、直交データの振幅の大きさを利得に応じて変化させ、振幅変調器540への入力電力が非線形領域に属するか否かを判断してもよい。
(第9の実施形態)
図26は、本発明の第9の実施形態に係る送信回路600の構成を示すブロック図である。図26において、送信回路600は、データ生成部620と、データ変換器410と、振幅補正部120bと、位相補正部120cと、補償テーブル部130と、角度変調器630と、振幅変調器640と、バンドパスフィルタ650と、出力端子102とを備える。第9の実施形態において、第4の実施形態と同様の部分については、同一の参照符号を付し、説明を簡素にする。
データ生成部620は、振幅データおよび位相データを出力する。振幅データは、データ変換器610に入力される。データ生成部620から出力された位相データは、位相補正部120cにおいて、補償テーブル部130に定義されている位相に補正され、角度変調器630に入力される。
データ変換器410は、第4の実施形態と同様に、設定範囲内であれば、入力されたベースバンド信号をそのまま出力し、設定範囲外であれば、分解能の低いデータに変換して出力する。
データ変換器410の出力は、振幅補正部120bによって振幅が補正された後、振幅変調器640に入力される。
データ生成部620から出力された位相データは、角度変調器630で角度変調され、振幅変調器640に入力される。
振幅変調器640は、角度変調器630から出力された角度変調波を、データ変換器610から出力された信号で振幅変調する。振幅変調器640の出力は、バンドパスフィルタ650で帯域外の量子化雑音を除去され、出力端子102から出力される。
このように、第9の実施形態では、増幅器の線形な領域については、信号処理が行われず、非線形な領域については信号処理が行われ離散化されることとなるので、振幅信号の一部のみが離散化されることとなり、量子化雑音が低減されることとなる。
なお、第9の実施形態においても、振幅変調器640の前段である角度変調器630と振幅変調器640との間または角度変調器630と位相補正部120cとの間に利得可変増幅器を設けてもよく、この場合、第1〜3の実施形態と同様、当該利得可変増幅器の利得に応じて、データ変換器410における設定範囲を変化させるとよい。また、データ変換器410は、設定範囲を固定させておいて、振幅データの大きさを利得に応じて変化させ、増幅器160への入力電力が非線形領域に属するか否かを判断してもよい。
ここで、第8および第9の実施形態における振幅変調器540,640は、例えば図12に示すような特性をもっているとする。ここで、線形領域の下限の電圧をP2とした場合、データ変換器110,410は、閾値a2以下の場合、振幅変調器540,640への供給電圧が0またはP2となるように制御する。すなわち、データ変換器110,410は、閾値a2より小さい領域では、0とP2に量子化する。これによって、P2より小さい電圧での非線形性の影響を無くすことができ、低歪みを実現できる。
また、第8および第9の実施形態における振幅変調器540,640は、例えば図14に示すような特性をもっているとする。ここで、線形領域の下限の電圧をP3とし、上限をP4とする。データ変換器110,410は、閾値a3以下の場合、振幅変調器540、640への供給電圧が0またはP3となるように制御する。すなわち、データ変換器110,410は、閾値a3より小さい領域では、0とP3に量子化する。これによって、P3より小さい電圧での非線形性の影響を無くすことができ、低歪みを実現できる。また、データ変換器110,410は、閾値a4以上の場合、振幅変調器540、640への供給電圧がP4またはP4bとなるように制御する。すなわち、データ変換器110,410は、閾値a4より大きい領域では、P4とP4bとに量子化する。これによって、P4より大きい電圧での非線形性の影響を無くすことができ、低歪みを実現できる。
なお、第8および第9の実施形態において、バンドパスフィルタ550、650は、振幅変調器540、640から出力される信号の量子化雑音が十分小さい場合、省略してもよい。
また、第8および第9の実施形態において、第6の実施形態と同様、歪みを補償する補正回路を振幅変調器540の前段に接続してもよい。
なお、上記各実施形態では、0と正の実数との2値に量子化することとしたが、それ以上の多値に量子化するようにしてもよい。
図27Aは、本発明のデータ変換器を適用したオーディオ機器700の機能的構成を示すブロック図である。図27Aにおいて、オーディオ機器700は、データ変換器110(または410)と、増幅器160と、フィルタ701と、スピーカ702とを備える。データ変換器110(または410)は、本発明のデータ変換器である。データ変換器110(または410)には、上記で説明した全ての変形例が適用可能である。フィルタ701は、一般的にはローパスフィルタである。図27Aに示すオーディオ機器700は、利得可変増幅器を用いていない。しかし、利得可変増幅器を用いる場合、データ変換器110(または410)は、利得に応じて、設定範囲を調整する。データ変換器110(または410)は、増幅器160への入力電圧が非線形領域に属すると判断したら、入力信号であるオーディオデータ(直交データであってもよいし、振幅データであってもよい)を入力信号よりも分解能が低い信号に変換して出力する。増幅器160は、データ変換器110(または410)が出力した信号を増幅する。増幅器160によって増幅された信号は、フィルタ701を介して、スピーカ702に送られ、音声に変換される。これによって、量子化雑音が抑圧され、かつ消費電力が低減されるオーディオ機器が提供されることとなる。
図27Bは、本発明のデータ変換器を適用した映像機器800の機能的構成を示すブロック図である。図27Bにおいて、映像機器800は、データ変換器110(または410)と、増幅器160と、フィルタ801と、ディスプレイ802とを備える。データ変換器110(または410)は、本発明のデータ変換器である。データ変換器110(または410)には、上記で説明した全ての変形例が適用可能である。フィルタ801は、一般的にはローパスフィルタである。図27Bに示す映像機器800は、利得可変増幅器を用いていない。しかし、利得可変増幅器を用いる場合、データ変換器110は、利得に応じて、設定範囲を調整する。データ変換器110(または410)は、増幅器160への入力電圧が非線形領域に属すると判断したら、入力信号である映像データ(直交データであってもよいし、振幅データであってもよい)を入力信号よりも分解能が低い信号に変換して出力する。増幅器160は、データ変換器110(または410)が出力した信号を増幅する。増幅器160によって増幅された信号は、フィルタ801を介して、ディスプレイ802に送られ、映像および/または音声に変換される。これによって、量子化雑音が抑圧され、かつ消費電力が低減される映像機器が提供されることとなる。
なお、本発明のデータ変換器は、増幅器を用いる全ての電子機器に適用可能であり、適用範囲が通信機器やオーディオ機器、映像機器に限定されるものではない。
なお、上記実施形態において、本発明のデータ変換器への入力信号は、デジタル信号であるとしたが、アナログ信号であってもよい。アナログ信号が入力信号である場合も同様に、本発明のデータ変換器は、アナログ信号の振幅の大きさが設定範囲内であるか否かを判断することによって、増幅器への入力電圧が非線形領域に属するか否かを判断すればよい。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
本発明に係るデータ変換器は、量子化雑音を抑圧し、かつ消費電力の低減を図ることができ、携帯電話、無線LAN等の通信機器等やオーディオ機器や映像機器等の電子機器に適用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る送信回路100の構成を示すブロック図 データ変換器110における設定範囲の設定方法を説明するための図 データ変換器110の機能的構成の一例を示すブロック図 制御部111の機能的構成を示すブロック図 制御部111の動作を示すフローチャート 信号処理部112の機能的構成の一例を示すブロック図 設定範囲が0≦(I2 +Q2 1/2 ≦a1のときのデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 設定範囲が0≦(I2 +Q2 1/2 ≦a1のときのデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 設定範囲が0≦(I2 +Q2 1/2 ≦a1のときのデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 補正部120の動作および歪みが抑圧される根拠を具体的に説明するための図 図7Aに示すような設定範囲を用いた場合の補償テーブルを示す図 b1の求め方を説明するための図 位相回転量θ1の求め方を説明するための図 本発明の第2の実施形態に係るデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 本発明の第2の実施形態に係るデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 本発明の第2の実施形態に係るデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 第2の実施形態に係る補正部120の動作および歪みが抑圧される根拠を具体的に説明するための図 本発明の第3の実施形態に係るデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 本発明の第3の実施形態に係るデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 本発明の第3の実施形態に係るデータ変換器110の動作を具体的に説明するための図 第3の実施形態に係る補正部120の動作および歪みが抑圧される根拠を具体的に説明するための図 本発明の第4の実施形態に係る信号処理部112の機能的構成を示すブロック図 閾値判定を行ったデータ変換器110から出力される信号のスペクトラムを示す図 全ての領域において信号処理を行ったときのデータ変換器110から出力される信号のスペクトラムを示す図 本発明の第5の実施形態に係る送信回路200の構成を示すブロック図 増幅器260の特性および送信回路200の動作を説明するための図 本発明の第6の実施形態に係る送信回路300の構成を示すブロック図 補正回路320の一例を示す図 補正回路320の一例を示す図 補正回路320の一例を示す図 本発明の第5の実施形態に係る送信回路400の構成を示す図 データ変換器410における制御部111の動作を示すフローチャート 本発明の第8の実施形態に係る送信回路500の構成を示すブロック図 本発明の第9の実施形態に係る送信回路600の構成を示すブロック図 本発明のデータ変換器を適用したオーディオ機器700の機能的構成を示すブロック図 本発明のデータ変換器を適用した映像機器800の機能的構成を示すブロック図 従来の通信機器900の構成を示すブロック図 図28に示す従来の通信機器900における送信回路901の構成の一例を示すブロック図 振幅変調器930の構成を示すブロック図 歪みが発生する原因を説明するための模式図 図28に示す従来の通信機器900における送信回路の他の構成例を示すブロック図 図32に示す送信回路901aの振幅変調器930からの出力スペクトラムを示す図 図32に示す送信回路901aのバンドパスフィルタ940からの出力スペクトラムを示す図
符号の説明
100,200,300,400,500,600 送信回路
101 入力端子
102 出力端子
110,410 データ変換器
111 制御部
111a 振幅検知部
111b 領域判断部
111c 設定範囲調整部
112 信号処理部
1121 座標系変換部
1122 デルタシグマ変調器
1123 掛け算器
1124 引き算器
1125 ベクトル積分器
1126 ベクトル量子化器
113 スイッチ部
120 補正部
130 補償テーブル部
140 ベクトル変調部
150 利得可変増幅器
160,260 増幅器
170,550,650 バンドパスフィルタ
320 補正回路
520 座標系変換部
530,630 角度変調器
540,640 振幅変調器
620 データ生成部
700 オーディオ機器
800 映像機器
701,801 フィルタ
702 スピーカ
802 ディスプレイ

Claims (26)

  1. 入力信号を増幅器に入力するための信号に変換して出力するデータ変換器であって、
    前記入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、
    前記振幅検知部によって検知された前記入力信号の振幅の大きさに基づいて、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、
    前記領域判断部によって、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、前記入力信号よりも分解能が低い信号に前記入力信号を変換して出力する信号処理部とを備える、データ変換器。
  2. 前記入力信号が離散化されている場合、前記信号処理部は、離散値同士の間隔を広くすることによって、前記入力信号よりも分解能が低い信号に前記入力信号を変換する、請求項1に記載のデータ変換器。
  3. 前記入力信号が離散化されていない場合、前記信号処理部は、前記入力信号を離散化することによって、前記入力信号よりも分解能が低い信号に前記入力信号を変換する、請求項1に記載のデータ変換器。
  4. 前記信号処理部は、さらに、前記領域判断部によって、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属さないと判断された場合、非線形領域に属すると判断されて離散化する場合に比べて、離散値の間隔が狭くなるように前記入力信号を離散化する、請求項3に記載のデータ変換器。
  5. 前記入力信号が直交データである場合、前記振幅検知部は、これらの二乗和の平方根を求めることによって、前記入力信号の振幅の大きさを検知する、請求項1に記載のデータ変換器。
  6. 前記信号処理部による変換後の信号を、前記増幅器で発生する歪みが抑圧されるように補正する補正部をさらに備える、請求項1に記載のデータ変換器。
  7. 前記補正部は、前記入力信号の振幅および位相を補正する、請求項6に記載のデータ変換器。
  8. 前記補正部は、前記増幅器で発生する歪みに対して、等振幅逆位相の信号を発生させる、請求項6に記載のデータ変換器。
  9. 前記領域判断部は、前記入力信号の振幅の大きさが第1の閾値を超える場合、前記増幅器への入力電圧が非線形領域に属すると判断する、請求項1に記載のデータ変換器。
  10. 前記領域判断部は、前記入力信号の振幅の大きさが第2の閾値を超えない場合、非線形領域に属すると判断する、請求項1に記載のデータ変換器。
  11. 前記領域判断部は、前記入力信号の振幅の大きさが第3の閾値を超えないか、または第4の閾値を超える場合、非線形領域に属すると判断する、請求項1に記載のデータ変換器。
  12. 前記信号処理部は、デルタシグマ変調によって、前記入力信号より分解能が低い信号に前記入力信号を変換する、請求項1に記載のデータ変換器。
  13. 前記増幅器には、利得可変増幅器による増幅後の信号が入力されており、
    前記領域判断部は、前記入力信号の振幅の大きさが設定範囲外であるか否かに基づいて、前記増幅器への入力電圧が前記増幅器の前記非線形領域に属するか否かを判断し、
    さらに、前記利得可変増幅器の利得を示す情報に基づいて、前記設定範囲を調整する設定範囲調整部を備える、請求項1に記載のデータ変換器。
  14. 前記信号処理部は、
    前記入力信号を振幅データおよび位相データに変換する座標系変換部と、
    前記座標系変換部によって変換された振幅データをデルタシグマ変調するデルタシグマ変調器と、
    前記位相データと前記デルタシグマ変調器によってデルタシグマ変調された振幅データとを掛け算する掛け算器とを含む、請求項1に記載のデータ変換器。
  15. 前記入力信号は、直交データであって、
    前記信号処理部は、
    前記入力信号が入力される引き算器と、
    前記引き算器に接続され、前記直交データの各要素を積分するベクトル積分器と、
    前記ベクトル積分器によって積分された直交データに対して、少なくとも二以上の離散値を用い、前記二以上の離散値の中から、入力された直交データのなすベクトルの大きさよりも小さい最大の離散値を求め、前記積分された直交データのなすベクトルの大きさが前記最大の離散値となるようにし、かつ、前記積分された直交データの位相が入力された直交データの位相と等しくなるようにして量子化するベクトル量子化器とを備え、
    前記引き算器は、入力された直交データから前記ベクトル量子化器によって量子化された直交データを引く、請求項1に記載のデータ変換器。
  16. 送信信号を生成するための送信回路であって、
    増幅器と、
    入力信号を前記増幅器の入力に用いられる信号に変換するデータ変換器とを備え、
    前記データ変換器は、
    前記入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、
    前記振幅検知部によって検知された前記入力信号の振幅の大きさに基づいて、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、
    前記領域判断部によって、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、前記入力信号よりも分解能が低い信号に前記入力信号を変換して出力する信号処理部とを含む、送信回路。
  17. 前記信号処理部による変換後の信号を、前記増幅器で発生する歪みが抑圧されるように補正する補正部をさらに備える、請求項16に記載の送信回路。
  18. 前記増幅器の後段に接続されたフィルタをさらに備える、請求項16に記載の送信回路。
  19. さらに、前記増幅器に入力される信号の電力を調整する利得可変増幅器を備え、
    前記領域判断部は、前記入力信号の振幅の大きさが所定の設定範囲外であるか否かに基づいて、前記増幅器への入力電力が前記非線形領域に属するか否かを判断し、
    前記データ変換器は、さらに、前記利得可変増幅器の利得を示す情報に基づいて、前記設定範囲を調整する設定範囲調整部を含む、請求項16に記載の送信回路。
  20. 前記データ変換器への前記入力信号は、直交データであり、
    前記データ変換器は、変換後の直交データを出力し、
    さらに、前記データ変換器によって出力された変換後の直交データを変調して出力するベクトル変調器を備え、
    前記振幅検知部は、前記直交データに基づいて、前記入力信号の振幅の大きさを検知する、請求項16に記載の送信回路。
  21. 前記データ変換器への前記入力信号は、直交データであり、
    前記データ変換器は、変換後の直交データを出力し、
    さらに、前記変換後の直交データを極座標系のデータに変換して、振幅データおよび位相データを生成する座標系変換部と、
    前記座標系変換部によって生成された位相データを角度変調する角度変調器とを備え、
    前記増幅器は、前記角度変調器によって角度変調された位相データを前記座標系変換部によって生成された振幅データに基づいて振幅変調する振幅変調器であり、
    前記振幅検知部は、前記直交データに基づいて、入力信号の振幅の大きさを検知する、請求項16に記載の送信回路。
  22. さらに、振幅データおよび位相データを生成するデータ生成部と、
    前記データ生成部によって生成された位相データを角度変調して、角度変調波を生成する角度変調器とを備え、
    前記データ変換器への前記入力信号は、前記データ生成部が生成した前記振幅データであり、
    前記データ変換器は、変換後の振幅データを出力し、
    前記振幅検知部は、前記振幅データに基づいて、前記入力信号の振幅の大きさを検知し、
    前記増幅器は、前記角度変調器によって角度変調された位相データを前記データ変換器によって変換された振幅データに基づいて振幅変調する振幅変調器であり、
    前記振幅検知部は、前記振幅データの大きさに基づいて、前記入力信号の振幅の大きさを検知する、請求項16に記載の送信回路。
  23. 通信機器であって、
    送信信号を生成するための送信回路と、
    受信信号を処理するための受信回路とを備え、
    前記送信回路は、
    増幅器と、
    入力信号を前記増幅器の入力に用いられる信号に変換するデータ変換器とを含み、
    前記データ変換器は、
    前記入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、
    前記振幅検知部によって検知された前記入力信号の振幅の大きさに基づいて、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、
    前記領域判断部によって、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、前記入力信号よりも分解能が低い信号に前記入力信号を変換して出力する信号処理部とを有する、通信機器。
  24. 電子機器であって、
    増幅器と、
    入力信号を前記増幅器に入力するための信号に変換して出力するデータ変換器とを備え、
    前記データ変換器は、
    前記入力信号の振幅の大きさを検知する振幅検知部と、
    前記振幅検知部によって検知された前記入力信号の振幅の大きさに基づいて、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属するか否かを判断する領域判断部と、
    前記領域判断部によって、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、前記入力信号よりも分解能が低い信号に前記入力信号を変換して出力する信号処理部とを備える、電子機器。
  25. 入力信号を増幅器に入力するための信号に変換するデータ変換器での処理方法であって、
    入力信号の振幅の大きさを検知するステップと、
    検知された前記入力信号の振幅の大きさに基づいて、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属するか否かを判断するステップと、
    前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属すると判断された場合、前記入力信号よりも分解能が低い信号に前記入力信号を変換して出力するステップとを備える、方法。
  26. 前記増幅器の非線形領域に属するか否かを判断するステップでは、前記入力信号の振幅の大きさが設定範囲外であるか否かに基づいて、前記増幅器への入力電力が前記増幅器の非線形領域に属するか否かを判断し、
    さらに、前記増幅器の前段に接続される利得可変増幅器の利得を示す情報に基づいて、前記設定範囲を調整するステップを備える、請求項25に記載の方法。
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