JP2005235450A - 固体高分子型燃料電池及び燃料電池用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】発電停止時に、アノード側のセパレータの流路に侵入した空気中の酸素を除去し、電池性能の低下を防止した固体高分子型燃料電池及び燃料電池用セパレータを提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜5の両面側にアノード6及びカソード7を形成し、さらに外側に各々セパレータ1,11を配置した固体高分子型燃料電池4であって、アノード6側のセパレータ1の流路10aに、固体高分子電解質膜5側から距離が遠い面側に、空気中の酸素により酸化されると共に燃料ガスにより還元される物質(ニッケル微粒子13)を設けたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車、家庭用電源、ロボット用電源、ノートパソコン等の各種の用途に適用される固体高分子型燃料電池及び燃料電池用セパレータに関する。
燃料電池は、使用される電解質の種類に応じて、固体高分子電解質型、リン酸型、溶融炭酸塩型及び固体酸化物型等がある。そのうちの1つである固体高分子電解質型燃料電池(PFFC: Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、電解質として分子中にプロトン交換基を有する固体高分子電解質膜を使用して、固体高分子電解質膜を飽和に含水させるとプロトン伝導性電解質として機能することを利用した電池である。固体高分子型燃料電池では、以下の式1及び式2に示す電極反応が起こり、起電力を生じ、発電が起こると同時に水が生成する。
[化1]
燃料極(アノード):H2 → 2H+ +2e- ・・・式(1)
酸化剤極(カソード):(1/2)O2 +2H+ +2e- → H2 O ・・・式(2)
上記固体高分子型燃料電池は、自動車、家庭用電源やノートパソコン等に搭載されて各種の用途として使用される。特に、固体高分子型燃料電池を適用した大型の燃料電池システムとして使用する場合には、発電停止直後に、窒素等の不活性ガスを使用して、アノード内に残留する燃料ガス(水素ガス)をパージすることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このように発電停止直後にアノード内の燃料ガス(水素ガス)を除去することにより、燃料電池システムの安全性を確保している。しかし、窒素ガス等の不活性ガスを用いて窒素パージをするために、燃料タンクとは別に純窒素を充填した窒素タンクを準備する必要がある。このため、燃料電池システム内に窒素タンクを設置する広いスペースが必要となるだけでなく、燃料電池システム自体の重量が重くなり、特に、自動車等の移動体の用途には不向きとなっていた。
そこで、窒素タンク等の設置が不要となる、大気中の酸素を利用したパージ方法の開発が進められている。例えば、燃料電池スタック内部に大気中の空気を送る前に、予め遷移金属などのトラップ物質に空気を通過させて、空気中の酸素を遷移金属に対する酸化剤として作用させて酸素を除去した後にパージを行っている。このように酸素の除去後にパージを行うことにより、アノード内への酸素の混入を防ぎ、燃料電池の発電性能の低下を防止している。
しかし、上記方法では、燃料電池の発電停止直後におけるアノード内への酸素の侵入を防ぐことができるが、発電停止状態が長期に亘り継続すると、燃料電池スタックの隙間等から空気(特に酸素ガス)が侵入する可能性があり、侵入した空気を除去することができなかった。
特開2002−280038号公報(第5頁、第1図)
特に、発電停止時に、アノード内に酸素ガスが侵入した場合は、発電開始直後にアノードに燃料ガスを流通させると、アノード内の酸素ガスと燃料ガスとによる不可逆的な反応が進行し、構成材料の劣化を引き起こす原因となっていた。この結果、燃料電池の起動または停止を繰り返す度に、電池性能が低下してしまう可能性を有していた。不可逆的反応の進行による劣化現象を抑制する方法として、アノード内の酸素ガスを除去する方法と、構成部材の耐久性を改善する方法と、がある。
しかし、従来におけるアノード内の酸素ガスを除去する方法では、発電停止直後のアノード内の酸素ガスを除去できるものの、発電開始直後にアノード内に存在する酸素ガスを除去することができなかった。また、耐久性の高い材料を使用した場合には、燃料電池の発電性能に悪影響を及ぼし、燃料電池の発電効率が低下する可能性を有していた。このため、いずれの方法を使用しても電池性能の低下を防止することができなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち、本発明の固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面側にアノード及びカソードを形成し、さらに外側に各々セパレータを挟み構成された単セルからなる燃料電池スタックを有する固体高分子型燃料電池であって、前記アノード側のセパレータに形成された流路の前記固体高分子電解質膜側から距離が遠い面側に、空気中の酸素により酸化されると共に燃料ガスにより還元される物質を設けたことを要旨とする。
また、本発明の燃料電池用セパレータは、ガスを流通させる流路と電流を導通させるリブ山とを隣接して交互に配置した燃料電池用セパレータであって、前記セパレータに形成された流路に、空気中の酸素により酸化されると共に燃料ガスにより還元される物質を設けたことを要旨とする。
本発明の固体高分子型燃料電池によれば、発電停止時に、配管等の隙間からアノード側のセパレータの流路に侵入する空気中の酸素を除去できるため、運転開始後に導入される燃料ガスと酸素ガスとの反応を回避し、電池性能の低下を防ぐことができる。
本発明の燃料電池用セパレータによれば、特別な装置を設置することなく、アノード側の酸素ガス等を除去できるため、電池性能の低下を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る固体高分子型燃料電池について、セパレータにマルチパス・サーペンタイン型の流路パターンを形成した固体高分子型燃料電池を例に挙げて、第1実施形態から第3実施形態までを用いて説明する。
<第1実施形態(図1〜図2)>
第1実施形態では、本発明の実施の形態に係る固体高分子型燃料電池の基本的な構成について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る固体高分子型燃料電池に適用されるセパレータの構成を示す上面図であり、図1に示すように、セパレータにマルチパス・サーペンタイン型の流路2を形成し、斜線部分3に示した流路2に図示しない遷移金属微粒子を付着して遷移金属層を形成している。
図2は、図1に示すセパレータ1を用いた固体高分子型燃料電池を説明する図であり、(a)は、図1のΑ−Α´断面の一部を示す図である。図2(a)に示す固体高分子型燃料電池4は、固体高分子電解質5の両面側にアノード6及びカソード7を各々形成している。アノード6は、固体高分子電解質膜5の外側に電極触媒層8aとガス拡散層9aとを形成しており、ガス拡散層9aのさらに外側に流路10aを形成したセパレータ1を配置し、ガス拡散層9aとセパレータ1との間にアノードが流通する構成を有する。また、カソード7も同様に、固体高分子電解質膜5の外側に電極触媒層8bとガス拡散層9bとを形成しており、ガス拡散層9bのさらに外側に流路10bを形成したセパレータ11を配置し、ガス拡散層9bとセパレータ11との間にカソードが流通する構成を有する。
図2(a)に示すB部拡大図を(b)に示すが、(b)に示すように、アノード6側におけるセパレータ1の流路10aの一部であるガス拡散層9aの面側を除く流路10aに、ニッケル微粒子を付着して遷移金属層12を形成している。なお、ここでは、セパレータ1にニッケル微粒子13を付着して遷移金属層12を形成したが、遷移金属層12は、ニッケル微粒子13から形成されるものに限定されるものではなく、例えば、鉄やクロムなどの遷移金属微粒子から形成することもできる。本実施形態において示した固体高分子型燃料電池4で使用したニッケル微粒子13の粒子径は約200nmであり、ニッケル微粒子13からなる遷移金属層12の厚さは約1μm程度とした。なお、本発明の遷移金属微粒子の粒子径や、遷移金属微粒子から形成される遷移金属層の厚さは、この値に限定されるものではなく、以下に示すサイズとしても良い。
遷移金属微粒子の粒子径は、50nm〜1μmの範囲とすることが好ましく、遷移金属微粒子の粒子径を本範囲に規定したのは、粒子径が1μmを超えると、遷移金属の表面積が増大せず、粒子径が50nm未満の場合、蒸着等でセパレータに金属微粒子を付着させる際に、微粒子同士の間隔が広くなってしまい、金属微粒子による薄膜が非常に薄くなってしまうことで所望の性能を発揮することができなくなる。(適度な厚みにするためには、適した金属微粒子量が必要となるが、蒸着時に金属微粒子同士が接着し、結局、粒子径が増大してしまう問題が生じる)。上記サイズの粒子径を有する遷移金属微粒子を用いることにより、遷移金属の表面積を増大して、空気中の酸素との反応量を増やすことができる。従って、セパレータの流路に付着する遷移金属量が少ない場合であっても、アノード内で酸素を効率良く除去することができる。
また、遷移金属層12の厚さは、2μm以下とすることが好ましい。遷移金属層12の厚さを本範囲に規定したのは、遷移金属層12の厚さが2μmを超えると、セパレータ1のガス通路10aでのガスの流通が妨げられたり、さらに層の厚みが増大してしまうことで燃料電池スタックの発電効率の低下を引き起こしたりする可能性があるからである。また、この場合、微粒子同士が接触し、結合してしまうことで粒子径が増大し、その結果、酸素トラップとして機能できる表面積が減少してしまい、全体として非効率的になる可能性もある。
遷移金属微粒子の粒子径を小さくするためには、遷移金属微粒子から形成される遷移金属層12の厚さを数百μm〜数μm程度にする必要がある。遷移金属層12の厚さが数百μmを超えると、遷移金属粒子として孤立して存在できずに金属箔となり、遷移金属の表面積が低下するからである。遷移金属の表面積が低下すると、アノード内に存在する酸素を完全に除去するために必要な遷移金属量が増大するからである。このため、遷移金属層12を2μm以下の厚さとすることにより、セパレータに金属微粒子を付着することができ、遷移金属量が少ない場合であっても流路内の酸素を除去することができる。
なお、本実施形態では、セパレータ1の流路10aに遷移金属層12を形成したが、本発明の実施形態に係る固体高分子型燃料電池4は、流路10aに遷移金属微粒子を付着させて遷移金属層12を形成することに限定されるものではなく、セパレータ1の流路10aに、酸素により酸化され、燃料ガスにより還元される物質を設ければ良い。
酸素により酸化され、燃料ガス(水素ガス)により還元される物質としては、各種の物質が存在するが、この物質として複雑な物質を使用し、固体高分子型燃料電池4内に存在する水等の物質と反応する物質を選択した場合は、燃料電池4の停止時に混入する酸素を除去する物質として用いることはできない。このため、アノード6側のセパレータ1の流路10aに、固体高分子電解質膜5の電極側から遠い側の面に空気中の酸素により酸化され、燃料ガスにより還元される物質を設けることにより、発電停止時に、アノード6側に混入する空気中の酸素の電極6,7内部への滞留を防止することができる。
本実施形態では、空気中の酸素により酸化され、燃料ガスにより還元される物質として遷移金属微粒子を使用したが、特に、遷移金属微粒子を使用した場合には、固体高分子電解質膜に近い側に存在させると、生成水やその他の水と接触して、通常運転中にイオン化して流路から流出し、イオン化したものが移動し、水素プロトンの反応自体を阻害する結果、燃料電池の発電性能が低下する可能性がある。このため、遷移金属微粒子は、水との接触を避けられる位置に設けることが好ましい。
また、発電反応により生成した生成水は、特に、カソード側に多く存在する。このため、アノードに供給するガスを加湿して蒸気とすることにより、アノード流路内の水を無くし、遷移金属微粒子がイオン化して流れる可能性を減らすことができる。
さらに、上記構成の固体高分子型燃料電池では、図1に示すように、セパレータ面積の所定の割合で、セパレータの流路に遷移金属微粒子を付着させることが好ましい。例えば、セパレータのガス流路が形成されたガス流路領域面(発電領域面)のうち、ガス流路領域周囲側の部分に遷移金属微粒子を設ける。より具体的には、図1に示すセパレータにはサーペイン型の流路が形成されるが、アノード、もしくはカソードにおける触媒を配されたガス反応(発電)領域面に対面するセパレータ面のガス流路領域の中心側部分を除く周辺部分の流路に、遷移金属微粒子を付着して遷移金属層を設ける。上記構成により、遷移金属使用量を抑えつつ流路内の酸素を適切に除去することができる。特に、セパレータに形成した全流路の面積に対する、遷移金属微粒子を設けていない部分の面積は、50%〜90%の割合とすることが好ましい。本範囲の割合に規定したのは、割合が50%未満になると停止時に混入してきた酸素を適切に除去することが困難になるとともに、90%を超えると遷移金属量が多くなりすぎて、ガスの流通を妨げたり、燃料電池スタック自体の発電効を低下させたりする可能性が生じるからである。
上記構成の固体高分子型燃料電池4では、アノード側のセパレータの流路に侵入した酸素が、流路に付着した遷移金属粒子の酸化剤として作用するため、酸素が消費され、発電開始時に、セパレータの流路内に残存する酸素を除去した状態で発電開始を行うことができる。また、酸素が消費されると同時に、遷移金属微粒子は酸化されて遷移金属酸化物が生成する。発電開始時に、燃料ガスがセパレータの流路に導入されると、燃料ガス、例えば水素、が遷移金属酸化物の還元剤として作用して遷移金属酸化物は還元されて、遷移金属粒子に戻る。これにより遷移金属微粒子は、繰り返し酸素を除去することができる。
上記構成の固体高分子型燃料電池4は、以下の製造方法を用いて製造することができる。
まず、固体高分子型燃料電池において一般的に用いられるカーボン製セパレータを使用し、カーボン製セパレータにサーペイン型の流路を形成する。次に、図1に示すセパレータの斜線部分に存在する流路のみが露出するマスクをセパレータ上に載せる。マスクを載せた状態で、スパッタリング法を用いてニッケル微粒子をセパレータに付着させて、図1に示す斜線部分にニッケル層を形成する。なお、ニッケル微粒子の粒子径は約200nmとし、セパレータ表面に形成するニッケル層の厚さを約1μmとする。
このように図1に示す斜線部分の流路にのみニッケル微粒子を付着してニッケル層を形成することが好ましいが、セパレータの流路溝の全てにニッケル層を形成する場合は、セパレータの流路溝部分以外をマスクした後、セパレータ流路の溝部分に、スパッタリング法によりニッケル微粒子を付着してニッケル層を形成する。
なお、上述した製造方法では、セパレータの流路にスパッタリング法を用いてニッケル微粒子を付着したが、同様の粒子径を有するニッケル微粒子を形成できればスパッタリング法に限定されることはなく、真空蒸着法、無電解めっき法等の各種の方法を用いることができる。
本実施形態によれば、セパレータの流路に遷移金属微粒子を付着したため、発電停止時に、アノード側の流路内に侵入した酸素を完全に除去でき、発電開始直前まで酸素を除去できるため、発電後に導入する燃料ガスと酸素との不可逆的な反応が生じることがなく、電池性能の低下を防止できる。
また、燃料電池の発電停止時、セパレータの外周端部から燃料電池スタック内部に空気が混入する。このため、図1に示すように、セパレータ外周部分の流路にのみ遷移金属微粒子を付着することにより、セパレータの全領域の流路に遷移金属微粒子を付着する必要が無くなり、使用する遷移金属量が少ない場合でも、アノード内に存在する酸素を完全に除去することができる。
<第2実施形態(図3〜図4)>
第2実施形態では、第1実施形態に示した固体高分子型燃料電池内の遷移金属微粒子の配置位置を変えた固体高分子型燃料電池について、図3及び図4を用いて説明する。なお、第1実施形態で説明した固体高分子型燃料電池の構成と同一箇所には、同一符号を使用してその説明を省略する。
図3は、第2実施形態に係る固体高分子型燃料電池を説明する図であり、(a)は、固体高分子型燃料電池14の構成を示す断面図であり、(a)に示すD部の拡大断面図を(b)に示す。なお、ここで、図3(a)に示すセパレータ1に形成した流路10aの一本の流路溝について、固体高分子電解質膜5と平行な面を「溝の側面部15」、固体高分子電解質膜5と垂直であり、かつ鉛直方向の上側面を「溝の上面部16」、鉛直方向の下側面を「溝の底面部17」と呼ぶこととする。
図3(a)に示すように、固体高分子型燃料電池4内の燃料電池スタック設置時の下方向を矢印Cとして示す。本実施形態では、セパレータ1の流路10a内における溝の側面部15上方と水の上面部16とに、ニッケル微粒子13を付着して遷移金属層(ニッケル層)18を形成し、遷移金属層18は各々流路幅の約半分の幅に構成している。さらに、(b)に示すニッケル微粒子を拡大したニッケル微粒子の詳細な構成を(c)に示すが、ニッケル微粒子13表面には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から形成したPTFE粒子19を付着して構成している。なお、ここで、PTFE粒子19は、ニッケル微粒子の表面に担持し、ニッケル微粒子よりも粒子径の小さくすることが好ましい。また、遷移金属微粒子に担持する微粒子は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粒子に限定されることなく、その他のフッ素系樹脂などの撥水性樹脂を用いることが好ましい。このように遷移金属微粒子に撥水性樹脂から形成した微粒子を担持することにより、撥水性を付与することができる。
さらに、図3に示すセパレータ流路に形成された遷移金属層とセパレータとの間に、酸化ケイ素(SiO2)から形成される絶縁層を構成しても良く、図4(a)及び(b)に、本構成の固体高分子型燃料電池20の断面図をそれぞれ示す。図4(a)に示すように、セパレータ1の流路溝の上面部及び溝の側面部に、各々流路面の幅の約半分に遷移金属層18を形成し、図4(b)に示すE部の拡大断面図に示すように、セパレータ1の流路表面に絶縁層21と遷移金属層18とを形成している。
上記構成の固体高分子型燃料電池20は、以下に示す方法を用いて製造することができる。なお、使用したセパレータは、カーボン製セパレータである。
まず、カーボン製セパレータを用いて、セパレータ1の流路の溝に絶縁層を形成する部分以外にマスクを形成し、スパッタリング法により酸化ケイ素(SiO2)の薄膜(厚さ約50nm)から成る絶縁層を形成する。その後、マスクをした状態のままで、スパッタリング法により絶縁層21上にニッケル微粒子13を付着してニッケル層を形成する。なお、使用したニッケル微粒子の粒子径は約200nmであり、ニッケル層の厚さは約1μmである。
その後、ニッケル微粒子に撥水性を付与するために、ニッケル微粒子が付着したセパレータをPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)水溶液に5分間浸漬し、その後、乾燥し、350℃で30分間焼成し、ニッケル微粒子の表面にPTFE粒子を付着する。なお、本実施形態では、上述した方法を使用したが、ニッケル微粒子に撥水性を付与できれば、例示した方法に限定されるものではない。
本実施形態によれば、セパレータの流路溝の上面部に遷移金属微粒子を付着し、燃料電池スタック設置時に、鉛直方向上向きに遷移金属微粒子を配置したため、遷移金属微粒子と水との接触を回避することができる。この結果、遷移金属微粒子が水と接触してイオン化し、金属イオンの電極内部への侵入を防止することができる。
また、本実施形態に係る燃料電池用セパレータは、発電反応による電気が流れており、遷移金属微粒子が水と接触すると遷移金属微粒子がイオン化して、金属イオンが電極内部に侵入する可能性がある。また、発電開始直後、遷移金属は遷移金属酸化物となり、効率良く燃料電池を運転するために、必要以上に加湿した燃料ガスを供給しなければならず、非効率となっていた。さらに、遷移金属酸化物が還元されるまでは燃料ガスの加湿量を増やし、還元後に通常の加湿量とするため、燃料電池システムが複雑化する恐れを有していた。そこで、本実施形態の図3(c)に示すように、遷移金属微粒子に撥水性を付与して遷移金属微粒子表面の水を撥水したため、仮に、遷移金属がイオン化した場合にも、遷移金属イオンの電極内への移動を抑制することができる。また、発電開始直後は、遷移金属微粒子は酸化物となり親水性を有するが、アノードに必要な水分を遷移金属が奪うことが無くなり、発電性能の低下を防ぐことができる。
さらに、本実施形態に係る固体高分子型燃料電池では、粒子径の小さい遷移金属微粒子をセパレータに付着したため、セパレータに電位を印加すると遷移金属微粒子は局所的に高電位状態となり、電気化学反応が進行する可能性があった。電気化学反応が進行すると遷移金属が金属イオンとなり、電極内部に金属イオンが侵入すると発電性能が低下する要因となっていた。そこで、本実施形態の図4に示すように、セパレータと遷移金属層との間に絶縁層を形成することにより、遷移金属粒子を電気的に中性の状態に維持し、遷移金属微粒子の電気化学反応の進行を防止することができる。
<第3実施形態(図5)>
第3実施形態では、遷移金属微粒子の配置位置を改良した固体高分子型燃料電池について、図5を用いて説明する。
図5に示す固体高分子型燃料電池22では、セパレータ1の流路10aの「溝の側面部15」に新たな溝23を形成し、溝23内にニッケル微粒子13を付着して遷移金属層(ニッケル層)24を形成している。流路10a内の新たな溝23の大きさは、「溝の側面部15」の幅の1/4の幅であり、溝の深さは約2μmである。
セパレータの流路内に形成した溝に遷移金属層24を形成するために、セパレータの流路内の溝部分以外を被覆するマスクをセパレータ上に形成し、スパッタリング法を用いて流路内の溝にニッケル微粒子を付着して、遷移金属層(ニッケル層)を形成する。この時使用したニッケル微粒子の粒子径は約200nmであり、ニッケル層の厚さは約1μm程度である。
本実施形態によれば、発電停止時にアノード内に侵入した酸素を除去できるため、第1実施形態と同様に、発電後に導入する燃料ガスと酸素との不可逆的な反応が生じることがなく、電池性能の低下を防止できる。
また、セパレータの流路は体積の小さい溝から構成されるため、流路表面に遷移金属微粒子を付着させると、ガスの流れが低下する可能性を有していたが、本実施形態では、セパレータの流路内に別途形成した溝内に遷移金属微粒子を付着したため、発電開始時に流路内に導入されるガスの流れが妨げられることなく、電池性能の低下を防止することができる。
本発明の第1実施形態に係るセパレータの外観を示す上面図である。 図1に示すセパレータのΑ−Α´断面図である。 本発明の第2実施形態に係る固体高分子型燃料電池を説明する図であり、(a)は固体高分子型燃料電池の断面図、(b)は(a)に示すD部の拡大断面図、(c)は(b)に示すニッケル微粒子を拡大したニッケル微粒子の詳細な構成図である。 図3に示すセパレータと遷移金属層との間に絶縁層を形成した固体高分子型燃料電池を説明する図であり、(a)は断面図、(b)は(a)に示すE部の拡大断面図である。 本発明の第3実施形態に係る遷移金属微粒子の配置位置を改良した固体高分子型燃料電池の構成を示す断面図である。
符号の説明
1,11…セパレータ,
4…固体高分子型燃料電池,
5…固体高分子電解質膜,
6…アノード,
7…カソード,
8a,8b…電極触媒層,
9a,9b…ガス拡散層,
10a,10b…流路,
12…遷移金属層,
13…ニッケル微粒子,

Claims (10)

  1. 固体高分子電解質膜の両面側にアノード及びカソードを形成し、さらに外側に各々セパレータを挟み構成された単セルからなる燃料電池スタックを有する固体高分子型燃料電池であって、
    前記アノード側のセパレータに燃料ガスを流通させるガス流路を形成し、形成されたガス流路の表面のうち前記固体高分子電解質膜側から距離が遠い側の表面に、空気中の酸素により酸化されると共に燃料ガスにより還元される物質を設けたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  2. 前記空気中の酸素により酸化されると共に燃料ガスにより還元される物質は、遷移金属微粒子であることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 前記遷移金属微粒子の粒子径は、50nm〜1μmであることを特徴とする請求項2記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 前記セパレータのガス流路表面であって、前記固体高分子電解質膜側から距離が遠い側の表面に、前記遷移金属微粒子を付着して遷移金属層を形成し、前記遷移金属層の厚さを2μm以下としたことを特徴とする請求項2又は3記載の固体高分子型燃料電池。
  5. 前記遷移金属微粒子は、セパレータの流路溝内に設けられ、流路溝内の鉛直方向の上方側となる面に前記遷移金属微粒子を配置したことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
  6. 前記セパレータのガス流路表面に溝を形成し、前記溝内に空気中の酸素により酸化されると共に燃料ガスにより還元される物質を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
  7. 前記遷移金属微粒子の表面に、前記遷移金属微粒子の粒子径以下である粒子径を有する撥水性樹脂から形成される微粒子を担持したことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
  8. 前記セパレータの前記ガス流路が形成されたガス流路領域面のうち、周囲側に遷移金属微粒子を設けたことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
  9. 前記セパレータと前記遷移金属層との間に、絶縁物質から形成される絶縁層を形成したことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
  10. ガスを流通させる流路と電流を導通させるリブ山とを隣接して交互に配置した燃料電池用セパレータであって、
    前記セパレータに形成された流路に、空気中の酸素により酸化されると共に燃料ガスにより還元される物質を設けたことを特徴とする燃料電池用セパレータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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