JP2005232318A - ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法 - Google Patents

ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法 Download PDF

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Ritsuo Kitada
律男 北田
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Jun Iwamura
潤 岩村
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健人 鳥羽
Michiyuki Kono
通之 河野
Manabu Kikuta
学 菊田
Tetsuya Touzaki
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Abstract

【課題】 溶媒を用いた重合により得られ、加温下の脱揮により溶媒が除去された流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、樹脂の表面にタックが生じたり、糸状やシート状の樹脂どうしが付着したり、糸状樹脂が伸びて断裂したりする等の種々の不具合を生じることなく冷却し固化させることのできる、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明にかかるノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法は、溶媒を用いた重合により得られ、加温下の脱揮により前記溶媒が除かれている、流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を金属板に接触させて冷却固化させる工程を含むことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法に関する。詳しくは、脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を水冷によらず冷却固化させるノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法に関する。
従来から、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂などの、一般にエチレンオキシド系樹脂(例えば、非特許文献1参照。)と称される樹脂は、接着剤、塗料、シーリング剤、エラストマー、床材等のポリウレタン樹脂の他、硬質、軟質もしくは半硬質のポリウレタン樹脂、さらには、界面活性剤、サニタリー製品、脱墨剤、潤滑油、作動液などの用途における高分子材料として有用であり、近年では、その多用途性を鑑み、さらにその他の様々な新用途への利用が考えられつつある。
通常、樹脂の製造に関しては、溶液重合などの溶媒を用いた重合によって樹脂を合成した場合は、その後加温下における脱揮により溶媒を除去し、かつ冷却固化(硬化)させるのが一般的な手順である。
例えばポリプロピレン、ポリエチレンおよびPET等の非水溶性の結晶性樹脂の場合には、脱揮した後の樹脂を、必要に応じてエクストルーダーやプレスローラーなどにより糸状やシート状に押出した後、これを水冷により冷却固化(硬化)させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、製造する樹脂がノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の場合、上記非水溶性の樹脂等とは異なり、比較的低融点であり水に対する溶解速度や吸水速度が非常に大きいため、上述のような水冷による冷却固化を行った場合、樹脂表面にタックが生じたり、糸状やシート状の樹脂どうしが付着したり、糸状樹脂が伸びて断裂したりする等の種々の不具合が生じて適用できないという問題があった。よって、例えば、押出機に供給して押出し成形する場合のように原料として適度な大きさに粒状化した樹脂が必要なときであっても、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂においては、水冷固化することができず固化後に適度に粒状化しておくことができなかったため、重合液の再沈殿により粉体化し乾燥することで得る等といった方法により直接乾燥粉末化するしかなく、この樹脂粉末を押出機に供給する方法が採られていた。しかし、このように原料樹脂が粉末であると、押出機への供給時に必然的にサージング等が生じて樹脂の定量供給が困難となり、目的の成形品を得られない原因となっていた。
なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂に関しては、例えば、カラーフィルターの保護膜、ポリマー電池の高分子電解質層、半導体用粘着テープ、ウレタンフォーム、フレキソ印刷版材などの用途に用いる場合、樹脂の含有水分量が一定量以下に低く抑えられていることが、これら用途における性能を発揮するために重要であると考えられる。しかしながら、これまで、脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造過程においては、最終的に得られる樹脂中の含有水分量の調整および管理はされていなかったため、空気中や水使用雰囲気中の水分を必然的に含むこととなり、除去することもなかったため、上記用途を考慮した場合、非常に高い含有水分量の樹脂となっていた。このような含有水分量の高いノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を上記用途に用いた場合、例えば、カラーフィルターの保護膜では誘電率が上昇して保護膜機能が低下する、ポリマー電池の高分子電解質層では水分とイオンとが反応して電位低下する、半導体用粘着テープでは水分により誤動作が誘発される、ウレタンフォームでは水分がイソシアネート基と反応して十分に反応が進行しないため物性が低下したり発泡が生じたりすることとなってしまう、などといった種々の問題が生じていた。
特開2002−331522号公報 Herman F. Mark、Norbert M. Bikales、Charles G. Overberger、Georg Menges 編,「エンサイクロペディア オブ ポリマー サイエンス アンド エンジニアリング(Encyclopedia of Polymer science and engineering)」,Vol.6,(米国),ウィリー インターサイエンス(Wiley Interscience),1986年,p.225−322
そこで、本発明の解決しようとする課題は、溶媒を用いた重合により得られ、加温下の脱揮により溶媒が除去された流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、樹脂の表面にタックが生じたり、糸状やシート状の樹脂どうしが付着したり、糸状樹脂が伸びて断裂したりする等の種々の不具合を生じることなく冷却し固化させることのできる、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行い、上述の、溶媒を用いた重合により得られ、加温下の脱揮により溶媒が除去された、流動状態であり温かい状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂であって上記特性を有する樹脂を、冷却し固化するにあたって、脱揮後の樹脂が脱揮温度40〜300℃に近い温度に加温された状態にあること、そして、脱揮後の樹脂を結晶化温度および/または融点以下の温度まで冷却する必要があることに着目した。加えて、実用的な生産速度をも達成しようとした。その結果、上述したような脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を熱伝導度の高い材質を用いて冷却すればよいのではないかと考え、この知見を基に、冷却した金属板に接触させることによって冷却し固化させるようにするノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法であれば、上記課題を一挙に解決できることを見出し、これを確認して、本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかるノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法は、溶媒を用いた重合により得られ、加温下の脱揮により前記溶媒が除かれている、流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を金属板に接触させて冷却固化させる工程を含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、溶媒を用いた重合により得られ、加温下の脱揮により溶媒が除去された流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、樹脂の表面にタックが生じたり、糸状やシート状の樹脂どうしが付着したり、糸状樹脂が伸びて断裂したりする等の種々の不具合を生じることなく冷却し固化させることのできる、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法を提供することができる。
以下、本発明にかかるノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法に関する詳細について具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に何ら拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
本発明にかかるノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法(以下、本発明の製造方法と称することがある。)は、溶媒を用いた重合により得られ、加温下の脱揮により前記溶媒が除かれている、流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を冷却して固化させるにあたり金属板に接触させるという冷却固化工程を含む製造方法である。流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とは、加温下による脱揮後であるため温かい状態となっており形状保持能の低い状態の樹脂であり、より具体的には、加温下による脱揮後の溶融状態の樹脂であってもよいし、該溶融状態の樹脂を賦形しただけの状態(形状を付与した(成形した)ことを意味し、完全に固化させてはいない状態)の樹脂であってもよい。さらに具体的には、加温下による脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂であって樹脂温度が40〜300℃の状態のものであることが好ましく、より好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは90〜200℃である。なお、以下においては、上記流動状態(温かい状態)のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂と称することがある。
本発明の製造方法でいう、溶媒を用いた重合法とは、特に限定はされないが、具体的には、例えば、溶液重合法、沈殿重合法などを好ましく挙げることができ、なかでも、溶液重合法が生産性に優れているためより好ましく、予め仕込んだ溶媒にモノマー成分をフィードしながら重合を行う溶液重合が、反応熱を除熱しやすいなど、安全性に優れるため特に好ましい。重合後の重合反応液中の溶媒成分は、通常、上記溶媒を用いた重合法で重合する際に用いる溶媒をいうが、重合後に他の溶媒を使用して重合反応液に含めた場合などは、ここでいう他の溶媒も上記溶媒成分となり得る。
上記溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ヘプタン、オクタン、n−へキサン、n−ペンタン、2,2,4−トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロへキサン、メチルシクロへキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテルなどのエーテル系溶媒;ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエチレングリコールジアルキルエーテル類の溶媒;THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサンなどの環状エーテル系溶媒;などが好ましく挙げられ、なかでもトルエンおよびキシレンが特に好ましい。
本発明の製造方法でいう、加温下の脱揮とは、上記溶媒を用いた重合後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂と溶媒とを含む重合反応液から溶媒成分を脱揮して除去することにより、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を得ることである。脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂については、完全に溶媒を含まないものに限らず、脱揮により重合反応液の状態から溶媒が下記の所望の濃度となるまで除去され調整されたものであればよいとする。
脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂においては、含有する溶媒の濃度が0.01〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。上記溶媒濃度について、0.01重量%未満にしようとすると、脱揮条件を厳しくする必要があるため、上記水溶性樹脂の熱劣化につながり、性能低下が生じることとなるおそれがある。また、30重量%を超える場合は、脱揮後の上記水溶性樹脂にタックが生じ、ブロッキングなどが生じることとなるおそれがある。
脱揮の方法、脱揮する際に用いる装置および各種条件としては、通常公知の脱揮の方法、使用可能な装置および設定される条件等を採用すればよく、特に限定されるわけではない。脱揮する際に用いる装置(脱揮装置)としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、撹拌槽蒸発器、下流液柱蒸発器、薄膜蒸発器、表面更新型重合器、ニーダー、ロールミキサー、インテンシブミキサー(いわゆるバンバリーミキサー)、押出機などが好ましく挙げられ、用いる装置によって適宜使用条件が設定され得る。
脱揮時の温度については、40〜300℃の加温下で行うことが好ましく、より好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは90〜200℃である。この温度範囲を満たすようにすることによって、脱揮後に、上述したような溶媒濃度に調整することができ、また、後述する含有水分量についても調整することができる。上記脱揮時の温度が40℃未満の場合は、残存する溶媒が多くなるおそれがあり、300℃を超える場合は、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂自体が熱分解するおそれがある。ここで、上記脱揮時の温度とは、具体的には、脱揮装置内のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の温度であるとする。
脱揮時の圧力は、13〜100,000Paの範囲で行うことが好ましく、より好ましくは133〜70,000Pa、さらに好ましくは1333〜40,000Paである。この圧力の範囲を満たすようにすることによって、脱揮後に、上述したような溶媒濃度に調整することができ、また、後述する含有水分量についても調整することができる。上記脱揮時の圧力が、13Pa未満の場合は、溶媒がフラッシュしてしまいフォーミングが起こるおそれがあり、100,000Paを超える場合は、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂が分解するぐらいまで温度をかけなければならないおそれがある。ここで、上記脱揮時の圧力とは、脱揮装置の槽内圧力である。
脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂は、上述した加温下の脱揮により得られた樹脂であるため、温かく流動性を有する樹脂である。脱揮後の上記水溶性樹脂の温度は、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、40〜300℃であることが好ましく、より好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは90〜200℃である。
脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂については、その含有水分量は、溶媒の脱揮の際に同時に調整されることが好ましい。具体的には、特に限定はされないが、本発明の製造方法により得られる樹脂の含有水分量を考慮した場合、脱揮後の時点で300ppm以下であることがより好ましい。水分は、例えば、重合の際に用いた溶媒などに含まれ、樹脂の合成の際に樹脂中に含まれることとなる。脱揮時に含有水分量を調整する場合は、特に限定はされないが、具体的には、脱揮時の温度を高くする、および/または、脱揮時の減圧度を大きくするということにより行えばよい。
なお、本明細書において記載している樹脂の含有水分量は、例えば、後述の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂は、帯電防止剤を含まないものとすることができる。上記水溶性樹脂は、溶媒を用いた重合後、加熱乾燥ではなく脱揮により得られるため、加熱乾燥下における樹脂どうしの摩擦等で生じる樹脂の帯電を考慮して帯電防止剤を含めておく必要がないからである。
脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の粘度は、固形分99重量%以上で100℃の場合、好ましくは5000〜100000ポイズであり、より好ましくは10000〜80000ポイズ、さらに好ましくは15000〜60000ポイズである。5000ポイズ未満であると発泡およびタックが生じるおそれがあり、100000ポイズを超える場合は粘度が高すぎて脱揮ができないおそれがある。
本発明の製造方法において、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性共重合体)は、その分子構造中にアルキレンオキシドモノマー由来の構成成分を主として含んでおり、かつ、主鎖にエーテル結合を有する樹脂であれば、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、原料モノマーとして、エチレンオキシドと、下記構造式(1):
Figure 2005232318
(ただし、R1は、Ra(Raは、炭素数1〜16の、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基の中のいずれかの基である)または-CH2-O-Re-Ra基(Reは、-(CH2-CH2-O)p-の構造を有する(pは0から10までの整数)))
で示される置換オキシラン化合物群と、を含むモノマー群を重合してなる共重合体であることが好ましい。重合は、各原料モノマーのオキシラン基の開環重合であることが好ましい。
上記構造式(1)におけるR基は置換オキシラン化合物(群)における置換基である。
上記置換オキシラン化合物群は、上記構造式(1)で示すことのできる置換オキシラン化合物のうちの1種のみからなるものであっても、2種以上からなるものであってもよく、特に限定されるわけではない。常に上記構造式(1)で示される化合物のうちの1種のみからなるとは限らないのである。
上記構造式(1)で示される置換オキシラン化合物としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシへキサン、1,2−エポキシオクタン、シクロヘキセンオキシドおよびスチレンオキシド、または、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテルおよびエチレングリコールメチルグリシジルエーテルなどを挙げることができ、さらに、置換基Rが架橋性の置換基である場合、つまり、置換基Rがアリール基、アルケニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する場合として、エポキシブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロへキセン、1,2−エポキシ−5−シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジルおよびグリシジル−4−ヘキサノエート、または、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキシルグリシジル、α−テルペニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルおよびアリルペニルグリシジルエーテルなども挙げることができる。上述したように、これら各種置換オキシラン化合物は、上記置換オキシラン化合物群として単独で用いられても2種以上を併用されてもよい。
上記置換オキシラン化合物群としては、上記架橋性の置換基を有する(置換基Rが架橋性置換基である)置換オキシラン化合物を必須に用いることが、架橋体にして用いるためには好ましい。
上記ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性共重合体)が、エチレンオキシドと上記置換オキシラン化合物群とを含むモノマー群を重合してなる共重合体である場合、その分子構造中、エチレンオキシド由来の構成成分は90〜93重量%であることが好ましく、置換オキシラン化合物群に含まれる化合物由来の構成成分は7〜10重量%であることが好ましい。またこの場合、上記ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂は、その分子構造中、エチレンオキシドおよび置換オキシラン化合物群に含まれる化合物以外のモノマー由来の構成成分を、上記各種モノマー(エチレンオキシドおよび置換オキシラン化合物群に含まれる化合物)の含有割合範囲が満たされる範囲内で含んでいてもよい。
上記ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定はされないが、具体的には、例えば、20,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは30,000〜300,000、さらに好ましくは40,000〜200,000である。上記重量平均分子量が20,000未満の場合は、成形物にタックが生じるおそれがあり、200,000を超える場合は、成形が困難となり、加工性およびハンドリング性が低下するおそれがある。
上記ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、特に限定はされないが、3以下であることが好ましく、より好ましくは2以下である。上記分子量分布が3を超える場合は、成形体にした時にタックが生じ、ハンドリングが悪くなるおそれがある。
本発明の製造方法でいう、金属板に接触させて冷却固化させる工程(以下、冷却固化工程と称することがある。)では、上記脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、金属板に接触させることにより冷却し、固化(硬化)させる。
上記金属板とは、具体的には、例えば、ドラムクーラー(例えば、ツバコー・ケー・アイ社製、製品名:COMPACT CONTI COOLER;三菱化学エンジニアリング社製、製品名:ドラムクーラーDC;モダンマシナリー(株)製、製品名:ラミネーター)、シングルベルトクーラー(例えば、サンドビック社製、製品名:スチールベルトクーラー;日本スチールコンベア(株)製、製品名:スチールベルトシングルクーラー)、ダブルスチールベルトクーラー(例えば、サンドビック社製、製品名:ダブルスチールベルトクーラー)などの冷却装置における、樹脂と接触し得る金属板・金属面であることが好ましい。この金属板・金属面は、所望の温度に冷却していることが好ましく、例えば、金属板・金属面の裏側から冷媒を吹き付けることにより冷却しておくことができる。
上記金属板・金属面の冷却温度は、特に限定されるわけではなく、冷却固化しようとするノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を結晶化温度および/または融点以下の温度にすることができる温度であることが好ましく、具体的には、例えば、5〜40℃であることが好ましく、より好ましくは10〜30℃、さらに好ましくは15〜25℃である。
上記冷却固化工程においては、上記冷却装置を用いた場合はいずれにおいても、脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂は、金属板・金属面上に吐出された後、搬送されつつ冷却固化されることになる。上記冷却装置のなかでも、ダブルスチールベルトクーラー、シングルベルトクーラーおよびドラムクーラーを用いた場合、冷却ベルト、冷媒の温度、冷媒の種類の選択、および、Tダイスの幅やダブルスチールの幅などの選択により、任意の生産量の条件を容易に得ることができる。
本発明の製造方法においては、上述のように脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を冷却固化させる冷却固化工程を行うにあたり、予め、脱揮後の上記水溶性樹脂を成形しておく成形工程を含んでいてもよい。
上記成形工程としては、具体的には、例えば、(i)脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、押出機等で、予め、シート状、ひも状(ストランド状)、板状、粒状などに成形しておくことや、(ii)脱揮後のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、成形用の型となる容器などに流し込んで成形しておくこと、などが好ましく挙げられ、特にこれらに限定されるわけではない。本発明においては、脱揮後の流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂をそのまま冷却固化用の金属板に接触させる場合であっても、接触させると同時に所望のシート形状となるように広げるなどといった過程があれば、これも成形工程の概念に含んでよいとする。例えば、脱揮後の流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、側面に複数の孔(所望の径)の開いた円筒ドラムに仕込み、このドラムを中心軸(円軸)を水平にして回転させることで、その孔から流動状態の樹脂を冷却固化用の金属板上に滴下し、粒状の樹脂を成形する工程も、ここでいう成形工程に含むことができる。
上記例示した成形工程の具体例のなかでも、後の冷却固化工程において十分に冷却するためには、上記(i)の成形工程によりシート状または板状に押出して成形しておくことが好ましい。また、上記(i)の成形工程において押出す方法としては、脱揮装置の出口もしくは樹脂排出口にエクストルーダー、ポリマーポンプ、ギアポンプなどを取り付けて、上記樹脂を脱揮装置から抜き取りつつ、さらに押出機を連結しておき、上記樹脂を押出す方法が好ましい。
押出機としては、特に限定はされるわけではなく、具体的には、例えば、単軸型押出機、二軸型押出機(例えば、製品名:SUPERTEXαII、日本製鋼所製;製品名:BT−30−S2、プラスティック工学研究所製)、SCRセルフクリーニング式リアクター(三菱重工(株)製)などが好ましく挙げられるが、一定の厚さのシート状または板状に押出すためには、押出機にTダイを設置して押出すこと等が好ましい。また、粒状に押出すためには押出機にドロップフォーマー(製品名:ロートフォーム、サンドビック社製)を設置して押出すことが好ましい。
一定の厚みで押出される場合、押出される樹脂の厚みは、一般的には、引き続き行う冷却固化工程での冷却効率と、最終的に粒状化して得る場合のサイズ等も考慮して、0.5〜4mmであることが好ましく、より好ましくは1〜3mm、さらに好ましくは1.5〜2.5mmである。
本発明の製造方法においては、上記冷却固化工程を行うまでに(成形工程を行う場合は、成形工程を行うまでに)、脱揮後の流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂に各種安定剤などを混練しておく混練工程を含んでいてもよい。
上記安定剤としては、特に限定されるわけではなく、具体的には、例えば、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤(酸化防止剤)、防腐剤、耐光性向上剤、可塑剤(ジオクチルフタレート、低分子量ポリエーテル化合物等)、フィラー(カーボン等)、界面活性剤(エチレンオキシド系非イオン性活性剤等)、滑剤(ステアリン酸カルシウム等)などを挙げることができるが、通常、(i)本発明の製造方法において必要であるとして脱揮処理以前から添加していた安定剤であって脱揮処理とともに減少・除去されてしまったものや、(ii)本発明の製造方法において必要であるとして脱揮処理の後で添加を予定していた安定剤、などを用いることが好ましい。
また、混練工程においては、上記安定剤以外にも、必要に応じて各種添加物を添加し混練してもよいが、具体的には、例えば、有機質または無機質の微粒子や、低分子化合物(沸点が300℃以下の低分子量化合物(溶媒))が好ましく添加・混練できる。なかでも有機質または無機質の微粒子は、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の使用目的や使用形態に応じて、ブロッキング防止等の機能を発揮し得る。有機質の微粒子としては、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの微粒子を挙げることができ、無機質の微粒子としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニアまたはこれらの複合酸化物などを挙げることができる。
混練工程で用いる混練機としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、下流液柱蒸発器(多管式熱交換器型)(例えば、ノリタケ社製、製品名:スタテックミキサー)、二軸型蒸発器(例えば、KRCニーダー(例えば、栗本鉄工所社製、製品名:S2KRCニーダー;プラスティック工学研究所製、製品名:BTシリーズ;森山製作所社製、製品名:ニーダールーダー)、単軸型蒸発器(例えば、プラスティック工学研究所製、製品名:GTシリーズ)などが挙げられる。これらは、脱揮装置からポリマーポンプ、ギアポンプ等を介して連結しておくことが好ましい。
混練工程後、さらに上記成形工程を行う場合は、混練機の底にポリマーポンプ、ギアポンプなどを取り付けて、樹脂を混練機から抜き取りつつ、さらに押出機を連結しておけばよい。
本発明の製造方法においては、上記冷却固化工程後に得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を粒状化(ペレット化)する粒状化工程を含んでいてもよい。
粒状化工程で用いる装置としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、シートペレタイザー(例えば、ホーライ社製、製品名:シートペレタイザSG(E)−220)、クラッシャー(例えば、ホーライ社製のクラッシャー)などが挙げられる。なかでも、得られる粒状体の粒度が揃いやすいという点で、シートペレタイザーが好ましい。シートペレタイザーとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、低流動点を有する樹脂を切断する場合、カッター部分、特にスリッターロール部分を冷媒で冷却したり、それら部分において樹脂を冷風で冷却したりすることができる機能を有するものが好ましい。この冷却の温度は、特に限定されるわけではなく、粒状化しようとするノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を結晶化温度および/または融点以下の温度にすることができる温度であることが好ましく、具体的には、例えば、5〜40℃であることが好ましく、より好ましくは10〜30℃、さらに好ましくは15〜25℃である。
本発明の製造方法においては、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の吸湿を防止する工程、および/または、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を乾燥する工程、を含んでいてもよい。
上述したノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の吸湿を防止する工程、つまり上記水溶性樹脂に吸湿防止処理を施す工程とは、本発明の製造方法に含まれる製造過程の一部または全てにおいて、上記水溶性樹脂が製造雰囲気中から取り込む水分量をできるだけ低減し得る処理を施すことである。従って、結果として、処理を施している部分において、上記樹脂の含有水分量の増加を完全に抑える必要はなく、通常このような処理を施していない場合に比べて明らかに吸湿量の増加を抑えていればよいとする。
上記吸湿防止処理としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、いわゆる膜式の除湿処理、冷凍式の除湿処理、吸着剤式の除湿処理などが挙げられる。
膜式の除湿処理とは、具体的には、本発明の製造方法で用いる各種装置・機器およびノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の移動経路などを含む領域中の所望の領域を、気密性の高い材料で覆い、その中に中空糸膜に圧縮空気(飽和相対湿度100%の飽和空気)中の水分を吸収させて得た乾燥空気をコンプレッサーで送り込んで、乾燥雰囲気を作り出す処理である。この処理は、例えば、中空糸膜分離方式圧縮空気用ドライヤー(東芝プラント建設(株)製、製品名:MACDASS)を用いて行うことができる。また、上記圧縮空気は、露点−30℃以下であることが好ましく、より好ましくは露点−40℃、さらに好ましくは露点−50℃である。上記圧縮空気が、露点−30℃を超える場合は、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分量が多くなり性能低下を引き起こすおそれがある。また、上述の乾燥空気以外に、窒素等の不活性ガスを用いることもできる。
冷凍式の除湿処理とは、具体的には、冷凍機で圧縮空気を冷却し、圧縮空気中の水分を凝縮排水して乾燥空気を得、乾燥雰囲気を作り出す処理である。
吸着剤式の除湿処理とは、具体的には、活性アルミナ等の吸着剤に水分を吸着させて乾燥空気を得、乾燥雰囲気を作り出す処理である。
上記吸湿防止処理では、処理を施した間の、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分の濃度増加が、250ppm以下であれば好ましく、より好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは150ppm以下である。上記濃度増加が250ppmを超える場合は、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分量が多くなり性能低下を引き起こすおそれがある。また、吸湿防止処理を行う時点で、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分量が後述する所望の範囲内となっている場合、この吸水防止処理後の上記水溶性樹脂の含有水分量も同様に上記所望の範囲内を維持させていることが好ましい。
上述したノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を乾燥する工程、つまり乾燥工程は、本発明の製造方法における各種工程間または各種工程と同時に行うことができ、製造過程中の一部で行ってもよいし、複数部分で行ってもよい。
この乾燥工程は、上記吸湿防止処理に比べ、より積極的に含有水分量を減少させる処理を行うという点で異なる。また、この乾燥工程は、本発明の製造工程中、特に上記冷却固化工程中などで、直接水(金属板の冷却用)を用いた雰囲気下が存在した場合などに、特に有効な工程である。そのような水を用いた雰囲気下でノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を扱った場合は、通常よりも顕著に含有水分量が増加するからである。
上記乾燥工程における操作としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、(i)ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、サイロに投入後、圧縮空気を上下から吹きかけ、循環させて乾燥させること、(ii)ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、コニカルドライヤーに投入後、圧縮空気を通気させて乾燥させること、(iii)ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、通気回転乾燥機(例えば、ロータリーキルン等)に投入後、圧縮空気を通気させて乾燥させること、などを好ましく挙げることができ、これら操作のうち1種のみを行っても2種以上を併用してもよい。
上記乾燥工程においては、上述した各種乾燥方法や、乾燥温度、乾燥時間などを適宜選択・設定することにより、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分量を任意かつ所望の含有水分量に減らすことができ、詳しくは、上記水溶性樹脂の含有水分量を、後述する所望の範囲(具体的には300ppm以下)を満たすように減らすことが好ましい。ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分量が後述する所望の範囲(具体的には300ppm以下)を既に満たしている状態であっても、そうでなくても、乾燥処理を施すことができる。乾燥工程において減らす水分量は、特に限定されるわけではないが、乾燥処理にかかるコストや生産性を考慮して、あまり多くなり過ぎないようにするのがよい。具体的には、乾燥処理を施したノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂において、27000ppm以下の濃度減少が好ましく、より好ましくは7000ppm以下、さらに好ましくは4700ppm以下である。この範囲を超える濃度減少となるようにすると、経済性、生産性に劣るほか、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明の製造方法においては、上記粒子化工程を行った場合は、所望の粒子径の粒子を選別する選別工程を含んでいてもよい。選別工程においては、特に限定されるわけではなく、通常公知のふるいを用いた処理を行えばよいが、樹脂粒子の生産性を考慮すれば、例えば、振動を与えながら傾斜面のふるいの上を粒子化工程後の樹脂を流動させて選別を行うことや、ふるいそのものがラッパ状かつ横型で、ふるいの傾斜面を粒子化工程後の樹脂が回転するようにして選別を行うこと、などが好ましい。選別工程を行うにあたっては、上記粒子化工程後の樹脂を上述したようなふるいに直接誘導して選別することが好ましい。
本発明の製造方法においては、得られるノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂は、含有水分量が300ppm以下であることが好ましく、より好ましくは250ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。ここでいう含有水分量は、最終的に得られるノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂に関して達成されていればよく、本発明の製造方法における製造途中の一部分または全てにおいて達成されていることが必要というわけではない。上記含有水分量が300ppmを超える場合は、樹脂の誘電率が必要以上に大きくなるため、例えば、得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂をカラーフィルターの保護膜などに用いた場合は、樹脂が導電性となることにより上記保護膜としては致命的な機能低下を引き起こしてしまうこととなり、また、水分が金属イオン分などと反応して水酸化物等を生成してしまうため、例えば、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂をポリマー電池の電解質層などに用いた場合は、金属−電解質層界面に絶縁層を形成してしまい、電位低下するとともに、定電流下での電圧が上昇し続け、電池のサイクル特性も悪化することとなる。また、半導体用粘着テープに用いた場合は、水分により誤動作が誘発され、ウレタンフォームでは水分がイソシアネート基と反応して十分に反応が進行しないため物性が低下したり発泡が生じたりすることとなってしまう。
本発明の製造方法により得られるノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂は、特に限定はされないが、例えば、接着剤、塗料、シーリング剤、エラストマー、床材等のポリウレタン樹脂の他、硬質、軟質もしくは半硬質のポリウレタン樹脂、さらには、界面活性剤、サニタリー製品、脱墨剤、潤滑油、作動液、ポリマー電池に用いるセパレーター、電極および高分子電解質層や、カラーフィルター保護膜、レジストおよびフレキソ印刷版材等に用い得る感光性樹脂、半導体用粘着テープ、ウレタンフォームなどといった広範囲な用途に対する高分子材料として好ましく使用することができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
まず、本発明の実施例において記載するノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分量の定義、測定方法などについて以下に示す。
<ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分量>
グローブボックス中に、予め高気密性の容器(例えばアルミラミネート袋等)に入れて密封したノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(例えば、角ペレットにしたもの)、溶媒としてのトルエン(予めモレキュラーシーブス(ユニオン昭和社製、製品名:モレキュラーシーブ3A1.6あるいはモレキュラーシーブ4A1.6)にて含有水分量を極力減らしておいたもの)、ガラス容器、および、注射器を入れて、2時間以上乾燥する。
乾燥後、ガラス容器に、上記高気密性の容器から取り出したノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂2gとトルエン18gとを投入し、マグネチックスターラーで十分に溶解させ樹脂溶液とした後、注射器で該樹脂溶液をすべて採取する。同時に、別の注射器でトルエンのみを18g採取する。
採取後のそれぞれの注射器をグローブボックスから外部へ持ち出し、AQUACOUNTERQ−7(HIRANUMA社製の含有水分量測定装置)を用いて、樹脂溶液とトルエンのみとにおける含有水分量をそれぞれ測定する。
この測定により求められる含有水分量(ppm)の値から、樹脂溶液とトルエンのみとに含まれる水分の重量(mg)をそれぞれ算出し、その差からノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂に含まれる水分の重量(mg)を求める。そこで、この差である水分の重量(mg)を、初めに溶解させたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の重量(2g)で割ることにより、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の含有水分量(ppm)を算出する。
〔実施例1〕
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(1)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(1)を脱揮により濃縮し、上記薄膜蒸発器に備え付けてあるTダイ(シートダイ)(幅150mm、隙間2.3mm)から温度145℃、排出速度15kg/hで排出し、トルエン含有率0.16重量%のシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(1)を得た。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(1)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、ブチレンオキシド由来の構造単位と、アリルグリシジルエーテル由来の構造単位とを、順に、378部、25.2部、16.8部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(1)の含有水分量は60ppmであった。
排出されたシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(1)は、ダブルベルトクーラー(サンドビック社製、製品名:ダブルベルトクーラー)の下側ベルトの上部表面に供給した。この時、ダブルベルトクーラーは、速度0.85〜0.90m/min、冷却水温度23.3℃、上下ベルトの隙間2.0mm、水圧0.20MPaで運転した。
ダブルベルトクーラーによって25℃以下まで冷却されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(1)のシートを、シートペレタイザー(ホーライ社製、製品名:SG(E)−220)に供給する。この時、シートペレタイザーは、縦切り刃のモーター周波数8〜9Hz、引取速度0.88〜0.99m/min、横切り刃のモーター周波数13〜15Hzで運転し、横切り刃の部分にスポットクーラーによる冷気(16〜17℃)を当てた。
このようにして得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(1)の角ペレットは、サイズ1.7〜2.4mm×4.0mm×2.5〜3.0mmで、トルエン含有率0.16重量%であった。また、得られた角ペレットの含有水分量は4120ppmであった。
〔実施例2〕
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(2)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(2)を脱揮により濃縮し、上記薄膜蒸発器に備え付けてあるTダイ(幅150mm、隙間2.3mm)から温度145℃、排出速度18kg/hで排出し、トルエン含有率0.26重量%のシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(2)を得た。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(2)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、ブチレンオキシド由来の構造単位と、アリルグリシジルエーテル由来の構造単位とを、順に、378部、15部、16部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(2)の含有水分量は80ppmであった。
排出されたシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(2)は、ダブルベルトクーラー(サンドビック社製、製品名:ダブルベルトクーラー)の下側ベルトの上部表面に供給した。この時、ダブルベルトクーラーは、速度0.90m/min、冷却水温度23.4℃、上下ベルトの隙間2.0mm、水圧0.20MPaで運転した。
ダブルベルトクーラーによって25℃以下まで冷却されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(2)のシートを、シートペレタイザー(ホーライ社製、製品名:SG(E)−220)に供給する。この時、シートペレタイザーは、縦切り刃のモーター周波数8Hz、引取速度0.88m/min、横切り刃のモーター周波数11.5〜12.0Hzで運転し、横切り刃の部分にスポットクーラーによる冷気(17〜18℃)を当てた。
このようにして得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(2)の角ペレットは、サイズ1.5〜2.5mm×4.0mm×3.0〜3.5mmで、トルエン含有率0.26重量%であった。また、得られた角ペレットの含有水分量は6170ppmであった。
〔実施例3〕
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(3)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(3)を脱揮により濃縮し、脱揮後のトルエン含有率0.50重量%のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(3)を、ギアポンプを介して温度175℃、移送速度40kg/hで、KRCニーダー(栗本鉄工所社製、製品名:S2KRCニーダー)に移送した。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(3)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、ブチレンオキシド由来の構造単位と、メチルグリシジルエーテル由来の構造単位とを、順に、180部、12部、8部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(3)の含有水分量は100ppmであった。
このKRCニーダーの樹脂供給口より下流側に、安定剤供給口を設け、安定剤としてフェノール系酸化防止剤を0.2kg/hで投入した。この時、KRCニーダーは、加熱温度180℃、パドル回転数57〜114rpmで運転した。
KRCニーダーからは、排出速度40.6〜41.8kg/hで、フェノール系酸化防止剤が混練された温度170〜185℃のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(3)が得られた。安定剤濃度は4030〜4040ppmであった。
〔実施例4〕
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(4)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(4)を脱揮により濃縮し、脱揮後のトルエン含有率0.45重量%のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)を、ギアポンプを介して温度175℃、移送速度35kg/hで、KRCニーダー(栗本鉄工所社製、製品名:S2KRCニーダー)に移送した。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、ブチレンオキシド由来の構造単位と、メチルグリシジルエーテル由来の構造単位とを、順に、180部、12部、8部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)の含有水分量は70ppmであった。
このKRCニーダーの樹脂供給口より下流側に、安定剤供給口を設け、安定剤としてフェノール系酸化防止剤を0.175kg/hで投入した。この時、KRCニーダーは、加熱温度180℃、パドル回転数114rpmで運転した。
なお、KRCニーダーからは、温度190℃の、安定剤が混練されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)が得られ、安定剤濃度は5200ppmであった。
KRCニーダーの排出口から、安定剤が混練されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)を、ギアポンプを介して、Tダイ(幅700mm、隙間2.0〜2.5mm)から35kg/hで排出する。排出されたシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)を、ドラムクーラー(三菱化学エンジニアリング社製、製品名:ドラムクーラーDC)の冷却ドラムの上部表面に供給した。この時、ドラムクーラーは、ドラム回転数0.3〜0.4rpm、速度25〜34m/h、冷却水温度5〜10℃で運転した。
ドラムクーラーによって20℃以下まで冷却されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)のシートを、シートペレタイザー(ホーライ社製、製品名:SG(E)−220)に供給する。この時、シートペレタイザーは、縦切り刃のモーター周波数3.6〜5.5Hz、引取速度0.4〜0.6m/min、横切り刃のモーター周波数7.0〜12.0Hzで運転し、横切り刃の部分にスポットクーラーによる冷気(露点−60℃相当)を当てた。
このようにして得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)の角ペレットは、サイズ2.0mm×4.0mm×3.0mmで、トルエン含有率0.45重量%であった。また、得られた角ペレットの含有水分量は900ppmであった。
〔実施例5〕
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(5)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(5)を脱揮により濃縮し、脱揮後のトルエン含有率0.45重量%のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)を、ギアポンプを介して温度175℃、移送速度35kg/hで、KRCニーダー(栗本鉄工所社製、製品名:S2KRCニーダー)に移送した。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、ブチレンオキシド由来の構造単位と、エポキシブテン由来の構造単位とを、順に、378部、25.2部、16.8部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)の含有水分量は90ppmであった。
このKRCニーダーの樹脂供給口より下流側に、安定剤供給口を設け、安定剤としてフェノール系酸化防止剤を0.175kg/hで投入した。この時、KRCニーダーは、加熱温度180℃、パドル回転数114rpmで運転した。
なお、KRCニーダーからは、温度190℃の、安定剤が混練されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)が得られ、安定剤濃度は5200ppmであった。
KRCニーダーの排出口から、安定剤が混練されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)を、ギアポンプを介して、Tダイ(幅700mm、隙間2.0〜2.5mm)から35kg/hで排出する。排出されたシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)を、ドラムクーラー(三菱化学エンジニアリング社製、製品名:ドラムクーラーDC)の冷却ドラムの上部表面に供給した。この時、ドラムクーラーは、ドラム回転数0.3〜0.4rpm、速度25〜34m/h、冷却水温度5〜10℃で運転した。
ドラムクーラーによって20℃以下まで冷却されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)のシートを、シートペレタイザー(ホーライ社製、製品名:SG(E)−220)に供給する。この時、シートペレタイザーは、縦切り刃のモーター周波数3.6〜5.5Hz、引取速度0.4〜0.6m/min、横切り刃のモーター周波数7.0〜12.0Hzで運転し、横切り刃の部分にスポットクーラーによる冷気(露点−60℃相当)を当てた。
このようにして得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)の角ペレットは、サイズ2.0mm×4.0mm×3.0mmで、トルエン含有率0.45重量%であった。また、得られた角ペレットの含有水分量は1070ppmであった。
〔実施例6〕
(吸湿防止処理を伴う製造方法)
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(6)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(6)を脱揮により濃縮し、脱揮後のトルエン含有率0.45重量%のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(6)を、ギアポンプを介して温度175℃、移送速度35kg/hで、KRCニーダー(栗本鉄工所社製、製品名:S2KRCニーダー)に移送した。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(6)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、ブチレンオキシド由来の構造単位とを、順に、378部、26部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(6)の含有水分量は70ppmであった。
次に、実施例4において、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)の代わりにノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(6)を用い、かつ、予め、Tダイ(シートダイ)の樹脂排出口から、ドラムクーラー(三菱化学エンジニアリング(株)製、製品名:ドラムクーラーDC)およびそのシート出口までの全て覆うようにブリキ製のカバーを設置しておき、吸水防止処理を施すようにした以外は、実施例4と同様の操作を行った。
なお、上記ブリキ製のカバーには、約9cmおきに内径約1.8cmの穴を1個または2個(約15cm間隔)開け、その穴からドライエアーを流すようにした。
また、ドライエアーは、OILFREE SCROLL COMPRESSOR(ANEST IWATANI社製)およびAIR DRYER RAXシリーズ(ORION MACHINERY社製)という発生装置を用いて発生させた。具体的には、ドライエアーは、1Nm/minで発生させ、ブリキ製のカバーには、上記樹脂排出口側の開口部およびシート出口側の開口部で流量0.5〜0.6m/secのドライエアーを流通させ、ブリキ製のカバーの側面(上記樹脂排出口からシート出口までの間)内部で流量0.3〜0.5m/secのドライエアーを流通させるようにして、外気がカバー内に逆流してこないように調整した。また、その際、露点を−60℃に制御したドライエアーを流通させたところ、ブリキ製カバー内のエアーの露点は−60℃〜−59℃であった。なお、露点は永野電機産業(株)製のセラミック式水分センサーで測定した。
このように吸水防止処理を施して得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(6)の角ペレットの含有水分量は128ppmであった。
〔実施例7〕
(吸湿防止処理を施した製造方法)
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(7)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(7)を脱揮により濃縮し、脱揮後のトルエン含有率0.45重量%のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(7)を、ギアポンプを介して温度175℃、移送速度35kg/hで、KRCニーダー(栗本鉄工所社製、製品名:S2KRCニーダー)に移送した。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(7)は、エチレンオキシド由来の構造単位とブチレンオキシド由来の構造単位とを、順に、200部、25部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(7)の含有水分量は90ppmであった。
次に、実施例5において、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(5)の代わりにノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(7)を用い、かつ、ドラムクーラー(三菱化学エンジニアリング社製、製品名:ドラムクーラーDC)およびシートペレタイザー(ホーライ社製、製品名:SG(E)−220)の代わりに、ドラムクーラーおよびシートペレタイザー(シートカッター)を備え、かつ、Tダイから排出されたシート状樹脂の供給口からペレットの出口部分までが気密性の高いフードで囲まれた一体型の装置(三菱化学エンジニアリング社製、製品名:ドラムクーラーSC型)を用いて、吸水防止処理を施すようにした以外は、実施例5と同様の操作を行った。実施例5と同様に、Tダイの樹脂排出口から排出されたシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(7)は、上記一体型の装置のドラムクーラー部分の冷却ドラムの上部表面に供給できるようになっている。なお、この時、ドラムクーラー部分については、ドラム回転数0.3〜0.4rpm、速度25〜34m/h、冷却水温度5〜10℃で運転した。また、シートペレタイザー部分については、縦切り刃のモーター周波数3.6〜5.5Hz、引取速度0.4〜0.6m/min、横切り刃のモーター周波数7.0〜12.0Hzで運転し、横切り刃の部分にスポットクーラーによる冷気(露点−60℃相当)を当てた。
なお、上記一体型装置を囲むフードは、発生させたドライエアーを該フード内に流通させることができるように設計されている。
また、ドライエアーは、OILFREE SCROLL COMPRESSOR(ANEST IWATANI社製)およびAIR DRYER RAXシリーズ(ORION MACHINERY社製)という発生装置を用いて発生させた。具体的には、ドライエアーは、1Nm/minで発生させ、上記フード内へは、上記シート状樹脂の供給口からペレットの出口部分までの間に流量0.5〜0.6m/secのドライエアーを流通させ、外気がフード内に逆流してこないように調整した。また、その際、露点を−60℃に制御したドライエアーを流通させたところ、フード内のエアーの露点は−60℃〜−59℃であった。なお、露点は永野電機産業(株)製のセラミック式水分センサーで測定した。
このように吸水防止処理を施して得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(7)の角ペレットの含有水分量は90ppmであった。
〔実施例8〕
(乾燥処理を施した製造方法)
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(8)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(8)を脱揮により濃縮し、上記薄膜蒸発器に備え付けてあるTダイ(シートダイ)(幅150mm、隙間2.3mm)から温度145℃、排出速度15kg/hで排出し、トルエン含有率0.16重量%のシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)を得た。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、アリルグリシジルエーテル由来の構造単位とを、順に、378部、53部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)の含有水分量は60ppmであった。
排出されたシート状のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)は、ダブルベルトクーラー(サンドビック社製、製品名:ダブルベルトクーラー)の下側ベルトの上部表面に供給した。この時、ダブルベルトクーラーは、速度0.85〜0.90m/min、冷却水温度23.3℃、上下ベルトの隙間2.0mm、水圧0.20MPaで運転した。
ダブルベルトクーラーによって25℃以下まで冷却されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)のシートを、シートペレタイザー(ホーライ社製、製品名:SG(E)−220)に供給する。この時、シートペレタイザーは、縦切り刃のモーター周波数8〜9Hz、引取速度0.88〜0.99m/min、横切り刃のモーター周波数13〜15Hzで運転し、横切り刃の部分にスポットクーラーによる冷気(16〜17℃)を当てた。
このようにして得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)の角ペレットは、サイズ1.7〜2.4mm×4.0mm×2.5〜3.0mmで、トルエン含有率0.16重量%であった。また、得られた角ペレットの含有水分量は4120ppmであった。
次に、予め、乾燥機として用いるコニカルドライヤー(日空工業(株)製、製品名:バキュームタンブルドライヤー)の内部を、窒素または圧縮空気(ドライエアー)により十分に置換しておき、さらにジャケットの熱媒を20〜30℃に加温して上記乾燥機内部を20〜30℃に昇温しておいた。
この乾燥機に、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)の角ペレット20〜30kgを、乾燥機の投入口から入れ、ボルトで十分に締め密閉した。
次いで、バルブの開閉確認をして、真空ポンプにて乾燥機内を減圧した。減圧度が133Pa以下で安定し、漏れがないことを確認した後、乾燥機内部に窒素を5〜10リットル/minで流通させた。この状態(すなわち内部温度20〜30℃、窒素の流通5〜10リットル/minおよび減圧度133Pa以下の状態)で、23時間以上保持し、角ペレットを乾燥させた。
このように乾燥処理を施して得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)の角ペレットの含有水分量は216ppmであった。
なお、上記条件で乾燥を行う場合、乾燥機に投入する前のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(8)の角ペレットの含有水分量が1500〜2000ppmであれば9〜13時間の乾燥処理で含有水分量を300ppmにすることができ、同様に、投入前の角ペレットの含有水分量が2000〜6000ppmであれば24時間の乾燥処理で含有水分量を300ppm以下にすることができる。
〔実施例9〕
(吸水防止処理および乾燥処理を施した製造方法)
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(9)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(9)を脱揮により濃縮し、脱揮後のトルエン含有率0.45重量%のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(9)を、ギアポンプを介して温度175℃、移送速度35kg/hで、KRCニーダー(栗本鉄工所社製、製品名:S2KRCニーダー)に移送した。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(9)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、エポキシブテン由来の構造単位とを、順に、378部、38部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(9)の含有水分量は70ppmであった。
次に、実施例4において、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(4)の代わりにノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(9)を用い、かつ、予め、Tダイ(シートダイ)の樹脂排出口から、ドラムクーラー(三菱化学エンジニアリング(株)製、製品名:ドラムクーラーDC)およびそのシート出口までの全て覆うようにブリキ製のカバーを設置しておき、吸水防止処理を施すようにした以外は、実施例4と同様の操作を行った。
なお、上記ブリキ製のカバーには、約9cmおきに内径約1.8cmの穴を1個または2個(約15cm間隔)開け、その穴からドライエアーを流すようにした。
また、ドライエアーは、OILFREE SCROLL COMPRESSOR(ANEST IWATANI社製)およびAIR DRYER RAXシリーズ(ORION MACHINERY社製)という発生装置を用いて発生させた。具体的には、ドライエアーは、1Nm/minで発生させ、ブリキ製のカバーには、上記樹脂排出口側の開口部およびシート出口側の開口部で流量0.5〜0.6m/secのドライエアーを流通させ、ブリキ製のカバーの側面(上記樹脂排出口からシート出口までの間)内部で流量0.3〜0.5m/secのドライエアーを流通させるようにして、外気がカバー内に逆流してこないように調整した。また、その際、露点を−60℃に制御したドライエアーを流通させたところ、ブリキ製カバー内のエアーの露点は−60℃〜−59℃であった。なお、露点は永野電機産業(株)製のセラミック式水分センサーで測定した。
このように吸水防止処理を施して得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(9)の角ペレットの含有水分量は128ppmであった。
得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(9)の角ペレットに対して、実施例8と同様の乾燥処理を施した。乾燥は10時間行った。
このように吸水防防止処理および乾燥処理を施して得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(9)の角ペレットの含有水分量は90ppmであった。
〔実施例10〕
溶液重合により得られた、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂とトルエンとの重量比が50重量%/50重量%である重合反応液(10)を、薄膜蒸発器(神鋼パンテック社製、製品名:EXEVA)(ジャケット温度180℃、減圧度6665Pa)に供給して、重合反応液(10)を脱揮により濃縮し、脱揮後のトルエン含有率0.45重量%のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(10)を、ギアポンプを介して温度175℃、移送速度35kg/hで、KRCニーダー(栗本鉄工所社製、製品名:S2KRCニーダー)に移送した。なお、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(10)は、エチレンオキシド由来の構造単位と、メチルグリシジルエーテル由来の構造単位とを、順に、378部、57部の割合で有する樹脂である。また、この時点でのノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(10)の含有水分量は70ppmであった。
このKRCニーダーの樹脂供給口より下流側に、安定剤供給口を設け、安定剤としてフェノール系酸化防止剤を0.175kg/hで投入した。この時、KRCニーダーは、加熱温度180℃、パドル回転数114rpmで運転した。
なお、KRCニーダーからは、温度191℃の、安定剤が混練されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(10)が得られ、安定剤濃度は5200ppmであった。
安定剤が混練されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(10)は、KRCニーダーの排出口から一旦ジャケットおよび撹拌機を備えたタンクへ送液し、その後、該タンクからギアポンプを介して15kg/hで排出して、ドラムクーラー(三菱化学エンジニアリング社製、製品名:ドラムクーラーDC)の冷却ドラムの上部表面に直接供給した。冷却ドラムの上部表面に供給された樹脂は、プレッシャーロールと接触し、冷却ドラムとプレッシャーロールとに挟まれて、冷却ドラムとプレッシャーロールとのクリアランス2mmとほぼ同じ厚みのシート状樹脂となった。
この時、ドラムクーラーは、ドラム回転数0.2rpm、速度17m/h、冷却水温度5〜10℃で運転した。
ドラムクーラーによって20℃以下まで冷却されたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(10)のシートを、シートペレタイザー(ホーライ社製、製品名:SG(E)−220)に供給する。この時、シートペレタイザーは、縦切り刃のモーター周波数8〜9Hz、引取速度0.8〜0.99m/min、横切り刃のモーター周波数13〜15Hzで運転し、横切り刃の部分にスポットクーラーによる冷気(温度16〜17℃、露点−60℃相当)を当てた。
このようにして得られたノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂(10)の角ペレットは、サイズ1.7〜2.4mm×4mm×2.5〜3.0mmで、トルエン含有率0.16重量%であった。また、得られた角ペレットの含有水分量は900ppmであった。
本発明にかかる製造方法は、例えば、溶液重合などの溶媒を用いた重合により合成され、その後加温下における脱揮により溶媒が除去されている、流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を、冷却固化(硬化)させる場合に好適である。

Claims (3)

  1. 溶媒を用いた重合により得られ、加温下の脱揮により前記溶媒が除かれている、流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を金属板に接触させて冷却固化させる工程を含む、ノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法。
  2. 前記冷却固化したノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂を粒状化する工程を含む、請求項1に記載のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法。
  3. 前記流動状態のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂は安定剤を含んだものである、請求項1または2に記載のノニオン性アルキレンオキシド系水溶性樹脂の製造方法。
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