JP2005232043A - 抗菌性歯科用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 口腔内に存在する細菌やウイルスに対し有効且つ安全に抗菌効果を得ることが可能で、安全性が高く刺激が無く更に長期間に亘って抗菌作用を示すことが可能であり、更にペーストや固形状の歯科用組成物に有利な抗菌性歯科用組成物を提供する。
【解決手段】 歯科用修復材や歯科用修復補助材や口腔衛生材などの歯科用組成物に、グレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末を含有させて抗菌性歯科用組成物とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、口腔内に存在する細菌やウイルスに対し有効且つ安全に抗菌効果を得ることが可能な歯科用セメント,歯科用印象材,歯磨剤などの各種抗菌性歯科用組成物に関するものである。
う蝕(むし歯)の治療は、削り取った患部に歯科用セメントや歯科用コンポジットレジンなどのレジン系材料を直接充填したり、口腔内側から歯科用セメントやレジン系の歯科用接着材などを介して金属を被せる方法が一般的である。
う蝕の治療は罹患した歯質を完全に除去し、罹患した歯質に存在していた細菌が原因となって治療後に再びう蝕を引き起こさないように歯科用セメントなどで元の歯牙と同じような形態に回復させることが求められている。しかしながら、う蝕は均一に進行するものではないため、充分な注意を払っていても罹患した歯質を完全に除去することが困難である。そのため、罹患した歯質を除去した後に残ってしまった罹患歯質部に接触させることで無菌化することができる抗菌性を有する歯科用修復材が使用されている。
抗菌性の歯科用修復材としてはチモール(例えば、特許文献1参照。)や、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(例えば、特許文献2参照。)などの抗菌作用を持つ化学物質を用いたものもあるが、例えばチモールには特異臭や刺激があり、その他のクロルヘキシジンなどの化学物質も同様に特異臭や生体への安全性に懸念が残る。また、銀,銅,亜鉛などの金属イオンを含有した金属化合物を用いたもの(例えば、特許文献3参照。)などもあるが、金属化合物も生体への安全性や変色などに問題がある。これらの問題は、歯科用セメントや歯科用コンポジットレジンなどのレジン系修復材に限らず、歯科用接着材,シーラント材,根管充填材などの歯科用修復材に於いても同様である。また、抗菌性の歯科用修復材は比較的長時間に亘って抗菌作用を維持することが要求されるが、前述したような抗菌性歯科用組成物では比較的長期間の効果を維持することが難しいという問題があった。
一方、義歯などの歯科用補綴物を作製する際に患者の歯や歯肉に歯科用印象材を押し付けて印象を採得し、これに石膏を注入し硬化させて石膏模型を作製し、この石膏模型上で歯科用補綴物が作製されている。このとき、歯科用印象材は患者の歯や歯肉に直接触れ、歯科用石膏もその印象材に直接触れるため患者が持つ細菌,ウイルスなどにより汚染される可能性が大きい。そのため歯科用印象材や歯科用石膏などを扱う歯科医師や歯科衛生士及び歯科技工士は、患者からの肝炎やエイズなどのウイルス感染症に細心の注意を払う必要がある。
歯科医院や歯科技工所に於いては、感染防止策として歯科用印象材に消毒薬や殺菌剤を噴霧することが行われている。消毒薬や殺菌剤としてはグルタルアルデヒド製剤、次亜塩素酸ナトリウム製剤、アルコール製剤、ポビドンヨード製剤、2,4,4−トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル系製剤などが用いられている。しかし、これらの化学物質も特異臭や生体への安全性に対する問題がある。
また、口腔内には前述したようなう蝕原生細菌やウイルスの他にも多くの種類の細菌などが生息しており、これらの細菌による歯周病などの口腔内疾患も大きな問題となっている。口腔内での細菌の繁殖を抑えるために、従来最も広く行われてきた方法は機械的清浄化法であり、例えば歯をブラッシングすることであった。この方法は個別的処置としてはかなり有効であるが、正確なブラッシング方法や生涯に亘って続ける口腔衛生習慣を身に付けさせることが難しいという問題があった。
そのため口腔内微生物を抑制するために、例えばポピドンヨード,臭化ドミフェン,塩化ベンゼトニウム,硫酸フラジオマイシン,アズレンスルホン酸ナトリウム,クロルヘキシジン,四級アンモニウム塩などの抗菌作用を持つ化学物質を水やエタノールなどを溶媒として含ませたマウスリンス、歯磨剤、ジェル、錠剤などが開発されている。しかしながら、これらの抗菌物質も生体への安全性や長期間に亘る抗菌作用の維持に問題があった。
特開2000−191423号公報 特表2001−524113号公報 特開平1−238508号公報
そこで本発明者らは前記従来の抗菌性を持つ歯科用組成物の欠点を解消するために、天然物から抽出した素材、例えば、緑茶,ウーロン茶抽出物,グレープフルーツ種子抽出物,ローズマリー,ウラジロガシの葉,カラシ類,竹エキス梅酢などが過去の経験上の実績により優れた抗菌作用を持つことに注目し、中でもグレープフルーツ種子抽出物や柿渋抽出物が効果と安全性の点から優れていることを究明した。しかし、グレープフルーツ種子抽出物や柿渋抽出物は水やエタノールなどを使用した抽出液であるためその取扱いが不便であり、ペーストや錠剤の形状を必要とする歯科用組成物に抗菌性を付与するために適用することが困難であると共に長期に亘る抗菌作用の維持にも問題があった。
そこで本発明は、安全性が高く刺激が無く更に長期間に亘って抗菌作用を示すことが可能であり、更にペーストや固形状の歯科用組成物に有利な抗菌性歯科用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、長期的な抗菌作用の維持やペースト又は固形状の抗菌性歯科用組成物を得るために安全性に優れた前記グレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物をシクロデキストリンに包含した粉末として含有させることに着目して本発明に係る抗菌性歯科用組成物を完成したのである。
即ち本発明は、グレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末を含有することを特徴とする抗菌性歯科用組成物であり、この抗菌性歯科用組成物は歯科用修復材であったり、歯科用修復補助材であったり、また口腔衛生材であることが好ましいのである。
本発明に係る抗菌性口腔用組成物は、安全性が高く刺激が無く更に長期間に亘って抗菌作用を示すことが可能であり、更にペーストや固形状の歯科用組成物に有利な抗菌性歯科用組成物である。
本発明で用いるグレープフルーツ種子抽出物は、ミカン科グレープフルーツ(Citrus paradisi MACF.)の種子より、柿渋抽出物はカキノキ(Diospyros kaki Thunberg Ebenaceae)の果実より水やエタノールなどで抽出して得られたものであり、共に主成分は脂肪酸及びフラボノイドである。グレープフルーツ種子抽出物及び柿渋抽出物は、それぞれが優れた抗菌効果を持ち人体に対して安全性も高い。グレープフルーツ種子抽出物は一般細菌,真菌,緑膿菌そして連鎖球菌などのう蝕原生細菌に対して有効であり、柿渋抽出物の主成分である縮合型カテキンはグラム陽性菌,グラム陰性菌,真菌などに対しても優れた抗菌作用を有し、これは主としてフラボノイド類のフェノール効果や脂肪酸の静電気的効果であると考えられている。そして、共にミュータンス菌に対して優れた増殖抑止作用が期待できる。
このようにグレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物はそれぞれ単独でシクロデキストリンに包含された粉末として利用可能であるが、同時に用いることでグレープフルーツ種子抽出物の抗菌力だけでは歯垢内部に存在する菌を充分に殺せない場合に於いて、柿渋抽出物の他のカテキン類と比較しても歯垢のタンパク質との結合が速い特徴を生かして歯垢分解作用が併用されることにより、歯垢内部に対しても抗菌効果を発揮できるという利点がある。
グレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末の作製方法は、従来からの製法を用いることができる。一般的にはグレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物をシクロデキストリン含有液と混合後、含有液をフリーズドライ,スプレー噴霧などにより乾燥させる方法を用いる。
本発明で用いるシクロデキストリンは、従来のシクロデキストリンを用いた包含技術に用いられているものを使用可能であり、例えばα−シクロデキストリン,β−シクロデキストリン,γ−シクロデキストリン,及びこれらのシクロデキストリンに対して1〜4個のブドウ糖分子が分岐としてα−1−6結合した分岐シクロデキストリンなどのシクロデキストリン誘導体を用いることができる。
本発明に係る抗菌性歯科用組成物は、従来の歯科に於いて用いられて来た各種の歯科用組成物に適用可能であり、具体的には、歯科用修復材や歯科用修復補助材や歯磨剤などの予防用の口腔衛生材として有効である。
更に詳細には、具体的には歯科用修復材としては、義歯床用レジン,義歯用裏装材用レジン,義歯延長用レジン,スプリントやファセット観察用の矯正用レジンなどの義歯床材料、義歯安定材,合着・接着・充填・裏装・仮封用の歯科用セメント又は歯科用レジン材料,合着・接着・充填・裏装・仮封用の歯科用セメントと合着・接着・充填・裏装・仮封用の歯科用レジン材料の混合材料,根管充填用のガタパーチャポイントなどの根管充填材料などから成る口腔内に直接用いられ比較的長期間使用される歯科用修復材を例示することができる。
また、歯科用修復補助材としては、アルギン酸塩印象材,シリコン印象材などのラバー系精密印象材,寒天印象材,モデリングコンパウンドやマウスプロテクター,各種義歯床適合診査材や床過圧診査材,印象材用接着材,歯科用石膏,歯科用耐火埋没材などから成る一時的若しくは比較的短期間に口腔内と接触する口腔内の診断材や歯科用補綴物の作製に用いる歯科用修復補助材を例示することができる。
更に歯科用組成物として前述の各種歯科材料の他に、ペースト,ジェル,トローチ,錠剤などの形態を示す歯磨剤,マウスリンス,う蝕予防材など口腔洗浄に関する口腔衛生材が例示できる。
本発明に係る抗菌性歯科用組成物は、前述したような従来の歯科用組成物にそのまま配合すると最も簡単に作製することが可能であり、粉と水溶液から構成される歯科用セメントや粉末のアルギン酸塩印象材,義歯安定材などの組成物の場合には粉に対してグレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末を0.01〜10重量%配合することが好ましい。0.01重量%未満では抗菌の効果が得られ難く、10重量%を超えて配合すると本体の歯科用組成物の機能を損なう虞がある。
同様に歯科用組成物がペースト,ジェル又はトローチ,錠剤などの固形状である場合には、組成物全体に対してグレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物をシクロデキストリンに包含された粉末を0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%配合することが好ましい。0.01重量%未満では抗菌の効果が得られ難く、40重量%を超えて配合すると本体の歯科用組成物の機能を損なう虞がある。
本発明で使用するグレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物としては、グレープフルーツ種子抽出物として商品名Desfan−100(輸入元:ミツバ貿易),柿渋抽出物として商品名パンシルBA(リリース科学工業株式会社製)を例示することができ、グレープフルーツ種子抽出物と柿渋抽出物とを同時に配合する場合には、その割合を重量比で柿渋抽出物:グレープフルーツ種子抽出物を3:7〜7:3となるように混合してシクロデキストリンに包含された粉末とするか、柿渋抽出物をシクロデキストリンに包含された粉末とグレープフルーツ種子抽出物をシクロデキストリンに包含された粉末とを重量比で3:7〜7:3となるように混合して使用することがが好ましい。この配合であればグレープフルーツ種子抽出物の抗菌力だけでは歯垢内部に存在する菌を充分に殺せない場合に柿渋抽出物の他のカテキン類と比較しても歯垢のタンパク質との結合が速い特徴を生かして歯垢分解作用が併用されることにより、歯垢内部に対しても抗菌効果期待できる。
以下に本発明を実施例を示して具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
<グレープフルーツ種子抽出物及び柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末(粉末A)>
分岐α−シクロデキストリン,分岐β−シクロデキストリン,分岐γ−シクロデキストリンを主成分とする市販のシクロデキストリン(商品名:イソエリートP,塩水港精糖社製)40重量%、グレープフルーツ種子抽出物(商品名:Desfan−100,ミツバ貿易製)20重量%、柿渋抽出物(商品名:パンシルBA,リリース科学工業社製)20重量%と水20重量%とを混合し、フリーズドライにより粉末化したものを粉末Aとした。
<グレープフルーツ種子抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末(粉末B)>
α−シクロデキストリンを主成分とする市販のシクロデキストリン(商品名:K−100,塩水港精糖社製)30重量%、グレープフルーツ種子抽出物(商品名:Desfan−100,ミツバ貿易製)20重量%と水50重量%とを混合し、スプレードライにより粉末化したものを粉末Bとした。
<柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末(粉末C)>
α−シクロデキストリンを主成分とする市販のシクロデキストリン(商品名:K−100,塩水港精糖社製)30重量%、柿渋抽出物(商品名:パンシルBA,リリース科学工業社製)20重量%と水50重量%とを混合し、フリーズドライにより粉末化したものを粉末Cとした。
実施例1
市販のグラスアイオノマーセメント粉末(商品名:フジI粉,ジーシー社製)に対し、粉末Aを2重量%混合し充分に攪拌して抗菌性歯科用セメントを作製した。これに専用液(商品名:フジI液,ジーシー社製)を規定量加え練和し、直径6mm×高さ6mmの円筒形型枠に入れて硬化させた。試験体を型から取り出して後述する抗菌性試験に用いた。
実施例2
市販のアルギン酸塩歯科用印象材(商品名:アローマファインDFIII,ジーシー社製)の粉末に対し、粉末Aを7重量%混合し充分に攪拌して抗菌性歯科用印象材を作製した。これに水を規定量加え練和し、直径6mm×高さ6mmの円筒形型枠に入れてゲル化させた。試験体を型から取り出して後述する抗菌性試験に用いた。
実施例3
市販の義歯用裏装材用レジン(商品名:マイルドリベロン粉,ジーシー社製)に対し、粉末Aを6重量%混合し充分に攪拌して抗菌性義歯用裏装材用レジンを作製した。これに専用液(商品名:マイルドリベロン液,ジーシー社製)を規定量加え練和し、直径6mm×高さ6mmの円筒形型枠に入れて硬化させた。試験体を型から取り出して後述する抗菌性試験に用いた。
実施例4
重量平均分子量が20,000のポリアクリル酸 35重量%
蒸留水 37重量%
平均粒径10μmの微粉石英粉末100gに対してγ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン10%のエチルアルコール溶液
20gを加え乳鉢中で充分攪拌した後、乾燥器を用いて110℃で
2時間乾燥したシラン処理石英粉末 27重量%
カンファーキノン 1重量%
上記の物質を混合して第1ペーストとした。
市販のグラスアイオノマーセメント(商品名:フジI粉,ジーシー社製)61重量%
ヒドロキシエチルメタクリレート 8重量%
2−ヒドロキシ,1−アクリロキシ,3−メタクリロキシプロパン 8重量%
ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリエチルヘキサ
メチレンジカルバメート 17重量%
グリシジルメタクリレート 2重量%
粉末B 2重量%
粉末C 2重量%
上記の物質を混合して第2ペーストとし、第1ペーストとセットで抗菌性ペースト状歯科用グラスアイオノマーセメントとした。
第1ペーストを0.5gと第2ペーストを2.5gとを練和紙とスパチュラとを用いて通常のグラスアイオノマーセメントと同様に10秒間練和し直径6mm×高さ6mmの円筒形型枠に入れて可視光線照射器(商品名:ニューライトVL−II、ジーシー社製)にて両側から60秒間光照射して硬化させた。試験体を型から取り出して後述する抗菌性試験に用いた。
実施例5
トランスポリイソプレン 5重量%
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(軟化点:60℃) 0.1重量%
酸化亜鉛 93.8重量%
粉末B 1.1重量%
上記各成分を秤量しニーダーを用いて充分に混練して抗菌性歯科用根管充填材を作製した。この組成物を130℃にて軟化後、直径6mm×高さ6mmの円筒形型枠に注入し、上下を金属板にて圧接,冷却して整形した。試験体を型から取り出して後述する抗菌性試験に用いた。
実施例6
市販の歯科用石膏(商品名:ニュープラストーン,ジーシー社製)の粉末に対し、粉末Bを3重量%及び粉末Cを2重量%混合し充分に攪拌して抗菌性歯科用石膏を作製した。これに水を規定量加え練和し、直径6mm×高さ6mmの円筒形型枠に入れて硬化させた。試験体を型から取り出して後述する抗菌性試験に用いた。
実施例7
炭酸カルシウム 40重量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5重量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0重量%
グリセリン 8重量%
ポリエチレングリコール 29.3重量%
ソルビット 20重量%
粉末A 0.2重量%
上記各成分を秤量し充分に混練して抗菌性歯磨剤を作製した。この組成物を直径6mm×高さ6mmの円筒形型枠に充填し、試験体を型から取り出さずに後述する抗菌性試験に用いた。
実施例8,9
ラクトース 32重量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 10重量%
結晶セルロース 26重量%
ポリエチレングリコール 8重量%
ステアリン酸マグネシウム 4重量%
キシリトール 18重量%
粉末A(又は粉末B) 2重量%
上記各成分を秤量し混合し単発打錠機(商品名:2B型、菊水製作所)を用い、上記の成分10gを硬度0.5kgで成形した。更に錠剤を40℃、相対湿度75%で12時間エージングして抗菌作用を持つ口腔内抗菌用錠剤としてタブレット状の口腔用組成物を調整した。同様に粉末Aに代えて粉末Bを使用したものを実施例9とした。後述する試験により口腔内細菌の除去性を評価した。
実施例10,11
マンニトール 35重量%
カルボキシメチルセルロースカルシウム 10重量%
ポリエチレングリコール 8重量%
シュガーエステル 2重量%
キシリトール 18重量%
炭酸水素ナトリウム 15重量%
酒石酸 10重量%
粉末A(又は粉末C) 2重量%
上記各成分を秤量し混合し単発打錠機(商品名:2B型、菊水製作所)を用い、上記の成分10gを硬度0.5kgで成形し抗菌作用を持つ口腔内抗菌用錠剤としてタブレット状の口腔用組成物を調整した。同様に粉末Aに代えて粉末Cを使用したものを実施例11とした。後述する試験により口腔内細菌の除去性を評価した。
比較例
実施例の1〜3及び6のグレープフルーツ種子抽出物及び柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末を含まないものをそれぞれ比較例1〜3及び6とした。比較例4は実施例4の粉末B及びCをグリシジルメタクリレートに代えたもの、比較例5は実施例5の粉末Bを酸化亜鉛に代えたもの、比較例7は実施例7の粉末Aをソルビットに代えたもの、比較例8〜11は実施例8〜11の粉末A〜Cをキシリトールに代えたものを用いた。
<抗菌性試験>
実施例及び比較例の1〜7として記載した歯科用組成物の抗菌性試験を下記の要領で実施した。
S.Mutans ATCC25175株及びS.Sobrinus ATCC33475株のグリセロールストック100μLをそれぞれ約20mLのBHI液体培地に植菌し、37℃にて一晩静置培養した。この前培養液から約2×107cells/mLのS.Mutans ATCC25175懸濁液及びS.Sobrinus ATCC33475懸濁液を調整し、100μLをMSB寒天培地に塗抹した。細菌の懸濁液を塗抹した培地上に実施例1の抗菌性歯科用組成物2セットをそれぞれ置いた。次に比較例1も同様に細菌の懸濁を塗抹したMBS寒天培地上に濾紙を挟んで2セット置いた。実施例2〜7及び比較例2〜7も同様に試験を行った。
各セットを37℃にて2日間培養し、形成された阻止円の大きさ(各セットの2つのうち大きな方の阻止円)を比較した。各実施例・比較例の抗菌性を阻止円の大きさから抗菌作用の傾向を下記のように評価し、結果を表1に纏めて示す。
A…比較例に対して阻止円が大きく、大いに抗菌効果あり
B…比較例に対して阻止円が若干大きく、抗菌効果ありと考えられる。
C…阻止円が殆どなく抗菌効果が期待できない
Figure 2005232043
実施例8〜11及び比較例8〜11として記載した歯科用組成物の抗菌性試験を下記の要領で実施した。
唾液中のミュータンス連鎖球菌の数をMSB(ミティスサリバリウスバシトラシン培地)を用いて以下の方法で測定した。被験者から採取した唾液を無菌的条件でPBSを用いて希釈し、50μLを培地に塗布し、37℃、嫌気条件下で2日間培養を行い、コロニー数の計測から検査前のミュータンス連鎖球菌量(CFU/mL)を算出する。
実施例8のタブレットを被験者に噛んでもらい、直後に採取した唾液中のミュータンス連鎖菌数を前記方法と同様の方法にて算出し検査前のミュータンス連鎖球菌との比をパーセントで表2に示す。尚、充分に時間をあけ前記方法と同様の方法にて実施例9〜11,比較例8〜11の検査前後のミュータンス連鎖球菌数の比を求めた。
Figure 2005232043
表1から、実施例1〜7の抗菌性歯科用組成物は抗菌効果が確認されたが、比較例1〜7の歯科用組成物は抗菌効果が確認できず、また表2から実施例8〜11の抗菌性歯科用組成物は抗菌効果が確認されたが、比較例8〜11の歯科用組成物は抗菌効果が確認できなかった。
従って、本発明に係る抗菌性歯科用組成物は抗菌効果は抗菌効果を有する歯科用組成物として有効で、歯科分野に貢献する価値の高いものであることが確認できた。

Claims (7)

  1. グレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末を含有することを特徴とする抗菌性歯科用組成物。
  2. 抗菌性歯科用組成物が歯科用修復材である請求項1に記載の抗菌性歯科用組成物。
  3. 抗菌性歯科用組成物が歯科用修復補助材である請求項1に記載の抗菌性歯科用組成物。
  4. 抗菌性歯科用組成物が口腔衛生材である請求項1に記載の抗菌性歯科用組成物。
  5. 抗菌性歯科用組成物が粉と水溶液から構成される組成物の場合、粉に対してグレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末が0.01〜10重量%配合されている請求項1から4までのいずれか1項に抗菌性記載の歯科用組成物。
  6. 抗菌性歯科用組成物がペースト,ジェル又はトローチ,錠剤などの固形状である組成物の場合、グレープフルーツ種子抽出物及び/又は柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末が0.01〜40重量%配合されている請求項1から4までのいずれか1項に抗菌性記載の歯科用組成物。
  7. グレープフルーツ種子抽出物及び柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末、又はグレープフルーツ種子抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末と柿渋抽出物がシクロデキストリンに包含された粉末とが含有されている場合に、グレープフルーツ種子抽出物と柿渋抽出物とが重量比で柿渋抽出物:グレープフルーツ種子抽出物を3:7〜7:3の割合で含有されている請求項1から6までのいずれか1項に抗菌性記載の歯科用組成物。
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