JP2005231742A - 製品パッケージ用カバーおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

【目的】 酸素不透過性の平らであり、包装機械の作動に支障を来さないカバーを提供すること。
【構成】 本発明のカバーは特に、ミルク、ヨーグルト、ジュースおよびフルーツシロップ、デザート等の食品の一回分のパッケージ、または薬品のパッケージに適している。カバーは下面にポリマーコーティング層６を備えた紙５により形成されており、ポリマーコーティング層は、外見的にはポリマー結合剤層および酸素遮断性の穴が開かない支持層であるヒートシール可能な層を包含し、パッケージを開けた時カバーの引きはがしを可能にする。本発明の重要な特徴は、上述したように、支持層が高結晶度を有するポリマー成分および非晶質ポリマー成分を含み、それによりカバーの巻き上がりが阻止されることである。カバー４の製造はポリマー層６の同時押し出しで達成される。
【選択図】 図２

Description

本発明は、製品パッケージの口にヒートシールされ、パッケージを開封する時、パッケージからはがされるカバーであって、紙層、その下の酸素不透過性ポリマー支持層、および密封した後カバーを引き離すことを可能にする、最下部に設けられたヒートシールされたポリマー層を包含するカバーに関する。

ヒートシールされた引き外し可能なカバーは、特に、消費者用および一回分パッケージに用いられている。この方法で包装される典型的な製品は、ミルク、酸全乳、ヨーグルト、水、ジュースおよびフルーツシロップのような流動体食品、デザート、アイスクリーム、バター、マーガリンおよびインスタント製品等がある。また、薬品などの乾燥した粉状のまたは粒状の製品およびタブレットも、同様に包装されている。パッケージそのものは、典型的には、ポリプロピレンまたはポリスチレン等のプラスチック、ポリエチレンのようなプラスチックでコーティングされた厚紙、またはガラスである。カバーの材料としては、パッケージの口にワニスで密封されたアルミホイルが最も一般的に用いられている。

アルミニウムのカバーの重要な利点は、密封性と衛生性である。カバーは、空気中の酸素がパッケージ内に侵入し製品を汚染するのを防ぎ、同時にパッケージから香りが逃げるのを防ぐ。しかしながら、アルミニウムカバーに関する問題点は、破れやすく穴があく傾向があるということである。接着した箇所からカバー全体を取り外すことは難しい。さらに、アルミニウムカバーの製造は多くのエネルギーを消費し、かつカバーは廃棄場で分解しない。

上記問題を解決するために、カバーのアルミホイルを紙に取り替える努力がなされてきた。紙カバーに酸素遮断性を供するために、紙の、パッケージの口に面する側にポリマー層が備え付けられている。紙カバーはアルミニウムカバーよりも簡単にパッケージの口から取り外すことが可能であるし、受けた衝撃によりアルミニウムカバー程簡単に穴が開くことはない。しかし、紙カバーは酸素不透過性が十分でないことが問題であった。しかし、この点において利用に適する設計が、フィンランド特許出願第９１４２６８号に開示されている。すなわち、ヒートシール可能で引き外し可能な紙カバーであって、紙の下のコーティング層という形態でのポリマー結合剤層、酸素の透過を防ぐポリマー支持層、第２のポリマー結合剤層、およびヒートシール可能なポリマー層を有している紙カバーである。支持層のポリマー材料は、エチレンビニルアルコールコポリマー（EVOH)、ポリエチレンテレフタレート（PET)またはポリアミド（PA)であり得る。EVOH層と相溶性を有する変性ポリエチレン、PET層と相溶性を有するグラフトポリエチレンおよびPA層と相溶性を有するエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマーが結合剤として記載されている。ヒートシール層の材質として、接着剤として作用する、メタクリル酸およびエチレンビニルアセテートで変性されたポリエチレンと、剥離剤として作用するエチレンメタクリル酸との混合物が紹介されている。上記特許出願が教示するように、紙に塗布されるポリマーコーティング層は押し出しにより製造される。

しかし、フィンランド特許出願第９１４２６８号による、パッケージの引き外し可能な紙カバーの欠点は、押し出されたポリマー層の収縮に沿って紙の上のカバー材料が巻き上がる傾向があることである。巻き上がるカバーでは、吸い込みカップがカバーの山から一度に１つのカバーをパッケージの口まで運んで口を閉じる包装機械において問題が生じる。機械の作動の都合上、カバーは吸い込みカップが一度に１つのカバーのみを扱うことが可能であるように平らでなけらばならず、且つ、カバーは正確にパッケージの口になければならない。これに係わる問題は、特に空気中に湿気が多いために巻き上がり問題が増加する傾向にある乳製品の包装に生じる。

本発明の目的は、平らであり、従って包装機械の作動に支障を来さないカバーを製造することにより、出願第９１４２６８号に開示されたパッケージの引き外し可能なカバーに生じる問題を排除することである。本発明によるヒートシールされパッケージから引き外される紙カバーは、紙層の下の酸素遮断支持層が、結晶度の高いポリマー成分と非晶質ポリマー成分とを混合することにより製造されることを特徴とする。

本発明によるカバーは、製品パッケージの口にヒートシールされ、該パッケージを開封する時、パッケージから取り外されるカバーであって、紙層、酸素を遮断するポリマー支持層、および最下部に設けられた、密封後該カバーを引きはがすことを可能にする、ポリマーヒートシール層を包含し、該支持層が高結晶度を有するポリマー成分と非晶質ポリマー成分とを混合することにより設けられていることを特徴とするカバーであって、これにより上記目的が達成される。

より好適には、前記支持層が、結晶性ポリマーの形態をした、ポリアミド（PA)、ポリエチレンテレフタレート（PET)、ポリプロピレン（PP)、またはエチルビニルアルコールコポリマー（EVOH)を含む。

より好適には、前記支持層が、非晶質ポリマーとして、ポリアミド（PA)、エチレンメタクリル酸コポリマー（EMA)のようなコポリマー、または非晶質ポリエチレンテレフタレート（APET)を含む。

より好適には、前記支持層が結晶性ポリアミドおよび非晶質ポリアミドを含有する。

より好適には、前記支持層が結晶性ポリアミドおよび非晶質エチレンメタクリル酸コポリマーを含有する。

より好適には、前記支持層において、２０〜９０重量％、好ましくは４０〜９０重量％の高結晶度のポリマー成分と、１０〜８０重量％、好ましくは２０〜６０重量％の非晶質ポリマー成分とが混合される。

より好適には、前記支持層と前記ヒートシール層との間にポリマー結合剤層が設けられている。

より好適には、前記ヒートシール層が、剥離剤として作用する、５〜６０重量％、好ましくは約２０重量％のスチレン変性エチレンコポリマーと、接着剤として作用する、４０〜９５重量％、好ましくは約８０重量％のエチレンコポリマーを混合して含む。

本発明によるカバーは、食品、薬品または化粧品のパッケージ用カバーとして使用される。

本発明によるカバーの製造方法は、ヒートシールされ、かつ引き剥がし可能なカバーの製造方法であって、前記支持層、潜在的結合剤層および前記ヒートシール層のポリマー材料が連続的なフィルムウェブの形態で押し出され、互いに対向するように配置され、紙層に運ばれ、そして紙層に接着されることを特徴とする。

本発明によれば、巻き上がり問題は、カバーの支持層に用いられる結晶性ポリマーに関するということがわかった。そのようなポリマーは機械的に安定しており、カバーに要求される非破裂特性を提供する。しかし、押し出し工程で、ポリマーは溶融状態になり、その後再結晶化状態になり、ポリマーは収縮し、これが、考えられるように、巻き上がりの原因となる。一方、非晶質ポリマーは結晶化せず紙を巻き上がらせることもないが、それを使用すれば機械的に弱くなることが問題である。しかし、本発明によれば、高度に結晶化されたポリマーと非晶質ポリマーを混合して用いることにより問題が解決する。そうすることにより、機械的に強くかつ巻き上がらないカバーになる。本発明のカバーは、包装機械で申し分なく作動し、広範囲の温度でヒートシールでき、簡単に穴が開かず、たとえ密封性および接着性が最適以上に高いとしても、開いた時に破れないで取り外すことができる。

結晶化は複数のいろいろな脂肪族ポリマーおよび環状構造を有するポリマーの両方において起こることは公知である。高い結晶性を有するポリマー成分というのは、通常、材料によって、結晶度が約３０〜６０％の範囲、好ましくは約４０〜５０％で変化するポリマー材料をいう。

本発明のカバーにおいて、ポリアミド（PA)、ポリエチレンテレフタレート（PET)、ポリプロピレン（PP)またはエチルビニルアルコールコポリマー（EVOH)が、酸素遮断支持層の結晶性ポリマーとして用いられ得る。非晶質ポリマーとして、ポリアミド（PA)、エチレンメタクリル酸コポリマー（EMA)または非晶質ポリエチレンテレフタレート(APET)等のコポリマーが用いられ得る。本発明の好適な実施態様によれば、支持層は結晶性ポリアミドと非晶質ポリアミドとの混合物を包含する。また、結晶性ポリアミドと非晶質エチレンメタクリル酸コポリマーとの混合物が非常に適していることがわかった。支持層のポリマー成分の混合率は、結晶性ポリマー成分が２０〜９０重量％であり得、好ましくは、４０〜８０重量％、最も好ましくは約７０重量％であり、非晶質ポリマー成分が１０〜８０重量％、好ましくは２０〜６０重量％、最も好ましくは約３０重量％である。

本発明のカバーにおいて、層の中で取り外し手段として作用するスチレン変性エチレンコポリマーは、好ましくはカバーのヒートシールされた層のポリマー材料として用いられ得る。上記コポリマーの第２のモノマーとして、エチレンに加え、メタクリル酸またはブチルアクリレートが用いられ得る。ヒートシールされた層の適切な組成は、スチレン変性エチレンコポリマーが５〜６０重量％、好ましくは約２０重量％であり、接着剤として作用するエチレンコポリマーは４０〜９５重量％、好ましくは約８０重量％である。混合物の利点はヒートシールの温度範囲が広いこと、つまり約１１０℃から２２０℃であること、および様々な包装材への接着性である。

支持層とヒートシール層とを接着するために、用いられた材料によっては、別のポリマー結合剤層がそれらの間に必要になり得る。支持層のPA/PAまたはPA/EMA混合物およびヒートシール層のスチレン変性エチレンコポリマーと相溶性を有する結合剤として、マレイン酸無水物で変性されたエチレンコポリマーが列記され得る。またはフィンランド特許出願第９１４２６８号に開示された結合剤および上述した結合剤が結合剤層に用いられ得る。

本発明はまた、上記のようなヒートシールされ引き外し可能な、紙をベースにしたカバーの、食品、薬品または化粧品パッケージにおける使用、およびその製造方法に関する。製造方法は、支持層、潜在的結合剤層およびヒートシール層のポリマー材料が連続的なフィルムウェブとして押し出され、互いに対向し、接着される紙層に運ばれることを特徴とする。

以下、本発明の詳細について添付の図面を参照してその実施例を説明する。

図１は、ヨーグルトのような流動体食品用の使い捨て一回分パッケージ１を示す図である。パッケージ１は、容器２およびその口にヒートシールされハンドル３を引っ張ることにより開かれるカバー４を有する。

容器２は、たとえばポリプロピレンまたはポリスチレンのような、食品パッケージに一般的に用いられている、いかなるプラスチックによっても、また、たとえば低密度ポリスチレンで覆われた厚紙によっても形成され得る。容器材の密封性は少なくともパッケージのカバーの密封性と同じであるのが好ましい。

図２に示すように、パッケージのヒートシールされたカバー４は、紙層５およびその上にパッケージの内側にあるように設けられた、３つの積層されたポリマー層を有するポリマー積層体６を有し、その最も内側は容器２端部とカバー４との間にヒートシール７が形成されている。ヒートシール性に加えて、ポリマーコーティング６は、カバーが簡単に開くことを可能にし、かつ包装された製品８の品質低下を防ぐ密封性を可能にしている。

図３は、カバー紙５の内部コーティング６として用いられるポリマー層を示す。紙５に最も近いのは支持層９であり、支持層９は酸素の透過を防ぐ穴の開かないポリマー材料でできており、その下にはポリマー結合剤層１０、および最下部にはヒートシール７を形成するポリマー層１１が位置している。ポリマー層１１はヒートシールを可能にする接着剤、およびヒートシール部分で破れることなくカバーの開封を可能にする剥離剤を含むポリマー混合物により形成されるのが好ましい。カバー紙５のポリマー層９から１１の反対の表面上部には、印刷性を向上させるためのミネラルコーティング１２が設けられている。

本発明が教示するように、酸素遮断性を有し穴のあかない支持層９は、ポリアミドのような結晶性ポリマー、およびポリアミドまたはエチレンメタクリル酸コポリマーのような非晶質ポリマーを混合物として含有している。ヒートシール層１１は接着剤として作用するエチレンコポリマー、および剥離剤として用いられるスチレン変性エチレンコポリマーを含有し得る。結合剤層１０の材料として、マレイン酸無水物により変性されたポリエチレンが用いられ得る。しかし、上述したような他の材料の組み合わせも可能である。

本発明による製品パッケージのカバーの製造は、図４に示すような連続工程として行われ、紙５の上にコロナ放電処理を施し、ウェブとして紙をロール１４と１５との間に送り、同時にそこへ、カバーの重なっているポリマー層９〜１１を、ノズル１６から送る。ノズル１６はコンテナ１７〜１９と連動しており、コンテナ１８から結合剤が、コンテナ１７から支持層のためのポリマー混合物が、コンテナ１９からはヒートシールされるポリマーが、連続ウェブ９〜１１として約１１０℃から２２０℃で溶融状態でノズルの中へ供給される。ポリマー材料の量は、ウェブ９においては約２０g/m²、ウェブ１０においては約５g/m²、ウェブ１１においては約２０g/m²、紙５の重量は約４０から８０g/m²であり得る。しかし、ヒートシールの幅によっては、たとえばウェブ１１において、その量は変わり得る（シールが狭ければ、密封を確実にするために材料層を厚くする必要がある。）。図４によれば、溶融したポリマーウェブ９〜１１が分割機２０に送られ、そこで互いに対向するように配置され、その後ロール１４と１５との間のギャップにおいて紙５の上に一度に接着される。この操作によりコーティングされた紙ウェブが形成され、そこから本発明のカバーが、パッケージの内容物の充填およびヒートシール工程の前、またはそれと共に切断され得る。

本発明の様々な実施態様は上記に示したものに限られるものではなく、添付のクレームの範囲内で改変し得ることは当業者には自明である。用いられるポリマー材料によっては、紙層５と支持層９との間に別の結合剤層が必要であり得、あるいは、支持層９とヒートシール層１１との間の結合剤層１０を省くこともあり得る。そうすれば、押し出される層は２層に減少する。パッケージの形状もまた変わり得る。例えば、食用脂のパッケージにおいて、本発明のカバーは容器の内部保護カバー、および最初にパッケージを開ける時に取り外す、分離した最上部の開閉カバーとして作用し得る。本発明のカバーは、回して開閉する蓋を装着されたプラスチックまたはガラス缶においてもまた、同様の保護カバーとして作用し得る。パッケージ内に充填される製品はミルク、酸全乳、ヨーグルト、ジュースおよびフルーツシロップ、デザート、アイスクリーム、バター、マーガリン等の様々な食品、ならびに加工食品、薬品、化粧品およびそれらの同等物を含み得る。

上記したように、本発明によれば、酸素不透過性の平らであり、包装機械の作動に支障を来さないカバーを提供することができる。

本発明によるカバーが装着されたヨーグルトパッケージを示す斜視図。 図１に示すパッケージのシール部とパッケージを閉じるカバーとの断面図。 パッケージのカバーの一部の拡大断面図。 カバー材の製造工程の模式図。

符号の説明

１ 製品パッケージ
４ カバー
５ 紙層
９ 支持層
１０ 結合剤層
１１ ヒートシール層

Claims (9)

1. 製品パッケージ（１）の口にヒートシールされ、該パッケージを開封する時にパッケージから取り外されるカバーであって、紙層（５）、酸素を遮断するポリマー支持層（９）、および最下部に設けられた、密封後該カバーを引きはがすことを可能にするポリマーヒートシール層（１１）を包含し、該支持層（９）が高結晶度を有するポリマー成分と非晶質ポリマー成分とを混合することにより設けられており、該高結晶度を有するポリマー成分が、ポリアミド（ＰＡ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリプロピレン（ＰＰ）およびエチルビニルアルコールコポリマー（ＥＶＯＨ）からなる群から選択されることを特徴とするカバー。
2. 前記支持層（９）が、非晶質ポリマーとして、ポリアミド（ＰＡ）、エチレンメタクリル酸コポリマー（ＥＭＡ）のようなコポリマー、または非晶質ポリエチレンテレフタレート（ＡＰＥＴ）を含むことを特徴とする、請求項１に記載のカバー。
3. 前記支持層（９）が結晶性ポリアミドおよび非晶質ポリアミドを含有することを特徴とする、請求項２に記載のカバー。
4. 前記支持層（９）が結晶性ポリアミドおよび非晶質エチレンメタクリル酸コポリマーを含有することを特徴とする、請求項２に記載のカバー。
5. 前記支持層（９）において、２０〜９０重量％、好ましくは４０〜９０重量％の高結晶度のポリマー成分と、１０〜８０重量％、好ましくは２０〜６０重量％の非晶質ポリマー成分とが混合されたことを特徴とする、請求項１から４のいずれかに記載のカバー。
6. 前記支持層（９）と前記ヒートシール層（１１）との間にポリマー結合剤層（１０）が設けられていることを特徴とする、請求項１から５のいずれかに記載のカバー。
7. 前記ヒートシール層（１１）が、剥離剤として作用する、５〜６０重量％、好ましくは約２０重量％のスチレン変性エチレンコポリマーと、接着剤として作用する、４０〜９５重量％、好ましくは約８０重量％のエチレンコポリマーを混合して含むことを特徴とする、請求項１から６のいずれかに記載のカバー。
8. 食品、薬品または化粧品のパッケージ用カバーとしての、請求項１から７のいずれかに記載のカバーの使用。
9. ヒートシールされ、かつ引きはがし可能な、請求項１から８のいずれかに記載のカバーの製造方法であって、前記支持層（９）、潜在的結合剤層（１０）、および、前記ヒートシール層（１１）のポリマー材料が連続的なフィルムウェブの形態で押し出され、互いに対向するように配置され、そして紙層（５）上に運ばれ、紙層（５）に接着されることを特徴とするカバーの製造方法。

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