JP2005230766A - 自動車一時保護材の被覆方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エアインテークがフードにある自動車に対して行う一時保護材の被覆方法においてフィルム材料に無駄がでず、またフィルムによるシワが生じず、したがって雨水のスジが出ない一時保護材の被覆方法を提供する。
【解決手段】 自動車の保護部位に一時保護材を覆う被覆方法において、水平面部位であるルーフ、フード、トランク、および縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等を一時保護材フィルムで覆い、エアインテークがフードにある場合は、前記エアインテークおよびその周囲は液状の一時保護材で塗布するようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車全面に一時保護材を被覆する最適な被覆方法に関するものである。
一時保護材はこれまでもいろいろの分野で用いられてきており、その1つに、例えば、自動車製造工場において、完成した自動車を出荷する場合に、自動車の塗膜を雨水,鉄粉,花粉,鳥糞等の汚染から保護し、品質の低下を防ぐ目的で塗膜表面上に保護膜を形成するのにも使用されている。
自動車の塗膜対象としては、フード、ルーフ、トランクに限らず、垂直面のバンパー、フェンダー、ドア等が挙げられる。
自動車一時保護材を被覆する被覆方法として、大きく、(1)一時保護材のフイルムを貼る方法(以後、「フィルムタイプ」という。)と(2)液体状の一時保護材を塗布する方法(以後、「リキッドタイプ」という。)がある。
フィルムタイプは、塩化ビニール系樹脂製のフィルムを塗布膜表面に貼設するもので、車体の保護すべき塗布表面であるボンネット、ルーフ、トランク、フェンダ等の形状に合せて保護フィルムをカットして貼り付けるため、フィルムにほとんど無駄がでず、経済性の点から好ましかった。
一方、(2)のリキッドタイプは、自動車の塗膜表面に剥離可能な水性塗料を噴射スプレーや塗布ローラ、ハケを使って塗布し、その後乾燥させて剥離可能な保護膜を形成するもので、スプレー塗布は起伏の大きい表面にも均一に塗布できる点で作業効率がよく、ローラを使った塗布は平らな表面で威力を発揮し、十分な膜厚の均一な塗布が効率良く行え、ハケを使った塗布は起伏の大きい表面でも平らな表面でも塗布が行える、といった長所を有する。
ところが、スプレー塗布ではグリル、ウインド等に近い箇所ではスプレーダストの飛散によって不具合が生じ、ローラを使った塗布では起伏の大きい表面には塗布ができず、ハケを使った塗布では均一な厚さの塗布が行えない、といった欠点をそれぞれ有していた。
また、ボンネット、ルーフ、トランクといった部位にはフイルムを貼り、その外周から縦面には一時保護材の塗料をローラ、ハケ等のダストを伴わない塗布方法で塗布するという「フィルムタイプ」と「リキッドタイプ」の両者を併用した被覆方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平6−154701号公報
特許文献1記載の方法によれば、保護すべき範囲の外周に沿ってローラ又はハケ等によって液状の一時保護材の塗料を塗布するため、ここにも同じくドアやフェンダー等の縦面に十分な膜厚の保護膜を施すようにと多めの塗料を塗ると塗料垂れが発生した。また、塗料が垂れないように塗布するには、薄く塗ることを繰り返すしかなく、作業性が悪かった。
したがって、上記の長所と短所を勘案した結果、塗装対象の自動車が凹凸の少ない緩やかな曲面の多い自動車の場合は「フィルムタイプ」、凹凸の多い急な曲面の多い自動車の場合は「フィルムタイプ」よりも、「リキッドタイプ」が最良であった。
図3は「フィルムタイプ」を採用した従来の自動車の被覆方法を示す図で、(a)は平面図、(b)はエアインテークを通る縦断面図である。
図において、Fはフード、Rはルーフ、Tはトランク、FEはフェンダー、Dはドア、AIはエアインテークである。
図からわかるように、フードF、ルーフR、トランクT、フェンダーFE、ドアDの他、サッシ、バンパーのすべてにフィルムタイプを実施していた。
このようにすると、液状の一時保護材の場合のようなドアやフェンダー等の縦面に塗料垂れが起きるようなこともなく、また形状に合せて保護フィルムをカットして貼り付けるため、フィルムにほとんど無駄がでず、経済性の点から好ましかった。
しかしながら、特にターボ車では空気を冷やすために大量の空気を必要とするため、フードに大きなエアインテークを設けることがあるが、このような場合、3次元凹凸のあるエアインテークを備えたフード全体を平面状のフィルムで覆うと当然フードとフィルム間に隙間が生じることになる。
図3(b)において、3次元凹凸のあるエアインテークAIをフィルムGで覆うと、フードFとフィルムG間に必ず隙間Sができでしまった。従来技術ではフィルムの四辺が密着してさえいれば隙間Sがあってもあまり気にしていなかった。ところが、フィルムの四辺が密着していても、何らかの拍子にフィルムに傷がついたり、フィルムの端が剥がれたとき、中に雨水が浸入することがおき、この雨水の部分が乾いたときにスジとなって残った。このスジ自体は自動車にとって特に害にはならないので従来技術では無視していたのであるが、このスジは見た目が良くなく、これを気にする顧客が多いことに最近本出願人は気がついた。
そこで、本発明は、これらの被覆方法の欠点を解決するもので、液状の一時保護材の場合のようなドアやフェンダー等の縦面に塗料垂れが起きるようなことがなく、材料にほとんど無駄がでず、経済性の点から好ましく、さらにフードに大きなエアインテークのある自動車であっても、雨水のスジが出ることのない被覆方法を提供することを目的としている。
請求項1記載の自動車一時保護材の被覆方法の発明は、自動車の保護部位に一時保護材を覆う被覆方法において、水平面部位であるルーフ、フード、トランク、および縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等を一時保護材フィルムで覆い、エアインテークがフードにある場合はフードおよびその周囲は液状の一時保護材で塗布することを特徴とする。
請求項2記載の自動車一時保護材の被覆方法の発明は、自動車の保護部位に一時保護材を覆う被覆方法において、水平面部位であるルーフ、フード、トランク、および縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等を一時保護材フィルムで覆い、凹凸の大きなエアインテークがフードにある場合は、前記フードは一時保護材フィルムで覆わずに、液状の一時保護材で塗布することを特徴とする。
請求項1および2記載の発明によれば、水平面部位であるルーフ、フード、トランクは広い緩曲面であるのでフィルムを用いてもシワが出にくいし、縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等は液状の一時保護材で塗布をすると縦面に塗料垂れが起きるのでフィルムが適していることとなり、その結果材料にほとんど無駄がでず、そして凹凸のあるエアインテークがフードにある場合は、前記エアインテークおよびその周囲を又はフード全体を液状の一時保護材で塗布することでので、フィルムによるシワが生じず、したがって雨水のスジが出なくなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施の形態に係る被覆方法を説明する図で、(a)は平面図、(b)はエアインテークを通る縦断面図である。
図において、Fはフード、Rはルーフ、Tはトランク、FEはフェンダー、Dはドア、AIはエアインテークである。
図からわかるように、フードFの真ん中に、凹凸のエアインテークAIがある。
この場合、ルーフR、トランクT、フェンダーFE、ドアDの他、サッシ、バンパーのすべてにフィルムタイプGを実施し、凹凸のエアインテークAIおよびその周囲についてはシワのでるフィルムで被覆することをせずに、液状の一時保護材Lを塗布するようにしているのが特徴である。このようにすることにより、水平面部位であるルーフ、フード、トランクは広い緩曲面であるのでフィルムを用いてもシワが出にくいし、縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等は液状の一時保護材で塗布をすると縦面に塗料垂れが起きるのでフィルムがより適していることとなり、その結果、ドアやフェンダー等の縦面に塗料垂れが起きるようなこともなく、また形状に合せて保護フィルムをカットして貼り付けるため、フィルムにほとんど無駄がでず、経済性の点から好ましかった。
一方、凹凸のあるエアインテークがフードにある場合は、前記エアインテークおよびその周囲を又はフード全体を液状の一時保護材で塗布することでので、フィルムによるシワが生じず、したがって雨水のスジが出なくなる。
液状の一時保護材で塗布する場合は、後述する本出願人の先行発明に係る曲面対応ローラや、ミストの出にくい非接触塗装を施すとよい。
図2は本発明の第2実施の形態に係る被覆方法を説明する図で、(a)は平面図、(b)はエアインテークを通る縦断面図である。
図において、Fはフード、Rはルーフ、Tはトランク、FEはフェンダー、Dはドア、AI’はエアインテークで、図1のエアインテークAIよりも凹凸の高さが高くなっている。
図からわかるように、フードFの真ん中に、凹凸の高いエアインテークAI’がある。この場合、ルーフR、トランクT、フェンダーFE、ドアDの他、サッシ、バンパーのすべてにフィルムタイプGを実施し、凹凸の高いエアインテークAI’のあるフードについてはシワのでるフィルムで被覆することをせずに、液状の一時保護材Lを塗布するようにしているのが特徴である。
このようにすることにより、水平面部位であるルーフ、フード、トランクは広い緩曲面であるのでフィルムを用いてもシワが出にくいし、縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等は液状の一時保護材で塗布をすると縦面に塗料垂れが起きるのでフィルムがより適していることとなり、その結果、ドアやフェンダー等の縦面に塗料垂れが起きるようなこともなく、また形状に合せて保護フィルムをカットして貼り付けるため、フィルムにほとんど無駄がでず、経済性の点から好ましかった。
一方、凹凸の高いエアインテークがフードにある場合は、フード全体を液状の一時保護材で塗布することで、フィルムによるシワが生じず、したがって雨水のスジが出なくなる。
この場合、図1のようにフードの外周部はフィルムを被覆してもよいが、凹凸の高いエアインテークであれば、液状の一時保護材で塗布する面積も広くなるので、勢いそのままフードの外周部も液状の一時保護材で塗布する方が作業効率が良くなる。
液状の一時保護材で塗布する場合は、後述する本出願人の先行発明に係る曲面対応ローラや、ミストの出にくい非接触塗装を施すとよい。
次に、本発明によりフードに採用するリキッドタイプの中で、特に自動化に最適である塗装ローラについて説明する。
まず、(1)曲面のある部位でも厚みのある均一な塗装が速くでき、しかもロボットによる自動塗装が行えるようになる最適な圧送ローラについて説明し、
次いで、(2)この圧送ローラを使用した全自動化塗布装置について、
さらに、(3)全自動化装置の前後の工程について、
そして、(4)本発明の塗布方法の実行の直前に行われるローラ均しについて説明し、
最後に(5)矩形面積の塗布に有効な塗布方法について詳細に説明する。
(1)本発明の前提となっている片又は両圧送ローラについて、図4〜図6を用いて説明する。
図4において、40は両圧送ローラの刷毛部分であるローラ刷毛組立体で、41はそのローラ刷毛を回転自在に支持するアーム、42はアームに差し渡された下部フレーム、44は塗料圧送管である。
50は旋回可能支持機構であり、51は延設板で下部フレーム42の上面に延設される。53は旋回機構の中間フレーム、53aはその基台であり、52は板51と中間フレーム53を回動自在に連結するピンである。
60は上下動支持機構であり、64は上下動支持機構の上部フレーム、61はそれを支えるアーム、62はアーム61を基台53aに揺動可能に、係止するピンである。
図5は図4のローラ刷毛組立体40の側面断面図であり、71は中実円柱体で、72は中実円柱体71の外周に嵌着されるローラ刷毛で、73は軸中心孔、74は90度差で半径方向へ配設される放射孔、75は放射孔74からの塗料を拡散させる溝で、78はドラム、79は溝75に合致する孔である。
図6はローラ刷毛組立体40の正面断面図で、82は円板、81はそれを係合させるガスケット、83はボルトである。
両圧送ローラは、中実円筒体71の両端部には塗料圧送管44が接続され、その塗料圧送管44は移送ポンプに接続されて、ローラ刷毛組立体40は軸中心孔73の両端から塗料が供給される。軸中心孔73から塗料は各放射孔74を経て環状の溝78に送られ、溝78を介してローラ刷毛72に分配される。これによって塗料が塗布用ローラの両端から供給され、且つ、両端が支持されているために、軸中心を貫通する軸中心孔73全体に亙って液圧が均一になり、塗布用ローラに加わる押圧力が均一となるので、ローラ全体に塗料を均一に分配できる。
ローラ刷毛72はセルの集合体による砂骨材ローラ又は繊維材質によるウーローラが用いられている。しかしながら、ローラ刷毛72を砂骨材ローラとウーローラの2層構造としてハイブリッドローラとすると、砂骨材ローラの持つ長所とウーローラの持つ長所とが発揮が兼ね備わった塗布用ローラが得られる。例えば、コア側にウーローラ72aと表面側に薄目の砂骨材ローラ72bの構造としておくと、1層目のウーローラ72aで塗料の含みを確保して塗布後のボタ落ちを抑制し、2層目の砂骨材ローラ72bにより膜厚の制御(膜厚調整)と安定した転がりを確保することによって、自動車ボデイ等の塗布面6に厚膜で、かつ泡の発生も防止できる仕上がり外観の良い塗布を行うことができるようになる。また、その逆でもよい。逆の場合は、砂骨材ローラ72bの厚みは大きく取ることができる。
また、両圧送ローラは図4に示すように、矢印A方向への旋回機構50と、矢印B方向への上下動支持機構60を有している。
図7は旋回機構50(図4)の動作を説明する図で、図7(a)は平らな面を転動する状態で、図7(b)は右上がりの曲面を転動する状態を、図7(c)は左上がりの曲面を転動する状態を夫々示している。
図7(a)では平らな面をローラ刷毛組立体40が転動するので、中間フレーム53はピン52を中心に水平状態になっている。
図7(b)では、ローラ刷毛組立体40が右上がりの曲面にさしかかると、中間フレーム53はピン52を中心に回転するので、中間フレーム53は水平を保ちながらも、下方のローラ刷毛組立体40は右上がりの曲面に沿って転動することができる。
また、図7(c)では、ローラ刷毛組立体40が左上がりの曲面にさしかかると、中間フレーム53はピン52を中心に逆の方向へ回転するので、中間フレーム53は水平のままローラ刷毛組立体40は、右上がりの曲面に沿って転動することができる。
一方、図8は上下動支持機構60(図4)の動作を説明する図で、図8(a)では低い面をローラ刷毛組立体が転動するので、上下動機構60はそのアーム61、61の開き角度が大きい状態になって、ローラ刷毛組立体40は下方へ達することができる。
図8(b)では、高い面をローラ刷毛組立体40が転動するので、上下動機構60はそのアーム61、61の開き角度が狭い状態になり、ローラ刷毛組立体40は高い面に退却できる。
このように上下動機構60と、旋回機構50によって、上下且つ左右に傾斜のある曲面でも均一な塗布が可能になる。
図9は塗布ロボットの制御装置の概念図であり、図10は中央制御装置のブロック図である。
ロボット自体については基本的には、例えば、図9に示すように、多関節型ロボット本体94のアーム741の先端に両圧送ローラ29が装着されて、中央制御装置95の指令によりロボット制御装置742によって制御される構成等による。
図10は中央制御装置の一般的なブロック図であり、センサ入力として温度/湿度センサ96と、負荷(塗布装置)の位置データ等を検知して監視制御を行うための位置センサーとして、リミットスイッチの検知地点よりパルスカウントにより移動距離と方向を算出するパルス・カウンター方式の位置センサー、あるいは光学的位置検出センサー97等を備えている。
中央制御装置95は、受信した温度/湿度、位置データの処理、RAM751内の軌跡データの解析、ポンブ制御装置731や、ロボット制御装置742による制御等、塗料供給システムと塗布駆動装置の双方を制御する自動塗布装置全体のシステムを制御するCPU750と、塗布軌跡、環境の温度、湿度、塗料の種類や粘度、塗料圧送ポンプ圧、塗料圧、供給塗料の温度等についてのデータを記憶するRAM751と、CPU750の演算処理手順を記憶するROM752等を備えている。そして、RAM751に収集された各種状況データにより、動作指令に対する各種補正が行われる。
つぎに図10のブロック図の動作を説明する。
今、塗布(塗布)しようとする対象に、どの塗料を用いて如何なる膜厚の塗布をするかの塗布条件(例えば、自動車ボディに保護膜を塗布する工程で、水溶性塗料のラップガード(商品名)を用いる等)をキーボード754から入力する。
一方、温度/湿度センサー96からは環境の検出信号が中央制御装置95へ送られる。 中央制御装置95では塗布条件、温度/湿度の検出信号等に基づいて、塗布条件を満たすための最適塗料吐出量等を演算して塗料流量制御装置731へ指令し、塗料流量制御装置731は指令に従って、塗料流量を制御する。
また、中央制御装置95は、記憶する塗布軌跡を基に動作指令を作成してロボット制御装置742に指令を与えて動作させ、塗布ロボット27、28のアームの移動位置、速度、ローラの押圧力などを、実際のアームのセンサー等の検出値と指令値の偏差を解消するように駆動制御される。
このような圧送ローラ搭載ロボットによれば、塗布ロボット27、28のアームに曲面対応の両圧送ローラ29、30を装着して自動塗布を行うようにしたので、塗布面に凹凸があっても塗布面の凹凸に追随して塗布が可能なので、従来の自動スプレー方式に比較しても、膜厚のより均一な保護膜の塗布が可能になる。
また、ローラの通過箇所しか塗布しないので、従来のスプレー方式のようなダストが全く生じないので、塗料を無駄にしない正確な塗布が可能である。
また、ロボット制御装置側は、塗布面の凹凸状況をいちいち認識して、塗布ロボットのアームを塗布面に合わせて上下させると言った複雑な軌跡制御を行う必要も無く、蛇腹状軌跡に沿って平面的な軌道制御を行えばよいので、制御が著しく簡単化され、スピードアップが可能になる。
また、同じことは進行方向つまり塗布面が左右方向へ勾配を持つ曲面に対しても言えることで、水平駆動制御だけで済むので、制御が簡単化されスピードアップが可能になる。
このようにこの圧送ローラは自動化に最適な構造の塗布ローラである。
以上は、両圧送ローラについて説明してきたが、本発明の塗布方法に適しているのは、上記両圧送ローラについてだけいえるのではなく、同じく片圧送ローラについても同じことが当てはまる。
そこで片圧送ローラについても以下に説明することとする。
図11は片圧送ローラ塗布駆動装置の片圧送ローラの斜視図であり、図12は片圧送ローラの分解斜視図である。
図11および図12において、900は片圧送ローラであり前実施の形態の両圧送ローラとの相違は塗料圧送管が片側だけの点が異なり、大きく別けてローラ刷毛901と、ローラ支持体903と、ハンドル904で構成される。
ローラ刷毛901は塗布面となる自動車のボディーを転動して塗料を塗布するもので、前実施の形態と同材質のものであり、このローラ刷毛901を回転自在に支持するローラ支持体903を有し、ハンドル904はこれを支えてローラ刷毛901に塗料を供給する。ハンドル904の先端にはローラ支持体903が片持ち支持されている。ハンドル904は剛性を有する金属製で、例えば、ステンレス鋼製の塗料導管となっている。ハンドル904の後端には塗料供給管が接続され、操作レバーにより塗料供給管から圧送される塗料をハンドル904側へ流入・遮断が可能になっている。
ローラ支持体903には、回転可能にディフューザ902を取付け、図12に示すように、複数なディフューザ単体831〜836を有している。各ディフューザ単体は多角形で、その各頂部方向に中央部から放射状に伸びる略星形の中空部を有する柱状形で、各ディフューザ単体831〜836の凹部とローラ901の内周面とによって各塗料貯溜室が形成される。このディフューザ902を覆うのがローラ刷毛901である。
また、ローラ刷毛901は、筒状のローラ901aとローラの外周に装着される円筒状の刷毛素体901bから構成され、ローラ901aは全周に亙り内外を連通する複数の噴出孔が設けられている。
この状態で圧送される塗料は、フレーム本体904、ローラ支持体903、更にローラシャフト906の塗料供給孔906aを経て、ディフューザ902内の塗料溜まり内に圧送され、各塗料貯溜室に分散導入される。そこから噴出孔を通ってローラ901aの外周へ噴出し、刷毛素体に浸透する。
このような片圧送ローラ900は両圧送ローラより、構造、操作が簡単なので、例えば、左右の側面が邪魔で底面の塗布が側面との境界付近までは不可能なようなケースでは、両圧送ローラに代えて片圧送ローラを使用する等、それぞれに適した状況で使い分ければ塗布効果がより改善される。実際の塗布ロボットでは交換可能なアタッチメント形式で片、両の双方を準備すれば、使い勝手が良くなる。
(2)両圧送ローラを使用した全自動化塗布装置について:
図13は後述の本発明の塗布方法が用いる全塗布自動化装置の全体構成図である。図13において、100は塗料調合室であり、この塗料調合室100内には、塗布ローラに塗料を供給する塗料供給系110〜と塗布ローラを洗浄するために塗布ローラに洗浄剤を供給する洗浄剤供給系160〜とが設けられている。
まず、塗料供給系110について説明する。以下、ここで言う塗料とは上述のように塗膜保護用の粘度の高い塗料を指している。
111は塗料缶、112はポンプ、112Aはポンプ駆動用モータ、113はレギュレータ、113Aは目盛ゲージ、114は塗料内に混入する異物を除去する溶液用フィルタ、115は塗料タンク、116はポンプ、116Aはポンプ駆動用モータである。塗料缶111内の成膜用の水性塗料はポンプ112で吸引されて塗料缶111から出て、レギュレータ113で液圧を制御され、溶液用フィルタ114で不純物を濾過されて塗料タンク115に入る。
塗料調合室100の外には、レギュレータ120、目盛ゲージ120A、塗料内に混入する異物を除去する溶液用フィルタ121、移送される塗料の温度を調節する熱交換器130、液量安定化装置140がある。液量安定化装置140を出た塗料は塗布ブース内の2台の自動塗布装置に供給するため2つの配管151と152にそれぞれ分岐する。2台の自動塗布装置に供給した後の剰余塗料は戻り配管155を通って塗料タンク115に戻る。
次に、洗浄剤供給系160について説明する。
161は洗浄剤ドラム 、162はポンプ、162Aはポンプ駆動用モータ、163は洗浄剤用フィルタである。洗浄剤用フィルタ163を出た洗浄剤は2つの配管153と154にそれぞれ分岐して、塗布ブース内の2台の自動塗布装置にそれぞれ供給される。
170は塗布ブースである。
塗布ブース170内には、2台の塗布ロボット171と172が設けられており、171a、172aはその塗布ロボット171と172の各アーム先端に装着された本出願人の先行発明に係る曲面塗布対応型の両圧送ローラである。各両圧送ローラ171a、172aはブースの入口に設けられたCCV(color change valve:切替バルブ)173、174の出口側とそれぞれ配管175、176で繋がれている。CCV173、174は1種類の塗料をオン・オフさせてニードルバルブと異なり、複数塗液をエアの切替で複数塗液の1つを吐出させることのできるバルブである。ここでは、CCV173の入口側に塗料配管151と洗浄剤配管153が繋がれていて、CCV173はエアの切替で、その都度一方の配管から他方の配管へ切り替えることができるようになっている。各CCV174についても同様に入口側には塗料配管152と洗浄剤配管154が繋がれていて、CCV174はエアの切替でその都度一方の配管から他方の配管へ切り替えることができるようになっている。
なお、CCV173、174は図13では塗布ブース170の入り口に設けているが、塗布ロボット171と172のアーム近傍に設けておくと、洗浄剤の消費が少なくて同じく塗布ローラ171a、172aの洗浄が行える。
図13において、Wは検査工程ラインやマスキング工程(3)を経て塗布ブース170内に搬入された自動車等の被塗布媒体であり、塗布ブース170で保護膜を被覆される。まず、ブース内の入口位置で作業員P1により保護フィルムの貼設作業がフード以外のすべての部位に対して行われる。次に、塗布ロボット171と172でエアインテークのあるフードに対してローラ塗布が行われる。
その後、ブース内の出口位置(5)で作業員P2によ塗装漏れがないかチェックされ、あれば手動ローラで塗装が行われる。そしてここで被保護部位に被覆された自動車Wは塗布ブース170から出て、次の乾燥工程(6)へ進む。
以下、上述の各構成要素について簡単に説明する。
図14は塗料タンクの1例を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。塗料タンク115は塗布液表面に皮張りができるおそれのない高品質の塗料貯蔵が確保でき、かつタンクの小型化及び構成の簡素化となるタンクで、塗料タンク115は、水性塗料を貯蔵するタンク本体115aと、タンク本体を密閉的に閉鎖する蓋115bと、タンク本体内115aに貯蔵される水性塗料P内に水性塗料Pを流入する補給配管115c、給送配管115h、戻り配管155とを備えている。タンク本体115aは上方が開放した有底円筒状のタンクでテフロン等の液切れの良い材質で内部コーティングしてある。タンク本体115aの底部115eの近傍に張設されたスクリーンメッシュ115fと、タンク本体115aの側壁115gの上端に固設されて、タンク本体115aを密閉する蓋115bを載置している。
補給配管115cおよび戻り配管155は、タンク本体115aの側壁115gの中間高さに位置し互に異なる高さで側壁115gを貫通して設けられており、かつ各先端部はタンク本体115a内において図14(b)に示すように側壁115gに沿って周方向に折曲し、各補給配管115c、戻り配管155の先端から水性塗料内流入する水性塗料Pが渦を形成するようにして、タンク本体内115aに貯蔵されている水性塗料Pを空気を巻き込まないで静かに撹拌するようにしている。塗料タンク本体115aの底部115eに排出管115hが接続され、ポンプ116によって塗布ブース170内の塗布装置へ塗料が供給される、本出願人の先行発明に係るロボットおよびローラによって自動車の塗膜上に塗布される。
塗布ブース170側で余剰となった塗料は戻り配管155を経由して塗料タンク115内に戻される。塗料の使用により塗料タンク115の塗料Pの液面Lが予め設定された下限値まで降下すると補給ポンプ112の作動により塗料缶111から補給配管115cを介して塗料Pが塗料タンク115内に補給され、液面Lが予め設定された上限値に達すると補給が終る。
このように塗料タンク115内の塗料Pの液面Lは、設定された上限値と下限値との間を間欠的に変動せしめられる。しかし、タンク本体115aの上端は蓋115bにより密閉的に閉鎖されることから塗料タンク115内の塗料Pの上方に位置する空間内は過度に乾燥することなく、塗料Pに含有する水分の蒸発等により湿度略100%の加湿状態に保持され、液面Lより上方の側壁115gの内面に付着残存する塗料及び液面Lにおける塗料の乾燥が回避されて側壁115gの内面及び液面Lでの塗料Pの半固形化、即ち皮張りの発生が回避される。
一方、塗布作業中における塗料タンク115内の塗料Pは、戻り配管155の先端から側壁115gに沿って流入する塗料によって常時緩やかに撹拌され、塗料中に含有する顔料の沈降による凝結、いわゆるケーキングの発生が防止できる。
また、補給配管115c及び戻り配管155の各先端部はタンク本体115a内の塗料Pの内部に突出しているので、空中の泡を巻き込むことがない。
また、従来装置のように、撹拌ポンプを別途用いる必要がないので、コスト安となる他、空中の泡を巻き込む虞もない。
このように、塗料タンク115によると、水性塗料Pを貯蔵するタンク本体115aの上部を蓋115bにより密閉することから、タンク本体115a内の上方の空間が、水性塗料Pに含有する水分の蒸発によって加湿状態に保持され、塗料液面Lより上方の側面115g内面に付着する塗料及び液面における塗料の乾燥が回避されて皮張りの発生が防止され、かつ供給配管115c及び戻り配管155からタンク1内に流入する塗料によりタンク1内の塗料Pが撹拌されて顔料の沈降に伴うケーキングの発生が防止され、皮張りやケーキングの混入がない均一な塗料の貯蔵が可能になり、かつオーバーフロー槽や撹拌ポンプが不要になることから構成の簡素化及び小型化が図られる。
次に、使用するポンプ112の1例を簡単に示しておく。
ポンプ112としては、ここでは加圧タイプのダイヤフラムポンプが用いられ、これによって塗料の移送量を大きく増量できるという特長がある。
図15は使用するポンプ112の縦断面図である。
駆動モータ112A(図15)等により脈動圧導入路1129を介して負圧が脈動圧室112Q内へ導入されると、ポンプダイヤフラム1128は脈動圧室Q側へ移動してポンプ室112P内の室容積を増加してポンプ室P内の圧力を低下させる。これによると吐出側逆止弁112Uは吐出弁座1124を閉塞し、一方吸入側逆止弁112Vは吸入弁座1122を開放する。従って、塗料缶111(図13)内の塗料は、吸入路112T、吸入弁座1122を介してポンプ室112P内へ吸入される。
次いで、脈動圧導入路1129を介して正圧が脈動圧室112Q内へ導入されるとポンプダイヤフラム1128はポンプ室112P側へ移動してポンプ室112P内の室容積を減少してポンプ室112P内の圧力を高める。これによると、吐出側逆止弁112Uは吐出弁座1124を開放し、一方吸入側逆止弁112Vは吸入弁座1122を閉塞する。
従って、ポンプ室112P内に貯溜された塗料は、吐出弁座1124、吐出路112Sを介して吐出される。
そして、脈動圧導入路1129より継続的に脈動圧力が脈動圧室112Q内へ導入されると、ポンプダイヤフラム1128は継続的に往復動をなすもので、これによって昇圧された塗料が連続的に供給される。
ポンプ112の吐出工程時において、吐出路112S内には昇圧された塗料がポンプ室112Pから供給されるもので、これによると吐出路112Sに臨んで配置された吐出側サージダイヤフラム112N2は圧力を受けて吐出側サージタンク112K内に向けて変位し、吐出側サージタンク112K内の圧力を上昇させる。そして、この上昇した圧力は仕切壁112Lに設けた連通路112Rを介して吸入側サージタンク112J内へ導入され、吸入側サージダイヤフラム112N1に押圧力を付勢し、吸入側サージダイヤフラム112N1に吸入路112T側に向かう押圧力を蓄圧する。これは前記サージタンク112J、112K内には圧縮性を有する空気が封入されることによる。
次いで、ポンプの吸入工程に入ると、吸入弁座1122は吸入側逆止弁112Vによって開放され、ポンプ室112P内の負圧によって吸入路112T内の塗料がポンプ室112P内へ吸入されるが、このとき、前記吐出工程において吸入路112T側に向かう押圧力を蓄圧された吸入側サージダイヤフラム112N1は、一気に吸入路112T側へ変位し、吸入路112T内の塗料をポンプ室112P内に向けて圧送する作用をなす。
このようなポンプ112によると、ポンプ室112P内には、ポンプダイヤフラム1128の移動によるポンプ室112Pの負圧吸引作用による塗料流入に加え、吸入側サージダイヤフラム112N1の変位による塗料の圧送作用に流入が付加されるもので、これによってポンプ室112P内には従来に比較して多量の塗料を吸入できる。
次いで、ポンプ室112Pの吐出工程に入ると、ポンプ室112P内に貯溜される塗料が吐出弁座1124を介して吐出路112S内へ吐出されるもので、上記によって塗料吐出量を大きく増量できる。
次に、ここで用いるフィルタについて1例を示す。
図16は塗料内の沈降性物質が底部に沈殿しにくい塗料フィルタを示している。この塗料フィルタ500は、図16に示すとおり、塗料供給路に接続されるジョイント501、502を両側に備えたヘッド511の下方に、底板カバー512を備えたシェル513をロッド514を介して固定してなるフィルタハウジング515中に、中空のフィルタカートリッジ503が配されたもので、入口側のジョイント501と連通するヘッド511の入口ノズル511aから進入した塗料は、フィルタカートリッジ503の周囲からフィルタカートリッジ503の中心側へ向かって通過してろ過され、その後に、フィルタカートリッジ503の中空部を上方へ移動して出口側のジョイント502から塗料供給路へと圧送される。
504は、フィルタカートリッジ503をシェル513内で所定位置に配するためのガイドスプリングであり、505は各種計測用ゲージのための接続部である。このような塗料フィルタ500において、フィルタカートリッジ503を交換する際には、ロッド514の先端に設けられたナット516を弛めてシェル513をヘッド511から取外して、内部のフィルタカートリッジ503を交換する。
このように、溶液の供給時にフィルタ本体が溶液供給側の上方に位置するようになっているので、フィルタ本体内を通過する塗料内の比重の大きな沈降性物質がフィルタ本体内に沈殿・蓄積することがなくなる。
次に、塗料の温度調節を行う熱交換器130について図17を用いて簡単に説明する。
図17において、フィルタ121(図16)を出た塗液は熱交換部136の一次側コイル136aを通って液量安定化装置140へ行く。一方、熱交換部136の二次側コイル136bには温水および冷水が混ぜて通される。
冷水タンク131aと冷水ポンプ132aとにより冷水が吸い上げられ、配管133a、133c、133eを通って元に戻る冷水供給手段が構成されている。
塗料が配管151を通過すると、計測器が塗料温度を検出し、計測結果液温が低いとこれに基づいて三方弁134aの開度を制御し、熱交換部136に対する温水の供給量を増加するとともに冷水の供給量を減少させる。また、計測器の計測結果で塗料温度が上昇し過ぎると、三方弁134aを制御し、熱交換部136に対する冷水の供給量を増加させるとともに温水の供給量を減少させる。このように三方弁134aの調節によって熱交換部136に送る冷熱媒の量を調節することで塗料温度を調節することができる。
何等かの原因によって急激に塗料温度が低下する場合があるが、この場合は、熱交換部136に冷媒が送られないように三方弁134aの開度を調節するとともに、熱交換部136に熱媒が連続して最高量送られるように三方弁134aの開度を調節する。
以上のように冷熱媒の供給を調節することで塗料温度を調節することができる。
この熱交換器130によれば、最低限の塗料のみを温度調節すれば良いので省エネルギーの熱交換器となる。
図18は液量安定化装置の1構成例を示す。
図において、140は液量安定化装置、141はエアオペレート式コントロールバルブ、142は流量計、143はカウンタ、144はバリアアンプ、145はアナログメモリユニット、146は調節計、147は変換器である。
タンク115(図14)からの塗料は、熱交換器130(図17)を経て液量安定化装置140に至り、ここではエアオペレート式コントロールバルブ141および流量計142を介して図13のCCV140を経て最終的に自動塗布ローラ171a、172aから被塗布物に向けて吐出される。
塗布ローラ171a、172aは、塗布ロボット171、172からの制御信号によってモータ、電磁弁等の駆動に連動して進退駆動され、これに応じて塗料吐出のオン/オフ制御が行われる。また、電磁弁の駆動に連動して塗布ローラ171a、172aのローラ吐出用エアのオン/オフも行われる。
さらに、塗布ロボット171、172からの電磁弁の駆動制御信号(オン/オフ信号)はカウンタ143に送出される。
流量計142は、塗料流量に応じた周波数のパルス信号を発生し、このパルス信号はカウンタ143およびバリアアンプ144を介して、D/A変換手段および記憶手段を有するアナログメモリユニット145に供給される。
カウンタ143は、流量計142のパルス信号および塗布ロボット171、172のオン/オフ信号を受信してアナログメモリユニット145の制御信号を生成する。すなわち、カウンタ143は、塗布ロボット171、172からの信号の立ち上がり(オフからオン)に応じて流量計142のパルス信号の計数動作を開始し、パルス数が設定値に達したときに、フィードバックに配設されたアナログメモリユニット145に供給する制御信号をオンとする。
カウンタ143は、塗布ロボット171、172からの信号の立ち下がり(オンからオフ)に応じて計数値がリセットされ、立ち上がり(オフからオン)に応じて計数動作を開始するものでも、塗布ロボット171、172からの信号の立ち上がりに応じて計数値のリセットおよび計数動作の再開を行うものでもよい。
アナログメモリユニット145は、カウンタ143からの制御信号がオンのときには入力した信号に対応した値の電流を出力し、オフになるとその時点での入力信号に対応した電流値をホールドして出力するように構成されている。
アナログメモリユニット145の出力信号は、流量の測定値として調節計146に供給される。
調節計146は、コントロールバルブ141の開度すなわち流量のPID制御を行うPID調節計の形態を有し、さらに流量設定値(目標値)とアナログメモリユニット145からの入力値(フィードバック値)とを表示するための表示器を内部に有している。調節計146は設定値と入力値とを比較し、誤差に対応した制御信号を出力し、その出力信号は変換器147に供給される。変換器147は減圧弁を介して供給される圧縮空気圧を調節計146の出力信号レベルに応じて調節し、エア制御型のコントロールバルブ141に制御空気として供給する。
コントロールバルブ141は、供給される制御空気圧に応じてバルブ開度を調整し、これによって、塗料流路への塗料の付着等の環境要因によらず、設定値からの偏差が最小となるように塗料流量が制御される。
水性塗料通路部への塗料の固着等によって塗布ローラ171a、172aの吐出流量が変化した場合、この液量安定化装置によれば、塗布ローラ171a、172aのオン/オフで塗料の流れが断続されても、オン時の立ち上がり時に塗料の吐出が円滑に行われるとともに、安定した制御が可能となる。
また、流量に対応して流量計が発生するパルスを計数し、その計数値に応じてフィードバック制御に移行するようにしたので、流量計のタイプによって定まるパルス数の計数値を電子カウンタに初期設定しておけば足り、吐出量の変更に応じてタイマの設定時間を変更する必要がなくなるので、システムに対して操作者が設定すべき項目数が減り、かつ煩雑な操作が回避できる。
(3)全自動化装置の前後の工程について:
自動車に塗膜保護の保護膜を形成する工程の前段は、次のようになっている。
(1)まず、車をきれいに洗浄し、(2)水切し、(3)保護膜を形成するところ以外をマスキングし、(4)この保護膜を塗布し、(5)必要に応じて補正仕上塗布した後、(6)乾燥させて終了する。
すなわち、(1)保護膜を形成すべき自動車Wは、洗浄工程に搬入され、車体全体を回転ブラシを使用するシャワー式洗車装置により洗浄して塗膜表面に付着した雨水や塵埃等を除去する。寒冷期には塗膜表面に付着した水滴の凍結により塗膜表面に傷を付けるおそれがあることから例えば30〜50℃の温水を用いる。
(2)洗浄工程で洗浄された自動車Wの塗膜を、続く水切工程において約30〜70℃の温風によるエアブローにより塗膜表面に残存する洗浄水を除去して乾燥させる。洗浄工程に使用される温水と水切工程で使用される温風によるエアブローにより後工程である塗布工程における水性塗料の塗布を良好にするため自動車の表面温度を適切に保持できる。表面温度は塗料の成膜性からすると15℃以上、望ましくは20〜30℃である。
(3)水切工程において洗浄水切り乾燥された自動車Wは次のマスキング工程で水性塗料を塗布する塗布範囲と非塗布範囲とを仕切るためのマスキングテープを貼着し、かつエンジンフードに開口するインテークダクトやその他塗布範囲内にある樹脂部品等の非塗布部品をカバー等の載置により被覆する。
(4)続く塗布工程において、予めマスキング工程で区画された塗布範囲をローラ刷毛の塗布装置によりアクリルエマルジョンを主成分とした水性塗料(例えば関西ペイント社製ラップガードL)を塗布する。このとき、本発明によりドア等の縦面の塗布には保護フィルムを覆うことにより、塗料の垂れ防止ができる。
(5)必要に応じて行うことができる次の仕上塗布工程では、前記マスキング工程で貼着したマスキングテープの剥離除去及びカバー等を除去し、かつ塗布範囲の細部の未塗布部分を刷毛或いは小型のローラ刷毛を用いて手動で水性塗料を塗布仕上げする。なお、マスキング工程、塗布工程及び仕上塗布工程の各工程は塗布ブース内で行われる。
(6)続く乾燥工程において赤外線乾燥炉を用いて約30〜90秒間赤外線照射により塗布された水性塗料の内部からの乾燥を促進させ、続いて熱風乾燥炉を用いて被塗布物全体を均一に加熱して水性塗料を乾燥又は熱風乾燥炉だけを用いて乾燥させて保護膜を形成する。熱風乾燥炉としては水性塗料の成膜性、自動車の各種電装品等の付属部品保護の観点から乾燥温度が50〜100℃で風速が毎秒0.5〜8mの条件下で約2〜10分間乾燥せしめることが好ましい。
また、上記工程に代えて、インライン方式を採ることも可能である。その場合は、自動車の塗布(中塗り、上塗り)が終わってさらに検査終了後に、保護用塗料が塗布され、乾燥され、その後、計器等の部品が取り付けられて完成車となる。
ここで言う塗料は、前述のように、塗膜保護用の塗膜形成用のものであり、通常のカラー塗料と比べて粘度が高いので、従来のスプレー式の自動塗布装置では実現が困難であった。したがって、従来は塗布ローラを用いた手作業による塗布で行っていた。
ところが、今回、本出願人の発明に係る自動塗布ローラの出現により、粘度の高い保護膜の形成を塗布ローラで全自動化することが可能となった。
前述の全塗布自動化装置は、上記(1)〜(6)の工程のうちの(4)の塗布工程の全自動化に用いられるものであり、ローラ均しは本発明に係る塗布方法の実行に先立って行われるものである。
(4)ローラ均しについて:
図19はローラ均し装置の1例で、(a)は正面の斜め上から見た斜視図、(b)は図(a)の右側から見た側面図、(c)は(b)の斜め上から見た斜視図である。
図において、20はローラ均し装置、21は塗料の均一化がなされるべき圧送ローラである。22a、22bは接触ローラ、23a、23bはそれぞれ接触ローラ22a、22bの回転軸、24a、24bはそれぞれ接触ローラ22a、22bのギア、25はギア24a、24bを駆動する駆動ギア、26は駆動ギア25を回転させるモータ、27はギア24a、24bおよびモータ26を取り付ける取付板である。
そこで、モータ26を回転させると、駆動ギア25が回転し、それに伴って従動ギア24a、24bが同一方向へ同一速度で回転する。したがって、ギア24a、24bの境界の真上へ重力で載置されている圧送ローラ21も回転する。
刷毛の下部に重力で塗料が溜まっていた圧送ローラ21は、数回の回転でもってローラの全周囲に亘って塗料が均一化し、その後、圧送ローラ21で塗布すれば均一な膜厚が得られる。
図20は図19のローラ均し装置が塗布ブース内で塗布ロボットによりどのように使用されるのかについての1例を示す概念図である。
図において、20は第1の実施の形態に係るローラ均し装置、171、172は塗布ロボット、171a、172aは塗布ロボット71、172のアーム先端に設けられた片又は両圧送ローラ、173、174は塗布ロボット71、172のアーム先端近傍に設けられたCCV、Kは塗料回収槽、Wは被塗布物たる自動車である。
塗布に先立って、まず圧送ローラ171a、172aは図15の塗料タンク115から塗料を給送される。このとき、圧送ローラ71a、172a上の塗料は重力で下方に偏在しているので、圧送ローラ71a、172aは塗布ロボット71、172によってローラ均し装置20の上へ運ばれ、接触ローラの上に載置される。その後、接触ローラを回転させることにより、圧送ローラ171a、172a上の塗料は均一化される。
この後、凹凸のあるエアインテークがフードにある場合に対してリキッドタイプが実施される。このとき、上記ローラ塗布方法が実行されると膜厚の均一な塗装が可能となる。
リキッドタイプは上記ローラ塗布方法が適しているが、これに限定されるものではなく、その他、スプレーミストを伴わないリキッドタイプも幾つか推奨される。スプレーミストを伴わない非接触塗布方法としては、(1)エアスプレー塗布、(2)エアレススプレー塗布、(3)液膜塗布、および(4)液糸塗布がある。
(1)エアスプレー塗布
エアスプレー塗布は、圧縮空気(例えば3〜5kg/cm2)によって塗料を霧化し、それを被塗布面に吹き付けることによって塗布するものである。
エアスプレーガンのノズル口径は1〜3mm、吹き付けエア圧力0.05〜0.3Mpa、塗料の吐出量400〜1600g/分、ガン先から被塗面までの距離2〜5cm、一回塗り、塗布量0.1〜0.4kg/m2の条件で塗布を行なったところ、得られた塗面には十分な膜厚でスプレーミストが見られなかった。
(2)エアレススプレー塗布
エアレススプレー塗布は、塗料に高圧(例えば10〜20Mpa)をかけ、その塗料を空気中に吐出する時に空気との衝突により霧化し、それを被塗布物に吹き付ける塗布である。エアレス塗布ガンの口径は0.35〜2mm、吹き付け圧力3〜10Mps、着色塗料の吐出量400〜1600g/分、ガン先から被塗物までの距離2〜10cm、一回塗り、塗布量0.1〜0.5kg/m2、パターン巾2〜5cmの条件で塗布を行なったところ、得られた塗面には十分な膜厚でスプレーミストが見られなかった。
(3)液膜塗布
液膜塗布としては、本出願人に係る特開2003−019451公報記載のものがあり、塗料等の液状物を飛散することなく必要部位のみに塗膜形成可能な塗布方法で、自動車ボディなど立体形状物の上塗塗膜を一時保護する可剥離型塗料を必要部位のみに均一に塗布できる有効な塗布方法である。
この塗布ヘッドは、液状物を液滴状あるいは液膜状に吐出する塗布ノズルと、この塗布ノズルに近接して一定距離隔てた位置に取り付けられ、塗布ノズルと被塗物までの距離を検出する複数個の距離センサーとを具備している。
ラインにおける被塗物の停止位置や傾き等による塗布ロボットとの相対位置関係にズレがあった場合でも塗布ノズルと被塗物面との距離および塗布方向を一定に制御及び修正しながら塗布ノズルを運行させることができるので、塗布ノズルから液膜状に吐出された塗料の塗布幅が常に一定となり、結果的にミストの生じない、均一な膜厚分布を得ることが可能となる。
(4)液糸塗布
液膜塗布は、液体が噴霧ヘッドから液糸の状態で初期投射され、クーロン力の影響下に小滴に破壊されて霧状に噴霧される液体の静電塗布である。液膜塗布としては、特開平05−104035号公報記載のものを用いることができる。
この液糸モード静電噴霧装置は、オリフィスを有する噴霧ヘッド、このオリフィスを通して放射のための噴霧ヘッドに液体を供給する手段、および噴霧ヘッドに供給する液体が優勢的に静電気力の影響下にオリフィスから噴射される噴霧ヘッドに高電位を印加する手段とから成り、オリフィスからの液体の出口速度とオリフィス直近の電位勾配とが、結果として放射液体のくびれ形成を行い、オリフィスの寸法よりも実質的に小さい横断面寸法を有する液糸を形成するものである。通常、液糸がジェットとして噴射されると、小滴への流体破壊を受け、液糸が壊れ、ジェット直径の約1.9倍の直径を有する小滴となるものであるが、この液糸モード静電噴霧装置によれば、同様のものが一般に適用されると、液糸がくびれ形成を受ける結果として、オリフィスから放射される単一流体ジェットから得られるものよりも体積中心値直径が実質的に小さい小滴が生成されることになる。
以上のように、(1)エアスプレー塗布、(2)エアレススプレー塗布、(3)液膜塗布、(4)液糸塗布はいずれもスプレーミストの出ない方法で塗布することができる。
このようにして、本発明によれば、水平面部位であるルーフ、フード、トランクは広い緩曲面であるのでフィルムを用いてもシワが出にくいし、縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等は液状の一時保護材で塗布をすると縦面に塗料垂れが起きるのでフィルムが適していることとなり、その結果材料にほとんど無駄がでず、そして凹凸のあるエアインテークがフードにある場合は、前記エアインテークおよびその周囲を又はフード全体を液状の一時保護材で塗布することでので、フィルムによるシワが生じず、したがって雨水のスジが出なくなる。
本発明の第1実施の形態に係る被覆方法を説明する図で、(a)は平面図、(b)はエアインテークを通る縦断面図である。 本発明の第2実施の形態に係る被覆方法を説明する図で、(a)は平面図、(b)はエアインテークを通る縦断面図である。 「フィルムタイプ」を採用した従来の自動車の被覆方法を示す図で、(a)は平面図、(b)はエアインテークを通る縦断面図である。 本発明の塗布方法に用いると最適な両圧送ローラの斜視図である。 図4に示す両圧送ローラの横断面図である。 図4に示す両圧送ローラの正面断面図である。 図4に示す旋回可能支持機構の動作説明図である。 図4に示す上下動支持機構の動作説明図である。 塗布ロボットの制御装置の概念図である。 図9に示す中央制御装置のブロック図である。 片圧送ローラの塗料供給システムと塗布駆動装置の片圧送ローラの斜視図である。 図11に示す片圧送ローラの分解斜視図である。 全塗布自動化装置の構成図である。 本発明で使用する塗料タンクを説明する図で、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。 本発明で使用するポンプの縦断面図である。 本発明で使用するフィルタの縦断面図である。 本発明で使用する熱交換器の1例である。 本発明が採用している液量安定化装置の1例を示す構成例である。 本発明の一実施例に係る液量安定化装置を用いた自動塗布装置の構成例を示す。 図19のローラ均し装置が塗布ブース内で塗布ロボットによりどのように使用されるのかについての1例を示す概念図である。
符号の説明
F 車両のフード部
R ルーフ部
T トランク部
D ドア部
FE1 前フェンダー部
FE2 後フェンダー部
20 ローラ均し装置
22a、22b 接触ローラ
23a、23b 回転軸
24a、24b ギア
25 駆動ギア
26 モータ
27 取付板
K 塗料回収槽
L オーバーフロー口
40 ローラ刷毛組立体
41 アーム
42 下部フレーム
44 塗料圧送管
50 旋回可能支持機構
51 延設板
53 旋回機構の中間フレーム
53a 基台
52 連結ピン
60 上下動支持機構
61 アーム
62 係止ピン
64 上部フレーム
71 中実円柱体
72 ローラ刷毛
73 軸中心孔
74 放射孔
75 拡散溝
78 ドラム
79 孔
81 ガスケット
82 円板
83 ボルト
94 多関節型ロボット本体
95 中央制御装置
96 温度/湿度センサ
97 位置検出センサー
100 塗料調合室
110 塗料供給系
111 塗料缶
112 ポンプ
112A ポンプ駆動用モータ
112B ポンプ室凹部
112C 係止段部
112D 下方の鍔部
112E 流入路凹部
112F 吐出路凹部
112G 仕切壁
112M サージタンクカバー
112U 吐出側逆止弁
112Q 脈動圧室
112V 吸入側逆止弁
112W 仕切壁
1122 吸入弁座
1123 弁座体
1124 吐出弁座
1125 吸入側逆止弁収納凹部
1127 ポンプカバー
1128 ポンプダイヤフラム
1129 脈動圧導入路
112P ポンプ室
112J 第1凹部
112K 第2凹部
112L 仕切壁
112N サージダイヤフラム
112N2 吐出側サージダイヤフラム
112N1 吸入側サージダイヤフラム
112S 吐出路
112T 吸入路
116 ポンプ
116A ポンプ駆動用モータ
113 レギュレータ
113A 目盛ゲージ
114 溶液用フィルタ
115 塗料タンク
115a タンク本体
115b 蓋
115c 補給配管
115h 給送配管
115e 底部
115f スクリーンメッシュ
115g 側壁
120 レギュレータ
120A 目盛ゲージ
121 溶液用フィルタ
130 熱交換器
136 熱交換部
136a 一次側コイル
136b 二次側コイル
131a 冷水タンク
132a 冷水ポンプ
133a〜133f 配管
131b 温水タンク
132b 温水ポンプ
134a 三方弁
136 供給管
136a 放熱部
136d 排出管
140 液量安定化装置
141 エアオペレート式コントロールバルブ
142 流量計
143 カウンタ
144 バリアアンプ
145 アナログメモリユニット
146 調節計
147 変換器
151〜154 配管
160 洗浄剤供給系
161 洗浄剤ドラム
162 ポンプ
162A ポンプ駆動用モータ
163 洗浄剤用フィルタ
170 塗布ブース
171、172 塗布ロボット
171a、172a 両圧送ローラ
173、174 CCV
175、176 配管
155 戻り配管
500 塗料フィルタ
501、502 ジョイント
511 ヘッド
512 底板カバー
513 シェル
514 ロッド
515 フィルタハウジング
503 フィルタカートリッジ
511a 入口ノズル
504 ガイドスプリング
505 各種計測用ゲージ接続部
731 塗料流量制御装置
741 アーム
742 ロボット制御装置
750 CPU
751 RAM
752 ROM
753 表示装置
754 キーボード
755 インタフェース
831〜836 ディフューザ単体
900 片圧送ローラ
901 ローラ刷毛
901a 筒状ローラ
901b 刷毛素体
902 ディフューザ
903 ローラ支持体
904 ハンドル
906 ローラシャフト
906a 塗料供給孔

Claims (2)

  1. 自動車の保護部位に一時保護材を覆う被覆方法において、水平面部位であるルーフ、フード、トランク、および縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等を一時保護材フィルムで覆い、エアインテークがフードにある場合は、前記エアインテークおよびその周囲は液状の一時保護材で塗布することを特徴とする自動車一時保護材の被覆方法。
  2. 自動車の保護部位に一時保護材を覆う被覆方法において、水平面部位であるルーフ、フード、トランク、および縦面部位であるドア、フェンダー、サッシ、バンパー等を一時保護材フィルムで覆い、凹凸の大きなエアインテークがフードにある場合は、前記フードは液状の一時保護材で塗布することを特徴とすることを特徴とする自動車一時保護材の被覆方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007280041A (ja) * 2006-04-06 2007-10-25 Sumitomo Electric Ind Ltd 車体色判別装置
JP2020518763A (ja) * 2017-05-03 2020-06-25 ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングBASF Coatings GmbH 粘性媒体を搬送するためのポンプ装置、ポンプ装置を含む装置、および表面コーティング組成物の製造方法、ならびにポンプ装置の使用

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