JP2005230761A - 自動車一時保護材の塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 自動車のフード、ルーフ、ドア等に短時間で十分な膜厚の一時保護材を塗装できる自動化可能な自動車一時保護材の塗装方法を提供する。
【解決手段】 広域の凹凸の急なルーフおよびフード並びにトランク、ドア、フェンダー等は非接触式塗装で塗装し、また緩曲面ドアおよびフェンダー面と、これらと前記ルーフおよびフード並びにトランクとの境界付近はローラ塗装する塗装方法において、このローラ塗装に、ローラと、該ローラをその端部で回転可能に支持するアーム部と、該アーム部を前記圧送ローラの軸を含む垂直面と平行な面で旋回可能に支持する旋回可能支持機構と、該アーム部を上下方向に移動可能に支持する上下可能支持機構、とを備えて成る曲面対応ローラ式塗装装置を用いた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車に一時保護材を塗る自動化に最適な塗装方法に関するものである。
ローラ式塗装はこれまでもいろいろの分野で用いられてきており、その1つに、例えば、自動車製造工場において、完成した自動車を出荷する場合に、自動車の塗膜を雨水,鉄粉,花粉,鳥糞等の汚染から保護し、品質の低下を防ぐ目的で塗膜表面上に保護膜を形成するのにも使用されている。
自動車の塗膜対象としては、フード、ルーフ、トランクに限らず、垂直面のバンパー、フェンダー、ドア等が挙げられる。
保護膜の形成には水溶性アクリルタイプの水性材料や油脂系合成ワックスタイプ等のワックスあるいは炭酸カルシューム系パウダを塗膜表面に塗装する方法や塩化ビニール系樹脂製のフィルムを塗装膜表面に貼設する方法が広く行われていた。
先ず、ワックス塗装により形成される保護膜は、鉄粉や花粉に対する保護効果に劣り、且つ、自動車の塗膜上に塗装後約3〜4ケ月と保護効果の持続期間が短く、また出荷先においてワックス除去作業の負荷が大きく、アンモニア系薬剤あるいはケロシン等の溶液を使用して除去することから環境安全性に劣り、更に廃水処理のための設備を要する等の不具合がある。
また、パウダー塗装による保護膜は、鉄粉、花粉、雨水等の降り掛かるものに対しては保護効果が期待できるものの、接触などにより発生する傷に対する保護効果に劣り、且つ、風雨により塗装したパウダーが消失することから保護効果の持続期間も約1〜3ケ月と短く、更に、保護膜を除去する際には、車体の隙間、例えば、フロントフェンダとフロントフード等の間に付着した保護膜の除去作業に困難を招き、且つ、砂塵過設備等の大掛かりな後処理設備を要するなどの不具合がある。
これらワックスやパウダの塗装による保護層の形成は、一般に塗装ブース内でのスプレーによる吹き付けによって行われることから、塗着効率が約10〜30%であって、残りのワックスやパウダ等は塗装ブース下に落下して循環水によってブース外に排出されて廃棄処分されることから歩留まりが悪く、またワックスやパウダなどがスプレー噴霧されることから塗装ブース内がミストで汚れ、且つ循環水の循環及び吸排気装置の作動に伴う騒音発生等による作業環境の悪化を招く等の不具合がある。
一方、フィルムの貼着による方法は、複雑な自動車の形状に沿ってフィルムを貼設する作業には負荷が大きく、万一貼設したフィルムと塗膜との間に隙間が生じると、この隙間に雨水等が侵入して塗膜の膨潤が発生する恐れがある。そしてフィルムを塗膜表面から単に剥がすことにより保護膜の除去が行え、保護膜の除去作業性に優れるものの、除去後のフィルムを処理するための償却設備等を要する。
この対策として、洗浄水切りされた自動車の塗膜表面に剥離可能な水性塗料を塗装し、その後乾燥させて剥離可能な保護膜を形成する方法があった(特許文献1参照)。
特開平6−142604号公報
特許文献1記載の塗装方法は次の考えに基づいて行われている。
前記のように車両全面に亘って保護フィルムを貼り付けるとウインド等の不必要な箇所にまで貼り付けることになって不経済であるため、例えば塗装表面であるボンネット、ドア、フェンダ等の保護すべき範囲の形状に合せてフィルムをカットして真に必要な箇所にのみ貼ることも考えられるが、しかしボンネット、ドア等の形状は対象機種によって異なり、カット作業も複雑となって作業の自動化が困難であり、しかも形状に合せてカットしたフィルム端部の接着性が問題となり、容易に剥がれないよう工夫する必要がある。
また、塗装表面の全域にスプレー塗装しようとすると、周縁部分を塗装する際にスプレーダストが周辺の塗装の必要でない箇所にまで飛散し、後から取り除くことは殆ど不可能になる。
一方、塗装表面の全域をローラ、或いはハケ等で塗装しようとすると、作業効率が悪く時間を要することになる。
そこで、特許文献1記載の塗装方法はこれらの課題を解決するためになされたものである。図1は自動車の塗装対象部位と塗装手段を示す概念斜視図、図2は自動車の塗装対象部位と塗装手段を示す平面図で、(a)は後述の本発明の塗装方法による場合、(b)は特許文献1記載の塗装方法による場合をそれぞれ示している。
図1(b)および図2(b)に示すように、車両のフード部F、ルーフ部R、トランク部Tの塗装表面を保護すべき範囲とした場合に、フード部F、ルーフ部R、トランク部Tの外周縁に沿って左傾斜ハッチングで示すような一定幅の範囲に、作業員がハケ等を用いてストリッパブルペイントを塗装して塗装層aを形成し、塗装層aで囲まれる点々で示す内部にスプレー塗装して塗装層bを形成するようにする塗装方法を提案している。
このようにすることによって、車体全面を保護フィルムで覆うような場合の自走走行時の視界の制限やフィルムの剥がれといった不具合がなく、ストリッパブルペイントによって必要な箇所に確実な保護層を形成することが出来、不必要な箇所に保護層を形成しないことで、低コスト化が可能となる。
しかもハケ等による塗装とスプレ塗装を組合せることで、後工程の不要な塗装を効率良く行うことが出来るという効果がある、というものである。
本出願人は、外周縁にはハケを用い、囲まれる部分にはスプレーを用いる特許文献1記載の塗装方法に上記のような効果があることは確認できたが、しかしながら、作業員が汎用のローラ又はハケで塗装するやり方は、汎用ローラでは自動車外周縁は通常凹凸や急なアールが多い部位なので、塗れない部位が生じ、またハケ塗装では塗装ムラが出やすく、出ないようにするにはベテランの作業者によって行われるしかない、さらには自動化ができないという欠点があった。
また、特許文献1記載の塗装方法では縦面のドアやフェンダーはどのようにして塗装するのかについては具体例がないが、凹凸のある面であれば、作業員によるしかないであろう。
本発明は、上記欠点を解消するためになされたもので、自動車の中央部および外周縁、すなわち自動車のフード、ルーフ、トランク、バンパー、フェンダー、又はドアといったすべての部位に、短時間で十分な膜厚の一時保護材を自動化により塗装できる自動車一時保護材の塗装方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法の発明は、自動車の保護部位に一時保護材を塗装する塗装方法であって、広域の凹凸の急なルーフおよびフード並びにトランク、ドア、フェンダー等は非接触式塗装で塗装し、また緩曲面ドアおよびフェンダー面と、これらと前記ルーフおよびフード並びにトランクとの境界付近はローラ塗装する塗装方法において、該ローラ塗装には、軸中心を貫通する軸中心孔と該軸中心孔の複数箇所から半径方向に放射状に延びる放射孔とを残して中実をなす中実円筒体と該中実円筒体の外周に取り付けられるローラ刷毛とから構成されるローラと、該ローラをその端部で回転可能に支持するアーム部と、該アーム部を前記圧送ローラの軸を含む垂直面と平行な面で旋回可能に支持する旋回可能支持機構と、該アーム部を上下方向に移動可能に支持する上下可能支持機構、とを備えて成る曲面対応ローラ式塗装装置を用いることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法において、前記非接触式塗装が液膜塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、および液糸塗装のいずれかを用いることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法において、前記ローラ刷毛に繊維材質層とセル材質層による2層以上の複層構造としたものを使用することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法において、前記ローラ刷毛が25mm当たり16以上のセル数を有する第1セル細層とセル数が16より少ない第2セル粗層による2層以上の複層構造としたものを使用することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載の自動車一時保護材の塗装方法において、前記ローラが、軸中心を貫通する軸中心孔と該軸中心孔の複数箇所から半径方向に放射状に延びる放射孔とを残して中実をなす分割中実円筒体と該分割中実円筒体の外周に取り付けられるローラ刷毛とから構成される複数の分割ローラの集合体と、該隣接分割ローラ同士に牽引力を与える引っ張りバネと、複数個の隣接分割ローラの軸中心孔を貫通する柔軟性チューブと、から構成されていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、ドアやフェンダー等の緩曲面である部位において曲面対応ローラ式塗装装置を用いるので、十分な膜厚の塗装が自動化により短時間で行えるようになり、また、非接触式塗装の対象が広域の凹凸面の内側であり境界付近でないなので、ミストの有無を気にせずに十分な吐出量の塗料を出せるので、ローラ式塗装よりもより高速に塗装が行えるようになる。
請求項2記載の発明によれば、非接触式塗装として、好ましくは液膜塗装、もしくはエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、および液糸塗装のいずれかを用いるので、ミストの出ないかつ十分な膜厚の塗装ができるようになる。
請求項3記載の発明によれば、前記ローラ刷毛に繊維材質層とセル材質層による2層以上の複層構造としたものを使用しているので、十分な膜厚の塗装であってしかも仕上がりが綺麗になる。
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法において、前記ローラ刷毛が25mm当たり16以上のセル数を有する第1セル細層とセル数が16より少ない第2セル粗層による2層以上の複層構造としたものを使用するので、請求項3記載のハイブリッドローラと同じような効果、すなわち十分な膜厚の塗装であってしかも仕上がりが綺麗になる。
請求項5記載の発明によれば、複数の分割ローラの集合体から成るローラを用いるので、さらに凹凸の大きな曲面に対しても塗装の自動化が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1(a)および図2(a)は、本発明の塗装方法による自動車の塗装対象部位と塗装手段を概念斜視と平面図を示している。
図2(a)に示すように、車両のフード部F、ルーフ部R、トランク部T、前フェンダーFE1、ドア部D、後フェンダーFE2の塗装表面を保護すべき範囲とした場合に、図2(a)中、点々で示すフード部F、ルーフ部R、トランク部Tの塗装層aは広い面積の曲面で、スプレー塗装等の非接触塗装でスプレーミストを伴わない方法で塗装することができるが、また多少のミストが出ても境界部は除かれているので気にせずに、とにかく十分な厚膜の塗装を高速で行うことができる。
尤も、ドア部DやフェンダーFEであっても、図1(a)に示すように、それが十分に広い曲面である場合には、非接触塗装を行うことができることはいうまでもない。
また、図2(a)中、右下がりハッチングで示す上記非接触塗装の外周縁、ドアやフェンダー等の緩やかな曲面のある縦面部位、およびそれらの境界には、スプレーミストが出ては困り、しかも十分な膜厚が得られ自動化できる曲面対応ローラ式塗装装置を用いるのが特徴である。
特に、図3以下において後述する塗装装置を用いることで、緩曲面である部位に対しても、短時間で十分な膜厚の一時保護材をしかもスプレーミストの心配なく塗装できるようになる。
次に、非接触塗装方法について説明する。
非接触塗装方法としては最近いろいろ提案されたいるが、特に、スプレーミストを伴わない非接触塗装方法としては、(1)エアスプレー塗装、(2)エアレススプレー塗装、(3)液膜塗装、および(4)液糸塗装が挙げられる。以下、それぞれについて説明する。
(1)エアスプレー塗装
エアスプレー塗装は、圧縮空気(例えば3〜5kg/cm2)によって塗料を霧化し、それを被塗装面に吹き付けることによって塗装するものである。
エアスプレーガンもノズル口径は1〜3mm、吹付けエア圧力0.05〜0.3MPa、塗料の吐出量400〜1600g/分、ガン先から被塗面までの距離2〜5cm、一回塗り、塗装量0.1〜0.4kg/m2の条件で塗装を行なったところ、得られた塗面には十分な膜厚でスプレーミストが見られなかった。
(2)エアレススプレー塗装
エアレススプレー塗装は、塗料に高圧(例えば10〜20Mpa)をかけ、その塗料を空気中に吐出する時に空気との衝突により霧化し、それを被塗装物に吹き付ける塗装である。エアレス塗装ガンのノズル口径は0.35〜2mm、吹き付け圧力3〜10MPs、着色塗料の吐出量400〜1600g/分、ガン先から被塗面までの距離2〜10cm、一回塗り、塗装量0.1〜0.5kg/m2、パターン巾2〜5cmの条件で塗装を行なったところ、得られた塗面には十分な膜厚でスプレーミストが見られなかった。
(3)液膜塗装
液膜塗装としては、本出願人に係る特開2003−019451公報記載のものがあり、塗料等の液状物を飛散することなく必要部位のみに塗膜形成可能な塗装方法で、自動車ボディなど立体形状物の上塗塗膜を一時保護する可剥離型塗料を必要部位のみに均一に塗装できる有効な塗装方法である。
この塗装ヘッドは、液状物を液滴状あるいは液膜状に吐出する塗装ノズルと、この塗装ノズルに近接して一定距離隔てた位置に取り付けられ、塗装ノズルと被塗物までの距離を検出する複数個の距離センサーとを具備している。
ラインにおける被塗物の停止位置や傾き等による塗装ロボットとの相対位置関係にズレがあった場合でも塗装ノズルと被塗物面との距離および塗装方向を一定に制御及び修正しながら塗装ノズルを運行させることができるので、塗装ノズルから液膜状に吐出された塗料の塗装幅が常に一定となり、結果的にミストの生じない、均一な膜厚分布を得ることが可能となる。
(4)液糸塗装
液膜塗装は、液体が噴霧ヘッドから液糸の状態で初期投射され、クーロン力の影響下に小滴に破壊されて霧状に噴霧される液体の静電塗装である。液膜塗装としては、特開平05−104035号公報記載のものを用いることができる。 この液糸モード静電噴霧装置は、オリフィスを有する噴霧ヘッド、このオリフィスを通して放射のための噴霧ヘッドに液体を供給する手段。および噴霧ヘッドに供給する液体が優勢的に静電気力の影響下にオリフィスから噴射される噴霧ヘッドに高電位を印加する手段とから成り、オリフィスからの液体の出口速度とオリフィス直近の電位勾配とが、結果として放射液体のくびれ形成を行い、オリフィスの寸法よりも実質的に小さい横断面寸法を有する液糸を形成するものである。通常、液糸がジェットとして噴射されると、小滴への流体破壊を受け、液糸が壊れ、ジェット直径の約1.9倍の直径を有する小滴となるものであるが、この液糸モード静電噴霧装置によれば、同様のものが一般に適用されると、液糸がくびれ形成を受ける結果として、オリフィスから放射される単一流体ジェットから得られるものよりも体積中心値直径が実質的に小さい小滴が生成されることになる。
以上のように、(1)エアスプレー塗装、(2)エアレススプレー塗装、(3)液膜塗装、(4)液糸塗装はいずれもスプレーミストの出ない方法で塗装することができる。
このようにして、本発明によれば、広域の凹凸の急なルーフおよびフード並びにトランクは非接触式塗装で塗装し、ドア、フェンダー等の緩やかな曲面と、これらと前記ルーフおよびフード並びにトランクとの境界付近は曲面対応のローラ式塗装装置を用いるので、被塗装物のすべての塗装部位に、短時間で十分な膜厚の一時保護材をしかもスプレーミストが出ないようにして塗装でき、自動化も可能となる。
次に、(1)本発明の塗装方法を実施するのに最適な圧送ローラについて説明し、次に、(2)この圧送ローラを使用した全自動化塗装装置について、さらに、(3)全自動化装置の前後の工程について、そして、(4)本発明の塗装方法の実行の直前に行われるローラ均しついて説明し、最後に(5)本発明の塗装方法について詳細に説明する。
(1)本発明の前提となっている片又は両圧送ローラについて、図3〜図5を用いて説明する。
図3において、40は両圧送ローラの刷毛部分であるローラ刷毛組立体で、41はそのローラ刷毛を回転自在に支持するアーム、42はアームに差し渡された下部フレーム、44は塗料圧送管である。
50は旋回可能支持機構であり、51は延設板で下部フレーム42の上面に延設される。53は旋回機構の中間フレーム、53aはその基台であり、52は板51と中間フレーム53を回動自在に連結するピンである。
60は上下動支持機構であり、64は上下動支持機構の上部フレーム、61はそれを支えるアーム、62はアーム61を基台53aに揺動可能に、係止するピンである。
図4は図3のローラ刷毛組立体40の側面断面図であり、71は中実円柱体で、72は中実円柱体71の外周に嵌着されるローラ刷毛で、73は軸中心孔、74は90度差で半径方向へ配設される放射孔、75は放射孔74からの塗料を拡散させる溝で、78はドラム、79は溝75に合致する孔である。
図5はローラ刷毛組立体40の正面断面図で、82は円板、81はそれを係合させるガスケット、83はボルトである。
両圧送ローラは、中実円筒体71の両端部には塗料圧送管44が接続され、その塗料圧送管44は移送ポンプに接続されて、ローラ刷毛組立体40は軸中心孔73の両端から塗料が供給される。軸中心孔73から塗料は各放射孔74を経て環状の溝78に送られ、溝78を介してローラ刷毛72に分配される。これによって塗料が塗装用ローラの両端から供給され、且つ、両端が支持されているために、軸中心を貫通する軸中心孔73全体に亙って液圧が均一になり、塗装用ローラに加わる押圧力が均一となるので、ローラ全体に塗料を均一に分配できる。
ローラ刷毛72としては、従来の汎用ローラであるウーローラか、砂骨材ローラを用いることができる。ウーローラは、繊維質から成るローラであるので、塗料を一度に厚く付けられないため厚膜化には不向きであるが、塗料のボタ落ち(塗料タレ)は含みを確保できるので少なく、また、塗面泡の発生も抑制でき、仕上がりが綺麗になる効果を有する。
一方、砂骨材ローラはセル(孔)の集合体によるローラで、単位長さ当たりのセル(孔)数が多い場合はウーローラに近いものとなり、厚膜化には不向きであるが、塗料のボタ落ち(塗料タレ)は少なく、また、塗面泡の発生も抑制できる。逆に、セル数が少なくなると、セル集合体の塗料吐出量が大きいので塗料のボタ落ちが発生しやく、セル集合体は空間容積が大きいために、転写界面で泡の巻き込みが発生するので塗面泡の発生が多くなるものの厚膜化には適しているという得難い長所がある。
したがって、砂骨材ローラとウーローラの2層構造としたハイブリッドローラとすると、砂骨材ローラの持つ長所とウーローラの持つ長所とが発揮が兼ね備わった塗装用ローラが得られる。図5のローラ刷毛72はこのハイブリッドローラを示している。ここではコア側にウーローラ72aと表面側に薄目の砂骨材ローラ72bの構造としている。これによって、1層目のウーローラ72aで塗料の含みを確保して塗装後のボタ落ちを抑制し、2層目の砂骨材ローラ72bにより膜厚の制御(膜厚調整)と安定した転がりを確保することによって、自動車ボデイ等の塗装面6に厚膜で、かつ泡の発生も防止できる仕上がり外観の良い塗装を行うことができるようになる。
また、その逆でもよい。逆の場合は、砂骨材ローラ72bの厚みは大きく取ることができる。
種々の実験の結果、ハイブリッドローラで、セルの膜厚を14mmとしたものは塗料のボタ落ちが発生しにくく、転写界面で泡の巻き込みが行われ易いため塗面泡の発生が若干生じたが、許容範囲であった。
一方、セルの膜厚を5mmと薄くしたもののは、厚膜化に適し、塗料のボタ落ちが発生しにくく、塗面泡の発生もなかった。膜厚と仕上がり外観が両立できた。
また、砂骨材ローラであっても、単位長さ当たりのセル(孔)数が多い場合はウーローラに近いものとなるところから、前記ウーローラに替えてセル数が多い場合はウーローラを用いた粗さの異なる同じ砂骨材ローラでローラを構成することも可能である。その場合、種々の実験の結果、25mm当たり16以上のセル数を有する第1セル層と、セル数が16より少ない第2セル層による2層以上の複層構造としたものが、厚膜化に適し、塗料のボタ落ちが発生にくく、塗面泡の発生もなかった。膜厚と仕上がり外観が両立できた。
図3に戻って、また、両圧送ローラは図3に示すように、矢印A方向への旋回機構50と、矢印B方向への上下動支持機構60をそれぞれ有することで曲面に対応可能なローラとなっている。これについては後述する。
図6は曲面に対応可能なローラで図3に符号40で示したローラ刷毛組立体の変形例である。(a)は平らな面、(b)は凹凸形状の面を塗装する場合のそれぞれ断面図である。図7は5個の分割ローラから成るローラ刷毛組立体の外観図で、(a)は定常時、(b)は分割ローラ同士を離間させた状態、(c)は図(b)の一部拡大図である。
図6に示したように、ローラ刷毛組立体10は、分割中実円筒体11と分割中実円筒体11の外周に嵌着されるローラ刷毛12とから成る分割ローラ10aの複数個と、隣接分割ローラ10a同士に牽引力を与える引っ張りバネ11bと、複数個の隣接分割ローラ10aの軸中心孔を貫通する柔軟性チューブ15と、から構成されている。
分割中実円筒体11は、合成樹脂又は金属等によって中実に形成されており、ただその軸心に貫設された軸中心孔13と、軸中心孔13の複数箇所から半径方向に放射状に延びる放射孔14とによって塗料供給通路が形成された中実構造となっており、両側面部に環状凹部11aが設けられ、この凹部11aに引っ張りバネ11bが取り付けられ隣接する分割ローラ10aとの間で通常は互いに引っ張り合っているが、図7(c)の拡大図から判るように、外力を加えると、分割ローラ10a同士は離間することもできる。
放射孔14(図6)は図4に符号73で示すように軸中心孔13(図4では符号74)を中心に90度おきに1本づつ半径方向へ延び、合計4本で構成されている。もちろん4本に限るものではないし、また孔の径も使用する塗料の粘度等によって自由に決められるものである。
各軸中心孔13および各引っ張りバネ11bの内部を柔軟性のある1本のテフロンチューブ15が貫通している。各軸中心孔13内ではテフロンチューブ15がテフロンチューブ15に開けられた孔と中心孔13から延びる放射孔14とが一致するようにして各軸中心孔13に密着取付されている。
このようにすることにより、塗料が各分割ローラ10aの放射孔14内にスムーズに供給されると共に、引っ張りバネ11bを塗料で汚すこともおきなくなる。
放射孔14の各出口には、その出口から周方向に一周する溝が形成されているので、放射孔14から出た塗料は周方向の溝を通って周方向に広がりやすくなり、塗料が速くローラ全面に均一に広がるので、均一な塗装に寄与することとなる。
最外側の分割中実円筒体11には、外周にフランジ11aが形成され内周に雌ねじ16bが形成された円板16が設けられている。
また、ローラ刷毛12は、剛性を有する合成樹脂,金属等によって形成されたドラム18に合成樹脂繊維が接着または植設されている。ドラム18には、その周壁に溝に合致する多数の孔が貫設されている。
そして、このローラ刷毛組立体10は、分割中実円筒体11のフランジ16aにガスケット11cを添設させた状態で、分割中実円筒体11の他端からローラ刷毛12を嵌着させ、次いで分割中実円筒体11の他端にガスケット11cを介して円板16を係合させ、ボルト19を分割中実円筒体11の雌ねじ16bに螺合させ、引っ張りバネ11bで互いに引っ張り合うことによって、一体化される。
平らな面の塗装は図6および図7の(a)のように、各分割ローラ10aは同一軸線上に並んで回転し、両端から塗料を供給しながら塗装をする。この場合は図5のローラ刷毛組立体40場合と同じである。
次に、凹凸形状の面を塗装する場合は、引っ張りバネ11bの引っ張り力に対して直角な方向の摩擦力に抗してかつ柔軟性のあるテフロンチューブ15によって図6(b)のように、各分割ローラ10aが凹凸に応じた形状に沿うよう互いにずれるので、凹凸形状の面に沿って塗装することが可能となる。
図5のローラ刷毛組立体40に代えて、図6の分割形のローラ刷毛組立体10を用いて曲面塗装を施すれば、さらに凹凸の大きな曲面に対しても効果が増すことはいうまでもない。分割数を多くすればするほど凹凸の大きな曲面に対して効果が増すこととなる。
また、ローラ刷毛組立体10のローラ刷毛構造に上記のハイブリッド又は粗さの異なる復層の砂骨材ローラを使用すると、さらに十分な膜厚と仕上がりの綺麗な塗装が行われるようになる。
図8は旋回機構50(図3)の動作を説明する図で、図8(a)は平らな面を転動する状態で、図8(b)は右上がりの曲面を転動する状態を、図8(c)は左上がりの曲面を転動する状態を夫々示している。
図8(a)では平らな面をローラ刷毛組立体40が転動するので、中間フレーム53はピン52を中心に水平状態になっている。
図8(b)では、ローラ刷毛組立体40が右上がりの曲面にさしかかると、中間フレーム53はピン52を中心に回転するので、中間フレーム53は水平を保ちながらも、下方のローラ刷毛組立体40は右上がりの曲面に沿って転動することができる。
また、図8(c)では、ローラ刷毛組立体40が左上がりの曲面にさしかかると、中間フレーム53はピン52を中心に逆の方向へ回転するので、中間フレーム53は水平のままローラ刷毛組立体40は、右上がりの曲面に沿って転動することができる。
一方、図9は上下動支持機構60(図3)の動作を説明する図で、図9(a)では低い面をローラ刷毛組立体が転動するので、上下動機構60はそのアーム61、61の開き角度が大きい状態になって、ローラ刷毛組立体40は下方へ達することができる。
図9(b)では、高い面をローラ刷毛組立体40が転動するので、上下動機構60はそのアーム61、61の開き角度が狭い状態になり、ローラ刷毛組立体40は高い面に退却できる。
このように上下動機構60と、旋回機構50によって、上下且つ左右に傾斜のある曲面でも均一な塗装が可能になる。
図10は塗装ロボットの制御装置の概念図であり、図11は中央制御装置のブロック図である。
ロボット自体については基本的には、例えば、図10に示すように、多関節型ロボット本体94のアーム741の先端に両圧送ローラ29が装着されて、中央制御装置95の指令によりロボット制御装置742によって制御される構成等による。
図11は中央制御装置の一般的なブロック図であり、センサ入力として温度/湿度センサ96と、負荷(塗装装置)の位置データ等を検知して監視制御を行うための位置センサーとして、リミットスイッチの検知地点よりパルスカウントにより移動距離と方向を算出するパルス・カウンター方式の位置センサー、あるいは光学的位置検出センサー97等を備えている。
中央制御装置95は、受信した温度/湿度、位置データの処理、RAM751内の軌跡データの解析、ポンブ制御装置731や、ロボット制御装置742による制御等、塗料供給システムと塗装駆動装置の双方を制御する自動塗装装置全体のシステムを制御するCPU750と、塗装軌跡、環境の温度、湿度、塗料の種類や粘度、塗料圧送ポンプ圧、塗料圧、供給塗料の温度等についてのデータを記憶するRAM751と、CPU750の演算処理手順を記憶するROM752等を備えている。そして、RAM751に収集された各種状況データにより、動作指令に対する各種補正が行われる。
つぎに図11のブロック図の動作を説明する。
今、塗装(塗装)しようとする対象に、どの塗料を用いて如何なる膜厚の塗装をするかの塗装条件(例えば、自動車ボディに保護膜を塗装する工程で、水溶性塗料のラップガード(商品名)を用いる等)をキーボード754から入力する。
一方、温度/湿度センサー96からは環境の検出信号が中央制御装置95へ送られる。中央制御装置95では塗装条件、温度/湿度の検出信号等に基づいて、塗装条件を満たすための最適塗料吐出量等を演算して塗料流量制御装置731へ指令し、塗料流量制御装置731は指令に従って、塗料流量を制御する。
また、中央制御装置95は、記憶する塗装軌跡を基に動作指令を作成してロボット制御装置742に指令を与えて動作させ、塗装ロボット27、28のアームの移動位置、速度、ローラの押圧力などを、実際のアームのセンサー等の検出値と指令値の偏差を解消するように駆動制御される。
このような圧送ローラ搭載ロボットによれば、塗装ロボット27、28のアームに曲面対応の両圧送ローラ29、30を装着して自動塗装を行うようにしたので、塗装面に凹凸があっても塗装面の凹凸に追随して塗装が可能ので、従来の自動スプレー方式に比較しても、膜厚のより均一な保護膜の塗装が可能になる。
また、ローラの通過箇所しか塗装しないので、従来のスプレー方式のようなダストが全く生じないので、塗料を無駄にしない正確な塗装が可能である。
また、ロボット制御装置側は、塗装面の凹凸状況をいちいち認識して、塗装ロボットのアームを塗装面に合わせて上下させると言った複雑な軌跡制御を行う必要も無く、蛇腹状軌跡に沿って平面的な軌道制御を行えばよいので、制御が著しく簡単化され、スピードアップが可能になる。
また、同じことは進行方向つまり塗装面が左右方向へ勾配を持つ曲面に対しても言えることで、水平駆動制御だけで済むので、制御が簡単化されスピードアップが可能になる。
このようにこの圧送ローラは自動化に最適な構造の塗装ローラである。
以上は、両圧送ローラについて説明してきたが、本発明の塗装方法に適しているのは、上記両圧送ローラについてだけいえるのではなく、同じく片圧送ローラについても同じことが当てはまる。
そこで片圧送ローラについても以下に説明することとする。
図12は片圧送ローラ塗装駆動装置の片圧送ローラの斜視図であり、図13は片圧送ローラの分解斜視図である。
図12および図13において、900は片圧送ローラであり前実施の形態の両圧送ローラとの相違は塗料圧送管が片側だけの点が異なり、大きく別けてローラ刷毛901と、ローラ支持体903と、ハンドル904で構成される。
ローラ刷毛901は塗装面となる自動車のボディーを転動して塗料を塗装するもので、前実施の形態と同材質のものであり、このローラ刷毛901を回転自在に支持するローラ支持体903を有し、ハンドル904はこれを支えてローラ刷毛901に塗料を供給する。ハンドル904の先端にはローラ支持体903が片持ち支持されている。ハンドル904は剛性を有する金属製で、例えば、ステンレス鋼製の塗料導管となっている。ハンドル904の後端には塗料供給管が接続され、操作レバーにより塗料供給管から圧送される塗料をハンドル904側へ流入・遮断が可能になっている。
ローラ支持体903には、回転可能にディフューザ902を取付け、図13に示すように、複数なディフューザ単体831〜836を有している。各ディフューザ単体は多角形で、その各頂部方向に中央部から放射状に伸びる略星形の中空部を有する柱状形で、各ディフューザ単体831〜836の凹部とローラ901の内周面とによって各塗料貯溜室が形成される。このディフューザ902を覆うのがローラ刷毛901である。
また、ローラ刷毛901は、筒状のローラ901aとローラの外周に装着される円筒状の刷毛素体901bから構成され、ローラ901aは全周に亙り内外を連通する複数の噴出孔が設けられている。
この状態で圧送される塗料は、フレーム本体904、ローラ支持体903、更にローラシャフト906の塗料供給孔906aを経て、ディフューザ902内の塗料溜まり内に圧送され、各塗料貯溜室に分散導入される。そこから噴出孔を通ってローラ901aの外周へ噴出し、刷毛素体に浸透する。
このような片圧送ローラ900は両圧送ローラより、構造、操作が簡単なので、例えば、左右の側面が邪魔で底面の塗装が側面との境界付近までは不可能なようなケースでは、両圧送ローラに代えて片圧送ローラを使用する等、それぞれに適した状況で使い分ければ塗装効果がより改善される。実際の塗装ロボットでは交換可能なアタッチメント形式で片、両の双方を準備すれば、使い勝手が良くなる。
(2)両圧送ローラを使用した全自動化塗装装置について:
図14は後述の本発明の塗装方法が用いる全塗装自動化装置の全体構成図である。図14において、100は塗料調合室であり、この塗料調合室100内には、塗装ローラに塗料を供給する塗料供給系110〜と塗装ローラを洗浄するために塗装ローラに洗浄剤を供給する洗浄剤供給系160〜とが設けられている。
まず、塗料供給系110について説明する。以下、ここで言う塗料とは上述のように塗膜保護用の粘度の高い塗料を指している。
111は塗料缶、112はポンプ、112Aはポンプ駆動用モータ、113はレギュレータ、113Aは目盛ゲージ、114は塗料内に混入する異物を除去する溶液用フィルタ、115は塗料タンク、116はポンプ、116Aはポンプ駆動用モータである。塗料缶111内の成膜用の水性塗料はポンプ112で吸引されて塗料缶111から出て、レギュレータ113で液圧を制御され、溶液用フィルタ114で不純物を濾過されて塗料タンク115に入る。
塗料調合室100の外には、レギュレータ120、目盛ゲージ120A、塗料内に混入する異物を除去する溶液用フィルタ121、移送される塗料の温度を調節する熱交換器130、液量安定化装置140がある。液量安定化装置140を出た塗料は塗装ブース内の2台の自動塗装装置に供給するため2つの配管151と152にそれぞれ分岐する。2台の自動塗装装置に供給した後の剰余塗料は戻り配管155を通って塗料タンク115に戻る。
次に、洗浄剤供給系160について説明する。
161は洗浄剤ドラム 、162はポンプ、162Aはポンプ駆動用モータ、163は洗浄剤用フィルタである。洗浄剤用フィルタ163を出た洗浄剤は2つの配管153と154にそれぞれ分岐して、塗装ブース内の2台の自動塗装装置にそれぞれ供給される。
170は塗装ブースである。
塗装ブース170内には、2台の塗装ロボット171と172が設けられており、171a、172aはその塗装ロボット171と172の各アーム先端に装着された本発明に係る曲面塗装対応型の両圧送ローラである。各両圧送ローラ171a、172aはブースの入口に設けられたCCV(color change valve:切替バルブ)173、174の出口側とそれぞれ配管175、176で繋がれている。CCV173、174は1種類の塗料をオン・オフさせてニードルバルブと異なり、複数塗液をエアの切替で複数塗液の1つを吐出させることのできるバルブである。ここでは、CCV173の入口側に塗料配管151と洗浄剤配管153が繋がれていて、CCV173はエアの切替で、その都度一方の配管から他方の配管へ切り替えることができるようになっている。各CCV174についても同様に入口側には塗料配管152と洗浄剤配管154が繋がれていて、CCV174はエアの切替でその都度一方の配管から他方の配管へ切り替えることができるようになっている。
なお、CCV173、174は図14では塗装ブース170の入り口に設けているが、塗装ロボット171と172のアーム近傍に設けておくと、洗浄剤の消費が少なくて同じく塗装ローラ171a、172aの洗浄が行える。
図14において、Wは検査工程ラインやマスキング工程(3)を経て塗装ブース170内に搬入された自動車等の被塗装媒体であり、塗装ブース170で保護膜を塗装される。塗装ロボット171と172でローラ塗装が行われ、そして、200でスプレー塗装等の非接触塗装が行われる。または、その逆で、塗装ロボット171と172でスプレー等の非接触塗装、200でローラ塗装が行われてもよい。そしてここで塗装された自動車Wは塗装ブース170から出て、次の乾燥工程(6)へ進む。
以下、上述の各構成要素について簡単に説明する。
図15は塗料タンクの1例を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。塗料タンク115は塗装液表面に皮張りができるおそれのない高品質の塗料貯蔵が確保でき、かつタンクの小型化及び構成の簡素化となるタンクで、塗料タンク115は、水性塗料を貯蔵するタンク本体115aと、タンク本体を密閉的に閉鎖する蓋115bと、タンク本体内115aに貯蔵される水性塗料P内に水性塗料Pを流入する補給配管115c、給送配管115h、戻り配管155とを備えている。タンク本体115aは上方が開放した有底円筒状のタンクでテフロン等の液切れの良い材質で内部コーティングしてある。タンク本体115aの底部115eの近傍に張設されたスクリーンメッシュ115fと、タンク本体115aの側壁115gの上端に固設されて、タンク本体115aを密閉する蓋115bを載置している。
補給配管115cおよび戻り配管155は、タンク本体115aの側壁115gの中間高さに位置し互に異なる高さで側壁115gを貫通して設けられており、かつ各先端部はタンク本体115a内において図15(b)に示すように側壁115gに沿って周方向に折曲し、各補給配管115c、戻り配管155の先端から水性塗料内流入する水性塗料Pが渦を形成するようにして、タンク本体内115aに貯蔵されている水性塗料Pを空気を巻き込まないで静かに撹拌するようにしている。塗料タンク本体115aの底部115eに排出管115hが接続され、ポンプ116によって塗装ブース170内の塗装装置へ塗料が供給される、本発明に係るロボットおよびローラによって自動車の塗膜上に塗装される。
塗装ブース170側で余剰となった塗料は戻り配管155を経由して塗料タンク115内に戻される。塗料の使用により塗料タンク115の塗料Pの液面Lが予め設定された下限値まで降下すると補給ポンプ112の作動により塗料缶111から補給配管115cを介して塗料Pが塗料タンク115内に補給され、液面Lが予め設定された上限値に達すると補給が終る。
このように塗料タンク115内の塗料Pの液面Lは、設定された上限値と下限値との間を間欠的に変動せしめられる。しかし、タンク本体115aの上端は蓋115bにより密閉的に閉鎖されることから塗料タンク115内の塗料Pの上方に位置する空間内は過度に乾燥することなく、塗料Pに含有する水分の蒸発等により湿度略100%の加湿状態に保持され、液面Lより上方の側壁115gの内面に付着残存する塗料及び液面Lにおける塗料の乾燥が回避されて側壁115gの内面及び液面Lでの塗料Pの半固形化、即ち皮張りの発生が回避される。
一方、塗装作業中における塗料タンク115内の塗料Pは、戻り配管155の先端から側壁115gに沿って流入する塗料によって常時緩やかに撹拌され、塗料中に含有する顔料の沈降による凝結、いわゆるケーキングの発生が防止できる。
また、補給配管115c及び戻り配管155の各先端部はタンク本体115a内の塗料Pの内部に突出しているので、空中の泡を巻き込むことがない。
また、従来装置のように、撹拌ポンプを別途用いる必要がないので、コスト安となる他、空中の泡を巻き込む虞もない。
このように、塗料タンク115によると、水性塗料Pを貯蔵するタンク本体115aの上部を蓋115bにより密閉することから、タンク本体115a内の上方の空間が、水性塗料Pに含有する水分の蒸発によって加湿状態に保持され、塗料液面Lより上方の側面115g内面に付着する塗料及び液面における塗料の乾燥が回避されて皮張りの発生が防止され、かつ供給配管115c及び戻り配管155からタンク1内に流入する塗料によりタンク1内の塗料Pが撹拌されて顔料の沈降に伴うケーキングの発生が防止され、皮張りやケーキングの混入がない均一な塗料の貯蔵が可能になり、かつオーバーフロー槽や撹拌ポンプが不要になることから構成の簡素化及び小型化が図られる。
次に、使用するポンプ112の1例を簡単に示しておく。
ポンプ112としては、ここでは加圧タイプのダイヤフラムポンプが用いられ、これによって塗料の移送量を大きく増量できるという特長がある。
図16は使用するポンプ112の縦断面図である。
駆動モータ112A(図16)等により脈動圧導入路1129を介して負圧が脈動圧室112Q内へ導入されると、ポンプダイヤフラム1128は脈動圧室Q側へ移動してポンプ室112P内の室容積を増加してポンプ室P内の圧力を低下させる。これによると吐出側逆止弁112Uは吐出弁座1124を閉塞し、一方吸入側逆止弁112Vは吸入弁座1122を開放する。従って、塗料缶111(図16)内の塗料は、吸入路112T、吸入弁座1122を介してポンプ室112P内へ吸入される。
次いで、脈動圧導入路1129を介して正圧が脈動圧室112Q内へ導入されるとポンプダイヤフラム1128はポンプ室112P側へ移動してポンプ室112P内の室容積を減少してポンプ室112P内の圧力を高める。これによると、吐出側逆止弁112Uは吐出弁座1124を開放し、一方吸入側逆止弁112Vは吸入弁座1122を閉塞する。
従って、ポンプ室112P内に貯溜された塗料は、吐出弁座1124、吐出路112Sを介して吐出される。
そして、脈動圧導入路1129より継続的に脈動圧力が脈動圧室112Q内へ導入されると、ポンプダイヤフラム1128は継続的に往復動をなすもので、これによって昇圧された塗料が連続的に供給される。
ポンプ112の吐出工程時において、吐出路112S内には昇圧された塗料がポンプ室112Pから供給されるもので、これによると吐出路112Sに臨んで配置された吐出側サージダイヤフラム112N2は圧力を受けて吐出側サージタンク112K内に向けて変位し、吐出側サージタンク112K内の圧力を上昇させる。そして、この上昇した圧力は仕切壁112Lに設けた連通路112Rを介して吸入側サージタンク112J内へ導入され、吸入側サージダイヤフラム112N1に押圧力を付勢し、吸入側サージダイヤフラム112N1に吸入路112T側に向かう押圧力を蓄圧する。これは前記サージタンク112J、112K内には圧縮性を有する空気が封入されることによる。
次いで、ポンプの吸入工程に入ると、吸入弁座1122は吸入側逆止弁112Vによって開放され、ポンプ室112P内の負圧によって吸入路112T内の塗料がポンプ室112P内へ吸入されるが、このとき、前記吐出工程において吸入路112T側に向かう押圧力を蓄圧された吸入側サージダイヤフラム112N1は、一気に吸入路112T側へ変位し、吸入路112T内の塗料をポンプ室112P内に向けて圧送する作用をなす。
このようなポンプ112によると、ポンプ室112P内には、ポンプダイヤフラム1128の移動によるポンプ室112Pの負圧吸引作用による塗料流入に加え、吸入側サージダイヤフラム112N1の変位による塗料の圧送作用に流入が付加されるもので、これによってポンプ室112P内には従来に比較して多量の塗料を吸入できる。
次いで、ポンプ室112Pの吐出工程に入ると、ポンプ室112P内に貯溜される塗料が吐出弁座1124を介して吐出路112S内へ吐出されるもので、上記によって塗料吐出量を大きく増量できる。
次に、ここで用いるフィルタについて1例を示す。
図17は塗料内の沈降性物質が底部に沈殿しにくい塗料フィルタを示している。この塗料フィルタ500は、図17に示すとおり、塗料供給路に接続されるジョイント501、502を両側に備えたヘッド511の下方に、底板カバー512を備えたシェル513をロッド514を介して固定してなるフィルタハウジング515中に、中空のフィルタカートリッジ503が配されたもので、入口側のジョイント501と連通するヘッド511の入口ノズル511aから進入した塗料は、フィルタカートリッジ503の周囲からフィルタカートリッジ503の中心側へ向かって通過してろ過され、その後に、フィルタカートリッジ503の中空部を上方へ移動して出口側のジョイント502から塗料供給路へと圧送される。
504は、フィルタカートリッジ503をシェル513内で所定位置に配するためのガイドスプリングであり、505は各種計測用ゲージのための接続部である。このような塗料フィルタ500において、フィルタカートリッジ503を交換する際には、ロッド514の先端に設けられたナット516を弛めてシェル513をヘッド511から取外 して、内部のフィルタカートリッジ503を交換する。
このように、溶液の供給時にフィルタ本体が溶液供給側の上方に位置するようになっているので、フィルタ本体内を通過する塗料内の比重の大きな沈降性物質がフィルタ本体内に沈殿・蓄積することがなくなる。
次に、塗料の温度調節を行う熱交換器130(図14)について図18を用いて簡単に説明する。
図18において、130は熱交換器である。フィルタ121(図14)を出た塗液は熱交換器130内の熱交換部136の一次側コイル136aを通って液量安定化装置140へ行く。一方、熱交換部136の二次側コイル136bには温水および冷水が混ぜて通される。
冷水タンク131aと冷水ポンプ132aとにより冷水が吸い上げられ、配管133a、133c、133eを通って元に戻る冷水供給手段が構成されている。
塗料が配管151を通過すると、計測器が塗料温度を検出し、計測結果液温が低いとこれに基づいて三方弁134aの開度を制御し、熱交換部136に対する温水の供給量を増加するとともに冷水の供給量を減少させる。また、計測器の計測結果で塗料温度が上昇し過ぎると、三方弁134aを制御し、熱交換部136に対する冷水の供給量を増加させるとともに温水の供給量を減少させる。このように三方弁134aの調節によって熱交換部136に送る冷熱媒の量を調節することで塗料温度を調節することができる。
何等かの原因によって急激に塗料温度が低下する場合があるが、この場合は、熱交換部136に冷媒が送られないように三方弁134aの開度を調節するとともに、熱交換部136に熱媒が連続して最高量送られるように三方弁134aの開度を調節する。 以上のように冷熱媒の供給を調節することで塗料温度を調節することができる。
この熱交換器130によれば、最低限の塗料のみを温度調節すれば良いので省エネルギーの熱交換器となる。
図19は液量安定化装置の1構成例を示す。
図において、140は液量安定化装置、141はエアオペレート式コントロールバルブ、142は流量計、143はカウンタ、144はバリアアンプ、145はアナログメモリユニット、146は調節計、147は変換器である。
タンク115(図15)からの塗料は、熱交換器130(図18)を経て液量安定化装置140に至り、ここではエアオペレート式コントロールバルブ141および流量計142を介して図14のCCV140を経て最終的に自動塗装ローラ171a、172aから被塗装物に向けて吐出される。
塗装ローラ171a、172aは、塗装ロボット171、172からの制御信号によってモータ、電磁弁等の駆動に連動して進退駆動され、これに応じて塗料吐出のオン/オフ制御が行われる。また、電磁弁の駆動に連動して塗装ローラ171a、172aのローラ吐出用エアのオン/オフも行われる。
さらに、塗装ロボット171、172からの電磁弁の駆動制御信号(オン/オフ信号)はカウンタ143に送出される。
流量計142は、塗料流量に応じた周波数のパルス信号を発生し、このパルス信号はカウンタ143およびバリアアンプ144を介して、D/A変換手段および記憶手段を有するアナログメモリユニット145に供給される。
カウンタ143は、流量計142のパルス信号および塗装ロボット171、172のオン/オフ信号を受信してアナログメモリユニット145の制御信号を生成する。すなわち、カウンタ143は、塗装ロボット171、172からの信号の立ち上がり(オフからオン)に応じて流量計142のパルス信号の計数動作を開始し、パルス数が設定値に達したときに、フィードバックに配設されたアナログメモリユニット145に供給する制御信号をオンとする。
カウンタ143は、塗装ロボット171、172からの信号の立ち下がり(オンからオフ)に応じて計数値がリセットされ、立ち上がり(オフからオン)に応じて計数動作を開始するものでも、塗装ロボット171、172からの信号の立ち上がりに応じて計数値のリセットおよび計数動作の再開を行うものでもよい。
アナログメモリユニット145は、カウンタ143からの制御信号がオンのときには入力した信号に対応した値の電流を出力し、オフになるとその時点での入力信号に対応した電流値をホールドして出力するように構成されている。
アナログメモリユニット145の出力信号は、流量の測定値として調節計146に供給される。
調節計146は、コントロールバルブ141の開度すなわち流量のPID制御を行うPID調節計の形態を有し、さらに流量設定値(目標値)とアナログメモリユニット145からの入力値(フィードバック値)とを表示するための表示器を内部に有している。調節計146は設定値と入力値とを比較し、誤差に対応した制御信号を出力し、その出力信号は変換器147に供給される。変換器147は減圧弁を介して供給される圧縮空気圧を調節計146の出力信号レベルに応じて調節し、エア制御型のコントロールバルブ141に制御空気として供給する。
コントロールバルブ141は、供給される制御空気圧に応じてバルブ開度を調整し、これによって、塗料流路への塗料の付着等の環境要因によらず、設定値からの偏差が最小となるように塗料流量が制御される。
水性塗料通路部への塗料の固着等によって塗装ローラ171a、172aの吐出流量が変化した場合、この液量安定化装置によれば、塗装ローラ171a、172aのオン/オフで塗料の流れが断続されても、オン時の立ち上がり時に塗料の吐出が円滑に行われるとともに、安定した制御が可能となる。
また、流量に対応して流量計が発生するパルスを計数し、その計数値に応じてフィードバック制御に移行するようにしたので、流量計のタイプによって定まるパルス数の計数値を電子カウンタに初期設定しておけば足り、吐出量の変更に応じてタイマの設定時間を変更する必要がなくなるので、システムに対して操作者が設定すべき項目数が減り、かつ煩雑な操作が回避できる。
(3)全自動化装置の前後の工程について:
自動車に塗膜保護の保護膜を形成する工程の前段は、次のようになっている。
(1)まず、車をきれいに洗浄し、(2)水切し、(3)保護膜を形成するところ以外をマスキングし、(4)この保護膜を塗装し、(5)必要に応じて補正仕上塗装した後、(6)乾燥させて終了する。
すなわち、(1)保護膜を形成すべき自動車Wは、洗浄工程に搬入され、車体全体を回転ブラシを使用するシャワー式洗車装置により洗浄して塗膜表面に付着した雨水や塵埃等を除去する。寒冷期には塗膜表面に付着した水滴の凍結により塗膜表面に傷を付けるおそれがあることから例えば30〜50℃の温水を用いる。
(2)洗浄工程で洗浄された自動車Wの塗膜を、続く水切工程において約30〜70℃の温風によるエアブローにより塗膜表面に残存する洗浄水を除去して乾燥させる。洗浄工程に使用される温水と水切工程で使用される温風によるエアブローにより後工程である塗装工程における水性塗料の塗装を良好にするため自動車の表面温度を適切に保持できる。表面温度は塗料の成膜性からすると15℃以上、望ましくは20〜30℃である。
(3)水切工程において洗浄水切り乾燥された自動車Wは次のマスキング工程で水性塗料を塗装する塗装範囲と非塗装範囲とを仕切るためのマスキングテープを貼着し、かつエンジンフードに開口するインテークダクトやその他塗装範囲内にある樹脂部品等の非塗装部品をカバー等の載置により被覆する。
(4)続く塗装工程において、予めマスキング工程で区画された塗装範囲をローラ刷毛の塗装装置によりアクリルエマルジョンを主成分とした水性塗料(例えば関西ペイント社製ラップガードL)を塗装する。
(5)必要に応じて行うことができる次の仕上塗装工程では、前記マスキング工程で貼着したマスキングテープの剥離除去及びカバー等を除去し、かつ塗装範囲の細部の未塗装部分を刷毛或いは小型のローラ刷毛を用いて手動で水性塗料を塗装仕上げする。なお、マスキング工程、塗装工程及び仕上塗装工程の各工程は塗装ブース内で行われる。
(6)続く乾燥工程において赤外線乾燥炉を用いて約30〜90秒間赤外線照射により塗装された水性塗料の内部からの乾燥を促進させ、続いて熱風乾燥炉を用いて被塗装物全体を均一に加熱して水性塗料を乾燥又は熱風乾燥炉だけを用いて乾燥させて保護膜を形成する。熱風乾燥炉としては水性塗料の成膜性、自動車の各種電装品等の付属部品保護の観点から乾燥温度が50〜100℃で風速が毎秒0.5〜8mの条件下で約2〜10分間乾燥せしめることが好ましい。
また、上記工程に代えて、インライン方式を採ることも可能である。その場合は、自動車の塗装(中塗り、上塗り)が終わってさらに検査終了後に、保護用塗料が塗装され、乾燥され、その後、計器等の部品が取り付けられて完成車となる。
ここで言う塗料は、前述のように、塗膜保護用の塗膜形成用のものであり、通常のカラー塗料と比べて粘度が高いので、従来のスプレー式の自動塗装装置では実現が困難であった。したがって、従来は塗装ローラを用いた手作業による塗装で行っていた。
ところが、今回、本出願人の発明に係る自動塗装ローラの出現により、粘度の高い保護膜の形成を塗装ローラで全自動化することが可能となった。
前述の全塗装自動化装置は、上記(1)〜(6)の工程のうちの(4)の塗装工程の全自動化に用いられるものであり、ローラ均しは本発明に係る塗装方法の実行に先立って行われるものである。
(4)ローラ均しについて:
図20はローラ均し装置の1例で、(a)は正面の斜め上から見た斜視図、(b)は図(a)の右側から見た側面図、(c)は(b)の斜め上から見た斜視図である。
図において、20はローラ均し装置、21は塗料の均一化がなされるべき圧送ローラである。22a、22bは接触ローラ、23a、23bはそれぞれ接触ローラ22a、22bの回転軸、24a、24bはそれぞれ接触ローラ22a、22bのギア、25はギア24a、24bを駆動する駆動ギア、26は駆動ギア25を回転させるモータ、27はギア24a、24bおよびモータ26を取り付ける取付板である。
そこで、モータ26を回転させると、駆動ギア25が回転し、それに伴って従動ギア24a、24bが同一方向へ同一速度で回転する。したがって、ギア24a、24bの境界の真上へ重力で載置されている圧送ローラ21も回転する。
刷毛の下部に重力で塗料が溜まっていた圧送ローラ21は、数回の回転でもってローラの全周囲に亘って塗料が均一化し、その後、圧送ローラ21で塗装すれば均一な膜厚が得られる。
図21は図20のローラ均し装置が塗装ブース内で塗装ロボットによりどのように使用されるのかについての1例を示す概念図である。
図において、20は第1の実施の形態に係るローラ均し装置、171、172は塗装ロボット、171a、172aは塗装ロボット71、172のアーム先端に設けられた片又は両圧送ローラ、173、174は塗装ロボット171、172のアーム先端近傍に設けられたCCV、Kは塗料回収槽、Wは被塗装物たる自動車である。
塗装に先立って、まず圧送ローラ171a、172aは図16の塗料タンク115から塗料を給送される。このとき、圧送ローラ171a、172a上の塗料は重力で下方に偏在しているので、圧送ローラ71a、172aは塗装ロボット71、172によってローラ均し装置20の上へ運ばれ、接触ローラの上に載置される。その後、接触ローラを回転させることにより、圧送ローラ171a、172a上の塗料は均一化される。
この後、本発明に係る塗装方法が実行される。
以上のように、本発明によれば、自動車の中央部および外周縁、すなわち自動車のフード、ルーフ、トランク、バンパー、フェンダー、又はドアといったすべての部位に、短時間で十分な膜厚の一時保護材をしかもスプレーミストが出ないようにして塗装でき、自動化にも適した自動車一時保護材の塗装方法を提供することができる。
特に、図3に示したローラ式の自動塗装装置を用いると、曲面塗装の自動化が可能となり、塗装を手作業で行う必要が無くなり、ローラ全体に均一に塗料を付けることができるのでバラツキが無くなり、数回塗装後に再度塗料をローラに浸透させるという作業の繰返しも無くなって、人件費、作業時間短縮、塗装ブースの短縮などの点で改善され、歩留まりが向上する。特に上述の塗装方法により、エリアの全域に亘って塗膜の厚みを均一にできる塗装が全自動化でできるようになる。
また、本発明のローラ式の自動塗装装置は、従来からローラ塗装されている被塗装媒体には、特に限定無しに使用可能である。例えば、車両関係、建設関係、船舶関係、家具関係、道路関係等に適用できる。
また、本発明で使用される塗料は、従来から公知のローラ塗装に使用されている塗料を特に限定無しに使用することができる。具体的には水性塗料、有機溶剤塗料等が挙げられる。
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、ドアやフェンダー等の緩やかな部位において曲面対応ローラ式塗装装置を用いるので、十分な膜厚の塗装が自動化により短時間で行えるようになり、また、非接触式塗装の対象が広域の凹凸の内側であり境界付近でないので、ミストの有無を気にせずに遠く離れた位置から十分な吐出量の塗料を噴射できるため、ローラ式塗装よりもより高速に塗装が行えるようになる。
請求項2記載の発明によれば、非接触式塗装として、好ましくは液膜塗装、もしくはエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、および液糸塗装のいずれかを用いるので、ミストの出ないかつ十分な膜厚の塗装ができるようになる。
請求項3記載の発明によれば、前記ローラ刷毛に繊維材質層とセル材質層による2層以上の複層構造としたものを使用しているので、十分な膜厚の塗装であってしかも仕上がりが綺麗になる。
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法において、前記ローラ刷毛が25mm当たり16以上のセル数を有する第1セル細層とセル数が16より少ない第2セル粗層による2層以上の複層構造としたものを使用するので、請求項3記載のハイブリッドローラと同じような効果、すなわち十分な膜厚の塗装であってしかも仕上がりが綺麗になる。
請求項5記載の発明によれば、複数の分割ローラの集合体から成るローラを用いるので、さらに凹凸の大きな曲面に対しても塗装の自動化が可能となる。
自動車の塗装対象部位と塗装手段を示す概念斜視図で、(a)は本発明の塗装方法による場合、(b)は従来公知の塗装方法による場合をそれぞれ示している。 自動車の塗装対象部位と塗装手段を示すもので、(a)は本発明の塗装方法による場合、(b)は従来公知の塗装方法による場合をそれぞれ示している。 本発明の塗装方法に用いると最適な両圧送ローラの斜視図である。 図3に示す両圧送ローラの横断面図である。 図3に示す両圧送ローラの正面断面図である。 曲面に対応可能な両圧送ローラの正面断面図である。 図6の構造を説明する斜視図である。 図3に示す旋回可能支持機構の動作説明図である。 図3に示す上下動支持機構の動作説明図である。 塗装ロボットの制御装置の概念図である。 図10に示す中央制御装置のブロック図である。 片圧送ローラの塗料供給システムと塗装駆動装置の片圧送ローラの斜視図である。 図12に示す片圧送ローラの分解斜視図である。 全塗装自動化装置の構成図である。 本発明で使用する塗料タンクを説明する図で、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。 本発明で使用するポンプの縦断面図である。 本発明で使用するフィルタの縦断面図である。 本発明で使用する熱交換器の1例である。 本発明が採用している液量安定化装置の1例を示す構成例である。 本発明の一実施例に係る液量安定化装置を用いた自動塗装装置の構成例を示す。 図20のローラ均し装置が塗装ブース内で塗装ロボットによりどのように使用されるのかについての1例を示す概念図である。
符号の説明
F 車両のフード部
R ルーフ部
T トランク部
D ドア部
FE1 前フェンダー部
FE2 後フェンダー部
20 ローラ均し装置
22a、22b 接触ローラ
23a、23b 回転軸
24a、24b ギア
25 駆動ギア
26 モータ
27 取付板
K 塗料回収槽
L オーバーフロー口
40 ローラ刷毛組立体
41 アーム
42 下部フレーム
44 塗料圧送管
50 旋回可能支持機構
51 延設板
53 旋回機構の中間フレーム
53a 基台
52 連結ピン
60 上下動支持機構
61 アーム
62 係止ピン
64 上部フレーム
71 中実円柱体
72 ローラ刷毛
73 軸中心孔
74 放射孔
75 拡散溝
78 ドラム
79 孔
81 ガスケット
82 円板
83 ボルト
94 多関節型ロボット本体
95 中央制御装置
96 温度/湿度センサ
97 位置検出センサー
100 塗料調合室
110 塗料供給系
111 塗料缶
112 ポンプ
112A ポンプ駆動用モータ
112B ポンプ室凹部
112C 係止段部
112D 下方の鍔部
112E 流入路凹部
112F 吐出路凹部
112G 仕切壁
112M サージタンクカバー
112U 吐出側逆止弁
112Q 脈動圧室
112V 吸入側逆止弁
112W 仕切壁
1122 吸入弁座
1123 弁座体
1124 吐出弁座
1125 吸入側逆止弁収納凹部
1127 ポンプカバー
1128 ポンプダイヤフラム
1129 脈動圧導入路
112P ポンプ室
112J 第1凹部
112K 第2凹部
112L 仕切壁
112N サージダイヤフラム
112N2 吐出側サージダイヤフラム
112N1 吸入側サージダイヤフラム
112S 吐出路
112T 吸入路
116 ポンプ
116A ポンプ駆動用モータ
113 レギュレータ
113A 目盛ゲージ
114 溶液用フィルタ
115 塗料タンク
115a タンク本体
115b 蓋
115c 補給配管
115h 給送配管
115e 底部
115f スクリーンメッシュ
115g 側壁
120 レギュレータ
120A 目盛ゲージ
121 溶液用フィルタ
130 熱交換器
136 熱交換部
136a 一次側コイル
136b 二次側コイル
131a 冷水タンク
132a 冷水ポンプ
133a〜133f 配管
131b 温水タンク
132b 温水ポンプ
134a 三方弁
136 供給管
136a 放熱部
136d 排出管
140 液量安定化装置
141 エアオペレート式コントロールバルブ
142 流量計
143 カウンタ
144 バリアアンプ
145 アナログメモリユニット
146 調節計
147 変換器
151〜154 配管
160 洗浄剤供給系
161 洗浄剤ドラム
162 ポンプ
162A ポンプ駆動用モータ
163 洗浄剤用フィルタ
170 塗装ブース
171、172 塗装ロボット
171a、172a 両圧送ローラ
173、174 CCV
175、176 配管
155 戻り配管
500 塗料フィルタ
501、502 ジョイント
511 ヘッド
512 底板カバー
513 シェル
514 ロッド
515 フィルタハウジング
503 フィルタカートリッジ
511a 入口ノズル
504 ガイドスプリング
505 各種計測用ゲージ接続部
731 塗料流量制御装置
741 アーム
742 ロボット制御装置
750 CPU
751 RAM
752 ROM
753 表示装置
754 キーボード
755 インタフェース
831〜836 ディフューザ単体
900 片圧送ローラ
901 ローラ刷毛
901a 筒状ローラ
901b 刷毛素体
902 ディフューザ
903 ローラ支持体
904 ハンドル
906 ローラシャフト
906a 塗料供給孔

Claims (5)

  1. 自動車の保護部位に一時保護材を塗装する塗装方法であって、広域の凹凸の急なルーフおよびフード並びにトランク、ドア、フェンダー等は非接触式塗装で塗装し、また緩曲面ドアおよびフェンダー面と、これらと前記ルーフおよびフード並びにトランクとの境界付近はローラ塗装する塗装方法において、
    該ローラ塗装には、
    軸中心を貫通する軸中心孔と該軸中心孔の複数箇所から半径方向に放射状に延びる放射孔とを残して中実をなす中実円筒体と該中実円筒体の外周に取り付けられるローラ刷毛とから構成されるローラと、
    該ローラをその端部で回転可能に支持するアーム部と、
    該アーム部を前記圧送ローラの軸を含む垂直面と平行な面で旋回可能に支持する旋回可能支持機構と、
    該アーム部を上下方向に移動可能に支持する上下可能支持機構、
    とを備えて成る曲面対応ローラ式塗装装置を用いることを特徴とする自動車一時保護材の塗装方法。
  2. 前記非接触式塗装は液膜塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、および液糸塗装のいずれかを用いることを特徴とする請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法。
  3. 前記ローラ刷毛に繊維材質層とセル材質層による2層以上の複層構造としたものを使用することを特徴とする請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法。
  4. 前記ローラ刷毛が25mm当たり16以上のセル数を有する第1セル細層とセル数が16より少ない第2セル粗層による2層以上の複層構造としたものを使用することを特徴とする請求項1記載の自動車一時保護材の塗装方法。
  5. 前記ローラが、軸中心を貫通する軸中心孔と該軸中心孔の複数箇所から半径方向に放射状に延びる放射孔とを残して中実をなす分割中実円筒体と該分割中実円筒体の外周に取り付けられるローラ刷毛とから構成される複数の分割ローラの集合体と、該隣接分割ローラ同士に牽引力を与える引っ張りバネと、複数個の隣接分割ローラの軸中心孔を貫通する柔軟性チューブと、から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自動車一時保護材の塗装方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101941195A (zh) * 2010-08-27 2011-01-12 奇瑞汽车股份有限公司 一种汽车外观粘贴件按压辅具及其压紧方法
CN112890409A (zh) * 2021-04-07 2021-06-04 山东海伟广告有限公司 一种转换刷毛的滚筒刷

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