JP2005229907A - タンパクコーティング澱粉及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 化学薬品や、大量の用水を用いることなく、安全性が高く一般的に食品に利用されているタンパク質およびトランスグルタミナーゼを有効利用することにより澱粉の糊化特性を効率的に改変した加工澱粉を提供する。
【解決手段】 表面にタンパク質を付着させた澱粉を15〜50%の水分存在下でトランスグルタミナーゼ処理してなるタンパクコーティング澱粉。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面にタンパク質を付着させた澱粉をトランスグルタミナーゼで処理してなるタンパクコーティング澱粉に関するものである。
冷凍、日配食品やレトルト食品の広がりに伴い、澱粉を用いた食品も、高温、長時間の加熱殺菌処理や、冷解凍、チルド環境下など、これまで以上に過酷な条件下での品質安定性が求められている。そのような環境下において、澱粉の糊液の安定性を向上させるために、化学的に加工した澱粉(以下、化工澱粉と表記する)が広く用いられている。具体的には澱粉を構成するグルコースの水酸基に修飾基を付与したり、水酸基同士を分子架橋したりした化工澱粉が一般に用いられるが、このような化工澱粉は、少量の化学修飾により、安定した糊化特性を得ることができるため、冷凍食品やレトルト食品などに広く利用されてきている。
一方で、消費者の食品に対する安全性への意識の高まりから、近年、より天然に近い食品素材へのニーズが増加している。こうした背景により、化学薬品を用いない加工澱粉への需要が高まっている。このような例としては、密閉された容器内で、蒸気と接触させることにより得られる湿熱処理澱粉(特許文献1)や、油脂を澱粉の表面にコーティングした、油脂コーティング澱粉(特許文献2)などが知られている。一般的にこのような加工澱粉は乾式で加工されるため、湿式反応で行われる化工澱粉と比較して、未反応や反応副産物の洗浄の必要が無い分、排水処理などの問題が軽減され、環境への負荷も軽減されるメリットもある。
また、澱粉の糊化特性をタンパク質で改質する方法も、従来から幾つか報告されており、例えば、1)損傷澱粉とタンパク質を混合する方法(特許文献3)、2)澱粉にタンパク質を混ぜて、これを懸濁した後乾燥する方法(特許文献4)、更には3)澱粉とタンパク質の他に乳化剤を添加する方法(特許文献5)、4)澱粉とタンパク質を混合した後、適度な調湿を行い、更に加熱乾燥を行う方法(特許文献6)などがあげられる。
これらは、澱粉とタンパク質の複合体を形成させることにより、澱粉の糊化特性を改変する方法であるが、澱粉表面に均一にタンパク質を付着させることは難しく、また、複合体の形成には、澱粉を損傷させたり、加熱したりする必要があるなど、澱粉に対するダメージも大きく、本来の澱粉の食感が損なわれるなどの欠点があった。
一方、澱粉や穀粉にトランスグルタミナーゼを作用させることにより、最終製品の品質を改良する方法も提案されており、例えば、小麦の製粉工程にトランスグルタミナーゼを加え、外来もしくは、小麦粉に含まれるタンパク質の性状を変化させることにより、最終的に製粉された小麦粉の適性を調節する例が開示されている(特許文献7)。しかしながら、当該方法は、タンパク質とトランスグルタミナーゼを反応させることによって、小麦粉の特性の改変を狙ったものであり、具体的には、麺のコシ、弾力、ねばり、ケーキやパンの構造強化など、小麦粉中のタンパク質の補強効果を目的としており、澱粉自体の糊化特性の改変を目的とする本願発明とは、異なるものである。
更に、澱粉系食品とゼラチン、卵白、カゼイン、グルテンなどの外来タンパク質の混合物にトランスグルタミナーゼ処理を行うことにより、澱粉系食品を改質する方法も開示されている(特許文献8)。しかしながら、当該方法は、外来のタンパク質にトランスグルタミナーゼが直接的に作用し、重合、架橋化によるマトリックス形成によって餅や麺類の湯溶けを防止することを狙っており、その限りにおいてはある程度の改善効果は見られるものの、澱粉自体の糊化特性の改善に基づく、根本的な澱粉の改質という点については甚だ不十分であった。
特許第2996707号公報 特開平11−98969号公報 特開昭57−17505号公報 特開平10−4903号公報 特開2000−279118号公報 特開2003−23978号公報 特開平10−155438号公報 特開平9−220063号公報
本発明は、化学薬品や、大量の用水を用いることなく、安全性が高く一般的に食品に利用されているタンパク質およびトランスグルタミナーゼを有効利用することにより澱粉の糊化特性を効率的に改変した加工澱粉を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、検討を重ねた結果、表面にタンパク質を付着させた澱粉を、トランスグルタミナーゼで処理することにより、澱粉表面のタンパク質が高分子化し、糊化特性が改変した加工澱粉が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、表面にタンパク質を付着させた澱粉を15〜50%の水分存在下でトランスグルタミナーゼ処理してなるタンパクコーティング澱粉である。
更に本発明は、澱粉表面へのタンパク質の付着率が30%以上であることも特徴とする。
本発明において、タンパクコーティングとは、被コーティング物である澱粉、または、澱粉部分加水分解物、または、澱粉の造粒物の表面の一部にコーティング物であるタンパク質を付着させた後、トランスグルタミナーゼによって高分子化されたタンパク質を、共有結合以外のなんらかの結合様式で付着させ、澱粉の特性を改変させる方法をいう。コーティングによって、改変させうる澱粉の特性としては、糊化特性が例示され、具体的には、糊化開始温度や、粘度、老化特性などがあげられる。これらの特性値は、示差熱分析計(DSC)や、ラピッドビスコアナライザー(RVA)によって、分析することが可能である。ここでいう、コーティングとは、澱粉の特性を改変しうる程度の加工であり、必ずしも、被コーティング物である澱粉の全表面積をコーティング物であるタンパク質がすべて覆う必要はない。また、タンパクコーティング澱粉とは、このようにタンパク質が澱粉表面の一部に付着することにより、糊化特性値を改変させた澱粉をいう。
本発明によれば、澱粉とタンパク質の混合物にトランスグルタミナーゼを作用させることにより、澱粉粒子の表面にタンパク質の被膜が形成され、澱粉懸濁液を加熱、糊化した際に、澱粉粒への水の流入がある程度制限されるとともに、澱粉粒子の構造自体が強固になるため、アミロースやアミロペクチンの可溶化が抑制され、未加工澱粉に比較して、安定した糊液を得ることができる。
これは丁度、化学薬品によって澱粉を構成するグルコースの水酸基同士を架橋した架橋澱粉の糊液の特徴に相当する。よって、このようなタンパクコーティング澱粉は、従来食感改良、粘度安定性を目的として、従来から架橋澱粉が用いられている澱粉含有食品、例えばうどんや中華麺などの麺類、餃子や春巻きの皮などの麺体、パン、ケーキ、和菓子などの菓子類、天ぷら、フライ製品のバッター、ジャム、クリーム、ソース、タレなどの糊料等に広く利用することが可能である。
本発明のタンパクコーティング澱粉の原料澱粉としては、食用澱粉であればいずれでも使用でき、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、緑豆澱粉、サゴ澱粉、米澱粉およびこれらの化工澱粉、例えばアセチル化処理、エーテル化処理、架橋処理、酸処理、酸化処理、湿熱処理、油脂加工、酵素分解、さらにこれらを組み合わせた加工を施した食品用加工澱粉であればいずれも使用できる。これらは一種単独あるいはニ種以上を組み合わせて使用できる。更に、コーティング効果を高める目的で、澱粉を適当なバインダーもしくは水などで、造粒加工したものも使用できる。
本発明におけるタンパク質としては、脱脂大豆粉や全卵粉など植物タンパク質、動物タンパク質等を高含有する天然タンパク質素材、天然タンパク質素材に由来する粗精製タンパク質、精製タンパク質およびその部分分解物等が使用できる。植物タンパク質としては、小麦タンパク質、大豆タンパク質、エンドウタンパク質、トウモロコシタンパク質等の種子タンパク質等があげられる。動物タンパク質としては、卵白タンパク質、卵黄タンパク質等の卵タンパク質、ホエータンパク質、カゼイン等の乳タンパク質、血漿タンパク質、血球タンパク質等の血液タンパク質、食肉タンパク質、魚肉タンパク質等の筋肉タンパク質等があげられる。これらは一種単独あるいはニ種以上を組み合わせて使用できる。
本発明のコーティング澱粉においては、澱粉100重量部に対して配合するタンパクの量は0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。0.1重量部より少ないと、澱粉をコーティングするに十分な表面被膜効果が現れず、10重量部より多く添加しても、添加に応じた効果が期待できないばかりか、タンパク自体の食味が現れ、食感・食味が悪くなる。
本発明において澱粉にタンパク質を付着させるには、澱粉と粉末状または粒状のタンパクをミキサーなどで、均一に混合するか、タンパク質が水に懸濁または溶解できるのであれば、溶解または分散させた状態で澱粉に添加混合するのが好ましい。タンパク質を水に溶解または分散させ澱粉に添加混合する場合には、タンパク質は澱粉と均一に混合することができ、澱粉粒子の表面に水をバインダーとして付着する。また粉体混合の場合は、その後、水を均一に添加することにより、結果的に水をバインダーとして、澱粉粒子に部分的に結着する。
本発明においては、澱粉の表面に付着したタンパク質に対して、トランスグルタミナーゼを作用させることが必須である。澱粉とタンパク質を混合しただけでは、タンパク質が澱粉の表面に点在しているだけで、再びタンパク質−澱粉混合物を水に分散させると、タンパク質が澱粉から遊離してしまう。そこで、澱粉の表面に点在するタンパク質をトランスグルタミナーゼ処理により高分子化することにより、澱粉の表面に広範囲にコーティングすることができる。また、トランスグルタミナーゼ処理を行うことにより、通常より少量のタンパク質で、コーティング効果が得られるため、原料コストの低減が図れるばかりか、タンパク質特有の臭いや、エグミなどを減少させた、品質の高いタンパクコーティング澱粉を得ることが可能である。
本発明において、使用されるトランスグルタミナーゼの種類としては、由来や製造方法に限定されるものではなく、微生物由来のもの、生物由来のもの、または遺伝子組み換え法によって製造されるもののいずれも使用できる。しかし、実際的には、生物由来のものは、食品に使用するにあたり、常に安定した供給が得られない懸念があるため、微生物由来のもの、特に酵素製剤の形で一般に市販されているアクティバ(味の素株式会社製造)などを使用するのがよい。添加方法は、粉体のままでもいったん水溶液の状態にして添加してもよい。
澱粉1gに対して配合するトランスグルタミナーゼの量は0.01〜100ユニット(U)、好ましくは0.1〜50Uである。添加量が0.01Uより少ないと、澱粉粒子を被膜するのに十分なタンパクの重合反応が進まない。また、添加量が100ユニットを超えると、澱粉表面に付着することなく、タンパクのみが高分子化するため、十分な澱粉改質効果が得られない。添加するタンパク質の種類が異なっても、使用するトランスグルタミナーゼの添加量の範囲は同様である。
前記酵素単位であるユニットは以下のように定義する。基質として、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニルグリシン、およびヒドロキシアミンを用いて反応を行う。生成したヒドロキシサム酸をトリクロロ酢酸存在下で525nmの吸光度を測定する。このようにして、ヒドロキシサム酸の量で検量線を作成し、37℃、pH6.0の条件で1分間に1μmolのヒドロキシサム酸を生成させる酵素量をトランスグルタミナーゼの1ユニットとする。
添加したトランスグルタミナーゼが、澱粉に付着したタンパク質と反応するためには、酵素の反応媒体である水を加える必要がある。具体的には澱粉とタンパクとトランスグルタミナーゼの混合物の水分を15%〜50%、好ましくは25%〜45%に調湿する必要がある。粉体の水分が15%より低いと、トランスグルタミナーゼのタンパク高分子化反応の効率が著しく落ち、澱粉粒子表面に十分なタンパク被膜を形成できず、50%より高いと、粉体の流動性が著しく悪化するとともに、反応の途中で、結露、カビの発生などが懸念されるなど衛生的な問題に加え、酵素反応が澱粉の表面で起こる確率が低くなり、コーティング効果が減少する。調湿は一般的には、酵素または、タンパク質を澱粉に添加する際に、これらの水溶液の形で添加されるため、最終水分が表記の水分になるようタンパク質または酵素水溶液の量を適時調整するのがよい。
本発明のコーティング澱粉の製造方法として、まず、澱粉に対して、タンパク質を十分に混合し、澱粉表面に付着させた後、トランスグルタミナーゼを添加する。この順番を逆にすると、タンパク質が澱粉に付着することなく、重合化するため、目的のコーティング澱粉を得ることができない。
澱粉とタンパク質、トランスグルタミナーゼおよび水の混合については、通常粉体の混合などで使用されるリボンミキサなどの水平または垂直軸に回転する攪拌羽根のついた混合装置やV型ミキサーに代表される混合容器の自転により攪拌する混合装置、流動層のように、粉体が流動することにより攪拌する混合装置など、粉体に液体が添加またはスプレー可能で、均一に混合できるような装置であればどのような装置でもよい。しかし、工程中、タンパク澱粉混合物が水分を含み、凝集性がでてくるので、なるべく攪拌、せん断力の強い混合装置が適している。
本発明において、澱粉とタンパク質および、トランスグルタミナーゼが均一に混合され、適切な水分に調整された混合物は、通常0℃〜60℃、望ましくは10℃〜30℃で1−48時間反応させることにより澱粉粒子上に付着したタンパク質のトランスグルタミナーゼによる高分子化反応を進める。反応中は、タンクなどに静置してもよいし、ミキサーなどで、攪拌してもよいが、重要なのは、粉体の水分と温度の変動をなるべく抑えることである。
澱粉粒子表面に付着したタンパク質がトランスグルタミナーゼによって高分子化したか否かの確認は、以下のように行う。
改質澱粉を試験管にとり、2−メルカプトエタノールを含むSDS溶液を加え、沸騰浴で加熱し、澱粉に付着しているタンパク質を可溶化、抽出する。コントロールとして、タンパク質と澱粉のみを混合した澱粉についても同様の作業を行う。抽出されたタンパク質をSDS電気泳動にかける。トランスグルタミナーゼによる架橋重合化反応が十分に進行した場合、コントロールと比較して、分子量が比較的高分子側に多数のタンパク質のバンドが現れる。
澱粉表面にタンパク質が付着し、コーティングされたかどうかの確認は、以下のように行う。トランスグルタミナーゼによって、コーティングされた澱粉を水、またはリン酸バッファーで、十分洗浄し、澱粉表面に付着していないタンパク質を除く。その後、実際にコーティング澱粉を顕微鏡で観察し、澱粉表面にタンパク質が付着していることを確認する。このとき、タンパク質を特異的に染色する染色液であるローダミンBもしくは蛍光試薬である3-(4-carboxylbenzoyl)quinoline-2-carboxaldehyde(CBQCA)によってタンパク質をあらかじめ染色した後、観察するのがよい。コーティング物であるタンパク質をローダミンBで染色した場合は、通常の光学顕微鏡によって、赤紫色に染色された澱粉粒が、観察される。また、CBQCAで染色した場合は、共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)によってアルゴンレーザー(488nm)を用いて観察すると、タンパク質は、レーザー光によって緑色に発色するため、タンパクによってコーティングされた澱粉は緑色に染まる。このようにして観察した澱粉粒子100個のうち、表面が染色された澱粉粒子の数をタンパク付着率とする。タンパク付着率が30%未満の場合には、改質程度が不十分であり、本発明において、十分改質された澱粉としてはタンパク付着率30%以上が望ましく、50%以上が特に望ましい。
このような方法において、澱粉粒子表面のタンパクがトランスグルタミナーゼによる処理で十分コーティングされたコーティング澱粉は、その後、乾燥、粉砕、適当な水分に調湿、篩分などの工程を通じ、食品用加工澱粉として、用いることが可能である。また、用いる商品によって、トランスグルタミナーゼを失活させる必要がある場合には、100℃以上で瞬間的に加熱することにより、失活させることも可能である。
本発明のコーティング澱粉を使用して製造できる食品としては、例えば、うどん、そば、スパゲティ、マカロニ、中華麺などの生もしくは半生タイプの製品、冷凍麺類、フライ、ノンフライ麺、食パン、ケーキ、クッキー類などの洋菓子類、ジャム、クリーム、ソース、タレ、フラワーペーストなどのペースト類、団子、練りあん、ようかんなどの和菓子類、餃子、春巻きの皮、中華饅頭の皮などの生地素材、ハム、ソーセージ、焼き豚などの魚畜肉製品、フライ、天ぷらの衣用などが例示される。
本発明において得られたコーティング澱粉は、澱粉表面にタンパク質高分子が被膜形成されているため、糊化特性がコーティング前の澱粉と大きく異なるのが特徴である。その評価方法として、澱粉の希薄スラリーを攪拌しながら、加熱、冷却し、糊液の粘度プロフィールを連続的に得るラピッドビスコアナライザー(RVA)による粘度特性値(最高粘度、最低粘度、最終粘度)の変化を指標とした。
RVAの分析方法は、以下のとおりである。すなわち、専用のアルミカップに25gの蒸留水を加え、固形分重量が6%になるように、澱粉を秤量して加える。よく澱粉を分散させ、RVAにセットする。分析条件は、パドル回転数12rpm、測定開始温度40℃、毎分6℃昇温、95℃5分ホールド、毎分6℃降温、50℃5分ホールドで終了。ビスコグラムから、最高粘度、最低粘度、最終粘度を読み取る。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
タピオカ澱粉(ホーネンコーポレーション製)1kgに対して、分離大豆タンパク(ツルノコ大豆より分離)10g(対澱粉で1%)を溶解させた大豆タンパク水溶液200gをミキサーで混合しながら添加し、均一に混合した。次に、トランスグルタミナーゼ水溶液(3.6U/mL、0.72U/1g澱粉)200mLをミキサーで攪拌しながら均一に混合させた。このときの澱粉タンパク質混合物の水分は、37±2%であった。本混合物を水分が飛ばないよう、密封したビニル袋にいれて、40℃に調整した恒温層に24時間放置した。その後、未反応のタンパク質を洗浄した後、50℃に設定した通風乾燥機で、最終水分12%になるよう、乾燥し、発明品を得た。
〔比較例1−3〕
比較例として、実施例1において、大豆水溶液の代わりに、水200gを添加したもの、比較例2として、トランスグルタミナーゼ水溶液の代わりに、水を添加したもの、比較例3として、分離大豆タンパク水溶液とトランスグルタミナーゼ水溶液の代わりに、100gの分離大豆タンパクと、0.72gのトランスグルタミナーゼ製剤(味の素「アクティバ」比活性1U/mg)を加えたものを用意した。
実施例1および、比較例1−3の澱粉をそれぞれ1gずつ試験管に取り、2−メルカプトエタノールを含むSDS溶液を加え、沸騰浴で加熱し、澱粉に付着しているタンパク質を可溶化、抽出した。抽出されたタンパク質をSDS電気泳動にかけた。その結果、実施例1では、ほぼすべてのバンドが高分子側に移動しており、トランスグルタミナーゼによる重合化反応が進んだことを確認した。また、比較例3では、一部のバンドが高分子側に移動しているにとどまり、反応の進行が遅いことが確認された。
実施例1および、比較例1−3の澱粉をCBQCAで染色し、アルゴンレーザー(488nm)を照射しながらCLSMで観察した。そこで、得られた視野範囲に存在する澱粉粒の数、また、レーザー光によって緑色に発色するタンパク質が付着している澱粉の数を観察した。タンパク質が付着している澱粉の数を、観察視野範囲中の全澱粉粒の数で割ったのがタンパク付着率である。本発明と比較例1−3の結果を表1に記載する。
実施例1および比較例1−3の試料をRVAで糊化挙動を分析した。ビスコグラムから読み取った最高粘度、最低粘度、最終粘度を表2に示す。また、参考例として、改質前のタピオカ澱粉のデータも併記する。
表2によると、RVAによる実施例1の各粘度は改質前と比べて大幅に減少しているのに対し、比較例はほとんど変化無いか、やや減少しているに過ぎない。これは、実施例1の澱粉表面がタンパク質重合物により被膜されることにより、澱粉が膨潤抑制され、未改質澱粉に比べると、全体に粘度が低下したものと考えられる。
上述の如く、本発明によれば、大量の用水を用いることなく、膨潤を抑制された改質加工澱粉を得ることができる。そのため、従来の化工澱粉のように、大量の廃水処理に苦慮することがなく、また、反応温度も40℃という条件のため、エネルギーコストおよび環境負荷を最小限に抑えた加工澱粉を得ることができる。
は、本発明の概念図である。 は、CLSMによる本発明品(実施例1)の写真である。 は、CLSMによる比較例1の写真である。 は、本発明品のSDS電気泳動の結果の写真である。

Claims (4)

  1. 表面にタンパク質を付着させた澱粉を15〜50%の水分存在下でトランスグルタミナーゼ処理してなるタンパクコーティング澱粉。
  2. 澱粉表面へのタンパク質の付着率が30%以上である請求項1に記載のタンパクコーティング澱粉。
  3. 表面にタンパク質を付着させた澱粉を15〜50%の水分存在下でトランスグルタミナーゼ処理することを特徴とするタンパクコーティング澱粉の製造方法。
  4. 澱粉表面へのタンパク質の付着率が30%以上である請求項3に記載のタンパクコーティング澱粉の製造方法。
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