JP7317564B2 - ケーキ類用組成物及び該ケーキ類用組成物を用いたケーキ類、並びにケーキ類の日持ち向上方法 - Google Patents
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(1)エーテル化澱粉、エステル化澱粉、α化澱粉、もち種澱粉、もち種穀粉から選択される1種以上の穀粉を10質量部以上、
(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を10~60質量部、
含有する、ケーキ類用組成物を提供する。
本技術に係るケーキ類の水分活性は、0.90未満とすることができる。
(1)エーテル化澱粉、エステル化澱粉、α化澱粉、もち種澱粉、もち種穀粉から選択される1種以上の穀粉を10質量部以上、
(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を10~60質量部、
含有する穀粉。
本技術において、「ケーキ類」とは、バッター状の生地を加熱調理してなる菓子をいう。例えば、スポンジケーキ、パウンドケーキ、ホットケーキ、パンケーキ、クレープ、ワッフル等が挙げられる。
本技術は、穀粉100質量部中に、(1)エーテル化澱粉、エステル化澱粉、α化澱粉、もち種澱粉、もち種穀粉から選択される1種以上の穀粉を10質量%以上含む、もちもちとした食感のケーキ類用組成物であって、(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を、特定量で用いることで、日持ちを向上させる技術である。
まず、本技術に係るケーキ類用組成物は、穀粉100質量部中に、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、α化澱粉、もち種澱粉、もち種穀粉から選択される1種以上の穀粉(後述する(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を除く)を10質量部以上、好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、含有する。
エーテル化澱粉は、澱粉分子間のいくつかの水酸基が官能基でエーテル化されている加工澱粉である。馬鈴薯、餅種の馬鈴薯、甘藷、タピオカ、トウモロコシ、餅種のトウモロコシ、アミロース含有量の高いトウモロコシ、サゴ、小麦、ワキシー小麦、米、もち米、豆などを原料とした天然澱粉または前記原料を漂白処理した澱粉に対してエーテル化剤を用いて常法によりエーテル基を導入したものを単独または複数混合して使用することができる。本発明のエーテル化澱粉としては、例えば、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉等が挙げられる。また、本発明のエーテル化澱粉は、粉末状、糊状など任意の状態で用いることができる。
エステル化澱粉は、澱粉分子間のいくつかの水酸基が官能基でアセチル化されている加工澱粉である。馬鈴薯、餅種の馬鈴薯、甘藷、タピオカ、トウモロコシ、餅種のトウモロコシ、アミロース含有量の高いトウモロコシ、サゴ、小麦、ワキシー小麦、米、もち米、豆などを原料とした天然澱粉または前記原料を漂白処理した澱粉に対してアセチル化剤を用いて常法によりアセチル基を導入したものを単独または複数混合して使用することができる。本発明のエステル化澱粉としては、例えば、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉等が挙げられる。また、本発明のエステル化澱粉は、粉末状、糊状など任意の状態で用いることができる。
α化澱粉とは、水分とともに加熱することにより糊化した澱粉を、乾燥した澱粉である。馬鈴薯、餅種(以下、糯種またはワキシーともいう)の馬鈴薯、甘藷、タピオカ、トウモロコシ、餅種のトウモロコシ、アミロース含有量の高いトウモロコシ、サゴ、小麦、ワキシー小麦、米、もち米、豆などを原料とした天然澱粉または前記原料を漂白処理した澱粉を常法によってα化したものを単独または複数混合して使用することができる。
一般に、穀粉の給源となる穀類は、もち種とうるち種とに大別でき、植物学上同種に分類される穀類(例えば大麦)由来の穀粉において、もち種穀粉は、うるち種穀粉に比べてアミロペクチンの含有量が多い。具体的には、例えば、もち種大麦粉におけるアミロペクチンの含有量は、通常90質量%以上、より具体的には95~100質量%程度であるのに対し、うるち種大麦粉におけるアミロペクチンの含有量は、通常75質量%以下、より具体的には70~75質量%程度である。また、例えば、もち種米粉におけるアミロペクチンの含有量は、通常100質量%であるのに対し、うるち種米粉におけるアミロペクチンの含有量は、通常85質量%以下、より具体的には73~83質量%程度である。
本技術に係るケーキ類用組成物は、また、穀粉100質量部中に、RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を10~60質量部、好ましくは10~50質量部、さらに好ましくは10~40質量部、含有する。
RVA最高粘度の測定方法は以下のとおりである。測定装置として、株式会社エヌピー社製のPerten RVA-4500 Model4500(TCW 3シリーズ)を用いる。まず、測定装置専用のアルミ缶に、測定対象のサンプル試料1.5g、蒸留水又はイオン交換水28.5mL、及びパドル(撹拌子)を入れ、パドルを上下させてよくかき混ぜ、5質量%の懸濁液を調製する。そして、当該懸濁液(25℃)を測定装置にセットし、アルミ缶内のパドルを回転数160rpmで回転させながら、当該アルミ缶を加熱して懸濁液の温度を上昇させつつ、連続的に懸濁液の粘度を測定する。なお、測定装置の設定温度条件は、まずアルミ缶内容物の品温を50℃で1分間保持した後、7.5℃/分の速度で6分間、95℃まで昇温させる。95℃で3分間保持した後、約10.8℃/分の速度で6分間、30℃まで降温させ30℃、で4分間保持する条件とする。そして、アルミ缶加熱処理中の内容物の粘度曲線を得て、当該粘度曲線における、降温開始前までの最高粘度を、当該サンプル試料のRVA最高粘度とする。
本技術に係るケーキ類用組成物は、前述した(1)エーテル化澱粉、エステル化澱粉、α化澱粉、もち種澱粉、もち種穀粉から選択される1種以上の穀粉、及び、(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉の他に、従来からケーキ類用組成物に用いられている材料や食品添加物を1種又は2種以上、自由に組み合わせて用いることができる。例えば、小麦粉、デュラム小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、大豆粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、トウモロコシ粉、米粉等の穀粉類(加熱処理したものを含む/(1)のもち種穀粉を除く);澱粉類(加工澱粉類を含む/(1)又は(2)に該当する澱粉類を除く);大豆蛋白質、小麦グルテン、卵粉末、脱脂粉乳等の蛋白素材;植物性油脂、動物性油脂、加工油脂、粉末油脂等の油脂類;食物繊維;澱粉分解物、デキストリン、ぶどう糖、ショ糖、オリゴ糖、マルトース等の糖質類;食塩、炭酸カルシウム等の無機塩類;膨張剤、増粘剤、乳化剤、酵素製剤、pH調整剤、甘味料、香辛料、調味料、色素、香料等を適宜含有させることができる。
本技術に係るケーキ類は、前述したケーキ類用組成物を用いることを特徴とする。本技術に係るケーキ類は、前述したケーキ類用組成物を用いているため、もちもちした食感を有するにも関わらず、従来のもちもちした食感のケーキ類に比べて日持ちすることを特徴とする。
本技術に係るケーキ類の日持ち向上方法は、穀粉100質量部中に、
(1)エーテル化澱粉、エステル化澱粉、α化澱粉、もち種澱粉、もち種穀粉から選択される1種以上の穀粉を10質量部以上、
(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を10~60質量部、
含有する穀粉を用いることを特徴とする。
実験例1では、用いる穀粉や澱粉の違いによる、食感及び水分活性への影響を調べた。
下記表1に示す材料を用いて、ケーキ類を製造した。具体的には、まずAをミキサーボウルに入れ、ホイッパーを用いて均一になるまで混合した。次いで、穀粉とBを加え、均一になるまで混合した。さらにCを加えて起泡させながら混合し、最終比重が0.53±0.02となるように、生地を調製した。生地温度は22℃程度になるように調製した。作製した生地800gを、紙を敷き込んだ6取天板(490×340mm、高さ40mm程度)に流し込んだ。上火220℃、下火170℃のオーブンで11分焼成してケーキを得た。
製造した各ケーキ類について、下記の測定方法を用いて水分活性を測定した。また、各ケーキ類のもちもちした食感について、下記の評価基準に基づいて、評価を行った。食感については、訓練を受けた専門のパネル5名で合議の上、評点を決定した。
20℃にて1日間保管したケーキ類について、水分活性測定装置アクアラブ(AQUALAB(登録商標)series3TE アイネクス株式会社製)を使用して、25℃で測定した。1試験区につき2点計測し、2点の平均値を測定結果とした。
5 もちもち感がかなり強く、粉っぽさを全く感じない
4 もちもち感が強く、粉っぽさを感じない
3 もちもち感がやや強く、粉っぽさを感じない
2 もちもち感がやや弱く、やや粉っぽい
1 もちもち感が弱く、粉っぽい
水分活性及び食感についての評価結果を下記表1及び表2に示す。
表1に示す通り、穀粉100質量部中に、(1)エーテル化澱粉、エステル化澱粉、α化澱粉、もち種澱粉、もち種穀粉から選択される1種以上の穀粉を10質量部以上、及び、(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を10~60質量部、含有する穀粉を用いて製造した実施例1~4のケーキ類は、水分活性が0.90未満であり、良好なもちもちした食感を有していた。
Claims (5)
- 穀粉100質量部中に、
(1)タピオカを原料としたα化澱粉と、タピオカを原料としたエーテル化澱粉、タピオカを原料としたエステル化澱粉、もち種澱粉、及びもち種穀粉から選択される1種以上の穀粉と、を合計で10質量部以上、
(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を10~60質量部、
含有する、ケーキ類用組成物。 - 請求項1に記載のケーキ類用組成物が用いられた、ケーキ類。
- 水分活性が0.90未満である、請求項2記載のケーキ類。
- ケーキ類に下記の穀粉を用いることにより日持ちを向上させる、ケーキ類の日持ち向上方法。
穀粉100質量部中に、
(1)タピオカを原料としたα化澱粉と、タピオカを原料としたエーテル化澱粉、タピオカを原料としたエステル化澱粉、もち種澱粉、及びもち種穀粉から選択される1種以上の穀粉と、を合計で10質量部以上、
(2)RVA(Rapid Visco Analyzer)分析法において、昇温開始から降温開始前までの最高粘度が30cp以下の加工澱粉を10~60質量部、
含有する穀粉。 - ケーキ類の水分活性を0.90未満とする、請求項4記載のケーキ類の日持ち向上方法。
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