JP2005226382A - 折板屋根用制振遮音シート、制振遮音材及び折板屋根 - Google Patents

折板屋根用制振遮音シート、制振遮音材及び折板屋根 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟で、雨音などの騒音の遮音性能に優れ、表面のべたつきが少なく、成形加工性、腑形性も良好で低コストな折板屋根用制振遮音シート、制振遮音材及び折半屋根を提供する。
【解決手段】折板屋根用制振遮音シートは、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)が100重量部に対して、可塑剤(B)が30〜100重量部、無機充填材(C)が20〜300重量部、石油樹脂などのオリゴマー樹脂(D)が5〜80重量部含み、可塑剤(B)の配合量オリゴマー樹脂(D)より多く、さらに、0℃、10℃、20℃、30℃における損失正接(tanδ)を、各々、0.05、0.1、0.2、0.4以上とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、折板屋根用制振遮音シート及び制振遮音材ならびに折板屋根に関するものである。更に詳しくは、柔軟で、雨音などの騒音の遮音性能に優れ、シート表面のべたつきがなく、鋼板に積層して折板屋根に加工する際に鋼板の賦形に追従して変形し、低コストで、シートを作製する際の成形加工性も良好な折板屋根用制振遮音シートならびに当該シートが鋼板に積層されている制振遮音材および当該制振遮音材が波形形状に成形されている折板屋根に関するものである。
集合住宅や一戸建住宅の屋根材には、鋼板を波形形状に加工した折板屋根を用いることがあり、折板屋根には雨音に代表される騒音の遮断が求められる。しかしながら、折板屋根単独では、雨音などの騒音が遮断できず、騒音を遮断するために折板屋根の室内側に制振遮音シートを積層する場合がある。このような制振遮音シートとしては、例えば、熱可塑性エラストマーやゴムなどの軟質樹脂に充填剤を添加した組成物をシート状に賦形したものが開示されている(特許文献1、2、3、4)。さらに、制振遮音性能を有する組成物をシート状に成形し、このシートを複数層に積層する方法が開示されている(特許文献5、6、7)。
この制振遮音シートは、鋼板に積層した後にロールフォーミングなどの方法で折板屋根に成形されることになるが、その際に制振遮音シートには大きな圧力が加わることになる。この際に、当該シートが柔軟でなければ、加わる圧力が吸収できず、シートに割れが発生する。このことから、折板屋根用制振遮音シートは軟質樹脂で構成されることになるが、軟質樹脂を使用しているためにシート表面がべたつくようになる。さらに、制振遮音シートには、鋼板への接着性を向上させるために石油樹脂などの脂環及び/または芳香環構造を含むオリゴマー樹脂が配合されているが、これらのオリゴマー樹脂が粘着性を有することから、この点からも制振遮音シートは表面がべたつくことになる。ここで、制振遮音シートの表面がべたつくと、当該シートが積層された鋼板をロールフォーミングで折板屋根に加工する際に、成形ロールに制振シートの一部が付着して波形形状に成形するのが難しくなり、折板屋根に擦過傷が生じる。
ここで、5大汎用樹脂の一つとして長い歴史があり、経済性はもとよりほとんどの成形加工法が確立しているポリ塩化ビニル系樹脂に着目してみると、当該樹脂は制振遮音性能の指標となる損失正接(以下、tanδと記す。)が大きく、制振遮音シートに適用できる可能性を有している。しかしながら、ポリ塩化ビニル系樹脂はtanδがピークとなる温度が約90℃であることから、降雨時における折板屋根の温度域(0℃〜35℃程度)では大きなtanδを示さず、制振遮音性能が発現できないことになる。また、制振遮音シートを鋼鈑に積層する際や鋼板を波形形状に折り曲げる際の加工環境温度においては、ポリ塩化ビニル系樹脂は硬質であり、当該樹脂からなるシートで上記加工を行なった場合には、加工時に加わる圧力によってシートに割れが発生する。
以上のことから、ポリ塩化ビニル系樹脂を折板屋根用制振シートとして使用するためには、当該樹脂のtanδのピーク温度を降雨時における折板屋根の温度域まで低下させ、鋼板への積層や鋼鈑の折り曲げ加工時の環境温度(常温域)で柔軟なものにすることが必要である。ここで、ポリ塩化ビニル系樹脂に関しては、tanδのピーク温度を低温にもたらし、常温域で柔軟なものにする方法として可塑剤を配合する方法がある。しかしながら、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を配合すると、tanδのピーク温度は低温になるものの、ピーク値が小さくなり、制振遮音シートとしての性能が満足できない。
ここで、ある種の可塑剤に関しては、それをポリ塩化ビニル系樹脂に配合した時にtanδのピーク温度は低温に移動するが、そのピーク値は大きくなることが報告されている(特許文献8)。しかし、この種の可塑剤は可塑化効率が低く、多量に配合しなければ、tanδのピーク温度を降雨時における折板屋根の温度域にもたらすことができず、多量に配合すると、シートにした際にシートから可塑剤がブリードし、表面がべたつくことになる。また、tanδが大きくなる可塑剤は高価であり、経済的にも不利である。
tanδを大きくする可塑剤に関わる上記の問題については、例えば、リン酸エステル系の可塑剤を配合する方法(特許文献8)が記載されている。しかし、リン酸エステル系の可塑剤を配合する方法に関しては臭気の発生や耐候性の低下を招くことになる。また、リン酸エステル系の可塑剤も高価であり、経済的に不利となる。
特開昭53−134078号公報 特開昭54−107944号公報 特開平3−43244号公報 特開平3−287651号公報 特開昭63−14199号公報 特開平2−20259号公報 特開平2−117825号公報 特許第3177654号
本発明の目的とするところは、柔軟で、雨音などの騒音の遮音性能に優れ、シート表面のべたつきが少なく、鋼板に積層して折板屋根に加工する際に鋼板の賦形に追従して変形し、シートを作製する際の成形加工性も良好な低コストな折板屋根用制振遮音シート及び当該シートが鋼板に積層されている制振遮音材ならびに当該制振遮音材が波形形状に成形されている折板屋根を提案することである。
係る目的を達成する本発明の折板屋根用制振遮音シートは、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)が100重量部に対して、可塑剤(B)が30〜100重量部、無機充填材(C)が20〜300重量部、石油樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、低分子量ポリスチレン、マレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂から選ばれた1種以上の脂環及び/または芳香環構造を含むオリゴマー樹脂(D)が5〜80重量部含んでなり、可塑剤(B)の配合量がオリゴマー樹脂(D)の配合量より多く、さらに、固体動的粘弾性測定によって得られる0℃、10℃、20℃、30℃における損失正接(tanδ)が、各々、0.05、0.1、0.2、0.4以上であることを特徴とする。
また、制振遮音シートの表面のべたつきを少なくするために、可塑剤(B)に関しては、可塑化効率値が1.1以下の可塑剤を用いることが好ましい。
さらに、折板屋根用制振遮音シートをカレンダー成形や押出成形で作製する際に、成形加工性を安定させるために、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレンから選ばれる1種以上の樹脂(E)を0.5〜20重量部配合することが好ましい。
さらに、本発明における折板屋根用制振遮音シートは、シートの片面に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層、ポリオレフィン系樹脂層、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層、塩化ビニル系樹脂層から選ばれた樹脂層が積層されることにより、シートが積層された鋼鈑をロールフォーミングで波形形状の折板屋根に加工する際に、シート表面に滑り性が付与され、波形形状に成形する際に発生することがある擦過傷が解消される。
また、本発明における制振遮音材は、上記折板屋根用制振遮音シートに鋼板が積層されていることを特徴とするものであり、本発明における折板屋根は上記制振遮音材が波形形状に成形されていることを特徴とするものである。
本発明に係る折板屋根用制振遮音シート、制振遮音材および折板屋根によれば、柔軟で、雨音などの騒音の遮音性能に優れ、シート表面のべたつきが少なく、鋼板に積層して折板屋根に加工する際に鋼板の賦形に追従して変形し、シートに成形する際の成形加工性も良好な折板屋根用制振遮音シートならびに当該シートが鋼板に積層されている制振遮音材および当該制振遮音材が波形形状に成形されている折板屋根を低コストで提供できることになる。
以下、本発明の好適実施の態様について詳細に説明する。
本発明で用いるポリ塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル単独重合体の他に、酢酸ビニルやエチレンとの共重合体、あるいは、エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリウレタンとのグラフト共重合体など一般にポリ塩化ビニル系樹脂として認識され得るものを指す。
ここで、ポリ塩化ビニル系樹脂の分子量については特に限定されないが、塩化ビニルモノマーの重合度として500〜2000の範囲が好ましく、重合度として700〜1500の範囲が特に好ましい。重合度が500より小さいポリ塩化ビニル系樹脂の場合には、溶融体の溶融張力が小さくなり、ポリ塩化ビニル系樹脂の加工法として一般的であるカレンダー成形法や押出成形法では、自重による材料の垂れ下がりが抑えられず、シート化が困難であったり、シート化できたとしても加工条件幅が狭くなったり、厚みのばらつきが大きくなったりする。また、得られたシートの機械的強度が小さく、制振遮音シートを鋼板に積層する際や、鋼板を波形形状に折り曲げ加工する際に、シートに割れが発生する場合もある。一方、重合度が2000を越えるポリ塩化ビニル系樹脂の場合には、成形法や成形条件によってはシートの表面が荒れてくる。この表面荒れは成形温度を高温にすることで改善できるが、着色、劣化などの熱安定性の面から、ポリ塩化ビニル系樹脂に関しては成形温度を高温にすることは好ましくない。また、分子量が大きい場合は、ポリ塩化ビニル系樹脂を各種混練機を用いて高温で混練しても、ポリ塩化ビニル系樹脂が均一な溶融体になりにくく、高温で長時間混練しなければ、各種成形に給することができる均一な溶融体にならない。しかしながら、熱安定性の面から、ポリ塩化ビニル系樹脂を高温に長時間保持することは好ましくない。
したがって、安定に成形でき、着色や劣化がなく、表面が平滑で、機械的強度が大きなシートを得るには、ポリ塩化ビニル系樹脂の重合度は500〜2000の範囲が好ましい。
本発明で用いられる可塑剤に関しては、特に限定されず、ポリ塩化ビニル系樹脂に配合することで損失正接のピークが低温に移動するものであればよい。ただし、制振遮音シートとした際の表面のべたつきを低減させるためには、可塑化効率値が1.1以下の可塑剤が好ましい。ここで、可塑化効率値とは、重合度1450の塩化ビニルホモポリマー100重量部に対して、可塑剤としてジ−n−オクチルフタレート(以下、n−DOPと記す。)を50重量部配合し、180℃で溶融混練した組成物を厚さ1mmに圧縮成形し、そのシートから2号ダンベルの試験片を打ち抜いて、その試験片を20℃、200mm/分の速度で引張延伸し、伸びが100%になった時の応力を基準値とし、この応力を達成するために必要な可塑剤量をn−DOPの配合量である50重量部で除した値と定義した。したがって、この数値が小さいものは、少ない可塑剤量でn−DOPを50重量部配合した場合と同じ応力を達成することになり、可塑化効率がよいものとなる。一方、可塑化効率値が大きいものは、n−DOPを50重量部配合した場合と同じ応力を達成するのに多くの可塑剤が必要となり、可塑化効率としては低いものとなる。
ここで、可塑化効率値が大きくて可塑化効率が低い可塑剤は、可塑剤がポリ塩化ビニル系樹脂に混ざりにくいことを意味しており、このような可塑剤の場合は、ポリ塩化ビニル系樹脂に配合して、ポリ塩化ビニル系樹脂を柔軟にするためには可塑剤を多く配合しなければならない。可塑化効率値が1.1を越える可塑剤に関しては、可塑剤としてポリ塩化ビニル系樹脂に混ざりにくい上に、ポリ塩化ビニル系樹脂を柔軟にするために可塑剤を多量に配合しなければならず、当該可塑剤をポリ塩化ビニル系樹脂に配合して柔軟なシートを作製すると、シート表面がべたつくことになる。ここで、シート表面にべたつきがあると、シートを積層した鋼板をロールフォーミングで折板屋根に加工する際に、成形ロールにシートの一部が付着して波形形状に成形するのが難しく、得られた折板屋根に擦過傷が生じるなどの問題が発生する。
以上のことから、可塑剤を配合してシートを柔軟なものとした上で、シートの表面がべたつかないようにするには、ポリ塩化ビニル系樹脂に配合される可塑剤は上記で定義した可塑化効率値が1.1以下のものが好ましい。
可塑化効率が1.1以下となる可塑剤としては、例えば、ジ−メチルフタレート、ジ−エチルフタレート、ジ−ブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−イソ−デシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−イソ−ノニルフタレート、ジ−メチルアジペート、ジ−ブチルアジペート、ジ−イソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−イソ−デシルアジペート、ジ−ブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジ−メチルセバケート、ジ−ブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−エチルサクシネート、メチルアセチルリシノレート、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)などが挙げられる。その中でも、低コストで、揮発性が低く、耐加水分解性、耐光性、耐油性に優れていることから、ジ−2−エチルヘキシルフタレートやジ−イソ−ノニルフタレートが好適に用いられる。
ここで、本発明における可塑剤の配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、30〜100重量部の範囲に限定される。本発明におけるシートは、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を配合することによって、降雨時における折板屋根の温度域でtanδが大きくなる。ここで、可塑剤の配合量が30重量部より少ない場合には、tanδのピーク温度の低下度合いが小さく、降雨時における折板屋根の温度域において、大きなtanδにならない。一方で、可塑剤が100重量部を越えると、ポリ塩化ビニル系樹脂は柔軟になるが、tanδが小さくなり、降雨時における折板屋根の温度域において制振遮音性能が劣ることになる。また、溶融体の溶融張力が小さくなり、ポリ塩化ビニル系樹脂の加工法として一般的であるカレンダー成形法や押出成形法では、自重による材料の垂れ下がりが抑えられず、シート化が困難であったり、シート化できたとしても加工条件幅が狭くなったり、厚みのばらつきが大きくなったりする。また、得られたシートの表面がべたつくようになる。したがって、鋼板への積層時や鋼板の折り曲げ加工時の温度域において柔軟で、降雨時における折板屋根の温度域においてtanδが大きく、各種の成形加工法で安定的にシートが作製でき、しかも得られたシート表面がべたつかないようにするためには、可塑剤の配合量は30重量部から100重量部であることが必要である。
また、可塑剤の配合量はオリゴマー樹脂の配合量より多くなければならない。ここでは、鋼板への積層時や鋼板の折り曲げ加工時の温度域において柔軟で、降雨時における折板屋根の温度域においてtanδが大きくするために可塑剤を配合することになるが、可塑剤を配合することによって小さくなるtanδを大きくするためにオリゴマー樹脂を配合している。しかしながら、可塑剤よりオリゴマー樹脂の方が多く配合されると、オリゴマー樹脂を配合したことによって硬さが増大し、tanδが大きくなる温度が高温域にずれてしまう。したがって、鋼板への積層時や鋼板の折り曲げ加工時の温度域において柔軟で、降雨時における折板屋根の温度域においてtanδを大きくするためには、可塑剤はオリゴマ-樹脂より多く配合されることが必要である。
さらに、本発明における制振遮音シートには、無機充填材を20重量部から300重量部の範囲で配合することが必要である。無機充填材は、可塑剤とオリゴマー樹脂を比較的多量に配合する本組成物の成形加工を安定なものにすることや、得られた成形体の表面のべたつきを軽減するために必要となる。また、無機充填材の種類によっては、増量材として低コスト化にも寄与する。ここでは、無機充填材を少しでも配合すれば、加工安定性は向上し、成形体の表面のべたつきは軽減し、種類によっては低コスト化にも寄与するが、可塑剤とオリゴマー樹脂を比較的多量に配合する本組成物においては、成形加工を安定させ、成形体のべたつき感を軽減させるには、無機充填材は20重量部以上配合することが必要である。一方、配合量が300重量部を越えると、材料の重量が大きくなり、溶融して成形加工する際に、自重による垂れ下がりが抑えられず、各種成形が困難となる。また、溶融体の延伸性が乏しくなり、成形法によっては、成形体にピンホールが発生する。
したがって、安定に成形ができ、得られた成形体の表面のべたつきを軽減した上で、自重による垂れ下がりを抑え、成形体にピンホールを発生させないようにするためには、無機充填材の配合量は20〜300重量部の範囲に限定されることになる。
ここで、無機充填材としては、特に限定されず、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、グラファイト、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、クレー、カオリン、ベントナイト、パイロフェライト、セサリナイト、ゼオライト、ネフェリンシナイト、アパタルジャイト、ウオラストナイト、フェライト、ドロマイト、ケイソウ土、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を組み合わせて使用される。この中でも、低コストで目的とする性能が発現できる点で、炭酸カルシウムやタルクが好ましい。また、マイカやグラファイトなどのフレーク状の無機充填材は、炭酸カルシウムやタルクより高価で、低コスト化には寄与しないが、炭酸カルシウムやタルクを配合した場合よりもtanδが大きくなり、tanδの要求値が大きな場合に好適に用いられる。
また、本発明では、石油樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、低分子量ポリスチレン、マレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂から選ばれた1種以上の脂環及び/または芳香環構造を含むオリゴマー樹脂(D)を5〜80重量部の範囲で配合することが必要である。本発明においては、鋼板への積層時や鋼板の折り曲げ加工時の温度域や降雨時における折板屋根の温度域において、ポリ塩化ビニル系樹脂を柔軟なものにするために可塑剤を配合することになるが、オリゴマー樹脂は可塑剤を配合することによって小さくなったtanδを大きくするために配合するものである。
ここで、本発明に用いられるオリゴマー樹脂については、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好で、固体の動的粘弾性測定で求められるtanδの温度依存性曲線において、tanδのピークがポリ塩化ビニル系樹脂とオリゴマー樹脂に由来する二つのピークに分かれず、一つのピークとなる(当該分野において相溶すると称される。)ものが好ましい。
ここで、本発明で用いる石油樹脂とは、ナフサの熱分解により副生する多数の不飽和炭化水素を含む分解油留分を重合したものである。分解油留分とはC留分及びC〜C11留分のBTX抽出分残留分であり、重合方法はカチオン重合、熱重合、ラジカル重合などが挙げられるが、特に限定されるものではない。また、樹脂としたものに無水マレイン酸などの極性基を付加したり、カルボキシル基などの官能基を導入したり、モノマーの添加により変性した樹脂も含まれる。ここで、石油樹脂の種類には特に限定されず、石油樹脂の配合によりtanδのピーク値は大きくなるが、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好で、tanδを効率的に高めることを踏まえると、BTX抽出残留分を重合したいわゆるC系石油樹脂が好ましい。
また、本発明で用いるクマロン樹脂は、クマロン・インデン共重合物とも言われ、重質軽油の組成のうち、スチレン、クマロン、インデンの3種類からなる重合体である。これらは、各モノマーのホモポリマー、各モノマーいずれか2種類の共重合体、あるいは3種の共重合体などの複雑な混合物である。ここで、クマロン樹脂は特に限定されないが、軟化温度が70〜150℃のものが好ましい。
また、本発明で用いるケトン樹脂は、ケトンとホルムアルデヒドの縮合によって得られる樹脂である。ここでは、使用するケトン類によりアノン系(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどを使用)、アセトフェノン系(アセトフェノン、エチルフェニルケトンなどを使用)に分類される。ここで、本発明で用いるケトン樹脂も特に限定されないが、その中でも、アノン系が好ましく、軟化温度が70〜120℃のものが好ましい。
また、本発明で用いる低分子量ポリスチレンは、オリゴスチレンとも呼ばれ、数平均分子量300〜5000の液状もしくは固体のスチレン樹脂またはα―メチルスチレン樹脂である。ここで、本発明で用いる低分子量ポリスチレンは、その組成は特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好で、tanδを効率的に高めることを踏まえると、分子量が3000以下のものが好ましい。
また、本発明で用いるマレイン酸樹脂は、ロジン変性マレイン酸樹脂とも呼ばれ、ポリエステル樹脂の1種で、ロジンと無水マレイン酸から三塩基酸の付加物を作り、多価アルコールでエステル化したものである。無水マレイン酸の付加量、多価アルコールの種類、エステル化度の違いで軟化点、溶解性などの異なった性質のものが種々得られるが、軟化温度が80〜150℃のものが好ましい。
本発明におけるロジン系樹脂は、アビエチン酸が主成分であるガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン(以下、これらをロジンと記す。)、ロジンを水素ガスと反応させた水素添加ロジン、脂肪酸の分子間での水素の移動により脱水素されて安定な芳香環を持つデヒドロアアビエチン酸と水添されたジヒドロアビエチン酸が生成する反応により得られる不均化ロジン、ロジンの2量体を主成分とする重合ロジン、及びこれらのロジン、変性ロジンをグリセリン、ペンタエリスリトルなどでエステル化したロジンエステルである。これらは変性物を含めると、多岐にわたるが、特に、ロジンエステルが好ましい。
本発明におけるテルペン系樹脂は、α−ピネンを主成分とし、β−ピネン、カンフェン、ジペンテンなどの環状テルペンより成っているテレビン油を原料とした樹脂である。これは、その組成によりα−ピネン系、β−ピネン系、α−ピネンとフェノールとをカチオン重合して得られるテルペンフェノールに分類されるが、特に、α−ピネン系またはテルペンフェノールが好ましい。
本発明におけるキシレン樹脂はm−キシレンとホルムアルデヒドから得られる100%キシレン樹脂、またはアルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性キシレン樹脂(ノボラック、レゾール)といった変性キシレン樹脂(ノボラック)が好ましい。
ここで、オリゴマー樹脂はポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して5〜80重量部の範囲であることが必要である。オリゴマー樹脂が少量でも配合されればtanδは大きくなり、制振遮音シートとしての制振遮音性能は向上するが、オリゴマー樹脂の配合量が5重量部より少ない場合は、降雨時における折板屋根の温度域において雨音などの騒音を低減するための十分な制振遮音性能に達しない。一方で、オリゴマー樹脂の配合量が80重量部を越えると、得られた成形体が硬くなり、制振遮音シートを鋼板に積層する際や鋼板を折り曲げ加工する際に、シートに割れが発生する。また、シート表面のべたつきも大きくなる。オリゴマー樹脂を80重量部を越えて配合したものについても、可塑剤を多く配合するとことで柔軟にすることはできるが、シート表面のべたつきがますます悪化するとともに、溶融体の溶融張力が小さくなり、各種成形が困難となる。
したがって、制振遮音シートを鋼板に積層する際や鋼板を折り曲げ加工する際の加工環境温度において柔軟で、降雨時における折板屋根の温度域においてtanδをより大きなものとし、各種成形法で安定的にシートが作製でき、しかも得られた成形体の表面がべたつかないようにするためには、オリゴマー樹脂の配合量は5〜80重量部の範囲であることが必要である。
また、前記した理由により、オリゴマー樹脂は可塑剤より少ない配合量でなければならない。
さらに、本発明における制振遮音シートは、固体動的粘弾性測定によって得られる0℃、10℃、20℃、30℃におけるtanδが、各々、0.05、0.1、0.2、0.4以上であることが必要である。なお、ここでのtanδは、厚さ1mm、幅10mm、長さ20mm短冊状のサンプルを用い、サンプルの掴み間の距離(チャック間距離)を15mmとし、周波数10Hzで、引張モードの固体動的粘弾性測定によって得られた値を指している。tanδは、この固体動的粘弾性測定によって得られる損失弾性率(E”)と貯蔵弾性率(E’)の比(tanδ=E”/E’)として定義される。
ここで、0℃、10℃、20℃、30℃におけるtanδが、各々、0.05、0.1、0.2、0.4より小さい場合は、降雨時における折板屋根の温度域において、雨音などの騒音を低減するために必要な制振遮音性能を満足しない。したがって、降雨時における折板屋根の温度域において雨音などの騒音を低減するためには、制振遮音シートのtanδは、0℃、10℃。20℃、30℃において、各々、0.05、0.1、0.2、0.4以上であることが必要である。
さらに、本発明における制振遮音シートには、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレンから選ばれる1種以上の樹脂(E)を0.5〜20重量部配合することが好ましい場合がある。これは、制振遮音シートをカレンダー成形や押出成形で作製する際の加工安定性を付与するために必要となる場合がある。具体的には、シートをカレンダー成形や押出成形で作製する際には、自重による材料の垂れ下がりを抑える必要があり、そのためには、溶融体の溶融張力を大きくする必要がある。溶融体の溶融張力を大きくするには、分子量の大きなポリ塩化ビニル系樹脂を用いる方法があるが、前記したように、ポリ塩化ビニル系樹脂の場合は、分子量が大きくなると、成形加工法によっては、得られる成形品の表面が荒れてくる。また、各種混合機を用いてポリ塩化ビニル系樹脂を高温で混練しても、ポリ塩化ビニル系樹脂が均一な溶融体になりにくく、高温で長時間混練しなければ、各種成形に給する均一な溶融体にならない。しかしながら、熱安定性の面から、ポリ塩化ビニル系樹脂を高温に長時間保持することは好ましくない。また、本発明における制振遮音シートは、可塑剤、オリゴマー樹脂を比較的多量に配合して柔軟性と制振遮音性能を両立させており、溶融体の溶融張力が小さくなる。そのような材料の成形加工性を安定にし、成形体にした際の表面のべたつきを軽減するために、無機充填材も比較的多量に配合しているが、無機充填材が多量に配合されている分、材料が重く、その面で溶融体の垂れ下がりが起こりやすい。したがって、当該シートをカレンダー成形や押出成形で安定的に製造するためには、可塑剤、オリゴマー樹脂、無機充填材の配合比率のバランスだけではなく、他の方法を用いて、溶融体の溶融張力を大きくすることが好適であり、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレンからなる1種以上の樹脂(以下、これらを加工助剤樹脂と記す。)を0.5〜20重量部配合することは、本発明に用いる組成物の溶融張力を大きくするためのものである。
ここで、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレンに関しては、ポリ塩化ビニル系樹脂の特徴を保持した上で、少量で溶融張力を大きくできるという点で、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好なものが好ましい。
ここで、加工助剤樹脂の配合量が0.5重量部より少ない場合は、溶融張力の増大効果が十分でなく、かといって、加工助剤樹脂の配合量が20重量部より多くなると、加工助剤樹脂の種類によって影響は異なるが、成形体が硬くなったり、表面がべたつくようになり、いずれの加工助剤樹脂においても好ましくない。
したがって、カレンダー成形や押出成形で、安定的にシートやフィルムを製造し、得られた成形体が柔軟で、べたつきのないものとするためには、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレンからなる1種以上の樹脂の配合量は0.5〜20重量部の範囲が好ましい。
なお、加工助剤樹脂を配合しても、シートのtanδは、0℃、10℃、20℃、30℃において、各々、0.05、0.1、0.2、0.4以上でなければならない。
ここで、本発明に用いるアクリル系樹脂(以下、MMA系樹脂と記す。)としては、メチルメタアクリレートを50重量%以上含むアクリル系樹脂であり、メタメチルアクリレートの単独重合体ならびに各種モノマーとの共重合体が含まれる。ここで、メチルメタアクリレートを50重量%以上含むMMA系樹脂はポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好であり、少量の配合で溶融張力を増大させる上で好適である。
また、本発明に用いるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(以下、NBRと記す。)としては、アクリロニトリルの含有量が20%〜50%のNBRが好ましい。ここで、アクリロニトリルの含有量が20%〜50%のNBRは、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好であり、少量の配合でポリ塩化ビニル系樹脂の溶融張力を増大させる上で好適である。
また、本発明に用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと記す。)としては、酢酸ビニル含有量50%〜80%のEVAが好ましい。ここで、酢酸ビニル含量が50%〜90%のEVAは、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好であり、少量の配合でポリ塩化ビニル系樹脂の溶融張力を増大させる上で好適である。
また、本発明に用いる熱可塑性ポリウレタン(以下、TPUと記す。)としては、カプロラクトン系のポリオールをベースとしたものが好ましい。ここで、カプロラクトン系のポリオールをベースとしたTPUは、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好であり、少量の配合でポリ塩化ビニル系樹脂の溶融張力を増大させる上で好適である。
また、本発明に用いる塩素化ポリエチレン(以下、CPEと記す。)としては、塩素の含有量が30%を越えるものが好ましい。ここで、塩素の含有量が30%以上のCPEはポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好であり、少量の配合でポリ塩ビニル系樹脂の溶融張力を増大させる上で好適である。
本発明における制振遮音シートを構成する組成物には、発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、シートを作製する際に必要な熱安定剤、紫外線吸収剤や光安定剤などの耐候性改良剤、滑剤、顔料、着色剤などを配合することができる。
また、本発明の制振遮音シートの厚さは通常、0.2〜3mmの範囲で使用される。
ここで、本発明における制振遮音シートは、ポリ塩化ビニル系樹脂のシートを作製する際に好適に用いられる従来公知のカレンダー成形法や押出成形で製造することができる。
また、本発明における制振遮音シートは、シート表面の片面に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層、ポリオレフィン系樹脂層、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層、塩化ビニル系樹脂層から選ばれた樹脂層が積層されていることが好ましい場合がある。本発明における制振遮音シートは、折板屋根用制振遮音シートとしては表面のべたつきが少ないものであるが、それでも、鋼板を折り曲げ加工する際の加工環境や条件によっては、シート表面の滑り性が不足し、折り曲げ加工の際に、成形ロールに制振シートの一部が付着して波形形状に成形するのが難しく、折板屋根に擦過傷が生じるなどの問題が発生する。制振遮音シートに上記樹脂層を積層するのは表面の滑り性を付与するためであり、ポリ塩化ビニル系樹脂を主成分とするシートに積層することから、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層、ポリオレフィン系樹脂層、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層、塩化ビニル系樹脂層が好ましい。
ここで、制振遮音シート上に各種樹脂層を積層する方法としては、樹脂フィルムまたはシートを制振遮音シートに熱融着する方法、樹脂フィルムまたはシートを制振遮音シートに接着剤により接着する方法、さらに、制振遮音シート上に溶剤キャステイングにより樹脂層を形成する方法、または、押し出しにより制振遮音シートと樹脂層とを同時にラミネーションする方法などが採用できる。
ここで、樹脂層の厚さは、適用される成形条件や要求性能によって適宜決定されるが、5〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。ここで、樹脂層の厚さが5μm未満では、樹脂層の形成が難しくなるとともに、折り曲げ加工する際に表面の滑り性が不足したり、積層する樹脂層が破壊するおそれがある。一方で、樹脂層の厚さが500μmを越えると、滑り性を付与する目的に対して過剰の樹脂層となっており、不経済である上に、樹脂層の影響による剛性が大きくなり、折り曲げ加工する際の障害となる。
また、ここで得られた制振遮音シートは、鋼板に積層することで、制振遮音材とすることができ、当該制振遮音材を波形形状に折り曲げ加工することで、制振遮音性能を有する折板屋根を得ることができる。ここで、制振遮音シートと鋼板の積層には接着剤が用いられ、鋼鈑側に接着剤を塗布した後、接着剤塗布面に制振シートを圧着して、乾燥もしくは硬化させることにより、制振遮音材を得ることができる。
ここで、上記制振遮音材用の接着剤としては、ニトリルゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、クロロプレンゴムに代表されるゴム系の溶剤型接着剤、エポキシ系やウレタン系の二液溶剤型接着剤が使用できるが、特に、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレン系ゴムの溶剤型接着剤が好ましい。また、上記制振遮音シートの接着面には、予めプライマー処理が施されていてもよい。
ここでは、上記制振遮音シートを鋼板に積層した制振遮音シートを波形形状に折り曲げ加工することにより、制振遮音シートに裏打ちされた折板屋根が得られる。上記制振遮音シートから折板屋根を量産的に製造する設備としては、例えば、長尺の積層体を連続して成形できるロールフォーミング成形が使用される。また、小ロットの積層体に関しては、プレス曲げ加工によって折板屋根に成形加工することもできる。
次に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ポリ塩化ビニル系樹脂として、塩化ビニルのホモポリマーである大洋塩ビ(株)社製の大洋PVC、グレードTH−1000(以下、これを[A1]と記す。)を用い、可塑剤には、大阪有機化学(株)社製のジ−シクロヘキシルフタレート(商品名DCHP)(以下、これを[B1]と記す。)を用いた。また、ここでは、無機充填材として秩父石灰工業(株)社製の炭酸カルシウム(商品名重カルL)(以下、これを[C1]と記す。)を用い、オリゴマー樹脂としてC系の石油樹脂である東ソー(株)社製のペトコール、グレード140HM5(以下、これを[D1]と記す。)を用いた。[A1]は平均重合度が1000であり、[B1]の可塑化効率値は1.25である。ここでは、[A1]、[B1]、[C1]、[D1]の配合量を100重量部、55重量部、215重量部、30重量部とし、一般的なカレンダー成形法により厚さ1mmのシートを作製した。この際、安定剤として旭電化工業(株)製のアデカスタブAC288とアデカスタブAP616を、各々、1.65重量部、2.4重量部づつ配合した。
カレンダー成形に際し、[A1]、[B1]、[C1]、[D1]、AC288、AP616をヘンシェルミキサーで均一に混合し、バンバリーミキサーで樹脂温度が160℃になるまで混練して、組成物を調整した。これを、160℃に調整された逆L型形の4本ロールのカレンダー成形機を用いて圧延し、引き取り、冷却工程を経て、厚さ1mm、幅900mmのシートを作製した。
ここでは、シートの成形性の指標として、溶融樹脂のカレンダーロールからの剥離性と自重による垂れ下がりを、シートの性能に関しては、制振遮音性能、柔軟性、折り曲げ時のシートの割れ、シート表面のべたつきを下記の方法で評価した。また、各評価項目に関する良否の判定は下記の評価基準にしたがって行なった。
[評価基準]
カレンダーロールからの剥離性と自重による垂れ下がり;カレンダーロー
ルからの剥離性と自重による垂れ下がりに関しては、カレンダー成形時の状況を目視で観察することで判定した。ここでは、160℃に設定したカレンダーロールから剥離し、剥離したシートが自重によって垂れ下がることなく、シートが作製できる場合を優(◎)とし、シートがカレンダーロールから剥離した後に自重によって垂れ下がり気味となるが、次の引き取り工程において、高速で引き取るようにすればシートが作製できる場合を良(○)とし、カレンダーロールに粘着したり、カレンダーロールから剥離した後に自重によって垂れ下がり、次の引き取り工程に進めずにシートが作製できなかった場合を不可(×)とした。なお、ここでは、良(○)および優(◎)の場合を、シートが作製できるという意味で合格とした。
遮音性能;損失正接ならびに水滴の音圧の低減から評価した。
(2−1)損失正接(tanδ);損失正接は固体の動的粘弾性測定(引張モード)より見積もった。ここでは、カレンダー成形によって得られたシートから幅10mm、長さ20mmの試験片を切り出し、15mm間隔のチャックに試験片を挟み、温度0℃、10℃、20℃、30℃で、周波数10Hzの正弦振動を与えた。損失正接は、得られた応力から見積もられる損失弾性率(E”)と貯蔵弾性率(E’)の比(tanδ=E”/E’)から算出した。なお、測定には、非共振型強制振動法に基づく測定装置である東洋精機製作所(株)製の動的粘弾性測定装置、レオログラフソリッドを用いた。ここでは、0℃、10℃、20℃、30℃におけるtanδが、各々、0.05、0.1、0.2、0.4以上の場合を良(○)とし、いずれか一つの温度でも、tanδが目標値に達しない場合を不可(×)とした。
(2−2)音圧の低減;音圧の測定は、カレンダー成形によって得られたシートから100mm×100mmの試験片を切り出し、これをニトリルゴム系の溶剤型接着剤で、0.6mm厚のステンレス製鋼板に貼着したものを測定用試料とした。ここでは、鋼板の四隅に穴をあけて、穴に糸をくくりつけることによって鋼板を宙吊りにし、1.5mの高さから鋼板に水滴を一滴滴下した。ここで、宙吊りになっている鋼板の真下に、100mmの距離をおいて騒音計のマイクを設置し、水滴が鋼板に衝突した直後の最も音圧が大きい時の音圧を測定した。ここでは、シートを貼着することで、音圧が10dB以上低下する場合を良(○)とし、シートを貼着しても音圧の低下度合いが10dBに満たない場合は不可(×)とした。なお、音圧の測定には、リオン(株)製のSOUND LEVEL ANALYZER OCTAVE BAND ANALYZER NA−29を用いた。
柔軟性;柔軟性は固体の動的粘弾性測定(引張モード)によって得られる
貯蔵弾性率(E’)より評価した。ここでは、カレンダー成形によって得られたシートから幅10mm、長さ20mmの試験片を切り出し、15mm間隔のチャックに試験片を挟み、温度25℃で、周波数10Hzの正弦振動を与え、得られた応力から貯蔵弾性率(E’)を見積もった。ここでは、25℃のおける貯蔵弾性率が1000MPa以下の場合を柔軟性が良(○)とし、25℃における貯蔵弾性率が1000MPaより大きくなる場合は柔軟性が不足するものとして不可(×)とした。なお、測定には、非共振型強制振動法に基づく測定装置である東洋精機製作所(株)製の動的粘弾性測定装置、レオログラフソリッドを用いた。
折り曲げ時のシートの割れ;折り曲げ時のシートの割れに関しては、JI
S−A−1451に記載のマンドレル試験で評価した。ここでは、カレンダー成形によって得られたシートから幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出し、温調された試験室で測定を行なった。ここでは、温度10℃で、直径20mmの棒に上記シートを巻きつけた際に、シートが割れない場合を良(○)とし、シートに割れが発生したり、折れた場合を不可(×)とした。
シート表面のべたつき;シート表面のべたつきは、シートを荷重だけで貼
り合わせ、貼り合わせたシートのせん断剥離強度から判定した。ここでは、カレンダー成形で得られたシートから幅20mm、長さ90mmのシートを2枚切り出し、そのシートを幅20mm、長さ20mm(面積にして400mm)だけ重ね合わせ、その上に1kgの荷重をのせた上で、40℃の環境下で24時間保持したものを測定用試料とした。24時間保持後に重りをはずし、引張試験機で、重ね合わせたシートのせん断剥離試験を行なった。試験は、チャック間距離を100mmとし、引張速度300mm/minで行なった。ここでは、重なった部分が剥離する際に必要な荷重が500g/400mm以下の場合はべたつきにくいものとして良(○)とし、特に、500g/400mmの場合はべたつきがほとんどないものとして優(◎)とした。一方、荷重が500g/400mmを越える場合はべたつくものとして不可(×)とした。なお、ここでは、良(○)および優(◎)の場合を、べたつきにくいものとして合格とした。
表1には実施例1の評価結果を記す。
<実施例2>
実施例2は、実施例1に対して、可塑剤の種類だけを変更した。可塑剤には、フタル酸エステル系の物質である大八化学工業(株)社製のジ−2−エチルヘキシルフタレート(商品名DOP)(以下、これを[B2]と記す。)を用いた。[B2]の可塑化効率値は0.96である。実施例2は、[B1]を[B2]に変更した以外は実施例1と同じである。表1には実施例2の評価結果を記す。実施例2は可塑剤[B2]の可塑化効率値が1.1以下であるために、シート表面のべたつきが実施例1に比べて良好になる。
<実施例3>
実施例3は、実施例2と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]からなる組成物であるが、配合量が実施例2とは異なる。ここでは、[A1]、[B2]、[C1]、[D1]の配合量を100重量部、40重量部、30重量部、10重量部とした以外は実施例1と同じである。表1には実施例3の評価結果を記す。
<実施例4>
実施例4も、実施例2と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]からなる組成物であるが、配合量が実施例2とは異なる。ここでは、[A1]、[B2]、[C1]、[D1]の配合量を100重量部、80重量部、250重量部、70重量部とした以外は実施例1と同じである。表1には実施例4の評価結果を記す。
<実施例5>
実施例5は、実施例4の組成物に加工助剤樹脂としてアクリル樹脂を配合したものである。ここでは、アクリル樹脂として、三菱レイヨン(株)製の商品名メタブレン、グレードP−530(以下、これを[E1]と記す。)を用いた。実施例5では、実施例4の組成物に[E1]を5重量部配合し、実施例1と同条件で厚さ1mmのシートを作製した。表1には実施例5の評価結果を記す。実施例4で用いた組成物は、可塑剤が多くて溶融張力が小さい上に無機充填材を多量に配合して重量が大きくなっており、シートがカレンダーロールから剥離した直後に、シートが自重によって垂れ下がりやすい。したがって、シートがカレンダーロールから剥離した直後に、高速で引き取らなければならないが、実施例5は、加工助剤樹脂としてアクリル樹脂を配合しているために、実施例4に比べてシートの垂れ下がりが抑えられ、幅広い条件で、シートがより安定に作製できる。
<実施例6>
実施例6では、ポリ塩化ビニル系樹脂として、塩化ビニルとエチレンの共重合体である大洋塩ビ(株)社製の大洋PVC、グレードTE−1050(以下、これを[A2]と記す。)を用い、可塑剤としては、大八化学工業(株)製のジ−イソ−ノニルフタレート(商品名DINP)(以下、これを[B3]と記す。)を用いた。[A2]の平均重合度は1000であり、[B3]の可塑化効率値は1.06である。また、無機充填材にはタルクを用い、日本タルク(株)製のタルク(商品名MS−P)(以下、これを[C2]と記す。)を用いた。さらに、オリゴマー樹脂としてクマロン樹脂を用いた。クマロン樹脂としては、新日鐵化学(株)製の商品名日鐵クマロン、グレードT−105(以下、これを[D2]と記す。)を用いた。また、加工助剤樹脂としては[E1]を用いた。ここでは、[A2]、[B3]、[C2]、[D2]、[E1]の配合量を100重量部、55重量部、215重量部、40重量部、5重量部とし、実施例1と同条件で厚さ1mmのシートを作製した。表1には実施例6の評価結果を記す。
<実施例7>
実施例7は、実施例5で得られたシートに厚さ25μmのPETフィルムを積層したものである。PETフィルムには、特殊な表面処理を施し、加熱するだけで塩化ビニル製シートに接着できるものを用いた。ここでは、帝人(株)製のPETフィルム、商品名テトロンフィルム、グレードHPE−25を用いた。制振シートへのPETフィルムの積層は、制振遮音シートとPETフィルムを重ねた上で、温度140℃に設定されたエンボスロールで圧着することで接着させた。表1には実施例7の評価結果を記す。実施例5における組成物は、可塑剤と石油樹脂が比較的多量に配合されている。べたつき評価における判定は良(○)であり、べたつきにくいものではあるが、べたつきがやや大きくなっている。本実施例に示すように、PETフィルムを積層することで良好な滑り性が付与される。
<実施例8>
実施例8は、実施例5で得られたシートに厚さ40μmの塩化ビニル系樹脂フィルムを積層したものである。ここで、塩化ビニル系フィルムには、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して実施例1で用いた可塑剤[B1]を6重量部配合した組成物を用いて、カレンダー成形で作製したものを用いた。制振シートへの塩化ビニル系樹脂フィルムの積層は、制振遮音シートと塩化ビニル系樹脂フィルムを重ねた上で、温度140℃に設定されたエンボスロールで圧着することで接着させた。表1には実施例8の評価結果を記す。実施例7と同様に塩化ビニル系樹脂フィルムを積層することで良好な滑り性が付与される。
<実施例9>
実施例9は、実施例2のシートをステレンス製の鋼板に積層した制振遮音材である。ここでは、幅770mm、厚さ0.6mmのステンレス製鋼鈑に、幅30mmと115mmの制振遮音シートを交互に2本づつ、一定の間隔を開けて、ニトリルゴム系の溶剤型接着剤を使用して接着し、制御遮音材とした。ここでは、この制振遮音材をロールフォーミングによって成形し、折板屋根を得た。ここで、折板屋根での音圧の測定については、制振遮音シートが積層されている面を下側として、制振遮音シートが貼着されていない側に、上方から1m当たり100mm/hrの雨を降らせ、折板屋根の下方1mの位置における音圧を騒音計により測定した。ここでも、制振遮音シートを積層していない鋼板単体に対して、音圧の最大値が10dB以上低下した場合を良(○)とし、音圧の最大値の低下度合いが10dBに満たない場合を不可(×)とした。表2には折板屋根としての実施例9の評価結果を記す。なお、ここでも、音圧の測定には、リオン(株)製のSOUND LEVEL ANALYZER OCTAVE BAND ANALYZER NA−29を用いた。
<実施例10>
実施例10は、実施例7で得られた制振遮音シートを、実施例9と同様に、鋼板に積層した制振遮音材である。ここでも、制振遮音材を実施例9と同様にロールフォーミングによって成形し、折板屋根を得た。なお、折板屋根での音圧の測定および判定基準は実施例9と同じである。表2には折板屋根としての実施例10の評価結果を記す。
<比較例1>
比較例1は、実施例2と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]からなる組成物であるが、[B2]の配合量が実施例1とは異なる。ここでは、[B2]の配合量を25重量部とした以外は実施例1と同じであり、[B2]の配合量が請求範囲から外れる。表3には比較例1の評価結果を記すが、損失正接、音圧で示される制振遮音性能、ならびに柔軟性と折り曲げに対する割れが目標を満足していない。
<比較例2>
比較例2も実施例2と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]からなる組成物であるが、[B2]の配合量が実施例1とは異なる。ここでは、[B2]の配合量を120重量部とした以外は実施例1と同じであるが、[B2]の配合量が請求範囲から外れる。表3には比較例2の評価結果を記すが、カレンダー成形でシートを作製する際に、カレンダーロールからシートが剥離した後に自重によって垂れ下がり、シートにすることができなかった。
<比較例3>
比較例3は比較例2に加工助剤樹脂として[E1]を20重量部配合した組成物であるが、比較例2と同様にカレンダー成形でシートを作製しようとした。表3には比較例3の評価結果を記すが、加工助剤樹脂を20重量部配合しても、比較例2と同様にカレンダーロールからシートが剥離した後に自重によって垂れ下がり、シートにすることができなかった。
<比較例4>
比較例4も実施例2と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]からなる組成物であるが、[C1]の配合量が実施例1とは異なる。ここでは、[C1]の配合量を15重量部とした以外は実施例1と同じであり、[C1]の配合量が請求範囲から外れる。表3には比較例4の評価結果を記すが、カレンダー成形で得られたシートの表面がべたつくようになる。
<比較例5>
比較例5も実施例2と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]からなる組成物であるが、[C1]の配合量が実施例1とは異なる。ここでは、[C1]の配合量を320重量部とした以外は実施例1と同じであるが、[C1]の配合量が請求範囲から外れる。表3には比較例5の評価結果を記すが、カレンダー成形でシートを作製する際に、カレンダーロールから剥離したシートが自重によって垂れ下がり、シートにすることができなかった。
<比較例6>
比較例6は比較例5に加工助剤樹脂として[E1]を20重量部配合した組成物であり、比較例5と同様にカレンダー成形でシートを作製しようとした。表3には比較例3の評価結果を記すが、加工助剤樹脂を20重量部配合しても、比較例5と同様にカレンダーロールからシートを剥離した後に自重によって垂れ下がり、シートにすることができなかった。
<比較例7>
比較例7も実施例2と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]からなる組成物であるが、[D1]の配合量が実施例1とは異なる。ここでは、[D1]の配合量を4重量部とした以外は実施例1と同じであるが、[D1]の配合量が請求範囲から外れる。表3には比較例7の評価結果を記すが、損失正接、水滴の音圧で示される制振遮音性能が目標を満足しない。
<比較例8>
比較例8は実施例5と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]、[E1]からなる組成物であるが、[D1]と[E1]の配合量が実施例5とは異なる。ここでは、[D1]の配合量を100重量部、[E1]の配合量を20重量部とした以外は実施例1と同じであるが、[D1]の配合量が請求範囲から外れる。表3には比較例8の評価結果を記すが、[D1]の配合量が多すぎたため、カレンダー成形でシートを作製する際に、カレンダーロールに粘着ぎみとなり、また、剥離したシートが自重によって垂れ下がり、シートにすることができなかった。
<比較例9>
比較例9も実施例2と同じ[A1]、[B2]、[C1]、[D1]からなる組成物であるが、[A1]、[B2]、[C1]、[D1] の配合量が実施例1とは異なる。ここでは、[A1]、[B2]、[C1]、[D1]の配合量を、各々、100重量部、40重量部、80重量部、55重量部としており、各成分の配合量は請求範囲内にある。ただし、[B2]の配合量が[D1]の配合量より少なく、その点が請求範囲から外れる。また、表3には比較例9の評価結果を記すが、[B2]が[D1]より少ないために、常温域で硬く、tanδが大きくなる温度も高温域にずれることから、0℃、10℃。20℃、30℃のいずれの温度においてもtanδが目標を満足していない。
Figure 2005226382

※カレンダー成形によってシートを作製する際に配合する安定剤は全ての実施例で共通
アデカスタブAP616:1.65重量部 アデカスタブAC288:2.4重量部
Figure 2005226382
Figure 2005226382
※カレンダー成形によってシートを作製する際に配合する安定剤は全ての比較例で共通
アデカスタブAP616:1.65重量部 アデカスタブAC288:2.4重量部
本発明に係る折板屋根用制振遮音シートによれば、シートが軟質の塩化ビニル系樹脂を主成分とすることから、鋼板に積層する際やシートが貼着された鋼板を折り曲げる際の加工環境においても取り扱いが容易であり、折り曲げ加工時に加わる大きな圧力に対してもシートが割れることがない。また、降雨時における折板屋根の温度域(0〜35℃)において、大きな制振性能を示すために、雨音に代表されるような騒音を遮断することができる。また、塩化ビニル系樹脂を使用し、無機充填材も多量に配合することから材料コスト的に有利であり、さらに、生産速度が早く、短時間で多量のシートが製造できるカレンダー成形でシートが製造できることから、その面からもコスト的に有利である。
また、軟質のオレフィン系樹脂やオリゴマー樹脂から構成される従来の同種のシートに比べて、シート表面に滑り性があり、従来のシートでは必須であったPET樹脂層の積層が不要となる可能性もあることから、その面からもコスト的に有利となる。
以上のことから、本発明に係る折板屋根用制振シートを用いて、折板屋根を製造することにより、得られた折板屋根を設置した住宅は、雨音に代表される騒音を劇的に軽減することができるようになり、居住者に快適な空間を提供することができる。

Claims (8)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂(A)が100重量部、可塑剤(B)が30〜100重量部、無機充填材(C)が20〜300重量部、石油樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、低分子量ポリスチレン、マレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂から選ばれた1種以上の脂環及び/または芳香環構造を含むオリゴマー樹脂(D)が5〜80重量部からなる折板屋根用制振遮音シートであって、可塑剤(B)の配合量がオリゴマー樹脂(D)の配合量より多く、さらに、固体動的粘弾性測定によって得られる0℃、10℃、20℃、30℃における損失正接(tanδ)が、各々、0.05、0.1、0.2、0.4以上であることを特徴とする折板屋根用制振遮音シート。
  2. 可塑剤(B)の可塑化効率値が1.1以下であることを特徴とする請求項1に記載の折板屋根用制振遮音シート。
  3. ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100重量部に対して、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレンから選ばれた1種以上の樹脂(E)を0.5〜20重量部配合することを特徴とする請求項1または2に記載の折板屋根用制振遮音シート。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の折板屋根用制振遮音シートが鋼板に積層されていることを特徴とする制振遮音材。
  5. 請求項4に記載の制振遮音材が波形形状に成形されていることを特徴とする折板屋根。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の折板屋根用制振遮音シートの片面に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層、ポリオレフィン系樹脂層、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層、塩化ビニル系樹脂層から選ばれた樹脂層が積層されていることを特徴とする折板屋根用制振遮音シート。
  7. 請求項6に記載の折板屋根用制振遮音シートにおいて、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層、ポリオレフィン系樹脂層、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層、塩化ビニル系樹脂層から選ばれた樹脂層が積層されている面とは反対側に鋼板が積層されていることを特徴とする制振遮音材。
  8. 請求項7に記載の制振遮音材が波形形状に成形されていることを特徴とする折板屋根。
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