JP2005225918A - 非石綿系ジョイントシートの製造方法および該製法により得られた非石綿系ジョイントシート - Google Patents

非石綿系ジョイントシートの製造方法および該製法により得られた非石綿系ジョイントシート Download PDF

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Abstract

【解決手段】フッ素樹脂、熱硬化性樹脂、充填剤、および必要により硬化剤、非石綿系基材繊維、溶剤を含む組成物であって、
該組成物中の溶剤を除く成分の合計を100重量%とするとき、
フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、
上記熱硬化性樹脂含量が1.0〜7.0重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含む非石綿系ジョイントシート形成用組成物を、
120〜160℃の温度に保持された熱ロールと50℃以下の温度に保持された冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して熱ロール側に積層しながら加圧硬化成形して熱硬化樹脂シートを得て、
得られた熱硬化樹脂シートを「フッ素樹脂の融点以上の温度」〜「フッ素樹脂の分解温度未満の温度」で1〜50時間加熱することにより、熱硬化樹脂シート中のフッ素樹脂を焼結させることを特徴とする、非石綿系ジョイントシートの製造方法、および得られた非石綿系ジョイントシート。
【効果】耐熱性、耐蒸気性等に優れた非石綿系ジョイントシートの簡単な製造方法および該製法により得られた上記特性の非石綿系ジョイントシートが提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、非石綿系ジョイントシートの製造方法および該製法により得られた非石綿系ジョイントシートに関し、さらに詳しくは、化学工業、自動車、船舶、各種機器装置などの広範囲な産業分野において利用され、ガスケットの基材として好適に用いられる、耐熱性、耐蒸気性等に優れた非石綿系ジョイントシートの簡単な製造方法および該製法により得られた上記特性の非石綿系ジョイントシート、該製法で好適に用いられる非石綿系ジョイントシート形成用組成物並びにその製造方法に関する。
従来、ジョイントシートとしては、石綿ジョイントシートが広く用いられてきた。この石綿ジョイントシートは、基材繊維としての石綿と、ゴムなどの結合剤と、さらに他の配合剤とを混練して得られるジョイントシート形成用組成物を、一対のロール間に供給して加熱圧縮することによって製造される緻密で均等なシート状体であり、耐熱性に優れ、通常、石綿を60〜80重量%の量で含有している。
しかしながら近年、石綿資源の枯渇およびそれに伴う入手難の問題が生ずるとともに、人体に対する石綿の悪影響が指摘されるに至り、石綿の使用は再検討を迫られている。
このため石綿の代替繊維として、例えば、ガラス繊維、ミネラル繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、ウォラスナイトなどの無機繊維、および芳香族ポリアミド(アラミッド)繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などの有機繊維を用いてなる非石綿ジョイントシートが研究されている。
しかしながら、例えば、ガラス繊維などの無機繊維と芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維とを組み合わせて用いると、これらの無機繊維と有機繊維とを混練する際に、無機繊維が粉砕されてアスペクト比が低下し、得られるジョイントシートではシール性が低下することが指摘されている。また、無機繊維は一般的に混練時の分散性に劣るため、該繊維が均一に分散されたジョイントシート形成用組成物が得られにくく、該繊維が不均一に分散されたジョイントシート形成用組成物から得られるジョイントシートは強度および応力緩和特性に劣ってしまうという問題点があった。
これに対して、基材繊維として有機繊維を多量に用いて形成されるジョイントシートが提案されているが、このような有機繊維を多量に含有している非石綿系ジョイントシートは、耐熱性に劣るという問題点があった。
また、石綿系ジョイントシートと比べて、特に、上記ノンアスベストジョイントシートは、高温雰囲気下にて使用されると、配合されているゴム成分が熱履歴によって硬化、分解、消失等の劣化を起こすため、比較的短期間にシール性が低下し、交換を余儀なくされており、このため、耐熱性に著しく優れるとともに、シール性に優れた非石綿系ジョイントシートおよびその簡単な製造方法の出現が望まれていた。
なお、膨張黒鉛を圧延製板した膨張黒鉛シート、PTFEと無機充填剤を混合し圧延製板した充填剤入りPTFEシート等もあるが、膨張黒鉛シートは柔軟性やもろさに難があり石綿ジョイントシートと同様に取扱うことができず、また、充填剤入りPTFEシートは、複雑な製造工程により製造されることからかなり高価となり、それほど代替が進んで
いない。
なお、炭素繊維を用いて耐熱性を向上させる技術としては、例えば、特開平03−056772号公報(特許文献1)、特開平05−239439号公報(特許文献2)、特開平11−029761号公報(特許文献3)が挙げられる。
膨張黒鉛を用いて耐熱性を向上させる技術としては、例えば、特開平02−212581号公報(特許文献4)、特開平07−233360号公報(特許文献5)、特開平08−319473号公報(特許文献6)、特開平11−050047号公報(特許文献7)が挙げられる。
フッ素樹脂を用いて耐熱性を向上させる技術としては、例えば、特開平03−199777号公報(特許文献8)が挙げられる。
無機充填剤の選定により耐熱性を向上させる技術としては、例えば、特開昭63−305183号公報(特許文献9)、特開平05−171133号公報(特許文献10)、特開平09−104859号公報(特許文献11)、特開2000−104043号公報(特許文献12)が挙げられる。
また、ゴム・ゴム薬品の選定により耐熱性を向上させる技術としては、例えば、特開平04−359987号公報(特許文献13)、特開平06−287539号公報(特許文献14)、特開平09−053062号公報(特許文献15)、特開平09−111048号公報(特許文献16)、特開平10−168429号公報(特許文献17)、特開平10−273645号公報(特許文献18)が挙げられる。
上記従来技術によれば、それぞれある程度、耐熱性などが改良されているが、市場で要求されるに十分な耐熱性を有し、しかもシール性の良好なジョイントシートを得るには至っていなかった。
特開平03−056772号公報 特開平05−239439号公報 特開平11−029761号公報 特開平02−212581号公報 特開平07−233360号公報 特開平08−319473号公報 特開平11−050047号公報 特開平03−199777号公報 特開昭63−305183号公報 特開平05−171133号公報 特開平09−104859号公報 特開2000−104043号公報 特開平04−359987号公報 特開平06−287539号公報 特開平09−053062号公報 特開平09−111048号公報 特開平10−168429号公報 特開平10−273645号公報
本発明は上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、未硬化
のジョイントシート形成用組成物をシータ装置に挿通させると、該組成物が滑ってしまうことなく、ロール間に良好に食い込ませることができ、該シータ装置に通すことによりシート状となって硬化・積層して所望の強度を確保でき、また均一に製板加工できるような、製板加工性に優れた非石綿系ジョイントシート形成用組成物を提供することを目的としている。
また、本発明は、未硬化のジョイントシート形成用組成物から、最終的には、フッ素樹脂が溶融流動性を示す温度以上〜フッ素樹脂の分解温度未満の温度で焼成することにより、著しく耐熱性に優れ、シール性にも優れたジョイントシートが得られるような非石綿系ジョイントシート形成用組成物およびそのシートの製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、加工助剤として熱硬化性樹脂を用いることにより、フッ素樹脂が溶融流動性を示すような温度で焼成しても、熱硬化性樹脂は分解等せず、内部がポーラスにならないまま、著しく耐熱性に優れ、シール性にも優れたジョイントシートが得られる非石綿系ジョイントシート形成用組成物を提供することを目的としている。
また、本発明は、耐熱性に著しく優れ、シール性にも優れた非石綿系ジョイントシートが容易に効率よく得られるような、非石綿系ジョイントシートの製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、実質上、熱劣化する成分を含まず、著しく耐熱性に優れ、シール性にも優れた非石綿系ジョイントシートを提供することを目的としている。
本発明に係る非石綿系ジョイントシート形成用組成物は、
フッ素樹脂、熱硬化性樹脂、充填剤、および必要により硬化剤、非石綿系基材繊維、溶剤を含む組成物であって、
該組成物中の溶剤を除く成分の合計を100重量%とするとき、
フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、上記熱硬化性樹脂含量が1〜7重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含むことを特徴としている。
本発明に係る非石綿系ジョイントシートは、
フッ素樹脂、熱硬化樹脂、充填剤、および必要により非石綿系基材繊維を含むジョイントシートであって、
該ジョイントシート中における上記フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、上記熱硬化樹脂含量が1〜7重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含むことを特徴としている。
本発明に係る非石綿系ジョイントシートの製造方法は、
用いられる非石綿系ジョイントシート形成用組成物として、
フッ素樹脂、熱硬化性樹脂、充填剤、および必要により硬化剤、非石綿系基材繊維、溶剤を含む組成物であって、
該組成物中の溶剤を除く成分の合計を100重量%とするとき、
フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、上記熱硬化性樹脂含量が1〜7重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含む非石綿系ジョイントシート形成用組成物を、
120〜160℃の温度に保持された熱ロールと50℃以下の温度に保持された冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して熱ロール側に積層しながら加圧硬化成形して熱硬化樹脂シートを得て、
得られた熱硬化樹脂シートを上記フッ素樹脂の融点以上の温度〜上記フッ素樹脂の分解
温度未満の温度で1〜50時間加熱することにより、熱硬化樹脂シート中のフッ素樹脂を焼結させることを特徴としている。
本発明に係る非石綿系ジョイントシートは、上記の何れかの方法により得られ、
フッ素樹脂、熱硬化樹脂および充填剤を含み、必要により非石綿系基材繊維を含むジョイントシートであって、
上記フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含むことを特徴としている。
本発明によれば、未硬化のジョイントシート形成用組成物をシータ装置に挿通させると、該組成物が滑ってしまうことなく、ロール間に良好に食い込ませることができ、該シータ装置に通すことによりシート状となって硬化・積層して所望の強度を確保でき、また均一に製板加工できるような、製板加工性に優れた非石綿系ジョイントシート形成用組成物が提供される。
また、本発明によれば、未硬化のジョイントシート形成用組成物から、最終的には、フッ素樹脂が溶融流動性を示し、熱硬化樹脂が溶融流動性を示す温度で焼成することにより、著しく耐熱性に優れ、シール性にも優れたジョイントシートが得られるような、非石綿系ジョイントシートの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、フッ素樹脂が溶融流動性を示すような温度で焼成する必要があるが、ジョイントシート形成用組成物に配合する加工助剤として、(未加硫)ゴムではなく熱硬化性樹脂を用いることにより、焼成(焼結)工程を経ても、熱硬化樹脂は分解等しないため、得られるジョイントシートの内部がポーラスにならない。そのため、著しく耐熱性に優れると共に、シール性にも優れたジョイントシートが提供される。
本発明によれば、耐熱性に著しく優れ、シール性にも優れた非石綿系ジョイントシートが容易に効率よく得られるような、非石綿系ジョイントシートの製造方法が提供される。
以下、本発明に係る非石綿系ジョイントシートの製造方法および得られた非石綿系ジョイントシート等について具体的に説明する。
<非石綿系ジョイントシートの製造方法>
本発明に係る非石綿系ジョイントシートの製造方法では、下記のような特定の組成の非石綿系ジョイントシート形成用組成物を、120〜160℃の温度に保持された熱ロールと50℃以下の温度に保持された冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して熱ロール側に積層しながら加圧硬化成形して熱硬化樹脂シートを得て、
得られた熱硬化樹脂シートを、「フッ素樹脂の融点以上の温度」〜「フッ素樹脂の分解温度未満の温度」で1〜50時間加熱することにより、熱硬化樹脂シート中のフッ素樹脂を焼結させることにより、非石綿系ジョイントシートを製造している。
このような本発明に係る非石綿系ジョイントシートの製造方法によれば、耐熱性に著しく優れ、シール性にも優れた非石綿系ジョイントシートが容易に効率よく得られる。
以下、このような非石綿系ジョイントシートの製造の際に用いられる非石綿系ジョイントシート形成用組成物、該組成物を用いた非石綿系ジョイントシートの製造工程、得られた非石綿系ジョイントシート等について順次詳説する。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物>
本発明において用いられる非石綿系ジョイントシート形成用組成物は、フッ素樹脂、熱硬化性樹脂、充填剤、および必要により架橋剤、非石綿系基材繊維、溶剤などを含む組成物であって、
該組成物中の溶剤を除く成分の合計を100重量%とするとき、
フッ素樹脂含量が10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%であり、
非石綿系基材繊維や充填材の間を埋めるバインダーとしての上記熱硬化性樹脂の含量が1〜7重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛(鱗片状黒鉛)を含むことが望ましい。
なお、このフッ素樹脂は、最終的に得られる非石綿系ジョイントシート中にあって、従来の加硫ゴム等に代わって充填材の間や必要により含まれる非石綿系基材繊維の間を埋め、バインダー(結合材)の役割などを有するが、このフッ素樹脂含量が上記範囲にあると、得られる非石綿系ジョイントシートは、シール性、応力緩和特性、耐熱性に優れ、例えば、ガスケットとして使用すると、高温下で長期にわたる使用が可能なガスケットとなる傾向がある。また、このフッ素樹脂含量が、上記範囲より少ないと、非石綿系ジョイントシートのシール性が低下し、シール材として使用が困難となる傾向があり、また、上記範囲より多いと、応力緩和特性、耐熱性が悪化し高温下で長期にわたる使用が困難となる傾向がある。なお、このフッ素樹脂については後述する。
また、この熱硬化性樹脂は、本発明においては、シーター装置により製板加工する際の製板加工助剤として機能していると共に、高い耐熱性を有しているので、実質上焼成工程にて分解、焼失等することがない。よって、焼成工程にて内部がポーラスにならないため、得られる非石綿系ジョイントシートは、高い耐熱性を保持させたまま高いシール性が得られる。
この熱硬化性樹脂含量が上記範囲にあると、後述する「シーター装置」に供給された非石綿系ジョイントシート形成用組成物は、シーター装置の一対のロール間に良好に、速やかに食い込まれて行き、展性(伸びやすさ)も良好であり均一に製板硬化成形でき熱ロール側に卷回(積層)されるジョイントシートも破断・崩壊、亀裂などがなく、その強度も十分となる傾向がある。
なお、この熱硬化性樹脂含量が、上記範囲より低減・除去され、その分フッ素樹脂を多量に用いあるいは熱硬化性樹脂を完全にフッ素樹脂で代替させたような場合には、該組成物が滑りやすくなりロール間に食い込み難くなり、従来の十分な量でゴムが配合された従来の非石綿系ジョイントシート形成用組成物に比して展性が悪く均一に製板できず、一対のロール間を挿通させても熱ロールによる加熱を行っても、架橋などによる十分な硬化が起こらないため、熱硬化樹脂シートの強度が不足し、熱ロール側に積層・卷回して行くことができず、製板加工性に劣るという問題が生じる傾向があり、また、仮に製板加工し得たとしても、所望の焼成されたシート状物が得られない恐れが高い。
反対に、熱硬化性樹脂含量が上記範囲より多いと、製板加工性は向上するが、相対的に非石綿系ジョイントシート形成用組成物中あるいは非石綿系ジョイントシート中のフッ素樹脂量は低下し、非石綿系ジョイントシート形成用組成物の製板加工(架橋、硬化)後に、得られた熱硬化樹脂シートを加熱焼成したものは、剛直なシートになるため、非石綿系ジョイントシートのシール性能が著しく低下し、シール材として使用できなくなる恐れが高い。
また、本発明では、充填剤としては、鱗状黒鉛と従来より公知の他の充填剤を組み合わせて用いることができるが、何れにしても、充填剤としては、鱗状黒鉛をできるだけ多く含む充填剤混合物あるいは所望量の全量で鱗状黒鉛自体を用いることが製板加工性に優れ
た非石綿系ジョイントシート形成用組成物が得られるとの観点から好ましい。本発明では、非石綿系ジョイントシート形成用組成物調製時に添加使用される充填剤のうちの50重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは実質上全量(ほぼ100重量%)が、鱗状黒鉛であることがシーター装置による製板加工性に優れる点から望ましい。
なお、充填剤(充填剤合計量:100重量%)として、鱗状黒鉛量が50重量%未満、特に0重量%(不含)の場合には、クレーなどその他の充填剤を十分な量で含んでいてもシーター装置により製板加工できない傾向がある。
これに対して、上記のような量でフッ素樹脂や熱硬化性樹脂等が含まれた本発明に係る未硬化のジョイントシート形成用組成物は、「シータ装置」に挿通させると、該組成物が滑ってしまうことなく、ロール間に良好に食い込ませることができ、該シータ装置に通すことによりシート状となって架橋・積層して所望の強度を確保でき、また均一に製板加工できる。
この「シータ装置」は、本願出願人が先に開示した特許公開2001−181452号公報などにも記載されているように、従来より公知であり、この組成物を熱ロールと冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入させて加熱圧延する装置である。この加熱圧延の際に、熱ロールは一般的には120〜160℃の温度に設定し、冷却ロールは50℃以下、好ましくは30℃以下の温度に保たれていることが望ましい。
上記組成物を、このような温度条件に設定されたシーター装置に挿通させた場合には、該組成物中の非石綿系基材繊維はその繊維形状を実質上保った状態で該組成物は加熱圧延され、熱ロール側にシート状に積層(巻回)される。
次いで、このシート状の架橋・硬化物を熱ロールから剥離させると、熱硬化樹脂シートが得られる。上記のような加熱圧延の際に、該組成物中の溶剤が揮散・除去され該シート状物は乾燥すると共に、含まれる熱硬化性樹脂の架橋等による硬化が行われる。
このため、このシーター装置を用いたシーター製法(カレンダー製法)によれば、例えば、押出し製法に比して、より少ない工程数で、低コストにて所望の熱硬化樹脂シートを製造できる。
この非石綿系ジョイントシート形成用組成物に含まれる上記各成分について説明する。
フッ素樹脂
フッ素樹脂は、非石綿系ジョイントシート形成用組成物中に含まれるが、非石綿系ジョイントシート形成用熱硬化樹脂シート中にあっては熱硬化樹脂と共に、また最終的に得られた非石綿系ジョイントシート中においては、熱硬化樹脂に代わって、充填材(充填剤)、必要により含まれる基材繊維等を結合するバインダー(結合材)として機能している。
フッ素樹脂としては、PTFEの他、変性PTFE 、フッ化ビニリデン樹脂(PVD
F) 、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE) 、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE) 、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレンエチレン共重合樹脂(FE
P)および四フッ化エチレン−パーフロロアルキル共重合樹脂(PFA)など、従来より公知のフッ素樹脂をいずれも好ましく用いることができ、その際、1種又は2種以上組合わせて用いてもよい。
特に本発明では、フッ素樹脂としては、好適には、ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)に代表されるフッ素樹脂の「ファインパウダー」、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂の「ディスパージョン」中に含まれているフッ素樹脂等が好ましく用いられ、さらに好適には、PTFEファインパウダーが、せん断作用を受けると容易にフィブリル化、繊維化するなどの点から望ましい。
本発明では、このように好適なPTFEファインパウダーを単独で用いても良いが、PTFEファインパウダー等と、その他の上記フッ素樹脂とを組合わせて用いるなど、2種以上のフッ素樹脂を組合わせて用いてもよい。
フッ素樹脂の「ファインパウダー」とは、「ふっ素樹脂ハンドブック」(里川孝臣編、日刊工業新聞社刊、1990年11月30日発行、第30〜31頁参照。)、特開平6−59628号公報等にも明らかなように、含フッ素(共)重合体形成用モノマーの乳化重合で得られた含フッ素(共)重合体ラテックスを、凝析乾燥して一次粒子径約0.2〜0.4μm、二次粒子径約300〜600マイクロメートルの粒径に調整したものである。このフッ素樹脂ファインパウダーは、本発明者らの知見によれば、せん断作用を受けると容易にフィブリル化、繊維化するという特徴を有しており、本発明に用いるフッ素樹脂に最も適している。
また、本発明ではフッ素樹脂モールディングパウダーも使用可能であり、「モールディングパウダー」とは、上記「ふっ素樹脂ハンドブック」にも記載されているように、含フッ素(共)重合体形成用モノマーの懸濁重合で得られた原粉末を、いったん数十〜数百マイクロメートルの大きさに粉砕し、成形用途に応じて造粒したものである。
また、本発明では、フッ素樹脂として、上記したようにフッ素樹脂ディスパージョンとして市販されているものも好適に用いることができる。このフッ素樹脂ディスパージョンは、上記「ふっ素樹脂ハンドブック」の第98〜99頁、あるいは特開2001−114965号公報[0022]欄などにも記載されているように、含フッ素(共)重合体形成用モノマーの乳化重合で得られた含フッ素(共)重合体ラテックスを濃縮・安定化したものであって、平均粒径が約0.1〜0.4μmのフッ素樹脂微粒子の水性分散体であり、(固形分)濃度が、例えば、5〜60重量%程度のものが「ディスパージョン」として市販されているが、本発明者らの知見によれば、この「ディスパージョン」中のフッ素樹脂もせん断作用を受けると容易にフィブリル化、繊維化するという特徴を有しており、好適なフッ素樹脂として用いることができる。
この繊維化が容易なフッ素樹脂は、シーター装置を用いた製板過程においてせん断力を受けて繊維化し互いに絡み合うことによって、製板工程を経た積層(卷回)物がその形状をシート状に保つことを容易にする働きを有している。
なお、シーター装置での圧延加工時に、フッ素樹脂の繊維化が進みすぎると、フッ素樹脂が本来持っていた柔軟性が低下あるいは消滅して、得られる熱硬化樹脂シートあるいはこれをさらに加熱焼成してなる非石綿系ジョイントシートが緻密にならないことがある。その場合、繊維化が容易なフッ素樹脂とそれ以外のフッ素樹脂を組み合わせて用いることによって、繊維化の度合いを制御することができ、製板条件に適合した成形用組成物を調合することも可能である。
このような本発明においては、フッ素樹脂として、「繊維化が容易なフッ素樹脂」(F)と「それ以外のフッ素樹脂」(M)との合計((F)+(M))を100重量部とするとき、繊維化が容易なフッ素樹脂(F)を30重量部以上、好ましくは50〜100重量部、特に好ましくは90〜100重量部の量で含むものを用いると、柔軟性に優れ、緻密なシートが得られる点で望ましい。
熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹、エポキシ樹脂などが挙げられ、加圧硬化温度である、通常120〜160℃、好ましくは130〜160℃で熱硬化可能である限り、特に限定はなく、非石綿系ジョイントシート形成用組成物調製時の混合工程にて溶剤に熱硬化性樹脂が溶解し、かつ含まれるフッ素樹脂の加熱焼結工程にて熱硬化性樹脂が分解、消失、炭化等せず、得られるジョイントシートの内部がポーラスにならないような熱硬化性樹脂種であれば、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
このような熱硬化性樹脂は、本発明においては、非石綿系ジョイントシート形成用組成物中にあって、主に、シート状にシーター装置にて製板硬化成形する際の製板加工助剤などとして機能している。
そのため、該熱硬化樹脂には、従来の非石綿系ジョイントシート中におけるゴム成分のような、基材繊維、充填材を結合させるバインダーとしての機能はあるものの、配合比率が少ないため、最終製品である本発明の非石綿系ジョイントシート中においては、主としてPTFEに代表されるフッ素樹脂が、バインダーとしての機能を発揮している。
熱硬化性樹脂用の硬化剤(架橋剤)
熱硬化性樹脂用の硬化剤としては、多官能アミン系、ポリアミド系、酸無水物系などが挙げられ、熱硬化性樹脂の種類、製板条件などに応じて、必要により適宜使用される。
充填剤
充填剤としては、鱗状黒鉛(鱗片状黒鉛)が好ましく用いられる。鱗状黒鉛は、天然鉱物である鱗状黒鉛を必要に応じ精製、分粒して用いられる。鱗状黒鉛の粒度に限定はないが、50〜500μm程度の粒径のものが加工性の点から望ましい。この鱗状黒鉛は平滑であり、かつバインダーとの濡れ性(親和性)が優れており、この鱗状黒鉛を充填剤として用いると、非石綿系ジョイントシート形成用組成物からシーター装置を用いて極めて良好に製板加工でき、製板加工性に著しく優れる点で好ましい。
なお、無機充填剤として、鱗状黒鉛に代えて他の無機充填剤、例えば、クレーを単独で用いた場合には、製板加工自体が困難となり、仮に、その後、加熱焼成しても実使用可能な所望の非石綿系ジョイントシートは得られないことが多い。
なお、本発明では、この鱗状黒鉛と、従来より公知の「他の無機充填剤」とを併用してもよく、他の無機充填剤としては、例えば、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカなど従来より公知のものが広く使用できる。
このように鱗状黒鉛と「他の充填剤」とを併用する場合には、鱗状黒鉛量が多いほど好ましいが、非石綿系ジョイントシート形成用組成物中(あるいは非石綿系ジョイントシート中)に含まれる充填剤の合計100重量部中に、鱗状黒鉛が通常、50重量部以上、好ましくは80〜100重量部、特に好ましくは95〜100重量部の量で含まれることが製板加工性の点などから望ましい。
非石綿系基材繊維
非石綿系基材繊維は、必要によりこの非石綿系ジョイントシート形成用組成物に含まれるが、この非石綿系基材繊維としては、特に限定はなく、有機系および/または無機系のものが使用でき、例えば、炭素繊維、フィブリル化したアラミド繊維、ロックウール、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維等が挙げられ、中でもフィブリル化アラミド繊維は製板加工性を向上させる効果が高く、炭素繊維はシートガスケットの耐熱性向上に効果が
ある。本発明では、これらの非石綿系基材繊維を1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
溶剤
溶剤としては、例えば、トルエン、ゴム揮等の揮発油が、任意の量で、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
このような本発明において用いられる非石綿系ジョイントシート形成用組成物には、溶剤を除く成分の合計を100重量%とするとき、
必須のフッ素樹脂は、通常10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%の量で、
また熱硬化性樹脂は、通常1〜7重量%、好ましくは1.5〜5重量%の量で、
熱硬化性樹脂用の架橋剤が必要な場合は、この架橋剤は、通常0.1〜1重量%の量で、
充填剤は、通常20〜80重量%、好ましくは40〜75重量%の量で、また、
必要により非石綿系基材繊維を用いる場合には、この非石綿系基材繊維は、通常1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で、
含まれていることが望ましい。
また、溶剤は、必要により非石綿系ジョイントシート形成用組成物中の固形分の合計10kg当たり、1〜5リットル(L)、好ましくは2〜4リットル(L)の量で含まれていることが望ましい。
この非石綿系ジョイントシート形成用組成物中に、充填剤が、上記範囲の量で含まれていると、製板時の加工性が良好となり、得られる非石綿系ジョイントシートは、シール性、応力緩和特性、耐熱性に優れたガスケットなどの製品となる傾向があり、上記範囲より少ないと、耐熱性に劣るガスケットなどとなる傾向があり、また、上記範囲より多いと、製板時の加工性が悪く、また、得られる非石綿系ジョイントシートは、シール性が劣るガスケットなどとなる傾向がある。
この非石綿系ジョイントシート形成用組成物中に、非石綿系基材繊維は含まれていなくともよいが、この非石綿系基材繊維が上記範囲の量で含まれていると、製板時の加工性が良好となる傾向があり、上記範囲より少ないと製板時の加工性が悪くなる傾向があり、また、上記範囲より多いと、製板時の加工性が悪く、また、得られる非石綿系ジョイントシートは、例えば、ガスケットとして用いるとシール性が劣るガスケット等となる傾向がある。
このような非石綿系ジョイントシート形成用組成物を製造するには、フェノール系、エポキシ系等の粉末状熱硬化性樹脂に、鱗状黒鉛などの無機充填剤、フッ素樹脂、さらに熱硬化性樹脂用の架橋剤、また必要により無機繊維、有機繊維、溶剤などを加えて、ヘンシェルミキサーなどの混練機にて混練するか、
あるいは、水、アルコール、ケトン系、トルエンなどの熱硬化性樹脂用溶剤に、フェノール系、エポキシ系などの熱硬化性樹脂を溶解させ、これに鱗状黒鉛などの無機充填剤、フッ素樹脂、さらに熱硬化性樹脂用の架橋剤、また必要により無機繊維、有機繊維などを加えて、ヘンシェルミキサーなどの混練機にて混練すればよい。
なお、本発明では、上記非石綿系ジョイントシート形成用組成物を製造する際には、このフッ素樹脂としては、上記したように、通常、PTFEファインパウダー等のフッ素樹脂ファインパウダーの形で上市され、あるいはPTFEディスパージョン等のフッ素樹脂ディスパージョンの形で上市されているものが、そのままフッ素樹脂用原料(組成物)として、好適に使用される。また、この際に、フッ素樹脂モールディングパウダーを併用し
てもよい。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の硬化工程>
本発明においては、上記非石綿系ジョイントシート形成用組成物を製板、硬化し、さらに焼結等して、下記の非石綿系ジョイントシートを製造している。
このように非石綿系ジョイントシート形成用組成物から製板等して熱硬化樹脂シートを製造する際には、まず、上記非石綿系ジョイントシート形成用組成物を、前記「シーター装置」の熱ロールと冷却ロールとからなる一対のロール間に挿通させるが、熱ロールは、通常、120〜160℃、好ましくは130〜160℃の温度に保持され、冷却ロールは、通常、50℃以下、好ましくは30℃以下〜10℃以上の温度に保持される。
本発明では、非石綿系ジョイントシート形成用組成物をこのような熱ロールと冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して、熱ロール側にロールピッチを徐々に広げながら良好に積層(卷回)すると共に加圧硬化成形することにより製板して、所望の熱硬化樹脂シートを簡単に効率よく製造している。
なお、このシーター装置による架橋成形には、前記組成の非石綿系ジョイントシート形成用組成物がロール間への食い込みがよく、熱ロール側に破断等することなく、良好に卷回・積層され、強度などに優れた熱硬化樹脂シート、さらには、非石綿系ジョイントシートが得られる点で好ましい。
このようにして得られた熱硬化樹脂シートは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂、熱硬化樹脂および充填剤を含み、必要により非石綿系基材繊維などを含む熱硬化樹脂シートであって、該熱硬化樹脂シート中における上記フッ素樹脂含量が10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%であり、上記熱硬化樹脂含量が1〜7重量%であることが望ましい。
この熱硬化樹脂シート中おいては、用いられたフッ素樹脂などはある程度繊維化され、相互に絡み合って、熱硬化樹脂と協同して、熱硬化樹脂シートの崩壊を防ぎ、シートの形状を保持するのを容易にしているものと考えられる。なお、フッ素樹脂が繊維化されている様子は、電子顕微鏡観察などで分かる。
<熱硬化樹脂シートの焼成工程>
次いで、本発明では、得られた上記熱硬化樹脂シートをフッ素樹脂の融点以上の温度〜フッ素樹脂の分解温度未満の温度(フッ素樹脂として、例えば、PTFEを用いる場合には、好ましくは340〜400℃)で、1〜50時間加熱することにより、熱硬化樹脂シート中のフッ素樹脂(例:PTFE)を焼結(焼成)させる。
この加熱焼成の際には、加熱焼成装置として、焼成炉等が用いられる。
このように、本発明の非石綿系ジョイントシートは、非石綿系ジョイントシート形成用組成物を用いて、上記のような硬化工程(製板加工工程)、加熱焼成工程を経て得られている。これらの工程を経ることにより、フッ素樹脂、充填剤、基材繊維などは特に化学変化を受けず、その含有量も特に影響を受けないが、熱硬化性樹脂は(場合によっては必要により用いられる硬化剤と反応して)熱硬化して熱硬化樹脂となり、溶剤あるいは分散媒は実質上揮散除去され、得られた非石綿系ジョイントシート中には、溶剤などの成分は実質上含まれていない。
例えば、鱗状黒鉛を含む充填剤は、上述したような硬化工程(製板加工工程)、加熱焼
成工程では実質上化学変化しないため、用いられた鱗状黒鉛と、その他の充填剤とは、通常、用いられたこれら成分の量比に対応する量でシート中に含まれている。
このようにして得られた本発明に係る非石綿系ジョイントシートは、フッ素樹脂、熱硬化樹脂および充填剤を含み、必要により非石綿系基材繊維などを含むジョイントシートであって、(溶剤を実質上含まず、)
上記フッ素樹脂などと共に、充填剤として鱗状黒鉛を含んでおり、著しく耐熱性に優れ、優れた応力緩和特性を有し、長期シール性などのシール性にも優れている。
また、この非石綿系ジョイントシートでは、フッ素樹脂は通常10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%の量で含まれ、
熱硬化樹脂が通常1〜7重量%、好ましくは1.5〜5重量%の量で含まれ、および
鱗状黒鉛を含む充填剤は、通常20〜80重量%、好ましくは40〜76重量%の量で含まれ、
必要により非石綿系基材繊維を含む場合には、通常20重量%以下、好ましくは1〜10重量%の量で含まれていることが望ましい。
非石綿系ジョイントシート中における熱硬化樹脂含量が上記範囲にあると高い耐熱性を有し、高いシール性を示す傾向がある。
また、充填材量が上記範囲にあると、前記製板時の加工性が良好となり、得られる非石綿系ジョイントシートは、例えば、ガスケットとして用いるとシール性、応力緩和特性、耐熱性に優れたガスケットとなる傾向がある。また、この非石綿系基材繊維が上記範囲、特に、好ましい範囲にあると、製板時の加工性が良好となる傾向があり、また、フッ素樹脂含量が上記範囲にあると得られる非石綿系ジョイントシートは、応力緩和特性、耐熱性に一層優れ、例えば、ガスケットでは、高温下で長期にわたる使用が可能なガスケットとなる傾向がある。
この本発明に係る非石綿系ジョイントシートでは、その応力緩和率(ASTM F38に準拠し、条件:200℃で22時間、および250℃で22時間後に測定した値)が、通常、25〜45%程度であり、
未加熱下に面圧20MPa、内圧1MPaで保持した際には、窒素ガス漏洩量が、1×10-3Pa・m3/s以下であり、シール性能に優れ、しかも、
後述するような条件下(面圧20MPaで締め付け、250℃の温度で1年間保持)で加熱を継続した後に測定した場合の窒素ガス漏洩量も、1×10-3Pa・m3/s以下で
あり、実質上漏洩がなく、長期シール性能にも著しく優れている。
上記の結果は、本発明に係る非石綿系ジョイントシートは、シール性、応力緩和特性、耐熱性に優れ、例えば、ガスケットとして好適であることを示す。
このように、本発明によれば、著しく耐熱性に優れ、シール性にも優れた非石綿系ジョイントシートが提供される。
このような本発明の非石綿系ジョイントシートは、上記諸特性を有しており、従来の石綿ジョイントシートの代替として使用でき、特に、蒸気用配管、高温流体用配管などの用途に好適に用いられる。
[発明の効果]
本発明によれば、未硬化のジョイントシート形成用組成物をシータ装置に挿通させると、該組成物が滑ってしまうことなく、ロール間に良好に食い込ませることができ、該シー
タ装置に通すことによりシート状となって硬化・積層して所望の強度を確保でき、また均一に製板加工できるような、製板加工性に優れた非石綿系ジョイントシート形成用組成物が提供される。
また、本発明によれば、未硬化のジョイントシート形成用組成物から、著しく耐熱性に優れ、シール性にも優れたジョイントシートが得られるような非石綿系ジョイントシートの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、フッ素樹脂が溶融流動性を示すような温度で焼成することにより、著しく耐熱性に優れ、初期および長期のシール性にも優れた非石綿系ジョイントシートが提供される。
また本発明によれば、耐熱性に著しく優れ、シール性にも優れた非石綿系ジョイントシートが容易に効率よく得られるような、非石綿系ジョイントシートの製造方法が提供される。
[実施例]
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例で用いた試験条件および試験方法は、以下の通りである。
<応力緩和率>
応力緩和率は、ASTM F38に準拠して測定し、条件は、200℃で22時間、および250℃で22時間とした。
<長期シール試験>
長期シール試験は、以下のようにして行った。
すなわち、リング状に打抜いたガスケット試験片(非石綿系ジョイントシート)を「JIS 10 K 25A」平面座フランジにて締付面圧20MPaになるよう締め込み、こ
のフランジ締結体を250℃にて1ヶ年継続して加熱する。次いで、このようにフランジ面に締結された状態の該試験片を、水を張ったタンクに水没させ、ガスケット内径側に1MPaの窒素ガスを導入し、ガスケット外径側より外部に漏洩する窒素ガスを捕集してその漏洩量を測定する。漏洩量が 1×10-3Pa・m3/s以下の場合漏洩なし、1×10-3Pa・m3/s以上の場合漏洩ありと判断する。
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・2.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・30.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・63.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.1重量部
トルエン ・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られたトルエンを含む組成物を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物(熱硬化樹脂シート)を得た。この熱硬化樹脂シートを一晩(12時間)、常温で放置したのち、370℃に設定した焼成炉内で3時間加熱しシート状シール材を得た。
得られたシート(非石綿系ジョイントシート)の各種特性を上記方法にて測定したところ、結果は添付表の通りとなり、優れた応力緩和特性および長期シール性能を示すことが確認された。
実施例1において、配合材料および配合比率を以下の通り変えた以外は、実施例1と同様にしてシート状シール材を得た。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・2.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・20.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・73.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.1重量部
トルエン ・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、優れた応力緩和特性および長期シール性能を示すことが確認された。
実施例1において、配合材料および配合比率を以下の通り変えた以外は、実施例1と同様にしてシート状シール材を得た。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・2.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・40.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・53.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.1重量部)
トルエン・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、優れた応力緩和特性および長期シール性能を示すことが確認された。
実施例1において、配合材料および配合比率を以下の通り変えた以外は、実施例1と同様にしてシート状シール材を得た。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(水分散性エポキシ樹脂、固形分20重量%、大日本インキ化学工業(株)製、「ディックファインGN−0280」)・・・2.5重量部(固形分として)、
硬化剤(メラミン系硬化剤、大日本インキ化学工業(株)、「ベッカミンAPM」)
・・・・・0.2重量部、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・30.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・63.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.3重量部)
トルエン ・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、優れた応力緩和特性および長期シール性能を示すことが確認された。
実施例1において、配合材料および配合比率を以下の通り変えた以外は、実施例1と同様にしてシート状シール材を得た。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・2.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・30.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・63.6重量部、
アラミド繊維 ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.1重量部)
トルエン・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、優れた応力緩和特性および長期シール性能を示すことが確認された。
実施例1において、配合材料および配合比率を以下の通り変えた以外は、実施例1と同様にしてシート状シール材を得た。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・2.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・15.0重量部、
PTFEモールディングパウダー(M-21、ダイキン工業(株)製)15.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・63.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.1重量部)
トルエン・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、優れた応力緩和特性および長期シール性能を示すことが確認された。
実施例1において、配合材料および配合比率を以下の通り変えた以外は、実施例1と同様にしてシート状シール材を得た。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・3.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・30重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・65.6重量部。
(以上の合計99.1重量部
トルエン ・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、優れた応力緩和特性および長期シール性能を示すことが確認された。
[比較例1]
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・・31.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・66.0重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計100重量部)
トルエン ・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られたトルエンを含む組成物を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物を得ようとしたが、加工助剤としての熱硬化性樹脂が配合されていないため、組成物のロール間への食い込みが悪く、かつ展性不良、製板強度不足により、シート状組成物を得ることができなかった。
[比較例2]
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・1.0重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・31.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・64.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.6重量部)
トルエン ・・・トルエンを含まない組成物10kgに対し、2.5L。
得られた、トルエンを含んだ組成物(非石綿系ジョイントシート形成用組成物)を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物を得ようとしたが、加工助剤としての熱硬化性樹脂が不足しているため、組成物のロール間への食い込みが悪く、かつ展性不良、製板強度不足により、シート状組成物を得る
ことができなかった。
[比較例3]
以下の組成を有するシート成形用組成物(非石綿系ジョイントシート形成用組成物)を調整した。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・10.0重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・27.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・56.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・2.7重量部。
(以上の合計96.7重量部)
トルエン ・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られた、トルエンを含んだ組成物(非石綿系ジョイントシート形成用組成物)を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物を得た。
これを一晩放置したのち、370℃に設定された焼成炉内で3時間加熱しシート状シール材(非石綿系ジョイントシート)を得た。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、シール特性はシール材として許容されない低水準を示すことが確認された。このシートは、熱硬化樹脂含量が高比率となり、硬質なガスケットになった。
[比較例4]
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(水分散性エポキシ樹脂、固形分20重量%、大日本インキ化学工業(株)製、「ディックファインGN−0280」)・・・2.5重量部(固形分として)、
硬化剤(メラミン系硬化剤、大日本インキ化学工業(株)、「ベッカミンAPM」)
・・・・・0.2重量部、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)5.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・88.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.3重量部)
トルエン ・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られた、トルエンを含んだ組成物(非石綿系ジョイントシート形成用組成物)を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物を得ようとしたが、組成物のロール間への食い込みが悪く、かつ展性不良、製板強度不足により、シート状組成物を得ることができなかった。これは、PTFEファインパウダーの配合量が少なく、PTFEファインパウダーの繊維化効果が軽微であったためであろうと考えられる。
[比較例5]
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・2.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・70.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・23.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.1重量部)
トルエン・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られた、トルエンを含んだ組成物(非石綿系ジョイントシート形成用組成物)を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物を得た。
これを一晩放置したのち、370℃に設定した焼成炉内で3時間加熱しシート状シール材(非石綿系ジョイントシート)を得た。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、応力緩和特性、シール特性ともにシール材として許容されない水準を示すことが確認された。これは、PTFEの配合比率が高く、高温時にシートが軟化したためであろうと考えられる。
[比較例6]
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・・2.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・30.0重量部、
クレー ・・・64.0重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.1重量部)
トルエン ・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られた、トルエンを含んだ組成物(非石綿系ジョイントシート形成用組成物)を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物を得ようとしたが、組成物のロール間への食い込みが悪く、かつ展性不良、製板強度不足によりシート状組成物を得ることができなかった。これは、充填剤であるクレーは、鱗状黒鉛のような自己潤滑性を持たず、かつバインダーとの親和性も不良であるためであろうと考えられる。
[比較例7]
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
<非石綿系ジョイントシート形成用組成物の配合組成>
熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、固形分42wt%、大日本インキ化学工業(株)製、「フェノライトPE−212」) ・・2.5重量部(固形分として)、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・30.0重量部、
鱗状黒鉛(F#2、日本黒鉛工業(株)製) ・・・63.6重量部、
炭素繊維(S−231、大阪ガスケミカル株) ・・・3.0重量部。
(以上の合計99.1重量部)
トルエン ・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られた、トルエンを含んだ上記組成物を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物を得た。
該シート状組成物(シート)の焼成工程を行わず、得られたこのシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、応力緩和特性、シール特性ともにシール材として許容されない低い水準を示すことが確認された。
これは、PTFEの加熱焼結工程を行っていないため、シート内にPTFEネットワークの結合が構築されておらず、耐熱性が良好でないためであろうと考えられる。
[比較例8]
<従来の一般的なノンアスベストジョイントシートの調製>
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
ニトリルゴム(アクリロニトリル含有量:33−35重量%、日本ゼオン(株)製)
・・・15.9重量部、
クレー ・・・71.2重量部、
アラミド繊維 ・・10.0重量部、
ゴム薬品 ・・・2.9重量部。
(以上の合計100重量部)
トルエン・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られた、トルエンを含んだ組成物(非石綿系ジョイントシート形成用組成物)を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物(シート)を得た。
得られたシートの各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、応力緩和特性、シール特性ともにシール材として許容されない水準を示すことが確認された。これは、バインダーとして作用するゴムの耐熱性がPTFEより劣るためであろうと考えられる。
[比較例9]
<PTFEを配合したノンアスベストジョイントシート>
以下の組成を有するシート成形用組成物を調製した。
ニトリルゴム(アクリロニトリル含有量:33〜35重量%、日本ゼオン(株)製)
・・・15.9重量部、
PTFEファインパウダー(F104、ダイキン工業(株)製)・30.0重量部、
クレー ・・・41.2重量部、
アラミド繊維 ・・・10.0重量部、
ゴム薬品 ・・・2.9重量部。
(以上の合計100重量部)
トルエン・・・トルエンを含まない上記組成物10kgに対し、2.5L。
得られた、トルエンを含んだ組成物(非石綿系ジョイントシート形成用組成物)を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延し、ロールピッチを徐々に広げながら熱ロール上に積層していくことによって、シート状組成物(加硫シート)を得た。
得られたシート(加硫シート)の各種特性を上記と同様に測定したところ、結果は添付表の通りとなり、応力緩和特性、シール特性ともにシール材として許容されない低水準を示すことが確認された。これは、バインダーとして作用するゴムとPTFEのうちの、より耐熱性の低いゴムが支配的に作用したためであろうと考えられる。
Figure 2005225918
Figure 2005225918

Claims (4)

  1. フッ素樹脂、熱硬化性樹脂、充填剤、および必要により硬化剤、非石綿系基材繊維、溶剤を含む組成物であって、
    該組成物中の溶剤を除く成分の合計を100重量%とするとき、
    フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、上記熱硬化性樹脂含量が1〜7重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含むことを特徴とする非石綿系ジョイントシート形成用組成物。
  2. フッ素樹脂、熱硬化樹脂、充填剤、および必要により非石綿系基材繊維を含むジョイントシートであって、
    該ジョイントシート中における上記フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、上記熱硬化樹脂含量が1〜7重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含むことを特徴とする非石綿系ジョイントシート。
  3. フッ素樹脂、熱硬化性樹脂、充填剤、および必要により硬化剤、非石綿系基材繊維、溶剤を含む組成物であって、
    該組成物中の溶剤を除く成分の合計を100重量%とするとき、
    フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、上記熱硬化性樹脂含量が1〜7重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含む非石綿系ジョイントシート形成用組成物を、
    120〜160℃の温度に保持された熱ロールと50℃以下の温度に保持された冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して熱ロール側に積層しながら加圧硬化成形して熱硬化樹脂シートを得て、
    得られた熱硬化樹脂シートを上記フッ素樹脂の融点以上の温度〜上記フッ素樹脂の分解温度未満の温度で1〜50時間加熱することにより、熱硬化樹脂シート中のフッ素樹脂を焼結させることを特徴とする、非石綿系ジョイントシートの製造方法。
  4. 請求項3に記載の方法により得られ、
    フッ素樹脂、熱硬化樹脂および充填剤を含み、必要により非石綿系基材繊維を含むジョイントシートであって、
    上記フッ素樹脂含量が10〜60重量%であり、充填剤として鱗状黒鉛を含むことを特徴とする非石綿系ジョイントシート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010078111A (ja) * 2008-09-29 2010-04-08 Nichias Corp ガスケット用フッ素樹脂シート、その製造方法及びシートガスケット

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