JP2005225826A - 1級アミンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1級アミンを効率よく得る。
【解決手段】超臨界水を反応場とすることで、n−ヘキシルアセテートとアンモニアを反応させることにより、n−ヘキシルアミンが生成するという、超臨界水固有の反応が起こさせる。つまり、アンモニアとアセテートを反応させた場合、アンモニアがエステル結合のカルボニル炭素を求核攻撃する通常の型の反応のではなく、エステル結合に隣接する炭素を求核攻撃する、という新規な化学反応を利用して1級アミンを生成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、1級アミンの製造方法に関する。
現在生産されている有機系化学製品のほとんどは石油系の原料から製造されている。また、反応を進める際に溶媒は不可欠であり、その多くは環境負荷の大きな有機溶媒である。
これに対して水は地球上で最も多量に存在する物質であり、反応溶媒として利用できれば環境に対して極めてクリーンな溶媒となる。ここで、溶媒の誘電率と沸点は反応の制御性に関わり、速度の支配因子となる重要な値である。ここで、水は誘電率80、沸点100℃であるが、超臨界領域(温度374℃以上,圧力22.1MPa以上)にまで利用範囲を広げることにより誘電率を2〜80程度の範囲まで操作することが可能となり、温度も374℃以上での利用が可能になる。臨界点近傍における誘電率2)はシクロヘキサンやアセトンに相当する。また、水は温度、圧力を操作することにより誘電率だけでなく拡散速度やプロトン濃度といった様々な溶媒物性を操作できるため、超臨界水を反応溶媒として用いることにより従来の反応溶媒中では発現し得なかった画期的なプロセスの創出が期待できる。
アミノ・アミド化合物は化学工業における代表的な基幹原料であり、広範囲な工業用分野で使用される、重要な化合物の一つである。その中でも特に第1級アミンは、繊維柔軟仕上げ剤、帯電防止剤、ガソリン添加剤、シャンプー、リンス、殺菌剤、洗浄剤など幅広い用途に用いられている。このような高い汎用性から米国でのアミン需要は2004年までに20億ドル規模に達すると推算されている。
従来、第1級アミンの製造方法として、ハロゲン化アルキルを前駆体に用いる方法、ニトリルを水素化する方法、アルデヒドまたはケトンを還元アミノ化する方法があげられる。
アルキルアルコールをハロゲン化して得られるハロゲン化アルキルを前駆体に用いる方法は反応物にグリーンケミストリーでは問題とされるハロゲン化物を用いており問題である。またハロゲンは腐食性が高いため工業化する際には高価な耐食性材料を使用しなければならず、問題のあるプロセスであると考えられる。
ニトリルを水素化する方法は水素化触媒としてラネー触媒を用いている。ラネー触媒とはスポンジ状の多孔質金属触媒を意味し、ニッケル、コバルト、銅、鉄などの触媒作用を持つ金属とアルミ二ウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウムなどの水、アルカリ、酸などで侵食される金属との合金から、後者金属のみを浸食剤によって除いて得られる触媒である。ニトリルの水素化に用いるラネー触媒(ラネーニッケル触媒にタングステンやクロムを第三金属として添加する)は比較的高価であり、反応には多量の触媒を必要とすることから、製品に占める触媒のコストが高いという欠点を有している。またこの手法は生成物として1級アミンの他に2級,3級アミンが副生成物として生成するため1級アミンの選択率の低下が問題となる。
アルデヒドまたはケトンの還元アミノ化反応によりアミンを製造する方法は触媒として不均一系触媒または均一系触媒を用いている。不均一系触媒を用いた場合、触媒の調製、反応器への触媒仕込み、連続反応における触媒の追加や抜き取りといった操作に特別な装置が必要となる。そのため触媒の取扱方法が煩雑でありまた装置コストが高くなるという問題点がある。均一系触媒を用いた場合、上記の不均一系触媒を用いた場合に生じる問題点は回避することができる。しかし、均一系触媒を用いる方法は触媒として高価なロジウム金属を用いており、また触媒の使用量が基質に対して多量に必要であるという点から工業的な製造法とはならない。
また、水酸基からアミノ基へのアミノ化反応について、特許文献1に示されている。すなわち、この特許文献1では、水素前処理を施したルテニウム系触媒、あるいは水素前処理されていないルテニウム系触媒の存在かで、脂環式アルコール(シクロヘキサノール)を水が添加されている状態で、アミノ化する方法を提示している。なお、反応条件は、圧力10〜100kg/cm2、反応温度は120〜220℃である。
特開平4−157922号公報
しかし、この特許文献1によれば反応を進行さるためには高価なルテニウム系触媒が必要不可欠であり、また原料となるアルコールは2級のアルコールである脂環式アルコールに反応系を限定している。さらにこの反応の反応経路などの詳細な検討は行われていない。
このように工業的に非常に重要なアミン・アミド化合物の製造法については現在でもなお数々の合成法が提案、報告されていることが判る。報告されているアミン製造法のほとんどはニトリル、アルデヒドまたはケトンを原料としており、本研究で行っているアルコールからアミンを直接製造する方法についての報告は僅少である。また紹介した全てのアミン製造法は高価な触媒を必要としている。さらにこれらの製造法では1級アミンのほかに2級3級アミンの副生は避けられない。
本発明は、1級アルコールのアセテート体を、超臨界または亜臨界水中で、アンモニアと反応させ、1級アミンを製造することを特徴とする。
例えば、超臨界または亜臨界水中で、酢酸アンモニウムをアミノ化剤とするn−ヘキサノールのアミノ化がある。
また、酢酸ヘキシルとアンモニアを超臨界または亜臨界水中で反応させることにより、n−ヘキシルアミンを生成することが好適である。
本発明では、超臨界水中において常温では起こり得ない、「n−ヘキシルアセテートとアンモニアを反応させることにより、n−ヘキシルアミンが生成する」という、超臨界水を反応場とする超臨界水固有の反応が起こる。
つまり、アンモニアとアセテートを反応させた場合、アンモニアがエステル結合のカルボニル炭素を求核攻撃する通常の型の反応のではなく、エステル結合に隣接する炭素を求核攻撃する、という新規な化学反応を利用して1級アミンを生成する。
本発明によれば、脂肪族アルコールや芳香族アルコール(フェノールを含む)のヒドロキシル基を一旦、酢酸などの含カルボン酸類によりエステル化した後、生成したエステルを超臨界水中で、アンモニアや一級、二級のアミン類と反応させることにより、一級アミン(アンモニアと反応させた場合)や二、三級アミン(アミノ化合物を反応させた場合)を合成できる。
従って、本発明は、
(1)脂肪族、芳香族モノアルコール類からの脂肪族、芳香族モノアミン類の合成
(2)脂肪族、芳香族ジオール類からの脂肪族、芳香族ジアミン類の合成
(3)フェノールからのアニリンの合成
などに利用できる広い応用範囲を持った基本技術である。
水を溶媒として、1級アミンを1級アルコールから生成することができる。
以下、本発明の実施形態について、説明する。なお、以下においては、亜臨界も含め超臨界という。
「第3章 超臨界水中での酢酸アンモニウムをアミノ・アミド化剤とするn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応」
3.1 緒言
西山ら3)はアルコールとアセトアミドを超臨界水中で反応させることにより、工業的に重要な化合物であるアミン又はそのアミド化合物を1級アルコールから直接合成できることを報告している。アセトアミドは超臨界水中において急速に酢酸とアンモニアに解離し平衡状態に達することが報告3)29)されている。そこで、酢酸とアンモニアの塩である酢酸アンモニウムが、アセトアミドに代わりアミノ・アミド化剤として使用できると考えられる。
本章では脂肪族1級アルコールのモデル物質にn−ヘキサノールを用い、超臨界水中で酢酸アンモニウムをアミノ・アミド化剤とする1級アルコールのアミノ・アミド化を検討した。次にその結果を基に反応機構の詳細な検討を行った。
3.2実験
3.2.1 試薬
まず、実験に使用した試薬とその純度を表1に示す。
ただし、N−n−ヘキシルアセトアミドは市販の試薬として扱われていなかったため、n−ヘキシルアミンと無水酢酸を用いて合成した。合成後、GC分析においてN−n−ヘキシルアセトアミド以外の不純物が極めて少ないことを確認している。
なお、水は全て蒸留水製造装置(YAMATO製, WG−220)で製造した蒸留水を超純水製造装置(ADVANTEC製CPW−100, 18MΩ・cm)により超純水として用いた。
3.2.2 実験装置
実験は、図1に示す回分式反応装置を用いて行った。長さ176mm、外径12.7mm、肉厚2.1mm(内径8.5mm)のSUS316製の1/2inchチューブの一端に、Swagelok社製の1/16inch−1/2inchの径違いユニオン(SS−810−6−1ZV)を取り付け、ユニオンの1/16inch側には1/16inchのプラグ(SS−100−P)を取り付けてた。もう一端にはSwagelok社製の1/2inchキャップ(SS−810−C)を取り付けて反応管を作成した。反応管の内容積は10cm3である。
なお、実験に用いたすべての反応管は、実験に先立ち、3wt%の過酸化水素水を反応管に4〜5g仕込み、400℃で12時間以上空焼きを行うことで、反応管内壁表面の酸化処理を行った。事前に酸化処理を施すことで反応時の反応管壁の腐食を防止した。
3.2.3 実験方法
まず試料を所定量になるよう秤量し、作成したSUS316製回分器(内容積10cm3)に仕込んだ。反応器の一端である1/16inch−1/2inch径違いユニオンの1/16inch側にアルゴンガス(Ar)ボンベから1/16inch管を取り付け、Arガスを導入し、反応管内の空気を数回置換した。置換した後、反応管をラインから外し、直ちに1/16inchプラグを取り付けることにより反応管内を密封した。
あらかじめ反応温度に設定した流動砂浴に反応管を投入することにより反応を開始させた。反応温度400℃の場合、流動砂浴では反応管を投入してから100秒程度で390℃に達し、390℃から400℃まで上昇するのにさらに80秒を要した。一方錫浴では反応管を投入してから25秒後には390℃に達し、50秒後には400℃に達した。所定の反応時間が経過した後、反応管を流動砂浴または錫浴から取りだし、冷水浴に浸すことで急速に冷却し反応を停止させた。反応時間は流動砂浴または錫浴に投入してから、冷水浴に浸すまでとした。
反応管を冷却後、低沸点成分の揮発を防ぐため、反応器を冷凍庫で2時間静置した後、反応混合物を回収した。回収方法は反応管を開け液体生成物をバイアルに回収した後、エタノールを用いて反応管内の洗浄を行った。このとき、洗浄液も全てバイアルに回収し、バイアル中の回収液の総重量が15.0gとなるようにした。
3.2.4分析
生成物の定性・定量にはGC−MS,GC−FIDを用いた。生成物の定量は内部標準法を用いて行い、内部標準にはオクタノール(分子量130.2)を用いた。GC−MSおよびGC−FIDの分析条件の詳細はAppendixに記した。本章の実験で定性した化合物を表2に示す。
3.2.5実験条件および評価方法
「実験条件」
400℃におけるn−ヘキサノールと酢酸アンモニウムの反応実験の実験条件を表3に示す。
n−ヘキサノール、n−ヘキシルアセテート、n−ヘキシルアミンの仕込み量は全て1mmolに統一した。水密度は仕込んだ水の重量を反応管の体積で割って算出した。すなわち反応管(体積10cm3)に5gの水を仕込んだときは水密度=5[g]/10[cm3]=0.5[g/cm3]となる。本実験において気体生成物は極少量であったため、液体生成物のみを評価した。
「評価方法」
実験で得られた生成物の収率および転化率は、仕込みのn−ヘキサノールのモル数を基準に(3−2−1)式(3−2−2)式で評価した。選択率は(3−2−3)式で評価した。
3.3 結果と考察
3.3.1 n−ヘキサノールと酢酸アンモニウムの反応
反応管にn−ヘキサノールを1mmol、酢酸アンモニウムを20mmol仕込み、温度400℃ 水密度0.1g/cm3で反応を行ったところ、n−ヘキサノールをよびn−ヘキサノール由来の生成物の収率が図2のような経時変化を示すことが明らかになった。
本反応で生成を確認したn−ヘキサノール由来の化合物はn−ヘキサノール、1−ヘキセン、n−ヘキサナール、n−ヘキシルアセテート、n−ヘキシルアミン、N−n−ヘキシルアセトアミドであった。この結果、アミノ・アミド化剤に酢酸アンモニウムを用い、超臨界水中でn−ヘキサノールと反応させることにより、アセトアミドをアミノ・アミド化剤として用いた場合と同様に1級アルコールの水酸基を一工程、無触媒でアミノ・アミド基に変換できることが確認できた。
原料であるn−ヘキサノールは反応時間の経過とともに減少し、反応時間60minでは86.5%が反応することが明らかになった。これに対してn−ヘキサノールと酢酸の間の脱水反応によって生成するn−ヘキシルアセテートの収率は反応時間10minにおいて最高収率16.9%を示したが、反応時間の経過にともないその収率は徐々に減少を続け反応時間60minでは4.0%に減少することが見出された。
また、n−ヘキサノールが脱水素酸化された形のn−ヘキサナールと目的生成物の一つであるn−ヘキシルアミンの収率は反応時間の経過にともない微増し続け反応時間60minでそれぞれ最高収率1.3%および1.9%を示した。
一方、脱水反応によって生成する1−ヘキセンの収率は反応時間の経過にともない増加し反応時間60minでは収率29.4%に達した。
目的生成物であるN−n−ヘキシルアセトアミドの収率も反応時間の経過にともない増加を続け反応時間60minで最高収率30.8%を得た。
西山ら3)はε−カプロラクタムの加水分解を超臨界水中で行うと、通常の加水分解でヘキサンの両分子末端に、アミノ基とカルボキシル基が結合した型で加水分解生成物が得られるのとは異なり、N−6−ヒドロキシ−n−ヘキシルアセトアミドに加水分解されることから、その逆反応の型である1級アルコールの水酸基とアセトアミドの窒素に結合する水素との間の脱水縮合反応を提案している。この反応経路は実質的にはアセトアミドの窒素原子による1級アルコールのα−炭素への求核攻撃と見ることが出来る。しかしながら、アセトアミドの窒素原子にはほとんどそのような求核性は無く、また、1級アルコールのα−炭素にもそれを受け取るだけの求電子性は無いものと考えられる。
先に述べた実験結果を基にn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応の可能性を考察すると、直接アミド化されるのではなく、先ずアミノ化反応が起こると考えるのが妥当であり、次に示す2つの可能性がある。
I、n−ヘキサノールのOH基が結合している炭素の求電子性は、酢酸によるOH基の
エステル化で増大し、実験で確認されたn−ヘキサノール由来の化合物の中で最もアンモニアの求核攻撃を受ける可能性が高くなる。
II、微量、生成が確認されたn−ヘキサナールは、アンモニアと容易に脱水縮合してs
chiff塩基を形成し、水素化還元されればn−ヘキシルアミンを与える。
の場合、通常アンモニアはエステルのカルボニル基の炭素を求核攻撃することによって、n−ヘキサノールとアセトアミドを生成する。従って、このエステルのアンモノリシスが抑制されてエステル結合に隣接する炭素が、アンモニアの求核攻撃を受ける反応は、通常では起こり得ない反応であり、超臨界水を反応場とする固有の反応である可能性が考えられる。この場合、図3に示すようなエステルとアンモニアによる活性複合体の水分子による安定化が必要である。ただし、反応管の金属酸化物による触媒の可能性も排除出来ない。
IIの場合、n−ヘキサノールが酢酸との間で逆カニツァロ反応3)を起こして、n−ヘ
キサナールを生成する可能性も考えられるが、同時に生成するアセトアルデヒドが検出されていないことから、単なる脱水素酸化の可能性についても考慮する必要がある。更に、アンモニアとの脱水反応で生成するイミドの水素化還元がどのようにして起こるのかが問題となる。
3.3.2 反応経路の推定
図4に示した生成物収率の経時変化を基にScheme.3−3−1に示す反応経路を提案する。
すなわち、反応はまず酢酸アンモニウムが超臨界水中において酢酸とアンモニアに解離することから始まる。解離により生成した酢酸がn−ヘキサノールと反応することによりまず以下の3つの反応が進行する。
(a)n−ヘキサナールが生成していることから西山ら3)が報告している逆Cannizzaro反応。
(b)酢酸の酸触媒効果によって1−ヘキセンが生成する分子内脱水反応17)18)19)20)。
(c)酢酸とn−ヘキサノールとの間の脱水反応によってn−ヘキシルアセテートが生成する分子間脱水反応である。次に分子間脱水反応によって生成したn−ヘキシルアセテートから以下のような2つの反応が進行する。
(c’)n−ヘキシルアセテートが水の攻撃をうけることによりn−ヘキサノールが生成する加水分解反応11)36)。
(d)n−ヘキシルアセテートのアセチル基が熱分解により脱離して1−ヘキセンが生成する脱酢酸反応35)である。 目的物であるN−n−ヘキシルアセトアミドの生成経路に関しては、
(e)n−ヘキシルアセテートとアンモニアとが反応することにより目的生成物であるn−ヘキシルアミンが生成するアミノ化反応。
(f)n−ヘキサナールを経由する変換反応。
の2つが考えられる。最終的にアミノ化によって生成したn−ヘキシルアミンは
(g)酢酸との間の分子間脱水反応
でN−n−ヘキシルアセトアミドを生成すると考察した。
これらの反応の中で西山らが逆Cannizzaro反応によって生成すると考えたn−ヘキサナールを経由するn−ヘキシルアミンの生成経路(反応(f))は、逆Cannizzaro反応で副生するはずのアセトアルデヒドの生成が確認されていないことから、その可能性は低いと判断した。
従って、以上述べた反応経路の中でn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応は、以下のように進行すると推察した。まず、酢酸アンモニウムの解離反応により生成した酢酸とn−ヘキサノールとの間の分子間脱水反応によりn−ヘキシルアセテートが生成する。次に、生成したn−ヘキシルアセテートに対してアンモニアが求核攻撃(アミノ化反応)を行い目的生成物の一つであるn−ヘキシルアミンが生成し、最後にn−ヘキシルアミンと酢酸との間で分子間脱水反応(アミド化反応)が進行しもう一つの目的生成物であるN−n−ヘキシルアセトアミドが生成する。
3.3.3 反応経路の解明1
前項においてn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応は以下の3stepで進行していると述べた。つまり
Step1:n−ヘキサノールと酢酸との間の分子間脱水反応によるn−ヘキシルアセテートの生成。
Step2:n−ヘキシルアセテートに対しアンモニアが求核攻撃を行いn−ヘキシルアミンが生成するアミノ化反応
Step3:n−ヘキシルアミンと酢酸との間の分子間脱水反応によるN−n−ヘキシルアセトアミドの生成(アミド化反応)
上記の反応経路を確認するために、以下の実験を行った。
I:n−ヘキサノールと酢酸の反応
Step1のn−ヘキサノールと酢酸の分子間脱水反応を立証するため次のような実験を行った。すなわち、試料として反応管にn−ヘキサノールを1mmol、酢酸を20mmol仕込み、温度400℃, 水密度0.3g/cm3, 反応時間10minで実験を行った。実験結果を表4に示す。反応時間10minにおいて18.7%のn−ヘキシルアセテートの生成が確認された。この結果、超臨界水中においてn−ヘキサノールと酢酸との間で分子間脱水反応が進行することが確認された。
II:n−ヘキシルアセテートとアンモニアの反応
Step2のアンモニアのn−ヘキシルアセテートへの求核反応(アミノ化反応)を立証するために次のような実験を行った。試料として反応管にn−ヘキシルアセテートを1mmol、アンモニアを20mmol仕込み、温度400℃、水密度0.3g/cm3、反応時間10〜60minで実験を行った。実験結果を図5に示す。
原料のn−ヘキシルアセテートは反応時間10minで99.3%転化した。一方でn−ヘキシルアセテートの加水分解反応により生成するn−ヘキサノールは反応の開始とともに生成し反応時間10minで約63.7%生成し、その後も60%前後の収率で推移し続けた。n−ヘキシルアミンも反応時間10minで9.2%生成した後は大きく変化すること無く10%前後の収率で推移し続けた。
n−ヘキシルアミンの収率が反応時間の経過にかかわらず一定量しか得られなかったことは、反応系内に酢酸がn−ヘキシルアセテートの加水分解によって生じる極微量しか存在しないため、n−ヘキサノールが十分アセチル化されず、アンモニアによるアミノ化が進まなかったことをしめしており、超臨界水中においてn−ヘキシルアセテートへの求核攻撃(アミノ化反応)によりn−ヘキシルアミンを生成することが裏付けられた。
n−ヘキシルアミンと酢酸との分子間脱水反応によって生成すると推察したN−n−ヘキシルアセトアミドは全ての反応時間を通じてほとんど生成することは無く最大でも1.6%しか生成しなかったが、これもn−ヘキシルアミンをアミド化する酢酸が系内に微量しか存在しなかったためであると考えられる。
III:n−ヘキシルアミンと酢酸の反応
Step3のn−ヘキシルアミンと酢酸の分子間脱水反応(アミド化反応)を立証するため次のような実験を行った。試料としてn−ヘキシルアミンを1mmol、酢酸アンモニウムを5mmol仕込み、温度400℃、水密度0.3g/cm3、反応時間60minで実験を行った。実験の結果を表5に示す。
実験の結果、反応時間60minでn−ヘキシルアミンは73.3%転化された。主生成物はn−ヘキシルアミンと酢酸の分子間脱水反応(アミド化反応)によって生成したと考えられるN−n−ヘキシルアセトアミドであり、反応時間60minで66.0%生成した。なお、n−ヘキサノールはN−n−ヘキシルアセトアミドが伊藤ら37)の報告しているε−カプロラクタムの加水分解の場合と同様の加水分解を受けて生成したものと考えられる。n−ヘキサナールの生成に関しては、更に詳細な検討が必要である。
以上I〜IIIの結果からn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応は
Step1:n−ヘキサノールと酢酸との間の分子間脱水反応によるn−ヘキシルアセテートの生成。
Step2:n−ヘキシルアセテートに対しアンモニアが求核攻撃を行いn−ヘキシルアミンが生成するアミノ化反応
Step3:n−ヘキシルアミンと酢酸が分子間脱水反応をしてN−n−ヘキシルアセトアミドを生成するアミド化反応
という一連の反応によって構成されていることが裏付けられた。
3.3.4反応経路の証明2
I:n−ヘキシルアセテートとアンモニアの反応における酢酸の仕込み量依存性
3.3.3のIIにおいてn−ヘキシルアミンの収率は反応時間の経過にかかわらず増加
しなかった。これは系内に酢酸が微量しか存在しないため、一度加水分解を受けて生成したn−ヘキサノールが再びn−ヘキシルアセテートに転化できないことに起因すると考察した。本明細書のアミノ・アミド化反応の仮説が正しければ、系内に酢酸が大量に存在することによりn−ヘキサノールからn−ヘキシルアセテートへの分子間脱水反応速度が増加し、アミノ化反応が促進され、最終生成物であるアミド化合物の収率は高くなることが予想される。そこで酢酸の仕込み量を変化させた実験を行った。
反応管に試料としてn−ヘキシルアセテートを1mmol、アンモニアを20mmol仕込み、酢酸の仕込み量を0〜20mmolまで変化させた実験を行った。実験条件は全て温度400℃、水密度0.3g/cm3、反応時間30minで固定した。実験結果を図6に示す。
図6に示されるように酢酸の仕込み量が増加するに従いアミノ・アミド化合物の収率も増加した。これは本明細書の仮説を支持するものである。
n−ヘキシルアミンの収率は酢酸を仕込まないときに9.6%であったが、酢酸の仕込み量の増加に従いn−ヘキシルアミンの収率は徐々に減少し、酢酸仕込み量20mmolのときに3.0%になった。一方でN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は酢酸を仕込まないときに1.6%でありn−ヘキシルアミンの収率よりも低い値であった。しかし、酢酸の仕込み量の増加にともないN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は急激に増加し、酢酸仕込み量5mmolのとき収率16.0%となり、n−ヘキシルアミンの収率を逆転した。その後もN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は増加を続け酢酸仕込み量20mmolのときその収率は57.7%であった。アミノ・アミド化反応がアミンを経由せずn−ヘキサノールの水酸基とアセトアミドの脱水反応で進行しているのならば、このような収率の逆転現象は生じ難い。
II:アミノ・アミド化反応における活性種の決定
次に反応系内の化学種を同じくして、反応環境を統一した実験を行った。実験方法を説明する。3.3.3のIIで述べた酢酸ヘキシルとアンモニアの反応と対比して、アミノ・
アミド化反応を直接受ける活性種を決定するため、二本の反応管を用意し、一方の反応管(反応管A)にはn−ヘキサノールを1mmol、アセトアミドを1mmol、アンモニアを19mmol仕込み、もう一方の反応管(反応管B)にはn−ヘキシルアセテートを1mmol、アンモニアを20mmol仕込んだ。仕込みの状態を図7に示す。
反応中における反応管Aと反応管Bの反応環境は同じである。反応条件は反応管A,Bとも温度400℃、水密度0.3g/cm3、反応時間10〜60minで統一した。実験結果を図8に示す。左側が反応管Aの右側が反応管Bの結果である。
反応管Aでは原料であるn−ヘキサノールは全ての反応時間において転化されることなくほぼ全て回収された。アミド化はほとんど進行せず、最高収率は0.2%であった。一方、反応管Bでは反応時間10minで原料のn−ヘキシルアセテートは99.4%転化された。主な生成物はn−ヘキサノール、1−ヘキセン、n−ヘキシルアミンでありn−ヘキサナール、N−n−ヘキシルアセトアミドの収率は微少量であった。
反応管Bではアミノ・アミド化反応が進行し、反応管Aではアミノ・アミド化反応が進行しないことが確認された。この結果はn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応がn−ヘキシルアセテートを活性種とて進行していることを裏付けるものである。また反応管Aで極微量しか生成していない1−ヘキセンが反応管Bで生成していることから1−ヘキセンの主生成経路はn−ヘキシルアセテート経由であると考えられる。さらにn−ヘキシルアミンの収率がN−n−ヘキシルアセトアミドの収率よりも高いことからN−n−ヘキシルアセトアミドはn−ヘキシルアミンを経由して生成すると考えられる。
以上、I,IIの結果よりn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応はアルコールの水酸
基とアミド基の分子間脱水反応によって進行するのではなく、まずアルコールの水酸基と酢酸が分子間脱水反応をしてエステルを形成し、次にそのエステルに対してアンモニアが求核攻撃(アミノ化反応)をすることによりアミノ化合物が生成し、最後に生成したアミンと酢酸が分子間脱水反応(アミド化反応)をすることによりアミド化合物が生成することが確認された。
3.4 結言
本章では反応器に回分式反応装置を用い、反応溶媒に超臨界水を利用した水酸基のアミノ・アミド化変換プロセスの検討を行った。
まず、アルコールのモデル物質としてn−ヘキサノールを用い、アミノ・アミド化剤として酢酸アンモニウムを用いて水酸基のアミノ・アミド化を検討した。その結果、n−ヘキサノールのアミノ・アミド化合物であるn−ヘキシルアミンとN−n−ヘキシルアセトアミドの生成を確認した。
次に、n−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応の反応経路を明確にした。n−ヘキサノールのアミノ・アミド化は次のような3Stepで進行することを明らかにした。すなわち、
Step1:n−ヘキサノールと酢酸との間の分子間脱水反応によるn−ヘキシルアセテートの生成。
Step2:n−ヘキシルアセテートに対しアンモニアが求核攻撃を行いn−ヘキシルアミンが生成するアミノ化反応
Step3:n−ヘキシルアミンと酢酸が分子間脱水反応をしてN−n−ヘキシルアセトアミドを生成するアミド化反応
である。
「第4章 n−ヘキサノールの酢酸アンモニウムを用いるアミノ・アミド化反応の反応条件最適化」
4.1 緒言
第3章の議論ではアルコールのアミノ・アミド化反応の反応経路の解明を目的としていた。本章では工業化を視野に入れ、第3章で明らかにした反応経路に基づいてアミド化合物を高速、高収率、高選択的に得ることを目的として反応条件の最適化を進めた。
4.2 実験
4.2.1 試薬
第3章で使用した試薬と同じものを使用した。
4.2.2 実験装置
第3章で使用した回分式反応装置を使用した。
4.2.3 実験方法
第3章と同様の手法により実験を行った。
4.2.4 実験条件および評価方法
本章における実験の条件を表6に示す。評価方法は3章と同様の手法で行った。
4.3 結果
4.3.1 反応温度依存性
反応温度がn−ヘキサノールのアミド化に与える影響について検討を行った。
試料としてn−ヘキサノールを1mmol、酢酸アンモニウムを20mmol反応管に仕込んだ。実験条件は水密度を0.3g/cm3、反応時間を10minで統一し、反応温度のみ380,400,420℃と変化させた。生成物の収率を表7に示す。
反応温度380℃において原料のn−ヘキサノールは22.4%転化し、目的生成物であるN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は7.0%であった。
反応温度400℃においてn−ヘキサノールは40.5%転化し、目的生成物であるN−n−ヘキシルアセトアミドは19.8%得られた。
反応温度420℃においてn−ヘキサノールは58.2%転化し、目的生成物であるN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は34.5%であった。
これらの結果から温度が380,400,420℃と高くなるにつれてn−ヘキサノールの転化速度は早まり、n−ヘキサノールのアミド化合物であるN−n−ヘキシルアセトアミドの収率も高くなっていることが分かる。よって反応温度を高くすることによりアルコールの水酸基を高速でアミド基に変換できることが明らかとなった。
4.3.2 水密度依存性
水密度がn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応に与える影響について検討した。
試料としてn−ヘキサノールを1mmol、酢酸アンモニウムを20mmol反応管に仕込んだ。反応条件は全ての実験で温度を400℃に固定し、水密度のみ0.1, 0.3, 0.5g/cm3と振った。反応時間は5〜60minとした。目的生成物であるN−n−ヘキシルアセトアミド収率の経時変化を図9に示す。
全ての水密度において、反応時間の経過にともないN−n−ヘキシルアセトアミド収率が増加した。図9から明らかなように、水密度が0.1,0.3,0.5g/cm3と増加するにつれN−n−ヘキシルアセトアミドの収率も増加した。
次に原料であるn−ヘキサノールと目的生成物であるn−ヘキシルアミン・N−n−ヘキシルアセトアミド以外の副生成物の収率の経時変化を図10に示す。
水密度の増加にともない副生成物の収率が減少することが分かる。すなわち水密度の増加にともない目的生成物であるn−ヘキシルアミン・N−n−ヘキシルアセトアミドの選択率が向上することが明らかとなった。
4.3.3 酢酸アンモニウム仕込み量の依存性
仕込みの酢酸アンモニウム量を変化させた実験を行った。全ての実験は仕込みのn−ヘキサノールを1mmol、温度400℃、水密度0.3g/cm3、反応時間60minで固定し、酢酸アンモニウムの仕込み量のみ変化させた。実験結果を図11に示す。図中のOthersはn−ヘキシルアミン・N−n−ヘキシルアセトアミド・n−ヘキサノール以外の副生成物である。
酢酸アンモニウムの仕込み量が増加するにつれ原料のn−ヘキサノール収率は減少しているのが分かる。一方、N−n−ヘキシルアセトアミドの収率は酢酸アンモニウムの仕込み量が増加するにつれて増大し、酢酸アンモニウム仕込み量30mmolにおいて最高収率88.4%を得た。またこのとき、アミノ・アミド化合物の選択率は94.4%を得た。
4.3.4 最適反応条件での実験
4.3.1項から4.3.3項において温度、圧力(水密度)、溶質濃度といった反応因子がn−ヘキサノールのアミド化に与える影響について検討を行った。その結果
I、反応温度を高くすることによって高速なアミド化が可能となり、
II、水密度を高くすることによって高速かつ高選択的なアミド化が可能となり、
III、酢酸アンモニウムの仕込み量を増やすことによってより高収率でN−n−ヘキシル
アセトアミドを得られることが確認できた。
本項ではこれら3つの知見を基にして、より高速、高収率、高選択的にN−n−ヘキシルアセトアミドを得られる条件でアミド化の実験を行った。
実験は試料としてn−ヘキサノールを1mmol、酢酸アンモニウムを30mmol仕込み、温度400℃、水密度0.5g/cm3、反応時間3,5,10minで行った。ただし、反応時間3,5minの実験は加熱器に錫浴を用いた結果である。今までの知見によれは、温度420℃、水密度0.5g./cm3、酢酸アンモニウム仕込み量30mmolが最適条件であると思われるが、この条件は安全上の問題から実施し難い。そのため本実験では温度を400℃としている。
実験結果を表8に示す。
反応時間5minにおいて原料のn−ヘキサノールは67.9%転化し、アミド化合物のN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は60.4%であった。このときアミノ・アミド化合物以外の生成物収率は微少量であり、アミノ・アミド化合物の選択率は94.7%と高い値であった。
さらに反応時間10minでは原料のn−ヘキサノールは79.8%転化し、このときのN−n−ヘキシルアセトアミド収率は78.5%であった。さらにアミノ・アミド化合物の選択率も94.8%と高選択率であった。
4.4 結言
本章では第3章で明らかにした反応経路に基づき、アミド化合物を高速、高収率、高選択的に得ることを目的として、温度、圧力(水密度)、濃度といった反応因子がアミド化に与える影響について検討を行った。その結果、温度、水密度、濃度を高くすることによりアミド化合物を高速、高収率、高選択的に得られることが分かった。
最後に、得られた知見を基に最適条件でのn−ヘキサノールのアミド化を行った。その結果、反応時間10minという短時間でN−n−ヘキシルアセトアミドを収率78.5%という高収率で、またアミノ・アミド化合物の選択率も94.8%と高選択率で得ることに成功した。
「第5章 流通式反応装置を用いたアミノ化の検討」
5.1 緒言
第4章では回分式反応装置を用いてn−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応の反応条件の最適化を検討した。その結果、温度400℃、水密度0.5g/cm3、反応時間10min、酢酸アンモニウム仕込み量30mmolの実験条件においてN−n−ヘキシルアセトアミドを収率78.5%という高収率で、また選択率も94.8%と高選択率で得ることに成功した。しかし、アミド化合物は有用な化学物質であるがアミノ化合物と比較するとその工業的有用性は低下する。
アミノ化生成物が最終的にアミド化合物として得られる原因は反応系内に酢酸アンモニウムから解離した酢酸が大量に存在するため、生成したn−ヘキシルアミンと酢酸が分子間脱水反応(アミド化)を起こすためである。この問題は出発物質を酢酸ヘキシルとし、アミノ化剤を酢酸アンモニウムからアンモニアに代えることにより解決できると考えた。Appendixでも述べるが酢酸ヘキシルはn−ヘキサノールと酢酸を温度400℃の無水条件下で反応させることにより反応時間1minという極短時間で容易に得ることができる。
第2章で述べたとおりエステルは超臨界水中において高速でアルコールと有機酸に加水分解することが報告されている。よって酢酸ヘキシルを出発物質として使用する場合、反応条件に達するまでに長い昇温時間を必要とする回分式反応装置は、昇温中に酢酸ヘキシルの加水分解が優先して起こるため使用することはできない。そこで、超臨界状態まで急速昇温が可能な流通式反応装置を新たに作成し、実験を行った。
本章では急速昇温が可能な流通式反応装置を新たに作成し、その装置を用いてアミノ化反応を行うプロセスの検討を検討した結果について述べる。
5.2 実験
5.2.1 試薬
試薬は3章で用いたのと同じものを使用した。
5.2.2実験装置
図12に本研究で新たに作成した流通式反応装置の概略図を示す。装置は送液部、予熱部、混合部、反応部、冷却部、圧力制御部で構成されている。配管は全てSUS316製チューブを使用した。混合部から反応部および冷却部から圧力部の部分は溶液同士の混合度合いを高めるために内径の細い1/16inchチューブを使用し、その他の部分には1/8inchチューブを使用した。試料のn−ヘキシルアセテートはHPLCポンプによって反応系内に送液された後、一旦、反応温度に保たれている溶融塩の中を潜り、その後混合部において超臨界アンモニア水溶液と反応する。n−ヘキシルアセテートが超臨界アンモニア水溶液と混合する前に、溶融塩の中を潜らせて温度を高めることにより、反応温度に達するまでに必要な反応時間をさらに短くできるよう改良した。400℃、無水条件下でのn−ヘキシルアセテートの安定性は確認してある。試料は混合部を通過後、反応部を通り、冷却部において冷却され反応を停止する。冷却部は回収溶媒であるエタノールによる直接冷却と水道水による間接冷却で構成されている。直接冷却を行うことで急速冷却を可能にし、また冷却溶媒に回収溶媒のエタノールを用いることでサンプルが相分離しないようにした。系内の圧力は背圧弁で制御した。系内の温度は熱電対で測定し、PIDコントローラーで制御した。
5.2.3 実験方法
実験は以下の手順で行った。
1. 超純水、アンモニア水および酢酸ヘキシルを用意する。超純水は超純水製造装置を用いて電気伝導率18MΩ・cm以上とした。アンモニア水の濃度は3.3もしくは14.2mmol/lとした。
2.HPLCポンプにより、超純水を反応器内に送液し、系内を超純水で置換する。超純水は10cm3/minで送液した。.
3.背圧弁により、系内の圧力を所定圧力(25〜40MPa)に設定する。
4.電気炉(予熱部)、溶融塩(反応部)の温度が所定温度(380〜420℃)になるまで昇温する。
5.酢酸ヘキシルを0.33cm3/minで、エタノールを10cm3/minで系内に送液し、系内が定常になるのを待つ
6.系内の定常を確認後、三方バルブを超純水側からアンモニア水側に変えることにより反応を開始する。反応時間は反応管の長さを変えることにより調整した。
7.生成物は背圧弁を通過して大気開放した後、所定時間(30s)回収した。
5.2.4 分析
分析方法は3.2.4節と同様の方法で行った。
5.2.5 実験条件および評価方法
「実験条件」
実験条件を表9(Table5−2−1)に示す。
「評価方法」
評価方法は3.2.5節と同様の方法で行った。
5.3 結果と考察
5.3.1 生成物収率の経時変化
流通式反応装置を用いて酢酸ヘキシルのアミノ化反応を行った。実施例の一例として温度400℃、圧力30MPaでの生成物収率の経時変化を図13(Fig.5−3−1)に示す。得られた生成物はn−ヘキサノール、1−ヘキセン、n−ヘキサナール、酢酸ヘキシル、n−ヘキシルアミン、N−n−ヘキシルアセトアミドであった。原料である酢酸ヘキシルの収率は反応時間の増加にともない減少し、反応時間141sでおよそ70%転化した。n−ヘキサナールとN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は極微量でありともに最大でも0.1%程度であった。目的物質であるn−ヘキシルアミンの収率は反応時間48sで8.3%、96sで15.7%得られた。このことから酢酸ヘキシルとアンモニアを超臨界条件下で反応させることにより、生成したアミノ化合物がアミド化されることなく短時間でn−ヘキシルアミンを得ることに成功した。
またn−ヘキサノール、1−ヘキセン、n−ヘキシルアミンの収率は一次線形で増加している。この結果は3.3.2節で述べたように、アミノ化は酢酸ヘキシルを経由して進行し、また酢酸ヘキシルの加水分解反応によりn−ヘキサノールが生成し、さらに酢酸ヘキシルの脱酢酸反応によって1−ヘキセンが生成するという反応経路をさらに裏付けるものである。
5.3.2 温度依存性
本項ではn−ヘキシルアミン収率に与える温度、圧力の効果を検討することで、n−ヘキシルアミンの高収率生成条件の策定を行う。まず、一定圧力下での反応におけるn−ヘキシルアミン収率に与える温度の効果について検討した。図14〜図17(Fig.5−3−2(a)〜(d))に圧力25,30,35および40MPaにおける各反応温度でのn−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す。圧力25MPaでは全ての温度でn−ヘキシルアミンの収率は低い値であったが、圧力の増加に伴い、全ての温度で圧力25MPaの時に比べてn−ヘキシルアミンの収率は増加した。各圧力条件で注目すると、30MPa以下の条件では380℃が最もn−ヘキシルアミンの収率が高かったが、35MPaでは400℃が、40MPaでは420℃が最もn−ヘキシルアミンの収率が高くなった。各圧力条件において最適な温度条件の存在が示唆される。圧力40MPa、温度420℃では反応時間57sという短時間でn−ヘキシルアミンを27.5%得ることができた。
5.3.3 圧力依存性
次に、一定の温度条件下での反応におけるn−ヘキシルアミン収率に与える圧力の効果について検討した。図18〜20(Fig.5−3−3(a)〜(c))に温度380,400および420℃における各圧力でのn−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す。全ての条件において反応時間の経過にともないn−ヘキシルアミンの収率は増加した。各温度で注目すると、温度380℃では、圧力30MPaでn−ヘキシルアミンの収率が最大25.6%を得たが、その後、圧力の増加にともない緩やかにn−ヘキシルアミンの収率は減少した。温度400℃では、圧力35MPaにおいてn−ヘキシルアミンの収率は最大28.2%を得たが、圧力が増加し40Mpaになると収率は若干減少した。温度420℃では、圧力の増加とともにn−ヘキシルアミンの収率は増加し、圧力40MPaにおいて最大収率28.1%を得た。このように各温度において最適な圧力値の存在が示唆された。この理由については4.3.4項において考察する。
5.3.4 n−ヘキシルアミン収率に与える水密度の影響
5.3.2項、5.3.3項で述べたように各温度、圧力において最適な圧力、温度の存在が明らかとなった。超臨界水は温度、圧力の変化により反応場の水密度が変化して反応環境が変化する。そこで、反応に与える水密度の影響を評価するため、水密度依存性について検討を行った。図21(Fig.5−3−4)に温度380,400および420℃、圧力25,30,35および40MPaにおけるn−ヘキシルアミン最大収率と水密度の関係を示す。
図に示したとおり、n−ヘキシルアミン最大収率は水密度0.47g/cm3付近において極大となり、水密度が0.47g/cm3より減少しても増加してもn−ヘキシルアミン最大収率は減少することがわかる。この現象については次のように考察した。水密度が0.47g/cm3よりも低い低水密度の領域では図22(Fig.5−3−5(a))に示すような酢酸ヘキシルから1−ヘキセンへの脱酢酸反応が支配的となり、加水分解反応とアミノ化反応は抑制される。水密度が高くなるにつれて脱酢酸反応は抑えられ、その分加水分解反応とアミノ化反応が進行するため1−ヘキセンの収率は減少し、n−ヘキサノール・n−ヘキシルアミンの収率は増加する。一方、水密度が0.47g/cm3以上の高水密度領域では図23(Fig.5−3−5(b))に示すような酢酸ヘキシルからn−ヘキサノールへの加水分解反応が支配的となり、脱酢酸反応とアミノ化反応は抑制される。水密度0.47g/cm3近傍において脱酢酸反応、アミノ化反応、加水分解反応が最適なバランスで均衡しているためn−ヘキシルアミン収率が高収率で得られたと考えた。
5.3.5 n−ヘキシルアミン高収率生成条件での反応
5.3.4項においてアミノ化反応が水密度0.47g/cm3近傍において進行しやすいことが明らかとなった。そこで、本項ではn−ヘキシルアミンを高収率で得るために水密度を0.47g/cm3近傍に絞り、アンモニアの濃度を増やした実験を行った。結果を表10(Table5−3−1)に示す。Table中に表示されているカッコ内の数値は実験の温度、圧力値から算出した水密度である。Tableには比較のためアンモニア濃度を増やす前の実験結果(Table 1段目,2段目)も表示している。
実験の結果、アンモニア濃度を増したにもかかわらずn−ヘキシルアミンの収率に大きな変化は見られなかった。この理由について考察する。
アンモニア濃度を変化させる前後の1−ヘキセンの収率に注目すると、アンモニア濃度を増加させたことによりその収率は増加している。3章で述べたとおり、1−ヘキセンの主生成経路は酢酸ヘキシルの脱酢酸反応であり、脱酢酸反応は低水密度条件下で進行しやすいことは5.3.4項で述べた。つまり、アンモニア濃度を増加させたことにより、基質まわりの水分子がアンモニア分子に置き換わり、基質まわりの水密度が減少してしまったため、脱酢酸反応が促進され、n−ヘキシルアミンの収率が減少したと考えられる。図24(Fig.5−3−6)に基質まわりの水密度のイメージを示す。
アンモニア濃度の増加にもかかわらず、n−ヘキシルアミンの収率が上がらなかったのは、基質まわりの水密度が減少し、活性複合体が安定化されなくなったためであると推察した。そこで、n−ヘキシルアミンの収率向上をねらい、アンモニアの濃度を増やして圧力を増加させた実験を行った。実験結果を表11(Table5−3−2)に示す。Tableには比較のため、アンモニアの濃度3.3mol/l、圧力35MPaの結果(Table1段目)とアンモニアの濃度14.7mol/l、圧力35MPaの結果(Table2段目)も示した。実験の結果アミノ化合物であるn−ヘキシルアミン収率を36.0%まで向上させることに成功した。
5.3.6 超臨界水中における水酸基のアミノ基への変換プロセスの提案
これまで実験によりアルコールの水酸基をアミノ基に変換するための最適条件が明らかとなってきた。そこで、本項ではそれらの条件を基に、アミノ化プロセスを提案する。
本プロセスは2つの流通式管型反応器と油水分離器そして蒸留塔から構成されている。
まず、第1管型反応器にn−ヘキサノールと酢酸を当モル導入し、酢酸ヘキシルを生成させる。反応管内の条件は無水状態で温度は400℃程度、反応時間60sほどが望ましい。第2管型反応器では生成した酢酸ヘキシルと超臨界アンモニア水溶液を混合し、アミノ化反応を行う。第2管型反応器内での反応は温度400〜420℃、圧力35〜40MPa、反応時間60〜222sで行う。このとき水密度は0.47g/cm3付近が望ましい。生成物は熱交換器によって冷却された後、背圧弁によって減圧され、油水分離器にてアミノ化合物を含む油分とアンモニアと酢酸を含む水分に分離する。水分は一旦、回分式反応器に送られ、そこで水酸化ナトリウムと混合することによって酢酸イオンを塩として系外に排出する。残りのアンモニアおよび水は熱交換器により予熱された後、再び第2管型反応器に導入し、再利用する。一方、油分は蒸留塔に導入され、原料であるn−ヘキサノールと製品であるn−ヘキシルアミンに分離する。プロセスのフローシートを図25(Fig.5−3−7)に示す。
5.4 結言
本章では新たに急速昇温が可能な流通式反応装置を作成し、この装置を用いてアミノ化合物を回収するプロセスの検討を行った。
まず酢酸ヘキシルとアンモニアを超臨界水中で反応させることにより、生成したアミンをアミド化させることなく短時間でn−ヘキシルアミンの形で得ることに成功した。
次により高収率でn−ヘキシルアミンを得るために、アミノ化反応に与える温度、圧力の影響を検討した。その結果、水密度0.47g/cm3近傍においてアミノ化反応が進行することが示唆された。
さらに得られた知見を基にn−ヘキシルアミンを高収率で得るための反応条件を検討した。その結果、温度400℃、圧力40MPaにおいてn−ヘキシルアミンを36.0%の収率で得ることができた。
最後にn−ヘキサノールからn−ヘキシルアミンを生成するプロセスの提案を行った。
「第6章 総括」
本章では本研究で得られた結果を総括し、あわせて今後の展望について述べる。
まず、超臨界水の物性および反応溶媒としての特性について整理した。次に、超臨界水中での有機合成反応の特徴について概説した。そして本研究の反応系として取り上げたアミン・アミドの合成反応、アンモニア、エステル、アミドに関する一般的な有機合成反応に関する既往の研究を整理した。最後に近年のアミノ化合物に関する特許についてまとめた。
第3章では回分式反応装置を用いアルコール水酸基のアミド基への変換を目的とし、その反応機構の詳細な検討を行った。
まず、アルコールのモデル物質としてヘキサノールを用い、アミノ・アミド化剤として酢酸アンモニウムを用いて水酸基のアミノ・アミド化を検討した。その結果、ヘキサノールのアミノ・アミド化合物であるヘキシルアミン・ヘキシルアセトアミドの生成を確認した。
次に、ヘキサノールのアミノ・アミド化反応の反応経路を明確にした。その結果ヘキサノールのアミノ・アミド化は以下のような3Stepで構成されていることを明らかにした。すなわち、
Step1:ヘキサノールと酢酸との間の分子間脱水反応による酢酸ヘキシルの生成。
Step2:酢酸ヘキシルに対しアンモニアが求核攻撃を行いヘキシルアミンが生成するアミノ化反応
Step3:ヘキシルアミンと酢酸が分子間脱水反応をしてヘキシルアセトアミドを生成するアミド化反応
である。
第4章ではn−ヘキサノールからN−n−ヘキシルアセトアミドを高回収で得るための反応条件の探索を行った。
温度、圧力(水密度)、濃度といった反応因子が反応に与える影響について検討を行った。その結果、温度、水密度、濃度を高くすることによりN−n−ヘキシルアセトアミドを高速、高収率、高選択的に回収できることが明らかになった。
最後に、得られた知見を基に最適条件でのヘキサノールのアミド化を行った。その結果、反応時間10minという短時間でN−n−ヘキシルアセトアミドを収率78.52%という高収率で、またアミノ・アミド化合物の選択率も94.77%と高選択率で得ることに成功した。
第5章では生成したヘキシルアミンをアミド化させずに得ることを目的とした。
まず、急速昇温が可能な流通式反応装置を作成し、酢酸ヘキシルのアミノ化を行った。その結果、生成したアミノ化合物をアミド化させることなく得ることに成功した。また提案した反応機構の裏付けもできた。
次に反応因子がアミノ化に与える影響について検討を行った。その結果、水密度0.47g/cm3付近でアミノ化反応が最も選択的に進行することを明らかにした。
さらにこの知見をもとにアミノ化合物の高収率での回収を検討した。その結果、温度400℃、圧力40MPaにおいてアミノ化合物であるヘキシルアミンを141sという短時間で収率35.99%得ることができた。
「今後の展望」
本研究によって水酸基がアミノ基に変換する際の反応経路および最適反応条件が明らかとなった。本研究ではモデル物質を用いたが、本研究の知見を基にすれば、ジオールから化学繊維の原料として重要なジアミンの合成が期待される。PETなどのポリエステルやアセテート繊維などのエステル結合を有する化合物からアミノ化合物、アミド化合物の回収や新規複合材料の創出も期待できる。さらにバイオマスの超臨界処理で得られる化学物質(乳酸などの含水酸基化合物)からアミノ酸・ペプチド合成など生化学の分野への利用も期待される。
「Appendix 2 n−ヘキシルアセテートの生成とその安定性」
n−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応の中間体として重要な化合物であるn−ヘキシルアセテートの生成とその安定性について検討した。
まず、n−ヘキシルアセテートの生成について検討した。実験には昇温速度の速い錫浴を用いた。錫浴を400℃に設定した場合、反応時間10sで反応管内の温度を常温から350℃まで上げることができ、約50sで反応管内温度は設定温度の400℃に達する。反応管内には試料としてn−ヘキサノールを1mmol、酢酸を30mmol仕込んだ。反応条件は温度400℃、水密度0.0g/cm3、反応時間は1minとした。反応時間の値は昇温時間をふくめた値である。表12(Table A2−1)に実験結果を示す。実験の結果、反応時間1minで原料のn−ヘキサノールは完全にn−ヘキシルアセテートに転化した。本実験の結果、n−ヘキシルアセテートは無水反応条件下においてn−ヘキサノールから容易に生成できることを確認できた。
次に、無水かつ高温条件下でのn−ヘキシルアセテートの安定性を検討した。反応管には試料としてn−ヘキシルアセテートを1mmol仕込んだ。実験条件は温度400℃、水密度0.0g/cm3、反応時間1minとした。実験には錫浴を使用した。反応時間には昇温時間もふくまれている。実験の結果を表13(Table A2−2)に示す。実験の結果、n−ヘキシルアセテートは無水条件下であれば高温の条件下においても安定に存在できることを確認できた。
「Appendix 3 酢酸、アンモニアの添加効果の評価」
n−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応に及ぼす酢酸およびアンモニア添加の影響について検討した。実験は反応管にn−ヘキサノールを1mmol、酢酸アンモニウムを20mmol仕込んだ。n−ヘキサノールと酢酸アンモニウムを仕込んだ後、酢酸の添加効果を評価する実験では酢酸を5mmol加え、アンモニアの添加効果を評価する実験ではアンモニアを5mmol加えた。実験にはサンドバスを用い、実験条件は温度400℃、水密度0.3g/cm3、反応時間60minで統一した。実験の結果を図26(Fig.A3−1)に示す。
酢酸もしくはアンモニアを添加することにより、N−n−ヘキシルアセトアミドの収率は増加した。酢酸を添加することによりアミド化が進行した理由は酢酸の添加によりアミノ・アミド化反応の中間体であるn−ヘキシルアセテートの生成反応が助長されたためであると考えられる。またアンモニアの添加によりアミド化が進行した理由はアンモニアの添加によりn−ヘキシルアセテートからn−ヘキシルアミンが生成するアミノ化反応が助長されたためであると考えられる。酢酸とアンモニアの添加により反応系内のpHが変化したことでN−n−ヘキシルアセトアミドの収率が増加した可能性も考えられる。しかし、本実験で添加した酢酸とアンモニアの量が仕込みの酢酸アンモニウムに比べ少ないこと、また反応条件が超臨界状態であるため酢酸の解離によるH+の生成、およびアンモニアによるOH−の生成は極微量であると考えられるため、pH変化による影響は少ないと考えられる。
「Appendix 4 高水密度条件下でのアミド化」
実験にInconel製の反応器を使用し、SUS316製の反応器では行うことのできない超高水密度条件でのアミノ・アミド化反応を検討した。
実験にはInconel製の反応器(内容積10cm3)を使用した。実験は反応器にn−ヘキサノールを1mmol、n−ヘキシルアセテート20mmolを仕込み、温度400℃、水密度0.5もしくは0.68g/cm3、反応時間10minで行った。反応時間には昇温速度も含まれている。実験結果を表14(Table A4−1)に示す。Tableには比較のため、反応器にSUS316製のものを使用し、同実験条件において実験を行った結果も示す。
実験の結果、Inconel製の反応器を使用した水密度0.5と0.68g/cm3の結果に注目すると、水密度が0.5から0.68g/cm3に増加することによりn−ヘキサノールのアミド化合物であるN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は大幅に増加した。しかし、水密度0.5g/cm3におけるInconel製の反応器を用いた結果とSUS316製の反応器を用いた結果に注目すると、SUS316製の反応器を使用した方がInconel製の反応器を使用したときよりアミド化が進行していることが分かる。この理由は反応器の昇温速度に起因すると考察した。図27(Fig.A4−1)にSUS316製の反応器とInconel製の反応器の昇温速度を測定した結果を示す。SUS316製の反応器は反応温度(400℃)に到達するのに約3minかかっている。一方Inconel製の反応器は反応温度の到達に約6minかかっている。このような反応器の違いによる昇温速度の差異のため、SUS製の反応器を用いた実験に比べInconel製の反応器を用いた実験のほうが反応温度(400℃)における反応時間が短くなりN−n−ヘキシルアセトアミドの収率に大きな違いが生じたと考えられる。
以上のような結果から、さらに高水密度での実験が可能な反応器を作製することができれば、より短時間でアルコールの水酸基をアミノ・アミド基へ変換するプロセスの創出が期待できる。
「Appendix 5 n−ヘキサノール仕込み量の依存性」
n−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応のプロセス化を視野に入れると、n−ヘキサノールの処理量の検討が非常に重要となる。そこで、n−ヘキサノールの仕込み量がアミノ・アミド化反応に与える影響について検討を行った。
実験は反応管にn−ヘキサノールを1〜20mmol、n−ヘキシルアセテートを20mmol仕込み、温度400℃、水密度0.3g/cm3、反応時間10, 30minで行った。反応時間10minの結果を図28(a)(Fig.A5−1(a))に、反応時間30minの結果を図28(b)(Fig.A5−1(b))に示す。反応時間10minではn−ヘキサノールの仕込みの違いによるN−n−ヘキシルアセトアミドの収率に対する影響は少ない。一方、反応時間30minではN−n−ヘキシルアセトアミドに与えるn−ヘキサノールの仕込み量の影響が明らかとなり、n−ヘキサノールの仕込み量1mmolとn−ヘキサノールの仕込み量20mmolのときではN−n−ヘキシルアセトアミドの収率は33%差があった。この理由について考察する。n−ヘキサノールの仕込み量の増加にともない、生成したN−n−ヘキシルアセトアミドにアミノ化剤であるアンモニアが消費されてしまい、系内のアンモニア濃度が減少してアミノ化反応速度が減少したためであると考えられる。また、N−n−ヘキシルアセトアミドに酢酸が消費されるため、系内の酢酸濃度が減少して中間体であるn−ヘキシルアセテートを形成できないためアミノ化反応速度が減少したとも考えられる。
図29(Fig.A5−2)に縦軸にN−n−ヘキシルアセトアミドの生成量、横軸にn−ヘキサノールの仕込み量をとった図を示す。図28(Fig.A5−1)とは対照的にn−ヘキサノールの仕込み量の増加にともないN−n−ヘキシルアセトアミドの生成量が増加している。この結果、本手法によりn−ヘキサノールのアミド化の大量処理が可能であることが分かった。しかし、n−ヘキサノールの仕込み量が5mmolを超えるとn−ヘキサノールの2級アミンであるN,N−ジ−n−ヘキシルアミンが生成した。これは5mmolを越えると時間の経過にともない酢酸の濃度の減少が大きくなるため、生成したn−ヘキシルアミンが酢酸によってアミド化されることなく存在する。このn−ヘキシルアミンがアンモニアの代わりにn−ヘキシルアセテートに対し求核攻撃をするためジn−ヘキシルアミンが生成したと考えられる。よって、この問題を解決するには系内に酢酸を添加すればよいと考える。またN−n−ヘキシルアセトアミド生成量も仕込む酢酸の量を増やすことによりさらに効率が向上すると思われる。
「Appendix 6 フェノールのアミノ・アミド化の検討」
フェノールをアミノ・アミド化し、アニリン・アセトアニリドの生成を検討した。
アニリン類は芳香族ニトロ化合物を接触還元する方法、芳香族ハロゲン化物を高温高圧下にアミノ化剤と反応させる方法、フェノール類とアミノ化剤とを反応させる方法等により製造されている。
芳香族ニトロ化合物を接触還元する方法では、芳香族ニトロ化合物の合成工程において、ニトロ化剤として硝酸、および触媒として硫酸を多量に必要とする。そのため、中和工程で多量のアルカリ物質が必要となり、その塩類を含む高濃度の排水が多量に生ずるという問題点がある。また、取り扱う酸による装置腐食が問題となって高価な材質が必要となり、さらに、窒素酸化物が飛散することによる汚染等の問題点もある。
芳香族ハロゲン化物を用いる方法は、芳香族のハロゲン化に塩素等の腐食性の高いハロゲンを使用するため、高価な耐食性材料を使用する必要が生ずる。また、芳香族ハロゲン化物を高温、高圧下でアンモニア等のアミノ化剤と反応させても収率が低いため実用的ではなく、実際に工業的にはほとんど実用化されていない。
このように従来法ではフェノール類からアニリン類を製造する際に多くの問題が存在する。フェノール類とアミノ化剤とを反応させてアニリン類を得る方法を確立できれば、フェノール類とアミノ化剤を反応器中で反応させるだけでアニリン類を製造できるために、製造プロセスも極めて簡略化できるほか、多量の廃酸や中和工程に伴う排水もなく、また、窒素酸化物による大気汚染も無い等優れた利点が認められる。そこで本研究ではフェノール類のモデル物質としてフェノールを用い、アミノ化剤に酢酸アンモニウムを用いてアニリンの製造を検討した。
実験には内容積10cm3のSUS316製回分式反応装置を用いた。反応器にフェノールを1mmol、酢酸アンモニウム30mmol、および超純水を1〜5g仕込み、温度400℃、反応時間10〜60minで実験を行った。実験結果の一例として温度400℃、水密度0.3g/cm3における生成物収率の経時変化を図30(FigA6−1)に示す。
生成物はフェノールとアニリンのみ確認された。アニリンがアミド化されたアセトアニリドは確認できなかった。これはアニリンの塩基性が弱いため、酢酸によるアセチル化が進行しなかったためであると考察した。
次にアニリン生成に与える水密度の影響について検討した。実験結果を図31(Fig.A6−2)に示す。
n−ヘキサノールのアミノ・アミド化のときと同様に水密度の増加にともないアニリンの収率は増加し、水密度0.5g/cm3、反応時間60minにおいて収率26%を得た。
東ソー(株)では本手法のようなフェノール類とアミノ化剤とを反応させてアニリン類を得る方法の研究開発を進めている。本手法との比較例として東ソー(株)がアニリン類の製造法で取得している最新の特許(出願番号 特願平10−203148)を挙げる。
特許によれば、試料にフェノール、アミノ化剤にアンモニアを用い、さらに触媒としてガリウムを含有したMFI構造を有するゼオライトを用いて反応を行っている。反応には触媒を充填した固定床流通式反応装置を使用している。反応条件は温度450℃、反応圧力は常圧、アンモニアはフェノールの9当量流している。特許では実験の結果、アニリンが収率23%で得られ、工業的に極めて有用だと報告している。
本手法は無触媒で反応を行うことができ、また、東ソー(株)のアニリン製造法と同程度のアニリン収率が得られていることから本手法の工業的利用が大いに期待される。
「Appendix 7 2級アルコールのアミノ・アミド化」
2級の水酸基のアミノ・アミド化を検討した。
実験にはSUS316製回分式反応器(内容積10cm3)を用いた。試料は2級のアルコールとしてシクロヘキサノールを用い、アミノ・アミド化剤にはアセトアミドを用いた。Leeら29)によれば、アセトアミドは超臨界水中において迅速に酢酸とアンモニアに加水分解される。よって、アセトアミドは本明細書でアミノ・アミド化剤に用いた酢酸アンモニウムと同様の働きを期待できる。実験はシクロヘキサノールを1mmol、アセトアミドを50mmol、さらに超純水を3g反応器に仕込んだ。実験条件は温度400℃、水密度0.3g/cm3、反応時間3〜60minで行った。実験の結果を図32(FigA7−1)に示す。
同定できたシクロヘキサノール由来の主生成物はシクロヘキサノール、シクロヘキセン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルアセトアミドであった。シクロヘキサノールは反応開始とともに転化し、反応時間5minで98%転化した。一方、シクロヘキセンは反応の開始とともに生成し、反応時間5minで58%生成した。目的物質であるシクロヘキシルアセトアミドは最高収率8%を得た。この結果2級の水酸基は1級の水酸基に比べてアミノ化、アミド化が進行し難いことが分かった。この理由は、シクロヘキサノールが酢酸とアミノ・アミド化の中間体であるエステルを形成する反応よりもシクロヘキセンを生成する脱水反応の方が進行しやすいためであると考えた。
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回分式反応装置の構成を示す図である。 主生成物の収率の経時変化を示す図である。 エステルとアンモニアによる活性複合体を示す模式図である。 生成物分布より推定したn−ヘキサノールのアミノ・アミド反応の主反応経路を示す図である。 n−ヘキシルアセテートとアンモニアの反応を示す図である。 アミノ化反応に対する酢酸仕込量依存性を示す図である。 仕込み時の反応間内の状態を示す模式図である。 反応環境を統一した実験結果を示す図である。 N−n−ヘキシルアセトアミド収率に対する水密度依存性を示す図である。 副生成物の収率の水密度依存性を示す図である。 酢酸アンモニウム仕込量依存性を示す図である。 反応装置の概略構成を示す図である。 生成物収率の経時変化を示す図である。 n−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す図である。 n−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す図である。 n−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す図である。 n−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す図である。 n−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す図である。 n−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す図である。 n−ヘキシルアミン収率の経時変化を示す図である。 n−ヘキシルアミン最大収率と水密度の関係を示す図である。 1−ヘキセンの最大収率と水密度の関係を示す図である。 1−ヘキセンの最大収率と水密度の関係を示す図である。 基質まわりの水密度変化のイメージを示す図である。 アミノ化反応プロセスのフローシートを示す図である。 n−ヘキサノールのアミノ・アミド化反応に及ぼす酢酸およびアンモニア添加の影響を示す図である。 反応器の昇温速度を示す図である。 ヘキサノール仕込量依存性を示す図である。 ヘキサノール仕込量とヘキシルアセトアミド生成量の関係を示す図である。 生成物収率の経時変化を示す図である。 アニリン生成に与える水密度の形容を示す図である。 シクロヘキサノールのアミノ・アミド化を示す図である。

Claims (1)

  1. 1級アルコールのアセテート体を、超臨界または亜臨界水中で、アンモニアと反応させ、1級アミンを製造することを特徴とする1級アミンの製造方法。
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