JP2005225723A - セラミックス基耐熱部材及びその製造方法並びにガスタービン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱サイクルのある環境下に配されるセラミックス基耐熱部材1であって、CMC材料によって構成されるセラミック基材11と、該セラミック基材11上に配されかつ上記セラミック基材11側に上記セラミック基材11に対する密着性を有し非セラミック基材11側に遮熱性を有するポーラス状のセラミック被覆層12とを有する。
【選択図】 図1
Description
そして、従来の、セラミックス基耐熱部材においては、コーティング部材として一般的にSiCコーティングが用いられており、この他のコーティング部材としてはジルコンコーティングやガラスコーティングが用いられていた。
また、ガラスコーティングの場合は、耐酸化に有効な高温で軟化するため、ジェットエンジンのような流速の早いガス中では、飛散や反応によってコーティング材が消滅し、セラミック基材自体が損傷してしまう。
また、ジルコンコーティングの場合は、水蒸気を含む環境で使用する場合に制限があり、それ単体ではエンジン環境でコーティング材として機能させることができない。
このような問題を解決するべく、特開平11−343803号公報には、セラミック基材上にポーラス状のセラミックスを被覆させコーティング材(セラミック被覆層)とすることによって、セラミック基材とコーティング材の密着性を向上させる技術が開示されている。
図1は、本第1実施形態に係るセラミックス基耐熱部材1の模式図である。この図に示すように、本実施形態に係るセラミックス基耐熱部材1は、熱サイクルのある環境下に配されるものであり、CMC材料によって構成されるセラミック基材11と、このセラミック基材11上に配されるコーティング材12(セラミック被覆層)とによって構成されている。
このコーティング材12は、Si,Al,Zr,Hf,Ce及びYのうち少なくとも1つの成分を含む酸化物からなっており、密着層12aと遮熱層12bとの違いは、その層における気孔率の違いである。なお、気孔率とは、その層の体積に対する気孔の割合である。
この気孔率によってその層における線膨張係数及び遮熱性を規定することができる。具体的には、気孔率を低くすることによってその層における線膨張係数を小さくすることができ、気孔率を高くすることによってその層における遮熱性を高めることができる。
このため、本実施形態では、コーティング材12のセラミック基材11側の層における気孔率を低くすることによってセラミック基材11との密着性が高い密着層12aを形成し、コーティング材12の非セラミック基材11側の層における気孔率を高くすることによって遮熱性が高い遮熱層12bを形成している。なお、密着層12aの気孔率は、セラミック基材11との密着力を有しかつコーティング材12の構造強度が十分高い2〜10%程度であることが好ましく、遮熱層12bの気孔率12bは、遮熱性を有しかつコーティング材12の構造強度が保たれる10〜40%程度であることが好ましい。
図2は、従来のコーティング材を有するセラミックス基耐熱部材と本実施形態に係るコーティング材11を有するセラミックス基耐熱部材1とを同じ熱サイクルの環境下に配した場合に、どの程度の熱サイクルでコーティング材が剥離したかを示すグラフであり、Aが従来のコーティング材を有するセラミックス基耐熱部材に対応し、Bが本実施形態に係るコーティング材11を有するセラミックス基耐熱部材1に対応している。
この図2に示すように、従来のコーティング材を有するセラミックス基耐熱部材のコーティング材料が78回の熱サイクルでコーティング材が図3(a)の写真に示すように剥離したのに対して、本実施形態に係るコーティング材11を有するセラミックス基耐熱部材1のコーティング材11は、500回以上の熱サイクルにおいても図3(b)の写真に示すように剥離しないことが確認された。
まず、図4(b)に示すように、セラミック基材11を減圧雰囲気(例えば、180hPa)中に配し、このセラミック基材11の上面11a上にコーティング材料A(セラミック被覆材材料)をプラズマ溶射する(第1溶射工程)。このように、減圧雰囲気においてコーティング材料Aをプラズマ溶射することによって、セラミック基材11の上面11a上に気孔率が例えば2〜10%の密着層12aを形成することができる。
続いて、図4(c)に示すように、密着層12aが形成されたセラミック基材11を大気圧雰囲気中に配し、密着層12a上にコーティング材料Aをプラズマ溶射する(第2溶射工程)。このように、大気圧雰囲気においてコーティング材料Aをプラズマ溶射することによって、密着層12a上に気孔率が10〜40%の遮熱層12bを形成することができる。ここでコーティング材料Aとしては、例えば、3Al2O3・2SiO2、ZrO2・SiO2、HfO2・SiO2、Y2O3・SiO2、HfO2−Y2O3、Y3Al5O12、Al2O3、Y2O3、CeO2を用いることができる。
なお、コーティング材料Aをプラズマ溶射する際のプラズマガスとしては、Ar及びH2を混合したガスを用いることができる。
また、コーティング材料Aをプラズマ溶射する前に、セラミック基材11の上面11aを脱脂処理やブラスト処理を行っても良い。
このタービンシュラウド10は、タービン動翼30の回転によってタービン動翼30の外周によって削られ、タービン動翼30とタービンシュラウド10との間のクリアランスが最適化される。
次に、図6を参照して本発明に係るセラミックス基耐熱部材及びその製造方法の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態においては、上記第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
そして、このコーティング材21は、セラミック基材11側ら徐々に気孔率が高くされている。したがって、最もセラミック基材11側に位置するコーティング材21が最も高い密着性を有しており、また、最もセラミック基材11から遠い側に位置するコーティング材21が最も高い遮熱性を有している。
このような本第2実施形態に係るセラミックス基耐熱部材2においても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
11……セラミック基材
12,21……コーティング材(セラミック被覆層)
12a……密着層
12b……遮熱層
A……コーティング材料(セラミック被覆層材料)
Claims (12)
- 熱サイクルのある環境下に配されるセラミックス基耐熱部材であって、
CMC材料によって構成されるセラミック基材と、
該セラミック基材上に配されかつ前記セラミック基材側に前記セラミック基材に対する密着性を有し非セラミック基材側に遮熱性を有するポーラス状のセラミック被覆層と
を有することを特徴とするセラミックス基耐熱部材。 - 前記セラミック被覆層は、前記セラミック基材側から徐々に気孔率が高くなることを特徴とする請求項1記載のセラミックス基耐熱部材。
- 前記セラミック被覆層は、前記密着性を有する密着層と、前記遮熱性を有する遮熱層とを備えてなり、
前記密着層は、前記遮熱層よりも低い気孔率を有することを特徴とする請求項1記載のセラミックス基耐熱部材。 - 前記セラミック基材は、Si、Al、Mg及びZrのいずれかから選ぶ成分の酸化物、炭化物あるいは窒化物を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のセラミックス基耐熱部材。
- 前記セラミック被覆層は、Si,Al,Zr,Hf,Ce及びYのうち少なくとも1つの成分を含む酸化物からなることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のセラミックス基耐熱部材。
- 前記セラミック基材は、前記セラミック被覆層との接触面が0.1〜1mmの凹凸を有していることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のセラミックス基耐熱部材。
- 請求項1〜6いずれかに記載のセラミックス基耐熱部材をタービンシュラウドとして用いることを特徴とするガスタービン。
- CMC材料から構成されるセラミック基材上にポーラス状のセラミック被覆層が配されるセラミックス基耐熱部材の製造方法であって、
前記セラミック被覆層材料を前記セラミック基材上にプラズマ溶射する溶射工程を有し、該溶射工程における圧力雰囲気を変化させることを特徴とするセラミックス基耐熱部材の製造方法。 - 前記溶射工程における圧力雰囲気を減圧状態から徐々に増圧することを特徴とする請求項8記載のセラミックス基耐熱部材の製造方法。
- 前記溶射工程は、
減圧雰囲気において前記セラミック被覆層材料を前記セラミック基材上にプラズマ溶射する第1溶射工程と、
該第1溶射工程において溶射されたセラミック被覆層材料上に大気圧雰囲気において前記セラミック被覆層材料をプラズマ溶射する第2溶射工程と
を有することを特徴とする請求項8記載のセラミックス基耐熱部材の製造方法。 - 前記セラミック基材をSi、Al、Mg及びZrのいずれかから選ぶ成分の酸化物、炭化物あるいは窒化物を含んで形成することを特徴とする請求項8〜10いずれかに記載のセラミックス基耐熱部材の製造方法。
- 前記セラミック被覆層をSi,Al,Zr,Hf,Ce及びYのうち少なくとも1つの成分を含む酸化物から形成することを特徴とする請求項8〜11いずれかに記載のセラミックス基耐熱部材の製造方法。
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