JP2005224761A - 純水又は超純水の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、凝集沈殿装置等及び膜処理装置の安定した運転を可能とすると共に、スケールを効果的に防止できる純水又は超純水の製造方法を提供する。
【解決手段】原水にアルミニウム系又は鉄系の凝集剤を加えて凝集処理を行う前処理工程と、前処理工程で得られた処理水に、次の一般式(I)で表される化合物
【化1】
(ただし、Rは炭素数2〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基である。)又はその塩を含有する凝集剤付着抑制剤を加え、凝集剤のろ過膜への付着を防止する付着防止工程と、付着防止工程を経た処理水を膜装置に通水する膜処理工程とを有する純水又は超純水の製造方法。この方法によれば、凝集処理装置の安定した運転を可能とし、その後段の逆浸透膜装置等における膜処理の際、凝集剤の付着やスケールの付着を効果的に防止できるため、膜処理装置の安定した運転が可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】原水にアルミニウム系又は鉄系の凝集剤を加えて凝集処理を行う前処理工程と、前処理工程で得られた処理水に、次の一般式(I)で表される化合物
【化1】
(ただし、Rは炭素数2〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基である。)又はその塩を含有する凝集剤付着抑制剤を加え、凝集剤のろ過膜への付着を防止する付着防止工程と、付着防止工程を経た処理水を膜装置に通水する膜処理工程とを有する純水又は超純水の製造方法。この方法によれば、凝集処理装置の安定した運転を可能とし、その後段の逆浸透膜装置等における膜処理の際、凝集剤の付着やスケールの付着を効果的に防止できるため、膜処理装置の安定した運転が可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶や半導体等の電子製品製造工場、発電所、医薬品製造工場等で利用される純水又は超純水を製造する製造方法に係り、被処理水中に凝集剤を添加することにより生じる膜付着物質の逆浸透膜、限外ろ過膜等のろ過膜への付着を防止することを特徴とする純水又は超純水の製造方法に関する。
純水又は超純水の製造、廃水処理等の水処理において、その前処理工程として、懸濁質、溶存有機物、コロイダルシリカ等を除去するために広く凝集処理が行われている。これらの凝集処理においては、凝集剤として、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄等のアルミニウム系又は鉄系の無機金属塩凝集剤が、単独又は複数同時に使用されている。
これらの無機金属塩凝集剤は、単独使用では十分大きなフロックが形成されないため、凝集沈殿工程、砂ろ過工程等において固液分離速度が小さいという欠点があり、また、凝集剤の最適使用量の範囲が被処理水の水質に依存するため、凝集剤の使用量を常に最適にコントロールしないと、凝集が起きなかったり、凝集剤がすべて凝集しないで処理水中に残留することがあった。
このため、各種高分子凝集剤を用いてフロック形成を促進する方法が提案されているが、これを用いても、最適な凝集条件にコントロールすることが必要であり、条件によっては、凝集剤が後段に流出したり、凝集が不十分なことがある。また、凝集剤の価格自体も高価であった。
また、懸濁質、溶存有機物等の除去方法として、砂ろ過、マイクロフィルター処理等の方法も広く使われている。しかし、これらの方法は、単独で用いた場合には、性能が不十分であるため、しばしば微量の凝集剤を入口にて添加することで微小のフロックを成長させ、これを砂ろ過等によって除去する方法(マイクロフロック法という)も広く使われているが、この場合も、一部の凝集剤が後段に流出することがあった。
純水及び超純水の製造、廃水処理等の水処理においては、これらの前処理工程で得られた被処理水を、さらに逆浸透膜装置(RO)、限外ろ過装置(UF)等の膜処理装置を用いた処理が広く行われている。これらの膜処理装置は、その入口から流入されるイオン、粒子、有機物等を、膜処理装置によって濃縮し、濃縮水として系外に排出するが、このとき、処理水を多く得るためには、この濃縮水の量を可能な限り減少させる必要がある。しかし、濃縮水量を減少させると濃縮倍率が増加するため、しだいに、イオン、粒子等は、膜面に付着しやすくなり、特に、硬度成分、シリカ成分等は、溶解度を超えて析出しはじめ、それぞれ、硬度スケール、シリカスケールとして、膜面に付着してしまう問題がある。
そこで、純水又は超純水の製造において、膜処理装置の処理前に、種々のスケール防止剤を添加することが提案されており、これらのスケール防止剤を用いれば、スケールはかなり抑制される(例えば、特許文献1参照。)。
一方、酸を添加して、スケールを生成しないpHにすることによってもスケールを抑制することが可能であることがよく知られている。ただし、この方法では多量の酸性排水が生じてしまう。
特開平11−90487号
純水又は超純水の製造の前処理工程として、凝集沈殿処理、マイクロフロック法処理等で凝集剤を用いる場合には、前述のように、過剰に使用された凝集剤又は原水水質の良化により結果的に過剰注入となった凝集剤の一部等が後段に流出するため、この微量の凝集剤が逆浸透膜装置等の膜処理装置に付着し、徐々に差圧を上昇させ、膜処理装置の性能を低下させる原因となっていた。
さらに、スケール防止剤と併用した場合には、水中に微量に残留する凝集剤によってスケール防止剤の機能が大きく阻害される為、凝集剤の悪影響を防止する方法が求められていた。
また、酸を添加した場合には、コストアップにつながると共に、廃液等の問題も生じるため、純水又は超純水の製造における好ましいスケール防止方法であるとは言うことができなかった。また、この方法においても、膜処理装置への凝集剤の付着を阻止することは不可能であった。
そこで、本発明は、純水又は超純水の製造において、その前処理工程である凝集沈殿処理又はマイクロフロック法処理等で凝集剤を用いた場合においても、凝集剤の添加量を細かくコントロールする必要がなく、凝集沈殿処理装置、マイクロフロック法処理装置等の安定した運転を可能とし、その前処理工程の後段に設置された逆浸透膜装置等のろ過膜処理の際、酸を添加することなく、凝集剤の付着及びスケールの付着による膜の差圧上昇を起こすことなく運転することができる、純水又は超純水の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前処理工程として、凝集沈殿処理、マイクロフロック法処理等の凝集剤を添加する装置を用い、後段に逆浸透膜装置又は限外ろ過装置の膜処理装置を備えた純水又は超純水の製造装置において、次第に膜処理装置の通水差圧が上昇する問題に取り組んだ。その結果、凝集沈殿処理、マイクロフロック法処理等の処理条件がうまく設定されていない時はもちろん、処理条件がうまく設定されている場合にも、微量の凝集剤がこれらの処理水に残留し、これが原因で膜処理装置の通水差圧が上昇することを見出した。さらに、膜処理装置のスケールを防止するために、スケール防止剤を用いた場合には、微量に残留する凝集剤によって、スケール防止剤がほとんど機能を発揮しないため、スケール付着による膜処理装置の通水差圧の上昇が抑制できないことを見出した。
さらに検討を重ねた結果、本明細書に記載の凝集剤付着抑制剤を使用することにより、凝集剤の膜への付着を防げると共に、スケール防止剤を有効に作用させることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の純水又は超純水の製造方法によれば、前処理工程において、凝集沈殿処理又はマイクロフロック法処理等の凝集剤を用いた場合においても、その添加量を細かくコントロールする必要がないため、これらの装置の安定した運転をすることができ、また、その前処理工程の後段に設置された逆浸透膜装置等の膜処理において、凝集剤の付着を予防することができるとともに、酸を添加することなく、また、スケール防止剤のみ添加する場合よりもスケールを有効に防止することができるため、膜処理装置の安定した運転が可能となる。
本発明で行う前処理工程は、純水の製造方法として公知の前処理工程と同様であり、懸濁質、溶存有機物、リン酸イオンを除去するために、凝集剤として、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄等のアルミニウム系又は鉄系の無機金属塩凝集剤を用いて凝集沈殿法又はマイクロフロック法等により行うものである。
ここで、純水処理工程は、逆浸透膜処理、限外ろ過膜処理、イオン交換処理、紫外線照射処理、脱気処理等を組合わせた処理を行う工程である。なお、ここで、前処理工程に付されたものを原水として用いる場合には、当然、前処理工程を再度行うことは要しない。
本発明で行う付着防止工程は、このような前処理工程で処理されて得られた処理水中から前処理工程で添加された凝集剤が完全に除去されず、被処理水中に微量に残留していることから、膜処理装置において生じる通水差圧の上昇等の不具合を解消するものである。
この不具合を解消するために、本工程においては、次の一般式(I)で表される化合物
(ここで、Rは炭素数2〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基である。)又はその塩を含有する凝集剤付着抑制剤を処理水中に加えることを必須の要件とするものである。なお、この化合物の分子量は、400〜10000の範囲である。
この一般式(I)で表される化合物は、アルケンとα,β−不飽和カルボン酸とを共重合させることにより得ることができ、このとき用いるアルケンとしては、例えば、イソブチレン、ブチレン、イソペンテン、ペンテン等、α,β−不飽和カルボン酸としてはマレイン酸、メタクリル酸等を挙げることができる。
本発明に用いる凝集剤付着抑制剤の成分としては、イソブチレンとマレイン酸との共重合により得られ、次の化学式で表される化合物
であることが好ましく、例えば、イソバン(株式会社クラレ製、商品名)が挙げられる。
この凝集剤付着抑制剤により、処理水中に微量に存在する凝集剤が膜処理装置へ付着することが抑制される。
また、本発明の付着防止工程でスケール防止剤を添加することもできる。ここで用いるスケール防止剤としては、硬度成分に対して有効な、公知のポリアクリル酸等を主成分としたスケール防止剤、例えば、TriPol 8010、TriPol 9010、TriPol 9510(以上、Trisep社製、商品名)、RO Pluse 7280、RO Pluse 7282(以上、Nalco社製、商品名)、Hypersperse AF150UL、Hypersperse AF200UL(以上、GE Betz社製、商品名)、Flocon 100、Flocon 135(以上、BioLab社製、商品名)、ARRO−TREAT 1200、ARRO−TREAT 1300(以上、Arrowhead社製、商品名)、アクアフィード AF600(Noveon社製、商品名)等が挙げられる。
また、スケール防止剤としては、シリカに対して有効なスケール防止剤を用いることもでき、例えば、TriPol 8510(Trisep社製、商品名)、Hypersperse SI300(GE Betz社製、商品名)、Flocon 260(BioLab社製、商品名)等が挙げられる。
このスケール防止剤は、スケールが生じない条件の場合には添加する必要がない。これは逆浸透膜装置における濃縮水のランゲラーインデックス(LI)等により判断される。LIが0未満である場合には、スケール防止剤を添加しなくても良く、LIが0以上である場合には、スケールの付着が進行するため、何らかの対策をとる必要がある。
なお、このLIとは、Ca、Mg等の硬度成分によるスケールに関する指標であり、濃縮水のpH、全粒子量、温度、硬度、アルカリ度より求められる数値である(参考文献:超純水の化学 半導体基板技術研究会編 p278−279)。
凝集剤付着抑制剤及びスケール防止剤を処理水へ添加するには、それぞれを別々に処理水へ添加してもよいが、凝集剤付着抑制剤とスケール防止剤を混合してもそれぞれの性能に影響しないため、これらを予め混合しておいて一度に処理水へ添加することも可能である。また、また、凝集剤付着抑制剤自体もスケール防止の機能があるため、スケール防止剤は補助的に用いることとしてもよい。
本発明における凝集剤付着抑制剤の添加量は、添加後の処理水の濃度が0.5〜20ppmとなる範囲が有効であり、1〜10ppmであることが好ましい。
なお、スケール防止剤単独でも、凝集剤の膜への付着の防止は可能であるが、付着を防止しつつスケール防止も可能にするためには、処理水の濃度が25〜80ppmとなるように多量のスケール防止剤を添加する必要があり、非効率かつ非経済的である。また、このように多量に添加するとスケール防止剤自体が逆浸透膜装置へ付着するという新たな問題が起きてしまう。
したがって、本発明において、スケール防止剤は凝集剤付着抑制剤と併用して用いるものであり、このときのスケール防止剤の添加量は、添加後の処理水の濃度が0.5〜20ppmとなる範囲が有効であり、1〜10ppmであることが好ましい。
本発明で行う逆浸透膜処理工程は、付着防止工程を経た処理水を、純水又は超純水の製造に通常使用されている逆浸透膜装置を用いて処理する工程であり、このとき用いる逆浸透膜は、例えば、FILMTEC type FT30(DOW社製、商品名)、ES20、ES10、NTR759(以上、日東電工株式会社製、商品名)、SU720、SUL−G20(以上、東レ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
なお、本発明において、これらの工程はそれぞれを別個に行ってもよく、例えば、予め凝集沈殿工程により処理した水を貯留しておいて、後に、これを配管に通して工場内で付着防止工程、逆浸透膜処理工程を行うこととしてもよい。
前処理工程と付着防止工程、もしくは付着防止工程と膜処理工程は、必ずしも連続している必要は無く、イオン交換処理装置、紫外線照射処理装置、脱気処理装置等の装置を経て順次処理しても良い。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、砂ろ過塔を用いた純水の製造装置である。この装置は、PAC添加後に砂ろ過塔1、逆浸透膜装置2を備え、原水の導入後、これらに原水を通液して導出することで処理水を得ることができるものである。
図1は、砂ろ過塔を用いた純水の製造装置である。この装置は、PAC添加後に砂ろ過塔1、逆浸透膜装置2を備え、原水の導入後、これらに原水を通液して導出することで処理水を得ることができるものである。
このとき、原水(神奈川県厚木市水、導電率:110μS/cm、pH:7.2、Ca:21mg(CaCO3として)/L)、砂ろ過塔(野村マイクロ・サイエンス株式会社製、充填物:ろ過砂、粒子径0.5mm、SV=10(1/h))、逆浸透膜装置(東レ株式会社製、商品名:SU720(1本))、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC)、添加量 10ppm)、凝集剤付着抑制剤(クラレケミカル株式会社製、商品名:イソバン(600SF35)、1ppm)、スケール防止剤(Noveon社製、商品名:アクアフィード AF600、5mg/L)の条件で試験を行った。
砂ろ過塔1の通過前にPACを添加し、砂ろ過塔1の通過後であって逆浸透膜装置通過前に、凝集剤付着抑制剤及びスケール防止剤の両者を添加し、この場合の逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図5に示した。
(比較例1)
実施例1と同一の装置を用い、砂ろ過塔1の通過後であって逆浸透膜装置2の通過前に、スケール防止剤のみを添加し、凝集剤付着抑制剤は添加しなかった。それ以外は実施例3と同一の操作、条件により通水処理を行った(図2)。このときの逆浸透膜装置2の入口における通水差圧の経時変化を測定し、その結果を図5に示した。
実施例1と同一の装置を用い、砂ろ過塔1の通過後であって逆浸透膜装置2の通過前に、スケール防止剤のみを添加し、凝集剤付着抑制剤は添加しなかった。それ以外は実施例3と同一の操作、条件により通水処理を行った(図2)。このときの逆浸透膜装置2の入口における通水差圧の経時変化を測定し、その結果を図5に示した。
(実施例2)
実施例1の砂ろ過塔1の代わりに、凝集沈殿槽11を用いた純水の製造装置を用い、凝集沈殿槽11において鉄系凝集剤(ポリ鉄、日鉄鉱業社製、10ppm)を添加した。それ以外は実施例1と同一の操作、条件により通水処理を行った(図3)。このときの逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図5に示した。
実施例1の砂ろ過塔1の代わりに、凝集沈殿槽11を用いた純水の製造装置を用い、凝集沈殿槽11において鉄系凝集剤(ポリ鉄、日鉄鉱業社製、10ppm)を添加した。それ以外は実施例1と同一の操作、条件により通水処理を行った(図3)。このときの逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図5に示した。
(比較例2)
実施例2の凝集沈殿槽11の通過後であって逆浸透膜装置2の通過前に、スケール防止剤のみを添加し、凝集剤付着抑制剤は添加しなかった。それ以外は実施例2と同一の操作、条件により通水処理を行った。このときの逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図5に示した。
実施例2の凝集沈殿槽11の通過後であって逆浸透膜装置2の通過前に、スケール防止剤のみを添加し、凝集剤付着抑制剤は添加しなかった。それ以外は実施例2と同一の操作、条件により通水処理を行った。このときの逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図5に示した。
図5より、凝集剤付着抑制剤を使用している実施例1及び2では、逆浸透膜装置の運転圧力が安定しているが、凝集剤付着抑制剤を使用していない比較例1及び2では、逆浸透膜装置の運転圧力が上昇する問題が発生している事がわかった。
また、運転後、実施例1、2及び比較例1、2で使用した逆浸透膜モジュールを解体し、逆浸透膜の付着物量について測定した結果を表1に示した。
この結果から、凝集剤付着抑制剤を添加しない場合、すなわち、比較例1及び2では、凝集剤由来の成分すなわち、アルミニウム又は鉄が膜表面に付着しているが、凝集剤付着抑制剤を添加した場合、すなわち実施例1及び2では、凝集剤由来の成分すなわち、アルミニウム又は鉄の付着がほとんどなく、本発明で用いた凝集剤付着抑制剤が顕著な効果を有することがわかった。
また、実施例1及び2では、硬度成分の付着量も少なく、スケール防止剤がうまく機能していることがわかった。一方、比較例1及び2では、硬度成分の付着量が多い。これは、凝集剤によって、スケール防止剤の機能が阻害されるためである。
また、実施例1及び2では、硬度成分の付着量も少なく、スケール防止剤がうまく機能していることがわかった。一方、比較例1及び2では、硬度成分の付着量が多い。これは、凝集剤によって、スケール防止剤の機能が阻害されるためである。
(実施例3)
図6は、凝集剤の影響及び本発明で用いる凝集剤付着抑制剤の効果を確認するために用いた純水の製造装置である。この装置は、活性炭塔21、逆浸透膜装置2を備え、原水の導入後、これらに原水を通液することで処理水を得ることができるものである。
図6は、凝集剤の影響及び本発明で用いる凝集剤付着抑制剤の効果を確認するために用いた純水の製造装置である。この装置は、活性炭塔21、逆浸透膜装置2を備え、原水の導入後、これらに原水を通液することで処理水を得ることができるものである。
このとき、原水(神奈川県厚木市、工水、導電率:210μS/cm、pH:7.2、Ca:40mg(CaCO3として)/L、HCO3 −:20mg(CaCO3として)/L)、活性炭塔(三菱化学株式会社製、商品名:ダイアホープ006、100L充填)、逆浸透膜装置(東レ株式会社製、商品名:SU720、供給水 1m3/hr、透過水 0.5m3/hr、濃縮水 0.5m3/hr)、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC)、添加量 0.5ppm)、凝集剤付着抑制剤(クラレケミカル株式会社製、商品名:イソバン(600SF35)、1ppm)を用いて、各条件により試験を行った。
まず、実施例3として、図6の装置で、逆浸透膜装置2の水回収率を50%にて運転した。この場合、濃縮水のランゲラーインデックス(LI)は−0.8であり、硬度スケールが生成する条件ではなく、スケール防止剤の添加は必要でないことを確認した。したがって、ここではスケール防止剤は添加していない。
活性炭塔21を通過後の被処理水に、PAC及び凝集剤付着抑制剤の両者を添加し、この場合の逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図7に示した。
(比較例3〜4)
実施例3と同一の装置を用いて、比較例3として、PACの添加のみを行った場合、比較例4としてPAC及び凝集剤付着抑制剤のどちらも添加しない場合の、逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図7に示した。
実施例3と同一の装置を用いて、比較例3として、PACの添加のみを行った場合、比較例4としてPAC及び凝集剤付着抑制剤のどちらも添加しない場合の、逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図7に示した。
この結果から、逆浸透膜装置2の差圧上昇がPACの添加により起きており、凝集剤付着抑制剤によって、逆浸透膜装置2の差圧上昇を抑制されていることがわかった。また、比較例2において、膜面の付着物はPAC由来のものと硬度成分であった。比較例3の運転条件では、LIは−0.8であり、通常、硬度スケールはほとんど起きない条件である。しかし、PACが存在すると、PACの膜面への付着が起きるとともに、硬度スケールの付着も進行することがわかった。
(実施例4)
次に、実施例4として、図6の装置で、逆浸透膜装置2の水回収率を80%にして運転した。この場合、濃縮水のランゲラーインデックス(LI)は0.4であり、硬度スケールが生成する条件なので、硬度用のスケール防止剤(Noveon社製、商品名:アクアフィード AF600、5ppm)を添加して試験を行った。
次に、実施例4として、図6の装置で、逆浸透膜装置2の水回収率を80%にして運転した。この場合、濃縮水のランゲラーインデックス(LI)は0.4であり、硬度スケールが生成する条件なので、硬度用のスケール防止剤(Noveon社製、商品名:アクアフィード AF600、5ppm)を添加して試験を行った。
スケール防止剤、PAC及び凝集剤付着抑制剤を添加した場合について、逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図8に示した。
(比較例5〜6)
実施例4と同一の装置を用いて、比較例5として、PACのみ添加した場合、比較例6として、スケール防止剤及びPACを添加した場合の、逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図8に示した。
実施例4と同一の装置を用いて、比較例5として、PACのみ添加した場合、比較例6として、スケール防止剤及びPACを添加した場合の、逆浸透膜装置2の入口圧力及び入口側と濃縮側の差圧の経時変化を測定し、その結果を図8に示した。
この結果から、PACが存在するとスケール防止剤を用いているにもかかわらず、逆浸透膜装置2の差圧上昇がとまらず、スケール防止剤の機能が十分発揮されていないこと、凝集剤付着抑制剤が存在するとスケール防止剤の機能が発揮され、逆浸透膜装置2の差圧上昇が抑制されることがわかった。
1…砂ろ過塔、2…逆浸透膜装置、11…凝集沈殿槽、21…活性炭塔
Claims (3)
- 前記付着防止工程において、スケール防止剤を添加することを特徴とする請求項1記載の純水又は超純水の製造方法。
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