JP2005224160A - 固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法 - Google Patents

固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の包括固定化担体より安全、強固で繰り返しの使用が可能で耐久性にも優れ、容量も小さい包括固定化担体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 多糖類と微生物または酵素とを混合後ゲル化せしめ、次いで当該ゲルを収縮させることを特徴とする固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繰り返し使用できる耐久性の優れた、強固な、微生物または酵素を包括固定化した固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法に関する。
一般にバイオリアクター等によく使用される包括固定化用担体としてはアルギン酸カルシウムやカラギナンカルシウム、アガロース等のゲルが知られている。これらのゲルを利用して得られる包括固定化担体は繰り返して使用されることを前提に製造されるため、機械的強度に優れ、しかも、反応性は維持される必要がある。
このような機械的強度に優れた包括固定化担体を作る方法としては、ポリエチレンイミン等の多カチオン性高分子化合物とグルタルアルデヒド等の多官能性架橋試薬で架橋してより強固にする方法(特許文献1)やゲル中にポリビニルアルコールを共存せしめ、凍結、解凍を繰り返す方法(特許文献2)等が報告されている。
しかしながら、多官能性架橋試薬を用いた方法は硬いゲルを得ることができるが、架橋処理の際に酵素活性の失活等がおこり反応性が悪くなる場合があり、なにより食品加工に使う場合は前記架橋試薬の残留等安全性の問題等があった。また、ポリビニルアルコールを用いた方法は、操作が煩雑で多大なエネルギーとコストを要するものであった。
ところで、一般にゲル形成多糖において、構成糖の種類が2種以上のヘテロ多糖はその構成糖の含量比率によってゲル強度が異なることが良く知られている。例えば、構成糖がグルロン酸とマヌロン酸であるアルギン酸ナトリウムは、グルロン酸含量が多い場合にゲル強度が強くなることが知られている。これはグルロン酸含量が増すと、強固な結合性を示すエッグボックスジャンクション量も増すためであると説明されている。しかしながら、グルロン酸含量の多いアルギン酸ナトリウムを使うだけでは硬さに限界があり、十分な機械的強度があるとは言い難かった。また、ゲルの機械的、化学的強度を増すためグルロン酸含量の多いアルギン酸ナトリウムに難溶性カルシウム塩を共存せしめる方法(特許文献3)も報告されているが、この場合キレート剤存在下での強度の低下は抑制されるものの、カルシウムの存在により阻害を受ける酵素を利用したい場合には使用できないという欠点があった。
また、一般に微生物または酵素等を担体に固定化した包括固定化担体は流動床あるいはカラムに充填して使用されるが、その際の担体の容積は反応に用いる容器の大きさを限定するものである。すなわち、包括固定化担体が大きければ大きいほど反応に用いる容器は大きくなければいけないということである。そして、担体が大きければその分反応に持ち込む水分量が多大であることを意味し、基質濃度の低下を引き起こす。これらのことは無視されがちだが、コスト的にもエネルギー資源的にも非常に重要な課題である。
特開昭59−74984号公報 特公平6−12993号公報 特公平4−16155号公報
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、より安全、強固で繰り返しの使用が可能で耐久性にも優れ、容量も小さい包括固定化担体の製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記の諸問題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、多糖類と微生物または酵素とを混合して得られたゲルを収縮させることにより、容量が小さく、かつ、機械的強度が飛躍的に高まった固定化微生物担体または固定化酵素担体となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は多糖類と微生物または酵素とを混合後ゲル化せしめ、次いで当該ゲルを収縮させることを特徴とする固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は多糖類と微生物または酵素とを混合後ゲル化せしめ、次いで当該ゲルを収縮させることにより得られる固定化微生物担体または固定化酵素担体を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、機械的強度に優れ、かつ容量の小さい固定化微生物担体または固定化酵素担体を製造することができる。
本発明の固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法(以下、単に「本発明製造方法」という)においては、まず、多糖類と微生物または酵素とを混合してゲルを製造する。
本発明製造方法において使用する多糖類としては、アルギン酸ナトリウム、κ−カラギーナン、アガロースから選ばれる多糖類が挙げられる。これらの多糖類の中でも、アルギン酸ナトリウムを使用することが好ましく、特にアルギン酸ナトリウム中のマヌロン酸とグルロン酸の比(M/G比)が1以上のものが好ましく、1〜2のものがより好ましい。このM/G比が大きいものほどゲル化した際に柔軟性に富み、後記する収縮により高い収縮率で、強固なゲルの形成することができるからである。このようなアルギン酸ナトリウムは常法によって得られ、例えばマヌロン酸含量が上記範囲内である海藻等の原料から常法により調製するか、市販品を利用することができる。このような市販品としては、X−C072T、X−C074T(共に新田ゼラチン製)、キミカアルギン(I−1M:キミカ製)、ケルコアルギン(マニュコールDMF:大日本製薬製)、ダックアルギン(NSPL:紀文フードケミファ製)等が挙げられ、好ましくは収縮後の容量が最も小さく、かつ強固な担体が得られるケミコアルギン、X−C074Tであり、特に好ましくはX−C074Tである。
また、本発明製造方法において使用する微生物または酵素のうち、微生物としては細菌、酵母、カビ、放線菌等の微生物であって、目的とする酵素活性が存在すれば何でも良く、高等生物由来の細胞や分画物、種々の処理を経た後の微生物でも良い。また、酵素としては、特に限定されるものではなく、例えばアミラーゼ、シュークラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースイソメラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、グルコシダーゼ、β−フラクトフラノシダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ等が挙げられる。
上記多糖類は、微生物または酵素と水等の溶媒と常法により混合して混合物とした後、ゲル化させる。ゲル化の方法は多糖類のゲル化の性質に併せて適宜常法を選択し、使用すればよい。
例えば多糖類が、アルギン酸ナトリウムやκ−カラギナンであればゲル化に金属塩を必要とするため、これらと微生物または酵素と水との混合物を金属塩水溶液に接触させることによりゲル化される。この混合物において多糖類は0.5質量%〜20質量%(以下、単に「%」と省略する)、好ましくは1%〜8%である。また、微生物は0.1%〜60%、好ましくは0.1%〜40%である。更に、酵素は0.01%〜60%、好ましくは0.1%〜50%である。なお、多糖類と微生物または酵素と混合する際の温度は特に限定されないが、多糖類としてκ−カラギナンを使用する場合には、κ−カラギーナンが固まらないような温度にすることが好ましく、特に60℃以上が好ましい。また、混合物を金属塩水溶液に接触させる時間は、混合物をゲル化させることのできる時間であれば、特に限定はなく、好ましくは5分以上あれば良い。更に、混合物を金属塩水溶液に接触させる際に、ペリスタポンプ等と細い管を有する装置を用いて一定間隔で滴下すれば、ビーズ状のゲルが製造でき、同様の装置を用いて途切れることなく混合物を押し出せば、繊維状のゲルが製造できる。また、アトマイザーのように遠心力を用いて、金属塩水溶液に撒くことによっては、粒状のゲルが製造できる。
上記金属塩水溶液に含有される金属塩としては、酵素の活性を阻害せず、かつ、水溶液にできるものであれば、特に限定はなく、種々の金属塩を用いても良い。具体的に、多糖類としてκ−カラギーナンを使用する場合には、塩化カリウム等の1価の金属塩が挙げられる。また、多糖類としてアルギン酸ナトリウムを使用する場合には、塩化カルシウム等2価の金属塩が挙げられる。この金属塩の金属塩水溶液中における濃度は0.2%〜20%、好ましくは1%〜10%である。また、この金属塩水溶液のpH、温度は固定化する微生物の含有する酵素または酵素自体が失活しない範囲であれば何れでも良い。ただし、多糖類としてκ−カラギナンを使用する場合には、金属塩水溶液の温度が混合物の温度よりも10℃〜15℃低いことが好ましい。
一方、多糖類がアガロースであればゲル化に金属塩を必要としないため、これと微生物または酵素と水または緩衝液との混合物を65〜100℃に加温・溶解した後、包含する微生物または酵素が失活しない温度にまで冷却後、微生物または酵素と混合し、滴下時に混合物が25〜37℃となるように予め冷却しておいた水または緩衝液に滴下することでゲル化される。この混合物において多糖類は0.5%〜20%、好ましくは0.5%〜10%、特に好ましくは1%〜8%である。また、酵素は0.01%〜60%、好ましくは0.1%〜50%である。更に緩衝液はアガロースの固化を妨げないものであればいかなるものも使用できるが、固定化する酵素、菌体などの活性を損なわない緩衝液およびその濃度が望ましい。具体的に固定化する菌体が、酵母スポロボロマイセス シンギュラリスであれば、緩衝液としては生理的なpHのリン酸緩衝液などが好ましく、塩濃度は20〜200mM程度が好ましい。また、固定化する酵素、菌体に高塩濃度が適している場合には塩濃度を高めることが好ましい。なお、混合物を水または緩衝液に接触させる時間や、ゲルの製造の条件等は、多糖類が、アルギン酸ナトリウムやκ−カラギナン等の場合と同様の条件でよい。
次いで、上記のようにして得られたゲルを、収縮させることにより本発明の固定化微生物担体または固定化酵素担体(以下、「本発明担体」という)が製造される。
ゲルを収縮させるには、多糖類のゲル化に使用した金属塩水溶液、水または緩衝液よりも可溶性固形分の濃度(Brix)が相対的に高い溶液(以下、これを「高濃度溶液」という)に浸漬すればよい。この高濃度溶液は基質等、いかなる可溶性固形分を含む溶液でも良いが、本発明担体を実際にバイオリアクター等で使用する際の反応液と類似した組成が好ましい。例えば、バイオリアクター等で糖溶液からアルコールを製造する場合には、高濃度溶液として糖溶液を使用すればよい。このような糖溶液に使用される糖類としては、ガラクトース、フラクトース、マンノース、キシロース、フコース糖等の単糖、シュクロース、マルトース、セロビオース、キシロビオース糖等の2糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、乳化オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース糖等のオリゴ糖が挙げられる。
上記高濃度溶液の濃度は基質の種類にもよるが通常、1%〜基質が溶解できる最大濃度(基質が沸騰水(100℃)で溶解できる上限の濃度:例えば、ラクトースであれば約62.5%、グルコースであれば約80%)、好ましくは10〜50%、特に好ましくは30〜50%である。また、高濃度溶液のpH、温度は本発明担体中の微生物の含有する酵素または酵素自体が失活しない範囲であれば何れでも良い。なお、高濃度溶液はゲルを浸漬後に薄まるので、これを例えば、高濃度溶液を交換等することによって一定に維持することが好ましい。また、高濃度溶液の濃度が変化しなくなった時点をゲルの収縮の終了と判断しても良い。
斯くして得られる固定化微生物担体または固定化酵素担体は、従来のものよりも容量が小さく、かつ、せん断力等の機械的強度等が高くなったものとなる。また、本発明担体は従来のものに比べてリン酸緩衝液中での強度が高く、化学的強度も高いものである。
そして、このような固定化微生物担体または固定化酵素担体は、バイオリアクター等で使用する際に、従来の同種のゲルを用いて調製したものに比べて、より多くの回数繰り返し使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。
なお、以下の実験例にあるせん断応力とは次のようにして測定したものである。サンレオメーター(SUN SCINETIFIC社製)を用い、その装置付属の金属台にゲルを乗せて金属線を35mm/minの速度で押し付けた際の最大破断強度を読み取り、この数値をせん断応力(g)と定義した。実際には10個以上のゲルのせん断応力を測定しその平均値を評価した。
実 施 例 1
固定化酵素担体の製造(1):
アルギン酸ナトリウムのマヌロン酸とグルロン酸の比(M/G比)がそれぞれ0.5(ダックアルギン45G:紀文フードケミファ製)、1.2(X−C073T:新田ゼラチン製)、2(X−C074T:新田ゼラチン製)であるものについて、蒸留水を用い、粘度が約8,000cpとなるようにそれぞれの水溶液100gを調製し、殺菌のため90℃で1分間加熱した。次に、酵母スポロボロマイセス シンギュラリス(Sporobolomyces
singularis)を、30gのラクトース、9gのイーストエキストラクト、0.3gのリン酸水素二カリウム、0.15gの硫酸マグネシウムを含む3000mlの培地において25℃で72時間培養した後、遠心分離により集菌した。次いで、これを生理食塩水で洗浄し、得られた湿菌体のうち20gを、先に調製したそれぞれの80gのアルギン酸ナトリウム水溶液と良く混合し、三種のアルギン酸ナトリウム・酵母混合液を調製した。
各混合液について、それぞれ2つの容器を用意し、これに混合液と、これと等量の5%塩化カルシウム溶液(Brix5)をそれぞれ注入した。塩化カルシウム溶液の液面の約15cmの上方に、先に内径約1mmのステンレス管をつけたシリコンチューブを配置し、緩やかに攪拌している塩化カルシウム溶液中に、ペリスタポンプを用いて混合液を滴下してビーズ状の包括固定化酵母を作成した。それを1時間以上塩化カルシウム溶液中に放置したものをサンプルとした。
三種の混合液から得られた三種のサンプルそれぞれを、固型可溶性成分濃度が塩化カルシウム溶液よりも高い50%オリゴ糖溶液(Brix50)に浸し、30分以上室温にて放置した。なお、オリゴ糖溶液はサンプルの収縮にともない薄くなるため、オリゴ糖溶液の濃度を一定に維持する処理、すなわち、オリゴ糖溶液の交換を数回繰り返した。その後、オリゴ糖溶液の可溶性固形分が50%(Brix50)から変化しなくなった時点でサンプルをオリゴ糖溶液から濾別し、処理後サンプルを得た。処理前後のサンプルについて、せん断応力と包括固定化酵母容量の変化を調べた。その結果を表1に示す。なお、上記の操作はすべて室温(25℃)で行った。
なお、本実施例で使用した異なるM/G比のアルギン酸ナトリウム水溶液の粘度を等しくなるようにしたのは、アルギン酸ナトリウム水溶液はアルギン酸ナトリウムの平均分子量により粘度が異なるため、使用する種類によっては溶解や送液が困難な場合が多く、実際の製造工程を考慮すると、溶解がし易く送液が可能な粘度である必要があるからである。従って、粘度を等しく調製することにより、実際に製造条件を合わせた形で、アルギン酸ナトリウムの性質を比較できる。なお、ここで述べた粘度の測定とは、20℃に恒温したアルギン酸ナトリウム水溶液をB型粘度計を用いて30回転、60秒の条件にて測定したものである。
Figure 2005224160
表1より、M/G比の高いアルギン酸ナトリウムで作成した包括固定化酵母は、高濃度のオリゴ糖溶液にて処理したため、せん断応力が高く、増加比も高いことがわかった。また、包括固定化酵母容量は高濃度のオリゴ糖溶液にて処理後に減少し、その減少の比率はM/G比が高くなるにつれ高くなっていた。
実 施 例 2
固定化酵素担体によるオリゴ糖の製造(1):
酵母としてスポロボロマイセス シンギュラリス(Sporobolomyces singularis)を用い、M/G比が0.5(ダックアルギン45G:紀文フードケミファ製)および2(X−C074T:新田ゼラチン製)であるアルギン酸ナトリウムを用いる以外は、実施例1に記述した方法に従い、20gの包括固定化酵母を作成した。得られた包括固定化酵母を、実施例1に記述した方法と同様に高濃度のオリゴ糖溶液により処理し、収縮させた。
別に、17.6gの乳糖を17.9gの40mM酢酸―酢酸カルシウム緩衝液(pH6.0)を用いて湯煎にて溶解し、55℃まで冷却した。この乳糖溶液に包括固定化酵母を添加し、55℃で22時間緩やかに攪拌しながらオリゴ糖生成反応を行った。反応後、乳糖溶液から濾過により包括固定化酵母を分離した。最後に、乳糖溶液中のオリゴ糖量をHPLCを用いて測定し、オリゴ糖の生成率を求めた。
その結果、M/G比が0.5のアルギン酸ナトリウムで作成した包括固定化酵母ではオリゴ糖の生成率は43.8%、M/G比が2のアルギン酸ナトリウムで作成した包括固定化酵母では44.1%とほぼ同値あり、M/G比の差はオリゴ糖の生成反応に全く影響を及ぼさなかった。
実 施 例 3
ゲル形性におけるリン酸塩の影響:
M/G比が1.2(X−C073T:新田ゼラチン製)および2(X−C074T:新田ゼラチン製)であるアルギン酸ナトリウムを用いる以外は、実施例1と同様に作成した包括固定化酵母を、50%の高濃度オリゴ糖溶液(Brix50)で処理した。この処理された包括固定化酵母を、それぞれ、終濃度5、10、20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)およびリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)を含む50%のオリゴ糖溶液(Brix50)中、55℃で7日間連続して振盪した。製造直後(0日目)と7日目のせん断応力を測定した結果を表2に示す。
Figure 2005224160
その結果、20mMのリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムを用いた緩衝液のいずれにおいてもM/G比が2のアルギン酸ナトリウムの方が、7日目のせん断応力の低下が少なかった。一般的にリン酸緩衝液はキレート剤として働き、アルギン酸カルシウムゲルの崩壊を起こすことが知られている。すなわち、高いM/G比を有するアルギン酸ナトリウムの方がリン酸に対してより強いことが示された。
実 施 例 4
固定化酵素担体によるオリゴ糖の製造(2):
酵母としてスポロボロマイセス シンギュラリス(Sporobolomyces singularis)を用い、M/G比が2(X−C074T:新田ゼラチン製)のアルギン酸ナトリウムを用いる以外は、実施例1に記述した方法に従い、20gの包括固定化酵母を作成した。得られた包括固定化酵母を実施例1に記述した方法と同様にオリゴ糖溶液により収縮させた。この包括固定化酵母を用いて実施例2と同様にオリゴ糖生成反応を行った。更に、この反応を19回繰り返し行い、オリゴ糖の生成率とせん断応力を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2005224160
その結果、本方法で作成された包括固定化酵母は、19回の繰り返しの使用に対しても反応性は衰えなかったばかりか、そのせん断応力もまったく低下していなかった。
実 施 例 5
せん断応力における糖溶液濃度(Brix)の影響:
M/G比が2.0(X−C074T:新田ゼラチン製)であるアルギン酸ナトリウムを用いる以外は、包括固定化酵母を実施例1と同様に作成し、あらかじめ10%、20%、30%、40%および50%の濃度(Brix)となるように調整したオリゴ糖溶液中に浸漬した。次いで、オリゴ糖溶液の濃度を一定に維持するため、同一の溶液で2、3回置換して、上記濃度に対応する5種の包括固定化酵母を作成した。置換前および置換後の包括固定化酵母の直径とせん断応力をそれぞれ測定した。なお、結果を表4に示す。
Figure 2005224160
その結果、置換するオリゴ糖溶液の濃度(Brix)に依存して、包括固定化酵母がより収縮し、せん断応力が増す事がわかった。
実 施 例 6
固定化酵素担体の製造(2):
κ−カラギナン(ニッタカラギーナンk−21:新田ゼラチン製)の4%溶液を調整し、スポロボロマイセス シンギュラリス(Sporobolomyces singularis)酵母菌体と重量比6:4で混合し、液温を60℃以上に維持しながら、2%塩化カリウム溶液(Brix2)に滴下し、ビーズを形成させ、一晩エージングした。次いでこれをオリゴメイト55(ヤクルトマテリアル製)と40mMの酢酸−酢酸カルシウム緩衝液(pH=6.0)とを用いて50%に調整したオリゴ糖溶液(Brix50)に浸漬した。更に、オリゴ糖溶液の濃度を一定に維持するため、同一の溶液で2、3回置換して、包括固定化酵母を作成した。置換後のビーズの直径およびせん断応力を上記実施例と同様に測定した。
Figure 2005224160
その結果、粒径は置換後の方が約34%も体積が減少していた。κ−カラギナンは離水性が高いことが知られているため、浸透圧によって脱水しやすいものと考えられる。
本発明の製造方法によれば、機械的強度および化学的強度に優れた固定化微生物担体または固定化酵素担体を製造することできる。
従って、この方法により製造された固定化微生物担体または固定化酵素担体は、バイオリアクター等において繰り返し使用することのでき、産業上の価値の極めて高いものである。

以 上

Claims (5)

  1. 多糖類と微生物または酵素とを混合後ゲル化せしめ、次いで当該ゲルを収縮させることを特徴とする固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法。
  2. 多糖類が、アルギン酸ナトリウム、κ−カラギーナンおよびアガロースから選ばれる多糖類である請求項第1項記載の固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法。
  3. 多糖類が、アルギン酸ナトリウムである請求項第1項記載の固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法。
  4. アルギン酸ナトリウム中のマヌロン酸とグルロン酸の比(M/G比)が1以上である請求項第3項記載の固定化微生物担体または固定化酵素担体の製造方法。
  5. 多糖類と微生物または酵素とを混合後ゲル化せしめ、次いで当該ゲルを収縮させることにより得られる固定化微生物担体または固定化酵素担体。
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