JP2005223966A - ゴムモールド成形部及び絶縁電線 - Google Patents

ゴムモールド成形部及び絶縁電線 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、水分含有量が100ppm以下のゴム材料を使用して成形される電力ケーブルの接続部などのゴムモールド成形部を提供することを目的とする。
【解決手段】 かゝる本発明は、乾燥処理により含有水分量が100ppm以下のゴム材料で成形するゴムモールド成形部にあり、このように、使用するゴム材料に対して、予め前乾燥処理を施して、水分含有量を100ppm以下としてたあるため、特に高湿度条件下での長期に渡る使用であっても、絶縁性能の低下の少ない、優れたゴムモールド成形部が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゴム材料で成形される電力ケーブルの接続部や端末などのゴムモールド成形部、及びゴム材料が被覆される絶縁電線(ケーブル)に関するものである。
電力ケーブルの接続部や端末にあっては、内部の導体接続部分や導体端面に適当な処理を施した(半導電層などの形成)後、絶縁機能(保護機能を含めて)を持たせるため、モールド処理を行うことが多い。モールド処理にあっては、その処理箇所に適当な型部材(金型)を装着し、この中にモールド材料(溶融したゴム材料など)を充填して硬化させ、この後、型部材を取り除いてる。
このモールド材料として、エチレン−プロピレンゴム(EPゴム)、例えばEPDMを使用する場合には、通常架橋剤を添加する他に、その他の添加剤として、充填剤、軟化剤、老化防止剤などが適宜配合される。実際の配合にあたっては、これらの材料を、ロールやバンバリーなどの混練機により行い、これを、射出成形により、電力ケーブルの接続部や端末部分に充填している。また、絶縁電線(ケーブルも含む)の場合には、これを、押出機により、絶縁体などとして被覆している。
このような過程において、なるべく材料中に不要な水分が混入されないように、通常適当な吸湿防止手段が講じられいてる。例えばゴム材料の吸湿防止用の包装などである。
ところが、上記のようにして得たゴムモールド成形部や絶縁電線にあっては、当初の期待した性能が得られず、短時間で絶縁破壊が生じるなどの問題があった。その原因を追求していくと、これらの成形部や電線の場合、長期的には水分が吸湿されて(特に高湿度条件下で使用する場合)、性能低下が生じることが報告されている(非特許文献1)。
電気学会電線・ケーブル研究会論文EC−02−6(平成14年2月)
このため、原理的には、それぞれの製品の製造後に、加熱乾燥などの乾燥手段を講じたり、製品の外周に水分遮蔽層を設けるなどの吸湿防止手段を講ずるなどの対策が取られているが、必ずしも十分な成果は得られていない。
そこで、本発明者が、材料への水分混入(吸湿)について、より詳しく検討したところ、ベース材料である、EPゴム材料の使用前の状態において、通常300〜400ppm程度の水分が含有されており、多いものにあっては、600ppm程度にも達していることが判った。
それでは、実際のゴムモールド成形部や絶縁電線において、使用前のEPゴム材料について、どの程度の水分含有量が許容されるのか、後述するような、種々の実験を行ったところ、100ppm以下とすれば、良好な結果が得られることを突き止めた。勿論、使用前のEPゴム材料の水分含有量が100ppm以下であっても、成形や製造工程中に水分の吸湿があるものの、当初の水分含有量が少ないことにより、良好な結果が確保できることが判った。さらに、そのための乾燥手段(方法)が、どの程度の水準のものであればよいかも突き止めことができた。
本発明者は、このような観点に立ってなされたものであり、基本的には、ゴム材料の使用に先立って、前乾燥処理を施して、水分含有量が100ppm以下のゴム材料を使用することにより、優れた特性のゴムモールド成形部や絶縁電線(ケーブルも含む)を提供せんとするものである。
請求項1記載の本発明は、乾燥処理により含有水分量が100ppm以下のゴム材料で成形することを特徴とするゴムモールド成形部にある。
請求項2記載の本発明は、前記ゴムモールド成形部が、電力ケーブルの接続部又は端末であることを特徴とする請求項1記載のゴムモールド成形部にある。
請求項3記載の本発明は、前記ゴム材料が、エチレン−プロピレンゴムであることを特徴とする請求項1又は2記載のゴムモールド成形部にある。
請求項4記載の本発明は、乾燥処理により含有水分量が100ppm以下のゴム材料を被覆させたことを特徴とする絶縁電線にある。
請求項5記載の本発明は、前記ゴム材料が、エチレン−プロピレンゴムであることを特徴とする請求項4記載の絶縁電線にある。
本発明によると、乾燥処理により、使用前のEPゴム材料の水分含有量が100ppm以下としてあるため、良好な特性のゴムモールド成形部、又は絶縁電線が得られる。
また、この乾燥処理にあたって、真空乾燥だけではなく、25℃×30%RH×10日間の乾燥条件下でも対応可能であり、実用性にも優れている。
本発明に係るゴムモールド成形部は、例えば図1の電力ケーブルの接続部や、図2の電力ケーブルの端末の如くであり、本発明に係る絶縁電線(電力ケーブル)は、図3の如くである。
図1の電力ケーブルにおける接続部(例えばプレハブ形接続部)100Aでは、両電力ケーブル110、110の導体120、120部分を接続処理した後、両電力ケーブル110、110の端末付近に、ゴムモールド成形部(ゴムストレスコーン)130、130が挿入、形成される。このゴムストレスコーン130の場合、導体接続部側に、本発明による、含有水分量が100ppm以下のゴム材料により概略円錐形状の絶縁体部分131を形成する一方、この絶縁体部分131の底面側(上記導体接続部側とは反対側)に、当該底面側にその一部が湾曲状に食い込む形で概略逆円錐形状の半導電体部分132を一体的に形成してある。そして、さらに、この半導電体部分132の先端側は、電力ケーブル110側の外部半導電層140側に接触させてある。この後、これらの外周に所望の外装部が設けられる。
また、図2の電力ケーブルにおける端末(終端接続部)100Bでは、電力ケーブル110の導体120部分を端末処理した後、電力ケーブル110の端末付近に、ゴムモールド成形部(ゴムストレスコーン)130が挿入、形成される。このゴムストレスコーン130の場合も、導体端末側に、本発明による、含有水分量が100ppm以下のゴム材料により概略円錐形状の絶縁体部分131を形成する一方、この絶縁体部分131の底面側(上記導体端末側とは反対側)に、当該底面側にその一部が湾曲状に食い込む形で概略逆円錐形状の半導電体部分132を一体的に形成してある。そして、さらに、この半導電体部分132の先端側は、電力ケーブル110側の外部半導電層140側に接触させてある。この後、これらの外周に所望の外装部が設けられる。
さらに、図3の絶縁電線(電力ケーブル)200では、導体210外周の半導電層220上に、本発明による、含有水分量が100ppm以下のゴム材料により絶縁体230を設けてなる。なお、絶縁体230外周上には、例えば半導電性布テープ240、遮蔽金属編組250、布テープ260、シース(PVC)270が設けてある。
本発明で用いるゴム材料は、特に限定されないが、従来から多用されている、エチレン−プロピレンゴム(EPゴム)の使用が好ましい。EPゴムとして、例えばEPDMを挙げることができる。
ゴム材料には、通常架橋剤を添加する他、必要により、その他の添加剤として、充填剤、軟化剤、老化防止剤などを適宜配合させることができる。そして、実際の配合にあたっては、これらの材料を、ロールやバンバリーなどの混練機により行う。混練後、直ちに使用する場合以外には、この混練材料を、吸湿防止用の包装に入れて保存する。
そして、上述したように、電力ケーブルのゴムモールド成形時には、その接続部や端末部分に装着された所望の型部材中に射出成形により、混練材料を充填して行う。また、絶縁電線の製造時には、押出機により、混練材料を絶縁体などとして押出被覆する。
本発明では、上記ゴム材料の混練前に、このゴム材料を、乾燥手段により、その含有水分量が100ppm以下となるように前処理を行う。最も効果的な乾燥手段は、ゴム材料を真空乾燥容器内に入れて、真空乾燥させる方法である。例えば、容器容量が0.091m3 、充填されたゴム材料が1Kgにおいて、乾燥温度が80℃、真空度が1Torr(=133.3Pa)であれば、乾燥時間が24h程度で、水分含有量が、50ppm程度であるゴム材料が得られた。
真空乾燥は設備コストや運用コストが嵩むため、乾燥室内に乾燥容器を設置し、室内の乾燥温度25℃、湿度30%RHであれば、乾燥時間10日程度で、水分含有量100ppm程度のゴム材料が得られた。なお、このとき、容器容量は0.3m3 、充填されたゴム材料は5Kgであった。これにより、比較的低コストで低水分含有量のゴム材料が得られる。
〈実施例、比較例〉
表1に示した乾燥手段と配合からなる、サンプルのシート(実施例1〜2、比較例1〜3)を製造した。なお、各材料の配合数値は重量部を示す。また、←は左と同一重量部を示す。充填剤は表面処理クレ(バーゲスKE、白石カルシウム社製)、オイルはダイナプロセスオイルPS−430N(出光興産社製)、ワックスはサンワックス151−P(三洋化成工業社製)老化防止剤はノクラック300(大内新興社製)である。
このようして得られた各サンプルのシートについて、製造直後、「シート品初期水分量」として、その含有水分量を測定した。なお、水分測定は、サンプル(試料)を加熱し、水分を気化させる方法により行う、カールフィッシャー法によった。
「飽和水分量」は、製造後、各サンプルのシートを飽和湿度中に置いた(25℃×100%RH×14日)後の含有水分量である。この水分測定も、上記同様のカールフィッシャー法によった。
このようにして、飽和湿度中に置いた各サンプルのシートについて、「AC短時間破壊試験」と「AC浸水課電品長期試験」を行った。
「AC短時間破壊試験」は、図4に示す試験装置により行った。図4中、11は試験容器、12は容器に充填されたシリコーン油、13は球電極(高圧側)、14は平板電極(接地側)で、サンプルのシート200(縦100mm×横100mm×厚さ1mm)はこれらの電極13、14間に挟んだ。そして、交流電源15より500V/秒昇圧(昇圧速度)の交流を各電極13、14間に印加した。
「AC浸水課電品長期試験」は、図5に示す試験装置により行った。図5中、21は試験容器、22は容器に充填されたシリコーン油、23はPEパイプ23aとこれに充填された水23bからなる水電極(高圧側)、24は平板電極(接地側)で、サンプルのシート200(縦100mm×横100mm×厚さ1mm)はこれらの電極23、24間に挟んだ。そして、交流電源15より15KVの交流を各電極23、24間に印加した。
Figure 2005223966
上記表1から、本発明の条件を満たした(準拠した)サンプルのシートの場合(実施例1〜2)、「シート品初期水分量」を250ppmに抑えられていることが判る。これに対して、本発明の条件を欠くサンプルのシートの場合(比較例1〜3)、「シート品初期水分量」は350ppmであることが判る。
一方、飽和湿度中に置いた各サンプルのシートの場合、本発明の実施例1〜2では、本発明の条件を欠く比較例1〜3に比べて、含有水分量の増加が少ないことが判る。そして、これらの各サンプルのシートについて、「AC短時間破壊試験」及び「AC浸水課電品長期試験」を行ったところ、「AC短時間破壊試験」では、本発明の実施例1〜2でも、本発明の条件を欠く比較例1〜3でも、あまり顕著な相違は見られないが、「AC浸水課電品長期試験」では、極めて大きな相違があることが判る。
これらの試験結果から、本発明のゴム材料を用いた場合、即ち、電力ケーブルの接続部などのゴムモールド成形を行ったり、絶縁電線に絶縁被覆させたとき、高湿度条件下で使用しても、優れた絶縁特性が得られることが十分推論できる。
本発明に係る電力ケーブルの接続部のゴムモールド成形部の一例を示した概略説明図である。 本発明に係る電力ケーブルの端末のゴムモールド成形部の他例を示した概略説明図である。 本発明に係る絶縁電線の一例を示した側面図である。 AC短時間破壊試験装置の概略説明図である。 AC浸水課電品長期試験装置の概略説明図である。
符号の説明
100A・・・ゴムモールド成形部、130・・・ゴムストレスコーン、131・・
・絶縁体部分、132・・・半導電体部分、100B・・・ゴムモールド成形部、200・・・絶縁電線、230・・・ゴム材料(絶縁体)

Claims (5)

  1. 乾燥処理により含有水分量が100ppm以下のゴム材料で成形することを特徴とするゴムモールド成形部。
  2. 前記ゴムモールド成形部が、電力ケーブルの接続部又は端末であることを特徴とする請求項1記載のゴムモールド成形部。
  3. 前記ゴム材料が、エチレン−プロピレンゴムであることを特徴とする請求項1又は2記載のゴムモールド成形部。
  4. 乾燥処理により含有水分量が100ppm以下のゴム材料を被覆させたことを特徴とする絶縁電線。
  5. 前記ゴム材料が、エチレン−プロピレンゴムであることを特徴とする請求項4記載の絶縁電線。
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JP2010244782A (ja) * 2009-04-03 2010-10-28 Hitachi Cable Ltd ケーブル被覆用モールド材料及びこれを用いたケーブル端末
CN107834496A (zh) * 2017-11-16 2018-03-23 卢兰静 一种内置温度湿度测量装置的电缆中间接头结构

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