JP2005223289A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 膜種の異なる高品質のゲート絶縁膜を同じ半導体基板表面に高い再現性の下に簡便にしかも高精度に形成する。
【解決手段】 シリコン基板1表面部に素子分離領域2を形成し基板表面にシリコン酸化膜3を形成し、プラズマ窒化法でシリコン酸化膜3表面を改質し窒化層4とする。そして、レジストマスク5をエッチングマスクとしてシリコン酸化膜3を選択的に除去しその領域のシリコン基板1表面を露出させる。続いて、レジストマスク5を除去しシリコン基板1表面の洗浄を行い、この洗浄工程で生成する自然酸化膜6を希弗酸でウェットエッチングした後に、NOガス等の雰囲気中でシリコン基板1表面を熱酸窒化し上記シリコン基板1の露出領域にシリコン酸窒化膜を形成し第1のゲート絶縁膜とする。そして、前記シリコン酸化膜3を第2のゲート絶縁膜とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関するもので、詳しくは、半導体装置を構成する絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MISFET)の製造において、複数種類のゲート絶縁膜を半導体基板表面に形成する方法に関する。
半導体装置は、それを構成するMISFETのような半導体素子の微細化により、その高集積化、高速化等の高性能化がなされてきた。また、近年では特にシステム・オン・チップ(System on a Chip:SoCと呼称する)と言われるように、デジタル回路(例えばロジック回路、メモリ回路)あるいはアナログ回路をシリコン半導体チップ上に混載させることによる半導体装置の多機能化あるいはシステム化が精力的に進められてきている。
このような中にあって、半導体装置は複数種の電圧でもって駆動されるようになり、シリコン半導体チップ内には膜種の異なるゲート絶縁膜が形成され、半導体装置の各構成回路部にそれぞれ上記異なるゲート絶縁膜を有するMISFETが使用されるようになってきている。ここで、膜種の異なるゲート絶縁膜とは材質が同じで膜厚の異なるゲート絶縁膜、あるいは、材質又は比誘電率が異なるゲート絶縁膜のことであり、以下、簡便のためにシリコン酸化膜の換算膜厚で説明し換算膜厚が異なるゲート絶縁膜ともいう。
例えば、半導体装置の周辺回路部と内部回路部では互いに材質は同じで膜厚の異なるゲート絶縁膜が用いられる。前者では比較的に高い電圧が印加されるために、膜厚の厚いゲート絶縁膜が形成され、後者ではその動作の高速化あるいは低消費電力化のために、膜厚の薄いゲート絶縁膜が形成される。あるいは、上述したようなSoCでは、ロジック回路部では材質が異なり換算膜厚の薄いゲート絶縁膜が形成され、メモリ回路部あるいはアナログ回路部では換算膜厚の厚いゲート絶縁膜が形成される等である。
上述した膜種の異なるゲート絶縁膜を形成するための従来の製造方法について図10を参照して説明する(以下、この場合を第1の従来例と記す)。この従来技術は、半導体素子の設計基準が130nm程度の半導体装置製品の量産技術として使用されている。
図10(a)に示すように、シリコン基板101の表面部に、周知の方法で浅いトレンチによる素子分離領域(STI:Shallow Trench Isolation)102を形成し、熱酸化により基板表面全体に厚さ7nm程度の第1のシリコン酸化膜103を形成する。ここで、図示しないがシリコン基板101表面にイオン注入を施しウェル領域あるいはチャネル領域を形成する。
次に、図10(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術によりレジストマスク104を形成し、レジストマスク104をエッチングマスクとし弗酸(HF)系化学薬液でのウェットエッチングを行い、マスク開口部の第1のシリコン酸化膜103を除去してシリコン基板101表面を露出させる。続いて、図10(c)に示すように、レジストマスク104を除去し、シリコン基板101表面の所定の領域にのみ第1のシリコン酸化膜103を残す。
このようにした後、再度シリコン基板101の熱酸化を行い、例えば3nm程度の膜厚の薄い第2のシリコン酸化膜105を形成する。このとき、第1のシリコン酸化膜103は少し膜厚が増加し膜厚は7nm強になる。このようして、シリコン基板101表面に形成した膜厚の異なる第1のシリコン酸化膜103、第2のシリコン酸化膜105をゲート絶縁膜とし、後は図示しないが公知の方法でこれらのゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、更にソース・ドレイン拡散層を形成することで、上述したところの膜種の異なるゲート絶縁膜を有するMISFETが形成されるようになる。
上述した膜厚の異なるゲート絶縁膜を形成するための別の従来の製造方法(以下、第2の従来例と記す)について図10,11を参照して説明する(例えば、特許文献1参照)。
図10(a)に示す工程では、上述したようにシリコン基板101上に素子分離領域102を形成し基板表面全体に熱酸化により10nm程度の第1のシリコン酸化膜103を形成する。但し、この従来技術の場合では、第1のシリコン酸化膜103は後に完全に除去されて製品には残らない犠牲酸化膜である。そして、第1のシリコン酸化膜103を通してイオン注入を行い、ウェルおよびチャネル領域を形成する。続いて、第1の従来例と全く同様に図10(b)、図10(c)に示す工程を通して、シリコン基板101表面の一領域を露出させ、他領域にのみ第1のシリコン酸化膜103を残す。
次に、図11(a)に示すように、NOガスあるいはNOガス雰囲気中でアニール(熱酸窒化)を行い、シリコン基板101の上記露出した領域にシリコン酸窒化膜106を形成する。この熱酸窒化では、第1のシリコン酸化膜103の膜厚が比較的に厚いために膜中に導入される窒素量は非常に少ない。
次に、図11(b)に示すように、希弗酸処理により第1のシリコン酸化膜103を除去するように全面のウェットエッチング処理を施し第1のシリコン酸化膜103を完全に除去する。この希弗酸処理では、シリコン酸窒化膜106は膜中に高濃度の窒素を含んでいるために、そのエッチング速度は第1のシリコン酸化膜103のそれよりも小さく、この結果、シリコン酸窒化膜106の全部はエッチングされずに薄いシリコン酸窒化膜106aとして残存するようになる。
そして、このようにした後、図11(c)に示すように、熱酸化により再度酸化を行う。この熱酸化により薄いシリコン酸窒化膜106aが存在しているためにこの領域の酸化速度は低く、膜中に窒素を含む薄い酸窒化膜107が形成されることなる。これに対し、第1のシリコン酸化膜103を除去し露出したシリコン基板101表面では酸化速度が高く、良質の厚い第2のシリコン酸化膜108が形成される。そして、このようにして得られた薄い酸窒化膜107および第2のシリコン酸化膜108が、それぞれMISFETのゲート絶縁膜として用いられる。
この方法では、第1の従来例のように、レジストマスク104で直接に被覆された第1のシリコン酸化膜103は、ゲート絶縁膜として使用されることがないために、ゲート絶縁膜としての品質が向上するとしている。
膜厚の異なるゲート絶縁膜を形成するための従来の製造方法としては、この他にシリコン基板表面に窒素原子を導入する方法(以下、第3の従来例と記す)が提案されている。この方法は、窒素原子の導入によりシリコン基板表面の熱酸化速度が低くなることを利用した技術である。具体的には、シリコン基板表面領域にイオン注入等で窒素原子を選択的に導入した後に、シリコン基板に熱酸化を施すことで、窒素原子を導入したシリコン基板表面に薄いシリコン酸化膜を形成し、窒素原子を導入しないシリコン基板表面に厚いシリコン酸化膜を同時に形成する方法である。更には、シリコン基板表面の各領域に導入する窒素原子量を種々に変えることで、それに対応した種々の膜厚のシリコン酸化膜を基板表面に同時に形成する方法である。
特開2002−110812号公報(段落[0044]〜[0050]、図1)
半導体装置を形成する半導体素子の微細化は半導体装置の高性能化およびSoC化において最重要な技術事項であり、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術のような微細加工技術、薄膜形成技術等を含む半導体製造に用いられる製造技術が種々に研究開発され、現在の量産製造レベルの設計基準130nmから90nm、更には65nmへと精力的に進められている。ここで、設計基準90nmの製造技術では、駆動電圧1.0Vのデジタル回路領域に用いられる最も薄いゲート絶縁膜の膜厚は、換算膜厚で1.5nm程度になる。また、次の技術世代である65nmでは、駆動電圧0.9Vのデジタル回路領域に用いられる最も薄いゲート絶縁膜の膜厚は、換算膜厚1.0nm程度になってくる。
このように半導体素子の微細化が進みゲート絶縁膜の換算膜厚が薄くなってくると、半導体装置の製造工程において、シリコン基板表面に形成される自然酸化膜の除去あるいはその抑止が非常に重要になってくる。上記製造工程においては、一般にシリコン基板の表面洗浄がゲート絶縁膜を形成する前工程で必要になる。しかし、その際、シリコン基板表面には膜厚が0.5nm〜1.0nmになる不完全なシリコン酸化膜SiOx(x<2)いわゆる自然酸化膜が不可避的に形成される。そして、この自然酸化膜の除去方法が、特に上述した膜厚の異なるゲート絶縁膜をシリコン基板上に形成する場合に非常に困難な課題となる。
上述した第1の従来例では、図10(c)で説明した工程において弗酸系化学薬液のウェットエッチングを行い、上記自然酸化膜を除去できるが、同時の第1のシリコン酸化膜103表面も一部がエッチングされその膜厚が減少する。しかし、現状技術では上記ウェットエッチングにおいて、第1のシリコン酸化膜103の膜厚の減少量を高精度に制御することには限界がある。このために、上述したように半導体素子の微細化が進みゲート絶縁膜の膜厚が全体に薄くなってくると、この薄膜化する第1のシリコン酸化膜103の一部エッチングが、シリコン基板上で第1のシリコン酸化膜103の膜厚のバラツキおよび製造バラツキを顕在化させるようになり、例えば5nm以下の薄いゲート絶縁膜を再現性よく形成することが困難になるという問題を生じさせる。更には、上記一部エッチングは、第1のシリコン酸化膜103から成るゲート絶縁膜の絶縁性における信頼性すなわち品質低下の問題を顕在化させるようにもなる。
上述した第2の従来例では、図11(b)で説明したように希弗酸処理により第1のシリコン酸化膜103を除去するように全面をウェットエッチングする工程において上記自然酸化膜を除去することができる。しかし、この場合でも、シリコン酸窒化膜106の一部はエッチングされるために、その後の熱酸化で薄い酸窒化膜107および第2のシリコン酸化膜108を形成したとしても、薄い酸窒化膜107で形成されるゲート絶縁膜において、上述した第1の従来例と同一の問題が顕在化するようになる。
そして、第3の従来例では、シリコン基板表面への窒素のイオン注入後に弗酸系化学薬液によるウェットエッチングを行い、上記自然酸化膜を除去することができる。そして、一回の熱酸化あるいは酸窒化により、膜厚の異なるシリコン酸化膜あるいはシリコン酸窒化膜をシリコン基板表面に一度に形成することができる。このために、第1の従来例および第2の従来例の場合のように、ゲート絶縁膜になる絶縁膜を弗酸系化学薬液に曝すようなことは全くなく、第1,2の従来例で説明した問題は皆無になる。しかし、この場合には、窒素のイオン注入によるシリコン基板表面の損傷が、キャリア移動度の低減あるいは界面順位の増加を引き起こし、MISFETの駆動能力等の特性低下の問題を顕在化させるようになる。また、この技術で形成するゲート絶縁膜の長期信頼性が低下する問題も生じてくる。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、半導体素子が微細化しゲート絶縁膜の換算膜厚が薄くなった場合でも、膜種の異なるゲート絶縁膜をシリコン半導体チップ上に簡便に形成することのできる半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、半導体装置の製造方法にかかる第1の発明は、膜種の異なるゲート絶縁膜を同じ半導体基板上に有しMISFETを含んで成る半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板表面に第1の酸化膜を形成する工程と、前記第1の酸化膜に窒化処理を施し前記第1の酸化膜表面を弗酸耐性のある窒素含有層に改質する工程と、前記窒素含有層を形成後、第1のゲート絶縁膜の形成予定領域で前記第1の酸化膜を選択的に除去する工程と、第2のゲート絶縁膜の形成予定領域の前記第1の酸化膜を前記窒素含有層により弗酸系化学薬液のエッチングから保護しながら、前記第1の酸化膜の選択的な除去で露出した前記半導体基板表面に生成する自然酸化膜を前記弗酸系化学薬液で除去する工程と、前記自然酸化膜を除去した前記半導体基板上に第2の酸化膜を形成する工程と、を備え、前記第2の酸化膜を有する第1のゲート絶縁膜を形成し、前記第1の酸化膜を有する第2のゲート絶縁膜を形成する。ここで、前記窒素含有層の窒素濃度は30at.%以上に設定することが好ましい。
そして、第2の発明は、膜種の異なるゲート絶縁膜を同じ半導体基板上に有しMISFETを含んで成る半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板表面に第1の酸化膜を形成する工程と、前記第1の酸化膜に窒化処理を施し前記第1の酸化膜表面を窒素含有層に改質する工程と、前記窒素含有層を形成後、前記第1の酸化膜に積層して絶縁窒化膜を形成する工程と、前記絶縁窒化膜を形成後、第1のゲート絶縁膜の形成予定領域で前記絶縁窒化膜と第1の酸化膜を順次の選択的に除去する工程と、第2のゲート絶縁膜の形成予定領域の前記第1の酸化膜を前記絶縁窒化膜により弗酸系化学薬液のエッチングから保護しながら、前記第1の酸化膜の選択的な除去で露出した前記半導体基板表面に生成する自然酸化膜を前記弗酸系化学薬液で除去する工程と、前記自然酸化膜を除去した前記半導体基板上に第2の酸化膜を形成する工程と、を備え、前記第2の酸化膜を有する第1のゲート絶縁膜を形成し、前記第1の酸化膜を有する第2のゲート絶縁膜を形成する。
上記発明において、前記半導体基板はシリコン基板であり、前記自然酸化膜はSiOx(x<2)を含むシリコン酸化膜である。そして、前記自然酸化膜は、前記第1の酸化膜を選択的に除去した後に行う前記シリコン基板の洗浄で生成するシリコン酸化膜である。
上記発明において、前記第1の酸化膜はシリコン酸化膜、金属酸化膜あるいは金属シリケート膜であり、前記第2の酸化膜はシリコン酸窒化膜、金属酸化膜あるいは金属シリケート膜である。
好ましくは、前記金属シリケート膜はアルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン系あるいは高融点金属のシリケート膜である。
上記発明において、前記絶縁窒化膜はシリコン窒化膜あるいはHfON膜、AlN膜のような金属窒化膜である。
また、前記発明において、前記第1の酸化膜表面の改質は、窒素を含むガスのプラズマ励起で生成した窒素の中性ラジカルを前記第1の酸化膜表面に照射して行うことが好ましい。
本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、半導体装置を構成するMISFETのゲート絶縁膜の換算膜厚が薄くなっても、膜種の異なるゲート絶縁膜が同一の半導体基板上に高い再現性の下に簡便にしかも高精度に形成できる。更に、本発明によれば高品質のゲート絶縁膜が簡便に形成できる。
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態の幾つかを詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1,2は、本発明の第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程別素子断面図である。ここでは、半導体素子の設計基準が90nmとなる技術世代を例にして示す。半導体装置の内部回路には電圧1.0Vで動作するMISFETが形成され、そのゲート絶縁膜の膜厚は、シリコン酸化膜換算で1.5nm程度である。半導体装置の周辺回路、例えば入出力回路には(電源)電圧2.5Vで動作するMISFETが形成され、そのゲート絶縁膜の膜厚は、シリコン酸化膜換算で5.0nm程度である。
p導電型のシリコン基板1の表面部に形成されたSTIによる素子分離領域2で分離された領域のシリコン基板1表面に、例えば5nm強厚のシリコン酸化膜3を熱酸化で形成する(図1(a))。
そして、プラズマ窒化法によりシリコン酸化膜3表面を窒化し、シリコン酸化膜3表面を改質し窒素含有層として窒化層4を形成する(図1(b))。このプラズマ窒化法では、窒素の活性種を原料ガスであるNガス、N2 O、NO、N22 、NH3 ガスのECR(Electron Cyclotron Resonance)でのプラズマ励起、ICP(Inductively Coupled Plasma)、(マグネトロン型)RFプラズマまたはヘリコン波プラズマでの励起で生成し、この活性種にシリコン酸化膜3を曝す。上記活性種には窒素原子イオン、分子イオンあるいは中性ラジカル等が含まれるが、ここで、活性種はとして窒素の中性ラジカルのみを取り出して窒化層4を形成するとより好ましい結果が得られる。例えば、プラズマ励起室で形成した窒素の活性種のうち、寿命の比較的長い中性ラジカルをダウンフロー方式で取り出し、この中性ラジカルをシリコン酸化膜3表面に照射する。このようにして、中性ラジカルとシリコン酸化膜2表面の反応で窒化層4を形成すると良い。
上記窒素の中性ラジカルを用いたプラズマ窒化の方法であると、窒素の活性種が一種類に制御されるために、形成される窒化層4中の窒素濃度および窒化層4の深さが高精度に制御できるようになる。また、この方法はいわゆるリモートプラズマ手法であり、上記イオン照射あるいはプラズマ発光照射を防止できるために、これらによるシリコン酸化膜3の照射損傷が大幅に低減し、高品質のゲート絶縁膜を確保することが可能になる。
ここで、活性種がN22 、NH3 ガスの励起から生成され、水素が含まれる場合には、窒化層4およびシリコン酸化膜3内に水素が多量に混入し膜質を低下させる。そこで、この場合には、上記プラズマ窒化後に不活性ガス中での熱処理を施し膜中の水素を脱離させることが好ましい。
上述したプラズマ窒化法において、シリコン酸化膜3表面への窒素の導入量あるいはその深さは、プラズマ励起の電力パワーのようなプラズマ処理条件あるいは処理時間によって容易に制御できる。図3に窒化層4での窒素分布の一例を示す。ここで、シリコン酸化膜3表面のプラズマ窒化は、NガスをECRでプラズマ励起しダウンフロー方式で窒素の中性ラジカルをシリコン酸化膜3表面に照射して行った。図3は、窒化層4のSIMS分析により得られた窒素分布図であり、窒化層4の最表面の窒素量は外挿値である。図3から判るように窒化層4の表面の窒素濃度は30%以上あり、表面から深くなるほど窒素濃度は減少し、2.5nmより深い領域には窒素は存在しなくなる。したがって、5.0nm強厚のシリコン酸化膜3とシリコン基板1の界面には窒素は存在しない。
次に、公知のフォトリソグラフィ技術によりレジストマスク5を形成し、レジストマスク5をエッチングマスクとしたドライエッチング処理を施し、マスク開口部の窒化層4を除去する。更に、純水による2vol%希釈の希弗酸でのウェットエッチング処理を施し、マスク開口部のシリコン酸化膜3を除去して、半導体装置の内部回路が形成される領域となるシリコン基板1表面を露出させる(図1(c))。
続いて、レジストマスク5を除去しシリコン基板1表面の洗浄を行う。この洗浄工程では、シリコン基板1表面のパーティクル除去が必要になるためにアンモニア(NHOH)水と過酸化水素(H)水と純水との混合液(APM)、のような化学薬液中での洗浄を行うと良い。この洗浄工程で上記露出させたシリコン基板1の表面には自然酸化膜6が形成される。(図1(d))。このような自然酸化膜6の膜厚は1nm以下であり多孔性を有する一種のシリコン酸化膜である。なお、上記洗浄工程で、硫酸(HSO)溶液と過酸化水素(H)水と純水との混合液(SPM)、塩酸(HCl)溶液と過酸化水素(H)水と純水との混合液(HPM)のような化学薬液を用いても同様な自然酸化膜が形成される。
次に、0.1vol%の希弗酸によりウェットエッチングを行い、上記シリコン基板1表面に形成された自然酸化膜6を除去する(図2(a))。この時、半導体装置の入出力回路が構成される領域に形成されたシリコン酸化膜3は、上述した窒化層4により上記希弗酸によるウェットエッチングから完全に保護される。ここで、窒化層4中の窒素の含有量は30at.%以上であることが好ましい。このような窒素含有量であると、窒化層4の弗酸によるエッチングは全く無視できる程に低減する。この自然酸化膜6のエッチング除去では、希弗酸の他に弗化アンモニア水のように弗素を含有する化学薬液を用いても良い。
上記自然酸化膜6を除去した後は、シリコン基板1の保管は窒素ガスのような不活性ガスを充満させた空間で行い、シリコン基板1と空気との接触をできるだけ回避するのが良い。シリコン基板1表面は、上記弗素を含有する化学薬液でのエッチング中に水素原子で被覆され、空気中での表面の自然酸化は進行し難くなる。しかし、時間と共に上記水素原子は剥がれ自然酸化膜がシリコン基板1の露出表面に形成されてくる。この再度の自然酸化膜形成を抑止するためである。
そして、時間をあけることなくNOガスあるいはNOガス雰囲気中でシリコン基板1表面の熱酸窒化を行い、半導体装置の内部回路の構成される領域である上記シリコン基板1の露出領域にシリコン酸窒化膜7を形成する(図2(b))。ここで、シリコン酸窒化膜7の膜厚は、シリコン酸化膜換算で1.5nm程度であり、窒素濃度は5at.%程度である。この熱酸窒化の工程では、半導体装置の入出力回路の構成領域に形成されたシリコン酸化膜3の膜厚は5nmと厚く且つその表面は窒化層4であり高濃度の窒素を含有するために酸化速度は非常に遅く、物理的な膜厚は5.2nmとわずかに増加するだけである。なお、表面が窒化されているために、窒化された表面層はシリコン酸化膜に比べて誘電率が高く、シリコン酸化膜換算の電気的膜厚は5.0nmとなる。
次に、公知のフォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを用い、n導電型あるいはp導電型の不純物含有の多結晶シリコン膜、ポリサイド膜、ポリメタル膜等の導電体膜を所望のパターンに加工し、ゲート電極8を上記シリコン酸化膜3上およびシリコン酸窒化膜7上に形成する。そして、このゲート電極8をマスクとして自己整合的に砒素をイオン注入し、ソース・ドレイン領域のエクステンション層として第1のn型拡散層9を形成する(図2(c))。そして、周知の方法によりシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜からなるサイドウォール絶縁膜10を形成し、ゲート電極10およびサイドウォール絶縁膜10をマスクとして自己整合的に砒素をイオン注入し第2のn型拡散層11を形成しソース・ドレイン領域を形成する(図2(d))。以下、図示しないが、層間絶縁膜や配線を形成する。このようにして、nチャネル型のMISFETを形成する。
ここで、半導体装置の内部回路を構成するMISFETでは、換算膜厚が1.5nm程度のシリコン酸窒化膜7でそのゲート絶縁膜が形成され、半導体装置の入出力回路を構成するMISFETでは、その表面に窒素原子を含有する層(窒化層4)を有する、換算膜厚5.0nm程度のシリコン酸化膜3でそのゲート絶縁膜が形成される。このように、互いに膜種の異なるゲート絶縁膜を有するMISFETがシリコン基板1上に形成される。
上述したように、この実施の形態の特徴は、シリコン基板上のMISFETの形成において、換算膜厚が厚いゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜表面を弗酸耐性のある膜に改質し、その後にシリコン基板を弗素含有の化学薬液中に浸漬し、上記弗酸耐性のある膜でシリコン酸化膜表面のエッチングを防止してシリコン基板表面の自然酸化膜を除去し、その除去したシリコン基板表面に換算膜厚の薄いゲート絶縁膜を形成するところにある。ここで、上記自然酸化膜は、上述したような洗浄工程の他に、シリコン基板表面がクリーンルーム内の空気に触れて形成するものも当然に含まれる。
このために、第1の実施の形態では、自然酸化膜6のエッチング除去工程において従来の技術で見られるゲート絶縁膜の一部エッチングは、上記弗酸耐性のある窒化層4で完全に防止でき、換算膜厚の厚いゲート絶縁膜すなわちシリコン酸化膜3の膜厚のシリコン基板上でのバラツキおよび製造バラツキは大幅に低減する。また、自然酸化膜除去後に形成する換算膜厚の薄いゲート絶縁膜すなわちシリコン酸窒化膜7の形成において、上記窒化層4は、酸化耐性が高く、換算膜厚の厚いゲート絶縁膜の膜厚変化を無視できる程度に低減させる。しかも、上記窒化層4を形成するプラズマ窒化法は極めて簡便な方法である。これらのために、ゲート絶縁膜の膜厚制御が容易になり、再現性よく膜種の異なるゲート絶縁膜を形成することができるようになる。更には、自然酸化膜のエッチング除去において、ゲート絶縁膜の一部エッチングがなくなるために、従来の技術で生じていたゲート絶縁膜の品質低下の問題も解消する。また、第3の実施例で生じたようなシリコン基板表面の損傷によるMISFET特性の低下の問題も全く生じることはない。
(実施の形態2)
図4乃至6は、本発明の第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程別素子断面図である。ここでは、半導体素子の設計基準が65nmとなる技術世代を例にして示す。半導体装置の内部回路には電圧0.9Vで動作するMISFETが形成され、そのゲート絶縁膜の膜厚は、シリコン酸化膜換算で1.2nm程度である。半導体装置の周辺回路、例えば入出力回路には(電源)電圧1.8Vで動作するMISFETが形成され、そのゲート絶縁膜の膜厚は、シリコン酸化膜換算で3.0nm程度である。
p導電型のシリコン基板21の表面部にnウェル22を形成し、nウェル22の表面部にSTIの素子分離領域23を形成し、シリコン基板21表面に2.5nm程度のシリコン酸化膜24を熱酸化で形成する。そして、第1の実施の形態で説明したように、プラズマ窒化法によりシリコン酸化膜24の表面を改質し窒化層25を形成する(図4(a))。この場合のプラズマ窒化では、シリコン酸化膜24の膜厚が第1の実施の形態の場合よりも薄いために、プラズマ窒化のプラズマ励起の電力パワーを低下させ、上記窒化層25の深さが第1の実施の形態より浅くなるように制御する。
次に、化学気相成長(CVD)法によりシリコン酸化膜24の表面部すなわち窒化層25上に、絶縁窒化層として膜厚0.7nmのシリコン窒化膜26を堆積させ積層構造にする(図4(b))。この積層膜中の窒素分布について、図3で説明したのと同様にSIMS分析し図7に示す。図7に示すように、積層膜の表面から0.7nmの深さはシリコン窒化膜26であり、シリコン窒化膜26の下のシリコン酸化膜24の表面(窒化層25)の窒素含有量は20at.%程度であり、表面から深くなるほど窒素濃度は減少し、1.6nm程度より深い領域には窒素は存在しない。そして、2.5nm程度の厚さのシリコン酸化膜24とnウェル22の界面には窒素は存在しない。ここで、窒化層25の窒素含有量が第1の実施の形態の場合より低くなるのは、上述したプラズマ窒化のプラズマ励起の電力パワーを低下させたことによる。
次に、第1の実施の形態で説明したのと同様に図4(c)に示すように第1のレジストマスク27を形成し、第1のレジストマスク27をエッチングマスクとしてドライエッチング処理を施し、マスク開口部のシリコン窒化膜26および窒化層25を除去する。そして、2vol%希弗酸によりウェットエッチング処理を施し、マスク開口部のシリコン酸化膜24を除去して、半導体装置の内部回路が構成される領域となるnウェル22表面を露出させる(図4(c))。
続いて、第1の実施の形態で説明したのと同様にして第1のレジストマスク27を除去しシリコン基板21表面の洗浄を行う。この洗浄工程で、上記露出させたnウェル22表面に自然酸化膜28が形成される(図4(d))。上述したように、この自然酸化膜28の膜厚は1nm以下であり緻密性の低いSiOx(x<2)を含む多孔質のシリコン酸化膜である。
次に、0.1vol%の希弗酸によりウェットエッチングを行い、上記シリコン基板22表面に形成された自然酸化膜28を除去する(図5(a))。この時、半導体装置の入出力回路が構成される領域に形成されたシリコン酸化膜24および窒化層25は、シリコン窒化膜26により上記希弗酸によるウェットエッチングから完全に保護される。ここで、窒化層25の窒素の含有量は高々20at.%程度であるので第1の実施の形態のようなエッチング保護の機能は小さい。この場合の窒化層25は、積層膜を構成するシリコン酸化膜24とシリコン窒化膜26の遷移層となり、積層構造に見られる電荷のトラップを低減させる機能を有するものである(後述する)。
上記自然酸化膜28を除去した後は、第1の実施の形態で述べたように、シリコン基板1の保管は窒素ガスのような不活性ガスを充満させた空間で行い、シリコン基板1と空気との接触をできるだけ回避するのが良い。そして、時間をあけることなくNOガスあるいはNOガス雰囲気中でシリコン基板1表面の熱酸窒化を行い、半導体装置の内部回路の構成される領域である上記nウェル22の露出領域にシリコン酸窒化膜29を形成する(図5(b))。ここで、シリコン酸窒化膜29の膜厚は、シリコン酸化膜換算で0.7nm程度であり、窒素濃度は5at.%程度である。この熱酸窒化の工程では、半導体装置の入出力回路の構成領域に形成されたシリコン酸化膜24上にはシリコン窒化膜26があるために、シリコン酸化膜24の膜厚は全く変化しない。
次に、表面に膜厚が2nm程度のハフニウムシリケート膜30を堆積する。ここで、ハフニウムシリケート膜30は、いわゆる有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法でHfSiOxの組成を制御して、上記シリコン酸窒化膜29およびシリコン窒化膜26上に成膜させると良い(図5(c))。
次に、半導体装置の内部回路を構成する領域のハフニウムシリケート膜30を被覆する第2のレジストマスク31を公知のフォトリソグラフィ技術で形成し、これをエッチングマスクとして0.5vol%希弗酸によるウェットエッチング処理を施し、マスク開口部すなわちシリコン窒化膜26上のハフニウムシリケート膜30を除去する(図5(d))。
次に、第2のレジストマスク31を除去する。このようにして、半導体装置の内部回路を構成する領域のnウェル22上にシリコン酸窒化膜29とハフニウムシリケート膜30から成るゲート絶縁膜が形成され、半導体装置の入出力回路を構成する領域のnウェル22上にシリコン酸化膜24と窒化層25とシリコン窒化膜26から成るゲート絶縁膜が形成される(図6(a))。ここで、ハフニウムシリケート膜30の誘電率は12であるために、上記シリコン酸窒化膜29とハフニウムシリケート膜30の積層構造のゲート絶縁膜の換算膜厚は、1.2nmになる。また、上記シリコン酸化膜24と窒化層25とシリコン窒化膜26の積層構造のゲート絶縁膜の換算膜厚は、3.0nmになる。
後は、第1の実施の形態で説明したのと同じようにして、膜種の異なるゲート絶縁膜を有するpチャネル型のMISFETを形成する。すなわち、ゲート電極32を上記膜種の異なるゲート絶縁膜上に形成し、このゲート電極32の側壁にサイドウォール絶縁膜33を形成し、p導電型のシリコン基板21表面のnウェル22表面部に硼素のドーピングでソース・ドレイン拡散層34を形成する(図6(b))。以下、図示しないが、層間絶縁膜や配線を形成する。
この実施の形態では、シリコン窒化膜26が第1の実施の形態における窒化層4の機能を有しており、自然酸化膜28の除去において第1の実施の形態で説明したのと同様な効果が生じる。また、このシリコン窒化膜26は、上述したハフニウムシリケート膜30を選択的に除去する際、エッチングストッパとして機能すると共に、0.5vol%と比較的濃度の高い弗酸によりウェットエッチング処理でもその膜厚は変化しない。このために、ゲート絶縁膜の膜厚制御が容易になり、再現性よく膜種の異なるゲート絶縁膜を形成することができる。
更に、この実施の形態では、pチャネル型のMISFET形成において、そのゲート絶縁膜を薄膜化していっても、図7の説明から判るように、nウェル22表面とシリコン酸化膜24の界面に窒素が存在しないようにできるために、高温でゲート電極に負バイアスが印加された状態を長時間続けたときに、MISFETのしきい値電圧が変化するという問題も生じることがなく、高い信頼性を有するpチャネル型のMISFETを形成することができる。すなわち、いわゆるpチャネル型のMISFETで問題になっているNBTI(Negative Bias Temperature Instability)の不良モードを回避することができる。
また、この実施の形態では、先述したように半導体装置の入出力回路を構成する領域のゲート絶縁膜は、積層構造のシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との間に窒化層を遷移層として有するようになる。通常、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを積層した積層構造の絶縁膜では、それらの界面領域に電荷トラップが多量に生じるが、このように遷移層を介在させることで電荷トラップは大幅に減少する。このために、MISFETの動作は長期に亘り安定したものになる。
(実施の形態3)
上記第1,2の実施の形態では、ゲート絶縁膜として用いるシリコン酸化膜の表面を改質しその窒化層を形成する場合について説明したが、この窒化層の形成はシリコン酸化膜に限ることはなく、シリコン酸化膜よりも比誘電率の高い金属酸化膜表面あるいは金属シリケート膜表面を改質し、その表面に金属酸化膜あるいは金属シリケート膜の窒化層を形成する場合にも適用できるものである。図8,9は、本発明の第3の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程別素子断面図である。ここでは、半導体素子の設計基準が65nm以下の例えば50nmとなる技術世代にも適用できるものである。以下、半導体装置のロジック回路を構成するMISFETのゲート絶縁膜の膜厚が、シリコン酸化膜換算で1.0nm以下となり、半導体装置のメモリ回路を構成するMISFETのゲート絶縁膜の膜厚は、シリコン酸化膜換算で1.5nm程度となる場合を想定して説明する。
第1の実施の形態で説明したように、p導電型のシリコン基板41の表面部に素子分離領域42を形成した後に、シリコン基板41上の全面をNOガス雰囲気中でアニール処理してシリコン酸化膜換算0.5nm膜厚のシリコン酸窒化膜41aを形成する。その後に、シリコン基板41表面に膜厚2nmの第1のハフニウムシリケート膜43をMOCVD法で成膜する(図8(a))。
次に、第1の実施の形態で説明したプラズマ窒化法により第1のハフニウムシリケート膜43の表面のみを窒化し、第1のハフニウムシリケート膜43表面を改質し窒素含有層として窒化層44を形成する(図8(b))。この場合のプラズマ窒化では、プラズマ励起の電力パワーのようなプラズマ処理条件あるいは処理時間は第1の実施の形態で説明したのとほぼ同じで良い。第1のハフニウムシリケート膜43のプラズマ窒化で形成される窒化層44の深さは1nm以下となり、シリコン酸化膜のプラズマ窒化で形成される窒化層の深さよりも浅くなるからである。従って、2.0nm厚の第1のハフニウムシリケート膜43とシリコン基板41の界面には窒素は存在しない。また、窒化層44の表面の窒素濃度は30%以上になる。窒化によりハフニウムシリケート膜2nmは誘電率が高くなりシリコン酸化膜換算で0.5nmとなる。
次に、第1の実施の形態と同様にして形成したレジストマスク45をエッチングマスクとしたドライエッチング処理を施し、マスク開口部の窒化層44を除去する。更に、0.5vol%希弗酸によるウェットエッチング処理を施し、マスク開口部の第1のハフニウムシリケート膜43とシリコン酸窒化膜41aを除去して、半導体装置のロジック回路が構成される領域となるシリコン基板41表面を露出させる(図8(c))。
続いて、第1の実施の形態で説明したのと同様にしてレジストマスク45を除去しシリコン基板41表面の洗浄を行う。この洗浄工程で、上記露出させたシリコン基板41の表面には自然酸化膜46が形成される。(図8(d))。このような自然酸化膜46は膜厚1nm以下のSiOx(x<2)を含む多孔質のシリコン酸化膜である。
次に、0.1vol%の希弗酸によりウェットエッチングを行い、上記シリコン基板1表面に形成された自然酸化膜46を除去する(図9(a))。この時、半導体装置のメモリ回路が構成される領域に形成された第1のハフニウムシリケート膜43は、上述した窒化層44により上記希弗酸によるウェットエッチングから完全に保護される。ここで、窒化層44中の窒素の含有量は、第1の実施の形態で説明したように30at.%以上であることが好ましい。
上記自然酸化膜46を除去した後は、第1の実施の形態で説明したように、シリコン基板41の保管は窒素ガスのような不活性ガスを充満させた空間で行うと良い。そして、時間をあけることなくNOガスあるいはNOガス雰囲気中でシリコン基板1表面の熱酸窒化を行い、半導体装置のロジック回路の構成される領域である上記シリコン基板41の露出領域にシリコン酸窒化膜47を形成する(図9(b))。ここで、シリコン酸窒化膜47の膜厚は、シリコン酸化膜換算で0.5nm程度であり、窒素濃度は3at.%程度である。この熱酸窒化の工程では、半導体装置のメモリ回路の構成領域に形成された第1のハフニウムシリケート膜43表面の改質層すなわち窒化層44が耐酸化性を有しており第1のハフニウムシリケート膜43下のシリコン基板41の酸化は進行しない。
次に、シリコン酸窒化膜47および第1のハフニウムシリケート膜43を被覆するように、膜厚1.5nmの第2のハフニウムシリケート膜48をMOCVD法で成膜する(図9(c))。このようにして、半導体装置のロジック回路を構成する領域のシリコン基板41上にシリコン酸窒化膜47と第2のハフニウムシリケート膜48から成るゲート絶縁膜が形成され、半導体装置のメモリ回路を構成する領域のシリコン基板41上にシリコン酸窒化膜41aと第1のハフニウムシリケート膜43と窒化層44と第2のハフニウムシリケート膜48から成るゲート絶縁膜が形成される。ここで、第1,2のハフニウムシリケート膜の誘電率は12であるために、上記シリコン酸窒化膜47と第2のハフニウムシリケート膜48の積層構造のゲート絶縁膜の換算膜厚は、1.0nmになる。また、シリコン酸窒化膜41aと上記第1のハフニウムシリケート膜43と窒化層44と第2のハフニウムシリケート膜48の積層構造のゲート絶縁膜の換算膜厚は、1.5nm程度になる。
後は、第1の実施の形態で説明したのと同じようにして、上述したような膜種の異なるゲート絶縁膜を有するnチャネル型のMISFETを形成する。すなわち、ゲート電極49を上記膜種の異なるゲート絶縁膜上に形成し、このゲート電極49の側壁にサイドウォール絶縁膜50を形成し、p導電型のシリコン基板41表面部に砒素のイオン注入と熱処理とを施してソース・ドレイン拡散層51を形成する(図9(d))。以下、図示しないが、層間絶縁膜や配線を形成する。
この第3の実施の形態において、第1のハフニウムシリケート膜43表面の改質層すなわち窒化層44上に、第2の実施の形態で説明したように絶縁窒化膜として金属窒化膜あるいはシリコン窒化膜を形成しても良い。ここで、金属窒化膜としてはHfON膜、AlN膜等がある。
この実施の形態では、ゲート絶縁膜の形成において、シリコン酸化膜よりも比誘電率の高い金属シリケート膜、更には金属酸化膜を使用することができる。このために、第1,2の実施の形態の場合よりも換算膜厚が薄く膜種の異なるゲート絶縁膜を簡便にシリコン基板上に形成できるようになる。また、第1の実施の形態で説明した効果は同様に生じる。
以上、この発明の実施の形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、MISFETのソース・ドレイ拡散層を形成後にそのゲート電極を層間絶縁膜の開口部に埋め込む、いわゆる、ダマシンゲート電極の構造となるMISFETに本発明の方法を適用してもよい。
また、ゲート絶縁膜を金属酸化膜で形成しその表面を窒化層に改質する場合には、金属酸化膜として、酸化タンタル膜、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜を用いてもよい。
また、金属シリケート膜としては、実施の形態で説明したハフニウムシリケート膜の他に、ジルコニウム、ランタン系あるいは高融点金属のシリケート膜、更には、これらのシリケート膜の複合したシリケート膜を用いてもよい。
更には、シリコン基板上に半導体装置を形成する場合の他に、GaAs基板、GaN基板のような化合物半導体基板にMISFETを構成する場合にも同様に適用できる。本発明は、上記の実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は適宜に変更されうる。
本発明の第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程別素子断面図である。 図1に示す工程の続きの工程別断面図である。 本発明の第1の実施の形態で形成した窒化層中の窒素の濃度分布図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程別素子断面図である。 図5に示す工程の続きの工程別断面図である。 図6に示す工程の続きの工程別断面図である。 本発明の第2の実施の形態で形成した窒化層中の窒素の濃度分布図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程別素子断面図である。 図8に示す工程の続きの工程別断面図である。 従来の技術を説明するための半導体装置の製造方法を示す工程別素子断面図である。 従来の技術を説明するための半導体装置の製造方法を示す程別素子断面図である。
符号の説明
1,21,41 シリコン基板
2,23,42 素子分離領域
3,24 シリコン酸化膜
4,25,44 窒化層
6,28,46 自然酸化膜
7,29,41a,47 シリコン酸窒化膜
8,32,49 ゲート電極
9 第1のn型拡散層
10,33,50 サイドウォール絶縁膜
11 第2のn型拡散層
34、51 ソース・ドレイン拡散層
30 ハフニウムシリケート膜
43 第1のハフニウムシリケート膜
48 第2のハフニウムシリケート膜

Claims (9)

  1. 膜種の異なるゲート絶縁膜を同じ半導体基板上に有し絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MISFET)を含んで成る半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体基板表面に第1の酸化膜を形成する工程と、
    前記第1の酸化膜に窒化処理を施し前記第1の酸化膜表面を弗酸耐性のある窒素含有層に改質する工程と、
    前記窒素含有層を形成後、第1のゲート絶縁膜の形成予定領域で前記第1の酸化膜を選択的に除去する工程と、
    第2のゲート絶縁膜の形成予定領域の前記第1の酸化膜を前記窒素含有層により弗酸系化学薬液のエッチングから保護しながら、前記第1の酸化膜の選択的な除去で露出した前記半導体基板表面に生成する自然酸化膜を前記弗酸系化学薬液で除去する工程と、
    前記自然酸化膜を除去した前記半導体基板上に第2の酸化膜を形成する工程と、を備え、
    前記第2の酸化膜を有する第1のゲート絶縁膜を形成し、前記第1の酸化膜を有する第2のゲート絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法。
  2. 前記窒素含有層の表面の窒素濃度を30at.%以上に設定することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 膜種の異なるゲート絶縁膜を同じ半導体基板上に有しMISFETを含んで成る半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体基板表面に第1の酸化膜を形成する工程と、
    前記第1の酸化膜に窒化処理を施し前記第1の酸化膜表面を窒素含有層に改質する工程と、
    前記窒素含有層を形成後、前記第1の酸化膜に積層して絶縁窒化膜を形成する工程と
    前記絶縁窒化膜を形成後、第1のゲート絶縁膜の形成予定領域で前記絶縁窒化膜と第1の酸化膜を順次に選択的に除去する工程と、
    第2のゲート絶縁膜の形成予定領域の前記第1の酸化膜を前記絶縁窒化膜により弗酸系化学薬液のエッチングから保護しながら、前記第1の酸化膜の選択的な除去で露出した前記半導体基板表面に生成する自然酸化膜を前記弗酸系化学薬液で除去する工程と、
    前記自然酸化膜を除去した前記半導体基板上に第2の酸化膜を形成する工程と、を備え、
    前記第2の酸化膜を有する第1のゲート絶縁膜を形成し、前記第1の酸化膜を有する第2のゲート絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法。
  4. 前記半導体基板はシリコン基板であり、前記自然酸化膜はSiOx(x<2)を含むシリコン酸化膜である請求項1、請求項2または請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記自然酸化膜は、前記第1の酸化膜を選択的に除去した後に行う前記シリコン基板の洗浄で生成するシリコン酸化膜である請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記第1の酸化膜はシリコン酸化膜、金属酸化膜あるいは金属シリケート膜であり、前記第2の酸化膜はシリコン酸窒化膜、金属酸化膜あるいは金属シリケート膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記金属シリケート膜は、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、ランタン系あるいは高融点金属のシリケート膜であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記絶縁窒化膜は、シリコン窒化膜あるいはHfON膜、AlN膜の金属窒化膜であることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記第1の酸化膜表面の改質は、窒素を含む原料ガスのプラズマ励起で生成した窒素の中性ラジカルを前記第1の酸化膜表面に照射して行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。

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