以下、本発明の実施形態に係る光ディスク、及び光ディスクの製造装置について図面を参照して説明する。
(光ディスクの構成)
先ず、本発明の実施形態に係る光ディスクの構成について説明する。図1には、本発明の実施形態に係るた光ディスクが示されている。この光ディスク10は、従来のDVD−R等の光ディスクと比較して高密度の情報記録が可能とされたものであり、例えば、従来の光ディスクと比較して、記録再生用のレーザ光として短波長の青紫レーザ光を用いると共に、ディスク駆動装置の対物レンズの開口数NAを0.85程度まで増大することで、120mm径の光ディスク10に対する片面記録容量が25Gバイト以上に高められている。
光ディスク10には、円板状に形成されたディスク基板12が設けられており、このディスク基板12の片側の面は情報の記録面14とされている。このディスク基板12の記録面14側には、光反射層18及び光吸収層20が順に積層されており、これらの光反射層18及び光吸収層20により情報記録層(以下、単に「記録層」という。)16が構成されている。また光ディスク10には、記録層16を覆うようにディスク基板12上に透明なカバー層22が設けられている。このカバー層22は、透明樹脂を素材とするカバーシート24により構成され、その厚さが100μm程度とされている。
ディスク基板12は、PC(ポリカーボネイト)等の樹脂を素材としてモールド成形されている。またカバー層22を構成するカバーシート24は、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な樹脂フィルム26及び、この樹脂フィルム26の片側の面に形成された粘着膜28からなる。粘着膜28は、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系等の粘着剤により形成されるが、透明性及び耐久性の観点からは、アクリル系粘着剤が望ましい。
ディスク基板12の中心部には、光ディスク10の回転中心となる軸心SDに沿って円形のセンターホール29が穿設されている。またカバー層22の中心部にも、軸心SDを中心としてセンターホール29と略同一内径を有する円形の開口部30が形成されている。但し、カバー層22については、その内周端がディスク基板12の記録層16よりも内周側に位置していれば良いことから、この位置関係を満たす範囲で、開口部30の内径をセンターホール29の内径よりも大くしても良い。
次に、上述した本実施形態の光ディスク10に用いられるディスク基板12を成形するディスク基板成形用の成形型、及びこの成形型により成形されたディスク基板12を用いて光ディスク10を製造する光ディスク製造装置について説明する。
(ディスク基板成形用の成形型の構成)
図2には、本発明の実施形態に係るディスク基板成形用の成形型(金型)150が示されている。成形型150は、分割構成された固定型152及び可動型154を備えており、可動型154の外周端部には、スタンパ押さえ(キャビリング)156が設けられている。
図2(A)に示されるように、固定型152と可動型154とを型締めした状態では、固定型152、可動型154、及びスタンパ押さえ156によって、ディスク基板12の成形品形状を形成するキャビティ158が構成される。
キャビティ158は、所定高さ(厚さ)寸法の円板状空間とされ、後述するスタンパ170を介してディスク基板12の表面側(記録面14側)を間接的に成形する成形面が固定型152側の型面152Aによって構成され、ディスク基板12の裏面側を直接的に成形する成形面が可動型154側の型面154Aによって構成され、ディスク基板12の外周端面を直接的に成形する成形面がスタンパ押さえ156の型面156Aによって構成されている。
キャビティ158の中央には、ランナ162と通じるダイレクトゲート160が設けられている。このランナ162の末端は、円錐形とされたスプルを介して射出装置のノズルに接続されており(何れも図示省略)、ディスク基板12の素材となる溶融樹脂(成形材料)Mは、射出装置から、ランナ162、ダイレクトゲート160を通ってキャビティ158内へ射出される。
固定型152は、図2(B)に示されるように、型面152Aの外周縁部近傍に傾斜面部164が設けられている。傾斜面部164は、キャビティ158を構成するスタンパ押さえ156の型面156Aの延長線と、固定型152の型面152Aとが交差する交点P0を始点に、その交点P0から型面152Aの内側(中心側)へ寸法SLだけ入った範囲に設けられて平面視では環状に形成されており、図示のように、寸法SLの範囲において、内側から外側へ向けて型面152Aよりも寸法SHだけ上昇する上り勾配の傾斜形状とされている。
なお、本実施形態の傾斜面部164は、SL=0.8mm、SH=0.01mmに設定されている。また、本実施の形態では、スタンパ170の厚さ寸法:STは、ST=0.3mmとされ、スタンパ押さえ156の型面156Aによって構成されるキャビティ158の外周端面の高さ寸法:CHは、CH=1.1mmに設定されている。
一方、可動型154は、図示しない油圧シリンダによって上下方向(図2(A)の矢印A方向)に移動するよう構成されており、型締め圧はこの油圧シリンダを制御するコントローラによって調整される。
(光ディスク製造装置の構成)
図3には、本発明の実施形態に係る光ディスク製造装置が示されている。この光ディスク製造装置40は、モールド成形等により成形されたディスク基板12にカバーシート24を貼り合わせて光ディスク10を製造するためのものであり、光ディスク製造装置40には、光ディスクの製造ラインにてそれぞれ独立した工程を経て製造されたディスク基板12及びカバーシート24が供給される。
光ディスク製造装置40には、制御ユニット(図示省略)等を内蔵した本体ケーシング42が設けられており、この本体ケーシング42の上面部には、その中央付近に円板状のターンテーブル44が軸心STを中心として回転可能に設置されている。このターンテーブル44上には、その軸心STを中心とする周方向に沿ってディスク基板12が載置可能とされた8個のディスク支持台46が設けられている。これらのディスク支持台46には、その中心部にそれぞれディスク基板12のセンターホール29に対応するセンターピン48が設けられている。センターピン48は、ディスク支持台46の上面部からの突出長が調整可能とされており、ディスク支持台46上にディスク基板12が載置されると、ディスク支持台46から突出してディスク基板12のセンターホール29内へ嵌挿し、ディスク基板12をディスク支持台46上の中心位置に位置決めする。
またディスク支持台46の上面部には多数の吸引穴(図示省略)が開口しており、これらの吸引穴はそれぞれ真空ポンプ等の真空発生装置に接続されている。この真空発生装置は、ディスク支持台46上にディスク基板12が載置されると、ディスク支持台46の各吸引穴へ負圧を供給する。これにより、ディスク基板12が吸引穴内における負圧の作用によりディスク支持台46の上面部に吸着される。
図3に示されるように、光ディスク製造装置40には、ターンテーブル44の外周側に、ディスク供給ユニット52、貼合ユニット54、剥離ユニット56、面状検査ユニット68及びディスク搬出ユニット58が設置されている。なお、図3では、ディスク供給ユニット52によりディスク基板12の供給を受ける位置にあるディスク支持台46を起点とし、ターンテーブル44の回転方向(反時計方向)に沿って8個のディスク支持台46がそれぞれ保持される位置(周回位置)をP1〜P8として示している。
ディスク供給ユニット52は周回位置P1の外周付近に配置されており、このディスク供給ユニット52には、複数枚のディスク基板12が積載可能とされたディスク台60及び、このディスク台60上に積載された複数枚のディスク基板12から1枚のディスク基板12を把持し、この1枚のディスク基板12を周回位置P1にあるディスク支持台46上へ搬送する搬送アーム62が設けられている。
貼合ユニット54は、ディスク支持台46上に載置されたディスク基板12にカバーシート24を貼り合わせるためのものであり、周回位置P2の外周側に配置されている。光ディスク製造装置40には、貼合ユニット54の側方にカバーシート24を供給するためのシート供給ユニット64が配置されている。ここで、貼合ユニット54には、シート供給ユニット64により供給されたカバーシート24を保持し、このカバーシート24を周回位置P1に保持されたディスク支持台46の上方まで搬送するシート搬送台66が設けられており、このシート搬送台66は、シート供給ユニット64から供給されるカバーシート24を受け入れる受入位置(図2の実線で示される位置)と周回位置P2との間で移動可能とされている。
図3に示されるように、剥離ユニット56は、周回位置P4に保持されたディスク支持台46の上方に設置されており、周回位置P4に保持されたディスク支持台46上に載置された光ディスク10の上面(光入射面)に貼り付けられている保護シート38(図3参照)を剥離し、この保護シート38を回収する。また面状検査ユニット68は、周回位置P6に保持されたディスク支持台46の上方に設置されており、周回位置P6に保持されたディスク支持台46上に載置された光ディスク10の光入射面の平面性、軸心SDを基準とする傾き量等を検査する。なお、面状検査ユニット68による光ディスク10についての検査結果は、光ディスク製造装置40の制御ユニット(図示省略)へ送信され、制御ユニットは、面状検査ユニット68による検査結果に基づいて周回位置P7まで搬送されてきた光ディスク10が予め決められた品質基準を満たしていないNG品か、品質基準を満たしている良品かを判断する。
ディスク搬出ユニット58は周回位置P7に保持されたディスク支持台46の外周付近に配置されており、ディスク搬出ユニット58には、複数枚のディスク基板12がそれぞれ積載可能とされたディスク台74が設けられると共に、周回位置P7に保持されたディスク支持台46とディスク台74の間で光ディスク10を搬送するための搬送アーム78が設けられている。
次に、上記のような光ディスク製造装置40におけるシート供給ユニット64及び貼合ユニット54について詳細に説明する。
シート供給ユニット64には、図4(A)に示されるように、カバーシート24の加工素材である積層シート材32を切断加工(打抜加工)することにより、カバーシート24を製造する打抜装置130が設けられている。ここで、積層シート材32は、図4(B)に示されるように、樹脂フィルム26、この樹脂フィルム26の片側の面に成膜された粘着膜28、この粘着膜28の表面に貼り付けられた剥離シート36、及び樹脂フィルム26の粘着膜28とは反対側の面に貼り付けられた保護シート38からなる4層構造とされている。剥離シート36及び保護シート38は、それぞれPET等の樹脂を素材として薄膜状に成形され、それぞれ粘着膜28及び樹脂フィルム26に剥離可能に貼り付けられている。
図4(A)に示されるように、積層シート材32は長尺帯状に形成されており、ローラ状に巻き取られたシートロール34として打抜装置130の送出部112へ装填される。この積層シート材32には、通常、その長手方向に沿ってシートロール34の巻芯35側へ向って凹状に湾曲しようとするカール癖が付いている。このような積層シート材32のカール癖の強度は、シートロール34の外周側に巻き取られていたものでは弱いが、巻取位置がシートロール34の内周側へ移動するに従って強く、すなわち強い力で小さい曲率半径まで湾曲しようとする。
打抜装置130の送出部112はシートロール34を回転可能に支持し、シートロール34から積層シート材32を下流側へ延出させる。打抜装置130は、図4(A)に示されるように、積層シート材32の搬送経路に沿って互いに対となるブレードローラ132及び受けローラ134が設けられており、ブレードローラ132のローラ面133には、周方向に沿って複数(例えば、3個)の外周打抜刃136及び内周打抜刃138が同心状に設けられている。また受けローラ134はブレードローラ132の下側に軸平行となるように配置され、これらのローラ132,134は、それぞれローラ駆動部(図示省略)からのトルクを受けて互いに等線速度で回転する。
ブレードローラ132の外周打抜刃136は、ローラ面133上において環状に設けられており、平面上に展開すると、ディスク基板12と略同一径又は僅かに小径の円軌跡に沿って刃先部が延在するように形成されている。また外周打抜刃136のローラ面133からの突出長は、積層シート材32における保護シート38の表面から剥離シート36の貼付面37までの厚さTE(図4(B)参照)と等しくするか、厚さTEよりも僅かに長く設定する。これにより、外周打抜刃136の刃先が剥離シート36の厚さ方向に沿った中間点まで達し、積層シート材32の弾性変形分を吸収して保護シート38及び樹脂フィルム26を確実に切断することができる。
一方、ブレードローラ132の内周打抜刃138も、ローラ面133上において環状に設けられており、平面上に展開すると、カバーシート24における開口部30(図1参照)と略同一径の円軌跡に沿って刃先部が延在するように形成されている。また内周打抜刃138のローラ面133からの突出長は、積層シート材32全体の厚さT(図4(B)参照)と略等しくされている。
受けローラ134のローラ面135は、その軸心からの曲率半径が一定の湾曲面からなり、金属、硬質樹脂等の一定以上の硬度及び耐磨耗性を有する材料により形成されている。ここで、受けローラ134は、付勢機構(図示省略)によりブレードローラ132の方向へ所定の付勢力で付勢されている。
打抜装置130では、送出部112により下流側へ巻き出された積層シート材32をブレードローラ132及び受けローラ134の間に挟持する。これらのブレードローラ132及び受けローラ134は互いに等線速度で回転し、積層シート材32を下流側へ送り出す。このとき、受けローラ134が付勢機構により付勢されていることから、積層シート材32は、ブレードローラ132のローラ面133と受けローラ134のローラ面135との間で加圧(圧縮)されつつ、ローラ132,134からの搬送力により一定速度で搬送方向(矢印F方向)へ搬送される。このローラ132,134による積層シート材32の搬送時に、ブレードローラ132は、そのローラ面133を保護シート38の表面に圧接させ、また受けローラ134は、そのローラ面135を剥離シート36の表面に圧接させる。
ブレードローラ132は、受けローラ134と共に積層シート材32を搬送方向へ搬送しつつ、外周打抜刃136を積層シート材32における保護シート38へ押し当て、外周打抜刃136及び内周打抜刃138により積層シート材32を切断する。このとき、外周打抜刃136のローラ面133からの突出長が積層シート材32における厚さTE(図4(B)参照)と等しいか、又は厚さTEよりも僅かに長くされている程度なので、外周打抜刃136は、積層シート材32における保護シート38及び片面に粘着膜28が形成された樹脂フィルム26を貫通するが、保護シート38は貫通しない。これにより、ローラ132,134間を通過した積層シート材32の保護シート38及び樹脂フィルム26は、外周打抜刃136の内周側にあった部分が円板状に打抜かれ、他の部分から切離される。またローラ132,134間を通過した積層シート材32の剥離シート36は、打抜刃136,138により打抜かれることなく長尺帯状まま搬送方向へ送り出される。
また、内周打抜刃138のローラ面133からの突出長が積層シート材32における厚さT(図4(B)参照)と等しいか、又は厚さTよりも僅かに短くされていることから、内周打抜刃138は積層シート材32全体を貫通して外周打抜刃136により打ちぬかれた部分の中心部に円形の貫通穴を穿設する。ここで、外周打抜刃136により円板状に打抜かれた樹脂フィルム26及び粘着膜28は、ディスク基板12に貼り合わされるカバーシート24となり、内周打抜刃138により打抜かれた樹脂フィルム26及び粘着膜28の貫通穴は、カバーシート24における開口部30とされる。このカバーシート24には、外周打抜刃136及び内周打抜刃138により打抜かれて、カバーシート24と同一の面形状を有する剥離シート36が貼り付いたままの状態で搬送方向へ送り出される。
次いで、打抜装置130では、ブレードローラ132及び受けローラ134間を通過した積層シート材32から剥離シート36及び樹脂フィルム26のカバーシート24の外周側を剥離、除去すると共に、積層シート材32の開口部30の内周側を抜取り、除去する。これにより、カバーシート24の製造が完了し、このカバーシート24には、粘着膜28に長尺帯状のままの剥離シート36が貼り付けられ、かつ樹脂フィルム26にカバーシート24と同一面形状とされた保護シート38が貼り付けられている。
シート供給ユニット64には、打抜装置130の下流側にカバーシート24を剥離シート36から剥離し、カバーシート24を貼合ユニット54のシート搬送台66上へ搬送するためのシート剥離装置80が設置されている。図5に示されるように、シート剥離装置80には、長尺帯状の剥離シート36からカバーシート24を剥離しつつ、このカバーシート24を貼合ユニット54のシート搬送台66上へ移送するためのクサビ状の剥離ガイド部材84が設けられ、この剥離ガイド部材84は、その先端部85が受入位置にある貼合ユニット54のシート搬送台66側を向くように支持されている。
シート剥離装置80には、剥離ガイド部材84の下流側に、複数のカバーシート24が下面側に貼り付けられた剥離シート36に所定の張力を付与しつつ、この剥離シート36に所定の剥離方向(矢印E方向)の引張り力を加えるテンション機構(図示省略)が設けられている。これにより、シート剥離装置80では、剥離シート36を介してカバーシート24が剥離ガイド部材84の下面部86に一定の圧接力で圧接しつつ、剥離ガイド部材84の基端側から先端側へ向って移動する。このとき、剥離ガイド部材84の先端部85付近では、カバーシート24が剥離シート36から剥離する。また剥離シート36から剥離されたカバーシート24は、剥離ガイド部材84の前方へ押出されて図示の受入位置に保持されたシート搬送台66上へスライドする。このカバーシート24には、シート剥離装置80による搬送方向(矢印F方向)に沿って上面側が凹状に湾曲しようとするカール癖が付いている。
図5及び図6に示されるように、貼合ユニット54におけるシート搬送台66は、その上面部が平面状のシート載置面92とされている。このシート載置面92には、シート供給ユニット64によるカバーシート24の搬送方向(矢印F方向)における終端部にブロック状のストッパ部材94が設けられると共に、ターンテーブル44側の側端部にブロック状のガイド部材96が設けられている。ここで、ガイド部材96は、剥離ガイド部材84からシート載置面92上にスライドしてきたカバーシート24の外周端に接し、このカバーシート24の蛇行を防止する。またストッパ部材94は、剥離ガイド部材84からシート載置面92上にスライドしてきたカバーシート24の外周端に当接し、ガイド部材96と共にカバーシート24をシート載置面92における所定の載置位置に位置決めする。このとき、カバーシート24は、図5の2点鎖線で示されるように、ターンテーブル44とは反対側の端部(一端部)がシート載置面92から剥離ガイド部材84側へ延出する。
シート搬送台66の内部には、シート載置面92の下部側に負圧室(図示省略)がシート載置面92に対向するように設けられると共に、この負圧室からシート載置面92へ貫通する多数の吸引穴98(図6参照)が穿設されている。またシート搬送台66の負圧室はフレキシブルホース等からなる圧力配管90(図5参照)を通して真空ポンプ等の真空発生装置に接続されており、この真空発生装置は、カバーシート24がシート載置面92上に載置されて載置位置に位置決めされると、負圧室内の空気を吸入して負圧室内を予め設定されている真空度まで減圧する。これにより、カバーシート24が吸引穴98からの負圧の作用によりシート載置面92上に吸着される。これにより、カバーシート24に強いカール癖が付いている場合でも、カバーシート24全体がシート載置面92に確実に密着した状態となる。なお、図6に示されたシート載置面92には、図面の簡略化のために一部の吸引穴98のみが示されており、図示を省略した吸引穴98が配置される領域が二点鎖線により示されている。
図6及び図7に示されるように、シート搬送台66の両側面部には、それぞれシート載置面92の幅方向(図6の矢印W方向)へ突出する反転軸100が設けられている。また貼合ユニット54には、反転軸100を中心としてシート搬送台66を反転させると共に、シート搬送台66を上下方向(図7の矢印H方向)及びターンテーブル44の径方向と平行なカール矯正方向(矢印RF方向)に沿って直線的に移動させる搬送加圧機構(図示省略)が設けられている。ここで、カール矯正方向はシート供給ユニット64によるカバーシート24の搬送方向と直交している。シート搬送台66には、反転軸100と軸平行となるように、ブラケット106を介して円柱状の加圧ローラ102が回転可能に取り付けられている。この加圧ローラ102は、そのローラ面104に沿った表層部がシリコンゴム、ウレタンゴム、バイトン等の弾性材料により形成されると共に、このローラ面104の軸方向に沿った寸法がカバーシート24の直径よりも長くされている。
図7に示されるように、加圧ローラ102は、シート搬送台66が受入位置にある状態で、カール矯正方向に沿ってシート搬送台66の外周側にあり、かつシート載置面92に対して僅かに下側に位置するように軸支されている。これにより、加圧ローラ102は、受入位置にあるシート搬送台66上にカバーシート24が載置されると、そのローラ面104をシート載置面92上から上流側へ延出したカバーシート24一端部へ正対させる。
貼合ユニット54では、カバーシート24がシート載置面92上に負圧により吸着されると、搬送加圧機構がシート搬送台66をカール矯正方向に沿って内周側へ移動開始させる。このとき、搬送加圧機構は、先ず、図7に示されるように、反転軸100を中心としてシート搬送台66を所定の方向(図7では反時計方向)へ反転させつつ、シート搬送台66をターンテーブル44におけるディスク支持台46の上方まで上昇させる。続いて、搬送加圧機構は、シート搬送台66の反転動作を継続させつつ、このシート搬送台66を周回位置P2に保持されたディスク支持台46上における所定の貼合開始位置まで移動させる。
貼合開始位置に移動したシート搬送台66は、図8に示されるように、シート載置面92上から延出したカバーシート24の一端部をディスク支持台46上に載置されたディスク基板12の一端部上に重ね合わせると共に、このカバーシート24の一端部に加圧ローラ102のローラ面104を所定の荷重値Lで圧接させる。これにより、カバーシート24の一端部がディスク基板12の一端部上へ加圧される。ここで、荷重値Lは、基本的には、カバーシート24をディスク基板12に貼り合わせるために必要となる加圧力の大きさに応じて設定される。また、このように荷重値Lを設定することにより、加圧ローラ102のカバーシート24に対する摩擦力がシート載置面92の吸引穴98によるカバーシート24に対する吸着力よりも十分に大きくなる。
次いで、搬送加圧機構は、加圧ローラ102を荷重値Lでカバーシート24に圧接させつつ、シート搬送台66をカール矯正方向に沿って貼合開始位置から外周側へ移動させる。これにより、カバーシート24がシート搬送台66のシート載置面92上からターンテーブル44の内周側へ相対的にスライドし、カバーシート24のシート載置面92上から内周側へ延出した部分が加圧ローラ102によりディスク基板12上へ荷重値Lに対応する加圧力で加圧されて行く。このとき、加圧ローラ102の荷重値Lは0.08〜2.5N/cmの範囲で設定され、加圧ローラ102の移動速度は1.2〜120cm/秒の範囲で設定される。
加圧ローラ102は、シート搬送台66がカール矯正方向に沿って貼合開始位置から外周側へ移動すると、このシート搬送台66と共に外周側へ移動しつつカバーシート24上を転動する。これにより、図9に示されるように、加圧ローラ102からの加圧力によりカバーシート24が、その一端部から他端部側へ向ってディスク基板12に貼り合わされて行き、加圧ローラ102がディスク基板12の外周側へ離脱すると略同時に、カバーシート24のディスク基板12への貼り合わせが完了し、製品素材としての光ディスク10が製造される。このとき、加圧ローラ102がカバーシート24に圧接しつつ、このカバーシート24のシートロール34における巻取方向と略直交するカール矯正方向に沿ってカバーシート24上を転動することにより、ディスク基板12に貼り合わされたカバーシート24には圧縮歪み及びカール矯正方向に沿った剪断歪みがそれぞれ付与される。この後、搬送加圧機構は、ディスク基板12の外周側へ離脱したシート搬送台66を受入位置(図5参照)に復帰させる。
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成された成形型150を用いてディスク基板12を射出成形により製造する製造工程について説明する。
ディスク基板12の射出成形(射出成形工程)では、図2に示されるように、固定型152の型面152A上に、複製用の金型原盤であるスタンパ170を配置して行われる。
先ず、コントローラによって油圧シリンダを制御し、可動型154を上方へ移動させて固定型152から分離する。その状態で、固定型152の型面152Aに、スタンパ170を転写用のピットが形成された盤面(転写面)を上方に向けて載置する。
次に、可動型154を下方へ移動させ、油圧シリンダにより所定の型締め圧で固定型152に型締めする。この型締めでは、スタンパ170の外周縁部近傍がスタンパ押さえ156によって固定型152の型面152Aに押し付けられる。これにより、スタンパ170は、その載置位置に固定されると共に裏面が型面152Aに密着し、外周縁部近傍の所定範囲が型面152Aの傾斜面部164に倣い内側から外側へ向けて上り勾配となる傾斜形状となる(図2(B)参照)。
そして、この型締めされた固定型152及び可動型154と、可動型154に設けられたスタンパ押さえ156とによって、前述したキャビティ158が構成され、キャビティ158内に、ディスク基板12の素材となるPC等の溶融樹脂Mが射出装置からランナ162、ダイレクトゲート160を介して射出され充填されて、ディスク基板12の製品素材が成形される。
なお、本実施形態では、射出温度は約330℃、固定型152の保温温度は約118℃、可動型154の保温温度は約118℃に設定し、これらの条件により射出成形を行っている。
成形後は、可動型154を上方へ移動させて固定型152から分離し、円板状に成形された成形品(ディスク基板12の製品素材)を取り出す。この成形品の中心部にセンターホール29(図1参照)を形成すると、表面(記録面14)にスタンパ170からピットが転写されたディスク基板12が作製される。
上記の射出成形工程において、成形型150のキャビティ158にその中央から内部へ溶融樹脂Mが射出されると、溶融樹脂Mは周囲へ放射状に流動して広がりつつキャビティ158内に充填され、キャビティ158におけるディスク基板12の記録面14側の外周縁部14Aを間接的に成形する部位の所定範囲(図2(B)の寸法SLの範囲)では、傾斜面部164により、外周縁部14Aは内側から外側へ向けてその高さ寸法を除々に小さくされるように充填される。
これにより、この成形型150を用いて成形されたディスク基板12では、図10に示されるように、成形型150のキャビティ158内に先に充填されて溶融樹脂Mが速く凝固することにより収縮率が小さくされる外周縁部14Aと、キャビティ158内に後から充填されて溶融樹脂Mが外周縁部14Aよりも遅く凝固することにより収縮率が大きくされる中央側(平面部14B)とで、その相対的な高さ寸法の差が小さくされる。
また、本実施形態の成形型150を用いて成形されたディスク基板12の記録面14における外周縁部14Aを寸法測定した結果、図11(A)に示されるように、ディスク基板12の外周縁12Aから記録面14の面方向に沿って内側に1mmまでの範囲内(L=1mm)では、測定サンプルの全てが、この1mmを超える範囲に対する相対的な高さ寸法が1〜7μmの範囲内(H=1〜7μm)に形成されていた。
次に、上記のように構成された光ディスク製造装置40を用いて光ディスク10を製造する製造工程について説明する。
光ディスク製造装置40では、先ず、ディスク供給ユニット52の搬送アーム62によりディスク台60上から1枚のディスク基板12が把持され、このディスク基板12がターンテーブル44における周回位置P1にあるディスク支持台46上に載置される。これに同期し、周回位置P1にあるディスク支持台46では、センターピン48が上方へ突出してセンターホール29内へ嵌挿することで、ディスク基板12がディスク支持台46上における中心位置に位置決めされる。
ターンテーブル44は、ディスク供給ユニット52によりディスク基板12がディスク支持台46上に載置されると、軸心STを中心として反時計方向へ回転し、ディスク基板12が載置されたディスク支持台46を周回位置P2まで移動させる。この時、貼合ユニット54のシート搬送台66上には、シート供給ユニット64により1枚のカバーシート24が載置されている。このカバーシート24は、既に説明したように、貼合ユニット54により周回位置P2にあるディスク支持台46上に載置されたディスク基板12の記録面14に貼り合わされる。これにより、周回位置P2にあるディスク支持台46上にて光ディスク10の製造が完了する。
ターンテーブル44は、周回位置P2にあるディスク支持台46上にて光ディスク10の製造が完了すると、反時計方向へ回転して光ディスク10載置されたディスク支持台46を周回位置P4まで移動させる。これに同期して、剥離ユニット56は、周回位置P4に停止しているディスク支持台46上に載置された光ディスク10から保護シート90を剥離し、この保護シート90を回収する。また面状検査ユニット68は、周回位置P6に停止しているディスク支持台46上に載置された光ディスク10の上面(光入射面)の平面性、傾き量等の面状を検査する。この面状検査ユニット68による検査結果は、光ディスク製造装置40の制御ユニット(図示省略)へ送信される。制御ユニットは、面状検査ユニット82による検査結果に基づいて光ディスク10が予め決められた品質基準を満たしていないNG品か、品質基準を満たしている良品かを判断する。
光ディスク製造装置40では、面状検査ユニット82による検査完了後に、ターンテーブル44により光ディスク10が周回位置P7まで搬送されてくると、この光ディスク10をディスク搬出ユニット58の搬送アーム78により把持させ、ディスク支持台46上からディスク台74上に搬送して積載する。このとき、光ディスク10が予め決められた品質基準を満たしていないNG品であるか、品質基準を満たしている良品であるかに応じ、光ディスク10をディスク台74上のそれぞれ異なる部位へ積載するようにしても良い。このようにしてディスク台74上に積載された光ディスク10は、所定のロット枚数まで貯まると、ディスク台74上から再検査工程、塗装工程等の他の工程が行われる装置等へ搬出される。
光ディスク10は以上の工程によって製造され、この製造工程において、本実施形態の射出成形工程を有する製造方法により製造されたディスク基板12であれば、記録面14の外周縁部14Aにおける所定の範囲が、その所定の範囲を超える範囲に対する高さ寸法の差を小さく(1〜7μmの範囲内)されていることにより、記録面14に貼り合わせられるカバーシート24は、記録面14の外周縁部14A付近に貼り合せられるカバーシート24の外周縁部付近の曲率が小さくされ、その外周縁部付近での記録面14(外周縁部14A)への密着性が良好になる。これにより、図10に示されるように、ディスク基板12とカバーシート24との間に残留気泡が発生しなくなる。
図11(B)に、外周縁部14Aの高さ寸法が異なる3枚のディスク基板12を用いて製造した光ディスク10の残留気泡に対する外観品質検査を行い、良品/不良品を評価した評価結果を示す。
図11(B)に示されるように、厚さ寸法:t=1.1mmのディスク基板12において、ディスク基板12の外周縁12Aから記録面14の面方向に沿って内側に0.8〜1mmの範囲(L=0.8〜1mm)と、この0.8〜1mmを超える範囲との相対的な高さ寸法の差が、それぞれ、9.2μm(NO.1)、7.8μm(NO.2)、6.6μm(NO.3)である各ディスク基板12に、カバーシート24を貼り合わせて製造したNO.1〜NO.3の各光ディスク10では、NO.1は残留気泡が有り、NO.2は残留気泡が若干有り、NO.3は残留気泡が無しとなった。この外観品質検査に基づく評価結果では、NO.1、NO.2の光ディスク10は不良品となり、NO.3の光ディスク10は良品となった。
以上の評価結果により、ディスク基板12の記録面14における外周縁部14Aが、ディスク基板12の外周縁12Aから記録面14の面方向に沿って内側に1mmまでの範囲内で、この1mmを超える範囲に対する相対的な高さ寸法が1〜7μmの範囲内に形成されているディスク基板12であれば、このディスク基板12を用いて製造された光ディスク10は、ディスク基板12とカバーシート24との間に残留気泡が発生しなくなって品質が向上する。
以上説明したように、本実施形態のディスク基板12の製造方法では、光ディスク10を構成するディスク基板12は、その製造過程における射出成形工程により、ディスク基板12の記録面14における外周縁部14Aが、ディスク基板12の外周縁12Aから記録面14の面方向に沿って内側に1mmまでの範囲内では、この1mmを超える範囲に対する相対的な高さ寸法が1〜7μmの範囲内に形成されるため、このディスク基板12を用いて製造された光ディスク10は、ディスク基板12とカバーシート24との間に残留気泡が発生しなくなって品質が向上する。
また、本実施形態では、上記の射出成形工程において、中央から内部へ射出された溶融樹脂Mが周囲へ広がりつつ充填されることによりディスク基板12を成形するキャビティ158と、このキャビティ158における上記の外周縁部14Aを成形する部位の所定範囲に設けられ、外周縁部14Aの内側から外側へ向けて外周縁部14Aの高さ寸法を除々に小さくする傾斜面部164と、を備える成形型150(固定型152)を用いて射出成形を行うことにより、ディスク基板12の記録面14の外周縁部14Aにおける所定の範囲は、その所定の範囲を超える範囲に対する相対的な高さ寸法が1〜7μmの範囲内に形成される。
このように、射出成形工程により、ディスク基板12の記録面14における外周縁部14Aを所望する形状に形成できることにより、例えば、成形後に外周縁部を別途加工して所望する形状に形成する場合など比べて、製造コストが増加することを抑制できる。
以上、本発明を上述した実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
例えば、上記の実施の形態では、成形型150のキャビティ158における所定範囲には平面状の傾斜面部164を設けているが、これに限らず、曲面状の傾斜面部を設けるようにしてもよい。