請求項1記載の発明は、複数の互いに異なる波長の光束を近接して出射する光源と、受光素子と、前記光源からの光を光ディスクの方に導くとともに光ディスクで反射してきた光を受光素子に導く光学部材とを備え、前記光学部材は、内部に少なくとも前記光学部材の光の入射方向に対して傾斜した第1及び第2の傾斜面を有し、前記第1の傾斜面に第1の偏光分離部を設け、第2の傾斜面に第2の偏光分離部を設け、前記第1の偏光分離部は、短波長の光に対して偏光性を有し、前記第2の偏光分離部は、長波長の光に対して偏光性を有し、前記光源から出射された短波長の光及び長波長の光は、前記第1及び第2の偏光分離部においてP波成分が通過して光ディスクの方へ向かい、光ディスクから反射してきた長波長の光は第2の偏光分離部でS波成分が反射されて受光素子に至るとともに光ディスクから反射してきた短波長の光のS波成分は第2の偏光分離部を透過し、第2の偏光分離部で透過した短波長の光は第1の偏光分離部でS波成分が反射されて受光素子に至ることを特徴とする光ピックアップであり、光源から近接して出射された光を光学部材において容易に光ディスクの方へ出射でき、しかも光ディスクからの反射光が異なる波長の光であったとしても、同一の受光素子に導くことができ、装置全体を小型化することができ、しかも従来の様に受光素子をたくさん設ける必要はない。
請求項2記載の発明は、光学部材に更に第3の傾斜面を設け、第1の傾斜面と第3の傾斜面の間に第2の傾斜面が設けられ、前記第3の傾斜面にはホログラム部が設けられ、第2の偏光分離部で反射された長波長の光は、前記ホログラム部で反射された後に再び前記第2の偏光分離部で反射されて受光素子に入射することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップであり、長波長の光をホログラム部で、複数の光束に分けて受光素子に入射でき、その入射した光で各種信号を生成できる。
請求項3記載の発明は、第1の偏光分離部で反射された短波長の光は、第2の偏光分離部を透過した後に受光素子に入射することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップであり、光学部材の中で光路の引き回しを大きくすることなく、確実に受光素子に入射されることができるので、光学部材の小型化を実現できる。
請求項4記載の発明は、光学部材は略直方体形状を有し、前記光学部材は、光源から光が入射する入射面と、光学部材から受光素子に光が出て行く受光素子出射面と、前記入射面と対向して光ディスクの方へ光が出射される光ディスク出射面とを備え、前記入射面と前記受光素子出射面が略直交しており、前記入射面と前記光ディスク出射面は対向していることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップであり、光学部材の周りに光源,受光素子を配置できるので、装置の小型化を実現できる。
請求項5記載の発明は、1つの半導体基板に複数の異なる波長の光を出射する光源を用いた請求項1記載の光ピックアップであり、光源を小型化でき、しかも光源と光学部材間の位置調整が容易に行える。
請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項5いずれか1記載の光ピックアップと、媒体を回転させる回転駆動手段と、前記回転駆動手段に対して前記光ピックアップ装置を近づけたり離したりする移動手段とを備えたことを特徴とする光ディスク装置であり、2波長レーザー素子を用いることで、薄型化、小型化が実現でき、しかも光軸調整を精度良く行
うことができる。
請求項7記載の発明は、内部に少なくとも前記光学部材の光の入射方向に対して傾斜した第1及び第2の傾斜面を有し、前記第1の傾斜面に第1の偏光分離部を設け、第2の傾斜面に第2の偏光分離部を設け、前記第1の偏光分離部は、短波長の光に対して偏光性を有し、前記第2の偏光分離部は、長波長の光に対して偏光性を有し、入射された短波長の光及び長波長の光は、前記第1及び第2の偏光分離部においてP波成分が通過し、長波長の光は第2の偏光分離部でS波成分が反射されて受光素子に至るとともに短波長の光のS波成分は第2の偏光分離部を透過し、第2の偏光分離部で透過した短波長の光は第1の偏光分離部でS波成分が反射されることを特徴とする光学部材であり、異なる波長の光を取り扱う場合に、容易にしかも極めて小さな距離で、波長毎に分離できるので、装置の小型化などを行うことができる。
図1,図2は本発明の一実施の形態における光ピックアップを示す斜視図及び分解斜視図である。
図1,図2において、1は光源、2は受光素子、3は結合ベース、4,5はそれぞれ光学部材である。光源1,受光素子2及び光学部材4,5はそれぞれ結合ベース3に接合されている。光源1と光学部材4,5の間には結合ベース3に設けられた貫通孔3aが存在しており、光源1から出射された光は貫通孔3aを通過して光学部材4,5に入射され、光学部材5から出射された光は、少なくとも図示していない対物レンズ等の集光手段を通して、図示していない光ディスクに照射され、光ディスクに対して所定の情報記録等を行う。
また、光ディスクから反射してきた光は、少なくとも対物レンズなどを通過し、光学部材5に入射され、光学部材5内部で1乃至複数回反射などを行った後に、受光素子2に入射される。受光素子2では、入射した光を電気信号に変換し、その電気信号は信号生成系の回路部に送られ、その回路部においてトラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号,RF信号などを生成し、それら各信号を基に、光ピックアップのトラッキング制御やフォーカス制御を行い、更にRF信号から所望の情報を生成する。
光源1は結合ベース3の後部から取り付けられ、光源1の先端における光出射部と結合ベース3に取り付けられた光学部材4が対向するように互いに結合ベース3に取り付けられている。また、受光素子2の光入射面は少なくとも光学部材5の側方部と対向しており、光学部材5の底部には光学部材4が対向している。
以下、各部ついて、詳細に説明する。
まず、光源1について説明する。
光源1としては、例えば、図3,図4に示されるフレームレーザー光源が好適に用いられる。光源1としてのフレームレーザー光源は、プレート6の一部をモールド部材7で覆うように構成されている。プレート6としては、銅,銅合金,銀,銀合金,アルミ,アルミ合金,鉄,鉄合金などの金属製の板状体が好ましく用いられ、更に好ましくは、この板状体の上に半田付け性の良い材料をメッキや蒸着などの手段でコーティングすることが好ましい。なお、本実施の形態では、板状体を金属材料で構成したが、金属材料以外でも熱伝導性が良く、導電性が高い材料、例えば導電性セラミック等を用いることができる。本実施の形態では、プレート6としては、銅或いは銅合金で構成された板状体の上にAg或いはAg合金のメッキ膜を設けた。プレート6は両側方にはみ出た、側方部6a,6bが設けられており、この側方部6a,6bは放熱を促す様に設けられたり、或いは他の部材
への取付性を向上させるように設けられたりなどする。
プレート6には、絶縁部を有するサブマウント8を介して半導体レーザー素子9が設けられており、半導体レーザー素子9の上面はプレート6と金などのワイヤーで電気的に接続されている。この時、半導体レーザー素子9の光出射面はフレームレーザー光源の上部に配置される。サブマウント8の基台は絶縁材料で構成され、サブマウント8の半導体レーザー素子9が形成される面には分離された電極11,12が形成され、電極11,12上に半導体レーザー素子9が電気的に接合されている。
半導体レーザー素子9は、モノブロックすなわち、一つのブロックに1乃至複数の異なる波長の光を出射する構成となっている。本実施の形態では、波長約650nm(例えばDVD系)のレーザー光と、波長約780nm(CD系)のレーザー光を出射する半導体レーザー素子9を用いた。なお、半導体レーザー素子9から出射される光は一つでも良いし、また、三つ以上の互いに波長の異なる光を照射しても良い。本実施の形態における光ピックアップの場合、特に、複数の互いに異なる波長の光を出射する半導体レーザー素子9を用いる場合に適している。また、本実施の形態では、互いに波長の異なる複数の光を出射する場合に、半導体レーザー素子9としてはモノブロックを用いたが、一つのブロックで一つの波長の光束を出射する半導体レーザー素子9を複数個プレート6の上に複数実装して、互いに異なる波長の光を複数出射しても良い。多少この場合には、光源1のサイズが大きくなる可能性はあるものの、任意の異なる波長の光束を出射する半導体レーザー素子9を搭載できるので、大幅に波長の異なる複数の光束を出射する構成とすることが容易である。
13,14,15はそれぞれ端子部で、端子部13はプレート6と一体形成されている。すなわち、プレート6と端子部13は電気的に接続されている。また、端子部14,15は、プレート6及び端子部13とは分離して設けられており、モールド部材7にて互いに固定されている。端子部14の端部は導電性のワイヤ16を介して電極12と電気的に接合しており、端子部15はワイヤ17を介して電極11と互いに電気的に接合している。
例えば、半導体レーザー素子9がDVD系の光ディスクに対して情報の記録/再生の少なくとも一方を行う光束と、CD系の光ディスクに対して、情報の記録/再生の少なくとも一方を行う光束を出射させる場合には、端子部13はグランドに接続し、端子部14はDVD系の光束を出射させる様な電流を供給する回路に接続し、端子部15はCD系の光束を出射させる様な電流を供給する回路に接続される。すなわち、DVD系の光束を出射させる場合には、例えば電流は端子部14,ワイヤ16,電極12,半導体レーザー素子9,ワイヤ10,プレート6,端子部13の順に流れる。CD系の光束を出射させる場合には、例えば電流は端子部15,ワイヤ17,電極11,半導体レーザー素子9,ワイヤ10,プレート6,端子部13の順に流れる。
モールド部材7は、樹脂材料やセラミック材料などの絶縁性材料が好適に用いられ、時に好ましくは樹脂材料を用いることであり、樹脂材料を用いることで、光源1の製作が非常に容易になる。また、樹脂材料の中でも、高耐熱性(250℃以上)を有し、バリなどの発生が少ない材料が好ましく、本実施の形態では、PPS(ポリフェニレンスルフィド)を用いた。また、使用可能な樹脂材料としてはエポキシ樹脂,ウレタン樹脂,液晶ポリマーなどを好適に用いることができる。
モールド部材7は上述の様に、端子部13と一体になったプレート6,端子部14,15を互いに固定しており、しかも図3に示すように、光源1の前面においてモールド部材7は光束の出斜面側を開口させた壁部を有している。壁部内には、サブマウント8,半導
体レーザー素子9,プレート6の一部,ワイヤ10,ワイヤ16,ワイヤ17,端子部14の一部,端子部15の一部が配置される。また、図4に示すように光源1の裏面には、プレート6の半導体レーザー素子9を設けた側と反対側の面の一部が露出するようにモールド部材7が設けられている。前面側のモールド部材7及び裏面側のモールド部材7は一体構成となっている。
次に結合ベース3について図5,図6を用いて詳細に説明する。
結合ベース3は、比較的、軽量,高精度での形状加工性,放熱性等を兼ね備えた材料で形成させることが好ましく、例えば、亜鉛,亜鉛合金,アルミ,アルミ合金,チタン,チタン合金などが好適に用いられる。本実施の形態では、コスト面などを考慮し、亜鉛ダイキャストで結合ベース3を構成した。なお、結合ベース3と他の部材との接合性を向上させたり、或いは結合ベース3に耐候性を持たせる等の種々の目的のために、結合ベース3の全表面あるいは少なくとも一部の表面にAu,Au合金,Sn,Sn合金(Sn−Cu,Sn−Ag−Sn等)で構成された膜,フィルム等を設けることが好ましい。時に、前述の金属材料をメッキ等で形成することが量産性等の面で好ましい。この時、膜,フィルムの厚みとしては、3μm以上とすることが好ましく、コスト面などを考慮すると20μm以下とすることが好ましい。また、膜として構成する場合には電界メッキや無電界メッキなどのメッキの手法を用いて形成したが、蒸着やスパッタリングなどの手法を用いて形成しても良い。
結合ベース3には、他の部材などに結合ベース3を固定する固定部18,19が設けられており、固定部18,19にはそれぞれ他の部材などにネジ,カシメピンなどの締結手段が挿入される貫通孔18a,19aが設けられている。本実施の形態では、この貫通孔18a,19aにネジを挿入し、そのネジを他の部材のネジ孔に挿入して締め付けて固定した。
なお、本実施の形態では、他の部材への取付をネジで行ったが、有機接着剤や半田などの接合材もしくは超音波溶接などの溶接手段を用いた結合ベース3を他の部材に取り付けても良く、この場合には、貫通孔18a,19aは設けなくても良く、代わりに接着面や接合面に凹凸や所定の面粗さを設けたり、或いは溝等を設けて、接合接着強度を向上させても良い。
なお、本実施の形態では、貫通孔18a,19aをそれぞれ固定部18,19に設けたが、例えば一方の固定部18にのみ貫通孔18aを設け、固定部19には貫通孔19aを設けない構成でも良い。この場合には、固定部18はネジなどの他の部材に固定し、固定部19は、他の部材に固定部19の挿入部などを設けて係止させて、結合ベース3を他の部材に固定する方法でも良い。また、本実施の形態では、貫通孔18a,19aの断面形状としては、円形や角部を円弧状にした略方形形状としたり、或いは楕円形状としたが、一部にスリットを設け、断面略C字型の貫通孔にしたり、或いは断面半円状としても良い。
更に、好ましくは、図5,図6に示すように固定部18,19の外端に位置決め用の略V字或いは略U字型の凹部18b,19bを設けても良い。この凹部18b,19bは結合ベース3を他の部材に取付の際に位置決め用として設けられたり、或いは、結合ベース3に光源1,受光素子2,光学部材4,5を取り付ける組み立て作業時の基準部として用いてもよい。なお、本実施の形態では、凹部18b,19bを設けたが、固定部18,19の少なくとも一方に設けても良いし、あるいは、他の治具などを用いて光ピックアップの組み立てや、他の部材への取付を行う場合には、特に凹部18b,19bを設ける必要はない。ただ、その他の理由で凹部18b,19bが必要な場合には、例え他の治具など
で組み立てを行う場合でも、凹部18b,19bを固定部18,19に設けても良い。
固定部18,19の間には、少なくとも光源1,受光素子2,光学部材4,5を取り付ける本体部20が設けられており、本体部20の両脇に固定部18,19が一体に設けられる構成となっている。なお、本実施の形態では、本体部20と固定部18,19を一体に形成したが、固定部18,19に相当する部材を別部材で設け、本体部20に固定部18,19に相当する部材を、接着,係止,係合,溶接などのいずれか一つの手法を用いて取り付けても良い。
本体部20には対向した一対の側壁21,22が立設されており、側壁21,22の間には光学部材5が配置される。側壁21には壁部21a,21bが設けられており、壁部21aは壁部21bよりも高さが高くなっており、しかも壁部21aと壁部21bの間は傾斜部21cで一体に連結されている。同様に側壁22には壁部22a,22bが設けられており、壁部22aは壁部22bよりも高さが高くなっており、しかも壁部22aと壁部22bの間は傾斜部22cで一体に連結されている。また、壁部21b,22bにはそれぞれ互いに対向するテーパー部21d,22dが設けられている。
また、壁部21a,22bの傾斜部21c,22cと反対側には、それぞれ略平坦な受光素子2の取付部23,24が設けられており、受光素子2はこの取付部23,24に接着などの手法を用いて固定される。なお、取付部23,24は略同一平面であることが望ましい。取付部23,24は底部においてほぼ同一平面の連結部で連結されている。また、この様に壁部21a,22aは受光素子2を取り付ける取付部23,24を設けているので、ある程度の機械的強度が必要となる。その対策の一例としては、傾斜部21c,22cを設けることで、壁部21a,22aの底部の幅が広くなり、壁部21a,22aの機械的強度を増すように構成している。
テーパー部21d,22dは例えば、光学部材4,5を本体部20に取り付ける際に、光学部材4,5を挿入しやすくしたりあるいは、光学部材4,5に傷などが入らないように設けられている。更にこのテーパー部21d,22dを設けることで、後述するように光学部材5を搭載して接着剤で光学部材5を本体部20に固定する際に接着剤をこのテーパー部21d,22dと光学部材5との間に貯めることができ、接合強度を増すことも可能となる。
本体部20の一方の側面部には、他の部分よりも隆起した隆起部25が設けられており、この隆起部25は、本体部20の底部にしかも固定部18,19の間に設けられた第1隆起部25aと、本体部20の側部にしかも壁部21aの側面部にかけて設けられた第2隆起部25bとを有している。また、第1隆起部25aと第2隆起部25bは接続されており、図6では、略逆T字型に構成されている。
隆起部25を設けることでその部分の厚みを増すことが可能となり、例えば本体部20の機械的強度を増すことができ、結合ベース3の撓みや変形を抑制できる。更に、壁部21aの側部にも第2隆起部25bが設けられているので、壁部21aの更なる機械的強度の補強を実現でき、安定した受光素子2の固定を行うことができる。
なお、結合ベース3を構成する材料,サイズ,形状によっては、この隆起部25を設けなくても良く、更に設ける場合においても、図6に示す形状に限らず、円形状,方形状,略C字型,略楕円型,略F字型,略E字型などの様々な形状で隆起部25を設けることが可能である。
また、壁部21aには端部まで達した窪み部26が設けられ、壁部22aには略V字或
いは略U字状の溝27が設けられている。これは、後述するように取付部23,24に受光素子2を接着剤などで接合する際に接着剤が光学部材4まで達し難いように設けられる。壁部21aは前述の様に隆起部25が設けられているために十分な広さの取付部23を得ることができるので、壁部21aの端部まで達した窪み部26としたが、壁部22aでは、この隆起部25が設けられていない分、端部まで達した窪み部を設けると、取付部24の面積が小さくなるので、端部まで達していない溝27とした。
なお、この窪み部26及び溝27も仕様などによっては設けなくても良い。
また、壁部21a,22aが対峙し、壁部21b,22bが対峙するように側壁21,22は設けられている。
本体部20には、光学部材4,5の載置部28が設けられており、載置部28の両脇に側壁21,22が一体に立設されている。なお、本実施の形態では、側壁21,22を載置部28に一体に立設させたが、側壁21,22を別部材で構成し、その側壁21,22を載置部28の両脇に接着,係止,係合,溶接などのいずれか一つの手法を用いて取り付けても良い。
載置部28には、貫通孔3aが設けられており、貫通孔3aには、断面が大きな大径部32と、断面が小さな小径部33を連結して構成されている。本実施の形態では、大径部32及び小径部33をともに、断面形状が角部を円弧状とした略長方形状とし、しかも略相似形としたが、断面形状を円形状,楕円形状,5角形以上の多角形状等の他の形状でも良く、また、大径部32と小径部33の断面形状を異なる形状としても良い。すなわち、大径部32を上述の通り略長方形状とし、小径部33を略円形状としても良い。
大径部33は光学部材4を収納可能としているので、光学部材4が収納できる程度の断面及び深さを有している。なお、本実施の形態では、大径部32及び小径部33を設けることで、大径部32に光学部材4を収納しても脱落することを防止できる等のメリットがあるが、光学部材4を他の治具などで貫通孔3a内に保持しておく様に工程などを考慮すれば、特に大径部32,小径部33を設けずに、貫通孔3aをストレートな構造とすることもできる。すなわち、例えば貫通孔3aの断面を全ての領域において所定の半径の円形とすることもできる。
また、貫通孔3aをストレート構造とした場合に上述の様に光学部材4が貫通孔3aが脱落するのを防止するように、貫通孔3aが構成する内に壁に一体或いは別体で突起部などを設けることもできる。この様な構成では、光学部材4の脱落を防止でき、組み立て性が向上する。
載置部28における貫通孔3aの開口部分の周縁部には、突起部29,30,31が設けられており。この突起部29,30,31は載置部28に一体もしくは別体で設けられる。別体で設ける場合には、突起片を載置部28の貫通孔3aの開口周辺に接着,係止,係合,溶接などのいずれか一つの手法を用いて取り付けても良い。
なお、本実施の形態では、結合ベース3に貫通孔3aを設けたが、貫通孔3aに限らずU字状の切り欠き等の開口部であればよい。
本実施の形態では、図5,図6に示すように、貫通孔3aの開口部における側壁21,22と非対向の部分の一方には比較的大きな突起部29を一つ設け、他方の部分には、比較的小さな突起部30,31を並列して設けた。この時、この突起部29,30,31の高さは、好ましくは全てほぼ同じ高さで構成する。また、この突起部29,30,31の
上面には光学部材5が載置され、その結果光学部材5は突起部29,30,31の高さの分、光学部材4とは所定の距離を持って離れ、光学部材4,5は互いに非接触となるように構成される。
なお、本実施の形態では、貫通孔3aの開口の一方の側に一つの突起部29を設けた他方に突起部30,31を並列させて設け、光学部材5を載置した際に3点支持となるように構成して安定した載置ができるように構成したが、どちらもそれぞれ突起を一個ずつ設けても良いし、複数個それぞれ突起を設けても良い。また、光学調整等を行う際にわざと光学部材5を傾斜して取り付ける場合については、左右で突起の高さを異ならせても良い。すなわち、図5,図6に示す構成では、例えば突起部29を高くし、突起部30,31の高さを低くすることで、光学部材5は傾斜して取り付けられることになる。
なお、本実施の形態では、突起部29,30,31の断面形状は略方形状としたが、略円形状,略多角形状,略三角形状など仕様や工程などに応じて適度に形状を変更できる。
更に、本実施の形態では突起部29,30,31を設けたが、例えば、光学部材4の厚みよりも所定以上大径部32の深さを深くすることで、光学部材を大径部32に収納した際に、開口部と光学部材4の間に隙間が生じるように構成すれば、特に突起部29,30,31を設けなくても、光学部材5は載置部28に載置され、しかも光学部材4は大径部32の中に完全に収納されているので、容易に光学部材4,5間に隙間を形成されることができる。
また、本実施の形態では、貫通孔3aを大径部32,小径部33で構成したが、中径部を大径部32と小径部33の間に設けて、段部が2つ設ける構成としても良い。さらに、本実施の形態では、大径部32と小径部33の間には段部を設けた構成としたが、載置部28から離れるに従って連続的に径が小さくなるように構成しても良い。すなわち、貫通孔3aにおいて載置部28側の開口の断面積は載置部28側と反対側の開口の断面積よりも広く構成する。
更に、載置部28側から大径部32,小径部33,大径部32の様に貫通孔3aの中途部分に径の小さな部分を有する構成でも良い。
なお、貫通孔3aが断面方形あるいは断面多角形状などの円形以外の場合には、大径部32と小径部33は、その断面積において、大径部32が広く、小径部33は断面積が小さいということを意味する。
本体部20は載置部28の底部側において、載置部28と固定部18,19を一体に接続する支持部34と、光源1を挿入する空間部分35が併設されている。また、載置部28からは空間部分35の方に突出した突出部36が設けられている。この突出部36と支持部34は空間を介して対峙している。固定部18,19の間に支持部34と空間部分35が設けられる。
空間部分35は貫通孔3aと連通している。また、固定部18,19からは、突出部37,39が空間部分35に向かって突出しており、この突出部37,39と支持部34の間には、隙間38,40が設けられている。この隙間38,40には主に光源1の側方部6a,6bが挿入される。また、隙間38,40に面している支持部34には側方部6a,6bが接合される接合部41,42が設けられる。
また、本体部20の隆起部25を設けた側には、空間部分35と連通した貫通孔100が設けられており、光源1の位置あわせを行うときに観測できるように設けられている。
なお、多少工程は複雑にはあるが、この貫通孔100を透明なガラスや樹脂フィルムで覆ったり、あるいは透明樹脂やガラスなどを貫通孔100に埋設しても良い。
次に受光素子2について図7,図8を用いて詳細に説明する。
受光素子2は、光ディスクからの反射光や、光源1から出射され光ディスクを経由せず入射される光が入射される受光素子体43と、受光素子体43を実装する基板44と、基板44に実装され、電源電圧を安定化させることができるコンデンサ45,46が設けられている。
受光素子体43は、モールド樹脂などで構成されたケース43a内にフォトディテクタなどを設けたフォトセンサ基板43cが内蔵されており、フォトセンサ基板43cには、フォトディテクタが仕様などに応じて所定のパターンで複数配置されている。ケース43aからは、複数のリード43bが外部に露出しており、このリード43bはフォトセンサ基板43cに電気的に接続されている。また、リード43bは受光素子体43の駆動に必要な電力を内部のフォトセンサ基板43cに伝えたり、フォトセンサ基板43cで受光した光が電気信号に変換され、その電気信号を外部に導く働きを有する。ケース43aは少なくともフォトセンサ基板43cと対向する窓部分43dが透明〜半透明となる様に構成されている。更に好ましく、少なくともフォトセンサ基板43cのセンサが設けられている部分と窓部分43dが対向するように構成される。また、ケース43aは全体をクリア樹脂などの透明樹脂でモールドして構成することで、別途別部材などを設けずに透明な窓部分43dを設けることが可能となる。また、迷光などの不要な光が窓部分43d以外から進入するのを防止等の目的で、窓部分43d以外の部分を不透明な樹脂やセラミックなどで構成し、窓部分43dの部分に透明なガラス,透明な樹脂フィルム等を設ける構成としても良い。更に、本実施の形態では、ケース43aを透明なクリア樹脂とし、窓部分43dを他の部分よりも段落ちさせて、薄くして透明にして、他の部分にエンボスを設けたり或いは表面粗さを粗くして非透明になるように構成した。また、塵対策などが他の手段で行われている場合には、窓部分43dには何も設けず、フォトセンサ基板43cのセンサ部分をむき出しにする構成でも良い。
本実施の形態では、基板44はフレキシブルプリント基板の様な可撓性を有する基板や多層のフレキシブルプリント基板を用いた。なお、基板44の形状を特に可変にしなくても良い場合では、基板44はセラミック基板,セラミック多層基板,ガラスエポキシ基板,多層のガラスエポキシ基板等のある程度の弾性或いは剛性を有するものを用いることができる。
基板44は略L字或いは略T字型に形成されており、基板44は外部との接続を行う外部接続端子44bを有する接続部44aと、受光素子体43やコンデンサ45,46等の部材が実装される実装部44cとを有しており、実装部44cと接続部44aは、略垂直あるいは所定の傾斜を有して一体に成形されている。この様に実装部44cと接続部44aを一体で構成することで、所定形状の基板44を作製しさえすれば、良いので基板44の製造が容易になり、生産性が向上する。なお、本実施の形態では、基板44を略L字或いは略T字型としたが、当然、仕様などによって、様々な形状を採用することは可能である。
本実施の形態の形状であれば、例えば、実装部44cと接続部44aを一体構成としたが、例えば、実装部44cと接続部44aを別々に構成し、実装部44cに各部材を実装した後に、接続部44aを実装部44cに取り付ける構成としても良く、あるいは、基板44として、単に円盤,四角板,帯状などの形状のものを用い、それら基板44上に外部接続端子44b,受光素子体43を設けたりしてもよい。
本実施の形態では、外部接続端子44bが配置される領域、すなわち、接続部44aの先端部においては、他の部分よりも幅広にして他の回路などとの接続を行いやすくしている。
コンデンサ45,46はセラミックコンデンサなどが好適に用いられ、受光素子体43内に設けられたオペアンプなどによって生じる発振防止などの目的で用いられている。本実施の形態では、コンデンサ45,46をセラミックコンデンサで構成したが、積層セラミックコンデンサ,タンタルコンデンサ,電解コンデンサ等を仕様などによって用いても良い。
次に光学部材4,5について図9〜図11を用いて詳細に説明する。
光学部材4は、略直方体状の透明な光学ガラスで構成された基体47、基体47の光源1と対向する面に設けられ、光源1から出射された光を3ビームに分離する回折格子48、基体47の光源1と対向する面と反対側の面(光学部材5と対向する面)には開口制限膜49が設けられている。
開口制限膜49は例えばSiO2膜とSi膜,Ti膜の少なくとも一方とを交互に複数回積層して光を吸収する構成とし、略環状に設けられている。すなわち、開口制限膜49で取り囲まれた領域を通過した光は所望の断面積を有する出射光が通過する。すなわちこの開口制限膜49の中央部の開口の大きさを調整することで、光源1から出射される光の断面積を調整可能とすることができる。また、本実施の形態では、開口制限を行うのに、開口制限膜49を設けたが、シート状の開口制限部材を貼り付けたり、他の不透明なブロックを貼り付けたりしてもよく、制限開口部を設ければよい。また、開口制限部としては貫通孔3aの断面の大きさを調整してもよい。すなわち、光学部材4の光源1側の貫通孔3aの開口の大きさを調整することで、貫通孔3a自体が開口制限部と機能し、別途光学部材4等に開口制限膜49等を設けなくても良い。
なお、本実施の形態では、開口制限膜49で構成された開口形状は略方形状としたが、光ピックアップの光学設計の状況に応じて、円形や多角形あるいは楕円形状としても良い。また、基体47は略直方体としたけれども、立方体形状や半球形状としても良い。また、回折格子48は基体47の表面部に設けたが、回折格子48の保護の目的で、回折格子48を設けた面に基体47と同一の材料で構成した透明基板や、透明フィルムを設けたり、透明な保護膜を設けても良い。
光学部材5は、透明な光学ガラスや光学樹脂で構成されたブロック50,51,52,53を互いにガラスやUV硬化樹脂などで接合して構成され、全体として略直方体形状となっている。光学部材5は互いに略平行な傾斜面54,55,56が内蔵されている。傾斜面54はブロック50,51の間に形成されており、この傾斜面54はブロック50,51の接合面に相当する。この傾斜面54には偏光分離膜が設けられており、この偏光分離膜はブロック50,51の少なくとも一方の面に形成されており、しかも図22に示すように、短波長の光(例えばDVD)においては、P波はほぼ透過し、S波は反射し、長波長の光(例えばCD)においては、P波もS波もほぼ透過させる性能を有する。傾斜面55はブロック51,52の間に形成されており、この傾斜面55はブロック51,52の接合面に相当する。この傾斜面55には偏光分離膜が設けられており、この偏光分離膜はブロック51,52の少なくとも一方の面に形成されており、しかも図23に示すように、短波長の光(例えばDVD)においては、P波,S波ともはほぼ透過し、長波長の光(例えばCD)においては、P波を透過させ、S波は反射させる性能を有する。傾斜面56はブロック52,53の間に形成されており、この傾斜面56はブロック52,53の
接合面に相当する。この傾斜面56にはサーボなどに用いられるホログラムが設けられており、このホログラムはブロック52,53の少なくとも一方の面に形成されている。
なお、本実施の形態では、光学部材5を4つのブロックで構成したが、光学設計の仕様などによって、5つ以上のブロックで構成しても良く、その結果傾斜面を4つ以上光学部材5の中に内蔵させても良い。
次に、傾斜面54及び傾斜面55にそれぞれ設けられた偏光分離膜の具体的構成について説明する。
まず、傾斜面54に設けられる偏光分離膜について説明する。
傾斜面54に形成する偏光分離膜として、高屈折率(nH)の膜Hと低屈折率(nL)の膜Lの組み合わせを検討した結果、ブロック50,51,52,53としてBK−7などの光学部品用透明ガラスを選択した場合、CD側のレーザー光が少なくとも38°以上52°の入射角範囲において、P波を90%以上透過し、DVD側のレーザー光のP波を少なくとも35°以上55°の入射角範囲において90%透過し、S波を35°以上55°の入射角範囲において90%反射するような広範囲の入射角での波長選択性を持つ偏光分離膜の構成として、高屈折率膜のTiO2膜(nH=2.43)と、低屈折率膜のSiO2膜(nL=1.45)の積層で実現できることを見出した。例えば、基本構成として、BK−7(ブロック50)/a1H・b1L・a2H・b2L・・・amH・bmL/BK−7(ブロック51)(但しa1,a2・・・・amおよびb1,b2・・・・bmはλ/4の係数[光学膜厚])などがある。このとき、上述の様な偏光分離膜である光学薄膜上に導光部材(ブロック51)を積層するための接着剤としては、導光部材(ブロック51)と屈折率の近い接着剤を使用し、光学特性を劣化させないようにしてある。このような膜構成として、例えば膜Hと膜Lを交互に積層してトータル38層、膜厚4.0μmの光学薄膜の分光特性は図22に示す通りである。
以上の様な偏光分離膜は、785nmでのP波の透過率は、90%以上を実現し、また、660nmでのP波の透過率は、90%以上を有し、S波の透過率として10%以下を実現している。
なお、このような入射角特性を満足する高屈折の膜Hとしては、TiO2の他にTa2O5やそれらと中間屈折率材料との化合物およびNb2O5、ZnSなどがあり、低屈折の膜Lとしては、SiO2の他にMgF2などがある。
さらに、傾斜面55に形成するに偏光分離膜として、高屈折率(nH)の膜Hと低屈折率(nL)の膜Lおよびそれらの中間屈折率(nM)の膜Mの組み合わせを検討した結果、ブロック50,51,52,53としてBK−7などの光学部品用透明ガラスを選択した場合、少なくとも38°以上52°の入射角範囲において、前記第1のレーザー光のP波を50%以上90%以下透過し、かつ25°以上55°の入射角範囲において、S波を70%以上反射し、前記第2のレーザー光の光ディスクからの反射光のS波およびP波を前記第2の導光部材の傾斜面に対し、少なくとも35°以上55°の入射角領域において、80%以上透過するような広範囲の入射角での波長選択性を持つ膜の構成として、高屈折率膜のTiO2膜(nH=2.43)、低屈折率膜のSiO2膜(nL=1.45)と中間屈折率のAl2O3膜(nH=1.66)の3種類の屈折率の積層膜で実現できることを見出した。特に、Al2O3膜は低入射角で高い反射率を得るために効果がある。例えば、基本構成として、43層(TiO2:17層、Al2O3:12層、SiO2:14層)、膜厚5.1μmの膜構成(但し、隣接する膜の材料は異なるように積層する方が好ましい)や46層(TiO2:16層、Al2O3:14層、SiO2:16層)、膜厚5.4μmの膜構
成(但し、隣接する膜の材料は異なるように積層する方が好ましい)などがある。このとき、傾斜面54に形成する偏光分離膜と同様に、光学薄膜上にブロック52を積層するための接着剤としては、導光部材(ブロック52)と屈折率の近い接着剤を使用し、光学特性を劣化させないようにしてある。この膜構成を持つ光学薄膜の分光特性は660nmおよび785nmの波長において優れた反射および透過特性を持つ。
図23は、43層、膜厚5.1μmの膜構成での入射角45°でのS波とP波透過率の波長依存性の実測値である。図23から明らかなように、785nmでのS波の透過率は、20%以下を実現している。また、785nmでのP波の透過率は、複屈折を見込んだ透過率として60%以上90%以下を実現している。さらに、660nmでのS波およびP波の透過率は、90%以上の高い透過率を実現している。
なお、このような入射角特性を満足する高屈折の膜Hとしては、TiO2の他にTa2O5やそれらと中間屈折率材料との化合物およびNb2O5、ZnSなどがあり、中間屈折率の膜Mとしては、Al2O3の他にCeF3やLaF3があり、低屈折の膜Lとしては、SiO2の他にMgF2などがある。
なお、本実施の形態では光学部材4を省略することもできる。すなわち、1ビームで記録/再生の少なくとも一方を行う場合には、回折格子48は不要であり、しかも特に開口制限を必要としない場合には、開口制限膜49は不要である。また、開口制限膜49のみが必要な場合には、光学部材5の光源1からの光入射面側に一体に設けることができる。
以上の様に構成された光学部材4,5を用いた場合の光路について図11を用いて説明する。なお、図11は光学部材5を説明のために分離しているので、多少光路は、実際とは異なっている。また、本実施の形態では、光源1からは、DVDに対して有効は波長の光と、CDに対して有効な波長を出射するのを前提としている。光源1からDVDに対して情報の記録/再生の少なくとも一方を実現できる波長の光を出射すると、光学部材4に設けられた回折格子48及び開口制限膜49を通過することで、3ビームに分離されるとともに、所定の開口を有する光束となる(A1)。光学部材4を通過した後、光学部材5に入射すると、光源1から出射された光はP波なので偏光分離膜を有した傾斜面54,傾斜面55に設けられた偏光分離膜を透過してブロック52の上面から光が出射される(A2,A3,A4の順で光は通過)。なお、実質的には光の光路A1〜A4はほぼ直線状である。光ディスクで反射してきた光は、傾斜面55に設けられた偏光分離膜においてS波成分が透過する。すなわち、光路A4,A3の順で直線的に傾斜面54に入射し、傾斜面54に設けられた偏光分離膜では短波長の光のS波成分は反射する特性を有するので、傾斜面54の偏光分離膜で光は反射され、光路A5で傾斜面55を透過し、光路A6で受光素子2に入射される。
光源1からCDに対して情報の記録/再生の少なくとも一方を実現できる波長の光を出射すると、光学部材4に設けられた回折格子48及び開口制限膜49を通過することで、3ビームに分離されるとともに、所定の開口を有する光束となる(B1)。光学部材4を通過した後、光学部材5に入射すると、光源1からの光はP波であるので、偏光分離膜を有した傾斜面54,傾斜面55に設けられた偏光分離膜を透過してブロック52の上面から光が出射される(B2,B3,B4の順で光は通過)。なお、実質的には光の光路B1〜B4はほぼ直線状である。光ディスクで反射してきた光は、光路B4で傾斜面55に入射すると光ディスクで反射してきた光は、傾斜面55の偏光分離膜によってS波成分が反射され、光路B5で傾斜面56に入射し、サーボ制御などに用いられるホログラムに入射して更に反射され、光路B6で光は進行し、傾斜面55で反射して光路B7で受光素子2に入射される。
以上の様に構成された光ピックアップにおいて、その組み立て方法について図を用いて説明する。
図12に示すように、貫通孔3a内の段差部もしくは、光学部材4の回折格子48を設けた面(開口制限膜49を設けた側と反対側)の少なくとも一方に、瞬間接着剤等の接着剤を塗布し。光学部材4を大径部32に挿入し、貫通孔3aを塞ぐように光学部材と結合ベース3を接合する。
次に図13に示すように、載置部28上に光学部材5を載置する。この時光学部材5は突起部29,30,31上に載置されるとともに、側方を側壁21,22で挟み込まれるように配置される。また、光学部材5は図13で示すX−Y方向に移動させることで、所定に位置決めがなされ、図14に示すように、側壁21,22と光学部材5との間に接着剤60,61を供給し、位置決めされた光学部材5と結合ベース3を短時間で固定する。この時用いられる接着剤60,61は紫外線硬化樹脂を含むものや、吸水性を有し瞬間的に硬化するものなどが好適に用いられる。この時に、側壁21,22に高低差のある壁部21a,21b,22a,22bを設けることで、光学部材5のX−Y方向の位置調整を容易に実現でき、しかもテーパー部21d,22dを設けていることで接着剤60,61は他の場所に流れ出ることを防止でき、しかも接着剤60,61を光学部材5と側壁21,22の間に貯めることができるので、確実に各部を接合でき、しかも他の部分への流出することを抑えることができるので、他の部材への影響を小さくすることができる。
また、突起部29,30,31を設けていることで、光学部材4,5間に0.05mm〜0.17mmの隙間を設けることができ、しかも接着剤60,61がその隙間に介在しないように構成できるので、光学部材4,5間に接着剤60,61などが存在することによって生じる光の収差などの発生を防止でき、光学特性を向上させることができる。
次に、図15に示すように、光源1を結合ベース3の底部側から空間部分35に挿入するとともに、側方部6b,6aが隙間38,40に配置される。また、受光素子2も側壁21,22の取付部23,24に当接させ、しかも受光素子2或いは取付部23,24の少なくとも一方の面に紫外線硬化接着剤を塗布しておく。そして、光源1を発光させてX軸方向に移動させてバランス調整を行い、しかも受光素子2も、Y軸やZ軸方向に移動させて、高さ調整やS字調整を行う。この様に、光源1と受光素子2を相対的に動かす構成とすることで、例え、光源1が2つの異なる波長の光を極めて小さな間隔で出射されたとしても、確実にしかも精度良く簡単に光源1と受光素子2の位置決めを行うことができる。これは、例えば、自動機械などで、これら位置調整を行わせることで、生産性を向上させることができる。
各部材に対して、所定の位置に調整され、光源1と受光素子2の位置関係において、確実に光ディスクへ光源1からの光が導かれ、しかも光ディスクからの光が受光素子2に入射されることがほぼ確認されたら、今度は、光源1と結合ベース3の間に紫外線硬化接着剤もしくは、Agペーストを塗布しておき、図15に示すZ軸に沿って、光源1を移動させ、例えばDVDに用いられる光のデフォーカス調整を行う。デフォーカス調整が終了したら、紫外線を照射したり熱を直接或いは間接的に加えることで光源1と結合ベース3を仮固定させる。この時、紫外線硬化接着剤やAgペーストは、側方部6a,6bか接合部41,42の少なくとも一方に塗布しておく。また、光源1の位置調整の際には、貫通孔100から人の目視或いは自動機械による画像認識で、観測しながら行われる。光源1と結合ベース3を仮固定したら、図16に示すように、突出部36,37,39とプレート6の少なくとも3カ所に、Agペースト,クリーム半田或いは半田箔等の粘度が比較的高いか或いはバルク状(粉体や顆粒状体を含む)の接合材200をそれぞれ供給し、その接合材200に対して、ヒートガンやレーザー光線を照射することで溶融させ、光源1と結
合ベース3との確実な接合を行うことができる。なお、この様に、比較的熱伝導の良い半田やAgペーストなどの金属製の接合材200は、熱伝導率が大きいので、光源1で発生した熱を効果的に結合ベース3に逃がすことができ、光源1の熱対策にも有効である。なお、光源1の熱対策が不要な場合には、仮固定用の紫外線硬化接着剤を本固定の接合材としても良いし、仮固定を施した後に、本固定として用いられる接合材200をエポキシ樹脂系接着剤,瞬間接着剤,紫外線硬化接着剤などの有機接着剤等としても良い。
次に、図15に示すように。X軸周りに受光素子2を回転させて、例えばCDに用いられる光のデフォーカス調整を行う。デフォーカス調整が完了したら、紫外線を照射して受光素子2と結合ベース3の間に設けられた紫外線硬化接着剤を硬化させ、受光素子2と結合ベース3を接合させる。
また、図17に示すように、紫外線硬化接着剤を受光素子2と結合ベース3との間に設けた場合に、その接合材300が、光学部材4,5の間に流れ込む可能性があったり、あるいは、光学部材4,5(特に光学部材5)に接触した接合材300が硬化する際に、光学部材4,5(特に光学部材5)を移動させたりすることが発生する。この問題を解決するために、溝27や窪み部26を設けたことで、接合材300の光学部材4,5側への流れ混みを防止できる。
以上のように、本実施の形態では、例え複数の互いに異なる波長の光を出射する光源1を用いたとして、受光素子2との位置関係を結合ベース3を用いて、精度良くしかも作業性良く組み立てられるので、生産性が良く、歩留まりなどを向上させることができる。
更に、光学部材4,5の間に及び光源1と光学部材4の間に接合材300を非介在としたことで、光に収差が発生するのを抑制でき、光学特性なども改善される。
また、この様な光ピックを用いた光学系構成について図18を用いて説明する。
光源1から出射された光は光学部材4,5を通過してコリメータレンズ400に入射し、BSプレート401(ビームスプリッタプレート)で反射され、立ち上げプリズム403に導かれる。この時、BSプレート401では、出射された光の一部が透過し、光源1の光量をモニターする受光センサ402に導かれ、受光センサ402の出力によって光源1の発光パワーが調整される。BSプレート401からの光は、立ち上げプリズム403の面403aで反射し、面403bで更に反射し、面403aを透過して液晶を挟み込んだホログラム404に入射し対物レンズ405に導かれ、光ディスク406に集光される。光ディスク406で反射した光は対物レンズ405,ホログラムを経由して立ち上げプリズム403に導かれ、面403aを通過し、面403bで反射し更にその後面403aで反射しBSプレート401に導かれ、BSプレート401で反射しコリメータレンズ400を通過し光学部材5に入射され、受光素子2に到達する。
図19は本発明の一実施の形態における光ピックアップを用いた光ディスク装置を示す図で、図19において、500は筐体で、筐体500は上部筐体部500aと下部筐体部500bを組み合わせて構成されている。なお、上部筐体部500aと下部筐体部500bとは螺旋などを用いて、互いに固着されている。501は筐体に出没自在に設けられたトレイ、502はトレイ501に設けられたスピンドルモータ、503は光ピックで、光ピック503には図1〜図18に示す光ピックアップが用いられ、光ディスクに情報を書き込むか或いは情報を読み出す動作の少なくとも一方を行う。また、光ピック503は、光ディスクの半径方向に移動可能に保持されたキャリッジ(図示せず)に搭載されている。504はトレイ501の前端面に設けられたベゼルで、ベゼル504はトレイ501が筐体500内に収納された時に、トレイ501の出没口505を塞ぐように構成されてい
る。506,507はそれぞれトレイ501及び筐体500の双方に摺動自在に取り付けられたレールで、トレイ501の両側部にこのレール506,507は設けられており、このレール506,507にて図19で示す矢印P方向に筐体500からトレイ501が出没自在に取り付けられている。
トレイ501の前端面に設けられたベゼル504にはイジェクトスイッチ508が設けられており、このイジェクトスイッチ508を押すことで、筐体500に設けられた係合部(図示せず)とトレイ501に設けられた係合部(図示せず)との係合を解除する。
以下、結合ベース3に設けられた固定部18,19の使用方法について図20,図21を用いて説明する。
図20に示すようにキャリッジ600の両端には、図示していない移動軸或いは駆動軸を移動自在に取り付ける軸受け部601,602が設けられている。キャリッジ600には複雑な形の貫通孔603が設けられており、この貫通孔603の中には対物レンズ604を保持したレンズ保持部605が可動自在に保持されている。
レンズ保持部605は支持部606によって図示していないサスペンションワイヤなどで可動自在に支持されており、しかも支持部606は貫通孔603内においてキャリッジ600に固定されている。レンズ保持部605には貫通孔609が設けられており、この貫通孔609の内壁にはフォーカスコイル607及びトラッキングコイル608が設けられている。また、貫通孔609には磁界を発生し、レンズ保持部605には非固定の永久磁石610〜613が挿入されており、この永久磁石610〜613とフォーカスコイル607及びトラッキングコイル608でレンズ保持部605を移動させる。
すなわち、レンズ保持部605はフォーカスコイル607及びトラッキングコイル608にそれぞれ所定の電流を流すことによって、レンズ保持部605をフォーカス方向或いはトラッキング方向に移動させ、対物レンズ604を所定の位置に移動させる。また、貫通孔603には、反射ミラー614が固定されている。また、キャリッジ600には、光ピックアップを保持する切り欠き部615が設けられており、しかも貫通孔603と切り欠き部615は連通孔619にて結合される。
切り欠き部615の開放側であってしかもキャリッジ600の外周部には突起616,617がそれぞれ立設されている。
図21に示すように、光ピックアップを切り欠き部615に挿入し、突起617,616を貫通孔18a,19aに挿入する。この時に突起616,617の直径は、貫通孔18a,19aの直径よりもやや小さくなっており、突起616,617を貫通孔18a,19aに挿入した後でも光ピックアップは、多少移動自在となるように構成されているので、装着した後も、光ピックアップとキャリッジ600は相対的に多少の範囲で移動可能となるので、光軸調整などを精度良く行うことができる。光学調整などが終了したら、突起616,617をカシメたり、溶着したりしてキャリッジと光ピックアップを固定する。或いは固定部18,19とキャリッジの間に接着剤を塗布したりして、互いに固定される。なお、本実施の形態では、突起616,617を円柱状としたが、四角柱状,断面が三角形や5角形以上の多角形状などの柱状体としても良い。或いは、突起616,617の先端を先細にして、貫通孔18a,19aに挿入しやすくしても良い。また。好ましくは突起616,617の断面形状と貫通孔18a,19aの断面形状は略相似形であることが好ましいが、異なる形状としても良い。この場合でも、あくまでも、光ピックアップをキャリッジ600に非固定で装着した際に、多少光ピックアップが移動可能なように貫通孔18a,19aの大きさと突起616,617の関係を考慮することが好ましい。
なお、本実施の形態ではキャリッジ600に突起616,617を設け、その突起に固定部18,19の貫通孔18a,19aを挿入することで、キャリッジ600と光ピックアップを互いに固定したが、突起616,617を設けずに、固定部18,19とキャリッジ600の切り欠き部615が開放している外縁部とを当接させ、光軸調整を行った後に、接着剤を塗布したり或いは溶着するなどの手法で、互いに接合しても良く、この時、貫通孔18a,19aは設けても設けなくても良い。また、固定部18,19とキャリッジ600の互いに当接させる面の少なくとも一方の表面を粗面化したり凹凸を設けることで、接着面積や溶着面積を広くしても良い。
この様に、光源1や光学部材4,5を直接固定した結合ベース3に一体に固定部18,19を設け、その固定部18,19を直接キャリッジ600等の他の部材に接合する構成であるので、光軸調整が確実に行え、しかも強固に光ピックアップをキャリッジ600に固定できる。