図1は本発明の一実施の形態における光ピックアップ装置を示す概略図である。
図1において、1は短波長レーザーを出射する短波長光学ユニットで、短波長光学ユニット1から出射される光は、400nm〜415nmの波長であり、本実施の形態では略405nmの光を出射するように構成した。なお、一般に上述のレーザー波長の光は青色〜紫色をしている。本実施の形態においては、短波長光学ユニット1の詳細は後述するが、短波長のレーザーを出射する光源部1aと、光ディスク2から反射してきた光を受光する信号検出用の受光部1bと、光源部1aから出射された光の光量をモニターする様に設けられた受光部1cと、光学部材1dと、それら構成部材を所定の位置関係に保持する保持部材(図示せず)とを含んでいる。光源部1aには、GaNもしくはGaNを主成分とする半導体レーザー素子(図示せず)が設けられており、この半導体レーザー素子から出射された光は光学部材1dに入射され、入射された光の一部は光学部材1dにて反射され受光部1cに入る。図示していないが、この受光部1cで光を電気信号に変換し、その電気信号を元に光源部1aから出射される光の強さを所望の強度に調整する回路などが設けられている。また、光源部1aから出射された光のほとんどは光学部材1dを通して光ディスク2の方へ導かれる。また光ディスク2で反射してきた光は光学部材1dを介して受光部1bに入射される。受光部1bは、光を電気信号に変換し、その電気信号よりRF信号,トラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号などを生成する。光学部材1d中にはフォーカスエラー信号を得ることが出来るように光ディスク2からの反射光を分離するホログラム1eが設けられている。
なお、本実施の形態においては、光ピックアップ装置を小型化するために、光源部1a,受光部1b,1c及び光学部材1dを含んだひとつの短波長光学ユニットとして構成したが、受光部1b,1cの少なくとも一方を短波長光学ユニット1から外に出して別体として構成したり、あるいは光学部材1dを短波長光学ユニット1から外に出して別体として構成してもよい。
3は長波長のレーザーを出射する長波長光学ユニットで、長波長光学ユニット3から出射される光は、640nm〜800nmの波長であり、一種の波長の光を単数出射したり、あるいは複数種の波長の光を複数出射する構成となっている。本実施の形態では、略660nmの波長の光束(赤:例えばDVD対応)と略780nmの光束(赤外:例えばCD対応)を出射する構成とした。本実施の形態においては、長波長光学ユニット3の詳細は後述するが、長波長のレーザーを出射する光源部3aと、光ディスク2から反射してきた光を受光する信号検出用の受光部3bと、光源部3aから出射された光の光量をモニターする様に設けられた受光部3cと、光学部材3dと、それら構成部材を所定の位置関係に保持する保持部材(図示せず)とを含んでいる。光源部3aには、半導体レーザー素子(図示せず)が設けられており、この半導体レーザー素子はモノブロックで構成され(モノリシック構造)、このモノブロックの素子から略660nmの波長の光束(赤)と略780nmの光束(赤外)を出射する。なお、本実施の形態では、モノブロックの素子で2つの光束を出射する構成としたが、一つのブロック素子で一つの光束を出射する素子を2つ内蔵した構成としてもよい。この半導体レーザー素子から出射された複数の光束は光学部材3dに入射され、入射された光の一部は光学部材3dにて反射され受光部3cに入る。図示していないが、この受光部3cで光を電気信号に変換し、その電気信号を元に光源部3aから出射される光の強さを所望の強度に調整する回路などが設けられている。また、光源部3aから出射された光のほとんどは光学部材3dを通して光ディスク2の方へ導かれる。また光ディスク2で反射してきた光は光学部材3dを介して受光部3bに入射される。受光部3bは、光を電気信号に変換し、その電気信号よりRF信号,トラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号などを生成する。なお、光学部材3dには、CD用のフォーカスエラー信号を生成するために光ディスク2からの反射光を複数本に分離して、それぞれ受光部3bの所定の場所に導くホログラム3eが設けられている。
なお、本実施の形態においては、光ピックアップ装置を小型化するために、光源部3a,受光部3b,3c及び光学部材3dを含んだひとつの長波長光学ユニット3として構成したが、受光部3b,3cの少なくとも一方を長波長光学ユニット3から外に出して別体として構成したり、あるいは光学部材3dを長波長光学ユニット3から外に出して別体として構成してもよい。
4は短波長光学ユニット1から出射された光と、光ディスク2からの反射光が通過するビーム整形レンズである。ビーム整形レンズ4は、短波長レーザーの通過による劣化が少ないガラスで構成されることが好ましい。本実施の形態においては、ビーム整形レンズ4をガラスで構成したが、短波長レーザーの通過による劣化が少ない材料であれば、他の材料によってビーム整形レンズ4を構成することも同様に実施可能である。ビーム整形レンズ4は、短波長のレーザーの非点収差をおよび短波長光学ユニット1から光ディスク2に至る光路中で発生する非点収差を打ち消す目的で設けられている。このビーム整形レンズ4の目的上、光ディスク2から反射してきた光はこのビーム整形レンズ4を介さずに短波長光学ユニット1に入射させてもよいが、光学的な配置上光ディスク2からの反射光を本実施の形態では、ビーム整形レンズ4を介して短波長光学ユニット1に入射させている。なお、本実施の形態では短波長の光の非点収差を低減させるようにビーム整形レンズ4を用いたが、ビーム整形プリズムやビーム整形ホログラムを変わりに用いてもよい。
また、ビーム整形レンズ4の両端にはそれぞれ凸部4a及び凹部4bが設けられており、短波長光学ユニット1から出射された光はまず凸部4aに入射して凹部4bから出射するようにビーム整形レンズ4は配置される。
5は光学部品で、光学部品5は光路上ビーム整形レンズ4の先に配置され、ビーム整形レンズ4の凹部4b側に配置される。すなわち、短波長光学ユニット1から出射された光はビーム整形レンズ4を介して光学部品5に入射され、光ディスク2へと導かれ、光ディスク2から反射してきた光は、光学部品5,ビーム整形レンズ4を順に経由して短波長光学ユニット1に入射される。光学部品5にはホログラムなどが設けられており、少なくとも以下の機能を有する。すなわち、光ディスク2から反射してきた光を主にトラッキングエラー信号を生成するように所定の光束に分離させる機能である。前述の通り、光学部材1d中に設けられたホログラム1eにてフォーカスエラー信号を作成するために複数本の光束に分離し、光学部品5にてトラッキングエラー信号を生成するために複数本の光束に分離する。
更に詳細には後述するが、光学部品5には、短波長の光の略中央部分の光量を減衰させるRIM強度補正フィルタの役目をする機能を持たせてもよい。更には、光学部品5を2つに分離して、一方の光学部品5に光ディスク2から反射してきた光を主にトラッキングエラー信号を生成するように所定の光束に分離させる機能を持たせ、他方の光学部品5にRIM強度補正フィルタの機能を持たせることも出来る。
6は長波長光学ユニット3から出射された長波長の光が通過するリレーレンズで、リレーレンズ6は樹脂やガラスなどの透明部材にて構成される。リレーレンズ6は長波長光学ユニット3から出射された光を効率よく後方の部材に導くように設けられる。また、リレーレンズ6を設けることによって、長波長光学ユニット3をよりビームスプリッタ7側に配置できるようになるので、装置の小型化を実現できる。
7はビームスプリッタで、ビームスプリッタ7中には少なくとも2つの透明部材7b、7cを接合して設けられており、透明部材7b,7cの間には一つの傾斜面7aが設けられており、その傾斜面7aには波長選択膜が設けられている。短波長光学ユニット1から出射された光が入り込む透明部材7cの傾斜面7aには波長選択膜が直接形成されており、この波長選択膜が形成された透明部材7cの傾斜面7aに樹脂やガラス等の接合材を介して透明部材7bが接合されている構成となっている。
また、ビームスプリッタ7は短波長光学ユニット1から出射された短波長の光を反射し、長波長光学ユニット3から出射された光を透過させる機能を有する。すなわち短波長ユニット1から出射された光と長波長光学ユニット3から出射された光をほぼ同一方向に導く構成としている。
8は移動自在に保持されたコリメータレンズで、コリメータレンズ8はスライダ8bに取り付けられ、スライダ8bは略平行に設けられた一対の支持部材8aに移動可能に取り付けられている。ヘリカル状の溝が設けられたリードスクリュー8cが支持部材8aに対して略平行となるように設けられており、このリードスクリュー8cの溝に入り込む突起がスライダ8bの端部に設けられている。リードスクリュー8cにはギア群8dが結合されており、ギア群8dには駆動部材8eが設けられている。駆動部材8eの駆動力はギア群8dを介してリードスクリュー8cに伝えられ、しかもその駆動力によってリードスクリュー8cは回転し、その結果スライダ8bは支持部材8aに沿って移動する。すなわち、駆動部材8eの駆動方向の違いや駆動速度の違いによってコリメータレンズ8はビームスプリッタ7に対して近づく方向に移動させたりあるいは離れる方向に移動させたりすることができ、しかもその移動の速さなどを調整できる。
なお、駆動部材8eとしては、各種モータなどが好適に用いられるが、特に駆動部材8eとしては、ステッピングモータを用いることが好ましい。すなわち、ステッピングモータに送るパルスの数を調整することによって、リードスクリュー8cの回転量が決定し、その結果コリメータレンズ8の移動量を容易に設定可能となる。
この様に、コリメータレンズ8をビームスプリッタ7に近づけたり離したりする構成を採用することで、球面収差の調整を容易に行うことができる。すなわち、コリメータレンズ8の位置によって、短波長の光の球面収差を調整することができるので、短波長対応の光ディスクに設けられた第1の記録層と、その第1の記録層と異なる深さに設けられた第2の記録層に対してそれぞれに記録または再生の少なくとも一方を効果的に行わせるように構成できる。
コリメータレンズ8には、ビームスプリッタ7から入射される長波長及び短波長の光が透過するので、ガラスもしくは好ましくは耐短波長光樹脂(短波長によって劣化しないあるいは劣化しにくい樹脂)で構成される。このコリメータレンズ8は光ディスク2で反射してきた短波長あるいは長波長の光も透過する。
また、本実施の形態では、短波長の光の球面収差の補正を行う構成として、駆動部材8eにてコリメータレンズ8を移動させる構成としたが、その他の構成によって、コリメータレンズ8を移動させてもよいし、他の手段を用いて、短波長の光の球面収差を調整する構成としてもよい。
9は立ち上げミラーであり、立ち上げミラー9には短波長の光に対して作用する1/4波長部材9aが設けられている。この1/4波長部材9aとしては、二度(往路と復路で)通過した光の偏光方向を略90度回転させる1/4波長板が好適に用いられる。本実施の形態では1/4波長部材9aは立ち上げミラー9の中に挟みこんだ構成とした。立ち上げミラー9において各ユニット1,3から出射された光が入射する面には波長選択膜9bが設けられており、長波長光学ユニット3から出射された長波長の光をほとんど反射し、短波長光学ユニット1から出射された短波長の光をほとんど透過させる機能を有する。
10は長波長レーザー用の対物レンズで、対物レンズ10は立ち上げミラー9から反射してきた光を光ディスク2に集光させる。本実施の形態では対物レンズ10を用いたが、ホログラム等その他の集光部材で構成してもよい。また、当然のごとく、光ディスク2から反射してきた光はこの対物レンズ10を通過する。対物レンズ10はガラスや樹脂などの材料で構成される。
11は対物レンズ10と立ち上げミラー9の間に設けられた光学部品で、光学部品11はDVD(略660nmの波長の光)及びCD(略780nmの波長の光)の光ディスク2に対応可能な様に必要な開口数を実現するための開口フィルタと、略660nmの波長の光に対して反応する偏光ホログラムと、1/4波長部材(好適には1/4波長板)を具備している。光学部品11は、誘電体多層膜や回折格子開口手段などで構成される。偏光ホログラムは略660nmの光に対して偏光を加える(略660nmの波長の光をトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号用の光に分離する)。また、1/4波長部材は、略660nm及び略780nmの波長の光の往路に対する復路の偏光方向を略90度回転させる。
12は短波長の光をほとんど反射する立ち上げミラーで、立ち上げミラー12には反射膜が設けられている。
13は対物レンズで、対物レンズ13は立ち上げミラー12から反射してきた光を光ディスク2に集光させる。本実施の形態では対物レンズ13を用いたが、ホログラム等その他の集光部材で構成してもよい。また、当然のごとく、光ディスク2から反射してきた光はこの対物レンズ13を通過する。対物レンズ13はガラスで構成されたり、あるいは樹脂で構成されるが、対物レンズ13を樹脂で構成する場合には好ましくは、耐短波長光樹脂(短波長によって劣化しないあるいは劣化しにくい樹脂)で構成される。
14は対物レンズ13と立ち上げミラー12の間に設けられた色消し回折レンズで、色消し回折レンズ14は色収差を補正するという機能を有する。色消し回折レンズ14は短波長の光が通過する各光学部品などで生じる色収差を打ち消して低減させるように設けられている。色消し回折レンズ14は基本的にはレンズの上に所望のホログラムを形成して構成され、色収差の補正度合いは、ホログラムの格子ピッチ,レンズの曲率半径の少なくとも一つを調整することで決定可能である。色消し回折レンズ14はプラスチックなどの樹脂やガラスで構成されている。樹脂などを用いる場合には、耐短波長光樹脂(短波長によって劣化しないあるいは劣化しにくい樹脂)で構成されることが好ましい。
以上の様に構成された光学系の具体的は配置について、以下、図2を基に説明する。
図2は実際に、図1で示した光学構成について、具現化した例を示しており、図1に示す各部材とは多少形状などが異なるが、機能などはほぼ同じである。
15は基台で、基台15は上述の各部材が固定あるいは移動可能に取り付けられている。基台15は、亜鉛,亜鉛合金,アルミ,アルミ合金,チタン,チタン合金などの金属あるいは金属合金材料で構成され、量産的な面から好ましくはダイカスト製法などを用いて構成されている。基台15は図3,図4に示すような光ピックアップモジュールに移動自在に保持される。
図3,図4において、20はフレームでフレーム20には略平行に配置されたシャフト21,22が取り付けられており、このシャフト21,22に基台15が移動可能に取り付けられている。また、シャフト22のシャフト21側と反対側には、ヘリカル状の溝を設けたスクリューシャフト23がシャフト21,22と略平行にフレーム20にしかも回転自在に取り付けられている。詳細には図示していないが、基台15に一体あるいは別に設けられた部材がこのスクリューシャフト23に設けられた溝に噛み込んでいる。スクリューシャフト23はフレーム20に回転自在に設けられたギア群24aと噛み合っており、このギア群24aはフィードモータ24と噛み合っている。従って、フィードモータ24が回転すると、ギア群24aが回転し、それに伴ってスクリューシャフト23が回転し、スクリューシャフト23が回転することによって、基台15は図3に示す矢印方向に往復運動を行うことができる。このとき、本実施の形態では、フィードモータ24は、スクリューシャフト23に略平行に配置される。また、フレーム20には光ディスク2を装着し、光ディスク2を回転させるスピンドルモータ25がネジ止めや接着などの手法にて取り付けられている。
さらに、補足的に、図3に示すように、フレーム20とは別体に制御基板26を設け、この制御基板26と基台15の間は、例えばフレキシブル基板29を介して電気的に接合され、さらには図示していない部材によってスピンドルモータ25とも制御基板26は電気的に接続されている。制御基板26には光ディスク装置に設けられた制御基板との間の電気的接続を行うコネクタ27が設けられており、このコネクタ27に図示していないフレキシブル基板等を差し込んで電気的接続を行う。
さらに図4に示す様にフレーム20において、少なくとも光ディスクと対向する側に、部材の保護を行うことを一つの目的としたフレームカバー30を設けてもよい。フレームカバー30には貫通孔31が設けられており、この貫通孔31からは、基台15における少なくとも対物レンズ10,13が表出し、さらにはスピンドルモータ25が所定量突出している。また、図3,図4において、フレーム20には他の部材へ固定するために取付部20aが設けられており、この取付部20aにネジなどを挿入して他の部材へフレーム20を取り付ける。
図2において、基台15には、短波長光学ユニット1,長波長光学ユニット3,ビーム整形レンズ4,光学部品5,リレーレンズ6,ビームスプリッタ7,支持部材8a,リードスクリュー8c,ギア群8d,駆動部材8e,立ち上げミラー9,12等が光硬化型接着剤やエポキシ系接着剤等の有機系の接着剤を用いて接着されたり、半田や鉛フリー半田等の金属系の接着剤を用いて接着されたり、もしくはネジ止め,嵌合,圧入等の手法を用いて取り付けられている。
なお、リードスクリュー8cおよびギア群8dについては、回転自在に基台15に取り付けられている。
17はサスペンションホルダーで、このサスペンションホルダー17は後述するヨーク部材を介して各種接合手法によって基台15に取り付けられており、レンズホルダー16とサスペンションホルダー17は複数本のサスペンション18を介して結合されており、レンズホルダー16は基台15に対して所定の範囲移動可能なように支持される。レンズホルダー16には対物レンズ10,13および光学部品11,色消し回折レンズ14等が取り付けられており、レンズホルダー16の移動によって、レンズホルダー16とともに、対物レンズ10,13および光学部品11,色消し回折レンズ14も移動する。図5に示すように、立ち上げミラー9,12は基台15に隆起して設けられた隆起部15d,15eにそれぞれ光硬化性樹脂や瞬間接着剤などによって取り付けられる。隆起部15dに立ち上げミラー9を取り付ける際には、立ち上げミラー9を透過していく光を遮らないように立ち上げミラー9と隆起部15dとの接着位置を考慮する。立ち上げミラー9,12はレンズホルダー16の下部に位置するように設けられているため、図2には図示されていない。
図6〜図8を参照してレンズホルダー16周りの構成を説明する。なお、図7は図6のA−A断面を示す図である。
図7に示すように、レンズホルダー16には貫通孔16a,16bが設けられており、図7に示すP1方向から対物レンズ10,13がそれぞれ貫通孔16a,16bに落とし込まれて、光硬化性接着剤などで固定される。このとき対物レンズ10,13の外周部がレンズホルダー16の貫通孔16a,16bの周縁部に当接する。また、光学部品11および色消し回折レンズ14は図7の矢印P2方向からそれぞれ貫通孔16a,16bに挿入され、やはり、光硬化性接着剤や瞬間接着剤などによって固定される。このときも光学部品11および色消し回折レンズ14の外周部がレンズホルダー16の貫通孔16a,16bの周縁部に当接する。
図6に示すように、33,34はそれぞれフォーカスコイルで、それぞれ略リング状に巻線されており、しかもレンズホルダー16の対角位置にそれぞれ設けられている。35,36はトラッキングコイルでフォーカスコイル33,34と同様にそれぞれ略リング状に巻線されており、しかもフォーカスコイル33,34とは異なる対角位置にそれぞれ設けられている。また、フォーカスコイル33,34とレンズホルダー16の間には、それぞれサブトラッキングコイル37,38が設けられている。このサブトラッキングコイル37,38を設けることで、トラッキング中に生じるレンズホルダー16の不要な傾きなどを抑制することができる。サブトラッキングコイル37,38を熱硬化性接着剤などの有機接着剤で、レンズホルダー16に接合してその後にフォーカスコイル33,34をサブトラッキングコイル37,38に上に接着剤などで接合してもよく、さらに、例えば予めサブトラッキングコイル37とフォーカスコイル33を接合した接合体をレンズホルダー16に接着する方法でもよい。これらのコイルとレンズホルダー16との接合や、コイル同士の接合には、好ましくは熱硬化性接着剤が用いられるが、光硬化性接着剤やその他の接着剤を用いて接合することも同様に実施可能である。またコイルとレンズホルダー16,コイル同士を所定の位置に確実に配置することができれば、その他の方法を用いて接合してもよい。
サスペンション18はレンズホルダー16を挟むように片方に3本ずつ設けられており、サスペンション18はサスペンションホルダー17とレンズホルダー16とを弾性的に連結しており、少なくともレンズホルダー16は所定の範囲で、サスペンションホルダー17に対して変位可能となっている。なお、本実施の形態では、サスペンション18は片方に3本ずつ設け、合計6本としたが、それ以上の数(例えば8本)のサスペンション18を設けても、それ以下の数(例えば4本)のサスペンション18を設けてもよい。また、便宜上図6において上方の3つのサスペンション18を光ディスク2と対向する側からそれぞれサスペンション18a,18b,18cとし、図6の下方の3つのサスペンション18を光ディスク2と対向する側からそれぞれサスペンション18d,18e,18fとした。サスペンション18の両端部はそれぞれレンズホルダー16とサスペンションホルダー17にインサート成型で固定されている。
以下にサスペンション18とレンズホルダー16に設けられた各コイルとの配線の一例について説明する。すなわち、レンズホルダー16に設けられた各コイルには、サスペンション18を介して電流が流される。
フォーカスコイル33の両端はそれぞれサスペンション18a,18bにそれぞれ電気的に接続され、フォーカスコイル34の両端はサスペンション18d,18eにそれぞれ電気的に接続される。また、トラッキングコイル35,サブトラッキングコイル37,トラッキングコイル36,サブトラッキングコイル38はそれぞれ直列に接続されており、それら直列に接続されたコイル群の両端の一方は、サスペンション18cに接続され、他方はサスペンション18fに接続される。各コイルの端部とサスペンション18は例えば半田や鉛フリー半田などの金属系の接合材によって、電気的に接続されている。
サスペンション18は断面略円形状や略楕円形状のワイヤもしくは断面矩形状などの多角形状のワイヤで構成してもよく、さらには板バネを加工することでサスペンション18としてもよい。サスペンション18は、サスペンションホルダー17を下にして対物レンズ10,13の光の出射方向から見ると略ハの字型になっており、テンションが加えられている。これにより、小型化とサスペンション18の座屈方向の共振を低減させることが可能となる。
32は磁気回路を構成しやすいFeあるいはFe合金などで構成されたヨーク部材で、ヨーク部材32にはレンズホルダー16に設けられた各コイルに対向する立設部32a,32b,32cが切り起こし加工などによってヨーク部材32に一体に設けられている。また、ヨーク部材32の下面には開口部32dが設けられており、この開口部32dからは、基台15に固定された立ち上げミラー9,12が入り込む構成となる。また、サスペンションホルダー17はこのヨーク部材32の上に接着などの手法によって固定され、しかもヨーク部材32はやはり接着などの手法によって基台15に接合される。
39〜42はヨーク部材32に接着などの手法により設けられたマグネットである。
マグネット39は立設部32cに取り付けられるとともに、フォーカスコイル33およびサブトラッキングコイル37に対向するように設けられている。また、マグネット39は、図7に示す高さ方向について底面部から対物レンズ10,13側に、S極,N極の順でフォーカスコイル33およびサブトラッキングコイル37に対向する面に磁極が表出するように着磁され、ヨーク部材32に配置されている。
マグネット40は図6に示す幅方向について、立設部32cのマグネット39が取り付けられた側とは反対側に取り付けられ、トラッキングコイル35と対向するように設けられている。なお、本実施の形態ではヨーク部材32の剛性等を増すように、立設部32cを図6に示す幅方向に広く形成したが、立設部32cを二つに分割し、その一方にマグネット39を接着などによって取り付け、マグネット40を他方に取り付けた構成としてもよい。また、マグネット40は図6に示す幅方向について、内側からN極,S極の順でトラッキングコイル35に対向する面に磁極が表出するように着磁され、ヨーク部材32に配置されている。
マグネット41は立設部32bに取り付けられ、トラッキングコイル36に対向するように設けられ、図6に示す幅方向について、内側からN極,S極の順でトラッキングコイル36に対向する面に磁極が表出するように着磁され、ヨーク部材32に配置されている。
マグネット42は立設部32aに取り付けられるとともに、フォーカスコイル34およびサブトラッキングコイル38に対向するように設けられている。また、マグネット42は、図7に示す高さ方向について底面部から対物レンズ10,13側に、S極,N極の順でフォーカスコイル34およびサブトラッキングコイル38に対向する面に磁極が表出するように着磁され、ヨーク部材32に配置されている。
以下各部の詳細について、説明する。
まず、短波長光学ユニット1について図9,図10を用いて説明する。なお、図9は各部の配置関係が明確になるように図示されており、図10は実際の短波長光学ユニット1の断面図を示している。
少なくとも光源部1a,受光部1b,受光部1c,光学部材1dが載置部43に直接あるいは間接的に取り付けられている。また、載置部43の後端部は保持部材44に取り付けられている。載置部43の保持部材44との取付部43cは凸状の湾曲形状となっており、同様に保持部材44の載置部43との取付部は凹状の湾曲形状となっている。載置部43は保持部材44と組み合わせ、しかも互いの湾曲形状部分を摺動させることによって、互いに所望の位置関係となるように位置決めされ、その後に半田等の金属製の接着剤や有機接着剤などによって互いに固定される。
載置部43には光源部1aの少なくとも一部が収納可能な光源収納部43aが設けられており、この光源収納部43aに光源部1aを収納した後、接合材にて光源部1aが光源収納部43aから脱落しないように接合されている。また、光源部1aの光出射部と対向する部分には貫通孔43bが光源収納部43aと連通して設けられ、光源部1aから出射された光は貫通孔43bを通過して光学部材1dに導かれる。光学部材1dは詳細には後述するが、傾斜面46aを有した光学部46と内部に複数の傾斜面を有した光学部47とを少なくとも有している。載置部43には光学部材1dと対向する受光取付部48が一体に形成されており、受光取付部48に貫通孔45が設けられている。受光取付部48について光学部材1d側の反対側には、フレキシブルプリント基板49を介して受光部1bが接着等の手法で取り付けられている。フレキシブルプリント基板49は省略されて図9や図10等に記載されているが、受光部1bと他の部材間を電気的に接続しており、しかも貫通孔49aが設けられている。光学部材1dからの光はこの貫通孔45,49aを介して受光部1bに導かれる。さらに、図10から明らかなように、受光取付部48と対向するように受光取付部50が載置部43に一体に設けられており、この受光取付部48,50の間に光学部材1dが配置される。受光取付部50には図示していないが、貫通孔が設けられており、受光取付部50には受光部1cが接着などの手法で取り付けられている。光学部46からの光が図示していない受光取付部50の貫通孔を通過して受光部1cに入射される。
次に光学部材1dの光学部46,47について図11を用いて詳細に説明する。
光源部1aの発光点から発光した短波長の光は、光源部1aの光の出射窓となる部分に設けられたカバーガラス51を通して光学部46に導かれる。光学部46のカバーガラス51に略平行に設けられた平面46bに入射した光は光学部46中を通過し、平面46bに対して傾斜した傾斜面46aに入射した光は反射されて図11には示していない受光部1cに入射され、光出力のモニター用として用いられる。傾斜面46aには誘電体多層膜や金属膜等の反射部が形成されている。光学部46中を通過する光のほとんどは平面46bと略平行に設けられた平面46cを通過して光学部47に導かれる。この時、平面46cには図示していないが調光フィルタが形成され、その調光フィルタによって減光された光が光学部47に導かれる。この減光フィルタの透過率は様々な値を有するが、その透過率は光源部1aから出射される光の広がり角によって、調整される。すなわち、光源部1aからの光の広がり角が大きい場合には、調光フィルタの透過率を低く、光源部1aからの光の広がり角が小さい場合には、調光フィルタの透過率を高くなるように構成する。この様に光源部1aからの光の広がり角によって、調光フィルタの透過率を調整することで、単層ディスクや多層ディスクの記録もしくは再生の際に光の出力が強すぎて所望しないデータ消去などが発生するのを防止できる。具体的には、予め光源部1aから出射される光の広がり角を所定の範囲ごとに分類し、その分類された光源部1aごとに透過率の異なる調光フィルタを設けることで、光ディスクに対して良好な記録再生特性を得ることができる。調光フィルタは誘電体多層膜や金属膜で構成され、透過率を調整する場合、誘電体多層膜を使用する場合には、その構成材料や膜構成あるいは膜厚などで調整を行うことができ、金属膜を用いる場合には、その金属膜の構成材料や厚みなどを調整することができる。
平面46cを通過した光は光学部47に入射する。この時光学部46と光学部47の間には所定間隔のギャップが設けられている。光学部47は全体としては略直方体形状であり、光源部1aからの光が入射する底面53には所定の領域を除いて光の吸収作用を有する光吸収膜が設けられている。これは、光源部1aから出射された光が所定部分以外のところから光学部47に入射されるのを防止している。光源部1aから出射され、光学部46を通過した光の少なくとも一部は底面53の吸収膜を非配置とした部分から光学部47の内部に入射する。
光学部47は透明なガラスなどで構成されたブロック58〜61を接合して構成されており、ブロック58とブロック59の接合部分には傾斜面54が形成され、ブロック59とブロック60の間には傾斜面55が形成され、ブロック60とブロック61の間には傾斜面56が形成されている。光学部47の内部には傾斜面54,55,56が少なくとも設けられ、傾斜面54,55,56の端部は光学部47の表面に露出している。傾斜面54には第1の偏光ビームスプリッタが設けられ、傾斜面55にも同様に第2の偏光ビームスプリッタが設けられる。第1および第2の偏光ビームスプリッタはともにブロック59に直接形成して設けたが、第1の偏光ビームスプリッタをブロック58に形成してもよいし、第2の偏光ビームスプリッタをブロック60に形成してもよい。第1および第2の偏光ビームスプリッタはともにP偏光の光(以下P波と略す)を透過し、S偏光の光(以下S波と略す)を反射する機能を有する。また、少なくとも第1および第2の偏光ビームスプリッタは光学部47内で主に光が通過する部分に設ければよいが、本実施の形態の場合、生産性などを考慮し、傾斜面54,55の全面に設けた。傾斜面56には反射膜および非点収差を発生させるホログラム57(図1で示すホログラム1eに同じ)が形成されている。
光源部1aから光学部47の底面を通過して光学部47に入射した光はS波であり、傾斜面54に設けられた第1の偏光ビームスプリッタで反射されて、傾斜面55に形成された第2の偏光ビームスプリッタに入射される。第2の偏光ビームスプリッタも、前述の通り、S波を反射するので、第2の偏光ビームスプリッタに入射した光は反射され、光学部47の上面62zから出射され、上述の各部材を通過して光ディスク2に導かれる。また、光ディスク2で反射してきた光は、1/4波長部材9aの作用によりP波に変換され、再び光学部47の上面62zから光学部47の中に入射する。この時、光学部47から光ディスク2の方へ向かう光の出射部分と光ディスク2から反射してきた反射光の入射部分はほぼ同じ位置となる。光ディスク2で反射して光学部47に戻ってきた光は上述の通りP波なので、傾斜面55に設けられた第2の偏光ビームスプリッタは透過し、傾斜面56に入射される。傾斜面56には非点収差を発生させる反射型のホログラム57が設けられており、フォーカスエラー信号を得ることが出来るように光ディスク2からの反射光をこのホログラム57で所定の方向に分離する。傾斜面56で反射された光は、P波であるので、再度第2の偏光ビームスプリッタを透過し、ブロック59を透過し、更には前述の通り、第1の偏光ビームスプリッタもP波を透過させる性質を有するので、第1の偏光ビームスプリッタを透過しブロック58を通過して、光学部47の外部に出射され、その後に受光部1bに入射される。
次に光源部1aの一例について図12及び図13を用いて説明する。
図12,図13に示すように光源部1aは以下の部材で構成される。まず、金属材料で構成されたベース62を有しており、このベース62の両短辺部には光源部1aの位置調整などを行うとき等に用いられる凹部62aが設けられている。また、貫通孔62b,62cが設けられている。なお、図面の関係上図示していないが、貫通孔62b,62c以外にももう一つ他の貫通孔が設けられる。ベース62にはカバー部材63が溶接や半田付けなどによって接合されており、カバー部材63の天面部には方形上の貫通孔64が設けられ、貫通孔64を塞ぐようにカバーガラス65(図11のカバーガラス51と同じ)が接着などの手法で取り付けられている。カバー部材63の断面は楕円あるいは長円などの形状となっている。また、ベース62とカバー部材63で囲まれた領域には銅や銅合金などの好ましくは熱伝導性が良いブロック66が設けられ、ブロック66はベース62に溶接や金属製の接合材などで接合されている。ブロック66の断面は略半円形状となっている。ブロック66の平坦部には金属材料で構成されたサブマウント67を介して半導体レーザー素子68が設けられている。従って、サブマウント67,半導体レーザー素子68はブロック66とともにベース62とカバー部材63で囲まれた領域内に配置されることになる。また、半導体レーザー素子68の光放出面はカバーガラス65と対向するように配置され、カバーガラス65から外部に出射される。ベース62に設けられた貫通孔62b,62c及びその他の貫通孔にはそれぞれ棒状の端子69,70,71が挿入され、しかもベース62と端子69,70,71間の絶縁を保つように、端子69,70,71の貫通孔62b,62c及びその他の貫通孔に挿入された部分は絶縁材料を介してベース62に取り付けられている。端子69,70,71の先端部分はベース62とカバー部材63で囲まれた領域内に突出しており、図示していないがワイヤボンドなどで半導体レーザー素子68等と端子69,70,71間の電気的な接続を行う。従って、端子69,70,71を介して半導体レーザー素子68に電力を供給し、短波長の光を放出させる。
半導体レーザー素子68は前述の通り、基本的にはp型窒化ガリウムとn型窒化ガリウムの間に活性層(In等の発光中心を有する窒化ガリウム)を設けた窒化ガリウム系半導体レーザー素子が好適に用いられ、400nm〜415nmの波長の光を発する。当然の如く、他の短波長レーザーを放出する他の材料系の半導体レーザー素子も用いることができる。
半導体レーザー素子68は断面長方形状の直方体形状を有しており、断面長方形の長辺部分をサブマウント67に接合しているので、ベース62の長辺62dと半導体レーザー素子68の断面長方形の長辺方向Pは非平行関係になっている(本実施の形態では略垂直に交わる)。この様な構成によって半導体レーザー素子から放出される光の断面は、略楕円形状の放射光の強度分布の長軸とベース部材62の長辺62dとは略平行になるように放出させることができる。例えば、図14に示す様に72はベース62の長辺62dに略平行な軸、74は半導体レーザー素子から放出される光の強度分布を、強度一定となる線で示した光の輪郭であり、73は放出される光の輪郭74の略楕円形状の長軸であり、本実施の形態では図14(a)に示すように軸72と長軸73の交わる角度θが90度となる構成ではなく、図14(b),図14(c)に示すように角度θが90度とならないような構成とした。なお、角度θの定義として、軸72と長軸73が交差する角度で最小の角度と定義される。すなわち、角度θは0度以上で90度以下である。すなわち図14(b)に示す様に軸72と長軸73が平行であり、図14(b)〜図14(f)に示すように長軸73と軸72は所定の角度θをもって交差している。この時交差する角度θは好ましくは0度以上45度以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0度以上30度以下、更には0度以上10度以下である。当然のことであるが、もっとも好ましいのは、図14(b)に示すように長軸73と軸72が略平行となること(角度θがほぼ0度)である。また、上記の例では、軸72はベース62の長辺62dと平行としたが、この軸72は、以下の通り、他の構成部材との関係でも定義可能である。すなわち、軸72は、装着された光ディスク2の主面と平行であり、しかも光源部1aのカバーガラス65から出射される光の方向とも垂直な軸であると定義可能であるし、図2に示す基台15の厚み方向と垂直でしかも光源部1aのカバーガラス65から出射される光の方向とも垂直な軸であるとも定義でき、また基台15の底面と平行であり、しかも光源部1aのカバーガラス65から出射される光の方向とも垂直な軸であるとも定義できる。更にはスピンドルモータ25の回転軸と垂直でしかも光源部1aのカバーガラス65から出射される光の方向とも垂直な軸であるとも定義できる。
この様に、光源部1aから出射される光の外輪においてその長軸を上述のような配置関係とすることで、光の利用効率を高めることができ、同じ出力の光源部1aを用いるのであれば、より出力の大きな光を光ディスク2に照射可能であり、光ディスク2に照射する光の強さを同じにするのであれば、より出力の小さな光源部1aを用いることができる。
以下、その原理について詳細に図15を用いて説明する。
図15(a)は、軸72と長軸73が垂直に交差する場合、すなわち、図面では縦長の楕円形状になった場合である。この場合、軸72に沿った方向で、しかも光の輪郭74の中心Q(長軸と短軸が交差した点)の光量を1としたときに、所定の割合の光量となる部分までの領域の光が使用される。すなわち、例えば本実施の形態では、所定の割合は0.6(仕様などによって、この割合は決定されるが、通常0.3〜0.8)であり、中心Qから左右にL1,L2の距離の円形領域75、すなわちL1+L2を直径とする円形領域75の光が使用可能となる。本実施の形態ではL1≒L2であるので、実質使用される光の領域は半径がL1もしくはL2の円形領域75となる。図15(a)の場合、縦長になっているので、軸72の方向において、中心Qから中心Qでの光量の0.6となる距離L1,L2は比較的短くなっており、利用可能な光量の領域がわずかである。一方、図15(b)に示す最適な本実施の形態の様に、所定の割合の光量となる部分までの領域の光が使用される。すなわち、例えば本実施の形態では、所定の割合は0.6(仕様などによって、この割合は決定されるが、通常0.3〜0.8)であり、中心Qから左右にL3,L4の距離の円形領域75、すなわちL3+L4を直径とする円形領域75の光が使用可能となる。本実施の形態ではL3≒L4であるので、実質使用される光の領域は半径がL3もしくはL4の円形領域75となる。図15(b)の場合、光の輪郭74が横長になっているので、軸72の方向において、中心Qから中心Qでの光量の0.6となる距離L3,L4は比較的長くなっており、利用可能な光量の領域が図15(a)の例に比較して非常に広くなり、効率よく光を利用できる。すなわち、L1<L3でL2<L4となる。
本実施の形態では、上述の様に光源部1aから出射される略楕円形状の光の長軸73を軸72に対して垂直ではなく所定の角度θ(0度含む)とする構成は、図12,図13に示すようにベース62の長辺62dを基台15側に取り付ける構成とすることで、上述の様に光源部1aから出射される楕円形状の光の長軸を基台15と略平行とすることができ、光源部1aの高さが高くならないので、装置の薄型化を実現できる。なお、本実施の形態が想定している18mm以下、好ましくは15mm以下、さらに好ましくは13mm以下の光ディスク装置において、光源部1aを低く取り付けられることは、非常にこれら光ディスク装置を実現する上で好ましいと言える。また、軸72と長軸73を所定の角度(0度より大きく90度未満)にする場合には、光源部1a自体を所定角度回転させて取り付けたり(この場合、多少光源部1aを取り付けた際に取り付け高さが高くなる)、あるいは、光源部1aの中のブロック66を所定量回転させてベース62に取り付けたり、あるいはブロック66に半導体レーザー素子68を取り付ける際に長辺62dに傾斜して取り付けたりすることで実現できる。
次に、長波長光学ユニット3について図16を用いて説明する。
載置部76には、光源保持部76aが設けられ、この光源保持部76aには光源部3aが半田,鉛フリー半田や光硬化性樹脂等の接合材で接合され、さらに載置部76の光源保持部76aの上には光学部材3dが取り付けられている。また、受光部3b,3cが光学部材3dを挟むように載置部76に光硬化樹脂等の接合材で取り付けられている。光源部3aはリードフレーム77を樹脂などのモールド部材78で少なくとも一部をおおい、しかもリードフレーム77上に半導体レーザー素子79が取り付けられている。リードフレーム77には端子77a〜77cが電気的に接続されている。半導体レーザー素子79は前述の通り、出射される光は、640nm〜800nmの波長であり、一種の波長の光を単数出射したり、あるいは複数種の波長の光を複数出射する構成となっている。本実施の形態では、略660nmの波長の光束(赤:例えばDVD対応)と略780nmの光束(赤外:例えばCD対応)を出射する構成とした。半導体レーザー素子79はモノブロックの素子で2つの光束を出射する構成としたが、一つのブロックで一つの光束を出射する素子を複数リードフレーム77の上に設けた構成としてもよい。
光学部材3dは2つの光学部80,81で構成され、光学部80は板状であり、図示していないが光源部3aから出射された不要な光が光学部81に届かないように、すなわち迷光対策を行う膜が形成されている。すなわち、前記迷光対策を行う膜には開口があり、光の主要部分は開口を通じて光学部81に導かれ、しかも開口以外の部分に入射される光は吸収されるような材料で構成される。また、CD対応の光に作用しDVD対応の光には作用しにくい波長選択性を有するホログラムが設けられ、このホログラムにてCD対応の光を3つのビームに分離する。光学部81は光学部80の上に設けられ、光学部81は透明なガラスなどで構成されたブロック82〜85を接合して構成されており、ブロック82とブロック83の接合部分には傾斜面86が形成され、ブロック83とブロック84の間には傾斜面87が形成され、ブロック84とブロック85の間には傾斜面88が形成されている。光学部81の内部には傾斜面86,87,88が少なくとも設けられ、傾斜面86,87,88の端部は光学部81の表面に露出している。
傾斜面86には光源部3aから出射された光の3〜15%の光を反射させるように、光の透過部分の一部に反射膜やホログラムの少なくとも一つが設けられており、しかもCD対応の光及びDVD対応の光のP波を透過させ、S波を反射させる誘電体多層膜が形成されている。この傾斜面86において反射された光は受光部3cに入射され光源部3aの光の出力のコントロールに用いられる。また、傾斜面87には、CD対応の光及びDVD対応の光のP波は透過し、CD対応の光のS波は反射し、DVD対応の光のS波は透過させる誘電体多層膜が形成されている。また、傾斜面88には反射作用を有する誘電体多層膜や金属膜が設けられている。なお、本実施の形態においては、傾斜面88には反射型のホログラム3eが設けられている。
光源部3aから出射されたCD対応の光は、光学部80に入射されると、迷光部分を除去されしかも、波長選択性を有するホログラムで分離され、光ディスク2上で3ビームとなる。また、光学部80から光学部81に入射すると、傾斜面86にて一部の光が反射されて受光部3cに入射され、他の光はP波であるので傾斜面86を通過してブロック83に入射し、傾斜面87に導かれる。傾斜面87ではP波であるCD対応の光は通過しブロック84を通過してブロック84の上面から出射される。また、光ディスク2で反射してきた光は光学部品11の1/4波長部材の作用でS波となっており、再度ブロック84の上面に入射し、傾斜面87に入射する。傾斜面87では、CD対応の光のS波は反射する機能を有する膜が設けられているので、光ディスク2から反射してきたCD対応の光は反射されて、傾斜面88で反射され、さらにブロック84を通過して再度傾斜面87に入射する。上述のように傾斜面87にはCD対応の光のS波が反射される膜が設けられているので、傾斜面87にて再度反射し、ブロック84を通過して受光部3bに導かれる。受光部3bに入射した光は、電気信号に変換され、RF信号やトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号などが生成される。なお、傾斜面88に設けられた反射型のホログラム3eにより、光ディスク2からの反射光が複数本に分離され、それぞれ受光部3bの所定の場所に導かれ、フォーカスエラー信号が生成される。
光源部3aから出射されたDVD対応の光は、光学部80に入射されると、迷光部分を除去され光学部81に入射する。光学部80に設けられた波長選択性を有するホログラムはDVD対応の光には作用しない。また、光学部80から光学部81に入射すると、傾斜面86にて一部の光が反射されて受光部3cに入射され他の光は傾斜面86を通過してブロック83に入射し、傾斜面87に導かれる。傾斜面87ではDVD対応の光はP波なので、ブロック84を通過してブロック84の上面から出射される。また、光ディスク2で反射してきた光はS波となって再度ブロック84の上面に入射し、傾斜面87に入射する。傾斜面87では、DVD対応の光は通過する機能を有する膜が設けられているので、光ディスク2から反射してきたDVD対応の光は傾斜面87を通過し、さらにブロック83を通過して傾斜面86に入射する。傾斜面86はDVD対応のS波の光を反射するので、DVD対応の光は反射し、ブロック83を通過し再度傾斜面87に入射するが、前述の通り、傾斜面87にはDVD対応の光は通過する膜が形成されているので、傾斜面87を通過して受光部3bに導かれる。受光部3bに入射した光は、電気信号に変換され、RF信号やトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号などが生成される。
なお、図16には、CD対応の光の往復路を記載している。
次に本実施の形態に用いたビーム整形レンズ4について説明する。
ビーム整形レンズ4は図17に示すように凸部4aおよび凹部4bを含む光透過部4dとその光透過部4dを挟むように設けられた取付部4cとを含んでおり、光透過部4dと取付部4cは本実施の形態では一体成形としたが、光透過部4dと取付部4cを別部材で構成し互いを接着剤などで接合した構成でもよい。
図17(a)に示すように、短波長光学ユニット1から出射された短波長の光は、ビーム整形レンズ4に入射する直前は楕円形形状となっているが、凸部4aや凹部4bの曲率半径や所定の曲面形状とすることで、ビーム整形レンズ4を通過した後は、略円形の光となる。同様に光ディスク2等で反射してきた光は、このビーム整形レンズ4を通過することによって、円形の光が略楕円形に変換される。
次に本実施の形態に用いた光学部品5について図18を用いて説明する。
光学部品5は、透明なガラスなどで構成された略方形状であってしかも板状の基板5a,5bの間に偏光部5c及び偏光部5dを挟み込んで構成されている。偏光部5cは短波長光学ユニット1から出射されたS波に対して大きく作用し、光ディスク2で反射してきたP波に対してはほとんど作用しない。さらに、偏光部5dは短波長光学ユニット1から出射されたS波に対してほとんど作用せず、光ディスク2で反射してきたP波に対しては大きく作用する。また、光学部品5に対しては短波長光学ユニット1から出射された光は基板5a,偏光部5c,偏光部5d,基板5bの順に通過し、光ディスク2で反射してきた光は基板5b,偏光部5d,偏光部5c,基板5aの順に通過する。偏光部5cは図18(b)に示すように光学異方性樹脂材料を用いて偏光選択性のホログラム5eが略方形状に形成されている。図18(b)に示すように、ホログラム5eは長方形状に形成され、長辺から入射光束径の端部がはみ出すように構成される。また、偏光部5cは図示していないがホログラム5e中に少なくとも光学等方性の樹脂を充填して構成される。製法の一つとして、基板5a上にホログラム5eを公知の工法によって作製し、そのホログラム5eの少なくとも隙間に光学等方性の樹脂を充填して構成される。図18(c)に示すように図18(b)のX軸においては、入射する光量が点線で示され、偏光部5cを通過すると、実線の様に全般的に光量が落ちるように構成され、また図18(d)に示すように図18(b)のY軸においては、入射する光量が点線で示され、偏光部5cを通過すると、実線に示されるように、主に入射する光の光量の大きな部分を落とすような構成となる。この様に光量の大きな部分を偏光部5cで落とすことで、RIM強度(中心強度に対する光束最外部の強度比)を高くすることができ、短波長の光を光ディスク2上において小さなスポットで集光させることができ、高密度の光ディスク2への記録/再生の少なくとも一方を行うことができる。すなわち、偏光部5cはRIM強度が高いX軸方向には作用せず、RIM強度が低いY軸方向にのみ作用するRIM強度補正フィルタの機能を有する。
また、偏光部5dにおいては、基板5bの上に光学異方性樹脂材料で図示していないが偏光選択性のホログラムが設けられ、このホログラム中に等方性の樹脂を充填して構成される。この偏光部5dの一部を構成するホログラムは、光ディスク2から反射してきた光を主にトラッキングエラー信号を生成するように所定の光束に分離させる機能を有している。
さらに、製法の一つとして挙げられるのは、基板5a,5bのそれぞれに偏光部5c,5dを形成して、偏光部5c及び偏光部5dを対向させ、間に樹脂等の接着剤で接合して光学部品5を形成する方法である。
次にリレーレンズ6について詳細に説明する。
詳細には、リレーレンズ6は図19に示すような形状となっている。すなわち、実質的に少なくとも一部分に光が通過する光透過部6aと、この光透過部6aの周りに設けられ、好ましくは放射状に複数設けられた突部6bと、突部6bを設けた外角が略円形状の外輪部6cとを有しており、本実施の形態では、光透過部6a,突部6b,外輪部6cを一体成形して作成したが、各部を別ピースで構成し、各部を互いに取り付けて構成してもよい。
基台15には取付部15aが立設されており、取付部15aには段部15cを設けた凹部15bが設けられており、図19に示す挿入方向よりリレーレンズ6を挿入する。段部15cを設けた凹部15bにより、リレーレンズ6は長波長光学ユニット3側に脱落しないような構成となっている。また、図示していないが、挿入されたリレーレンズ6の光透過部6aと対面する部分には貫通孔が設けられている。従って、図19に示すように長波長光学ユニット3から出射された光は光透過部6aおよび取付部15aに設けられた貫通孔を順に通過して、ビームスプリッタ7の方に向かう構成となる。
また、作業者や自動調整装置などによって、図示していない細いピン等を突部6bに当接させ、リレーレンズ6を所定の角度変位させ、非点収差の補正を行うことができる。また、外輪部6cが実質的に凹部15bの内壁に当接し、しかも外輪部6cは多少の突起物や凹部などが存在するが実質的に外形は円形状であるので、リレーレンズ6は、上述のように細いピンなどによって、回転自在に保持されている。リレーレンズ6を所定角度回転させて非点収差を補正した後には、少なくともリレーレンズ6と取付部15aに跨って、瞬間接着剤や光硬化性接着剤などを設けて硬化させ、リレーレンズ6と取付部15aを固定させる。このとき好ましくは取付部15aの中でも凹部15b中に接着剤を設けることが好ましく、さらには実質的に光透過部6aに上記接着剤が塗布されないように塗布方法や接着剤の塗布量を考慮することが好ましい。
次に、ビームスプリッタ7について詳細に説明する。
図20に示すようにビームスプリッタ7の外形形状は略直方体もしくは略立方体形状となるように構成され、前述の通り、透明部材7b,7cを接合して構成され、透明部材7b,7cの接合によって形成された傾斜面7aを有している。傾斜面7aは図20に示すように側面の底辺7fに対して略45度の角度を持って形成されているが、仕様やビームスプリッタ7の外形形状に応じて、所定の角度になるように適宜決定される。透明部材7b,7cは、BK7等のガラス材料で略三角柱状に形成されている。図20に示すように傾斜面には積層部7dおよび接合部7eを有している。
積層部7dは低屈折率膜と高屈折率膜を交互に積層して構成されており、本実施の形態では低屈折率膜としてSiO2を用い、高屈折率膜としてはTa2O5を用いて構成した。また、高屈折率膜と低屈折率膜のそれぞれの膜厚は、10nm〜400nm程度とした。また、本実施の形態では、透明部材7cの積層部7aを設ける面に好ましくは、研磨加工や表面処理を施した後に、スパッタリングや蒸着などの薄膜形成技術を用いてSiO2,Ta2O5,SiO2,Ta2O5,・・・・・・・SiO2,Ta2O5,SiO2の順に積層して積層部7dが形成される。本実施の形態では、SiO2膜,Ta2O5膜の薄膜の対を20組以上(歩留まりや製造コストなどを考慮すると35組以下とすることが好ましい)積層して構成した。SiO2膜,Ta2O5膜をそれぞれ1層と計算すると、積層部7dは40層〜70層で構成される。また、積層部7dの実際の厚みは2〜10μmとすることが特性面および生産性の面で有利となる。
この様に積層部7dを構成する際に、その各層(上述ではSiO2膜,Ta2O5膜)の形成膜厚をそれぞれ調整することで、所定の波長の光は透過させ、他の波長の光は反射させるといったような機能を持たせることはできる。本実施の形態では、赤色光(略660nmの波長の光)および赤外光(略780nmの波長の光)を積層部7dは透過させ、短波長(略405nmの波長の光)を反射させる構成とした。
また、積層部7dと透過部材7bの間には接合部7eが設けられており、この接合部7eには好ましくはSi系の接着剤が好適に用いられる。Si系の接着剤は短波長の光に対して劣化しにくい性質があり、本実施の形態の様に略405nmの波長光を用いる光ピックアップ装置では、非常に好ましい。また、当然のごとく接合部7eとしては、ガラスや他の樹脂材料で構成してもよい。接合部7eの厚みは3〜15μm(好ましくは8〜12μm)とすることで、確実な透明部材7b,7c間の接合を実現でき、生産性を向上させることができる。さらに本実施の形態の特徴は、短波長の光が底辺7f側から入射する構成となっているので、透明部材7c上に接合部7eを介さずに積層部7dを設けた構造としているので、接合部7eが短波長の光によって劣化することを抑制できる。
次にコリメータレンズ8及びその駆動装置について説明する。
図21に示すように、ベース89にリードスクリュー8c,ギア群8d,駆動部材8eが固定されている。なお、本実施の形態では駆動部材8eはステッピングモータを使用した。駆動部材8eの回転軸にはモータギア90が固定される。また、ベース89にはトレインシャフト91が回転自在に取り付けられており、このトレインシャフト91にはトレインギア92が固定されており、トレインギア92にはモータギア90が噛み合っている。また、ベース89には一対の取付部89a,89bが一体に設けられ、取付部89aにはスクリューシャフト8cの一端が回転自在に保持されており、取付部89bにはスクリューシャフト8cの他端が回転自在に挿入されている。取付部89b側の端部にはシャフトギア93が固定されており、このシャフトギア93はトレインギア92が噛み合っている。すなわち、駆動部材8eの回転によって、その回転駆動力がギア群8d(モータギア90,トレインギア92,シャフトギア93)を介してスクリューシャフト8cに伝えられる。
この様に、上記各部材を搭載した駆動装置94は基台15に取り付けられる。図22に示すように、基台15に取り付けられた一対の支持部材8aにはコリメータレンズ8を搭載したスライダ8bが移動自在に取り付けられている。また、駆動装置94のスクリューシャフト8cと支持部材8aが略平行となるように、支持部材8aの脇に駆動装置94が設けられている。スライダ8bには板バネなどの弾性を有する材料で構成されたラック部材95が接着や機械的接合等によって取り付けられており、ラック部材95の端部はスクリューシャフト8cに設けられた螺旋状の溝に噛み合っている。従って、スクリューシャフト8cの回転方向や回転速度などによって、スライダ8bの移動方向や速さを調整できる。本実施の形態では、駆動部材8eにステッピングモータを用いているので、駆動部材8eに供給するパルスの数で、スライダ8bの位置すなわち、コリメータレンズ8の位置を決定することが可能となる。
図示していないが、短波長光学ユニット1からの光で光ディスク2(第1の記録層と第2の記録層を有する)に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合と、長波長光学ユニット2から出射されるCD対応の光あるいはDVD対応の光で、光ディスク2に対して情報の記録/再生を行う場合では、それぞれコリメータレンズ8の位置を異ならせることが確実な記録/再生動作の少なくとも一方を行わせる好ましい形態である。
従って、短波長光学ユニット1からの光で光ディスク2の第1の記録層に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合は、コリメータレンズ8は第1の位置に位置させ、短波長光学ユニット1からの光で光ディスク2の第2の記録層に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合は、コリメータレンズ8は第2の位置に位置させ、長波長光学ユニット3から出射されたCD対応の光で光ディスク2に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合は、コリメータレンズ8は第3の位置に位置させ、長波長光学ユニット3から出射されたDVD対応の光で光ディスク2に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合は、コリメータレンズ8は第4の位置に位置させる。この第1の位置〜第4の位置は、スライダ8bが稼働可能な範囲での、コリメータレンズ8の位置であり、第1の位置と第2の位置は常に異なる位置にある。第3の位置と第4の位置は、第1の位置および第2の位置の少なくとも一方とは異なる位置にあり、好ましくは第1の位置と第2の位置の間に位置することが望ましい。第1の位置〜第4の位置のうち、少なくとも2つは異なる位置となる。
以上の構成による動作の一例を示す。
図示していない別途のセンサなどを設け、このセンサによって、スライダ8bのホームポジションに位置していると仮定する。図示していない制御部材は、外部などからの信号によって、どの波長の光で記録/再生を行うのか、あるいは第1の記録層あるいは第2の記録層で記録/再生を行うのか判定し、その信号によって、メモリから駆動部材8eに何パルス送出するかどうかを読み出す。この時、どの波長の光で記録/再生を行うのか、あるいは第1の記録層あるいは第2の記録層で記録/再生を行うのかによって、上記第1の位置〜第4の位置が決定される。この各位置にコリメータレンズ8を位置させるには、ホームポジションに存在するスライダ8bをどの方向にどれだけの距離動かせばよいか設計時点である程度判明するので、メモリには予め各動作における送出パルスの数を記録させておくことで、容易にコリメータレンズ8を最適な位置(第1〜第4の位置)に位置させることができる。なお、第1の位置〜第4の位置とスライダ8bのホームポジションが一致することもある。また、所定の動作が終わったら、スライダ8bをホームポジションに返すように制御部材は駆動部材8eにパルスを送出させる。なお、図23にコリメータレンズ8及びその駆動装置94を取り付けた状態を示す。
次に色消し回折レンズ14について説明する。
色消し回折レンズ14は図24に示すように、実質的に光透過部14dとその光透過部14dの外側を囲む外輪部14cとを有しており、光透過部14dの対物レンズ13側の表面14aは凹面状となっており、その反対側の立ち上げミラー12側の表面14bにおいては、所定のピッチや形状のホログラムが設けられている。実質的には光透過部14dにおいて短波長の光が透過する。色収差を補正するには、表面14bに設けられるホログラムのピッチ等を調整することで所望の色収差補正を行うことができる。色消し回折レンズ14は実質的に円形状をしており、外輪部14cの部分がレンズホルダー16に取り付けられる。なお、本実施の形態では、光透過部14dおよび外輪部14cは一体成形としたが光透過部14dと外輪部14cを別部材で構成し、例えば外輪部14cの中央部に光透過部14dを埋め込んだ構成としてもよい。
次に、レンズホルダー16及びサスペンションホルダー17の他の実施の形態について図25〜図28を参照して説明する。なお、図6,図7に示されている符号と同じ符号のものはほぼ同一の機能を有している。また、前述の通り、図25〜図28と図6,図7において同一符号のものは、ほぼ同一の機能を有するが、図25〜図28に示す部材は図6,図7に示した部材とは、多少形状などが異なる。
レンズホルダー16は、光ディスク2に対して、高倍速で記録/再生の少なくとも一方を行おうとした場合、レンズホルダー16の共振周波数を高くする必要がある。すなわち、高倍速で記録/再生することで、レンズホルダー16の光ディスク2の面ぶれなどに追従できるようにレンズホルダー16を制御するには、レンズホルダー16の共振周波数を高くして、共振周波数以下の領域で、レンズホルダー16の制御を行うことが好ましい。レンズホルダー16の共振周波数を高くする一つの方法としては、レンズホルダー16に高い剛性を持たせることが挙げられる。本実施の形態では、このレンズホルダー16に高い剛性を持たせるために、樹脂に繊維を分散させた材料(以下、複合材料と略す)でレンズホルダー16の全部或いは少なくとも一部を構成した。樹脂としては、液晶ポリマー,エポキシ系樹脂,ポリイミド系樹脂,ポリアミド系樹脂,アクリル系樹脂などが好適に用いられ、繊維としては、カーボンファイバー、カーボンブラックや銅、ニッケル、アルミ、ステンレス等の金属繊維や、これらの複合繊維が好適に用いられる。なお、本実施の形態では、液晶ポリマーにカーボンファイバーを分散させた材料でレンズホルダー16を構成した。
図25,図26に示すように、レンズホルダー16及びサスペンションホルダー17を上記複合材料で構成した場合、レンズホルダー16及びサスペンションホルダー17は導電性を有することがあるため、サスペンション18a〜18fの表面に絶縁皮膜を形成した。なお、この場合、レンズホルダー16と各種コイルの間には、絶縁部材を設けて絶縁されているか、或いは巻線自体に絶縁処理が成されている巻線で各種コイルを構成する。この様にサスペンション18a〜18fに絶縁被膜を設けることで、導電性を有するレンズホルダー16及びサスペンションホルダー17との絶縁性が保たれる。なお、レンズホルダー16に一体に設けられたボビンサス受部96,97には、サスペンション18a〜18fの絶縁された端部98,99がインサート成型によって取り付けられる。また、サスペンション18a〜18fのサスペンションホルダー17側の絶縁された端部100,101はサスペンションホルダー17にインサート成型によって取り付けられている。また、サスペンション18a〜18fのレンズホルダー16側の先端部102,103は、絶縁皮膜が設けられておらず、この先端部102,103とレンズホルダー16に設けられた各種コイルが電気的に接続されており、更には、サスペンション18a〜18fのサスペンションホルダー17側の先端部104,105は、絶縁皮膜が設けられておらず、この先端部104,105と図示していないフレキシブルプリント基板に接続される。
また、図25,図26に示す実施の形態の変形例として、図27及び図28に示すように、サスペンション18a〜18fのほぼ全部に絶縁皮膜を設けずに、サスペンション18a〜18fの端部106,107に絶縁皮膜を設け、端部106,107の一部或いは全部(全部の場合には、レンズホルダー16とサスペンション18a〜18fが非接触となる様に配慮する)をボビンサス受部96,97に接合する。図27,図28の実施の形態では、絶縁性を保つために端部106,107の一部をボビンサス受部96,97に接合した。また、サスペンション18a〜18fのサスペンションホルダー17側の端部108,109にも絶縁皮膜を設け、少なくとも端部108,109とサスペンションホルダー17は接合しており、図27,図28の実施の形態では、端部108,109は全部サスペンションホルダー17に接合されている。
なお、上述の絶縁皮膜としては、絶縁性を有する材料が塗布,電着,蒸着などの手法を用いて作製され、絶縁性を有する材料としては、エポキシ系樹脂等の絶縁材料や二酸化シリコンなどの無機の絶縁性材料が用いられる。また、導電性を有するサスペンション18a〜18fの表面に酸化処理などの処理を施して、絶縁皮膜を設けても良い。更には、絶縁皮膜として、チューブ状の絶縁材料にサスペンション18a〜18fを挿入して、絶縁皮膜としても良いし、インサート成形などによって、樹脂ワイヤの中に金属線を通したものをサスペンション18a〜18fとしても良い。
更に他の実施の形態として、図29,図30に示すようにサスペンション18a〜18fには絶縁皮膜を設けずに、サスペンションホルダー17及びボビンサス受部96,97を非導電性の材料で構成し、レンズホルダー16を上記の複合材料で構成する。従って、サスペンション18a〜18f自体が取り付けられる部材が絶縁性を有するので、サスペンション自体には絶縁処理は必要ない。ボビンサス受部96,97とレンズホルダー16は2色成形で一体に構成したり、あるいはボビンサス受部96,97とレンズホルダー16を樹脂製の接着材で接合して構成される。この実施の形態では、サスペンション18a〜18fに絶縁処理などを施さずに、高剛性のレンズホルダー16を使用できる。
次に、本発明の他の実施の形態における光ピックアップ装置のレンズホルダー16と対物レンズ10の構成について、図31〜図35を用いてさらに詳細に説明する。なお、図31〜図35に示す部材には、図6,図7,図25〜図28に示した部材とは、多少形状などが異なるものもあるが、同じ符号のものはほぼ同一の機能を有している。
図31はフォーカスコイル33,34、トラッキングコイル35,36、サブトラッキングコイル37,38に電流を流したときのレンズホルダー16上の温度分布を表している。レンズホルダー16には長波長レーザー用の対物レンズ10と短波長レーザー用の対物レンズ13が装着されている。図31に示す対物レンズ10,13、フォーカスコイル33,34、トラッキングコイル35,36、サブトラッキングコイル37,38はそれぞれが概ねどのような位置にあるかを表している。コイルに電流を流すことによって発生した熱がレンズホルダー16に移動し、さらに対物レンズ10,13に移動する。対物レンズ10,13は、熱が加わることによって変形する。この変形とは一般には膨張することであるが、材料によっては収縮することも考えられる。また、一般にガラスよりも樹脂の方が、熱が加わることによって大きく変形する。さらに図31からわかるように、レンズホルダー16の温度分布には偏りがあり、対物レンズ10については、フォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組側がトラッキングコイル35側よりも熱せられ、対物レンズ13については、フォーカスコイル34とサブトラッキングコイル38の組側がトラッキングコイル36側よりも熱せられる。この流入する熱の偏りによって、レンズの変形にも偏りが生じ、対物レンズ10,13を通過する光に収差が発生する。
図32において、110a,110b,110cは対物レンズ支持面であり、111a,111b,111c,113a,113b,113cは接着部である。短波長レーザー用の対物レンズ13は、図7において説明したように、図7に示すP1方向からレンズホルダー16の貫通孔16bに落とし込まれて光硬化性接着剤などで固定される。また、長波長レーザー用の対物レンズ10も、図7に示すP1方向からレンズホルダー16の貫通孔16aに落とし込まれて光硬化性接着剤などで固定される。このようにしてレンズホルダー16に取り付けられた対物レンズ10,13のうち、対物レンズ10はガラスで構成されたり、あるいは樹脂で構成されるが、ここでは樹脂で構成したものを用いた。これにより、金型成型などの手法を用いることが可能となるので、対物レンズ10にホログラムを設けることが容易となり、複数種の波長の光の球面収差を調整することが可能となる。また、対物レンズ13はガラスで構成されたり、あるいは樹脂(好ましくは、耐短波長光樹脂)で構成されるが、ここではガラスで構成したものを用いた。これにより、対物レンズ13は短波長の光に対しても劣化しにくく、良好な光学特性を保つことが可能となる。なお、本実施の形態では対物レンズ10,13を用いたが、ホログラム等その他の集光部材で構成することも同様に実施可能である。
33,34は図6においても説明したようにそれぞれフォーカスコイルであり、それぞれ略リング状に巻線されており、しかもレンズホルダー16の対角位置にそれぞれ設けられている。このようにフォーカスコイル33,34をレンズホルダー16の両側に設ける構成としたことにより、レンズホルダー16に対物レンズ10と対物レンズ13という2つのレンズを搭載しても、光ピックアップ装置を小型に構成することが可能となる。35,36はトラッキングコイルでフォーカスコイル33,34と同様にそれぞれ略リング状に巻線されており、しかもフォーカスコイル33,34とは異なる対角位置にそれぞれ設けられている。また、フォーカスコイル33,34とレンズホルダー16の間には、それぞれサブトラッキングコイル37,38が設けられている。このサブトラッキングコイル37,38を設けることで、トラッキング中に生じるレンズホルダー16の不要な傾きなどを抑制することができる。
図32を用いて、対物レンズ10,13とレンズホルダー16との関係についてさらに詳しく説明する。対物レンズ13は、略円形に形成された貫通孔16bに紙面手前から奥に向かって落とし込まれ、接着部113a,113b,113cに注入された光硬化性接着剤などでレンズホルダー16と固定される。一方、対物レンズ10は、略円形に形成された貫通孔16aに紙面手前から奥に向かって落とし込まれ、対物レンズ支持面110a,110b,110cによって支持された状態であおり調整を行われ、接着部111a,111b,111cに注入された光硬化性接着剤などでレンズホルダー16と固定される。この構成により最適な光学特性を得ることが可能となる。ここで接着剤としては、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化性接着剤などの光硬化性接着剤を用いたが、瞬間接着剤やその他の接着剤を用いることもできる。また、好ましくは熱伝導率が低い接着剤、さらに好ましくは熱を伝えない断熱性を有する接着剤を用いることが考えられる。
対物レンズ13が貫通孔16bに、対物レンズ10が貫通孔16aにそれぞれ落とし込まれた状態を図33に示す。図7において説明したように、対物レンズ10,13の外周部がレンズホルダー16の貫通孔16a,16bの周縁部に当接する。対物レンズ10の外周部は、ほぼ全周にわたってレンズホルダー16の貫通孔16bの周縁部に接触している。樹脂で構成された対物レンズ10のレンズホルダー16との当接についてさらに詳細に説明する。
図34は図33のA−A断面図、図35は図33のB−B断面図である。
10aは対物レンズ10の縁となる対物レンズ外周部であり、対物レンズ10は、対物レンズ外周部10aの一部でレンズホルダー16と接し、また、レンズホルダー16と接着される。このようにしてレンズホルダー16と対物レンズ10が固定される。10bは長波長光学ユニット3から出射された光が対物レンズ10に入射する対物レンズ下面であり、10cは対物レンズ10に対物レンズ下面10bから入射した光が出射する対物レンズ上面である。対物レンズ10を通過し、対物レンズ上面10cから出射した光は、対物レンズ上面10cに面した光ディスク2に集光される。対物レンズ下面10bにはホログラムが設けられており、長波長光学ユニット3から出射され、リレーレンズ6やコリメータレンズ8などの光学部材を通過して平行光となった略660nmの波長の光束(赤:例えばDVD対応)や略780nmの光束(赤外:例えばCD対応)は、このホログラムを通過することにより球面収差を調整される。
110はレンズホルダー16に設けられた対物レンズ支持面である。図34は図33のA−A断面図であるので、この対物レンズ支持面110は正確には対物レンズ支持面110cであることになるが、対物レンズ支持面110a,110b,110cは、ほぼ同一の構成,機能を有することから、ここでは簡単のために対物レンズ支持面110a,110b,110cをまとめて対物レンズ支持面110と呼ぶ。対物レンズ支持面110はレンズホルダー16のレンズホルダー上面16cから貫通孔16aに向かう傾斜面を有している。この傾斜面は、より正確にはレンズホルダー上面16cに対して凹形状となる略球面である。対物レンズ10を対物レンズ支持面110に置いた際に、対物レンズ10の主点とこの対物レンズ支持面110の略球面の中心とは一致することが好ましい。対物レンズ10の主点と対物レンズ支持面110の略球面の中心とは、多少ずれることも考えられるがある程度のずれは許容される。対物レンズ支持面110に略球面が設けられることにより、対物レンズ10をあおり、対物レンズ10の光軸の向きを調整することが可能となる。
111はレンズホルダー16に設けられた接着部である。図35は図33のB−B断面であるので、この接着部111は正確には接着部111bであることになるが、接着部111a,111b,111cは、ほぼ同一の構成,機能を有することから、ここでは簡単のために接着部111a,111b,111cをまとめて接着部111と呼ぶ。接着部111はレンズホルダー16のレンズホルダー上面16cよりも貫通孔16a側に下がった段落ち部となっている。接着部111は、対物レンズ10を対物レンズ支持面110上で摺動させあおり調整を行う際に対物レンズ10が当たらないように構成される。
対物レンズ支持面110と接着部111の配置について説明する。図32に示すように、貫通孔16aの中心軸上から貫通孔16aの周縁部を見たときに、対物レンズ支持面110a,110b,110cが貫通孔16aの周縁部に占める角度は全て約15度であり、接着部111a,111b,111cが貫通孔16aの周縁部に占める角度は全て約25度である。対物レンズ支持面110と接着部111という、レンズホルダー16と対物レンズ10との接触部が小さく構成されるので、レンズホルダー16から対物レンズ10への熱の流路が小さくなり、対物レンズ10の温度上昇を抑えることができ、対物レンズ10の変形を小さくすることが可能となる。
接着部111aを、フォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組の近傍を避け、トラッキングコイル35にも近付きすぎない位置に配置する。言い換えると接着部111aは、フォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組よりもトラッキングコイル35に近い位置に配置されている。このような構成により、フォーカスコイル33,34、トラッキングコイル35,36、サブトラッキングコイル37,38に電流を流し、レンズホルダー16を駆動させる際に、温度の上昇しやすいフォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組と、それに比べて温度上昇の小さいトラッキングコイル35の間で、温度の低い位置に接着部111aを配置することができる。接着部111b,111cは、レンズホルダー16上の接着部111aの位置と、温度がほぼ等しい位置に配置する。ここで、接着部111a,111b,111cの温度差は1〜2度以内であることが好ましい。接着部111a,111b,111cの大きさは略等しく構成されているため、それぞれの接着部111に注入された接着剤がそれぞれ略等しい面積で対物レンズ10と接触する。これにより、温度がほぼ等しい位置に設けられた接着部111a,111b,111cから対物レンズ10に流入する熱量もそれぞれ略一定となり、対物レンズ10の変形に偏りが生じにくなり、対物レンズ10を通過する光の非点収差の発生を抑制することができる。さらに、接着部111a,111b,111cを、貫通孔16aの中心軸まわりに120度ごとの間隔に近くなるように略等角度に配置する。好適には接着部111を120度ごとの等間隔(等角度)で配置するとよいが、駆動時の温度が略等しくなる位置で貫通孔16a回りになるべく間隔が近くなるよう配置する。これにより、接着部111に注入された接着剤が固化する時に収縮しても、対物レンズ10がレンズホルダー16から引っ張られる力は打ち消し合い、位置決めをした対物レンズ10がずれにくくなる。
なお、本実施の形態では、接着部111は3つで構成したが、接着部111の数をこれに限定するものではない。なお、接着部111の数を2つに構成した場合、接着部111の配置は貫通孔16aの中心軸回りに180度間隔、接着部111の数を4つに構成した場合、接着部111の配置は貫通孔16aの中心軸回りに90度間隔というように、接着部111の数を変更した場合も、接着部111の配置は貫通孔16aの中心軸回りに等角度となることが好ましい。ただ、接着部111の数を減らすと、対物レンズ10をレンズホルダー16に固定する力が弱くなるか、それを防ぐために接着部111を広げる必要がでてくる。また接着部111をあまり増やすと、それぞれの接着部111は小さく構成できるが、レンズホルダー16上で温度がほぼ等しい位置が多数必要となり、また、接着剤を注入すべき箇所が増加し組立工数が増加してしまう。接着部111は3つ程度で構成するのが好ましい。
また、本実施の形態においては接着部111a,111b,111cを、面積を略等しくし、レンズホルダー16上の温度の近い位置に配置する構成としたが、レンズホルダー16の温度の高い箇所に設けられた接着部111は小さく、温度の低い箇所に設けられた接着部111は大きく構成するなど、接着部111の面積を変えることにより、それぞれの接着部111から流入する熱量を一定とすることも同様に実施可能である。
対物レンズ支持面110a,110bはそれぞれ、接着部111a,111bに隣接し、接着部111a,111bよりもフォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組に近い位置に設けられる。また、対物レンズ支持面110cは接着部111cに隣接し、接着部111cよりもトラッキングコイル35に近い位置に設けられる。このように、対物レンズ支持面110を接着部111に隣接して設けることにより、レンズホルダー16の温度が低い位置に配置されることとなり、対物レンズ10への熱の伝導を抑制することができる。また、対物レンズ支持面110を接着部111に隣接して設けることにより、対物レンズ支持面110も貫通孔16aの中心軸回りに略等角度となる間隔で配置することができ、この構成により対物レンズ支持面110で対物レンズ10を安定して支持することができる。
また、本実施の形態では、対物レンズ10を支持する部材である対物レンズ支持面110を対物レンズ支持面110a,110b,110cの3つで構成した。この構成により、レンズホルダー16は対物レンズ外周部10aと3点で接触することになり、対物レンズ10の支持される面を一意に決定することできる。なお、本実施の形態では、3つで構成したが、対物レンズ10を支持する点の数をこれに限定するものではない。
また、本実施の形態では、対物レンズ支持面110と接着部111を、レンズホルダー16上に異なる面として設けた。この構成により、あおり調整用の対物レンズ支持面110上への接着剤の付着を防ぐことができ、対物レンズ10の調整を精度良く行うことが可能となる。また、接着部111を対物レンズ支持面110とは別に設けて対物レンズ10とレンズホルダー16との接着を行うことにより、対物レンズ10とレンズホルダー16とを頑強に固定することができる。
また、対物レンズ支持面110a,110bはそれぞれ、接着部111a,111bよりもフォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組に近い位置、対物レンズ支持面110cは接着部111cよりもトラッキングコイル35に近い位置に設けられているが、対物レンズ支持面110において対物レンズ10とレンズホルダー16は接するだけであり、熱が伝わりやすい接着部111を高温部から離れた位置に配置することができるので、対物レンズ10の温度上昇を抑えることが可能となる。 なお、本実施の形態においても図25〜図30において説明したように、レンズホルダー16の全部或いは少なくとも一部を、樹脂に繊維を分散させた材料(複合材料)で構成することが好ましい。樹脂としては、液晶ポリマー,エポキシ系樹脂,ポリイミド系樹脂,ポリアミド系樹脂,アクリル系樹脂などが好適に用いられ、繊維としては、カーボンファイバー、カーボンブラックや銅、ニッケル、アルミ、ステンレス等の金属繊維や、これらの複合繊維が好適に用いられる。このように、レンズホルダー16を上記複合材料で構成した場合、レンズホルダー16は導電性を有することがあるが、レンズホルダー16の剛性が上がり、共振周波数が高くなるので、光ディスク2に対し高倍速での記録/再生の少なくとも一方を行うことが可能となる。なお、本実施の形態においては、液晶ポリマーにカーボンファイバーを分散させた材料でレンズホルダー16を構成した。この構成によれば、レンズホルダー16の熱伝導率が上がることも考えられる。熱伝導率が上がるとレンズホルダー16の温度が均等になりやすく、接着部111の位置を広範囲から選ぶことが可能となり、貫通孔16aの周りに略等角度(接着部111を3つ設ける場合は、略120度間隔)で配置しやすくなる。