図1は、本発明の一実施の形態における光ピックアップ装置の構成を示す概略図である。なお、図1における二重波線のA側、つまり、短波長光学ユニット1,長波長光学ユニット3からコリメータレンズ8までは、光ピックアップ装置を図2におけるZ方向(紙面上方)から見た模式図であり、また、図1における二重波線のB側、つまり、立ち上げミラー9から光ディスク2までは、光ピックアップ装置を図2におけるR方向から見た模式図となっている。
図1において、1は短波長レーザーを出射する短波長光学ユニットで、短波長光学ユニット1から出射される光は、400nm〜415nmの波長であり、本実施の形態では略405nmの光を出射するように構成した。なお、一般に上述のレーザー波長の光は青色〜紫色をしている。本実施の形態においては、短波長光学ユニット1の詳細は後述するが、短波長のレーザーを出射する光源部1aと、光ディスク2から反射してきた光を受光する信号検出用の受光部1bと、光源部1aから出射された光の光量をモニターする様に設けられた受光部1cと、光学部材1dと、それら構成部材を所定の位置関係に保持する保持部材(図示せず)とを含んでいる。光源部1aには、GaNもしくはGaNを主成分とする半導体レーザー素子(図示せず)が設けられており、この半導体レーザー素子から出射された光は光学部材1dに入射され、入射された光の一部は光学部材1dにて反射され受光部1cに入る。図示していないが、この受光部1cで光を電気信号に変換し、その電気信号を元に光源部1aから出射される光の強さを所望の強度に調整する回路などが設け
られている。また、光源部1aから出射された光のほとんどは光学部材1dを通して光ディスク2の方へ導かれる。また光ディスク2で反射してきた光は光学部材1dを介して受光部1bに入射される。受光部1bは、光を電気信号に変換し、その電気信号よりRF信号,トラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号などを生成する。光学部材1d中にはフォーカスエラー信号を得ることが出来るように光ディスク2からの反射光を分離するホログラム1eが設けられている。
なお、本実施の形態においては、光ピックアップ装置を小型化するために、光源部1a,受光部1b,1c及び光学部材1dを含んだひとつの短波長光学ユニットとして構成したが、受光部1b,1cの少なくとも一方を短波長光学ユニット1から外に出して別体として構成したり、あるいは光学部材1dを短波長光学ユニット1から外に出して別体として構成してもよい。
3は長波長のレーザーを出射する長波長光学ユニットで、長波長光学ユニット3から出射される光は、640nm〜800nmの波長であり、一種の波長の光を単数出射したり、あるいは複数種の波長の光を複数出射する構成となっている。本実施の形態では、略660nmの波長の光束(赤:例えばDVD対応)と略780nmの光束(赤外:例えばCD対応)を出射する構成とした。本実施の形態においては、長波長光学ユニット3の詳細は後述するが、長波長のレーザーを出射する光源部3aと、光ディスク2から反射してきた光を受光する信号検出用の受光部3bと、光源部3aから出射された光の光量をモニターする様に設けられた受光部3cと、光学部材3dと、それら構成部材を所定の位置関係に保持する保持部材(図示せず)とを含んでいる。光源部3aには、半導体レーザー素子(図示せず)が設けられており、この半導体レーザー素子はモノブロックで構成され(モノリシック構造)、このモノブロックの素子から略660nmの波長の光束(赤)と略780nmの光束(赤外)を出射する。なお、本実施の形態では、モノブロックの素子で2つの光束を出射する構成としたが、一つのブロック素子で一つの光束を出射する素子を2つ内蔵した構成としてもよい。この半導体レーザー素子から出射された複数の光束は光学部材3dに入射され、入射された光の一部は光学部材3dにて反射され受光部3cに入る。図示していないが、この受光部3cで光を電気信号に変換し、その電気信号を元に光源部3aから出射される光の強さを所望の強度に調整する回路などが設けられている。また、光源部3aから出射された光のほとんどは光学部材3dを通して光ディスク2の方へ導かれる。また光ディスク2で反射してきた光は光学部材3dを介して受光部3bに入射される。受光部3bは、光を電気信号に変換し、その電気信号よりRF信号,トラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号などを生成する。なお、光学部材3dには、CD用のフォーカスエラー信号を生成するために光ディスク2からの反射光を複数本に分離して、それぞれ受光部3bの所定の場所に導くホログラム3eが設けられている。
なお、本実施の形態においては、光ピックアップ装置を小型化するために、光源部3a,受光部3b,3c及び光学部材3dを含んだひとつの長波長光学ユニット3として構成したが、受光部3b,3cの少なくとも一方を長波長光学ユニット3から外に出して別体として構成したり、あるいは光学部材3dを長波長光学ユニット3から外に出して別体として構成してもよい。
4は短波長光学ユニット1から出射された光と、光ディスク2からの反射光が通過するビーム整形レンズである。ビーム整形レンズ4は、短波長レーザーの通過による劣化が少ないガラスで構成されることが好ましい。本実施の形態においては、ビーム整形レンズ4をガラスで構成したが、短波長レーザーの通過による劣化が少ない材料であれば、他の材料によってビーム整形レンズ4を構成することも同様に実施可能である。ビーム整形レンズ4は、短波長のレーザーの非点収差をおよび短波長光学ユニット1から光ディスク2に至る光路中で発生する非点収差を打ち消す目的で設けられている。このビーム整形レンズ
4の目的上、光ディスク2から反射してきた光はこのビーム整形レンズ4を介さずに短波長光学ユニット1に入射させてもよいが、光学的な配置上光ディスク2からの反射光を本実施の形態では、ビーム整形レンズ4を介して短波長光学ユニット1に入射させている。なお、本実施の形態では短波長の光の非点収差を低減させるようにビーム整形レンズ4を用いたが、ビーム整形プリズムやビーム整形ホログラムを変わりに用いてもよい。
また、ビーム整形レンズ4の両端にはそれぞれ凸部4a及び凹部4bが設けられており、短波長光学ユニット1から出射された光はまず凸部4aに入射して凹部4bから出射するようにビーム整形レンズ4は配置される。
5は光学部品で、光学部品5は光路上ビーム整形レンズ4の先に配置され、ビーム整形レンズ4の凹部4b側に配置される。すなわち、短波長光学ユニット1から出射された光はビーム整形レンズ4を介して光学部品5に入射され、光ディスク2へと導かれ、光ディスク2から反射してきた光は、光学部品5,ビーム整形レンズ4を順に経由して短波長光学ユニット1に入射される。光学部品5にはホログラムなどが設けられており、少なくとも以下の機能を有する。すなわち、光ディスク2から反射してきた光を主にトラッキングエラー信号を生成するように所定の光束に分離させる機能である。前述の通り、光学部材1d中に設けられたホログラム1eにてフォーカスエラー信号を作成するために複数本の光束に分離し、光学部品5にてトラッキングエラー信号を生成するために複数本の光束に分離する。
更に詳細には後述するが、光学部品5には、短波長の光の略中央部分の光量を減衰させるRIM強度補正フィルタの役目をする機能を持たせてもよい。更には、光学部品5を2つに分離して、一方の光学部品5に光ディスク2から反射してきた光を主にトラッキングエラー信号を生成するように所定の光束に分離させる機能を持たせ、他方の光学部品5にRIM強度補正フィルタの機能を持たせることも出来る。
6は長波長光学ユニット3から出射された長波長の光が通過するリレーレンズで、リレーレンズ6は樹脂やガラスなどの透明部材にて構成される。リレーレンズ6は長波長光学ユニット3から出射された光を効率よく後方の部材に導くように設けられる。また、リレーレンズ6を設けることによって、長波長光学ユニット3をよりビームスプリッタ7側に配置できるようになるので、装置の小型化を実現できる。
7は光学部材であるビームスプリッタであり、ビームスプリッタ7中には少なくとも2つの透明部材7b、7cを接合して設けられており、透明部材7b,7cの間には一つの傾斜面7aが設けられており、その傾斜面7aには波長選択膜が設けられている。短波長光学ユニット1から出射された光が入り込む透明部材7cの傾斜面7aには波長選択膜が直接形成されており、この波長選択膜が形成された透明部材7cの傾斜面7aに樹脂やガラス等の接合材を介して透明部材7bが接合されている構成となっている。
また、ビームスプリッタ7は短波長光学ユニット1から出射された短波長の光を反射し、長波長光学ユニット3から出射された光を透過させる機能を有する。すなわち短波長光学ユニット1から出射された光と長波長光学ユニット3から出射された光をほぼ同一方向に導く構成としている。
8は移動自在に保持されたコリメータレンズで、コリメータレンズ8はスライダ8bに取り付けられ、スライダ8bは略平行に設けられた一対の支持部材8aに移動可能に取り付けられている。ヘリカル状の溝が設けられたリードスクリュー8cが支持部材8aに対して略平行となるように設けられており、このリードスクリュー8cの溝に入り込む突起がスライダ8bの端部に設けられている。リードスクリュー8cにはギア群8dが結合さ
れており、ギア群8dには駆動部材8eが設けられている。駆動部材8eの駆動力はギア群8dを介してリードスクリュー8cに伝えられ、しかもその駆動力によってリードスクリュー8cは回転し、その結果スライダ8bは支持部材8aに沿って移動する。すなわち、駆動部材8eの駆動方向の違いや駆動速度の違いによってコリメータレンズ8はビームスプリッタ7に対して近づく方向に移動させたりあるいは離れる方向に移動させたりすることができ、しかもその移動の速さなどを調整できる。
なお、駆動部材8eとしては、各種モーターなどが好適に用いられるが、特に駆動部材8eとしては、ステッピングモーターを用いることが好ましい。すなわち、ステッピングモーターに送るパルスの数を調整することによって、リードスクリュー8cの回転量が決定し、その結果コリメータレンズ8の移動量を容易に設定可能となる。
この様に、コリメータレンズ8をビームスプリッタ7に近づけたり離したりする構成を採用することで、球面収差の調整を容易に行うことができる。すなわち、コリメータレンズ8の位置によって、短波長の光の球面収差を調整することができるので、短波長対応の光ディスクに設けられた第1の記録層と、その第1の記録層と異なる深さに設けられた第2の記録層に対してそれぞれに記録または再生の少なくとも一方を効果的に行わせるように構成できる。
コリメータレンズ8には、ビームスプリッタ7から入射される長波長及び短波長の光が透過するので、ガラスもしくは好ましくは耐短波長光樹脂(短波長によって劣化しないあるいは劣化しにくい樹脂)で構成される。このコリメータレンズ8は光ディスク2で反射してきた短波長あるいは長波長の光も透過する。
また、本実施の形態では、短波長の光の球面収差の補正を行う構成として、駆動部材8eにてコリメータレンズ8を移動させる構成としたが、その他の構成によって、コリメータレンズ8を移動させてもよいし、他の手段を用いて、短波長の光の球面収差を調整する構成としてもよい。
9は立ち上げミラーであり、立ち上げミラー9には短波長の光に対して作用する1/4波長部材9aが設けられている。この1/4波長部材9aとしては、二度(往路と復路で)通過した光の偏光方向を略90度回転させる1/4波長板が好適に用いられる。本実施の形態では1/4波長部材9aは立ち上げミラー9の中に挟みこんだ構成とした。立ち上げミラー9において各ユニット1,3から出射された光が入射する面には波長選択膜9bが設けられており、長波長光学ユニット3から出射された長波長の光をほとんど反射し、短波長光学ユニット1から出射された短波長の光をほとんど透過させる機能を有する。
10は長波長レーザー用の対物レンズで、対物レンズ10は立ち上げミラー9から反射してきた光を光ディスク2に集光させる。本実施の形態では対物レンズ10を用いたが、ホログラム等その他の集光部材で構成してもよい。また、当然のごとく、光ディスク2から反射してきた光はこの対物レンズ10を通過する。対物レンズ10はガラスや樹脂などの材料で構成される。
11は対物レンズ10と立ち上げミラー9の間に設けられた光学部品で、光学部品11はDVD(略660nmの波長の光)及びCD(略780nmの波長の光)の光ディスク2に対応可能な様に必要な開口数を実現するための開口フィルタと、略660nmの波長の光に対して反応する偏光ホログラムと、1/4波長部材(好適には1/4波長板)を具備している。光学部品11は、誘電体多層膜や回折格子開口手段などで構成される。偏光ホログラムは略660nmの光に対して偏光を加える(略660nmの波長の光をトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号用の光に分離する)。また、1/4波長部材は
、略660nm及び略780nmの波長の光の往路に対する復路の偏光方向を略90度回転させる。
12は短波長の光をほとんど反射する立ち上げミラーで、立ち上げミラー12には反射膜が設けられている。
13は対物レンズで、対物レンズ13は立ち上げミラー12から反射してきた光を光ディスク2に集光させる。本実施の形態では対物レンズ13を用いたが、ホログラム等その他の集光部材で構成してもよい。また、当然のごとく、光ディスク2から反射してきた光はこの対物レンズ13を通過する。対物レンズ13はガラスで構成されたり、あるいは樹脂で構成されるが、対物レンズ13を樹脂で構成する場合には好ましくは、耐短波長光樹脂(短波長によって劣化しないあるいは劣化しにくい樹脂)で構成される。
14は対物レンズ13と立ち上げミラー12の間に設けられた色消し回折レンズで、色消し回折レンズ14は色収差を補正するという機能を有する。色消し回折レンズ14は短波長の光が通過する各光学部品などで生じる色収差を打ち消して低減させるように設けられている。色消し回折レンズ14は基本的にはレンズの上に所望のホログラムを形成して構成され、色収差の補正度合いは、ホログラムの格子ピッチ,レンズの曲率半径の少なくとも一つを調整することで決定可能である。色消し回折レンズ14はプラスチックなどの樹脂やガラスで構成されている。樹脂などを用いる場合には、耐短波長光樹脂(短波長によって劣化しないあるいは劣化しにくい樹脂)で構成されることが好ましい。
以上の様に構成された光学系の具体的は配置について、以下、図2を基に説明する。
図2は実際に、図1で示した光学構成について、具現化した例を示しており、図1に示す各部材とは多少形状などが異なるが、機能などはほぼ同じである。
15は基台で、基台15は上述の各部材が固定あるいは移動可能に取り付けられている。基台15は、亜鉛,亜鉛合金,アルミ,アルミ合金,チタン,チタン合金などの金属あるいは金属合金材料で構成され、量産的な面から好ましくはダイカスト製法などを用いて構成されている。基台15は図3,図4に示すようなピックアップモジュールに移動自在に保持される。
図3,図4において、20はフレームでフレーム20には略平行に配置されたシャフト21,22が取り付けられており、このシャフト21,22に基台15が移動可能に取り付けられている。また、シャフト22のシャフト21側と反対側には、ヘリカル状の溝を設けたスクリューシャフト23がシャフト21,22と略平行にフレーム20にしかも回転自在に取り付けられている。詳細には図示していないが、基台15に一体あるいは別に設けられた部材がこのスクリューシャフト23に設けられた溝に噛み込んでいる。スクリューシャフト23はフレーム20に回転自在に設けられたギア群24aと噛み合っており、このギア群24aはフィードモーター24と噛み合っている。従って、フィードモーター24が回転すると、ギア群24aが回転し、それに伴ってスクリューシャフト23が回転し、スクリューシャフト23が回転することによって、基台15は図3に示す矢印方向に往復運動を行うことができる。このとき、本実施の形態では、フィードモーター24は、スクリューシャフト23に略平行に配置される。また、フレーム20には光ディスク2を装着し、光ディスク2を回転させるスピンドルモーター25がネジ止めや接着などの手法にて取り付けられている。
さらに、補足的に、図3に示すように、フレーム20とは別体に制御基板26を設け、この制御基板26と基台15の間は、例えばフレキシブル基板29を介して電気的に接合
され、さらには図示していない部材によってスピンドルモーター25とも制御基板26は電気的に接続されている。制御基板26には光ディスク装置に設けられた制御基板との間の電気的接続を行うコネクタ27が設けられており、このコネクタ27に図示していないフレキシブル基板等を差し込んで電気的接続を行う。
さらに図4に示す様にフレーム20において、少なくとも光ディスクと対向する側に、部材の保護を行うことを一つの目的としたフレームカバー30を設けてもよい。フレームカバー30には貫通孔31が設けられており、この貫通孔31からは、基台15における少なくとも対物レンズ10,13が表出し、さらにはスピンドルモーター25が所定量突出している。また、図3,図4において、フレーム20には他の部材へ固定するために取付部20aが設けられており、この取付部20aにネジなどを挿入して他の部材へフレーム20を取り付ける。
図2において、基台15には、短波長光学ユニット1,長波長光学ユニット3,ビーム整形レンズ4,光学部品5,リレーレンズ6,ビームスプリッタ7,支持部材8a,リードスクリュー8c,ギア群8d,駆動部材8e,立ち上げミラー9,12等が光硬化型接着剤やエポキシ系接着剤等の有機系の接着剤を用いて接着されたり、半田や鉛フリー半田等の金属系の接着剤を用いて接着されたり、もしくはネジ止め,嵌合,圧入等の手法を用いて取り付けられている。
なお、リードスクリュー8cおよびギア群8dについては、回転自在に基台15に取り付けられている。
17はサスペンションホルダーで、このサスペンションホルダー17は後述するヨーク部材を介して各種接合手法によって基台15に取り付けられており、レンズホルダー16とサスペンションホルダー17は複数本のサスペンション18を介して結合されており、レンズホルダー16は基台15に対して所定の範囲移動可能なように支持される。レンズホルダー16には対物レンズ10,13および光学部品11,色消し回折レンズ14等が取り付けられており、レンズホルダー16の移動によって、レンズホルダー16とともに、対物レンズ10,13および光学部品11,色消し回折レンズ14も移動する。図5に示すように、立ち上げミラー9,12は基台15に隆起して設けられた隆起部15d,15eにそれぞれ光硬化性樹脂や瞬間接着剤などによって取り付けられる。隆起部15dに立ち上げミラー9を取り付ける際には、立ち上げミラー9を透過していく光を遮らないように立ち上げミラー9と隆起部15dとの接着位置を考慮する。立ち上げミラー9,12はレンズホルダー16の下部に位置するように設けられているため、図2には図示されていない。
立ち上げミラー9は、短波長光学ユニット1から出射されビームスプリッタ7やコリメータレンズ8を通過してきた光束に対して傾斜して設けられているので、短波長光学ユニット1から到来する光束は、立ち上げミラー9を通過すると屈折され、対物レンズ10,13から遠ざかる向きに図5に示す距離dだけ移動する。
対物レンズ10と、対物レンズ10よりもレンズの軸上厚が厚く構成されている対物レンズ13は、図5に示すように、短波長光学ユニット1や長波長光学ユニット3から出射されビームスプリッタ7やコリメータレンズ8を通過した光が進んでくる方向に沿って、対物レンズ10,対物レンズ13の順で配置されている。言い換えると、図6に示すようにレンズホルダー16において、サスペンションホルダー17側から対物レンズ13,対物レンズ10の順で配置されている。
対物レンズ10,13をこのような配置とすることにより、レンズホルダー16が上下
に駆動されても、光束が対物レンズ13や色消し回折レンズ14により遮られることがなくなるので、光ピックアップ装置を薄型化することが可能となる。
図6〜図8を参照してレンズホルダー16周りの構成を説明する。なお、図7は本実施の形態における光ピックアップ装置を示す図6のA−A断面を示す図である。
図7に示すように、レンズホルダー16には貫通孔16a,16bが設けられており、図7に示す矢印P1方向から対物レンズ10,13がそれぞれ貫通孔16a,16bに落とし込まれて、光硬化性接着剤などで固定される。このとき対物レンズ10,13の外周部がレンズホルダー16の貫通孔16a,16bの周縁部に当接する。また、光学部品11および色消し回折レンズ14は図7の矢印P2方向からそれぞれ貫通孔16a,16bに挿入され、やはり、光硬化性接着剤や瞬間接着剤などによって固定される。このときも光学部品11および色消し回折レンズ14の外周部がレンズホルダー16の貫通孔16a,16bの周縁部に当接する。
図6に示すように、33,34はそれぞれフォーカスコイルで、それぞれ略リング状に巻線されており、しかもレンズホルダー16の対角位置にそれぞれ設けられている。35,36はトラッキングコイルでフォーカスコイル33,34と同様にそれぞれ略リング状に巻線されており、しかもフォーカスコイル33,34とは異なる対角位置にそれぞれ設けられている。また、フォーカスコイル33,34とレンズホルダー16の間には、それぞれサブトラッキングコイル37,38が設けられている。このサブトラッキングコイル37,38を設けることで、トラッキング中に生じるレンズホルダー16の不要な傾きなどを抑制することができる。サブトラッキングコイル37,38を熱硬化性接着剤などの有機接着剤で、レンズホルダー16に接合してその後にフォーカスコイル33,34をサブトラッキングコイル37,38に上に接着剤などで接合してもよく、さらに、例えば予めサブトラッキングコイル37とフォーカスコイル33を接合した接合体をレンズホルダー16に接着する方法でもよい。これらのコイルとレンズホルダー16との接合や、コイル同士の接合には、好ましくは熱硬化性接着剤が用いられるが、光硬化性接着剤やその他の接着剤を用いて接合することも同様に実施可能である。またコイルとレンズホルダー16,コイル同士を所定の位置に確実に配置することができれば、その他の方法を用いて接合してもよい。
サスペンション18はレンズホルダー16を挟むように片方に3本ずつ設けられており、サスペンション18はサスペンションホルダー17とレンズホルダー16とを弾性的に連結しており、少なくともレンズホルダー16は所定の範囲で、サスペンションホルダー17に対して変位可能となっている。なお、本実施の形態では、サスペンション18は片方に3本ずつ設け、合計6本としたが、それ以上の数(例えば8本)のサスペンション18を設けても、それ以下の数(例えば4本)のサスペンション18を設けてもよい。また、便宜上図6において上方の3つのサスペンション18を光ディスク2と対向する側からそれぞれサスペンション18a,18b,18cとし、図6の下方の3つのサスペンション18を光ディスク2と対向する側からそれぞれサスペンション18d,18e,18fとした。サスペンション18の両端部はそれぞれレンズホルダー16とサスペンションホルダー17にインサート成型で固定されている。
以下にサスペンション18とレンズホルダー16に設けられた各コイルとの配線の一例について説明する。すなわち、レンズホルダー16に設けられた各コイルには、サスペンション18を介して電流が流される。
フォーカスコイル33の両端はそれぞれサスペンション18a,18bにそれぞれ電気的に接続され、フォーカスコイル34の両端はサスペンション18d,18eにそれぞれ
電気的に接続される。また、トラッキングコイル35,サブトラッキングコイル37,トラッキングコイル36,サブトラッキングコイル38はそれぞれ直列に接続されており、それら直列に接続されたコイル群の両端の一方は、サスペンション18cに接続され、他方はサスペンション18fに接続される。各コイルの端部とサスペンション18は例えば半田や鉛フリー半田などの金属系の接合材によって、電気的に接続されている。
サスペンション18は断面略円形状や略楕円形状のワイヤもしくは断面矩形状などの多角形状のワイヤで構成してもよく、さらには板バネを加工することでサスペンション18としてもよい。サスペンション18は、サスペンションホルダー17を下にして対物レンズ10,13の光の出射方向から見ると略ハの字型になっており、テンションが加えられている。これにより、小型化とサスペンション18の座屈方向の共振を低減させることが可能となる。
32は磁気回路を構成しやすいFeあるいはFe合金などで構成されたヨーク部材で、ヨーク部材32には、レンズホルダー16に設けられた各コイルに対向する立設部32a,32b,32cが切り起こし加工などによってヨーク部材32に一体に設けられている。また、ヨーク部材32の下面には開口部32dが設けられており、この開口部32dからは、基台15に固定された立ち上げミラー9,12が入り込む構成となる。また、サスペンションホルダー17はこのヨーク部材32の上に接着などの手法によって固定され、しかもヨーク部材32はやはり接着などの手法によって基台15に接合される。
39〜42はヨーク部材32に接着などの手法により設けられたマグネットである。
マグネット39は立設部32cに取り付けられるとともに、フォーカスコイル33およびサブトラッキングコイル37に対向するように設けられている。また、マグネット39は、図7に示す高さ方向について底面部から対物レンズ10,13側に、S極,N極の順でフォーカスコイル33およびサブトラッキングコイル37に対向する面に磁極が表出するように着磁され、ヨーク部材32に配置されている。
マグネット40は図6に示す幅方向について、立設部32cのマグネット39が取り付けられた側とは反対側に取り付けられ、トラッキングコイル35と対向するように設けられている。なお、本実施の形態ではヨーク部材32の剛性等を増すように、立設部32cを図6に示す幅方向に広く形成したが、立設部32cを二つに分割し、その一方にマグネット39を接着などによって取り付け、マグネット40を他方に取り付けた構成としてもよい。また、マグネット40は図6に示す幅方向について、内側からN極,S極の順でトラッキングコイル35に対向する面に磁極が表出するように着磁され、ヨーク部材32に配置されている。
マグネット41は立設部32bに取り付けられ、トラッキングコイル36に対向するように設けられ、図6に示す幅方向について、内側からN極,S極の順でトラッキングコイル36に対向する面に磁極が表出するように着磁され、ヨーク部材32に配置されている。
マグネット42は立設部32aに取り付けられるとともに、フォーカスコイル34およびサブトラッキングコイル38に対向するように設けられている。また、マグネット42は、図7に示す高さ方向について底面部から対物レンズ10,13側に、S極,N極の順でフォーカスコイル34およびサブトラッキングコイル38に対向する面に磁極が表出するように着磁され、ヨーク部材32に配置されている。
以下各部の詳細について、説明する。
まず、短波長光学ユニット1について図9,図10を用いて説明する。なお、図9は各部の配置関係が明確になるように図示されており、図10は実際の短波長光学ユニット1の断面図を示している。
少なくとも光源部1a,受光部1b,受光部1c,光学部材1dが載置部43に直接あるいは間接的に取り付けられている。また、載置部43の後端部は保持部材44に取り付けられている。載置部43の保持部材44との取付部43cは凸状の湾曲形状となっており、同様に保持部材44の載置部43との取付部は凹状の湾曲形状となっている。載置部43は保持部材44と組み合わせ、しかも互いの湾曲形状部分を摺動させることによって、互いに所望の位置関係となるように位置決めされ、その後に半田等の金属製の接着剤や有機接着剤などによって互いに固定される。
載置部43には光源部1aの少なくとも一部が収納可能な光源収納部43aが設けられており、この光源収納部43aに光源部1aを収納した後、接合材にて光源部1aが光源収納部43aから脱落しないように接合されている。また、光源部1aの光出射部と対向する部分には貫通孔43bが光源収納部43aと連通して設けられ、光源部1aから出射された光は貫通孔43bを通過して光学部材1dに導かれる。光学部材1dは詳細には後述するが、傾斜面46aを有した光学部46と内部に複数の傾斜面を有した光学部47とを少なくとも有している。載置部43には光学部材1dと対向する受光取付部48が一体に形成されており、受光取付部48に貫通孔45が設けられている。受光取付部48について光学部材1d側の反対側には、フレキシブルプリント基板49を介して受光部1bが接着等の手法で取り付けられている。フレキシブルプリント基板49は省略されて図9や図10等に記載されているが、受光部1bと他の部材間を電気的に接続しており、しかも貫通孔49aが設けられている。光学部材1dからの光はこの貫通孔45,49aを介して受光部1bに導かれる。さらに、図10から明らかなように、受光取付部48と対向するように受光取付部50が載置部43に一体に設けられており、この受光取付部48,50の間に光学部材1dが配置される。受光取付部50には図示していないが、貫通孔が設けられており、受光取付部50には受光部1cが接着などの手法で取り付けられている。光学部46からの光が図示していない受光取付部50の貫通孔を通過して受光部1cに入射される。
次に光学部材1dの光学部46,47について図11を用いて詳細に説明する。
光源部1aの発光点から発光した短波長の光は、光源部1aの光の出射窓となる部分に設けられたカバーガラス51を通して光学部46に導かれる。光学部46のカバーガラス51に略平行に設けられた平面46bに入射した光は光学部46中を通過し、平面46bに対して傾斜した傾斜面46aに入射した光は反射されて図11には示していない受光部1cに入射され、光出力のモニター用として用いられる。傾斜面46aには誘電体多層膜や金属膜等の反射部が形成されている。光学部46中を通過する光のほとんどは平面46bと略平行に設けられた平面46cを通過して光学部47に導かれる。この時、平面46cには図示していないが調光フィルタが形成され、その調光フィルタによって減光された光が光学部47に導かれる。この減光フィルタの透過率は様々な値を有するが、その透過率は光源部1aから出射される光の広がり角によって、調整される。すなわち、光源部1aからの光の広がり角が大きい場合には、調光フィルタの透過率を低く、光源部1aからの光の広がり角が小さい場合には、調光フィルタの透過率を高くなるように構成する。この様に光源部1aからの光の広がり角によって、調光フィルタの透過率を調整することで、単層ディスクや多層ディスクの記録もしくは再生の際に光の出力が強すぎて所望しないデータ消去などが発生するのを防止できる。具体的には、予め光源部1aから出射される光の広がり角を所定の範囲ごとに分類し、その分類された光源部1aごとに透過率の異な
る調光フィルタを設けることで、光ディスクに対して良好な記録再生特性を得ることができる。調光フィルタは誘電体多層膜や金属膜で構成され、透過率を調整する場合、誘電体多層膜を使用する場合には、その構成材料や膜構成あるいは膜厚などで調整を行うことができ、金属膜を用いる場合には、その金属膜の構成材料や厚みなどを調整することができる。
平面46cを通過した光は光学部47に入射する。この時光学部46と光学部47の間には所定間隔のギャップが設けられている。光学部47は全体としては略直方体形状であり、光源部1aからの光が入射する底面53には所定の領域を除いて光の吸収作用を有する光吸収膜が設けられている。これは、光源部1aから出射された光が所定部分以外のところから光学部47に入射されるのを防止している。光源部1aから出射され、光学部46を通過した光の少なくとも一部は底面53の吸収膜を非配置とした部分から光学部47の内部に入射する。
光学部47は透明なガラスなどで構成されたブロック58〜61を接合して構成されており、ブロック58とブロック59の接合部分には傾斜面54が形成され、ブロック59とブロック60の間には傾斜面55が形成され、ブロック60とブロック61の間には傾斜面56が形成されている。光学部47の内部には傾斜面54,55,56が少なくとも設けられ、傾斜面54,55,56の端部は光学部47の表面に露出している。傾斜面54には第1の偏光ビームスプリッタが設けられ、傾斜面55にも同様に第2の偏光ビームスプリッタが設けられる。第1および第2の偏光ビームスプリッタはともにブロック59に直接形成して設けたが、第1の偏光ビームスプリッタをブロック58に形成してもよいし、第2の偏光ビームスプリッタをブロック60に形成してもよい。第1および第2の偏光ビームスプリッタはともにP偏光の光(以下P波と略す)を透過し、S偏光の光(以下S波と略す)を反射する機能を有する。また、少なくとも第1および第2の偏光ビームスプリッタは光学部47内で主に光が通過する部分に設ければよいが、本実施の形態の場合、生産性などを考慮し、傾斜面54,55の全面に設けた。傾斜面56には反射膜および非点収差を発生させるホログラム57(図1で示すホログラム1eに同じ)が形成されている。
光源部1aから光学部47の底面を通過して光学部47に入射した光はS波であり、傾斜面54に設けられた第1の偏光ビームスプリッタで反射されて、傾斜面55に形成された第2の偏光ビームスプリッタに入射される。第2の偏光ビームスプリッタも、前述の通り、S波を反射するので、第2の偏光ビームスプリッタに入射した光は反射され、光学部47の上面62zから出射され、上述の各部材を通過して光ディスク2に導かれる。また、光ディスク2で反射してきた光は、1/4波長部材9aの作用によりP波に変換され、再び光学部47の上面62zから光学部47の中に入射する。この時、光学部47から光ディスク2の方へ向かう光の出射部分と光ディスク2から反射してきた反射光の入射部分はほぼ同じ位置となる。光ディスク2で反射して光学部47に戻ってきた光は上述の通りP波なので、傾斜面55に設けられた第2の偏光ビームスプリッタは透過し、傾斜面56に入射される。傾斜面56には非点収差を発生させる反射型のホログラム57が設けられており、フォーカスエラー信号を得ることが出来るように光ディスク2からの反射光をこのホログラム57で所定の方向に分離する。傾斜面56で反射された光は、P波であるので、再度第2の偏光ビームスプリッタを透過し、ブロック59を透過し、更には前述の通り、第1の偏光ビームスプリッタもP波を透過させる性質を有するので、第1の偏光ビームスプリッタを透過しブロック58を通過して、光学部47の外部に出射され、その後に受光部1bに入射される。
次に光源部1aの一例について図12及び図13を用いて説明する。
図12,図13に示すように光源部1aは以下の部材で構成される。まず、金属材料で構成されたベース62を有しており、このベース62の両短辺部には光源部1aの位置調整などを行うとき等に用いられる凹部62aが設けられている。また、貫通孔62b,62cが設けられている。なお、図面の関係上図示していないが、貫通孔62b,62c以外にももう一つ他の貫通孔が設けられる。ベース62にはカバー部材63が溶接や半田付けなどによって接合されており、カバー部材63の天面部には方形上の貫通孔64が設けられ、貫通孔64を塞ぐようにカバーガラス65(図11のカバーガラス51と同じ)が接着などの手法で取り付けられている。カバー部材63の断面は楕円あるいは長円などの形状となっている。また、ベース62とカバー部材63で囲まれた領域には銅や銅合金などの好ましくは熱伝導性が良いブロック66が設けられ、ブロック66はベース62に溶接や金属製の接合材などで接合されている。ブロック66の断面は略半円形状となっている。ブロック66の平坦部には金属材料で構成されたサブマウント67を介して半導体レーザー素子68が設けられている。従って、サブマウント67,半導体レーザー素子68はブロック66とともにベース62とカバー部材63で囲まれた領域内に配置されることになる。また、半導体レーザー素子68の光放出面はカバーガラス65と対向するように配置され、カバーガラス65から外部に出射される。ベース62に設けられた貫通孔62b,62c及びその他の貫通孔にはそれぞれ棒状の端子69,70,71が挿入され、しかもベース62と端子69,70,71間の絶縁を保つように、端子69,70,71の貫通孔62b,62c及びその他の貫通孔に挿入された部分は絶縁材料を介してベース62に取り付けられている。端子69,70,71の先端部分はベース62とカバー部材63で囲まれた領域内に突出している。ここで端子69とサブマウント67とが金線69aで接続されており、端子69と半導体レーザー素子68のn型窒化ガリウム側とがサブマウント67を介して電気的に導通している。また、端子70と半導体レーザー素子68のp型窒化ガリウム側とが金線70aで接続され電気的に導通している。従って、端子69,70,71を介して半導体レーザー素子68に電力を供給し、短波長の光を放出させる。
半導体レーザー素子68は前述の通り、基本的にはp型窒化ガリウムとn型窒化ガリウムの間に活性層(In等の発光中心を有する窒化ガリウム)を設けた窒化ガリウム系半導体レーザー素子が好適に用いられ、400nm〜415nmの波長の光を発する。当然の如く、他の短波長レーザーを放出する他の材料系の半導体レーザー素子も用いることができる。
半導体レーザー素子68は断面長方形状の直方体形状を有しており、長辺方向Xと略平行に、p型窒化ガリウムとn型窒化ガリウムと活性層とが積層した構成となっている。ここで半導体レーザー素子68として、サブマウント67側からn型窒化ガリウム,活性層,p型窒化ガリウムという順番で積層されたものが用いられているが、逆に、サブマウント67側からp型窒化ガリウム,活性層,n型窒化ガリウムという順番で積層されたものを用いてもよい。いずれにしても、半導体レーザー素子68の活性層の積層方向とベース62の長辺62dとは非平行関係になっている(本実施の形態では略垂直に交わる)。また、ベース62は基台15に対して、長辺62dが基台15の厚み方向に略垂直に取り付けられるので、半導体レーザー素子68の活性層は前記基台15の厚み方向に略平行に積層されていることになる。ここでは、光ディスク装置の薄型化のために、ベース62の長辺62dを基台15の厚み方向に略垂直に取付けたのだが、効率よく短波長レーザーを利用することに注目すると、半導体レーザー素子68の積層の方向が基台15の厚み方向と略平行であればよい。
ここで、ベース62と半導体レーザー素子68との関係を用いてさらに言い換えると、断面長方形の長辺部分をサブマウント67に接合しているので、ベース62の長辺62dと半導体レーザー素子68の断面長方形の長辺方向Xは非平行関係になっている(本実施
の形態では略垂直に交わる)。この様な構成によって半導体レーザー素子68から放出される光の断面は、略楕円形状の放射光の強度分布の長軸とベース部材62の長辺62dとは略平行になるように放出させることができる。例えば、図14に示す様に72はベース62の長辺62dに略平行な軸、74は半導体レーザー素子68から放出される光の強度分布を、強度一定となる線で示した光の輪郭であり、73は放出される光の輪郭74の略楕円形状の長軸であり、本実施の形態では図14(a)に示すように軸72と長軸73の交わる角度θが90度となる構成ではなく、図14(b),図14(c)に示すように角度θが90度とならないような構成とした。なお、角度θの定義として、軸72と長軸73が交差する角度で最小の角度と定義される。すなわち、角度θは0度以上で90度以下である。すなわち図14(b)に示す様に軸72と長軸73が平行であり、図14(b)〜図14(f)に示すように長軸73と軸72は所定の角度θをもって交差している。この時交差する角度θは好ましくは0度以上45度以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0度以上30度以下、更には0度以上10度以下である。当然のことであるが、もっとも好ましいのは、図14(b)に示すように長軸73と軸72が略平行となること(角度θがほぼ0度)である。また、上記の例では、軸72はベース62の長辺62dと平行としたが、この軸72は、以下の通り、他の構成部材との関係でも定義可能である。すなわち、軸72は、装着された光ディスク2の主面と平行であり、しかも光源部1aのカバーガラス65から出射される光の方向とも垂直な軸であると定義可能であるし、図2に示す基台15の厚み方向と垂直でしかも光源部1aのカバーガラス65から出射される光の方向とも垂直な軸であるとも定義でき、また基台15の底面と平行であり、しかも光源部1aのカバーガラス65から出射される光の方向とも垂直な軸であるとも定義できる。更にはスピンドルモーター25の回転軸と垂直でしかも光源部1aのカバーガラス65から出射される光の方向とも垂直な軸であるとも定義できる。
この様に、光源部1aから出射される光の外輪においてその長軸を上述のような配置関係とすることで、光の利用効率を高めることができ、同じ出力の光源部1aを用いるのであれば、より出力の大きな光を光ディスク2に照射可能であり、光ディスク2に照射する光の強さを同じにするのであれば、より出力の小さな光源部1aを用いることができる。
以下、その原理について詳細に図15を用いて説明する。
図15(a)は、軸72と長軸73が垂直に交差する場合、すなわち、図面では縦長の楕円形状になった場合である。この場合、軸72に沿った方向で、しかも光の輪郭74の中心Q(長軸と短軸が交差した点)の光量を1としたときに、所定の割合の光量となる部分までの領域の光が使用される。すなわち、例えば本実施の形態では、所定の割合は0.6(仕様などによって、この割合は決定されるが、通常0.3〜0.8)であり、中心Qから左右にL1,L2の距離の円形領域75、すなわちL1+L2を直径とする円形領域75の光が使用可能となる。本実施の形態ではL1≒L2であるので、実質使用される光の領域は半径がL1もしくはL2の円形領域75となる。図15(a)の場合、縦長になっているので、軸72の方向において、中心Qから中心Qでの光量の0.6となる距離L1,L2は比較的短くなっており、利用可能な光量の領域がわずかである。一方、図15(b)に示す最適な本実施の形態の様に、所定の割合の光量となる部分までの領域の光が使用される。すなわち、例えば本実施の形態では、所定の割合は0.6(仕様などによって、この割合は決定されるが、通常0.3〜0.8)であり、中心Qから左右にL3,L4の距離の円形領域75、すなわちL3+L4を直径とする円形領域75の光が使用可能となる。本実施の形態ではL3≒L4であるので、実質使用される光の領域は半径がL3もしくはL4の円形領域75となる。図15(b)の場合、光の輪郭74が横長になっているので、軸72の方向において、中心Qから中心Qでの光量の0.6となる距離L3,L4は比較的長くなっており、利用可能な光量の領域が図15(a)の例に比較して非常に広くなり、効率よく光を利用できる。すなわち、L1<L3でL2<L4となる。
本実施の形態では、上述の様に光源部1aから出射される略楕円形状の光の長軸73を軸72に対して垂直ではなく所定の角度θ(0度含む)とする構成は、図12,図13に示すようにベース62の長辺62dを基台15側に取り付ける構成とすることで、上述の様に光源部1aから出射される楕円形状の光の長軸を基台15と略平行とすることができ、光源部1aの高さが高くならないので、装置の薄型化を実現できる。なお、本実施の形態が想定している18mm以下、好ましくは15mm以下、さらに好ましくは13mm以下の光ディスク装置において、光源部1aを低く取り付けられることは、非常にこれら光ディスク装置を実現する上で好ましいと言える。また、軸72と長軸73を所定の角度(0度より大きく90度未満)にする場合には、光源部1a自体を所定角度回転させて取り付けたり(この場合、多少光源部1aを取り付けた際に取り付け高さが高くなる)、あるいは、光源部1aの中のブロック66を所定量回転させてベース62に取り付けたり、あるいはブロック66に半導体レーザー素子68を取り付ける際に長辺62dに傾斜して取り付けたりすることで実現できる。
次に、長波長光学ユニット3について図16を用いて説明する。
載置部76には、光源保持部76aが設けられ、この光源保持部76aには光源部3aが半田,鉛フリー半田や光硬化性樹脂等の接合材で接合され、さらに載置部76の光源保持部76aの上には光学部材3dが取り付けられている。また、受光部3b,3cが光学部材3dを挟むように載置部76に光硬化樹脂等の接合材で取り付けられている。光源部3aはリードフレーム77を樹脂などのモールド部材78で少なくとも一部をおおい、しかもリードフレーム77上に半導体レーザー素子79が取り付けられている。リードフレーム77には端子77a〜77cが電気的に接続されている。半導体レーザー素子79は前述の通り、出射される光は、640nm〜800nmの波長であり、一種の波長の光を単数出射したり、あるいは複数種の波長の光を複数出射する構成となっている。本実施の形態では、略660nmの波長の光束(赤:例えばDVD対応)と略780nmの光束(赤外:例えばCD対応)を出射する構成とした。半導体レーザー素子79はモノブロックの素子で2つの光束を出射する構成としたが、一つのブロックで一つの光束を出射する素子を複数リードフレーム77の上に設けた構成としてもよい。
光学部材3dは2つの光学部80,81で構成され、光学部80は板状であり、図示していないが光源部3aから出射された不要な光が光学部81に届かないように、すなわち迷光対策を行う膜が形成されている。すなわち、前記迷光対策を行う膜には開口があり、光の主要部分は開口を通じて光学部81に導かれ、しかも開口以外の部分に入射される光は吸収されるような材料で構成される。また、CD対応の光に作用しDVD対応の光には作用しにくい波長選択性を有するホログラムが設けられ、このホログラムにてCD対応の光を3つのビームに分離する。光学部81は光学部80の上に設けられ、光学部81は透明なガラスなどで構成されたブロック82〜85を接合して構成されており、ブロック82とブロック83の接合部分には傾斜面86が形成され、ブロック83とブロック84の間には傾斜面87が形成され、ブロック84とブロック85の間には傾斜面88が形成されている。光学部81の内部には傾斜面86,87,88が少なくとも設けられ、傾斜面86,87,88の端部は光学部81の表面に露出している。
傾斜面86には光源部3aから出射された光の3〜15%の光を反射させるように、光の透過部分の一部に反射膜やホログラムの少なくとも一つが設けられており、しかもCD対応の光及びDVD対応の光のP波を透過させ、S波を反射させる誘電体多層膜が形成されている。この傾斜面86において反射された光は受光部3cに入射され光源部3aの光の出力のコントロールに用いられる。また、傾斜面87には、CD対応の光及びDVD対応の光のP波は透過し、CD対応の光のS波は反射し、DVD対応の光のS波は透過させ
る誘電体多層膜が形成されている。また、傾斜面88には反射作用を有する誘電体多層膜や金属膜が設けられている。なお、本実施の形態においては、傾斜面88には反射型のホログラム3eが設けられている。
光源部3aから出射されたCD対応の光は、光学部80に入射されると、迷光部分を除去されしかも、波長選択性を有するホログラムで分離され、光ディスク2上で3ビームとなる。また、光学部80から光学部81に入射すると、傾斜面86にて一部の光が反射されて受光部3cに入射され、他の光はP波であるので傾斜面86を通過してブロック83に入射し、傾斜面87に導かれる。傾斜面87ではP波であるCD対応の光は通過しブロック84を通過してブロック84の上面から出射される。また、光ディスク2で反射してきた光は光学部品11の1/4波長部材の作用でS波となっており、再度ブロック84の上面に入射し、傾斜面87に入射する。傾斜面87では、CD対応の光のS波は反射する機能を有する膜が設けられているので、光ディスク2から反射してきたCD対応の光は反射されて、傾斜面88で反射され、さらにブロック84を通過して再度傾斜面87に入射する。上述のように傾斜面87にはCD対応の光のS波が反射される膜が設けられているので、傾斜面87にて再度反射し、ブロック84を通過して受光部3bに導かれる。受光部3bに入射した光は、電気信号に変換され、RF信号やトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号などが生成される。なお、傾斜面88に設けられた反射型のホログラム3eにより、光ディスク2からの反射光が複数本に分離され、それぞれ受光部3bの所定の場所に導かれ、フォーカスエラー信号が生成される。
光源部3aから出射されたDVD対応の光は、光学部80に入射されると、迷光部分を除去され光学部81に入射する。光学部80に設けられた波長選択性を有するホログラムはDVD対応の光には作用しない。また、光学部80から光学部81に入射すると、傾斜面86にて一部の光が反射されて受光部3cに入射され他の光は傾斜面86を通過してブロック83に入射し、傾斜面87に導かれる。傾斜面87ではDVD対応の光はP波なので、ブロック84を通過してブロック84の上面から出射される。また、光ディスク2で反射してきた光はS波となって再度ブロック84の上面に入射し、傾斜面87に入射する。傾斜面87では、DVD対応の光は通過する機能を有する膜が設けられているので、光ディスク2から反射してきたDVD対応の光は傾斜面87を通過し、さらにブロック83を通過して傾斜面86に入射する。傾斜面86はDVD対応のS波の光を反射するので、DVD対応の光は反射し、ブロック83を通過し再度傾斜面87に入射するが、前述の通り、傾斜面87にはDVD対応の光は通過する膜が形成されているので、傾斜面87を通過して受光部3bに導かれる。受光部3bに入射した光は、電気信号に変換され、RF信号やトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号などが生成される。
なお、図16には、CD対応の光の往復路を記載している。
次に本実施の形態に用いたビーム整形レンズ4について説明する。
ビーム整形レンズ4は図17に示すように凸部4aおよび凹部4bを含む光透過部4dとその光透過部4dを挟むように設けられた取付部4cとを含んでおり、光透過部4dと取付部4cは本実施の形態では一体成形としたが、光透過部4dと取付部4cを別部材で構成し互いを接着剤などで接合した構成でもよい。
図17(a)に示すように、短波長光学ユニット1から出射された短波長の光は、ビーム整形レンズ4に入射する直前は楕円形形状となっているが、凸部4aや凹部4bの曲率半径や所定の曲面形状とすることで、ビーム整形レンズ4を通過した後は、略円形の光となる。同様に光ディスク2等で反射してきた光は、このビーム整形レンズ4を通過することによって、円形の光が略楕円形に変換される。
次に本実施の形態に用いた光学部品5について図18を用いて説明する。
光学部品5は、透明なガラスなどで構成された略方形状であってしかも板状の基板5a,5bの間に偏光部5c及び偏光部5dを挟み込んで構成されている。偏光部5cは短波長光学ユニット1から出射されたS波に対して大きく作用し、光ディスク2で反射してきたP波に対してはほとんど作用しない。さらに、偏光部5dは短波長光学ユニット1から出射されたS波に対してほとんど作用せず、光ディスク2で反射してきたP波に対しては大きく作用する。また、光学部品5に対しては短波長光学ユニット1から出射された光は基板5a,偏光部5c,偏光部5d,基板5bの順に通過し、光ディスク2で反射してきた光は基板5b,偏光部5d,偏光部5c,基板5aの順に通過する。偏光部5cは図18(b)に示すように光学異方性樹脂材料を用いて偏光選択性のホログラム5eが略方形状に形成されている。図18(b)に示すように、ホログラム5eは長方形状に形成され、長辺から入射光束径の端部がはみ出すように構成される。また、偏光部5cは図示していないがホログラム5e中に少なくとも光学等方性の樹脂を充填して構成される。製法の一つとして、基板5a上にホログラム5eを公知の工法によって作製し、そのホログラム5eの少なくとも隙間に光学等方性の樹脂を充填して構成される。図18(c)に示すように図18(b)のX軸においては、入射する光量が点線で示され、偏光部5cを通過すると、実線の様に全般的に光量が落ちるように構成され、また図18(d)に示すように図18(b)のY軸においては、入射する光量が点線で示され、偏光部5cを通過すると、実線に示されるように、主に入射する光の光量の大きな部分を落とすような構成となる。この様に光量の大きな部分を偏光部5cで落とすことで、RIM強度(中心強度に対する光束最外部の強度比)を高くすることができ、短波長の光を光ディスク2上において小さなスポットで集光させることができ、高密度の光ディスク2への記録/再生の少なくとも一方を行うことができる。すなわち、偏光部5cはRIM強度が高いX軸方向には作用せず、RIM強度が低いY軸方向にのみ作用するRIM強度補正フィルタの機能を有する。
また、偏光部5dにおいては、基板5bの上に光学異方性樹脂材料で図示していないが偏光選択性のホログラムが設けられ、このホログラム中に等方性の樹脂を充填して構成される。この偏光部5dの一部を構成するホログラムは、光ディスク2から反射してきた光を主にトラッキングエラー信号を生成するように所定の光束に分離させる機能を有している。
さらに、製法の一つとして挙げられるのは、基板5a,5bのそれぞれに偏光部5c,5dを形成して、偏光部5c及び偏光部5dを対向させ、間に樹脂等の接着剤で接合して光学部品5を形成する方法である。
次にリレーレンズ6について詳細に説明する。
詳細には、リレーレンズ6は図19に示すような形状となっている。すなわち、実質的に少なくとも一部分に光が通過する光透過部6aと、この光透過部6aの周りに設けられ、好ましくは放射状に複数設けられた突部6bと、突部6bを設けた外角が略円形状の外輪部6cとを有しており、本実施の形態では、光透過部6a,突部6b,外輪部6cを一体成形して作成したが、各部を別ピースで構成し、各部を互いに取り付けて構成してもよい。
基台15には取付部15aが立設されており、取付部15aには段部15cを設けた凹部15bが設けられており、図19に示す挿入方向よりリレーレンズ6を挿入する。段部15cを設けた凹部15bにより、リレーレンズ6は長波長光学ユニット3側に脱落しな
いような構成となっている。また、図示していないが、挿入されたリレーレンズ6の光透過部6aと対面する部分には貫通孔が設けられている。従って、図19に示すように長波長光学ユニット3から出射された光は光透過部6aおよび取付部15aに設けられた貫通孔を順に通過して、ビームスプリッタ7の方に向かう構成となる。
また、作業者や自動調整装置などによって、図示していない細いピン等を突部6bに当接させ、リレーレンズ6を所定の角度変位させ、非点収差の補正を行うことができる。また、外輪部6cが実質的に凹部15bの内壁に当接し、しかも外輪部6cは多少の突起物や凹部などが存在するが実質的に外形は円形状であるので、リレーレンズ6は、上述のように細いピンなどによって、回転自在に保持されている。リレーレンズ6を所定角度回転させて非点収差を補正した後には、少なくともリレーレンズ6と取付部15aに跨って、瞬間接着剤や光硬化性接着剤などを設けて硬化させ、リレーレンズ6と取付部15aを固定させる。このとき好ましくは取付部15aの中でも凹部15b中に接着剤を設けることが好ましく、さらには実質的に光透過部6aに上記接着剤が塗布されないように塗布方法や接着剤の塗布量を考慮することが好ましい。
次に、ビームスプリッタ7について詳細に説明する。
図20に示すようにビームスプリッタ7の外形形状は略直方体もしくは略立方体形状となるように構成され、前述の通り、透明部材7b,7cを接合して構成され、透明部材7b,7cの接合によって形成された傾斜面7aを有している。傾斜面7aは図20に示すように側面の底辺7fに対して略45度の角度を持って形成されているが、仕様やビームスプリッタ7の外形形状に応じて、所定の角度になるように適宜決定される。透明部材7b,7cは、BK7等のガラス材料で略三角柱状に形成されている。図20に示すように傾斜面には積層部7dおよび接合部7eを有している。
積層部7dは低屈折率膜と高屈折率膜を交互に積層して構成されており、本実施の形態では低屈折率膜としてSiO2膜を用い、高屈折率膜としてはTa2O5膜を用いて構成した。また、高屈折率膜と低屈折率膜のそれぞれの膜厚は、10nm〜400nm程度とした。また、本実施の形態では、透明部材7cの積層部7dを設ける面に好ましくは、研磨加工や表面処理を施した後に、スパッタリングや蒸着などの薄膜形成技術を用いてSiO2,Ta2O5,SiO2,Ta2O5,・・・・・・・SiO2,Ta2O5,SiO2の順に積層して積層部7dが形成される。本実施の形態では、SiO2膜,Ta2O5膜の薄膜の対を20組以上(歩留まりや製造コストなどを考慮すると35組以下とすることが好ましい)積層して構成した。SiO2膜,Ta2O5膜をそれぞれ1層と計算すると、積層部7dは40層〜70層で構成される。また、積層部7dの実際の厚みは2〜10μmとすることが特性面および生産性の面で有利となる。
この様に積層部7dを構成する際に、その各層(上述ではSiO2膜,Ta2O5膜)の形成膜厚をそれぞれ調整することで、所定の波長の光は透過させ、他の波長の光は反射させるといったような機能を持たせることはできる。本実施の形態では、赤色光(略660nmの波長の光)および赤外光(略780nmの波長の光)を積層部7dは透過させ、短波長光(略405nmの波長の光)を反射させる構成とした。
また、積層部7dと透過部材7bの間には接合部7eが設けられており、この接合部7eには好ましくはSi系の接着剤が好適に用いられる。Si系の接着剤は短波長の光に対して劣化しにくい性質があり、本実施の形態の様に略405nmの波長光を用いる光ピックアップ装置では、非常に好ましい。また、当然のごとく接合部7eとしては、ガラスや他の樹脂材料で構成してもよい。接合部7eの厚みは3〜15μm(好ましくは8〜12μm)とすることで、確実な透明部材7b,7c間の接合を実現でき、生産性を向上させ
ることができる。さらに本実施の形態の特徴は、短波長の光が底辺7f側から入射する構成となっているので、透明部材7c上に接合部7eを介さずに積層部7dを設けた構造としているので、接合部7eが短波長の光によって劣化することを抑制できる。
次にコリメータレンズ8及びその駆動装置について説明する。
図21に示すように、ベース89にリードスクリュー8c,ギア群8d,駆動部材8eが固定されている。なお、本実施の形態では駆動部材8eはステッピングモーターを使用した。駆動部材8eの回転軸にはモーターギア90が固定される。また、ベース89にはトレインシャフト91が回転自在に取り付けられており、このトレインシャフト91にはトレインギア92が固定されており、トレインギア92にはモーターギア90が噛み合っている。また、ベース89には一対の取付部89a,89bが一体に設けられ、取付部89aにはスクリューシャフト8cの一端が回転自在に保持されており、取付部89bにはスクリューシャフト8cの他端が回転自在に挿入されている。取付部89b側の端部にはシャフトギア93が固定されており、このシャフトギア93はトレインギア92が噛み合っている。すなわち、駆動部材8eの回転によって、その回転駆動力がギア群8d(モーターギア90,トレインギア92,シャフトギア93)を介してスクリューシャフト8cに伝えられる。
この様に、上記各部材を搭載した駆動装置94は基台15に取り付けられる。
図22,図23に示すように、基台15に取り付けられた一対の支持部材8aにはコリメータレンズ8を搭載したスライダ8bが移動自在に取り付けられている。また、駆動装置94のスクリューシャフト8cと支持部材8aが略平行となるように、支持部材8aの脇に駆動装置94が設けられている。スライダ8bには板バネなどの弾性を有する材料で構成されたラック部材95が接着や機械的接合等によって取り付けられており、ラック部材95の端部はスクリューシャフト8cに設けられた螺旋状の溝に噛み合っている。従って、スライダ8bの可動範囲の中心を、説明のため基準点Oとすると、スライダ8bは、スクリューシャフト8cの回転により基準点Oからビームスプリッタ7側と立ち上げミラー9,12側とに略平行移動する。スクリューシャフト8cの回転方向や回転速度などを変えると、スライダ8bの移動方向や速さを調整できる。本実施の形態では、駆動部材8eにステッピングモーターを用いているので、駆動部材8eに供給するパルスの数で、スライダ8bの位置すなわち、コリメータレンズ8の位置を決定することが可能となる。
図示していないが、短波長光学ユニット1からの光で光ディスク2(第1の記録層と第2の記録層を有する)に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合と、長波長光学ユニット2から出射されるCD対応の光あるいはDVD対応の光で、光ディスク2に対して情報の記録/再生を行う場合では、それぞれコリメータレンズ8の位置を異ならせることが確実な記録/再生動作の少なくとも一方を行わせる好ましい形態である。
従って、短波長光学ユニット1からの光で光ディスク2の第1の記録層(対物レンズ13側の表面から0.1mmの位置にある記録層)に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合は、コリメータレンズ8は第1の位置に位置させ、短波長光学ユニット1からの光で光ディスク2の第2の記録層(対物レンズ13側の表面から0.075mmの位置にある記録層)に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合は、コリメータレンズ8は第2の位置に位置させ、長波長光学ユニット3から出射されたCD対応の光で光ディスク2に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合は、コリメータレンズ8は第3の位置に位置させ、長波長光学ユニット3から出射されたDVD対応の光で光ディスク2に対して記録/再生の少なくとも一方を行う場合は、コリメータレンズ8は第4の位置に位置させる。この第1の位置〜第4の位置は、スライダ8bの可動範囲での、コリメータレンズ
8の位置である。第1の位置と第2の位置は常に異なり、第3の位置と第4の位置は、第1の位置および第2の位置の少なくとも一方とは異なる。つまり、第1の位置〜第4の位置は、少なくとも2つの異なる位置となる。第1の位置と第2の位置は常に異なるので、第3の位置と第4の位置が、第1の位置と第2の位置の間に位置するとスライダ8bの可動範囲を狭くすることができるが、これに限定する物ではない。次に第1の位置〜第4の位置の位置関係の一例を示す。
図22に示すように、第1の位置を基準点Oからビームスプリッタ7側に0.83mm、第2の位置を基準点Oから立ち上げミラー9,12側に0.83mm、第3の位置と第4の位置を基準点Oから立ち上げミラー9,12側に1.9mmの位置に設定することにより、コリメータレンズ8の位置を変化させ、光ディスク2の各記録層に対して、また、光ディスク2の種類ごとに確実な記録/再生動作の少なくとも一方を行うことが可能となる。ここで、第1の位置と第2の位置は、短波長光学ユニット1からの光を用いて記録/再生を行う光ディスク2に応じて、1.66mmの間隔を保ったまま、ビームスプリッタ7側や立ち上げミラー9,12側に微調整されることが好ましい。これにより、短波長レーザーの光に対して、より精度の高い球面収差補正を行うことが可能となる。また、第4の位置も同様に、スピンドルモーター25に装着される光ディスク2(この場合、DVD)に応じて位置を微調整されることが好ましい。
以上の構成による動作の一例を示す。
図示していない別途のセンサなどを設け、このセンサによって、スライダ8bがホームポジションに位置していると仮定する。図示していない制御部材は、外部などからの信号によって、どの波長の光で記録/再生を行うのか、あるいは第1の記録層あるいは第2の記録層で記録/再生を行うのか判定し、その信号によって、メモリから駆動部材8eに何パルス送出するかどうかを読み出す。この時、どの波長の光で記録/再生を行うのか、あるいは第1の記録層あるいは第2の記録層で記録/再生を行うのかによって、上記第1の位置〜第4の位置が決定される。この各位置にコリメータレンズ8を位置させるには、ホームポジションに存在するスライダ8bをどの方向にどれだけの距離動かせばよいか設計時点である程度判明するので、メモリには予め各動作における送出パルスの数を記録させておくことで、容易にコリメータレンズ8を最適な位置(第1〜第4の位置)に位置させることができる。なお、第1の位置〜第4の位置とスライダ8bのホームポジションが一致することもあるし、基準点Oとホームポジションが一致することもある。また、所定の動作が終わったら、スライダ8bをホームポジションに返すように制御部材は駆動部材8eにパルスを送出させる。
次に色消し回折レンズ14について説明する。
色消し回折レンズ14は図24に示すように、実質的に光透過部14dとその光透過部14dの外側を囲む外輪部14cとを有しており、光透過部14dの対物レンズ13側の表面14aは凹面状となっており、その反対側の立ち上げミラー12側の表面14bにおいては、所定のピッチや形状のホログラムが設けられている。実質的には光透過部14dにおいて短波長の光が透過する。色収差を補正するには、表面14bに設けられるホログラムのピッチ等を調整することで所望の色収差補正を行うことができる。色消し回折レンズ14は実質的に円形状をしており、外輪部14cの部分がレンズホルダー16に取り付けられる。なお、本実施の形態では、光透過部14dおよび外輪部14cは一体成形としたが光透過部14dと外輪部14cを別部材で構成し、例えば外輪部14cの中央部に光透過部14dを埋め込んだ構成としてもよい。
次に、レンズホルダー16及びサスペンションホルダー17の実施の形態について図2
5〜図28を参照して説明する。なお、図6,図7に示されている符号と同じ符号のものはほぼ同一の機能を有している。また、前述の通り、図25〜図28と図6,図7において同一符号のものは、ほぼ同一の機能を有するが、図25〜図28に示す部材は図6,図7に示した部材とは、多少形状などが異なる。
レンズホルダー16は、光ディスク2に対して、高倍速で記録/再生の少なくとも一方を行おうとした場合、レンズホルダー16の共振周波数を高くする必要がある。すなわち、高倍速で記録/再生することで、レンズホルダー16の光ディスク2の面ぶれなどに追従できるようにレンズホルダー16を制御するには、レンズホルダー16の共振周波数を高くして、共振周波数以下の領域で、レンズホルダー16の制御を行うことが好ましい。レンズホルダー16の共振周波数を高くする一つの方法としては、レンズホルダー16に高い剛性を持たせることが挙げられる。本実施の形態では、このレンズホルダー16に高い剛性を持たせるために、樹脂に繊維を分散させた材料(以下、複合材料と略す)でレンズホルダー16の全部或いは少なくとも一部を構成した。樹脂としては、液晶ポリマー,エポキシ系樹脂,ポリイミド系樹脂,ポリアミド系樹脂,アクリル系樹脂などが好適に用いられ、繊維としては、カーボンファイバー、カーボンブラックや銅、ニッケル、アルミ、ステンレス等の金属繊維や、これらの複合繊維が好適に用いられる。なお、本実施の形態では、液晶ポリマーにカーボンファイバーを分散させた材料でレンズホルダー16を構成した。
図25,図26に示すように、レンズホルダー16及びサスペンションホルダー17を上記複合材料で構成した場合、レンズホルダー16及びサスペンションホルダー17は導電性を有することがあるため、サスペンション18a〜18fの表面に絶縁皮膜を形成した。なお、この場合、レンズホルダー16と各種コイルの間には、絶縁部材を設けて絶縁されているか、或いは巻線自体に絶縁処理が成されている巻線で各種コイルを構成する。この様にサスペンション18a〜18fに絶縁被膜を設けることで、導電性を有するレンズホルダー16及びサスペンションホルダー17との絶縁性が保たれる。なお、レンズホルダー16に一体に設けられたボビンサス受部96,97には、サスペンション18a〜18fの絶縁された端部98,99がインサート成型によって取り付けられる。また、サスペンション18a〜18fのサスペンションホルダー17側の絶縁された端部100,101はサスペンションホルダー17にインサート成型によって取り付けられている。また、サスペンション18a〜18fのレンズホルダー16側の先端部102,103は、絶縁皮膜が設けられておらず、この先端部102,103とレンズホルダー16に設けられた各種コイルが電気的に接続されており、更には、サスペンション18a〜18fのサスペンションホルダー17側の先端部104,105は、絶縁皮膜が設けられておらず、この先端部104,105と図示していないフレキシブルプリント基板に接続される。
また、図25,図26に示す実施の形態の変形例として、図27及び図28に示すように、サスペンション18a〜18fのほぼ全部に絶縁皮膜を設けずに、サスペンション18a〜18fの端部106,107に絶縁皮膜を設け、端部106,107の一部或いは全部(全部の場合には、レンズホルダー16とサスペンション18a〜18fが非接触となる様に配慮する)をボビンサス受部96,97に接合する。図27,図28の実施の形態では、絶縁性を保つために端部106,107の一部をボビンサス受部96,97に接合した。また、サスペンション18a〜18fのサスペンションホルダー17側の端部108,109にも絶縁皮膜を設け、少なくとも端部108,109とサスペンションホルダー17は接合しており、図27,図28の実施の形態では、端部108,109は全部サスペンションホルダー17に接合されている。
なお、上述の絶縁皮膜としては、絶縁性を有する材料が塗布,電着,蒸着などの手法を用いて作製され、絶縁性を有する材料としては、エポキシ系樹脂等の絶縁材料や二酸化シ
リコンなどの無機の絶縁性材料が用いられる。また、導電性を有するサスペンション18a〜18fの表面に酸化処理などの処理を施して、絶縁皮膜を設けても良い。更には、絶縁皮膜として、チューブ状の絶縁材料にサスペンション18a〜18fを挿入して、絶縁皮膜としても良いし、インサート成形などによって、樹脂ワイヤの中に金属線を通したものをサスペンション18a〜18fとしても良い。
なお、図29,図30に示すようにサスペンション18a〜18fには絶縁皮膜を設けずに、サスペンションホルダー17及びボビンサス受部96,97を非導電性の材料で構成し、レンズホルダー16を上記の複合材料で構成することも実施可能である。この構成によれば、サスペンション18a〜18f自体が取り付けられる部材が絶縁性を有するので、サスペンション自体には絶縁処理は必要ない。ボビンサス受部96,97とレンズホルダー16は2色成形で一体に構成したり、あるいはボビンサス受部96,97とレンズホルダー16を樹脂製の接着材で接合して構成される。この実施の形態では、サスペンション18a〜18fに絶縁処理などを施さずに、高剛性のレンズホルダー16を使用できる。
次に、本実施の形態における光ピックアップ装置のレンズホルダー16と対物レンズ10の構成について、図31〜図35を用いてさらに詳細に説明する。なお、図31〜図35に示す部材には、図6,図7,図25〜図28に示した部材とは、多少形状などが異なるものもあるが、同じ符号のものはほぼ同一の機能を有している。
図31はフォーカスコイル33,34、トラッキングコイル35,36、サブトラッキングコイル37,38に電流を流したときのレンズホルダー16上の温度分布を表している。レンズホルダー16には長波長レーザー用の対物レンズ10と短波長レーザー用の対物レンズ13が装着されている。図31に示す対物レンズ10,13、フォーカスコイル33,34、トラッキングコイル35,36、サブトラッキングコイル37,38はそれぞれが概ねどのような位置にあるかを表している。コイルに電流を流すことによって発生した熱がレンズホルダー16に移動し、さらに対物レンズ10,13に移動する。対物レンズ10,13は、熱が加わることによって変形する。この変形とは一般には膨張することであるが、材料によっては収縮することも考えられる。また、一般にガラスよりも樹脂の方が、熱が加わることによって大きく変形する。さらに図31からわかるように、レンズホルダー16の温度分布には偏りがあり、対物レンズ10については、フォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組側がトラッキングコイル35側よりも熱せられ、対物レンズ13については、フォーカスコイル34とサブトラッキングコイル38の組側がトラッキングコイル36側よりも熱せられる。この流入する熱の偏りによって、レンズの変形にも偏りが生じ、対物レンズ10,13を通過する光に収差が発生する。
図32において、110a,110b,110cは対物レンズ支持面であり、111a,111b,111c,113a,113b,113cは接着部である。短波長レーザー用の対物レンズ13は、図7において説明したように、図7に示すP1方向からレンズホルダー16の貫通孔16bに落とし込まれて光硬化性接着剤などで固定される。また、長波長レーザー用の対物レンズ10も、図7に示すP1方向からレンズホルダー16の貫通孔16aに落とし込まれて光硬化性接着剤などで固定される。このようにしてレンズホルダー16に取り付けられた対物レンズ10,13のうち、対物レンズ10はガラスで構成されたり、あるいは樹脂で構成されるが、ここでは樹脂で構成したものを用いた。これにより、金型成型などの手法を用いることが可能となるので、対物レンズ10にホログラムを設けることが容易となり、複数種の波長の光の球面収差を調整することが可能となる。また、対物レンズ13はガラスで構成されたり、あるいは樹脂(好ましくは、耐短波長光樹脂)で構成されるが、ここではガラスで構成したものを用いた。これにより、対物レンズ13は短波長の光に対しても劣化しにくく、良好な光学特性を保つことが可能となる。
なお、本実施の形態では対物レンズ10,13を用いたが、ホログラム等その他の集光部材で構成することも同様に実施可能である。
33,34は図6においても説明したようにそれぞれフォーカスコイルであり、それぞれ略リング状に巻線されており、しかもレンズホルダー16の対角位置にそれぞれ設けられている。このようにフォーカスコイル33,34をレンズホルダー16の両側に設ける構成としたことにより、レンズホルダー16に対物レンズ10と対物レンズ13という2つのレンズを搭載しても、光ピックアップ装置を小型に構成することが可能となる。35,36はトラッキングコイルでフォーカスコイル33,34と同様にそれぞれ略リング状に巻線されており、しかもフォーカスコイル33,34とは異なる対角位置にそれぞれ設けられている。また、フォーカスコイル33,34とレンズホルダー16の間には、それぞれサブトラッキングコイル37,38が設けられている。このサブトラッキングコイル37,38を設けることで、トラッキング中に生じるレンズホルダー16の不要な傾きなどを抑制することができる。
図32を用いて、対物レンズ10,13とレンズホルダー16との関係についてさらに詳しく説明する。対物レンズ13は、略円形に形成された貫通孔16bに紙面手前から奥に向かって落とし込まれ、接着部113a,113b,113cに注入された光硬化性接着剤などでレンズホルダー16と固定される。一方、対物レンズ10は、略円形に形成された貫通孔16aに紙面手前から奥に向かって落とし込まれ、対物レンズ支持面110a,110b,110cによって支持された状態であおり調整を行われ、接着部111a,111b,111cに注入された光硬化性接着剤などでレンズホルダー16と固定される。この構成により最適な光学特性を得ることが可能となる。ここで接着剤としては、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化性接着剤などの光硬化性接着剤を用いたが、瞬間接着剤やその他の接着剤を用いることもできる。また、好ましくは熱伝導率が低い接着剤、さらに好ましくは熱を伝えない断熱性を有する接着剤を用いることが考えられる。
対物レンズ13が貫通孔16bに、対物レンズ10が貫通孔16aにそれぞれ落とし込まれた状態を図33に示す。図7において説明したように、対物レンズ10,13の外周部がレンズホルダー16の貫通孔16a,16bの周縁部に当接する。対物レンズ10の外周部は、ほぼ全周にわたってレンズホルダー16の貫通孔16bの周縁部に接触している。樹脂で構成された対物レンズ10のレンズホルダー16との当接についてさらに詳細に説明する。
図34は図33のA−A断面図、図35は図33のB−B断面図である。
10aは対物レンズ10の縁となる対物レンズ外周部であり、対物レンズ10は、対物レンズ外周部10aの一部でレンズホルダー16と接し、また、レンズホルダー16と接着される。このようにしてレンズホルダー16と対物レンズ10が固定される。10bは長波長光学ユニット3から出射された光が対物レンズ10に入射する対物レンズ下面であり、10cは対物レンズ10に対物レンズ下面10bから入射した光が出射する対物レンズ上面である。対物レンズ10を通過し、対物レンズ上面10cから出射した光は、対物レンズ上面10cに面した光ディスク2に集光される。対物レンズ下面10bにはホログラムが設けられており、長波長光学ユニット3から出射され、リレーレンズ6やコリメータレンズ8などを通過して平行光となった略660nmの波長の光束(赤:例えばDVD対応)や略780nmの光束(赤外:例えばCD対応)は、このホログラムを通過することにより球面収差を調整される。
110はレンズホルダー16に設けられた対物レンズ支持面である。図34は図33のA−A断面図であるので、この対物レンズ支持面110は正確には対物レンズ支持面11
0cであることになるが、対物レンズ支持面110a,110b,110cは、ほぼ同一の構成,機能を有することから、ここでは簡単のために対物レンズ支持面110a,110b,110cをまとめて対物レンズ支持面110と呼ぶ。対物レンズ支持面110はレンズホルダー16のレンズホルダー上面16cから貫通孔16aに向かう傾斜面を有している。この傾斜面は、より正確にはレンズホルダー上面16cに対して凹形状となる略球面である。対物レンズ10を対物レンズ支持面110に置いた際に、対物レンズ10の主点とこの対物レンズ支持面110の略球面の中心とは一致することが好ましい。対物レンズ10の主点と対物レンズ支持面110の略球面の中心とは、多少ずれることも考えられるがある程度のずれは許容される。対物レンズ支持面110に略球面が設けられることにより、対物レンズ10をあおり、対物レンズ10の光軸の向きを調整することが可能となる。
111はレンズホルダー16に設けられた接着部である。図35は図33のB−B断面図であるので、この接着部111は正確には接着部111bであることになるが、接着部111a,111b,111cは、ほぼ同一の構成,機能を有することから、ここでは簡単のために接着部111a,111b,111cをまとめて接着部111と呼ぶ。接着部111はレンズホルダー16のレンズホルダー上面16cよりも貫通孔16a側に下がった段落ち部となっている。接着部111は、対物レンズ10を対物レンズ支持面110上で摺動させあおり調整を行う際に対物レンズ10が当たらないように構成される。
対物レンズ支持面110と接着部111の配置について説明する。図32に示すように、貫通孔16aの中心軸上から貫通孔16aの周縁部を見たときに、対物レンズ支持面110a,110b,110cが貫通孔16aの周縁部に占める角度は全て約15度であり、接着部111a,111b,111cが貫通孔16aの周縁部に占める角度は全て約25度である。対物レンズ支持面110と接着部111という、レンズホルダー16と対物レンズ10との接触部が小さく構成されるので、レンズホルダー16から対物レンズ10への熱の流路が小さくなり、対物レンズ10の温度上昇を抑えることができ、対物レンズ10の変形を小さくすることが可能となる。
接着部111aを、フォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組の近傍を避け、トラッキングコイル35にも近付きすぎない位置に配置する。言い換えると接着部111aは、フォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組よりもトラッキングコイル35に近い位置に配置されている。このような構成により、フォーカスコイル33,34、トラッキングコイル35,36、サブトラッキングコイル37,38に電流を流し、レンズホルダー16を駆動させる際に、温度の上昇しやすいフォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組と、それに比べて温度上昇の小さいトラッキングコイル35の間で、温度の低い位置に接着部111aを配置することができる。接着部111b,111cは、レンズホルダー16上の接着部111aの位置と、温度がほぼ等しい位置に配置する。ここで、接着部111a,111b,111cの温度差は1〜2度以内であることが好ましい。接着部111a,111b,111cの大きさは略等しく構成されているため、それぞれの接着部111に注入された接着剤がそれぞれ略等しい面積で対物レンズ10と接触する。これにより、温度がほぼ等しい位置に設けられた接着部111a,111b,111cから対物レンズ10に流入する熱量もそれぞれ略一定となり、対物レンズ10の変形に偏りが生じにくくなり、対物レンズ10を通過する光の非点収差の発生を抑制することができる。さらに、接着部111a,111b,111cを、貫通孔16aの中心軸まわりに120度ごとの間隔に近くなるように略等角度に配置する。好適には接着部111を120度ごとの等間隔(等角度)で配置するとよいが、駆動時の温度が略等しくなる位置で貫通孔16aの回りになるべく間隔が近くなるよう配置する。これにより、接着部111に注入された接着剤が固化する時に収縮しても、対物レンズ10がレンズホルダー16から引っ張られる力は打ち消し合い、位置決めをした対物レンズ10が
ずれにくくなる。
なお、本実施の形態では、接着部111は3つで構成したが、接着部111の数をこれに限定するものではない。なお、接着部111の数を2つに構成した場合、接着部111の配置は貫通孔16aの中心軸回りに180度間隔、接着部111の数を4つに構成した場合、接着部111の配置は貫通孔16aの中心軸回りに90度間隔というように、接着部111の数を変更した場合も、接着部111の配置は貫通孔16aの中心軸回りに等角度となることが好ましい。ただ、接着部111の数を減らすと、対物レンズ10をレンズホルダー16に固定する力が弱くなるか、それを防ぐために接着部111を広げる必要がでてくる。また接着部111をあまり増やすと、それぞれの接着部111は小さく構成できるが、レンズホルダー16上で温度がほぼ等しい位置が多数必要となり、また、接着剤を注入すべき箇所が増加し組立工数が増加してしまう。接着部111は3つ程度で構成するのが好ましい。
また、本実施の形態においては接着部111a,111b,111cを、面積を略等しくし、レンズホルダー16上の温度の近い位置に配置する構成としたが、レンズホルダー16の温度の高い箇所に設けられた接着部111は小さく、温度の低い箇所に設けられた接着部111は大きく構成するなど、接着部111の面積を変えることにより、それぞれの接着部111から流入する熱量を一定とすることも同様に実施可能である。
対物レンズ支持面110a,110bはそれぞれ、接着部111a,111bに隣接し、接着部111a,111bよりもフォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組に近い位置に設けられる。また、対物レンズ支持面110cは接着部111cに隣接し、接着部111cよりもトラッキングコイル35に近い位置に設けられる。このように、対物レンズ支持面110を接着部111に隣接して設けることにより、レンズホルダー16の温度が低い位置に配置されることとなり、対物レンズ10への熱の伝導を抑制することができる。また、対物レンズ支持面110を接着部111に隣接して設けることにより、対物レンズ支持面110も貫通孔16aの中心軸回りに略等角度となる間隔で配置することができ、この構成により対物レンズ支持面110で対物レンズ10を安定して支持することができる。
また、本実施の形態では、対物レンズ10を支持する部材である対物レンズ支持面110を対物レンズ支持面110a,110b,110cの3つで構成した。この構成により、レンズホルダー16は対物レンズ外周部10aと3点で接触することになり、対物レンズ10の支持される面を一意に決定することできる。なお、本実施の形態では、3つで構成したが、対物レンズ10を支持する点の数をこれに限定するものではない。
また、本実施の形態では、対物レンズ支持面110と接着部111を、レンズホルダー16上に異なる面として設けた。この構成により、あおり調整用の対物レンズ支持面110上への接着剤の付着を防ぐことができ、対物レンズ10の調整を精度良く行うことが可能となる。また、接着部111を対物レンズ支持面110とは別に設けて対物レンズ10とレンズホルダー16との接着を行うことにより、対物レンズ10とレンズホルダー16とを頑強に固定することができる。
また、対物レンズ支持面110a,110bはそれぞれ、接着部111a,111bよりもフォーカスコイル33とサブトラッキングコイル37の組に近い位置、対物レンズ支持面110cは接着部111cよりもトラッキングコイル35に近い位置に設けられているが、対物レンズ支持面110において対物レンズ10とレンズホルダー16は接するだけであり、熱が伝わりやすい接着部111を高温部から離れた位置に配置することができるので、対物レンズ10の温度上昇を抑えることが可能となる。
なお、本実施の形態においても図25〜図30において説明したように、レンズホルダー16の全部或いは少なくとも一部を、樹脂に繊維を分散させた材料(複合材料)で構成することが好ましい。樹脂としては、液晶ポリマー,エポキシ系樹脂,ポリイミド系樹脂,ポリアミド系樹脂,アクリル系樹脂などが好適に用いられ、繊維としては、カーボンファイバー、カーボンブラックや銅、ニッケル、アルミ、ステンレス等の金属繊維や、これらの複合繊維が好適に用いられる。このように、レンズホルダー16を上記複合材料で構成した場合、レンズホルダー16は導電性を有することがあるが、レンズホルダー16の剛性が上がり、共振周波数が高くなるので、光ディスク2に対し高倍速での記録/再生の少なくとも一方を行うことが可能となる。なお、本実施の形態においては、液晶ポリマーにカーボンファイバーを分散させた材料でレンズホルダー16を構成した。この構成によれば、レンズホルダー16の熱伝導率が上がることも考えられる。熱伝導率が上がるとレンズホルダー16の温度が均等になりやすく、接着部111の位置を広範囲から選ぶことが可能となり、貫通孔16aの周りに略等角度(接着部111を3つ設ける場合は、略120度間隔)で配置しやすくなる。
次に、短波長光学ユニット1の受光部1bについて図36〜図49を用いてより詳細に説明する。なお、図36〜図49に示す部材には、図9,図10に示した部材とは、多少形状などが異なるものもあるが、同じ符号のものはほぼ同一の機能を有している。
図36は、受光部1bを構成する受光素子114を、集積回路(IC)表面から見た斜視図である。
図36において、114は光ディスクの情報記録面からの反射光を電気信号へ変換するベアチップICで構成された受光素子であり、この受光素子114において、114aは受光素子114の略中央に配置され受光素子114に入射する光を検出する光検出部、114bは電気回路部、114cは電気信号入出力用電極パッド、114dは電気信号入出力用電極パッド114c上に設けられ電気的接続を実現する金あるいは半田等で構成されるバンプである。電気信号入出力用電極パッド114cと後述するフレキシブルプリント基板49上の電極パッド部116との電気的接続を後述する受光素子固定用接着剤樹脂層115を用いて確実に行うことができる場合は、このバンプ114dを省いて構成することも可能である。この受光素子114において、光検出部114aと電気信号入出力用電極パッド114cとを有する面を光検出面と称する。
図37は、フレキシブルプリント基板ユニット121の構成および組立方法を説明する為に構成部品を展開表示した斜視図である。
図37において、49は可撓性を有する電気配線基板であるフレキシブルプリント基板、114は図36において説明した受光素子(電極面は陰になって見えていない)、115は電極間接続の保護およびフレキシブルプリント基板49と受光素子114との固定を行なう異方性導電フィルム(ACF)である受光素子固定用接着剤樹脂層、116は電気信号入出力用電極パッド114cと同じ間隔でフレキシブルプリント基板49上に2列に配置された電極パッド部、118は受光素子114の電気信号入出力用電極パッド114cを保護し、ディスクからの反射光が通過する透明ガラス基板、117はフレキシブルプリント基板49と透明ガラス基板118とを接合する接着剤、119はフレキシブルプリント基板49の端部に形成された電極パターン、120は受光素子114の電気的特性を改善する電源グラウンド間デカップリングコンデンサ、49aは2列に配置された電極パッド部116の略中央部に設けられ光ディスクからの反射光が通過する貫通孔である。ここでフレキシブルプリント基板49は製造容易性と安価を実現する為の、片面のみに配線及び電極パッドが形成された片面基板を用いたが、両面に配線及び電極パッドが形成され
た両面基板を用いることも可能である。ここで、受光素子114において配線及び電極パッドが形成された面を電極面と称している。
なお、図37には、略矩形形状の貫通孔49aを設けたが、フレキシブルプリント基板49の貫通孔49aは、フレキシブルプリント基板49と受光素子114とを接合した際に少なくとも電気信号入出力用電極パッド114cの一部が貫通孔49aから見え、透明ガラス基板118を通過した光ディスクの情報記録面からの反射光が受光素子114の光検出部114aに到達する構成であればよく、図38に示す略ひし形や略三角形や略星形などの略多角形形状、図39に示す略楕円形や略円形形状の貫通孔49aであっても良い。また、透明ガラス基板118を通過した光ディスクの情報記録面からの反射光が受光素子114の光検出部114aに到達する構成であれば、図40に示すように貫通孔49aを複数設けることも同様に実施可能である。
このようにフレキシブルプリント基板49に貫通孔49aを設ける構成、言い換えると、光ディスクからの反射光が通過する貫通孔49aの周囲をフレキシブルプリント基板49で囲む構成としたことにより、柔らかい材質で構成されているフレキシブルプリント基板49においても、2列に配置された電極パッド部116の列の間隔が変わりにくくなり、受光素子114の電気信号入出力用電極パッド114cとフレキシブルプリント基板49の電極パッド部116とを確実に接続することができる。
また、図37では受光素子固定用接着剤樹脂層115の略中心部に略矩形形状の貫通孔115aを設けて構成したが、少なくとも受光素子114の電気信号入出力用電極パッド114cとフレキシブルプリント基板49の電極パッド部116との間に受光素子固定用接着剤樹脂層115が設けられる構成であれば、図41に示すように、2枚の小さな受光素子固定用接着剤樹脂層115で構成することも同様に実施可能である。この構成では、受光素子固定用接着剤樹脂層115に貫通孔115aを設ける必要がなくなり、また、受光素子固定用接着剤樹脂層115の使用量を減らすことができる。
なお、配線基板として好適にはフレキシブルプリント基板49を用いられるが、ガラスエポキシ基板,セラミック基板など、その他の配線基板を用いることも可能であるが、フレキシブルプリント基板49を用いることにより、軽量で薄型の光ピックアップ装置を構成することができる。
図37に示すように、受光素子114とフレキシブルプリント基板49とは、バンプ114dを形成した受光素子114を、電極パッド部116に受光素子固定用接着剤樹脂層115を挟んで加圧および加熱により固定する、いわゆるフリップチップ実装により固定される。ここで受光素子固定用接着剤樹脂層115として好適には、異方性導電フィルム(ACF)が用いたが、これに限定するものではない。
さらに受光素子114が実装されたフレキシブルプリント基板49の裏面に透明ガラス基板118を接着剤117を挟んで加圧および加熱により固定し、フレキシブルプリント基板49上に2列に形成した電気信号入出力用電極パッド114cの略中央に、ディスクからの反射光を通過させる貫通孔49aを設け透明ガラス基板118側から入射するディスクからの反射光が受光素子114内の光検出部114aに到達可能となるように構成した。このように構成することにより、受光素子114内の光検出部114aを気密封止し、受光素子114と電極間接続の保護および部品間の固定をすることが可能となる。
なお、ここまでの説明ではフレキシブルプリント基板49に貫通孔49aを設ける構成としたが、透明ガラス基板118を通過した光ディスクの情報記録面からの反射光が受光素子114の光検出部114aに到達する構成であれば、図42に示す切り欠き部49b
で構成することも実施可能である。切り欠き部49bは、フレキシブルプリント基板49作成後にプレス加工などにより切り欠いて設けることも、フレキシブルプリント基板49の外形形成時に設けることも可能である。
同様に、透明ガラス基板118を通過した光ディスクの情報記録面からの反射光が受光素子114の光検出部114aに到達する構成であれば、フレキシブルプリント基板49に組み合わせられた透明ガラス部材である窓部49cを設けて構成することも実施可能である。図43では図37を用いて説明した貫通孔49aの部分に透明ガラス部材を組み合わせた形状の窓部49cを構成したが、窓部49cはここまでに説明した貫通孔49aや切り欠き部49bに透明ガラス部材を組み合わせた形状であっても良いし、その他の形状であっても良い。窓部49cは短波長レーザーの透過によっても変質劣化することがないため、光ディスクの情報記録面からの反射光を効率良く受光素子114の光検出部114aに導くことができる。また、フレキシブルプリント基板49に窓部49cを設ける場合、透明ガラス基板118を省いて短波長光学ユニット1の受光部1bを構成することも考えられる。
以上のように構成し組立てたフレキシブルプリント基板ユニット121の斜視図を図44に示す。
このように、ベアチップICで構成された受光素子114をフリップチップ実装を用いて直接フレキシブルプリント基板49に実装して受光ユニット123を構成したことにより、ガラスの蓋で封止するパッケージの光電変換集積装置を作成する必要がなくなり、安価に短波長レーザーに対応する受光部1bを構成することが可能となる。また、ベアチップICで構成された受光素子114をそのままフレキシブルプリント基板49に実装したことにより、光ピックアップ装置を小型に構成することが可能となる。
図45は、図44に示すフレキシブルプリント基板ユニット121を折り曲げた状態をを示す斜視図である。電源グラウンド間デカップリングコンデンサ120がフレキシブルプリント基板49の表面に半田付けされ折り畳まれて受光素子114の光検出部114aを有する面の裏面に対向して配置されている。
図46は、受光ユニット123の斜視図であって、122はフレキシブルプリント基板ユニット121を収容し保持するフレキシブルプリント基板ユニット収納部品である。図45に示した、折り曲げた状態のフレキシブルプリント基板ユニット121はフレキシブルプリント基板ユニット収納部品122に光硬化性接着剤を用いて固定される。ここで接着剤としては、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化性接着剤などの光硬化性接着剤を用いたが、瞬間接着剤やその他の接着剤を用いることもできる。また、フレキシブルプリント基板ユニット収納部品122は、金属や樹脂などの材料で構成されるが、好適には金属で構成される。
図47は、受光部1bである受光ユニット123を用いた短波長光学ユニット1を示す図であり、1cは短波長光学ユニット1の図示しない光源部1aから出射された光の光量をモニターする様に設けられた受光部であり、受光ユニット123および受光部1cは短波長光学ユニット1を基準として相対的な位置の微調整を行なった後に短波長光学ユニット1に固定され、図48に示すように光ピックアップ装置の基台15に組み込まれる。特に受光ユニット123は、フレキシブルプリント基板ユニット収納部品122を治具などを用いて把持して短波長光学ユニット1に対する微調整を行い、光硬化接着剤などを用いて短波長光学ユニット1の載置部43と固定される。ここでも接着剤としては、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化性接着剤などの光硬化性接着剤を用いたが、瞬間接着剤やその他の接着剤を用いることもできる。
受光ユニット123は、フレキシブルプリント基板ユニット121に比べて堅牢なフレキシブルプリント基板ユニット収納部品122を用いて、フレキシブルプリント基板ユニット121を収容し保持する構成であるので、短波長光学ユニット1との相対的な位置の微調整を円滑に行なうことが可能となる。
ここで光ピックアップ装置の記録情報再生機能に注目して、図48を使って動作を簡単に説明する。
図48に示すような光ピックアップ装置の中において、短波長光学ユニット1より放射された記録情報再生のためのレーザー光(往路光)は、図示しない複数の光学素子を経由して対物レンズ13により、図示しない光ディスクの情報記録面に焦点を結ぶように設計製造される。
光ディスクの情報記録面で反射された光(復路光)は、短波長光学ユニット1の内部の図示しないビームスプリッタ直前まで前記往路光と同一の光路をたどった後、ビームスプリッタの働きにより受光ユニット123の方向に折り返される。
次に、図49を用いて、受光部1bである受光ユニット123の他の構成を示す。
図49に示す受光ユニット123の構成は、フレキシブルプリント基板ユニット121を収納するフレキシブルプリント基板ユニット収納部品122を設けず、フレキシブルプリント基板49と透明ガラス基板118との間に、載置部43とは別体に構成され、フレキシブルプリント基板49とフレキシブルプリント基板49に固定された受光素子114とを短波長光学ユニット1に固定する取付け部材である受光取付部48を設けたことを除いて、図37〜図48を用いて説明した受光ユニット123と同じ構成である。ここで載置部43は亜鉛ダイキャストなどの金属材料で構成することが好ましい。レーザー光を検出する光検出部114aを貫通孔49aを有するフレキシブルプリント基板49側に向けたベアチップICで構成される受光素子114と、フレキシブルプリント基板49との間に、異方性導電フィルム(ACF)で構成される受光素子固定用接着剤樹脂層115を挟んで、加圧すると共に加熱して受光素子114とフレキシブルプリント基板49とを接着し、フレキシブルプリント基板49の、受光素子114を固定した側とは反対側に、金属板で構成され略中央部に貫通孔45を設けた受光取付部48を配置し、熱硬化性接着剤などの有機接着剤である接着剤117を用いてフレキシブルプリント基板49と接着する。フレキシブルプリント基板49と接着された受光取付部48の、フレキシブルプリント基板49側とは反対側に、受光取付部48の貫通孔45を塞ぐように透明ガラス基板118を配置し、光硬化性接着剤などの接着剤126で接着する。この構成により、以上のように構成される受光ユニット123は、短波長光学ユニット1に対して位置の微調整を行われ、光硬化接着剤などで短波長光学ユニット1の載置部43と固定される。
なお、受光取付部48は亜鉛ダイキャストなどの金属材料で構成することが好ましい。受光取付部48を亜鉛ダイキャストなどの金属材料で構成することにより、短波長光学ユニット1に対する受光ユニット123の光検出部114aの位置の微調整を確実に行うことができ、金属材料で構成された載置部43とも接着剤127などにより容易に固定することが可能となる。ここで用いる接着剤127として紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化性接着剤などの光硬化性接着剤を用いると、精密に位置調整を行った載置部43と受光ユニット123との接着を容易に行うことが可能となる。
以上、図36〜図49を用いて説明したように、光ディスクからの反射光の受光素子までの経路に樹脂が存在しない構成であるので、将来主流となると考えられる短波長レーザ
ーを使用する光ディスク装置においてもレーザーの通過による受光部1bの劣化を抑え、高効率の光検出を行うことが可能である。
このように受光部1bにおいて、ベアチップICで構成された受光素子114の電極をフレキシブルプリント基板49上の電極パッド部116に直接接続する構成としたことにより、受光ユニットの光ピックアップ装置の厚さ方向の寸法を小さくすることができ、光ディスク装置の小型化が可能となる。
なお、以上の説明では、短波長光学ユニット1の受光部1bにおいて、受光素子114と透明ガラス基板118との間にフレキシブルプリント基板49を設け、フレキシブルプリント基板49の貫通孔45を介して受光部1bと透明ガラス基板118とが対向する構成について述べたが、短波長光学ユニット1の受光部1cについても同様の構成とすることで、短波長レーザーの通過による受光部1bの劣化を抑え効率良く光検出を行うことが可能である。また、長波長光学ユニット3の受光部3b,受光部3cについても同様に構成することが可能である。
以下、長波長光学ユニット3の受光部3bについて図50を参照して説明する。なお、短波長光学ユニット1の受光部1bについて説明した図36〜図49に示されている符号と同じ符号のものは、ほぼ同一の機能を有しており、図50においては長波長レーザーに対応する部材である。
図50において、49dはフレキシブルプリント基板49において透明樹脂で構成された透明基板部である。光ディスクの情報記録面からの反射光は透明ガラス基板118を透過した後、透明基板部49dを透過し、受光素子114の光検出部114aに到達する。透明基板部49dはここまでに説明した貫通孔49aや切り欠き部49bの部分を透明樹脂で構成したものであっても良いし、その他の形状のものであっても良い。フレキシブルプリント基板49に透明基板部49dを設けたことにより、ここまでに説明した貫通孔49aや切り欠き部49bを設けなくとも光ディスクの情報記録面からの反射光を効率良く受光素子114の光検出部114aに導くことができる。また、フレキシブルプリント基板49に透明基板部49dを設ける場合、透明ガラス基板118を省いて長波長光学ユニット3の受光部3bを構成することも考えられる。また、フレキシブルプリント基板49光透過部である透明基板部49dは、光を効率良く透過するものであれば不透明な部材で構成することも、樹脂以外の部材で構成することも同様に実施可能である。
なお、図50においては、フレキシブルプリント基板49に透明基板部49dを設ける構成としたが、フレキシブルプリント基板49自体を透明樹脂で構成すれば、透明基板部49dを設けずに実施することも可能である。
なお、上述したように受光部3cについても長波長光学ユニット3の受光部3bと同様に構成することが可能である。
また、ここまでに説明した透明ガラス基板118、透明ガラスで構成される窓部49c等の光透過部は、光を効率良く透過するものであれば不透明な部材で構成することも、ガラス以外の部材で構成することも同様に実施可能である。
以上、図36〜図50を用いて説明したように、受光素子114が実装されたフレキシブルプリント基板49の裏面に透明ガラス基板118を接着剤117を挟んで加圧および加熱により固定し、2列に形成したフレキシブルプリント基板49上の電極パッド部116の略中央に光透過部を設け、透明ガラス基板118側から入射する光ディスクからの反射光が受光素子114内の光検出部114aに到達する受光ユニット123を構成したこ
とにより、受光部を安価に構成しかつ光ピックアップ装置の厚み方向の寸法を小さくすることができる。
次に、光ピックアップ装置のマグネット39〜42の構成について図51〜図53を用いてより詳細に説明する。なお、図51〜図53に示す部材には、図6,図7に示した部材とは、多少形状などが異なるものもあるが、同じ符号のものはほぼ同一の機能を有している。
まず、図51を用いてサスペンション18について説明する。図51(b)は本実施の形態における光ピックアップ装置を示す図51(a)のA−A断面を模式的に示す図であり、説明のためサスペンション18d,18e,18fも同図に示している。図51(b)は、フォーカスコイル33,34,トラッキングコイル35,36,サブトラッキングコイル37,38に電流を流していない時、つまりレンズホルダー16が駆動されていない時の、光ディスク2とレンズホルダー16とサスペンションホルダー17とサスペンション18d,18e,18fとフォーカスコイル33,34とサブトラッキングコイル37,38とマグネット39,42との位置関係を示している。
なお、図51(b)においては、サスペンション18dについて符号を付加して説明するが、サスペンション18e,18fも、レンズホルダー16とサスペンションホルダー17との間に、サスペンション18dと略平行に架けわたすことにより、同様の効果を得るものである。また、レンズホルダー16に関してサスペンション18d,18e,18fの反対側に位置し、本図には図示されていないサスペンション18a,18b,18cについても同様である。よって以下、サスペンション18a,18b,18c,18d,18e,18fをサスペンション18と総称する。
図51において、1816はサスペンション18とレンズホルダー16とが結合している結合部であり、1817はサスペンション18とサスペンションホルダー17とが結合している結合部である。サスペンション18は、結合部1816よりもサスペンションホルダー17側で結合部1817よりもレンズホルダー16側、つまり結合部1816と結合部1817の間で弾性変形し、レンズホルダー16を図51に示す高さ方向と幅方向に移動させる。
また図51(b)に示すように、サスペンション18とレンズホルダー16との結合部1816が、サスペンション18とサスペンションホルダー17との結合部1817よりも対物レンズ10,13側にある。ここで本実施の形態の光ピックアップ装置における集光部材側を示す対物レンズ10,13側とは、短波長光学ユニット1や長波長光学ユニット3から出射され、ビームスプリッタ7やコリメータレンズ8などを通過した短波長レーザーや長波長レーザーが、対物レンズ13や対物レンズ10から光ディスク2に向かって出射する向きのことである。次に光ディスク2との関係でも説明する。
d1816,d1817はそれぞれ、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2における情報が記録された面と結合部1816,1817との距離を示す。図51(b)に示すように、レンズホルダー16の非駆動時におけるd1816とd1817との関係は、d1816<d1817である。つまり、サスペンション18はサスペンションホルダー17によって、光ディスク2に近づく向きに斜めに支持され、レンズホルダー16を弾性支持している。言い換えると、サスペンション18のサスペンションホルダー17との結合部1817が、サスペンション18のレンズホルダー16との結合部1816よりも光ディスク2からの距離が長い構成となっている。
この構成により、サスペンションホルダー17はサスペンション18を光ディスク2か
ら離れた位置で支持するので、サスペンションホルダー17自身を光ピックアップ装置において低く構成することができ、光ディスク装置の小型化を実現することができる。
次に図52を用いてマグネット39〜42について説明する。図52(b)は図52(a)のA−A断面を模式的に示す図である。
図52において、マグネット39,42はそれぞれレンズホルダー16を図52に示す高さ方向に駆動するフォーカスマグネットであり、マグネット40,41はそれぞれレンズホルダー16を図52に示す幅方向に駆動するトラッキングマグネットである。マグネット39〜42は図6〜図8を用いて説明した着磁・配置となっており、図6,図7と同様に、フォーカスマグネットであるマグネット42はレンズホルダー16とサスペンションホルダー17との間に配置されており、フォーカスマグネットであるマグネット39はレンズホルダー16に関しマグネット42の反対側に配置されており、また、トラッキングマグネットであるマグネット41はレンズホルダー16とサスペンションホルダー17との間に配置されており、トラッキングマグネットであるマグネット40はレンズホルダー16に関しマグネット41の反対側に配置されている。さらに、マグネット39とマグネット42とが、レンズホルダー16の対角位置に配置され、マグネット40とマグネット41とが、レンズホルダー16の他の対角位置に配置されている。また、マグネット39〜42のそれぞれにおける高さ方向の光ディスク2側の端部の反対側の端部、すなわちマグネット39〜42のそれぞれの下端は同一平面上にあり、マグネット39〜42のそれぞれは、その長辺が、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2における情報が記録された面に対し、略垂直となる向きに配置されている。
なお、図6において、マグネット40,41は、それぞれ1つのマグネットで構成されていたが、図52(a)に示すように、それぞれ2つのマグネットを用いてマグネット40,41を構成することも同様に実施可能である。マグネット40については2つのマグネットのうち、1つのマグネットのN極、もう1つのマグネットのS極が、トラッキングコイル35に対向して表出するように配置し、幅方向について、サスペンション18a,18b,18cとサスペンション18d,18e,18fの中心面(図6のA−A断面)からサスペンション18a,18b,18cに向かってN極,S極の順でトラッキングコイル35に対向する面に磁極が表出したマグネットを配置し、マグネット41については2つのマグネットのうち、1つのマグネットのN極、もう1つのマグネットのS極が、トラッキングコイル36に対向して表出するように配置し、幅方向について、サスペンション18a,18b,18cとサスペンション18d,18e,18fの中心面(図6のA−A断面)からサスペンション18d,18e,18fに向かってN極,S極の順でトラッキングコイル36に対向する面に磁極が表出したマグネットを配置することができる。
このような構成とすることで、図6で説明した磁極配置とすることができ、さらに、図6で説明したように1つのマグネットで構成する場合に、マグネット40,41のそれぞれの磁極の向きが切り替わる部分に生じる、マグネット40,41の着磁されない部分を小さくすることができ、レンズホルダー16の幅方向の動作感度を上げることができる。
図52(b)を用いて、レンズホルダー16を高さ方向に駆動するフォーカスマグネットであるマグネット39,42についてさらに詳しく説明する。
図52(b)に示すように、レンズホルダー16とサスペンションホルダー17との間に配置されたマグネット42よりも、レンズホルダー16の反対側に配置されたマグネット39が対物レンズ10,13側に突出して構成されている。以下に、光ディスク2との関係を用いて説明する。
図52(b)において、l39,l42はそれぞれ、マグネット39,マグネット42の高さ方向の長さ、つまりマグネット39,マグネット42の長辺の長さを示し、d39,d42はそれぞれ、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2における情報が記録された面からマグネット39,マグネット42までの距離を示している。
マグネット39とマグネット42との長さの関係は、l39>l42となっており、マグネット39よりもマグネット42が短い構成となっている。また、マグネット39,42に関する寸法d39,d42,l39,l42は、d39+l39≒d42+l42という関係になっており、光ディスク2からマグネット39の下端までの距離と、光ディスク2からマグネット42の下端までの距離とは略等しくなっている。言い換えると、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2における情報が記録された面から、マグネット39における高さ方向の光ディスク2側の端部の反対側の端部までの距離と、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2における情報が記録された面から、マグネット42における光ディスク2側の端部の反対側の端部までの距離とは略等しくなっている。これにより、光ディスク2とマグネット39との間隔d39と、光ディスク2とマグネット42との間隔d42との関係は、d39<d42となり、つまり、マグネット42の高さ方向の光ディスク2側の端部は、マグネット39の光ディスク2側の端部よりも光ディスク2からの距離が長い構成となる。
また、スピンドルモーター25の光ディスク2を装着する面である光ディスク装着面の延設面からの距離についても、マグネット42の高さ方向の光ディスク2側の端部までの距離が、マグネット39の光ディスク2側の端部までの距離よりも長い構成となる。
さらに、光ディスク装置の対物レンズ10,13側の筐体からの距離についても、マグネット42の高さ方向の光ディスク2側の端部までの距離が、マグネット39の光ディスク2側の端部までの距離よりも長い構成となる。
なお、レンズホルダー16を幅方向に駆動するトラッキングマグネットであるマグネット40,41のそれぞれと光ディスク2との間隔は、d39に略等しく、マグネット40,41の高さ方向の光ディスク2側の端部は、マグネット39の光ディスク2側の端部と略同じ距離にある。また、マグネット40,41の高さ方向の長さ、つまりマグネット40,41の長辺の長さはマグネット39と等しく、長さはl39である。さらに、光ディスク2からマグネット40,41の下端までの距離はそれぞれ、光ディスク2からマグネット39の下端までの距離と略等しく、その距離は略d39+l39である。つまり、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2における情報が記録された面から、マグネット39〜42のそれぞれにおける高さ方向の光ディスク2側の端部の反対側の端部までの距離は略等しく、言い換えると、マグネット39〜42のそれぞれにおける高さ方向の光ディスク2側の端部の反対側の端部を結んで構成されるマグネット39〜42の下端面と、光ディスク2における情報が記録された面とは略平行に構成されている。
また、図52(b)に示すように、マグネット39とマグネット42は、図6,図7を用いて説明した着磁・配置となっており、39n,42nはそれぞれ、マグネット39,42のそれぞれの磁極の向きが切り替わる部分に生じ、着磁されないニュートラルゾーンである。ニュートラルゾーン39nを、マグネット39の長辺方向の略半分の位置となるようにし、マグネット42の下端からニュートラルゾーン42nまでの長さを、マグネット39の下端からニュートラルゾーン39nまでの長さと略等しい位置にする。つまり、マグネット39〜42の下端面と、ニュートラルゾーン39nとニュートラルゾーン42nを結んで構成される面は略平行となり、レンズホルダー16の非駆動時には、フォーカスコイル33,34,サブトラッキングコイル37,38の高さ方向の略中心位置が、ニュートラルゾーン39nとニュートラルゾーン42nを結んで構成される面の高さ方向の
位置と一致する。言い換えると、フォーカスコイル33およびサブトラッキングコイル37に対向するマグネット39のS極の部分と、フォーカスコイル33およびサブトラッキングコイル37に対向するマグネット39のN極の部分と、フォーカスコイル34およびサブトラッキングコイル38に対向するマグネット42のS極の部分とは、面積が略等しくなっているが、フォーカスコイル34およびサブトラッキングコイル38に対向するマグネット42のN極の部分は、それらよりも面積が小さくなっている。この構成により、レンズホルダー16の駆動時に生じるレンズホルダー16の傾きを小さく抑えることができる。
図53は、レンズホルダー16のふるまいを模式的に説明する図であり、フォーカスコイル33,34に電流を流してレンズホルダー16を高さ方向に上下駆動する時の、レンズホルダー16のふるまいを示している。図53では、これまでに説明したサスペンション18a,18b,18c,18d,18e,18fをまとめてサスペンション18として示している。サスペンション18は、図51等に示す幅方向に見ると、レンズホルダー16の非駆動時には図51(b)に示すように略直線状であり、結合部1816,1817でそれぞれレンズホルダー16,サスペンションホルダー17と固定されているため、レンズホルダー16の駆動時は、実際にはサスペンション18自体が湾曲してレンズホルダー16が高さ方向に移動するが、図53では模式的に、レンズホルダー16の駆動時のサスペンション18の形状も略直線状に示す。
レンズホルダー16を図53に実線で示す非駆動位置から高さ方向に同じだけ上下させると、サスペンション18が光ディスク2における情報が記録された面に対して斜めに張られているので、図53に示す光ディスク2の回転方向(タンジェンシャル方向)の移動量には大きな差が生じる。
フォーカスコイル33,34に電流を流し、レンズホルダー16を光ディスク2から遠ざかる向きに移動する場合、フォーカスコイル33とマグネット39との間隔は、フォーカスコイル34とマグネット42との間隔とあまり変わらない。
このためフォーカスコイル34側で生じる電磁力とフォーカスコイル33側で生じる電磁力に大きな差は生じない。
一方、フォーカスコイル33,34に電流を流し、レンズホルダー16を光ディスク2に近づく向きに移動する場合、フォーカスコイル33とマグネット39との間隔と、フォーカスコイル34とマグネット42との間隔との差は大きくなる。レンズホルダー16が光ディスク2に近づく向きに移動するほど、フォーカスコイル33とマグネット39との間隔は広くなりフォーカスコイル33側で生じる電磁力は小さくなるが、マグネット42をマグネット39よりも高さ方向に低く構成したことにより、レンズホルダー16が光ディスク2に近づく向きに移動するほどフォーカスコイル34を通るマグネット42の磁力線が減少するためフォーカスコイル34側で生じる電磁力も小さくなる。これにより、レンズホルダー16を光ディスク2に近づく向きに移動する場合にも、フォーカスコイル34側で生じる電磁力とフォーカスコイル33側で生じる電磁力に大きな差は生じないので、レンズホルダー16の傾きを小さく抑えることが可能となる。
次に、光ピックアップ装置の立ち上げミラー9について、図54〜図59を用いて説明する。なお、図54〜図59に示す部材には、図1,図5に示した部材とは、多少形状などが異なるものもあるが、同じ符号のものはほぼ同一の機能を有している。また、図示しないが、図54〜図59に示す光ピックアップ装置にも図1,図5に示した1/4波長部材9aが設けられている。
立ち上げミラー9は、図54を用いて以下に説明するように構成することも可能である。
図54は、図5に示す、短波長光学ユニット1や長波長光学ユニット3から出射されビームスプリッタ7やコリメータレンズ8を通過したレーザー光の光束の向きにZ方向から立ち上げミラー9を見た図であり、図54に示すAは、立ち上げミラー9に到達したレーザー光の光束である。
図54において立ち上げミラー9には、波長選択膜9bと反射部9cとを備えた切り替え手段である反射板9dと、反射板9dを移動させるアクチュエータ9eとが設けられている。波長選択膜9bと反射部9cは、反射板9dのビームスプリッタ7側の表面に設けられており、誘電体多層膜や金属などで構成されている。
反射板9dに設けられた波長選択膜9bは、所定の波長の光を偏光状態によらずほとんど透過させ、他の波長の光を偏光状態によらずほとんど反射させる機能を有する。本実施の形態においては、短波長光学ユニット1から出射された短波長光(略405nmの波長の光)を透過させ、長波長光学ユニット3から出射された赤色光(略660nmの波長の光)及び赤外光(略780nmの波長の光)を反射させる構成となっている。つまり、図1において説明した波長選択膜9bと同じ構成、機能を有している。
反射板9dに設けられた反射部9cは、到達したレーザー光を、波長や偏光状態によらずほとんど反射させる機能を有する。なお、反射板9dに波長選択膜9bと反射部9cとを設ける場合、反射部9cは所定の波長の光を偏光状態によらず反射するものであってもよく、本実施の形態において反射部9cは、少なくとも短波長光学ユニット1から出射された短波長光(略405nmの波長の光)を反射させる構成であればよい。
アクチュエータ9eには、歯車9fと図示されないモーターなどが設けられており、モーターが歯車9fを回転させる。このモーターとしては小型直流モーターを用いた。一方、反射板9dの一辺にはラックギア9gが設けられており、歯車9fとかみ合っている。反射板9dと筐体9hとは摺動自在に構成されている。
このように構成された反射板9dを備えた光ピックアップ装置において、図2〜図4で説明したスピンドルモーター25に光ディスク2が装着されると、図示していない制御部材は、光ディスク2の種類を判別し、アクチュエータ9eに制御信号を印加する。アクチュエータ9eは、この制御信号によりモーターを駆動して歯車9fを回転させ、反射板9dをアクチュエータ9eの筐体9hから出し入れする。なお、ここでアクチュエータ9eは、反射板9dをモーターを用いて移動させるものとして説明したが、制御信号により駆動するアクチュエータ9eであれば、ソレノイド,リニアモーター,油圧ピストンなどをもちいて反射板9dを移動させるように構成してもよい。
図54(a)は、アクチュエータ9eによって反射板9dが移動され、光路上に波長選択膜9bが存在する状態を示す図であり、図54(b)は、アクチュエータ9eによって反射板9dが移動され、光路上に反射部9cが存在する状態を示す図である。
以下に、スピンドルモーター25に装着される光ディスク2の種類による反射板9dの移動について説明する。
スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.1mmであって短波長光(略405nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合、立ち上げミラー9は、アクチュエータ9eの駆動によ
り反射板9dの波長選択膜9bが光路上に存在する状態となる。
また、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.6mmであって赤色光(略660nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合も、立ち上げミラー9は、アクチュエータ9eの駆動により反射板9dの波長選択膜9bが光路上に存在する状態となる。
また、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が1.2mmであって赤外光(略780nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合も、立ち上げミラー9は、アクチュエータ9eの駆動により反射板9dの波長選択膜9bが光路上に存在する状態となる。
一方、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.6mmであって短波長光(略405nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合、立ち上げミラー9は、アクチュエータ9eの駆動により反射板9dの反射部9cが光路上に存在する状態となる。なお、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.6mmであって赤色光(略660nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2及び光ディスク2の表面と記録層との距離が1.2mmであって赤外光(略780nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合も、アクチュエータ9eの駆動により反射板9dの反射部9cが光路上に存在する状態となってもよい。
図55は、図54の立ち上げミラー9を用いた光ピックアップ装置におけるレーザー光の光路を示す模式図であり、図55(a)は光路上に波長選択膜9bが存在する状態、図55(b)は光路上に反射部9cが存在する状態を示している。立ち上げミラー9と対物レンズ10との間に設けられた光学部品11には、図1を用いて説明した構成に加え、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.6mmであって短波長光(略405nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2に対して必要な開口数を実現する開口フィルタと、短波長光(略405nmの波長の光)に対して反応する波長選択性を持ち球面収差補正や色補正などを行う補助ホログラムとを有している。この開口フィルタと補助ホログラムは光学部品11と一体に構成することもできるし、別体として構成することもできる。
以下に、スピンドルモーター25に装着される光ディスク2の種類の違いによる光ピックアップ装置の光路について説明する。
スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.1mmであって短波長光(略405nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合、立ち上げミラー9は、図55(a)に示すように反射板9dの波長選択膜9bが光路上に存在する状態となり、短波長光学ユニット1から出射されビームスプリッタ7やコリメータレンズ8を通過した短波長光(略405nmの波長の光)は、立ち上げミラー9の波長選択膜9bを透過し、立ち上げミラー12で反射され、対物レンズ13を通過して、光ディスク2の表面からの距離が0.1mmの位置にある記録層に集光される。
また、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.6mmであって赤色光(略660nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合も、立ち上げミラー9は、図55(a)に示すように反射板9dの波長選択膜9bが光路上に存在する状態となり、長波長光学ユニット3から出射されビームスプリッタ7やコリメータレンズ8を通過した赤色光(略660nmの
波長の光)は、立ち上げミラー9の波長選択膜9bにおいて反射され、光学部品11,対物レンズ10を通過して、光ディスク2の表面からの距離が0.6mmの位置にある記録層に集光される。
また、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が1.2mmであって赤外光(略780nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合も、立ち上げミラー9は、図55(a)に示すように反射板9dの波長選択膜9bが光路上に存在する状態となり、長波長光学ユニット3から出射されビームスプリッタ7やコリメータレンズ8を通過した赤外光(略780nmの波長の光)は、立ち上げミラー9の波長選択膜9bにおいて反射され、光学部品11,対物レンズ10を通過して、光ディスク2の表面からの距離が1.2mmの位置にある記録層に集光される。
一方、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.6mmであって短波長光(略405nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合、立ち上げミラー9は、図55(b)に示すように反射板9dの反射部9cが光路上に存在する状態となり、短波長光学ユニット1から出射されビームスプリッタ7やコリメータレンズ8を通過した短波長光(略405nmの波長の光)は、立ち上げミラー9の波長選択膜9bにおいて反射され、光学部品11,対物レンズ10を通過して、光ディスク2の表面からの距離が0.6mmの位置にある記録層に集光される。
なお、図54において説明した立ち上げミラー9の反射板9dを、次に図54,図56を用いて説明するように構成することも同様に実施可能である。特に説明を加えない部分については、図54,図55を用いて説明したものと同様の構成をとる。
図54に示した波長選択膜9bの部分に、波長選択膜9bを設けず反射板9dの基材が露出した基材部9iとし、反射板9dのビームスプリッタ7側の表面を、反射部9cを備えない部分(基材部9i)と図54を用いて説明した反射部9cを備えた部分とで構成する。
反射板9dに設けられた基材部9iは、到達したレーザー光を、波長や偏光状態によらずほとんど透過させる機能を有する。なお、反射板9dに基材部9iと反射部9cとを設ける場合、基材部9iは所定の波長の光を偏光状態によらず透過するものであってもよく、ここで基材部9iは、少なくとも短波長光学ユニット1から出射された短波長光(略405nmの波長の光)を反射させる構成であればよい。
反射板9dに設けられた反射部9cは、到達したレーザー光を、波長や偏光状態によらずほとんど反射させる機能を有する。ここでは、少なくとも短波長光学ユニット1から出射された短波長光(略405nmの波長の光),長波長光学ユニット3から出射された赤色光(略660nmの波長の光)及び赤外光(略780nmの波長の光)を反射させる構成となっている。
以下に、基材部9iと反射部9cとを設けた反射板9dの、スピンドルモーター25に装着される光ディスク2に応じた移動について説明する。
スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.1mmであって短波長光(略405nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合、立ち上げミラー9は、アクチュエータ9eの駆動により反射板9dの基材部9iが光路上に存在する状態となる。
一方、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.6mmであって赤色光(略660nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合、立ち上げミラー9は、アクチュエータ9eの駆動により反射板9dの反射部9cが光路上に存在する状態となる。
また、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が1.2mmであって赤外光(略780nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合も、立ち上げミラー9は、アクチュエータ9eの駆動により反射板9dの反射部9cが光路上に存在する状態となる。
また、スピンドルモーター25に装着された光ディスク2が、光ディスク2の表面と記録層との距離が0.6mmであって短波長光(略405nmの波長の光)により情報の記録/再生を行う光ディスク2である場合も、立ち上げミラー9は、アクチュエータ9eの駆動により反射板9dの反射部9cが光路上に存在する状態となる。
図56は、基材部9iと反射部9cとを設けた立ち上げミラー9を用いた光ピックアップ装置におけるレーザー光の光路を示す模式図であり、図56(a)は光路上に基材部9iが存在する状態、図56(b)は光路上に反射部9cが存在する状態を示している。
図56に示すようにレーザー光の光路は、基材部9iと反射部9cとを設けた反射板9dを用いた場合も、図54,図55で説明した反射板9dを用いたものと同じになる。
また、立ち上げミラー9は、図57を用いて以下に説明するように構成することも可能である。
図57も図54と同じく、図5に示す、短波長光学ユニット1や長波長光学ユニット3から出射されビームスプリッタ7やコリメータレンズ8を通過したレーザー光の光束の向きにZ方向から立ち上げミラー9を見た図であり、図57に示すAは、立ち上げミラー9に到達したレーザー光の光束である。
図57において立ち上げミラー9には、ビームスプリッタ7側の表面に、制御信号により光学特性が変化する切り替え手段である電気制御膜9jと、電気制御膜9jに制御信号を印加する信号印加部9kとが設けられている。
電気制御膜9jは、図54を用いて説明した波長選択膜9bの状態と反射部9cの状態とを取り、制御信号によりこの2状態が切り替る。この電気制御膜9jの状態を、スピンドルモーター25に装着される光ディスク2の種類によって、図54,図55で説明した反射板9dの移動に対応させて切り替えることにより、図58に示すように、レーザー光の光路を図55と同様に切り替えることが可能となる。
なお、電気制御膜9jが、図54を用いて説明した基材部9iの状態と反射部9cの状態とを取り、制御信号によりこの2状態が切り替る構成とし、スピンドルモーター25に装着される光ディスク2の種類によって、図54,図56で説明した反射板9dの移動に対応させて切り替えることにより、図59に示すように、レーザー光の光路を図56と同様に切り替えることも同様に実施可能である。
このように、図54〜図59を用いて説明した光ピックアップ装置によれば、光ディスク2の種類によってレーザー光の光路を切り替えることができるので、記録層までの距離や用いる波長の異なる多種類の光ディスク2に記録/再生を行うことができ、特に、短波
長光(略405nmの波長の光)を用いるもので、表面と記録層との距離が0.1mm,0.6mmと異なる光ディスク2の両方に対しても情報の記録/再生を行うことが可能となる。
また、図6〜図8を用いて説明したレンズホルダー16周りの構成として、図60〜図74を用いて説明する構成を適用することも同様に実施可能である。なお、特に説明を加えない部分については、ここまでに説明したものと同様の構成をとるため、同じ符号を付し説明を省略する。
図60は本実施の形態における光ディスク装置を示す図である。図60に示す光ディスク装置301において、302はカバーで、カバー302は上カバー302aと下カバー302bで構成され、カバー302は一方の端部に開口302cを有した袋状の構成となっている。カバー302には、トレイ303が図60に示すX方向に挿抜自在に保持されており、トレイ303は樹脂材料などの軽量な材料で構成されている。トレイ303にはフロント部分にベゼル304が設けられており、このベゼル304はトレイ303をカバー302内に収納した際に開口302cを塞ぐようになっている。ベゼル304にはイジェクトボタン305が表出しており、このイジェクトボタン305を押すことで、図示していない機構によって、カバー302からトレイ303が図60に示すX方向にわずかに飛び出し、トレイ303はカバー302に対してX方向に出し入れ可能となる。
トレイ303には、ピックアップモジュール306が取り付けられている。ピックアップモジュール306には光ディスク2を回転駆動させるスピンドルモーター25が設けられており、更には、スピンドルモーター25に対して近づいたり離れたりする基台15が移動自在に設けられている。基台15には、詳しくは後述するが、レンズホルダー16が基台15に対して弾性的に移動可能に取り付けられている。レンズホルダー16には、対物レンズ10,13等が取り付けられている。基台15において、スピンドルモーター25に装着される光ディスク2の情報記録面と対向する面には、金属板で構成された基台カバー15fが取り付けられており、基台15に取り付けられたフレキシブル基板29やレンズホルダー16等の部品の少なくとも一部を覆っている。これにより、基台15に取り付けられた部品が、光ディスク2に接触することを防ぐことができ、また逆に、これらの部品を埃や電気的ノイズ等から保護することができる。
307,308は下カバー302bに保持され、しかもトレイ303の両側部に係合されたレールである。レール307,308は、下カバー302bとトレイ303とに対して、トレイ303を挿抜するX方向に所定の範囲で摺動可能に構成されている。
次に、ピックアップモジュール306に設けられた基台15についてより詳細に説明する。
図61は基台15の全体斜視図である。なお説明のために、基台15から基台カバー15fやフレキシブル基板29等の部品を取り外した状態を示している。
基台15は、図3,図4を用いて説明したように、シャフト21,22に移動可能に取り付けられている。
基台15には、大まかに言って、短波長光を出射し受光する短波長光学ユニット1と、長波長光を出射し受光する長波長光学ユニット3と、対物レンズ10,13を搭載するレンズホルダー16とが設けられている。
レンズホルダー16は、サスペンション18によってサスペンションホルダー17に弾
性的に支持されている。サスペンションホルダー17は、ヨーク部材32に接着などの手法により固定されており、ヨーク部材32もまた接着などの手法によって基台15に接合されている。
次に、基台15に取り付けられるヨーク部材32を含むレンズホルダー16周りの構成についてさらに詳細に説明する。
図62〜図65は、図61で説明した光ピックアップ装置からレンズホルダー16、サスペンションホルダー17、サスペンション18、ヨーク部材32等の部分を抜き出して示した図であり、図62は斜視図、図63は図62に示す光ピックアップ装置の平面図、図64は図63に示す光ピックアップ装置のA−A矢視断面図、図65は図63に示す光ピックアップ装置のB−B矢視断面図である。
図62〜図65を用いて説明するヨーク部材32には、立設部32a,32b,32c,32e,32f,32g,32h,32i,32jが切り起こし加工などによってヨーク部材32に一体に設けられている。このうち立設部32a,32b,32c,32g,32h,32i,32jは、レンズホルダー16に設けられた各コイルに対向しており、立設部32e,32fは、レンズホルダー16を挟むように設けられた、片方3本ずつのサスペンション18にそれぞれ対向している。
また、ヨーク部材32の下面には開口部32dが設けられており、この開口部32dからは、基台15に固定された立ち上げミラー9,12が入り込む構成となる。
また、ヨーク部材32が基台15に取り付けられた際に、図61に示したシャフト21の中心軸とシャフト22の中心軸とで形成される平面に対して略平行になり、開口部32dを形成する部分をヨーク部材32の主面部32kと称す。主面部32kに対して、立設部32a,32b,32c,32e,32f,32g,32h,32i,32jは略垂直に設けられる。
ヨーク部材32には、接着などの手法によりフォーカスマグネット136,137,138,139とトラッキングマグネット140,141,142,143とが設けられる。
フォーカスマグネット136は立設部32cに取り付けられてフォーカスコイル130に対向し、フォーカスマグネット137は立設部32cに取り付けられてフォーカスコイル131に対向し、フォーカスマグネット138は立設部32bに取り付けられてフォーカスコイル132に対向し、フォーカスマグネット139は立設部32aに取り付けられてフォーカスコイル133に対向している。フォーカスマグネット136と137は、図63に示すトラッキング方向について立設部32cの両端に取り付けられ、それぞれフォーカスコイル130と131に対向している。なお、本実施の形態ではヨーク部材32の剛性等を増すように、立設部32cを図63に示すトラッキング方向に広く形成したが、立設部32cを二つに分割し、その一方にフォーカスマグネット136を接着などによって取り付け、フォーカスマグネット137を他方に取り付けた構成としてもよい。
また、トラッキングマグネット140は立設部32gに取り付けられてトラッキングコイル134に対向し、トラッキングマグネット141は立設部32hに取り付けられてトラッキングコイル134に対向し、トラッキングマグネット142は立設部32iに取り付けられてトラッキングコイル135に対向し、トラッキングマグネット143は立設部32jに取り付けられてトラッキングコイル135に対向している。
さらにフォーカスマグネット136,137とトラッキングマグネット140,141,142,143とは、その底面の少なくとも一部を主面部32kに支持または固定されている。このような構成によりマグネットの位置決めが容易となる。
次にマグネットの着磁の一例を示す。フォーカスマグネット136とフォーカスマグネット138は、図64に示すフォーカス方向について底面から対物レンズ10,13側にS極,N極の順で、それぞれフォーカスコイル130とフォーカスコイル132に対向する面に磁極が表出するように着磁され、フォーカスマグネット137とフォーカスマグネット139は、図65に示すフォーカス方向について底面から対物レンズ10,13側にN極,S極の順で、それぞれフォーカスコイル131とフォーカスコイル133に対向する面に磁極が表出するように着磁されている。また、トラッキングマグネット140とトラッキングマグネット143は、それぞれトラッキングコイル134とトラッキングコイル135に対向する面にN極が表出するように着磁され、トラッキングマグネット141とトラッキングマグネット142は、それぞれトラッキングコイル134とトラッキングコイル135に対向する面にS極が表出するように着磁されている。
サスペンション18は、図6を参照して説明したような形状、配置、構成となっており、レンズホルダー16に設けられた各コイルには、サスペンション18を介して電流が流される。
このサスペンション18とレンズホルダー16に設けられた各コイルとの配線の一例について説明する。
フォーカスコイル130とフォーカスコイル132とは直列に接続されており、このコイル群の両端はそれぞれサスペンション18a,18bに接続され電気的に導通している。また、フォーカスコイル131とフォーカスコイル133とは直列に接続されており、このコイル群の両端はそれぞれサスペンション18d,18eに接続され電気的に導通している。また、トラッキングコイル134とトラッキングコイル135とは直列に接続されており、このコイル群の両端はそれぞれサスペンション18c、18fに接続され電気的に導通している。各コイルの端部とサスペンション18は例えば半田や鉛フリー半田などの金属系の接合材によって、電気的に接続されている。
また本実施の形態の光ピックアップ装置は、図63に斜線で示すように、サスペンションホルダー17と立設部32bと立設部32eとフォーカスマグネット138とでゲルポケット144を、サスペンションホルダー17と立設部32aと立設部32fとフォーカスマグネット139とでゲルポケット145を構成する。サスペンション18の一部が貫通するこのゲルポケット144,145には、ダンピングを行うダンパーゲル等の弾性材料が充填されている。つまりサスペンション18の一部、より正確にはサスペンション18のサスペンションホルダー17側の根元の部分が弾性材料に包まれている。これによりレンズホルダー16をフォーカス方向やトラッキング方向に駆動するときに生じるサスペンション18の不要共振を抑制することができる。弾性材料としては、紫外線照射等でゲル状になる材料を使用することが可能である。
次に、図63を参照して、レンズホルダー16の対物レンズ10,13を保持する部分の構成について説明する。
図63に示すようにレンズホルダー16は、それぞれ略同一形状に構成される対物レンズ支持面110d,110e,110f(対物レンズ支持面110と総称する。)、それぞれ略同一形状に構成される接着部111d,111e,111f,111g,111h,111i(接着部111と総称する。)、それぞれ略同一形状に構成される接着部11
3a,113b,113c(接着部113と総称する。)を有する。
図63に示すように、対物レンズ支持面110dと対物レンズ支持面110eと対物レンズ支持面110fとは、対物レンズ10(より正確には貫通孔16a)の周縁部に等間隔に配置されている。言い換えると、対物レンズ10(より正確には貫通孔16a)の中心から見て120度間隔で配置されている。そして、これら対物レンズ支持面110d,110e,110fの両端に、それぞれ接着部111dと接着部111e,接着部111fと接着部111g,接着部111hと接着部111iが配置されている。つまり、接着部111dと接着部111fと接着部111hは略等間隔に配置され、接着部111eと接着部111gと接着部111iも略等間隔に配置されていることとなる。このように、対物レンズ支持面110を対物レンズ10(より正確には貫通孔16a)の中心軸回りに略等角度となる間隔で配置することにより対物レンズ支持面110で対物レンズ10を安定して支持することができる。また、上に述べたように接着部111を配置することにより、接着部111に注入された接着剤が固化する時に収縮しても、対物レンズ10がレンズホルダー16から引っ張られる力は打ち消し合い、位置決めをした対物レンズ10がずれにくくなる。
以上述べたような、対物レンズ支持面110と接着部111との、貫通孔16aの周縁部に対する配置、貫通孔16aの周縁部に占める角度の設定を除き、図63に示すこの部分の構成は図31〜図35を参照して説明したものと略同一であるため、ここでは説明を省略する。
また、対物レンズ10,13について、ここでは対物レンズ10をガラスと樹脂とを組み合わせて構成したものを用いた。これにより、金型成型などの手法を用いることが可能となるので、対物レンズ10にホログラムを設けることが容易となり、複数種の波長の光の球面収差を調整することが可能となる。ガラスと樹脂とを組み合わせて構成することを除くと、対物レンズ10の構成は、図34,図35を用いて説明したものと略同一である。また対物レンズ13としては、図31〜図35と同様にガラスで構成したものを用いた。
図65は本実施の形態における光ピックアップ装置を示す図63のA−A断面を示す図である。
図65に示すように、レンズホルダー16には貫通孔16a,16bが設けられており、図65に示す矢印P1方向から対物レンズ10,13がそれぞれ貫通孔16a,16bに落とし込まれて、光硬化性接着剤などで固定される。このとき対物レンズ10,13の外周部がレンズホルダー16の貫通孔16a,16bの周縁部に当接する。また、光学部品11と色消し回折レンズ14と1/4波長板19とは図65の矢印P2方向からそれぞれ貫通孔16a,16bに挿入され、やはり、光硬化性接着剤や瞬間接着剤などによって固定される。このときも光学部品11と色消し回折レンズ14と1/4波長板19との外周部がレンズホルダー16の貫通孔16a,16bの周縁部に当接する。またこれらの部品は、フォーカス方向に光ディスク2側から見ると、対物レンズ10,光学部品11の順番で、また、対物レンズ13,色消し回折レンズ14,1/4波長板19の順番でレンズホルダー16に配置されている。このように、短波長の光に対して作用する1/4波長板19を、レンズホルダー16に取り付ける構成とする場合、1/4波長部材9aを、図1や図5を用いて説明したように立ち上げミラー9に設ける必要がなくなり、立ち上げミラー9を簡単な構成とすることができる。
また、レンズホルダー16のフォーカスコイル130,131側の端面には、レンズホルダー16から立設部32c側に突出したメカストッパー16dが、レンズホルダー16
のフォーカスコイル132,133側の端面に、レンズホルダー16からサスペンションホルダー17側に突出したメカストッパー16eが設けられている。レンズホルダー16が、図65に示すフォーカス方向について対物レンズ10,13側に、つまり光ディスク2側に大きく動くと、メカストッパー16d,16eの上面が、図60で説明した基台カバー15fの裏面に当接し、レンズホルダー16の動きは規制され、それ以上光ディスク2側へは接近しない。
次に、ヨーク部材32に取り付けられるレンズホルダー16周りの構成についてさらに詳細に説明する。
図66〜図68は、図62〜図65で説明した光ピックアップ装置からヨーク部材32を省略して示した図であり、図66は斜視図、図67は図66に示す光ピックアップ装置の平面図、図68は図66に示す光ピックアップ装置の下面図である。
図67に示すようにレンズホルダー16には、対物レンズ10,13が取り付けられている。
対物レンズ10の主点である対物レンズ主点10dは、対物レンズ支持面110の略球面の中心と略一致し、貫通孔16aの略中心軸上にある。対物レンズ10の光軸は、貫通孔16aの中心軸と略一致するが、対物レンズ10はあおり調整されるので、ずれることもあり得る。図67は平面図であるので10dは、貫通孔16aの中心軸と対物レンズ10の光軸もともに示すことになる。
対物レンズ13の主点である対物レンズ主点13dは、貫通孔16bの略中心軸上にある。貫通孔16bの中心軸は、対物レンズ13の光軸と略一致する。図67は平面図であるので13dは、貫通孔16bの中心軸と対物レンズ13の光軸もともに示すことになる。
対物レンズ主点10dと対物レンズ主点13dとを共に通り、レンズホルダー上面16cの水平部やメカストッパー16d,16eの主面に対して垂直となる面を面10d−13dとする。面10d−13dはもちろん、貫通孔16aの中心軸と貫通孔16bの中心軸とをともに含む平面とも一致し、また、対物レンズ10の光軸と対物レンズ13の光軸とをともに含む平面とも略一致する。言い換えると面10d−13dは、レンズホルダー16のトラッキング方向の中心を通り、タンジェンシャル方向とフォーカス方向とで定義される面である。
次に、コイルの配置を説明する。
図69に示すように、フォーカスコイル130,131,132,133は、それぞれ略リング状で略同一形状に巻線されており、レンズホルダー16の四隅にそれぞれ設けられている。トラッキングコイル134,135は、それぞれ略リング状で略同一形状に巻線されており、レンズホルダー16のタンジェンシャル方向の中央付近に設けられた溝16j,16kにそれぞれの一辺がはめこまれて、フォーカスコイル130とフォーカスコイル132との間、フォーカスコイル131とフォーカスコイル133との間にそれぞれ設けられている。トラッキングコイル134,135の溝16j,16kにはめこまれていない側の一辺はそれぞれトラッキングマグネット140とトラッキングマグネット141、トラッキングマグネット142とトラッキングマグネット143とに挟まれる位置に配置されている。このようなコイル配置にすることにより、レンズホルダー16の不要な傾きなどを抑制することができる。これらのコイルとレンズホルダー16との接合には、好ましくは熱硬化性接着剤が用いられるが、光硬化性接着剤やその他の接着剤を用いて接
合することも同様に実施可能である。またコイルとレンズホルダー16を所定の位置に確実に配置することができれば、その他の方法を用いて接合してもよい。
コイルの配置についてさらに詳細に説明する。
図67は、光ディスク装置においてレンズホルダー16周りを、図60に示すZ方向から見た図、言い換えると対物レンズ10,13の光軸方向に光ディスク2側から見た図、さらに言い換えるとフォーカス方向に光ディスク2側から見た図となっている。
フォーカスコイル130は、レンズホルダー16について、サスペンションホルダー17の反対側の端面に設けられており、レンズホルダー16のサスペンション18d,18e,18f側に設けられている。
フォーカスコイル131は、レンズホルダー16について、サスペンションホルダー17の反対側の端面に設けられており、レンズホルダー16のサスペンション18a,18b,18c側に設けられている。
フォーカスコイル132は、レンズホルダー16について、サスペンションホルダー17側の端面に設けられており、レンズホルダー16のサスペンション18d,18e,18f側に設けられている。
フォーカスコイル133は、レンズホルダー16について、サスペンションホルダー17側の端面に設けられており、レンズホルダー16のサスペンション18a,18b,18c側に設けられている。
また、トラッキングコイル134,135はそれぞれ、フォーカスコイル130とフォーカスコイル132,フォーカスコイル131とフォーカスコイル133に挟まれる位置に設けられている。
フォーカスコイル130,131,132,133において、130a,131a,132a,133aはそれぞれの重心、130b,131b,132b,133bはそれぞれの面10d−13dと反対側の外周部、130c,131c,132c,133cはそれぞれの面10d−13d側の外周部、130d,131d,132d,133dはそれぞれのサスペンションホルダー17側の巻回面、130e,131e,132e,133eはそれぞれのサスペンションホルダー17と反対側の巻回面、130f,131f,132f,133fはそれぞれの軸である。
また、トラッキングコイル134,135において、134a,135aはそれぞれの重心、134b,135bはそれぞれの面10d−13dと反対側の外周部、134c,135cはそれぞれの面10d−13d側の外周部、134d,135dはそれぞれのサスペンションホルダー17側の巻回面、134e,135eはそれぞれのサスペンションホルダー17と反対側の巻回面、134f,135fはそれぞれの軸である。
軸130fは、巻線の中心である重心130aを通り、外周部130bと外周部130cとからの距離が等しく、巻回面130d,130eと略垂直で、面10d−13dと略平行かつ貫通孔16a,16bの中心軸や対物レンズ10,13の光軸と略垂直な関係にある。言い換えると軸130fは、スピンドルモーター25の回転軸と略垂直、さらにはスピンドルモーター25に装着された光ディスク2の主面とも略平行な関係にある。
軸131f,132f,133f,134f,135fも、それぞれの重心131a,
132a,133a,134a,135a、外周部131b,132b,133b,134b,135b、外周部131c,132c,133c,134c,135c、巻回面131d,132d,133d,134d,135d、巻回面131e,132e,133e,134e,135eと上述の関係にあり、またスピンドルモーター25やスピンドルモーター25に装着された光ディスク2の主面とも同じく上述の関係にある。つまり軸130f,131f,132f,133f,134f,135fはそれぞれ略平行である。このように構成したことにより、光ピックアップ装置のフォーカス方向の投影面積が小さくなるので、光ピックアップ装置の可動部が基台15上で占める割合を小さくすることができ、部品点数の多い多波長対応型の光ピックアップ装置を小型に構成することが可能となる。
ここで、重心130aと131aと132aと133aとをそれぞれ結ぶ線分を、線分130a−131a,132a−133a,130a−132a,131a−133a,130a−133a,131a−132aとし、重心134aと135aとを結ぶ線分を、線分134a−135aとする。
図70にも示されるように、線分130a−132aは軸130f,132fと一致し、線分131a−133aは軸131f,133fと一致する。
また、図67に示されるように、線分130a−131aの中点と線分132a−133aの中点と線分130a−133aの中点と線分131a−132aの中点と線分134a−135aの中点は、全て面10d−13d上に存在する。特に、線分130a−133aの中点と線分131a−132aの中点とは一点で交わり、この点を通りフォーカス方向に平行な直線上に線分134a−135aの中点が存在する。この直線を重心軸148と称する。
また、巻回面130dと巻回面131d、巻回面132eと巻回面133e、巻回面134eと巻回面135e、巻回面134dと巻回面135dは、それぞれ同一面内にあり、それぞれを含む面を、面130d−131d,面132e−133e,面134e−135e,面134d−135dとする。これら4つの面は、それぞれ略平行であり、面130d−131dから面134e−135eまでの距離と面132e−133eから面134d−135dまでの距離とは等しく、面130d−131d,面132e−133eから線分134a−135aまでの距離も等しい。言い換えると、フォーカスコイル130からトラッキングコイル134までの距離、フォーカスコイル131からトラッキングコイル135までの距離、フォーカスコイル132からトラッキングコイル134までの距離、フォーカスコイル133からトラッキングコイル135までの距離は、全て等しい。
また、フォーカスコイル130からフォーカスコイル133までの距離と、フォーカスコイル131からフォーカスコイル132までの距離も等しい。
また、外周部130bと外周部132b、外周部131bと外周部133b、外周部130cと外周部132c、外周部131cと外周部133cは、それぞれ同一面内にあり、それぞれを含む面を、面130b−132b,面131b−133b,面130c−132c,面131c−133cとする。これら4つの面は、それぞれ面10d−13dと略平行である。すなわち、フォーカスコイル130とフォーカスコイル131、フォーカスコイル132とフォーカスコイル133、トラッキングコイル134とトラッキングコイル135は、それぞれ面10d−13dに関して面対称であり、また、フォーカスコイル130とフォーカスコイル132、フォーカスコイル131とフォーカスコイル133は、それぞれ線分134a−135aの延長線に関して線対称であり、また、フォーカス
コイル130とフォーカスコイル133、フォーカスコイル131とフォーカスコイル132、トラッキングコイル134とトラッキングコイル135は、それぞれ重心軸148に関して線対称である。
このように、フォーカスコイル130,131,132,133とトラッキングコイル134,135という6つのコイルをレンズホルダー16において上に述べたような分散した配置、つまり、レンズホルダー16が、輪状の独立したフォーカスコイル130,131,132,133とトラッキングコイル134,135とを有し、トラッキングコイル134は、フォーカスコイル130とフォーカスコイル132との間に配置され、トラッキングコイル135は、フォーカスコイル131とフォーカスコイル133との間に配置され、フォーカスコイル130,131,132,133とトラッキングコイル134,135の軸は、略平行に配置されたことにより、フォーカスコイルによる駆動点とトラッキングコイルによる駆動点とレンズホルダー16の重心を容易に一致させることができ、光ピックアップ装置の可動部を正確に駆動することが可能となる。
また、図67に示すように、レンズホルダー16にマスバランサ146,147を接着などの手法により設けることにより、コイルの駆動点とレンズホルダー16の重心をより一層容易に一致させることが可能となる。
また、コイルに電流を流すと発熱するが、コイルをレンズホルダー16において上述したような配置したことにより、レンズホルダー16上の温度分布には大きな偏りが生じにくく、対物レンズ10,13は熱せられても、大きな歪みを生じることがない。
図68は、光ディスク装置において図67に示したレンズホルダー16周りを裏側から見た図、言い換えると対物レンズ10,13の光軸方向に下カバー302b側から見た図、さらに言い換えるとフォーカス方向に下カバー302b側から見た図となっている。
図68に示すように、レンズホルダー16の貫通孔16aは光学部品11によって塞がれており、貫通孔16bは色消し回折レンズ14によって塞がれており、この色消し回折レンズ14の中心を含む一部を1/4波長板19が覆っている。
図69は、図62〜図65で説明した光ピックアップ装置の可動部を示す図である。
図69に示すように、レンズホルダー16には溝16j,16kの両側にくぼみ16lが構成されており、くぼみ16lには上述したような接着剤が注入され、溝16j,16kにはめこまれたトラッキングコイル134,135をレンズホルダー16に固定する。
本実施の形態の光ピックアップ装置の可動部として考慮される主な構成としては、対物レンズ10,13と光学部品11と色消し回折レンズ14とレンズホルダー16と1/4波長板19と図69に示されるようにサスペンション18a,18b,18c,18d,18e,18fの(長手部分を除いた)それぞれ一部とフォーカスコイル130,131,132,133とトラッキングコイル134,135とマスバランサ146,147とがあり、この他にもサスペンション18とコイルとを接続する半田や、レンズホルダー16と各部品とを固定する接着剤が考慮されることもある。本実施の形態の光ピックアップ装置は、可動部の重心とコイルの駆動点を一致させられるので、光ピックアップ装置の可動部を正確に駆動することが可能となる。
図70は、図69に示した光ピックアップ装置の可動部から、レンズホルダー16とサスペンション18とマスバランサ146,147とを省略した図であり、図71はこの図70のA−A矢視図である。図72は、図62〜図65で説明した光ピックアップ装置に
おいてコイルとマグネットのみを示し、その他の部材を省略した図であり、図73は図72のA−A矢視図、図74は図72のB−B矢視図である。
図70,図71に示されるように、本実施の形態の光ピックアップ装置は5つの光学部品(対物レンズ10,13と光学部品11と色消し回折レンズ14と1/4波長板19)が搭載されている。
図72,図73に示されるように、本実施の形態の光ピックアップ装置において、フォーカスマグネット136,137,138,139はそれぞれ多極着磁されているので、対向するフォーカスコイル130,131,132,133は、それぞれの上下2辺ずつに電磁力を受け、フォーカス方向に効率よく駆動されることになる。このため、それぞれのフォーカスコイルの巻数を少なくすることができ、フォーカスコイル自体をそして光ピックアップ装置の可動部を軽く構成することが可能となる。
また、本実施の形態の光ピックアップ装置において、トラッキングコイル134,135は、フォーカスコイルよりも巻数が多く、1つあたりの重量もフォーカスコイルの約2倍となっている。しかしこのトラッキングコイル134,135がレンズホルダー16の中央部に設けられ、軽量なフォーカスコイル130,131,132,133がレンズホルダー16の外端部に設けられたことにより、レンズホルダー16の高次共振周波数(二次共振周波数)が高くなる。
また、フォーカスコイル130,131,132,133、トラッキングコイル134,135それぞれに対して、専用のマグネットが設けられたことにより、光ピックアップ装置の可動部を高推力で駆動することができる。
次に、光源部1aから出射された光の光量をモニターする、図1や図9に示す受光部1cを、光ピックアップ装置の可動部の近傍に配置する構成について、主に図75を用いて説明する。なお、特に説明を加えない部分については、ここまでに説明したものと同様の構成をとるため、同じ符号を付し説明を省略する。
図75は、図61のA−A矢視断面図であり、図63に示す光ピックアップ装置のB−B矢視断面図に基台15に設けられた部材と光源部1aから出射された光束153とを共に示した図である。
図75において、12は基台15に光硬化性接着剤等を用いて取り付けられた立ち上げミラーである。立ち上げミラー12において、12aは立ち上げミラー9に対向し、立ち上げミラー9の主面と略平行に設けられた平面である反射面、12bは立ち上げミラー12において反射面12aの裏面に設けられた平面である透過面、12cは反射面12aと透過面12bとの間の面であり、レンズホルダー16等と対向する上面、12dは反射面12aと透過面12bとの間の面であり、上面12cと対向する下面である。
15gは対物レンズ10,13からフォーカス方向に最も遠い面となる基台15の底面であり、底面15gはタンジェンシャル方向とトラッキキング方向とで構成される平面と平行に構成される。
反射面12aと透過面12bとのなす角は約9°であり、底面15gと反射面12aとのなす角θ12aは約43°、底面15gと透過面12bとのなす角θ12bは約34°である。
立ち上げミラー12は、BK7などのガラス材を基材とし、その両主面に光学膜が設け
られている。
立ち上げミラー12の一方の主面である反射面12aには、SiO2、Al2O3、TiO2などを用いて構成される誘電体多層膜、他方の主面である透過面12bには、Mg
F2などを用いて構成される反射防止膜が設けられている。
16mはレンズホルダー16の貫通孔16bの内径を最も狭くする開口制限部である。開口制限部16mはフォーカス方向において、対物レンズ13と色消し回折レンズ14との間に配置されており、短波長の光の開口数を0.85に開口制限する。
17aと32mは、図62や図63に示されるように、対物レンズ10と対物レンズ13の中心を結ぶ線上に位置し、17aはタンジェンシャル方向のレンズホルダー16側からサスペンションホルダー17側に凹となるサスペンションホルダー17の凹部、32mは立設部32aと立設部32bとの間に設けられ、タンジェンシャル方向のサスペンションホルダー17側からレンズホルダー16側に凹となるヨーク部材32の凹部である。
149はタンジェンシャル方向において、レンズホルダー16とサスペンションホルダー17との間、または立ち上げミラー12とサスペンションホルダー17との間に配置され、光硬化性接着剤等を用いて基台15に取り付けられた集光部材である集光レンズである。集光レンズ149は、屈折率約1.5の有機光学材料で構成され、金型成型などにより作成され、図75に示されるように概略三つの面で構成されている。
149aは集光レンズ149の第一面に設けられ、立ち上げミラー12の方向に凸となるレンズ形状の集光面であり、反射防止膜等が設けられている。149bは集光面149aとともに集光レンズ149の第一面に設けられ、集光面149aの周囲に設けられた平面である開口制限面である。底面15gと開口制限面149bとのなす角θ149bは約82°である。集光面149aと開口制限面149bとの境界は、トラッキング方向を長軸とする楕円形状である。
149cは集光レンズ149の第二面に設けられた平面である反射面である。底面15gと反射面149cとのなす角θ149cは約49°である。
149dは集光レンズ149の第三面に設けられた平面である透過面であり、反射防止膜等が設けられている。底面15gと透過面149dとのなす角θ149dは約0°、つまり透過面149dは、タンジェンシャル方向とトラッキング方向とで構成される平面と略平行な関係にある。
152は金属板などで構成され、図61に示されるように基台15にねじ止めされて固定される支持部材、152aは支持部材152にプレス加工などにより設けられた貫通孔である。基台15に固定された支持部材152は、その主面がタンジェンシャル方向とトラッキング方向とで構成される平面と略平行な関係にある。
151は支持部材152に熱硬化性接着剤などを用いて取り付けられたフレキシブル基板、151aはフレキシブル基板151にプレス加工などにより設けられた貫通孔である。
150はフレキシブル基板151に取り付けられたベアチップICである受光部であり、150aは受光部150において受光素子が設けられた受光面である。
受光部150は、接着やフリップチップ実装などの手法によりフレキシブル基板151
に取り付けられており、受光面150aは、凹部17aと凹部32mとで囲まれる領域と、貫通孔151aと、貫通孔152aとを介して透過面149dと対向している。
このような構成により、受光部150は光源部1aから出射された光の光量をモニターすることができる。
なお、図61においては他の部材を示すために、フレキシブル基板151の図示を省略している。
受光部150において図75を用いて説明した配置としたことにより、図1や図9に示した受光部1cは不要となり、また、図9に示した光学部46には、傾斜面46aを設ける必要がなくなり、光学部46を断面長方形の単純な形状に形成することができる。
次に光の進み方について説明する。
153は光源部1aから出射された短波長の光の光束であり、154は光束153の光軸である。
光束153は、コリメータレンズ8(図75には図示せず)を通過して立ち上げミラー9に到達する。立ち上げミラー9には各ユニット1,3から出射された光が入射する面には波長選択膜9bが設けられており、短波長の光である光束153はほとんど透過する。
立ち上げミラー9を通過した光束153は、立ち上げミラー12に到達する。反射面12aには誘電体多層膜が設けられており、光束153(P波)のうち約90%が反射し、約10%が透過するように構成され、短波長の光を分光することができる。
反射面12aで反射した光束153は、1/4波長板19、色消し回折レンズ14、対物レンズ13を介して光ディスク2(図75には図示せず)に到達する。光ディスク2で反射され、再び対物レンズ13、色消し回折レンズ14、1/4波長板19を介して立ち上げミラー12に到達した光束153(S波)は、誘電体多層膜が設けられた反射面12aにおいてその約99%が反射し、再びコリメータレンズ8等を通過して、光を電気信号に変換し、その電気信号よりRF信号,トラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号などを生成する受光部1bに到達する。
一方、反射面12aを透過した光束153は屈折して、対物レンズ10,13側からフォーカス方向にさらに離れる向き(底面15g側)に進み、透過面12bに到達する。光束153は、反射防止膜が設けられた透過面12bを透過する。
ここで反射面12aと透過面12bとは非平行であり、ここではθ12a>θ12bの関係となっている。
これにより、光束153の向きは、反射面12aに入射する前と透過面12bを透過した後とで変わり、反射面12aに入射する前に、底面15g側に向かっていた光束153は、底面15gとのなす角が小さくなるように向きが変わるか、さらには図75に示されるように、底面15g側からフォーカス方向にさらに離れる向きに進む。ここでは透過面12bを透過した光軸154と底面15gとのなす角θ154は約8°である。これにより、透過面12bを透過した光束153が入射する集光レンズ149を、フォーカス方向において基台15の領域内に配置することができる。
また、光束153の、光軸154に垂直な断面形状は、反射面12aに入射する前は略
正円形状であるが、透過面12bを透過した後はトラッキング方向を長軸とする楕円形状となり、基台15内で光束153が通過するために必要な領域を小さくすることができる。これにより、光ピックアップ装置を薄く構成することができる。
また、反射面12aと透過面12bとが非平行となっていることにより、反射防止膜が設けられた透過面12bで反射し、立ち上げミラー12内で反射する光があっても、この光は、光軸154とは異なる角度で透過面12bより透過したり、集光レンズ149には向かわず上面12c等から抜けたりする。これにより、立ち上げミラー12内で反射した光が干渉して、透過面12bを透過する光の光量が変動することを抑制できる。
立ち上げミラー12を通過した光束153は略平行光のまま、集光レンズ149において、集光面149aと開口制限面149bとが設けられた第一面に到達する。
集光面149aに到達した光束153は集光され、受光部150において光源部1aの光量をモニターするために必要な光量となる。透過面149dが設けられた第三面を凸面、第一面を平面として、光束153を集光することもできるが、この場合第三面に到達するまで光束153は平行光となるため、集光レンズ149を大きくする必要がある。立ち上げミラー12の第一面に集光面149aを設けることにより、集光レンズ149を小さく構成することができる。
開口制限面149bに到達した光束153は、開口制限面149bに略垂直に入射する。開口制限面149bから入射した光は略平行光のまま集光レンズ149内を進むので、受光面150aには到達しない。
集光レンズ149の集光面149aの周囲に開口制限面149bを設けることにより、受光部150に到達する光束153を、レンズホルダー16の開口制限部16mにおいて開口制限される光束153と同様に開口制限することができ、さらに反射面12aから開口制限面149bまでの光学距離を、反射面12aから開口制限部16mまでの光学距離と略等しくすることができるので、受光部150における光束153の条件を対物レンズ13における光束153の条件に近づけることができる。
集光面149aで集光された光束153は、反射面149cに到達する。光束153の反射面149cへの入射角はおおよそ、90°−(θ149c−θ154)で求められ、ここでは、約49°となる。一方、反射面149cから空気中への光の臨界角は、集光レンズ149の屈折率を1.5、空気の屈折率を1とすると、Arcsin(1/1.5)≒42°となるので、集光面149aで集光された光束153は、反射面149cで全反射する。つまり反射面149cは、入射する光束153に対し臨界角以上になるように構成された、反射膜等を必要としない完全反射面であり、反射面149cに反射膜を設けなくとも、光束153を反射させ、受光部150へと導くことができる。
立ち上げミラー12を透過した光束153と反射面149cとのなす角度θxが、集光レンズ149の屈折率をn、集光レンズ149が接する媒質の屈折率をn0とし、
θx≦90°−Arcsin(n0/n)・・・(数1)
(数1)を満たすときに、光束153は反射面149cで全反射することになる。
反射面149cで反射した光束153は、透過面149dを透過する。集光面149aから入射した光束153は集光レンズ149内において収束光であるので、平面である透過面149dから空気中に出射する際にさらに収束するように屈折する。
集光面149aと開口制限面149bと反射面149cとを集光レンズ149に一体に
設けたことにより、大きく三つの機能を有する部材を1つの部品で構成でき、部品点数を減らす事ができるとともに、省スペース化を図ることができる。
透過面149dから出射した光束153は、凹部17aと凹部32mとで囲まれる領域と、貫通孔152aと、貫通孔151aと通過し受光部150に到達する。
以上、図75を用いて説明したように、立ち上げミラー12において、光源1aからの光束153の一部を反射し一部を透過させ、立ち上げミラー12で反射した光束153を対物レンズ13に、立ち上げミラー12を透過した光束153を集光レンズ149に導くことにより、薄型の光ピックアップ装置においても、効率よく光源部1aから出射された光を受光部150でモニターすることができる。
光ピックアップ装置及び光ディスク装置は、光ディスク2の記録や再生動作により、また使用する条件で装置の温度が変動する。光源部1aや光源部3aに設けられたレーザ素子は、温度に応じて出射光の波長が変動する。また、光ピックアップ装置中の光学部品も温度に応じて透過率が変動する。図75に示した構成によれば、受光部150を対物レンズ13と光学的にも物理的にも近い位置に配置することができるので、光ピックアップ装置は、対物レンズ13に到達する光束153の光量を、受光部150において、より正確に把握することができ、受光部150でモニターした光量に基づいて、光源部1aから出射される光の光量を制御し、対物レンズ13の位置において求められる光束153の光量とすることが可能となる。
なお、以上の説明では、集光レンズ149において、集光面149aと開口制限面149bと反射面149cとを一体に設けたが、集光部材と開口制限部材と反射部材を別部材で構成したり、集光面149aをホログラム等その他の集光部材で構成したり、開口制限面149bに光を拡散や吸収する部材を設けたり、反射面149cに反射膜を設けることもできる。また、凹面の反射面を有する皿状の部材を、底面15gに対して斜めに配置することにより、集光レンズ149のように、集光と開口制限と反射という三つの機能を達成することもできる。
また、以上の説明では、立ち上げミラー12で反射した光束153と略同じ向きに、前立ち上げミラー12を透過した光束153を平面部材149cで反射したが、基台15内のスペースに余裕があれば光束153を平面部材149cで反射して立ち上げなくてもよい。平面部材149cで反射することにより、フォーカス方向に見た投影面積を小さくすることができるとともに、受光部150の光ピックアップ装置への取り付けを容易に行うことができる。
また、以上の説明では、立ち上げミラー12の両主面を非平行に構成したが、基台15内のスペースに余裕があれば、平行に構成することもできる。
また、以上の説明では、受光部150では短波長の光を受光することとしたが、長波長光学ユニット3の光源部3aから出射される長波長の光を受光してもよい。この場合、長波長光学ユニット3の受光部3cは不要となり、更なる省スペース化を図ることができる。