JP2005220451A - 繊維構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性、耐候性および変わらぬ高レベルの機能を確保しながら、合成繊維ロープやベルトなどの繊維構造体の製造コストを低減すること。
【解決手段】合成繊維からなる複数のストランドによって構成された繊維構造体において、該ストランドの最外層を構成する合成繊維表面には、シラン系コート剤が塗布されており、かつ該シラン系コート剤が触媒の作用で硬化・固化されている繊維構造体。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維構造体における繊維素材表面コーティング技術に関し、さらに詳しくは、シラン系-コート剤で処理することを含む、合成繊維ロープやベルトなどの繊維構造体、好ましくは芳香族ポリアミド繊維からなるロープやベルトなどの繊維構造体に関する。
ロープおよびベルトなどの繊維構造体は、特に、例えばスリングベルド、エレベータのような運搬運送技術、クレーンによる建設作業、および露天掘りなどで使用され、移動するロープおよびベルトは機械装置の重要な部品であり過酷な用途に使用されている。特に、複雑な様相は、例えばエレベータ構造体および懸架されたケーブル・カーに使用される場合のように、駆動されるロープおよびベルトの荷重の問題に見られる。これらの例においては、必要なロープおよびベルトの長さは長いが、一方エネルギーを考慮すると、ロープおよびベルトの質量は可能な限り小さいことが要求される。高張力合成繊維ロープおよびベルト、例えば高度に配向された分子鎖を有する芳香族ポリアミド繊維のロープおよびベルトは、通常のスチール・ロープよりも、これらの要件を良好に充足する。しかし、芳香族ポリアミド繊維のような物質は、破断応力および作業能力を低下させる紫外線(UV)光、および酸化または還元効果を有する環境に特に敏感である。この理由によって、芳香族ポリアミド繊維からなるロープおよびベルトは、通常、光に安定な物質のシースまたはブレードで覆われている。
例えば、ポリウレタン系樹脂を耐摩耗性向上剤として用いた技術としては、「ポリウレタン、酸化ポリエチレンおよびエチレン尿素化合物を主成分とする混合物で処理されてなる繊維ロープ」(特許文献1:特公昭62−60511号公報)、「ウレタンプレポリマーブロック化物を主成分とする樹脂を繊維ベルト類に付与し、加熱処理することにより耐摩耗性を改善する方法」(特許文献2:特開昭60−173174号公報)、「フッ素系樹脂を用いて、特定条件下で処理し、繊維表面に微粒子状フッ素系樹脂を残存固着させた繊維構造物」(特許文献3:特開平2−210071号公報)、さらに「合成繊維ロープにおいて、ロープを構成する繊維にフッ素樹脂を含浸させたことを特徴とする合成繊維ロープ」(特許文献4:実開平2−46895号公報)などがある。
上記先行技術に示された処理剤で表面被覆または含浸処理されたロープは、耐摩耗性、屈曲耐久性、耐候性の改善されることが認められている。しかしながら、最近の陸上および水産資材分野における用途の細分化、技術の多様化などに伴い、製品に対する要求性能は益々向上、拡大する傾向があり、上述の従来技術では耐摩耗性、屈曲耐久性、耐候性などがまだまだ不充分であり、用途によっては充分対応することができない。例えば、パラ系芳香族ポリアミド繊維は、20g/デニール以上の高強度を有するため、最近、この繊維を使用した種々のコード、ロープが開発され、上記の分野で活用されつつある。しかし、パラ系芳香族ポリアミド繊維は、繊維/繊維間、繊維/金属間などの摩擦により、フィブリル化し易く、これが主因となって強度劣化を生じ、繊維が本来有する優れた高強度特性を充分に発現できないという欠点を有している。
この欠点を改善するために、耐摩耗性の比較的良好なナイロン系繊維などをロープの表層部に用い、芯部に芳香族ポリアミド繊維を用いた複合体構造にするなどの工夫がなされ実用化されている。しかし、これらの複合体構造の合成繊維ロープおよびベルトでもまだまだ不充分であり、特に芳香族ポリアミド繊維の場合、コードやロープの内部における繊維のフィブリル化を完全に防止するには至っていない。すなわち、芳香族ポリアミド繊維を使用した製品がくりかえし屈曲使用される過程で、芯部繊維相互間の摩擦により、繊維が部分的にフィブリル化して、その結果、充分な製品強力を長期にわたって維持できなくなるという問題を生じる。さらに、最近、陸上の電気工事関係分野で使用される繊維ロープには、感電防止の点から非吸水性が要求され、また漁網、係留などの水産資材関連分野で使用される芳香族ポリアミド繊維を使用したロープでは、吸水による重量増加の問題や吸水によるロープどうしの耐摩耗性低下の問題があり、ロープの非吸水性が重要視されつつある。
また、通常、パラグライダー、スタントカイト、気球などのスポーツレジャー分野で使用される滑空用コードに使用される素材は、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、全芳香族ポリエステル、超高分子量ポリエチレン、全芳香族ポリアミド(アラミド)などの繊維であるが、最近、特にパラグライダー、スタントカイト、気球などのスポーツレジャー関連分野では、滑空用コードの吸水による重量増加や吸水によるコードどうしの耐摩耗性低下が問題視されており、そのために非吸水性が要求され、かつ、重要視されるようになりつつある。
特開昭62−60511号公報 特開昭60−173174号公報 特開平02−210071号公報 実開平02−46895号公報
本発明は、耐摩耗性、耐候性および変わらぬ高レベルの機能を確保しながら、合成繊維ロープやベルトなどの繊維構造体の製造コストを低減することにある。
本発明は、合成繊維からなる複数のストランドによって構成された繊維構造体において、該ストランドの最外層を構成する合成繊維表面には、式1で示される化合物を主成分とするシラン系コート剤が塗布されており、かつ該シラン系コート剤が触媒の作用で硬化・固化されていることを特徴とする繊維構造体に関する。
Figure 2005220451
(式1において、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ同一または異なり、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であり、nは2〜10の数を示す。)
本発明によれば、耐摩耗性、耐候性および変わらぬ高レベルの機能を確保しながら、合成繊維ロープやベルトなどの繊維構造体の製造コストを低減することができる。
本発明では、ロープやベルトを構成する合成繊維からなるストランドに、式1で示される化合物を主成分とするシラン系コート剤を塗布することで、ストランドの最外層の合成繊維ストランドとコーティング層が永続的に接合し、このコート層が耐摩耗性、耐候性、などの効果を奏する。
また、コート剤の塗布に先立ち、あらかじめストランドにポリウレタン系樹脂などの保護層で被覆し、この保護層中に、UV安定剤および耐摩耗剤を含有させると、UVに対する信頼性のある保護がなされ、かつ摩耗に対するロープおよびベルトの十分な耐性が継続的に保証される。
本発明では、以上のように、ストランドの全体の被覆層を取り巻く1つのシースを設ける代わりに、この層の個々の繊維に、好ましくはストランドに、式1で示される化合物を主成分とするシラン系コート剤を塗布し、触媒の作用で硬化・固化させて、表面形成させるか、あるいは、あらかじめポリウレタン系樹脂またはポリアミドのような熱可塑性樹脂の継目のない含浸コート保護層としてを被せ、これに本発明のシラン系コート剤で被覆し、ロープおよびベルトなどの繊維構造体を摩耗から保護し、所望の摩擦係数を確保するとともに、耐摩耗性、耐候性を向上させることができるのである。
本発明のロープやベルトなどの繊維構造体に用いられる合成繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維に応用することができるが、特に芳香族ポリアミド繊維において有効である。
本発明におけるポリエステル繊維とは、特に、テレフタル酸、または、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、または、テトラメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルからなる繊維が好ましく用いられる。ポリエステル繊維のデニール、フィラメント数、断面形状、繊維物性、微細構造や、ポリマー性状(末端カルボキシル基濃度、分子量など)、ポリマー中の添加剤の有無などには、なんら限定を受けるものではない。
一方、本発明における芳香族ポリアミド繊維の代表例として、ポリパラアミノベンズアミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリパラアミノベンズヒドラジドテレフタルアミド、ポリテレフタル酸ヒドラジド、ポリメタフェニレンイソフタラミドなど、もしくはこれらの共重合体からなる繊維を挙げることができる。また、本発明は、パラ型アラミド繊維のいかなるものにも適用できる。
以上の本発明に用いられる合成繊維(マルチフィラメントからなるコード)は、通常、下撚および/または上撚を施され、ストランドとして用いられる。
ここで、ストランドとしては、下記のものが好ましい。
(1)総繊度が555〜2,222dtexの合成繊維を1〜12本引き揃えて撚係数が2〜5の下撚を施し、さらに該下撚糸を3〜6本引き揃えて撚係数が2〜5の上撚を施したベルト補強用のストランド。
(2)総繊度が555〜2,222dtexの合成繊維を1〜3本引き揃えて撚係数が4〜8の下撚を施し、さらに該下撚糸を2〜3本引き揃えて撚係数が4〜8の上撚を施したストランド。
(3)総繊度が555〜2,222dtexの合成繊維を1〜3本引き揃えて撚係数が2〜5の下撚を施し、さらに該下撚糸を2〜6本引き揃えて撚係数が2〜5の上撚を施したストランド。
(4)総繊度が555〜2,222dtexの合成繊維を1〜5本引き揃えて撚係数が5以下の撚を施したストランド。
ここで、上記合成繊維の総繊度は、555〜2,222dtexであるが、555dtex未満では、例えば、総繊度が小さすぎてロープを構成するストランド数が多すぎて好ましくない。一方、2,222dtexを超えると、例えば、ベルトの形態が悪くなる。
なお、合成繊維における単繊度は、0.3〜10dtexであるが、特に制限はない。
また、これらのストランドドは、合成繊維を所定の本数を引き揃えてに所定の下撚をかけ、さらに必要に応じて、下撚糸を所定の本数を引き揃えて、所定の上撚をかけている。
この際、下撚数が所定数未満であると集束性が悪く、すぐにストランドが偏平になり耐圧縮性が十分発揮出来ないし、一方、所定数を超えると、上撚をかけた後のストランド形態が不良となり、ストランドの強力が低下する。また、上撚数が所定数未満では、ストランドの強力を十分に発揮しないし、逆に、所定数を超えると、ストランドの強力の低下が大きく、寸法安定性も悪くなる。
このように、本発明に用いられる繊維構造体として、下撚および/または上撚をかけたストランドを用いると、例えば、耐圧縮力が大きく、表面平滑性の良好なベルト用ストランドが得られる。この理由については明らかでないが、本発明では、例えば、低撚り数で下撚をかけ、次いで上撚をかけることにより、ストランドの集束性があがると同時に、加締め時の圧縮力を一旦集束化した下撚部分でうけ応力を分散し、ストランドにかかる圧縮応力を分散させるためと推定される。また、平滑性の良好な本発明のシラン系コート剤で処理する場合ことにより、ストランドにかかる応力を処理ストランドの平滑性が優れているために、さらに分散しやすくなり、その結果として耐圧縮性があがるものと推定される。
本発明の繊維構造体としては、ロープ、ベルトなどが挙げられる。
このうち、ロープは、上記のストランドを複数本、例えば3〜19本を常法に従い撚り合わせることによって得られるが、好ましくはコア・ストランドと、該コア・ストランド上に層として撚られた複数本、好ましくは3〜19本の荷重支持ストランドから構成されているロープが挙げられる。
また、ベルトとしては、上記のストランドを経糸および緯糸に用いて、織密度を100〜2000g/m2になして織成された織物が挙げられる。
本発明では、合成繊維から構成されるストランドを、あらかじめ通常の保護剤で処理したのち、あるいは、保護剤で処理することなく、該ストランドに、式1で表される化合物を主成分とするシラン系コート剤を塗布することにより、得られる繊維構造体に耐摩耗性、耐フィブリル性などを付与するものである。
このように、本発明は、前記目的を達成するため、式1で示される化合物を使用することに特徴を有する。
ここで、上記保護剤としては、ポリウレタン、ポリエチレン、フッ素、ポリアミド、メタクリルなどの熱可塑性樹脂を主成分とする保護剤が挙げられる。
ここにポリウレタンとは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応、またはポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる高分子重合体であるが、耐水性、耐熱性等の点からポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる高分子重合体が好ましい。また、ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフチレンジイソシアネートなどの脂肪族または芳香族のポリイソシアネートを用いることが出来るが耐候性の点から脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
保護剤による処理法としては、スプレー法、コーティング法など従来公知のいかなる方法を用いてもよいが、ポリウレタンを主成分とする保護剤の水分散液に、ストランドを浸漬、含浸させたのち乾燥、熱処理させる処理法が最も簡単である。もちろん糸状の繊維形態で前述の方法により処理剤を付与した後に、各種のストランドの形成してよく、ストランドに形成した後に前述の方法により保護剤を付与してもよい。
熱処理温度は160〜240℃、熱処理時間は0.2〜10分間が好ましい。熱処理温度が160℃未満では形成された被膜は架橋が不充分で良好な被膜強度を発現し得なくなり、一方240℃を超えると被膜が劣化し、強度低下となる。
なお、処理後のストランドに付着している保護剤被膜の付着量(保護剤の固形分重量)は0.3〜15重量%が適当であり、さらに好ましくは2〜9重量%である。0.3重量%未満では耐摩耗性、屈曲耐久性の向上が不充分であり、ロープ状物としての実用的効果が発現せず、一方15重量%を超えると処理後のストランドは著しく粗硬となり、屈曲耐久性が低下して実用上好ましくない。
また、上記保護剤には、UV安定剤および耐摩耗剤などを添加することができる。
ここで、UV安定剤としては二酸化チタンおよび酸化亜鉛或いは、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、トリアゾール系の化合物、また、耐摩耗剤としては、アルミナ、ジルコニア、ベリリア等の酸化物や、炭化珪素、炭化チタンなどのセラミクス粉などが挙げられ、その使用量は保護剤(固形分換算)に対し0.5〜5重量%程度である。
なお、本発明では、通常、下撚および/または上撚を施された合成繊維からなるストランドに上記保護剤や式1で表される化合物を主成分とするコート剤を付与するが、下撚および/または上撚をかける前の上記合成繊維フィラメント自体に、該保護剤や本発明のコート剤を付与してもよい。後者の場合、ストランドに、さらにコート剤を付与する必要はないが、下撚および/または上撚をかけた後のストランドにさらに必要に応じて上記保護剤や本発明のコート剤を付与してもよい。
さらに、複数のストランドから構成される繊維構造体、すなわちロープやベルトに上記保護剤や本発明のコート剤を付与してもよい。
このように、本発明では、保護剤を付与された、あるいは保護剤が付与されていない、合成繊維からなるストランドに、上記式1で示される化合物を主成分とするコート剤を塗布し、触媒の作用でこれを硬化・固化させるものである。
ここで、式1におけるR1,R2,R3およびR4は、それぞれ同一または異なっても良い、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であり、nは2〜10の数である。
かかる式1で表される化合物は、単量体(例えば、メチルトリメトキシシラン)を縮合することにより得ることができる。主鎖の繰り返しがn=2〜10であるのは、n=1、すなわち単量体を用いると、ポリマー化に時間が掛かかり、短時間で十分な強度を持ったコート膜を製造することが困難となり、接着力の低下を及ぼすからである。しかしながら、nが11以上となると、逆に、繊維に塗布したときに、繊維上でのポリマー化のためのアルコキシ基などの数が不足して、十分な強度を持ったコート膜を製造することが困難になる。その場合にも最終的に十分な接着力は得られない。したがって、本発明においては、式1の化合物は、n=2〜10、中でもn=2〜8の縮合体である。
なお、一般に単量体から式1のような縮合体を合成する場合、その重合度を正確に制御することは、技術的にいって、事実上不可能である。したがって、本発明でn=2〜10、好ましくはn=2〜8のものを使用するとの意味は、重合度の分布から見て、主としてnが2〜10、好ましくは主として2〜8のものが含まれているようなコート剤を使用することに他ならず、例えばnが11以上である化合物が含まれていたとしても、差し支えない。
式1で示される化合物としては、具体的に、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシランなどの縮合体を例示できる。なお、式1の化合物は、かかる単量体の1種類のみを縮合したものであっても、また上記例示した単量体の2種類以上を縮合したものであっても良い。
なお、式1の化合物における加水分解不可能な置換基(R4)の第一義的な役割は、コート膜に柔軟性を与えることにあるが、同時にコート膜に吸水して接着力を低下させることの無いよう、コート膜に撥水性を付与するために、R4はアルキル基とすることが好ましい。
一般に、有機性置換基は、炭素数が増えるほど、有機性すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくなると、立体障害によりコート膜内に歪が生じて膜の強度低下の原因となる。したがって、アルキル基の炭素数や式1の化合物(縮合体)を構成する各単量体の種類・量は、本明細書の実施例などを参照しつつ、予備的な製造試験を行うなどして決定することが好ましい。もっとも、コート膜への撥水性の付与は、後述する式2又は式3の化合物を添加することによっても達成可能であるため、式1の化合物におけるR4をアルキル基とすることが必須というわけではない。
本発明では、式1の化合物に加え、下記式2の化合物(以下「化合物2」ともいう)および/または下記式3の化合物(以下「化合物3」ともいう)を含むコート剤を用いることができる。
Figure 2005220451
(式2において、R5,R6およびR7はそれぞれ同一または異なり、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、R8はその分子内にエポキシ基またはグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基またはフェニル基である。)
Figure 2005220451
(式3において、R9およびR11はそれぞれ同一または異なった、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、R10およびR12はその分子内にエポキシ基またはグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基またはフェニル基である。)
ここで、式2の化合物は、かかる単量体の2種以上であっても良い。また、式2の化合物は、かかる単量体の1種または2種以上を縮合した、2分子以上の縮合体であっても良い。ただし、式1に示す化合物は除く。
本発明では、式1の化合物に加え、上記式2の化合物を含むコート剤を使用することにより、これを使用せずに製造したストランドに比べて、式2の化合物が有する有機性などの性質を新たに付与できる。このため、本発明のストランドを用いて、ロープやベルトを作成すると、撥水性、耐摩耗性、耐フィブリル性などを発現させる効果を付与することができる。かかる目的で加えられる式2の化合物は、4個の置換基のうち、3個が加水分解可能な置換基であり、残り1個が加水分解不可能な置換基から成り立つ化合物である。
式2において、R5,R6およびR7は、それぞれ同一または異なっていても良い、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基であり、R8は、その分子内にエポキシ基またはグリシジル基を含んでいても良い、炭素数が1〜10のアルキル基、アルケニル基またはフェニル基である。
式2で示される化合物としては、具体的に、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シランなどの単量体や、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シランなどの2〜10分子程度の縮合体を例示できる。
また、本発明では、式1の化合物を含むコート剤に加え、また、式1の化合物および式2の化合物の両方を含むコート剤に加え、さらに、上記式3の化合物を添加したコート剤を使用することによって、これを使用せずに製造したストランドに比べて、式3の化合物が有する有機性などの性質を新たに付与したり、または、有機性などの性質を増加することが可能である。このため、本発明のストランドを用いて、ロープやベルトを作成すると、撥水性、耐摩耗性、耐フィブリル性などを発現させる効果を付与することができる。
式3の化合物は、4個の置換基のうち、2個が加水分解可能な置換基であり、他の2個が加水分解不可能な置換基から成り立つ化合物である。式3において、R9およびR11は、それぞれ同一または異なっていても良い、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基またはアルケニル基であり、R10およびR12は、その分子内にエポキシ基またはグリシジル基を含んでいても良い、炭素数が1〜10のアルキル基、アルケニル基またはフェニル基である。
式3で示される化合物としては、具体的に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどや、これらの2〜10分子程度の縮合体を例示できる。なお、式3の化合物は、かかる単量体の2種以上であっても良く、また2分子以上の縮合体を使用する場合にも、かかる単量体の2種以上の縮合体であっても良い。
上記したような、式2の化合物または式3の化合物のいずれかをコート剤に添加することで、繊維のコート膜に対し、特にゴムとの接着性を増加させることができるが、式2および式3の化合物の両者をコート剤に添加すれば、コート膜の有機性をさらに向上させ、結果的にコート素材の撥水性などをさらに向上できる。換言すれば、撥水性の向上により、低吸湿性を実現することができる。
式2の化合物および/または式3の化合物は、コート剤の主成分である、上記式1で示される化合物に対し、一般的には総量が50重量%を超えない範囲にてコート剤に添加することが好ましい。両者(化合物2〜3)の合計添加量がこの範囲を超えると、コート剤を繊維に塗布したときに、主成分である式1の化合物との間でうまく結合せず、コート膜の強度が不十分となる可能性があるからである。したがって、実際に式2の化合物および/または式3の化合物を添加する場合には、添加量に依存してコート膜の強度が低下することを想定し、本明細書の実施例を参照しつつ、予備的な製造試験を行うなどして、目的を達成し得る添加量の範囲を明らかにしたうえで、添加を最小限に抑えるようにすることが好ましい。
なお、式2の化合物および式3の化合物における加水分解不可能な置換基(R8、R10、R12)の第一義的な役割は、コート膜に柔軟性を与えることにあるが、これらはアルキル基などの有機性置換であるため、同時にコート膜に撥水性を付与する役割をも果たす。一般に、有機性置換基は、炭素数が増えるほど、有機性、すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくなると、立体障害によりコート膜内に歪が生じて膜の強度低下の原因となる。したがって、有機性置換基の炭素数や式2および/または式3の化合物(縮合体を含む)を構成する各単量体の種類・量は、本明細書の実施例などを参照しつつ、予備的な製造試験を行うなどして決定することが好ましい。
ところで、耐熱性があり強力の強いシロキサン結合は、一方でいわゆる「硬い」結合でもある。しかしながら、繊維は、通常、柔軟性を有する必要があり、コート素材には、時としてその素材である繊維と同様な柔軟性が求められる。
従来から一般に用いられているゾル・ゲルコート剤は、出発原料にテトラアルコキシシラン[Si(OR)4]やそのオリゴマー体が用いられる。このものを完全に加水分解反応[下記反応式1における(1)〜(3)]させてコート膜を形成させると、ケイ素原子の4個の結合全てが硬いシロキサン結合のネットワークを形成し、セラミックと同様に硬いが、しかし、柔軟性に欠けた脆い膜となってしまうため、繊維などの柔軟性を生かした膜材を製造することは事実上不可能であった。
しかしながら、本発明は、ケイ素原子の4個の置換基のうち、1個が加水分解されない式1の化合物をコート剤の主成分に用いることで、この課題を解決したものである。また、本発明では、加水分解されない置換基を1個または2個有する式2の化合物と式3の化合物をコート剤に添加することにより、さらに柔軟性を増すことが可能となる。
以上の式1で示される化合物(化合物2〜3を含む、以下同じ)を硬化・固化させる触媒としては、一般に用いられている触媒が特別の制限なしに使用可能である。例えば、酸触媒であれば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸または酢酸などを例示できる。塩基触媒であれば、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなどが例示できる。これら通常の触媒を用いる場合は、式1の化合物(化合物2〜3を含む)を硬化・固化させるため、反応水を共存させる。
本発明にて塗布するコート剤は、このように、式1の化合物(化合物2〜3を含む)、触媒および必要に応じて反応水を含むものである。コート剤は、通常、使用する場合には特に問題は生じないが、これを長期保存する場合、反応水によってコート剤がゲル化し易い、という課題を生じる。これを解決するためには、上記したような通常の触媒ではなく、触媒として加水分解可能な有機金属化合物を用いると良い。加水分解可能な有機金属化合物を使用すれば、反応水を共存させる必要はなくなり、長期保存安定性のため好ましくなる。
有機金属化合物を式1の化合物(化合物2〜3を含む)と混合してコート剤とし、これを繊維に塗布すると、繊維上の水分または空気中の水分(湿気)を吸い、有機金属化合物が自ら加水分解するが、このとき、式1の化合物とネットワークを形成し、式1の化合物(化合物2〜3を含む)が硬化・固化する。そのため、平衡水分率の比較的高い芳香族ポリアミド繊維に処理を行なう際には、繊維の水分で有機金属化合物の加水分解を起こし、式1の化合物を硬化・固化するため、有機金属化合物が加水分解の際に必要な水分がポリアミド繊維から取り出されるとともに、繊維表面全体が均一に撥水性のネットワークを形成し、それ以上、吸水・吸湿することがなくなる。このようにして、繊維の低水分率化が可能となる。
本発明において好ましく用いられる有機金属化合物としては、例えばチタン、ジルコニウム、アルミニウムまたはスズを含むものを例示できる。より具体的には、テトラプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラプロポキシジルコネート、テトラブトキシジルコネート、トリプロポキシアルミネート、アルミニウムアセチルアセトナート、ジブチルスズジアセテートまたはジブチルスズジラウレートなどを例示できる。
以上の触媒(有機金属化合物)の使用量は、式1で表される化合物(化合物2〜3を含む)100重量部に対し、通常、1〜30重量部、好ましくは4〜10重量部である。
また、本発明において、塗布するコート剤には、式1の化合物(化合物2〜3を含む)と触媒を均一に混合させるため、有機溶剤を添加することができる。この目的で使用される有機溶剤としては、アルコール類を例示できる。より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールまたはヘキサノールなどを例示できる。また、その添加量を制御することによって、コート剤の粘度や乾燥速度の調整も可能である。
このような調整の目的では、特に、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類、メトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノールまたはブトキシプロパノールなどのセルソルブ類などの粘度や沸点の高い有機溶剤を単独または2種以上混合して使用することが好ましい。むろん、上記粘度や沸点の高い有機溶媒の1種以上と共に、上記アルコール類を同ときに添加しても良い。なお、コート剤の粘度や乾燥速度の調整を目的とする場合は、上記有機溶媒のみならず、界面活性剤によっても同様の効果を達成することができる。
特に、上記したグリコール類やセルソルブ類は、その分子内に水酸基を有しているため、式1の化合物(化合物2〜3を含む)の縮合反応によって形成されるシロキサン結合のネットワーク内に導入されることがある。グリコール類やセルソルブ類は有機性を有しているため、これが導入されることにより、得られるコート膜の有機性が増す、すなわちコートされた補強繊維の有機が増すことになる。また、コート膜の有機性が増すことにより、マトリックス樹脂との親和性が向上し、接着力が向上する傾向がみられる。
また、本発明のコート剤(後記する添加剤を含む)の固形分濃度は、通常、10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%である。
なお、本発明のコート剤には、顔料、難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、硬化剤、消泡剤、防カビ剤などの添加剤を配合することができる。
これらの添加剤は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。
本発明のコート剤のストランドへの塗布方法は、特に制限されないが、例えば、コート剤にストランドを浸漬したり、コート剤をストランドに塗りつけたり、あるいはコート剤をストランドに吹き付けたりすることにより行い得る。
また、ストランドから構成されるロープやベルトに対して、上記と同様の塗布方法でコート剤を付与することもできる。
なお、コート剤を塗布後、乾燥・熱処理を施し、該コート剤を硬化・固化させる。
この硬化・固化のための乾燥・熱処理条件は、通常、温度30〜250℃、好ましくは120〜230℃、時間1〜30分、好ましくは1〜10分である。
ストランドに対する本発明のコート剤の付与量は、固形分換算で、通常、0.2〜10重量%、好ましくは1〜4重量%である。
上記のように、ストランドに、コート剤を塗布すると、式1の化合物が加水分解し、下記反応式1の(1)〜(3)に示した反応を経て、シロキサン結合(Si-O-Si)が生成する。
反応式1;
(1)Si−OR+H2O → Si−OH+ROH
(2)Si−OH+HO−Si → Si−O−Si+H2
(3)Si−OH+RO−Si → Si−O−Si+ROH
このようにして生成したシロキサン結合(Si-O-Si)内のSi-Oの結合エネルギーは106kcal/molである。一方、有機化合物の典型的な結合であるC-C結合の結合エネルギーは82.6kcal/molである。したがって、式1の化合物が加水分解することによって生成する、シロキサン結合を有するガラス質のコート膜は、有機化合物に比べ、はるかに熱的安定な結合を有していることが分かる。この熱的安定な結合により、本発明により形成されるコート膜は耐熱性に優れたものとなり、その結果、耐熱性、耐摩耗性、耐フィブリル性に優れたストランドの製造も可能となる。
また、本発明のコート剤が、触媒として上記した有機金属化合物(例えばテトラブトキシチタニウムなど)を含む場合は、コート剤中に反応水が含まれなくとも、上記の反応式1における(1)〜(3)の反応が進行するのであるが、この場合の反応は、詳しくは下記反応式2における(4)および(5)のようになる。
反応式2;
(4)Ti−OR+H2O → Ti−OH+ROH
(5)Ti−OH+RO−Si → Ti−O−Si+ROH
上記のように、Ti-O結合がコート膜内に導入されることにより、シロキサン結合のみのコート膜に比べ、さらに耐熱性および強力を向上することができる。このように、触媒として有機金属化合物を使用すると、反応水を共存させる必要が無いばかりでなく、コート膜の耐熱性・強力をさらに向上させ、そして結果的には得られるストランドの接着力、耐熱接着力をよりいっそう向上させることできるのである。
ストランドに、式1で示される化合物を主成分とするシラン系コート剤を塗布する本発明の好ましい例示的実施形態を、ストランドから構成されるロープ1の断面図である図1(a)を参照して以下に説明する。
6本のコードを撚り合わせてなるコア・ストランド2の周りには、同一ストランドが6本、荷重支持ストランドとして螺旋状に撚られている。また、それぞれのストランドには、ポリウレタン系樹脂を主成分とする保護剤からなる保護層6を形成している。図示したロープ1に使用されるコア・ストランドおよび荷重支持ストランドは、芳香族ポリアミド繊維の個々のコードから撚られている。
ストランド3,4などの各ストランドには、保護剤としてのポリウレタン系樹脂からなる保護層6、さらに本発明のシラン系コート剤からなるコート層7が順次、被覆されていて、本質的にポリウレタン系樹脂およびシラン系コート剤からなるマトリックスの中へ螺旋状に接合された芳香族ポリアミド・ストランドから構成される。撚り合わせるために、芳香族ポリアミド・ストランドは、上記したように、保護剤、例えばポリウレタン系樹脂の溶液で処理される。各ストランドにおけるシラン系コート剤およびポリウレタン系樹脂の割合により、ロープ1の逆曲げ応力による疲労強度が決定される。ポリウレタン系樹脂の割合が高くなれば、それだけ逆曲げ性能も高くなる。ポリウレタン系樹脂の割合が増加するにつれて、ロープ1全体の占有率が減少し、それと共にロープ1の荷重支持能力および伸びも減少する。所望のロープ特性により、ストランドの含浸用シラン系コート剤およびポリウレタン系樹脂の割合は、ロープを構成する合成繊維に対し、例えば10から60%の間に定めることができる。
例示した実施形態では、芳香族ポリアミド繊維からなるストランドは、保護剤の含浸によってコード5を構成するフィラメントは相互結合され接合される。このようにして、含浸により個々のフィラメントの周りに薄い保護層6が形成される。コード5は、ストランドへと螺旋状に撚られる。実際の実施形態では、コード5は図示されたような円形ではなく、隣接したコードおよびストランドの面に適合した形となる。ここまでは、例示した実施形態で使用されるすべてのストランドの構造は概して同一であるが、メートル当たりの撚り合わせ数は、ストランドの層、およびストランドの直径によって、異なることがある。
ポリウレタン系樹脂に加えて、添加物としてUV安定剤、好ましくはシリコン結晶と、酸化還元防止剤とを含む。また、コート層7に、好ましくは芳香族ポリアミドの短繊維を加えると、コート層7の摩耗耐性が改善される。
ここで、ストランド3の周りのコート層7の厚さ8は、0.2mmである。しかし、本発明に従えば、それは所望の保護効果により0.1から1mmの間で選択することができる。コート層7は、保護層6のストランド3との間の摩耗保護の働きをすると共に、コート層6のすべてのストランド3と共に接合され、その結果安価、かつ効果的にロープ1のコーティングを形成することができる。
本発明に従えば、コート層7のコーティングで被覆されたストランド3は半完成製品として前もって製造しておくことができ、次に必要に応じて通常のロープ製造機によって処理することができるため、芳香族ポリアミド繊維ロープ1の製造コストが著しく低減される。
なお、保護層7として、含浸物質の代わりに、粘着性を有する別の液体をロープに塗布することもできる。
また、図1(b)は、本発明の繊維構造体の1種であるベルトの断面構成図である。このベルトは、芳香族ポリアミド繊維(フィラメント)から構成されるストランド5を経糸および緯糸に用いて織成されており、さらに、上記のような保護層6およびコート層7により被覆されている。
それ以外の作用・効果は、上記図1(a)のロープと同様であるので省略する。
本発明の繊維構造体は、ロープやベルトとして有用である。例えば、ロープとしては、純粋に吊り下げ用ロープとして使用される場合のほかに、広範囲のマテリアルハンドリング機器に使用することができる。その例は、エレベータ、鉱山の巻き揚げ機、ビルディングクレーン、屋内クレーン、船舶クレーン、空中ケーブル、およびスキーリフト、ならびににエスカレータの牽引手段である。駆動力は、牽引綱車又はケーペ綱車上の摩擦、または円形ドラムに巻いたロープによって伝達される。
また、ベルトとしては、外ケーブル工法において、コンクリート構造物にプレストレスを導入するためのベルトなどが挙げられる。
(a)は6本のストランドから構成されたロープの断面構成図であり、(b)はストランドを用いて織成されたベルトの断面構成図である。
符号の説明
1 ロープまたはベルト
2 コア・ストランド
3,4 ストランド
5 芳香族ポリアミド繊維(フィラメント)からなるストランド
6 保護層
7 コート層
8 厚さ

Claims (7)

  1. 合成繊維からなる複数のストランドによって構成された繊維構造体において、該ストランドの最外層を構成する合成繊維表面には、式1で示される化合物を主成分とするシラン系コート剤が塗布されており、かつ該シラン系コート剤が触媒の作用で硬化・固化されていることを特徴とする繊維構造体。
    Figure 2005220451
    (式1において、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ同一または異なり、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であり、nは2〜10の数を示す。)
  2. 合成繊維が芳香族ポリアミド繊維である請求項1記載の繊維構造体。
  3. 合成繊維表面が、シラン系コート剤の塗布に先立ち、あらかじめポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、メタクリル酸系樹脂の群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を主成分とする保護層により被覆されている請求項1または2記載の繊維構造体。
  4. 保護層に、さらにUV安定剤および耐摩耗剤を含む請求項3記載の繊維構造体。
  5. ロープである請求項1から4いずれかに記載の繊維構造体。
  6. ロープが合成繊維からなるコア・ストランドと、該コア・ストランド上に層として撚られた合成繊維からなる複数本の荷重支持ストランドから構成されており、かつシラン系コーティング剤が該荷重支持ストランドの最外層に塗布されている請求項5に記載の繊維構造体。
  7. ベルトである請求項1から4いずれかに記載の繊維構造体。

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