JP2005220143A - ドープ及びその製造方法、ポリマーフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドープ温度を制御する装置における昇温と降温とを効率的に行う。また、ドープの圧力制御に用いるバルブの詰まりを防止する。
【解決手段】 セルロースアシレートと溶媒とが混合された調製ドープ36を加熱器により所定温度にまで加熱した後、保温器16によりその温度を所定時間維持する。そして冷却器により冷却してから複数の濾過器の少なくともいずれかひとつにより濾過する。加熱器から冷却器までの調製ドープ36は、冷却器の下流のバルブの開度調製により圧力を制御される。保温器16は静止型混合器で、上記温度維持時の伝熱媒体46を加熱空気とする。そして、保温器16を停止するときには伝熱媒体46を水に切り替える。以上により、昇温された保温器16は、簡便かつ迅速に昇温または冷却されるので、稼働停止に要する時間も短縮される。またバルブV3の詰まりが抑制される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ドープの製造方法、特に液晶表示装置等の光学用途に用いるポリマーフィルムを製膜するためのドープの製造方法に関する。本発明は、さらに、その製造方法により製造されるドープとポリマーフィルムに関するものである。
光学分野に使用されるポリマーフィルムは、溶融製膜方法あるいは溶液製膜方法により製造されている。溶融製膜方法は、粉体状あるいはペレット状のポリマーを加熱することにより溶融し、これをダイから薄膜として押し出して冷却する方法である。一方、溶液製膜方法は、ポリマーを溶媒と混合してドープとし、このドープをダイから流延支持体へ流延し、自己支持性をもったところで流延膜を剥ぎ取って、これを乾燥工程で乾燥させる方法である。この流延支持体は、連続して回転走行するドラムあるいはバンドとされている。
光学用ポリマーフィルムのポリマーとしては、様々なものが利用されている。中でも、セルロースアシレートフィルムは、透明性と適度な透湿性とを有し、機械的強度が大きく、かつ、寸法安定性の湿度依存性及び温度依存性が低いことから、広く用いられているもののひとつである。そして、セルロースアシレートを製膜する場合には、溶液製膜方法が適用されることが多い。
溶液製膜方法のドープの調製においては、ポリマーや添加剤を溶媒に単に攪拌混合しただけであると、不純物やゲル状物が、完全には溶解しないままドープ中に混在している。したがって、この状態のドープを使用して製膜すると、これらの未溶解物がフィルムの中に異物として混入し、フィルムの面状故障等を引き起こする。その結果、フィルムは、商品価値が下がったり、あるいは使用に耐えないものになってしまうこともある。そこで、ドープの調製をできるだけ短時間で行いながら、未溶解物を除去するために、流延前のドープを濾過することが一般的となっている。
しかし、濾過により、フィルムに含まれるはずの成分が、不純物ともに未溶解物として濾別される。したがって、溶解状態の差異によって製造ロット毎の濃度が異なってしまうことがある。濃度が異なるドープを連続的に使用して得られるフィルムは、機械強度や粘弾性、複屈折率等の光学的性質等のばらつきを有することになり、製品としての性状が変化してしまう。
また、ドープに、未溶解物を含む上記異物が多く含まれるほど、あるいは濾過精度を高めるほど、濾過するために用いるフィルタの孔閉塞速度がはやくなり、フィルタの寿命が短くなる。孔が閉塞されたフィルタは別のフィルタと交換されるが、交換に際してはラインを一時的に停止することもあり、製造ロスと見なされる。したがって、ドープの濃度のばらつきのみならず、このフィルタ交換による製造ロスの点からも、ドープ中に未溶解物を可能な限り残さずに、しかも短時間で溶解もしくは均一細粒分散することが好ましいとされる。
そこで、ドープ調製においては、ポリマー等の固形分と溶媒との混合物を、加圧した状態で、常圧での溶媒の沸点以上に加熱することにより、溶解を促進させる方法がとられることがある。加圧下での昇温とするために、圧力損失を加圧源として混合物を加圧しながら、熱交換器で加熱する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。この方法では、特に、伝熱の観点から静止型混合器を用いることが有効である。
静止型混合器は、ジャケット付きの筒状の容器に物質を入れて、この物質の流れを容器内で複数に分割し、分割した流れの向きを、それぞれ容器内で回転させ、この分割と回転とを繰り返すことにより混合するものである。静止型混合器として代表的なものには、スタチックミキサーTM(ケニックス社製)がある。スタチックミキサーでは、物質の流れを二つに分割して右回りに180°回転させる右回りエレメントと、物質の流れを二つに分割して左回りに180°回転させる左回りエレメントとが、容器内で交互に90°ずらして配列され、備えられているている。このような静止型混合器に、ドープとされる混合物が入れられると、混合物は連続的に攪拌される。
また、静止型混合器に、ジャケットを備えて、このジャケット部を伝熱媒体により加熱することにより、混合器の容器内の混合物を昇温させることができる。その際、混合物は、容器内で攪拌されているので、熱が混合物全体に伝わりやすく、混合物は均一に加熱される。これにより、静止型混合器に導入された混合物は、圧力損失により加圧されるとともに、ジャケットの加熱により昇温されて、溶解が促進される。このように、静止型混合器を用いてドープを加熱し、固形分の溶解性を向上させる方法としては、静止型混合器に備えたジャケット内部にドープの加熱目標温度よりも40℃以上高い温度の伝熱媒体を用い、静止型混合器の壁面剪断速度を2s-1以上に制御するという提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−324774号公報(第7頁,第1図) 特許第3108023号明細書(第5−6頁) 特開2003−171471号公報(第5−6頁,第1図)
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、静止型混合器による混合物の加温については記載されているが、その有利な運転条件については言及されていない。そして、特許文献3のように配管や静止型混合器にジャケットを備えてドープを加熱する方法においては、非常時等に装置を停止する場合には、加熱により高温となっている装置を冷却するために多大な時間を要する。例えば、加熱のための伝熱媒体をオイルとすると、その熱伝導率が例えば水よりも小さいために、温度を変化させるための効率性に劣るし、また水蒸気を伝熱媒体とする場合には、その上限温度が概ね95℃程度であり、加熱温度に限界があるという問題がある。このような理由により、従来の方法によると、加熱の上限温度に制約があったり装置の停止に長い時間がかかり、作業性や効率性等の面で問題がある。
また、ドープを加熱する場合には、ドープを加圧下で沸点以上に昇温させることがあり、その圧力制御は加熱工程の下流に備えられたバルブ等によりなされる。この場合には、加熱により、溶媒が蒸発して固形分が乾燥して析出することがある。さらに、ドープを加熱した場合には、後に続く工程のためにドープを冷却する必要がある。加熱されたドープが冷却されると、ドープ中にゲル状物が発生することがある。これらの析出物やゲル状物は、前記バルブ等を詰まらせてしまい、加熱時の圧力制御が不能になる等の製造ロスとなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、溶液製膜に用いるドープを調製方法として、ドープの原料である固形分の溶媒に対する溶解性を向上させるために、ドープ温度を制御する装置の昇温及び降温を効率的に行うことを目的とする。また、ドープを加圧する場合に、その圧力制御に用いるバルブの詰まりを防止することを目的とする。さらに、このドープの調製方法により得られるドープを用いることにより製造されたポリマーフィルムを提供することを目的とする。
本発明では、ポリマーと溶媒とを混合した混合液を、加圧手段により加圧し、加熱手段により前記溶媒の常圧における沸点以上の温度にまで加熱し、この温度を温度維持手段により所定時間維持した後、冷却手段により冷却するドープの製造方法において、前記温度維持手段が伝熱媒体を備え、この伝熱媒体が加熱空気であることを特徴として構成されている。
さらに、ドープの製造を停止する場合には、前記伝熱媒体を水に切り替えることが好ましい。前記温度維持手段がジャケットを備える容器であり、この容器とジャケットとの間に伝熱媒体を介在させることが好ましく、この容器は静止型混合器であることが好ましい。前記混合物に含まれる未溶解物または析出物を除去するための除去手段により、前記加熱手段の下流、かつ、前記加圧手段の上流で、前記未溶解物または析出物を除去することがより好ましい。そして、前記除去手段は、前記温度維持手段または前記冷却制御手段の下流に備えることがさらに好ましい。
また、本発明は、ポリマーと溶媒とを混合した混合液を、加圧手段により加圧し、加熱手段により前記溶媒の常圧における沸点以上の温度にまで加熱して、前記混合液から溶媒の一部を分離する濃縮手段により前記混合液のポリマー濃度を高めるドープの製造方法に関して、前記混合物に含まれる未溶解物または析出物を除去するための除去手段により、前記加熱手段の下流、かつ、前記加圧手段の上流で、前記未溶解物または析出物を除去することを特徴とする製造方法を含んで構成されている。
さらに、複数の前記除去手段を、前記混合物の送液方向に関して並列に設け、使用する除去手段を切り替えることにより、前記未溶解物または析出物を連続して除去することが好ましい。そして、前記ポリマーがセルロースアシレートであることが特に好ましい。
また、本発明は、上記の製造方法により製造されたことを特徴とするドープと、そのドープを溶液製膜して製造されるポリマーフィルムとを含んで構成される。
本発明により、ドープを調製する際に、ドープの原料である固形分の溶媒に対する溶解性を向上させるために、ドープ温度を制御する装置の昇温及び降温を効率的に行うことができる。また、ドープを加圧する場合に、その圧力制御に用いるバルブの詰まりを防止することができる。さらに、このドープを用いることにより、良好な光学特性を有するポリマーフィルムと、このポリマーフィルムを使用し、良好な光学特性を得ることができる。
本発明について、図を参照しながら詳細に説明する。まず、図1及び図2を参照しながら、本発明のドープの製造方法を説明する。図1は、本発明の実施形態としてのドープ製造工程の一部を示す概略図である。また、図2は、ドープ製造工程における保温器の断面を示す概略図である。ドープ調製装置10は、第1及び第2のストックタンク11,12と、加熱器15と、保温器16と、冷却器17、第1及び第2の濾過器21,22とを有している。さらに、ドープ調製装置10は、ポンプP1と、第1,第2の圧力計25,26と、第1〜第3のバルブV1〜V3とを備えており、加熱器15と保温器と冷却機17とのそれぞれ下流側の配管には第1〜第3の温度センサ31〜33が備えられている。
第1ストックタンク11には、ポリマー等の固形分と溶媒との混合物が貯留され、これを以降の説明において調製ドープと称する。調製ドープは、ポンプP1の駆動により、加熱器15、保温器16,冷却器17、第3バルブV3を順に通過して、第2ストックタンク12へ送られる。
また、冷却器17と第3バルブV3との間には、第1及び第2濾過器21,22が並列に設けられている。そして、第1と第2の濾過器21,22のそれぞれの上流側には、第1バルブV1と第2バルブV2とが備えられており、これらのバルブV1,V2の上流側には圧力計26が備えられている。ポンプP1による送液量は、ポンプP1と加熱器15との間に設けられた圧力計25と、第1及び第2バルブV1,V2と冷却器17との間に設けられた圧力計26とによる計測値に応じて決められる。
本実施例においては、加熱器15と、保温器16と、冷却器17とは、いずれも、ジャケットを備えたスタチックミキサであり、このスタチックミキサは静止型混合器として一般的なものである。ここでは、図2を用いて保温器16に関し説明するものとし、保温器16と同じ構造となっている加熱器15及び冷却器17については図示と重複する説明とを略す。図2は保温器16の一部断面を含む概略図である。図2においては、調製ドープを符号36、送液管を符号37で示す。図2に示すように、保温器16は、送液管37に接続されており、円筒状の容器41と、この容器41の外周面を覆うように設けられたジャケット42とを有している。容器41は、調製ドープ36が流入するための流入口41aと、調製ドープ36がここから流出するための流出口41bとを有している。また、容器41の内部には、長方形の板を180°ねじって形成されたエレメント43が、交互に連続して配置されている。エレメント43は、ねじられた方向が互いに異なる右エレメント43aと、左エレメント43bであって、これらは、90°ずつずれた状態で容器の長手方向に配置されている。
ジャケット42には、伝熱媒体46が、ジャケット42と容器41との間に入るための入り口42aと、ジャケット42と容器41との間を滞留した後ここから出るための出口42bとを有している。
また、容器41の流出口41bの近傍であって、ジャケット42と容器41との間には、温度センサ32が備えられている。さらに、保温器16は、伝熱媒体46の温度を制御するための温度コントローラ48を備えている。なお、コントロールバルブ51が伝熱媒体46の供給ライン52に備えられており、このコントロールバルブ51の開度調整により、ジャケット42の内部へ送る伝熱媒体46の量及び速度を制御する。
なお、図示は略すが、本発明の別の実施形態として、ジャケット42を備えない例えば配管構造や容器状の保温器を、図2に示した保温器16に代えて用いることもある。この場合には、所定の温度に制御された伝熱媒体を前記配管や容器等の外面に吹き付ける吹き付け手段を設けることが好ましい。この吹き付け手段としては、例えば、保温器16には加熱空気を伝熱媒体とする送風機や、冷却器17には水を伝熱媒体とするシャワーノズル等がある。そしてこの場合にも、伝熱媒体の温度を制御するためのコントローラを設けている。そして、必要に応じて、加熱器15と冷却器17もこれと同様の構造としてもよい。
前述のように、第1ストックタンク11の調製ドープ36は、ポンプP1により加圧されて加熱器15へ送られる。調製ドープ36に含まれるポリマー等の固形分と溶媒とは、第1ストックタンク11にそれぞれ供給され、ここで混合されて調製ドープ36とされてもよいし、予め別の容器等で混合されて、調製ドープ36として第1ストックタンク11に供給されてもよい。ポンプP1は、ギアポンプである。ただし、調製ドープ36を送液することができるものであればこれに限定されず、吐出脈動が少なく送液定量性のよいものであることが好ましい。これにより、高粘度の液体である調製ドープ36を定量送液することができる。
ポンプP1は、第3バルブV3とともに制御されて、加熱器15と保温器16と冷却器17とにおける液圧を制御する。加熱器15保温器16と冷却器17とにおける液圧は、第2圧力計26で測定する。この液圧の制御は、温度に応じて、第1調製ドープを沸騰させないように行うが、主たる方法としては、以下の3つを挙げることができる。ひとつは、冷却器17と第3バルブV3との間を所定の圧力に制御する方法、ふたつめは、第1調製ドープが沸騰しない圧力を確保するための条件を予め探索した上で、その条件をみたすように、ポンプP1と加熱器15との間の圧力を制御する方法である。また、3つめは、加熱器15の下流側と冷却器17の下流側とにそれぞれ圧力調整用のバルブを設けて、それらのバルブを独立して開度調整する方法である。ただし、調製ドープ36の圧力の制御方法はこれらに限定されるものではない。
加熱器15は、前述のとおり、図2に示すような保温器16と基本的には同じ構造である。伝熱媒体としては、蒸気を使用している。伝熱媒体は、ジャケットの入口から入り、ジャケットと容器との間を滞留しながら、熱交換により、容器と容器内の調製ドープ36とを所定の温度(この所定温度をT℃とする)にまで加熱する。調製ドープ36を加熱することにより温度が下がった伝熱媒体は、温度センサに温度を検知されて、その結果が温度コントローラへ伝えられる。温度コントローラは、温度センサからの検知結果に基づき、伝熱媒体の温度を制御する。この伝熱媒体を連続的にジャケット内へ送ることにより、調製ドープ36の温度が制御される。
この加熱器15では、右及び左エレメントによって調製ドープ36を2分割する分割作用と、右及び左エレメントの各ねじれ面に沿って容器の中央部と内壁近傍部とで転換される転換作用と、エレメント毎に回転方向が変化する反転作用とが、調製ドープ36に作用する。これにより、調製ドープ36は攪拌混合され、効率的かつ効果的に加熱され、未溶解物の溶解が図られる。
伝熱媒体は、調製ドープ36の加熱目標温度よりも、高い温度に制御される。好ましくは、前記加熱目標温度よりも40℃以上高い温度とする。この加熱目標温度とは、前記の所定温度T(℃)である。これにより、調製ドープ36は、加熱目標温度、つまりT(℃)に達して、ポリマー等の固形成分の溶解が促進される。ここで、調製ドープ36の温度とは、加熱器15の出口、つまり容器の流出口における調製ドープ36の温度であり、下流側に備えられた温度センサ31により検知された温度とする。なお、伝熱媒体としての蒸気は、高圧蒸気であって、これにより、設備や供給量の制御が簡便となるとともに、凝縮伝熱によって加熱側の熱伝達抵抗を極めて低くすることができるので好ましい。
上記の所定温度T(℃)は、常温における沸点以上の温度よりも高い温度とされるが、調製ドープ36は、容器の内部では、圧力損失により加圧された状態となっているために、調製ドープ36は、沸点以上の温度になっても沸騰しない。ここで、沸点とは、調製ドープ36の溶媒の沸点を意味し、溶媒が混合物である場合には、その成分のうち最も低い沸点を有する物質の常圧における沸点である。
伝熱媒体としては、調製ドープ36をT(℃)にまで昇温させることができるものであれば、気体であってもよいし液体であってもよい。例えば、水やオイルを加熱して用いてもよいし、蒸気や加熱された空気等を用いてもよい。
加熱器15で加熱された調製ドープ36は、図2に示すような保温器16に送られる。調製ドープ36が保温器16を通過しているときには、伝熱媒体46は加熱空気である。伝熱媒体46としての加熱空気は、送風機(図示せず)からの風として、送風ダクト(図示せず)を介してジャケット42の入口42aから入る。そして、伝熱媒体46は、ジャケット42と容器41との間を滞留しながら、熱交換により、容器41と容器内の調製ドープ36とを加熱する。調製ドープの温度は、温度センサ32により検知される。調製ドープ36を加熱することにより温度が下がった伝熱媒体46は、温度センサ47に温度を検知されて、その結果が温度コントローラ48へ伝えられる。温度コントローラ48は、温度センサ47からの検知結果に基づき、伝熱媒体46の温度を制御する。この伝熱媒体46を連続的、あるいは間欠的にジャケット42の内部へ送ることにより、調製ドープ36の温度が制御される。
この保温器16では、加熱器15と同様に、右及び左エレメント43a,43bによって調製ドープ36を2分割する分割作用と、右及び左エレメント43a,43bの各ねじれ面に沿って容器の中央部と内壁近傍部とで転換される転換作用と、エレメント43毎に回転方向が変化する反転作用とが、調製ドープ36に作用する。これにより、調製ドープ36は攪拌混合され、効率的かつ効果的に伝熱媒体からの熱が伝わる。
伝熱媒体46の温度は、調製ドープ36の維持目標温度以上となるように制御される。好ましくは、維持目標温度よりも30℃以上高い温度とする。維持目標温度とは、加熱器15における前記加熱目標温度に等しく、したがって、前記T(℃)に等しい。これにより、調製ドープ36は、所定温度T(℃)を所定時間維持するので、ポリマー等の固形成分の溶解が促進される。ただし、所定時間内に溶解が十分なされる場合には、維持目標温度をT(℃)よりも低くしてもよい。例えば、容器41の内部において、調製ドープ36に対する圧力を高めることができる場合や、保温器16における調製ドープ36の滞留時間を長くすることができる場合や、溶媒量に対して未溶解物量が少ない場合等には、維持目標温度を所定温度T(℃)より低くすることができる。
また、調製ドープ36は、加熱器15における状態と同様に、容器41の内部では、圧力損失により加圧された状態となっている。これにより、調製ドープ36は、沸点以上の温度であっても沸騰しない。
保温器16における調製ドープ36の平均滞留時間は3分以上20分以下が好ましく、5分以上15以下がより好ましい。3分より短いと、十分な保温効果が得られず、溶解を促進することができない。また、過度に長い時間であると、調製ドープ36に含まれる物質のいずれかが変質等してしまい、フィルムとしたときのその性状を変化させてしまう場合がある。ただし、上記の好ましい平均滞留時間は、用いるポリマーや溶媒の種類と、容器41の内部圧力等に応じて変化する値である。いずれにしても、加熱器15により加熱された調製ドープ36の温度T(℃)を保温器16によって所定時間維持することにより、加熱器15を経ても溶解せずに残った物質の溶解を促進することができる。
調製ドープ36の保温を終了するとき、例えば、ドープ調製装置10を停止するとき等では、停止前に保温器16を冷却する。冷却の際には、伝熱媒体46を、冷水や不凍液等に切り替える。これらの冷媒が、ジャケット42と容器41の間を通過することにより、熱交換され、保温器16が冷却される。調製ドープ36は、室温程度に冷却されることが好ましいが、ドープ調製装置10を停止するために、部材の割れや変形、液の突沸、作業性等の危険性を回避することができるに十分な温度にまで冷却されればよい。
温度維持のための伝熱媒体46としては、調製ドープ36を所定温度T(℃)に維持させることのみが目的であれば、加熱器15において例示した各種伝熱媒体を用いることができる。しかし、調製ドープ36の高温維持した後で、上記のように冷却の必要性がある場合には、本発明のように加熱空気を用いることが好ましい。そして、本実施形態のように、保温器16としてジャケット付きのスタチックミキサを使用した場合には、加熱空気は、風としてジャケット42内に送り込まれることが好ましい。加熱空気を熱媒として用いることにより、非常事態の発生時等で製造ラインを停止するときに、冷却の際の伝熱媒体46である水等に置換することが簡便になるので、容易かつ迅速に保温器16を冷却することができる。なお、加熱器15が、調製ドープ36を長時間滞留させて保温の機能を有する場合等には、加熱器15の伝熱媒体も、保温器16と同様に加熱空気としてもよい。
加熱器15と保温器16とは、上記の混合器に限定されるものではなく、上記に例示されたような各種伝熱媒体を使用して調製ドープ36の温度を制御するものであればよい。そして、保温器15については、さらに、伝熱媒体46を水や不凍液等の冷媒に切り替えて使用することができるものが好ましい。本実施形態のジャケット42が備えられた静止型混合器の代わりとしては、例えば、ジャケットが備えられた配管としてもよいし、箱状物の中に加熱空気を入れて、その中に調製ドープ36が送られる配管を通すものであってもよい。また、本実施形態におけるジャケット42の内部や、上記箱状物の内部の加熱空気は、外部から連続的あるいは間欠的に送り込まれ、内部に所定時間滞留したあと外部へ送り出されることが好ましい。これにより、ジャケット内または箱状物内の温度制御をより効果的に行うことができる。
保温器16により、所定時間、所定の温度を維持された調製ドープ36は、流出口41bを出て、冷却器17に送られる。冷却器17は、前述のとおり、図2に示すような保温器16と基本的には同じ構造である。伝熱媒体としては、冷却水を使用している。ただし、伝熱媒体は、冷却水に限定されるものではなく、例えば不凍液等を用いることができる。伝熱媒体は、ジャケットの入口から入り、ジャケットと容器との間を滞留しながら、熱交換により、容器と容器内の調製ドープ36とを所定の温度にまで冷却する。好ましくは、常温での沸点よりも低い温度にまで調製ドープ36を冷却する。調製ドープ36を冷却することにより温度が上がった伝熱媒体は、温度センサに温度を検知されて、その結果が温度コントローラへ伝えられる。温度コントローラは、温度センサからの検知結果に基づき、伝熱媒体の温度を制御する。この伝熱媒体を連続的にジャケット内へ送ることにより、調製ドープ36の温度が制御される。
この冷却器17でも、加熱器15及び保温器16と同様に、右及び左エレメントによって調製ドープ36を2分割する分割作用と、右及び左エレメントの各ねじれ面に沿って容器の中央部と内壁近傍部とで転換される転換作用と、エレメント毎に回転方向が変化する反転作用とが、調製ドープ36に作用する。これにより、調製ドープ36は攪拌混合され、効率的かつ効果的に冷却される。
伝熱媒体は、調製ドープ36の冷却目標温度よりも、低い温度に制御される。この冷却目標温度とは、溶媒の常圧における沸点よりも低い温度である。これにより、調製ドープ36は、常圧における沸点よりも低い温度に達して、後の工程の安定化を図ることができる。例えば、第1調製ドープが、その溶媒の常圧における沸点以上の温度であると、下流側の工程において常圧とされたときや、他の物質を添加されたときに突沸を生じる等の問題が発生することがある。ここで、調製ドープ36の温度とは、保温器17の下流に備えられた温度センサ33により検知された温度である。また、調製ドープ36は、冷却器17の容器内部では、加熱器15及び保温器16と同様に、圧力損失により加圧された状態となっている。
以上のように、調製ドープ36は、加熱器15による加熱工程と、保温器16による温度維持工程と、冷却器17による冷却工程により、未溶解物の溶解が促進されて、未溶解物を減少させることができる。
冷却器17を経た調製ドープ36は、濾過器21,22のいずれか一方により濾過される。使用濾過器の切り替えは、バルブV1,V2の開閉にて行われる。また、バルブV1,V2は、その開度調整により、濾過器21,22における濾圧を制御する。この濾圧は、圧力計26にて測定される。
加熱器15において高温となった調製ドープ36は、加熱器15または保温器16で溶媒が蒸発することにより、固形分が析出することがある。この析出は、特に、加熱器15または保温器16の各容器の壁面で起こることが多い。また調製ドープ36は、冷却器17で冷却されると、ゲル状物を発生することがある。これらは、調製ドープ36に混在し、調製ドープ36を上記のように濾過器21,22で濾過することにより、濾別される。したがって、濾液がバルブV3を通過する際には、これらの析出物とゲル状物とが除去されているので、バルブV3の詰まりが防止される。この結果、バルブV3を用いて、連続して安定的な圧力調整ができる。
濾過器21,22における濾圧は、0.5MPa以上1.5MPa以下の範囲とすることが好ましい。この濾圧を0.5MPa未満とすると濾過器21,22に至る配管や濾過器21,22内部の一次側において、特にそれらとドープとの界面付近において、ドープが発泡してしまう恐れがある。一方、1.5MPaよりも大きな濾圧とすると、上記配管や濾過器21,22自体の耐圧性が懸念され、実用的には好ましくない。また、濾過器21,22のフィルタ材としては、調製ドープにより劣化しない材料とすることが好ましく、例えば、SUS製メッシュ等を用いることができる。ただし、本発明は、上記のような濾過条件とフィルタ材の種類とに依存するものではない。そして、フラッシュ蒸発方法により調製ドープを濃縮する際等において、各種の加熱手段により調製ドープを加圧下で加熱し、そのときの上限温度を溶媒の常圧での沸点以上とするときにも、その圧力制御のためのバルブと前記加熱手段との間に、本実施形態と同様に濾過器を設置して、調製ドープを濾過することが好ましい。
図3は、実施形態としての溶液製膜工程を示す概略図である。ただし、本発明は、図3に示される溶液製膜工程に限定されるものではない。溶液製膜設備60は、ドープ調製装置10と、流延装置62と、乾燥装置63及び巻き取り装置66とを有している。
ドープ調製装置10は、図1で示した上記工程に加え、第2ストックタンク12の下流側に、さらに、第3濾過器67と、第2ポンプP2と、流量調節用のバルブV4とを有している。流延装置10の中で、第2ストックタンク12に至る工程については、既に図1に示して説明したので、図3においては図示を略し、第2ストックタンク12から下流側のみ図示している。ただし、本発明は、図3に示すような溶液製膜工程に依存するものではない。
流延装置62は、流延ダイ71と、バックアップローラ72と、バンド73とを有している。また、乾燥装置63は、テンター81と、ローラ乾燥機82とを有しており、巻き取り装置66には、カッタ85及び巻き取り部86とを備えている。なお、溶液製膜設備60には、支持用あるいは搬送用のローラ87が必要に応じて備えられ、このローラ87がフィルム92を支持しながら搬送する。図3においては、煩雑さを避けるために、用いたローラのうち、一部のみを図示している。
調製ドープ36(図1参照)は第2ストックタンク12から、第2ポンプP2により濾過器25へ送られて、未溶解物やゴミ等の異物が除去される。第2ストックタンク12から濾過器67への調製ドープ36の送液量は、濾過器67における濾圧や製膜速度を考慮してバルブV4により制御される。ただし、第2ポンプとバルブV4とを定量ポンプに変えて、調製ドープの流量を制御しながら送液してもよい。濾過器67での濾過により異物を除去されたものを、以下の説明においては流延ドープ91と称する。ここで、流延ドープ91には、別の添加剤等を、スタチックミキサ(図示せず)等を使用してインライン混合してもよい。
また、ドープ調製装置10において、濾過器67の下流側の任意の位置にタンク(図示せず)を設け、ここで流延ドープ91を所定時間滞留させて脱泡を図ることもある。これにより、流延ドープ91中の気泡量を低減することができる。さらに、支持体としては、バンド73に代えてドラムを使用することもあるが、図示は省略する。
流延ドープ91は、バックアップローラ72により支持されて連続走行されるバンド73上に、流延ダイ71から流延される。バックアップローラ72には駆動制御手段(図示せず)が備えられており、この駆動制御手段によりバックアップローラ72の回転数が制御されて、バンド73は所定速度で搬送される。流延された流延ドープ91はバンド73の上で流延膜となり、この流延膜は、バンド73上で走行する間に自己支持性をもつようになる。
自己支持性をもった流延膜は、フィルム92としてローラ87により剥ぎ取られてさらに下流の工程へ搬送される。剥ぎ取れらたフィルム92は、テンター81に送られ、ここで、幅を規制され、かつ、延伸されながら乾燥される。テンター81では、複数備えられたテンタークリップ(図示せず)が、フィルム92の両側端部を保持しながらテンター軌道(図示せず)に従って走行し、このテンタークリップの走行によりフィルム92は搬送される。テンタークリップの代わりにピンクリップ等を用いる場合もある。そして、テンタークリップは、コントローラ(図示せず)により開閉を自動制御され、この開閉によりフィルム92の保持と保持解除とを制御する。フィルム92を保持したテンタークリップは、テンター81の内部で走行し、その出口付近の所定の保持解除点に到達するとクリップを開放してフィルム92の保持を解除するように自動制御される。
テンター81のフィルム92は、支持あるいは搬送用のローラ87により次工程であるローラ乾燥機82へ送られて、ここで複数のローラ82aにより支持あるいは搬送されながら十分に乾燥される。十分に乾燥された後のフィルム92は、カッタ85により両側端部を切断除去され、製品として巻き取り部86で巻き取られる。また、ローラ乾燥機82aにおける搬送を安定化させるために、テンタークリップでの保持により変形した部分を含むフィルム92の両側端部を、ローラ乾燥機82内部へ送る前に切断除去することも可能である。
本発明において、ポリマーとしては、セルロースアシレートが好ましく、中でもセルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアシレート以外のポリマーであっても、ポリマー及びその前駆体が溶媒によってドープとなり、溶液製膜をすることができるものであれば本発明は適用される。
また、本発明はポリマーの形状等の様態について限定するものではなく、例えば、粉体やペレット等であってもよい。特に、粉体である場合には、溶媒と混合すると凝集しやすく、溶解しにくくなるために、本発明は特に効果がある。また第1調製ドープの固形成分としては、ポリマーの他に、例えば可塑剤や、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の各種添加剤を加えても本発明は効果が得られる。さらに、溶解性の高いものを添加する際には、スタチックミキサ26(図3参照)による混合の際にこれを添加してもよい。
本発明はドープに使用する溶媒を限定するものではなく、公知の各種溶媒を用いることができる。例えば、ジクロロメタンやジクロロメチレン等のハロゲン含有有機化合物の他に、メチルアルコールやエチルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコールや酢酸メチル、酢酸エチル等の各種エステル系化合物やアセトンなど非塩素系有機化合物や、水を使用することができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示すようなドープ調製装置10を用いて、第1ストックタンク11の調製ドープ36を、加熱器15で加熱した後保温器16で保温し、冷却器17で冷却した。ただし、図1に示す濾過器21,22による濾過は実施しなかった。調製ドープ36の成分及びその組成は、以下の通りである。
・セルローストリアセテート(酢化度60.8%) 16.96重量部
・トリフェニルフォスフェート 1.36重量部
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.68重量部
・ジクロロメタン 70.47重量部
・メタノール 10.58重量部
ポンプP1による送液の流量は0.15リットル/分である。加熱器15と保温器16と冷却器17とは、いずれもスタチックミキサ(ケニックス社、(株)ノリタケカンパニー製)である。そして、加熱器15と冷却器17とは、いずれもその容器の内径が23mm、長手方向の長さが1346mm。内容積が0.53リットルであり、保温器16は、容器の内径が23mm、長手方向の長さが1346mm、内容積が0.56リットルである。
加熱器15における伝熱媒体は圧力計にて3×10-3Paとされた高圧蒸気であり、加熱器15の流出口における調製ドープ36の温度を95℃とした。また、保温器16の伝熱媒体46は、95±1℃に温度を制御した熱風である。冷却器17では、伝熱媒体として15℃の水を使用し、その流量を調節することにより流出口における調製ドープ36の温度を35℃とした。加熱器15と保温器16と冷却器17とにおける圧力は、第2圧力計26において0.6MPaとなるように、第3バルブで調節した。
調製ドープ36を濾過器67で濾過して得られた流延ドープ91を流延装置62で流延し、バンド73から剥がしたフィルム87乾燥装置63で乾燥した後、巻き取り装置66で巻き取った。
加熱器15の蒸気の供給を停止し、伝熱媒体を15℃の冷水に切り替えた。そして保温器16の伝熱媒体46を熱風から15℃の冷水に切り替えた。その後、加熱器15と保温器16との各下流の温度センサ31,32により、調製ドープ36が35℃に低下するまでの時間t1,t2を測定した。
本実施例1の結果、t1,t2ともに15分であり、その温度低下に要する時間は非常に短く、良好な温度制御を行うことができた。
図1に示すように、圧力計26とバルブV3との間に第1及び第2濾過器21,22を設け、いずれか一方を用い調製ドープ36を濾過した。そしてその他の条件は、実施例1と同様に実施して、濾圧の制御状態を評価した。なお、第1,第2濾過器21,22には予め、調製ドープ36を入れておいた。第1,2濾過器21,22には、メッシュ径が3mmのフィルタを用いた。
本実施例2の結果、稼働中における第1,第2濾過器21,22での濾圧は、ともに0.6MPaでほぼ一定となるように制御を継続することができ、良好にドープ調整を実施することができた。
本実施例は、上記実施例1,2に対する比較例として実施したものである。加熱された調製ドープ36の温度を維持する際の保温器16について、その伝熱媒体46をシリコンオイルとした他は、実施例1と同様の条件として実施した。
本実施例3の結果、t1は15分であったが、t2は120分であった。したがって、伝熱媒体46をシリコンオイルとするとその温度低下に要する時間は非常に長く、効率的な温度制御が困難であることがわかる。
本実施例は、上記実施例1,2に対する比較例として実施したものである。第1及び第2濾過器21,22を使用しなかった他は、実施例2と同様の条件として実施した。
本実施例4の結果、濾圧の制御が途中で不能となりドープ調整を連続して実施することが困難となった。
以上のように、本発明により、ドープを調製する際に、ドープの原料である固形分の溶媒に対する溶解性を向上させるための加熱あるいは保温装置の昇温及び降温を効率的に行うことができる。また、ドープを加圧する場合には、本発明により、その圧力制御用のバルブの詰まりを防止することができる。さらに、本発明の製造方法により得られたドープを用いることにより、良好な光学特性を有するポリマーフィルムを得ることができる。
溶液製膜に使用するためのドープを調製する際に、ドープの温度を制御する装置の加熱及び冷却を効率的に行うことができるとともに、圧力制御用バルブの詰まりを防止することができるので、ドープを安定的に連続調製する場合や、装置の稼働と停止の切り替えを迅速に行う必要がある溶液製膜方法に適用することができる。さらに、優れた光学特性を必要とする光学製品、例えば偏光板や液晶表示装置等の用途に適用することができる。
本発明の実施形態であるドープ製造工程の一部の概略図である。 保温器の一部断面を含む概略図である。 本発明の実施形態である溶液製膜工程の概略図である。
符号の説明
10 ドープ調製装置
15 加熱器
16 保温器
17 冷却器
21 第1濾過器
22 第2濾過器
26 圧力計
31〜33 第1〜第3温度センサ
36 調製ドープ
41 容器
41a 流入口
41b 流出口
42 ジャケット
42a 入口
42b 出口
43 エレメント
43a 右エレメント
43b 左エレメント
46 伝熱媒体
48 温度コントローラ
51 コントロールバルブ
52 供給ライン
60 溶液製膜設備
91 流延ドープ
92 フィルム
P1,2 第1,第2ポンプ
V1〜3 第1〜3バルブ

Claims (11)

  1. ポリマーと溶媒とを混合した混合液を、加圧手段により加圧し、
    加熱手段により前記溶媒の常圧における沸点以上の温度にまで加熱し、
    この温度を、温度維持手段により所定時間維持した後、
    冷却手段により冷却するドープの製造方法において、
    前記温度維持手段が伝熱媒体を備え、
    前記伝熱媒体が加熱空気であることを特徴とするドープの製造方法。
  2. 前記ドープの製造を停止する場合には、前記伝熱媒体を水に切り替えることを特徴とする請求項1記載のドープの製造方法。
  3. 前記温度維持手段が、ジャケットを備える容器であり、
    前記容器と前記ジャケットとの間に伝熱媒体を介在させることを特徴とする請求項1または2いずれかひとつ記載のドープの製造方法。
  4. 前記容器は、静止型混合器であることを特徴とする請求項3記載のドープの製造方法。
  5. 前記混合物に含まれる未溶解物または析出物を除去するための除去手段により、
    前記加熱手段の下流、かつ、前記加圧手段の上流で、前記未溶解物または析出物を除去することを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつ記載のドープの製造方法。
  6. 前記温度維持手段または前記冷却制御手段の下流で、前記未溶解物または析出物を除去することを特徴とする請求項5記載のドープの製造方法。
  7. ポリマーと溶媒とを混合した混合液を、加圧手段により加圧し、
    加熱手段により前記溶媒の常圧における沸点以上の温度にまで加熱し、
    前記混合液から前記溶媒の一部を分離する濃縮手段により、前記混合液のポリマー濃度を高めるドープの製造方法において、
    前記混合物に含まれる未溶解物または析出物を除去するための除去手段により、前記加熱手段の下流、かつ、前記加圧手段の上流で、前記未溶解物または析出物を除去することを特徴とするドープの製造方法。
  8. 複数の前記除去手段を、前記混合物の送液方向に関して並列に設け、
    使用する前記除去手段を切り替えることにより、前記未溶解物または析出物を連続して除去することを特徴とする請求項5ないし7いずれかひとつ記載のドープの製造方法。
  9. 前記ポリマーがセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1ないし8いずれかひとつ記載のドープの製造方法。
  10. 請求項1ないし9いずれかひとつ記載の製造方法により製造されたことを特徴とするドープ。
  11. 請求項10記載のドープを溶液製膜して製造されたことを特徴とするポリマーフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103349928A (zh) * 2013-07-17 2013-10-16 新疆鑫凯高色素特种炭黑有限公司 一种新型静态混合器
CN109317011A (zh) * 2018-11-14 2019-02-12 滁州天鼎丰非织造布有限公司 自动配胶系统

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