JP2005220068A - 経口物用コーティング剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、有機溶剤を使用せずにコーティングすることが可能であり、人体および環境に無害な経口物用コーティング剤を提供することにある。また、酸素透過性の低いバリア層を形成することができ、かつ味のマスキングに優れ、溶出性のよい経口物用コーティング剤を提供することにある。
【課題手段】 本発明では、多糖類を酸化して得られるウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類からなることを特徴とする経口物用コーティング剤を提供するものである。また、前記ウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類が、α−グルコシド結合したグルクロン酸、あるいはβ−グルコシド結合したグルクロン酸、あるいはβ−グルコシド結合したN−アセチルグルコサミヌロン酸およびそれらの塩を含む多糖類であることを特徴とする経口物用コーティング剤を提供するものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食品、医薬品分野における錠剤、粒状固形物などの経口物用コーティング剤に関するもので、内包物の味やにおいのマスキングを行い、酸素や水分による劣化、変質を防ぐコーティング剤に関するものである。
従来、食品、錠剤や経口固形製剤について、その内包物の味に対するマスキング、安定性を保つためのバリア剤、識別性を向上させるための着色コーティングなど様々な目的でコーティング剤が利用されている。従来から知られているコーティング剤にはトウモロコシ蛋白質、水溶性セルロースエーテルなどが挙げられる。これらの多くはコーティングの際にエタノールなどの溶媒を使用するため、コストが高くなり、また使用した溶剤が大気中へ放出されるために、人体および環境に悪影響を及ぼすと懸念されていた。また、被コーティング物に残留エタノールが含まれる危険性を免れない。
また、トウモロコシ蛋白質等は水不溶性であるために、胃では被膜が溶けにくく、食品などの消化を妨げる原因にもなっている。
そこで、最近では水溶性コーティング剤が注目され、特許文献1のような水分散型のメチルセルロースなどのセルロースエーテル系コーティング剤も市販されているが、これらはゲル化温度が低く、溶出性が悪い等という問題があった。
特開2001−151672号公報
本発明は、有機溶剤を使用せずにコーティングすることが可能であり、人体および環境に無害な経口物用コーティング剤を提供することにある。また、酸素透過性の低いバリア層を形成することができ、かつ味のマスキングに優れ、溶出性のよい経口物用コーティング剤を提供することにある。
請求項1の発明はウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類からなることを特徴とする経口物用コーティング剤である。
請求項2の発明は、前記ウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類が、α−グルコシド結合したグルクロン酸、あるいはβ−グルコシド結合したグルクロン酸、あるいはβ−グルコシド結合したN−アセチルグルコサミヌロン酸およびそれらの塩を含む多糖類であることを特徴とする請求項1記載の経口物用コーティング剤である。
請求項3の発明は、前記ウロン酸残基を有する多糖類のカルボキシル基含有量が3.26mmol/g以上の範囲にあることを特徴とする上記請求項1または2に記載の経口物用コーティング剤である。
請求項4の発明は、前記ウロン酸残基を有する多糖類のカルボキシル基含有量が4.62mmol/g以上の範囲にあることを特徴とする上記請求項1または2に記載の経口物用コーティング剤である。
請求項5の発明は、前記ウロン酸残基を有する水溶性多糖類の重量平均分子量がMw5000〜100000の範囲にあることを特徴とする請求項1から4に記載の経口物用コーティング剤である。
請求項6の発明は、水溶液の濃度が2〜10wt%の範囲で、粘度が1.3〜10mPa・sの範囲にあるウロン酸残基を有する多糖類を含むことを特徴とする請求項1から5に記載の経口物用コーティング剤である。
請求項7の発明は、前記ウロン酸残基を有する水溶性多糖類がセルロースまたはデンプンまたはキチンを酸化することにより得たことを特徴とする請求項1から6に記載の経口物用コーティング剤である。
請求項8の発明は、さらに、他の多糖類を含むことを特徴とする請求項1から7に記載の経口物用コーティング剤である。
請求項9の発明は、前記他の多糖類がキトサンであることを特徴とする請求項8に記載の経口物用コーティング剤である。
本発明の経口物用コーティング剤によれば、有機溶媒を用いずに安全性を高く錠剤のコーティングを行なうことができる。コーティング膜は錠剤の味のマスキングを行い、バリア性が高く、内包物の酸素や水分による劣化、変質を抑えることができる。また、ウロン酸残基を有する水溶性または水分散性の多糖類は高濃度に溶解し、特に高濃度域での粘度が低いという特徴を持つことから、コーティングにおける水の量を少なく、濃度を濃くすることが可能となり、その結果コーティング時間を短縮させることができ、水分で分解し易い薬物を含んだ素錠をコーティングする際も、素錠の分解を極力抑えてコーティングすることが可能となる。さらに、高い生分解性を有することから、より緩和な条件で速やかに内包物を溶出させることが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明はかかる実施形態に限定するものではない。
本発明の経口物用コーティング剤はセルロース、デンプン、キチン、プルランなどの多糖類を酸化して得られるウロン酸残基を有する水溶性または水分散性の多糖類を含むことを特徴とする。このウロン酸残基のカルボン酸は、カルボン酸でもカルボン酸塩であってもよい。
ウロン酸残基を有する多糖類は天然にも多く存在しており、ポリウロン酸は安全性、生分解性、生体適合性、及びその生理的な機能などの機能性を有している。
なかでも、グルクロン酸は、植物や動物、微生物の多糖の構成単糖として広く存在し、動物に異物、薬物を投与した際に、それらは直接あるいは誘導体に変化された後に、D−グルクロン酸と結合した形で体外に排泄される。また、グルクロン酸は生体内代謝のメカニズムについて明らかになっており、ウリジン二リン酸(UDP)−D−グルクロン酸という糖ヌクレオチドが細菌、植物、動物に広く存在し、このUDP−D−グルクロン酸はUDP−D−グルクロン酸デカルボキシラーゼとニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)により脱炭酸され、UDP−D−キシロ−スとCOになり、最終的にはCOと水に分解されるということが知られている。
本発明のウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類が、α−グルコシド結合したグルクロン酸、あるいはβ−グルコシド結合したグルクロン酸、あるいはβ−グルコシド結合したN−アセチルグルコサミヌロン酸およびそれらの塩を含む多糖類であることを特徴とするコーティング剤である。
これらは、多糖類を酸化することにより得られる。最良と考えられる酸化方法としては、N−オキシル化合物を触媒に用いる酸化方法が挙げられる。この酸化方法は、最近では様々な形態で改良されてきているが、材料の化学構造の均一性を向上させ、材料の重合度(分子量)を大きくすることは、コーティング膜のバリア性の向上、耐湿性や保存安定性の向上に寄与する。本発明のコーティング剤に含まれるウロン酸残基を有する水溶性または水分散性の多糖類の分子量は数平均分子量Mで5000〜100000の範囲にあることが好ましい。この範囲にあると、コーティングフィルムの強度やバリア性など高い効果を得ることができる。
従って、本発明のコーティング剤の酸化多糖類を得るには、穏やかな反応条件下で選択的な反応の進行に必要な薬剤が必要量だけ随時供給され、かつ、できるだけ短時間で酸化することが重要となる。つまり、N−オキシル化合物の触媒の存在下、臭化アルカリ金属と酸化剤を用いて、5℃以下の低温、水系で、pHを10〜11の範囲で一定に保ちながら酸化することにより、本発明のポリグルクロン酸が得られる。ここで、N−オキシル化合物としては、2、2、6、6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)が、臭化アルカリ金属としては臭化ナトリウムが、酸化剤としては次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。
ここで上記酸化手法は、例えば、水に原料を溶解あるいは均一に分散させて、TEMPOと臭化ナトリウムを溶解した水溶液を加え、系内を5℃以下に冷却、pHを10に調整する。ここに先ず少量の次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えると、一時pHは上昇するが、攪拌を続けると、系内のpHは徐々に低下してくるので、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、系内のpHを10〜11の範囲で一定に保つ。さらに酸化剤である次亜塩素酸ナトリウム溶液を反応の進行具合に応じて調整しながら滴下することで、余剰の酸化剤が系内に存在し副反応に作用することを抑える。また、反応中は系内の温度を5℃以下に維持する。反応の進行に伴い、系内は均一な溶液となる。この反応条件においては、添加される水酸化ナトリウムの量は、酸化により導入されたカルボキシル基の量とほぼ対応しており、例えば原料にデンプンを用いた場合、グルコース残基量と当モルの添加量に達した時点で、エタノールを添加して過剰の酸化剤を失活させ、過剰量のエタノール中で再沈させる。生成物をアセトンと水との混合溶液を用いて十分洗浄後、アセトンで脱水してから減圧乾燥することにより、ほぼ全てのC6位一級水酸基が酸化されたアミロウロン酸ナトリウム塩が得られる。
精製方法は、上記した方法に限られるものではない。例えば、水中での透析によって達成することも可能である。
本発明のウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類のカルボキシ基含有量は3.26mmol/g以上であると、水に対する分散性が良く、製膜性およびバリア性も良く、耐水性の高いコーティングフィルムが得られる。
また、本発明のウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類のカルボキシル基含有量が4.62mmol/g以上であると、より水に対する溶解性が高く、製膜性およびバリア性の高いコーティングフィルムが得られる。
なお上記により得られたポリグルクロン酸のナトリウム塩(COONa型)を水溶後酸処理し、上記のエタノールで再沈、洗浄、乾燥の操作を繰り返すことで、COOH型の脱塩したポリグルクロン酸を得ることができる。さらに、前記COOH型のポリグルクロン酸はアルカリ水溶液中で多種の金属塩にすることができる。ポリグルクロン酸のアルカリ金属塩はより高い水溶性を示す。
さらに、本発明のコーティング剤のウロン酸残基を有する多糖類は、水溶性とした時の濃度が2〜10wt%の範囲で、粘度が1.3〜10mPa・sの範囲にあることを特徴としている。この範囲にあると、コーティング水溶液の濃度を高くすることが可能であり、コーティングに要する時間も短縮でき好ましい。
本発明のコーティング剤の酸化多糖類の原料としては、セルロース、デンプン、キチンが好ましく、特にβ−(1、4)−D−グルコースからなるセルロースが好ましく用いられる。原料に用いるセルロースは特に限定するものではないが、一旦溶解再生処理したセルロースを用いると、副反応が抑えられ、高分子量の完全水溶性ポリグルクロン酸が得られる。
さらに、セルロースの酸化物を酸化処理した多糖類からなるコーティングは、酸性から中性の領域で不溶性の為、腸溶錠として利用することもできる。
また、本発明のコーティング剤には、可塑剤、顔料、多糖類、香料、滑剤などその他の添加剤を用いることができる。可塑剤には、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどが挙げられる。着色、遮光など、様々な目的で添加される上記顔料としては、酸化チタン、アルミニウムキレートなどが挙げられる。さらに、べたつきを抑える、耐水性、耐湿性を向上させるなどの目的でキトサンやセルロースなどその他の多糖類を添加することもできる。また、同様の目的で、層状鉱物やカップリング剤なども添加することができる。
塗布方法、乾燥温度、乾燥時間、コーティング量としては、特に限定されるものではなく、内包物の種類、量、大きさ等により最適な条件を選択することができる。
また、本発明のコーティング剤によるコーティング膜の上下には、光沢層やバリア層などを設けることも可能であり、糖衣錠や腸溶錠などのアンダーコート層としても用いることができる。
本発明のコーティング剤は、優れた生分解性、生体適合性を有することから、その生理的機能を生かして経口物用コーティング剤として用いることはもちろん、化粧品等に用いることも可能である。また、化学的・物理的修飾、誘導体化、他材料との複合化等の二次修飾をすることにより、さらに高機能にすることも可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
<製造例1>
市販の再生セルロースであるベンリーゼ(旭化成工業(株)製)10gを、5%濃度で蒸留水に均一に分散させた。ここにTEMPOを0.19gと臭化ナトリウムを2.5g溶解させた水溶液を加え、セルロースの固形分濃度が約2wt%になるように調製した。反応系を冷却し、11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液30gを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整するとともに、さらに11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液70gを反応の進行に応じて調整しながら滴下した。グルコース残基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に近づくと、アルカリの添加速度は遅くなり、系内は完全に溶解して、黄色の均一な溶液となる。アルカリ添加量が前記の100%(123.5ml)に達した時点で、エタノールを添加して反応を停止させた。反応時間は2時間であった。ろ過により不溶の不純物を除いてから、この反応溶液を過剰量のエタノール中に投入して、生成物を再沈させた。さらに、水:アセトン=1:7の溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃で減圧乾燥し、白色粉末状のセロウロン酸ナトリウム塩12gを得た。
<粘度測定>
製造例1で得られたセロウロン酸ナトリウム塩の10wt%水溶液の粘度を測定したところ、4.1mPa・sであった。
<分子量測定>
製造例1で得られたセロウロン酸ナトリウム塩の重量平均分子量(Mw)を、GPC法により測定した。カラムはTSKgelG6000PWXL、TSKgelG3000PWXLを用い、0.1MNaClを溶離液とし、RI検出器を用い測定した。分子量既知のプルランから検量線を作成し、プルラン換算の重量平均分子量を算出した。その結果、製造例1で得られたセロウロン酸ナトリウム塩は、Mw=53000であった。
<カルボキシル基量測定>
製造例1で得られたセロウロン酸ナトリウム塩中のカルボキシル基含有量を電導度滴定により測定した。セロウロン酸ナトリウム塩0.055gを精秤し、水55gに溶解させた。0.01N−NaOH水溶液で滴定し、その滴定曲線からカルボキシル基含有量を測定した。その結果、このセロウロン酸ナトリウム塩中のカルボキシル基含有量は4.98mmol/gであった。
<製造例2>
製造例1のセロウロン酸ナトリウム塩10gを80mlの蒸留水に溶解し、攪拌しながらpH1になるまで2N−塩酸を添加した。溶液は白濁し、白色のセロウロン酸が沈殿した。この溶液を過剰量のエタノール中に投入し、生成物を再沈させた。さらに、水:アセトン=1:7の溶液により十分洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃で減圧乾燥し、白色粉末状の脱塩したセロウロン酸7gを得た。
<製造例3>
再生セルロースとして旭化成工業(株)製ベンリーゼ10gを5%濃度で蒸留水に懸濁させた。ここに、TEMPO0.2g、臭化ナトリウム2.5gを溶解させた水溶液を加え、セルロースの固形分濃度が約2wt%になるように調製した。反応系を冷却し、11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液45gを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整した。アルカリ添加量が、グルコース残基の全モル数に対し、60%のモル数に対応する添加量(74.1ml)に達した時点で、エタノールを添加して反応を停止させた。反応時間は50分であった。この反応溶液を過剰量のエタノール中に投入して、生成物を再沈させた。さらに水:アセトン=1:7の溶液により十分洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃減圧乾燥し、製造例3の白色粉末状のセロウロン酸ナトリウム塩11gを得た。このセロウロン酸ナトリウム塩の重量平均分子量は66000であり、5%水溶液の粘度は3.1mPa・sであった。また、電導度滴定により求めたカルボキシル基含有量は3.28mmol/gであった。
<製造例4>
和光純薬工業(株)製キチン10gを、45%水酸化ナトリウム水溶液150gに浸漬し、室温以下で2時間攪拌した。この周囲を氷水などで冷却し、攪拌しながら、これに砕いた氷850gを添加した。このアルカリ処理により、キチンはほぼ溶解する。塩酸で中和し、十分に水洗した後、乾燥しないものを酸化原料とした。
この再生キチン2.5%濃度の懸濁液200gに、蒸留水50gにTEMPO0.08g、臭化ナトリウム1.0gを溶解した溶液を加え、5℃以下まで冷却した。ここに11%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液35gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、80%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、1Lのエタノール中に反応液を投入して生成物を析出させ、水:アセトン=1:7よりなる溶液により十分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白色粉末状の酸化度80%のキトウロン酸ナトリウム塩5.2gを得た。GPC法により求めたプルラン換算の重量平均分子量は90000であり、5%水溶液の粘度は3.3mPa・sであった。また、このキトウロン酸ナトリウム塩のカルボキシル基含有量は3.3mmol/gであった。
<製造例5>
コンスターチ10gを蒸留水400gに加熱溶解させ、冷却した。この溶液に、蒸留水100gにTEMPO0.18g、臭化ナトリウム2.5gを溶解した溶液を加え、11%濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液104gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し反応を停止させ、2Lのエタノール中に反応液を投入して生成物を析出させ、水:アセトン=1:7よりなる溶液により十分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白色粉末状の酸化度100%のアミロウロン酸ナトリウム塩11.7gを得た。GPC法により求めたプルラン換算の重量平均分子量は58000であり、この5%水溶液の粘度は1.60mPa・sであった。また、このアミロウロン酸ナトリウム塩のカルボキシル基含有量は5.0mmol/gであった。
<製造例6>
脱アセチル化度100%のキトサンとして、大日精化工業(株)製ダイキトサン100D(VL)を用い、このキトサン10gを10%酢酸190gに溶解し、メタノール1Lで希釈し、攪拌しながら無水酢酸3.17gを加え、室温で15時間攪拌した。ここに2N−NaOH水溶液を加えてpH7に中和すると、フレーク状のキトサンが析出し、これをろ過して、メタノールおよび水:アセトン=1:7よりなる溶液で十分に洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃で減圧乾燥させて、N−アセチル化キトサン10.3gを得た。このキトサンは水溶性を示し、1wt%の水溶液でpH8.2であった。さらに酸やアルカリを加えてpHを変動させても溶解していた。塩化重水素酸重水溶液に溶解して測定したH−NMR分析の結果から、N−アセチル化度は45%であった。
三角形のカルシウム錠500mgを検体とした。
製造例1から5のウロン酸残基を有する多糖類を10wt%濃度で水に溶解させた水溶液を、カルシウム錠にコーティングし、45℃で乾燥させ、1錠505mgのフィルムコーティングカルシウム錠を得た。
<比較例1>
市販のカルボキシメチルセルロース(DS(置換度)=1.2)を比較例として用いた。
このカルボキシセルロースの1%水溶液を調整し、実施例1と同様にカルシウム錠にコーティングした。なお、このカルボキシセルロースは水への溶解度が低いために、1%以上は水に溶解しなかった。
上記の結果、実施例1の製造例1から5の多糖類、および比較例1ともに、カルシウム錠にコーティング膜を形成することができた。このコーティング錠を水に分散させたところ、10分後、実施例1から5のコーティング膜は速やかに溶解したのに対し、比較例1のコーティング膜は溶解していなかった。
丸型のロイヤルゼリー錠600mgを検体とした。
製造例1から5のウロン酸残基を有する多糖類を10wt%濃度で水に溶解させた水溶液を、ロイヤルゼリー錠にコーティングし、45℃で乾燥させ、1錠630mgのフィルムコーティングロイヤルゼリー錠を得た。このフィルムコーティングロイヤルゼリー錠はいずれも、コーティング前のロイヤルゼリー錠と比較して、においが少なかった。
製造例6のキトサン3gを0.02N−酢酸水溶液60gに溶解させ、市販のキャラメルにコーティングし、さらに製造例4の多糖類10wt%水溶液でコーティングした。45℃で乾燥させ、実施例3のコーティングキャラメルを得た。このコーティングキャラメルとコーティングを施していないキャラメルを36℃で2時間放置した。すると、コーティングを施していないキャラメルの表面はべたついていたのに対し、コーティングキャラメルは乾燥した状態のままであった。
<酸素透過度>
製造例1から5のウロン酸残基を有する多糖類と、比較例2としてメチルセルロースを用いて酸素透過度を測定した。
片面をコロナ処理した膜厚12μmのポリエチレンテレフタラートフィルム基材の上にそれぞれの多糖類の5%水溶液をバーコーターでコーティング後、乾燥機で120℃で30分間乾燥して、膜厚約1.0μmの被膜を形成した。酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN 10/40A)を用いて30℃、70%RH雰囲気下で酸素透過度(cc/m・day・atm)を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2005220068
表1から、本発明のコーティング剤に用いられる製造例1から5の多糖類は酸素透過度が低く、酸素バリア性が高いことがわかる。
<生分解性試験>
製造例1、4、5のウロン酸残基を有する多糖類、製造例6のキトサン、および比較例1で用いた市販のカルボキシメチルセルロースを用いて生分解性試験を行った。
八幡物産(株)製の微生物酸化分解装置(MODA)を用い、試験土壌として、水分60%に調整した標準コンポスト(八幡物産(株)製 YK−2)250ccと水分18%に調整した海砂250ccを混合したものを用いた。試料10gを試験土壌と均一に混合して、カラム状の反応筒に充填し、反応筒内の温度を35℃で一定に保持した。さらに反応筒下方より水蒸気を飽和した脱炭素空気を40ml/分で通気しする。通気されたガスは、反応筒上部からガス漏れなく配管されて、アンモニアガスを除くために硫酸水浴中を通り、水分を除くためにシリカゲルと塩化カルシウムを充填した吸湿筒を通り、さらにソーダタルク及びソーダライムを充填した吸収筒に導かれる。試料が好気的に生分解して発生する二酸化炭素は、全て吸収筒に吸収されるため、吸収筒の重量変化から生分解により発生した二酸化炭素量を定量できるものである。なお試料を入れない試験土壌のみの空試験を同時に行い、空試験で発生した二酸化炭素量を差し引いて、分解により発生した二酸化炭素量を求めた。試料10g中の炭素含量から理論的に発生する二酸化炭素量を算出し、理論量に対する発生二酸化炭素量の割合を生分解度として、図1に示した。
その結果、製造例1、4、6は非常に高い生分解性を示した。また、製造例5は市販品である比較例1と、同程度の生分解性を示した。
本発明の経口物用コーティング剤の生分解性試験結果の一例を示すグラフである。

Claims (9)

  1. ウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類からなることを特徴とする経口物用コーティング剤。
  2. 前記ウロン酸残基を有する水溶性または水分散性多糖類が、α−グルコシド結合したグルクロン酸、あるいはβ−グルコシド結合したグルクロン酸、あるいはβ−グルコシド結合したN−アセチルグルコサミヌロン酸およびそれらの塩を含む多糖類であることを特徴とする請求項1記載の経口物用コーティング剤。
  3. 前記ウロン酸残基を有する多糖類のカルボキシル基含有量が3.26mmol/g以上の範囲にあることを特徴とする上記請求項1または2に記載の経口物用コーティング剤。
  4. 前記ウロン酸残基を有する多糖類のカルボキシル基含有量が4.62mmol/g以上の範囲にあることを特徴とする上記請求項1または2に記載の経口物用コーティング剤。
  5. 前記ウロン酸残基を有する水溶性多糖類の重量平均分子量がMw5000〜100000の範囲にあることを特徴とする請求項1から4に記載の経口物用コーティング剤。
  6. 水溶液の濃度が2〜10wt%の範囲で、粘度が1.3〜10mPa・sの範囲にあるウロン酸残基を有する多糖類を含むことを特徴とする請求項1から5に記載の経口物用コーティング剤。
  7. 前記ウロン酸残基を有する水溶性多糖類がセルロースまたはデンプンまたはキチンを酸化することにより得たことを特徴とする請求項1から6に記載の経口物用コーティング剤。
  8. さらに、他の多糖類を含むことを特徴とする請求項1から7に記載の経口物用コーティング剤。
  9. 前記他の多糖類がキトサンであることを特徴とする請求項8に記載の経口物用コーティング剤。
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