JP2005219042A - 合わせガラスの分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラスに異物を混入させることなく高分離率で中間膜とガラスとを互いに分離する。
【解決手段】本発明に係る合わせガラスの分離方法は、樹脂製の中間膜の表裏両面にガラスが接合された合わせガラスを中間膜とガラスとに分離する方法である。この合わせガラスの分離方法は、合わせガラスにひびを入れるひび入れ工程S1と、ひび入れ工程S1の後に合わせガラスを加熱する加熱工程S2と、加熱工程S2の後に合わせガラスに超音波を照射する超音波照射工程S3とを、備えている。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係る合わせガラスの分離方法は、樹脂製の中間膜の表裏両面にガラスが接合された合わせガラスを中間膜とガラスとに分離する方法である。この合わせガラスの分離方法は、合わせガラスにひびを入れるひび入れ工程S1と、ひび入れ工程S1の後に合わせガラスを加熱する加熱工程S2と、加熱工程S2の後に合わせガラスに超音波を照射する超音波照射工程S3とを、備えている。
【選択図】図2
Description
本発明は、樹脂製の中間膜の表裏両面にガラスが接合された合わせガラスを中間膜とガラスとに分離する合わせガラスの分離方法に関する。
自動車のフロントガラスや建築物の防犯用窓ガラス等には、透明な樹脂製の中間膜の表裏両面にガラスを接合した合わせガラスが使用されているが、近年では、使用済みの合わせガラスを中間膜とガラスとに分離してそれぞれ回収し、樹脂及びガラスを再利用するようになっている。
特許文献1,2に合わせガラスの分離方法が開示されている。特許文献1に記載された方法では、合わせガラスを有機溶剤に浸漬させて中間膜を有機溶剤中に溶解させ、その溶解液を減圧濾過することにより、中間膜を有機溶剤中に溶解させた状態でガラスと中間膜とを互いに分離している。特許文献2に記載された方法では、合わせガラスを金属製のロールやハンマーで破砕・粉砕し、その粉砕物を篩にかけることにより、ガラスと中間膜とを互いに分離している。
特開2003−285042号公報
特開2002−186952号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載された方法には下記の問題点がある。すなわち、特許文献1に記載の方法は、有機溶剤を使用するため、作業環境性の面で好ましくなく、その有機溶剤の管理が困難であるとともに、中間膜を有機溶剤中に溶解させてその溶解液から再度中間膜を析出させて回収するため、回収の作業に手間が掛かり効率がよくない。
一方、特許文献2に記載の方法は、有機溶剤を使用した場合のような不都合はないが、金属製のロールやハンマーを使用するため、ロールやハンマーに起因する金属片が異物として分離後のガラスに混入する可能性があるとともに、合わせガラスとロールやハンマーとの磨耗が激しいため、ロールやハンマーのメンテナンスも必要になる。また、特許文献2に記載の方法では、分離後のガラスと中間膜とが細かな片として回収されるため、粉塵が発生して作業性や安全性の面で好ましくなく、ガラスの回収率(分離率)並びに品質もそれほどよくはない。
本発明の目的は、作業環境性・作業性・安全性の面に優れ、ガラスに異物を混入させることなく高分離率で中間膜とガラスとを互いに分離することができる合わせガラスの分離方法を提供することである。
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、
樹脂製の中間膜の表裏両面にガラスが接合された合わせガラスを前記中間膜と前記ガラスとに分離する合わせガラスの分離方法であって、
前記合わせガラスにひびを入れるひび入れ工程と、
前記ひび入れ工程の後に前記合わせガラスを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の後に前記合わせガラスに超音波を照射する超音波照射工程と、
を備えることを特徴としている。
樹脂製の中間膜の表裏両面にガラスが接合された合わせガラスを前記中間膜と前記ガラスとに分離する合わせガラスの分離方法であって、
前記合わせガラスにひびを入れるひび入れ工程と、
前記ひび入れ工程の後に前記合わせガラスを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の後に前記合わせガラスに超音波を照射する超音波照射工程と、
を備えることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記加熱工程での加熱温度が70〜90℃であることを特徴としている。
請求項1に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記加熱工程での加熱温度が70〜90℃であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記加熱工程での加熱時間が1〜20分であることを特徴としている。
請求項1又は2に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記加熱工程での加熱時間が1〜20分であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の発振周波数が19〜30kHzであることを特徴としている。
請求項1〜3のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の発振周波数が19〜30kHzであることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程で、前記超音波を伝播させる媒体が脱気水であり、前記合わせガラスを浸漬させる媒体が強アルカリイオン水であることを特徴としている。
請求項1〜4のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程で、前記超音波を伝播させる媒体が脱気水であり、前記合わせガラスを浸漬させる媒体が強アルカリイオン水であることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程で前記超音波を伝播させかつ前記合わせガラスを浸漬させる媒体が、脱気した強アルカリイオン水であることを特徴としている。
請求項1〜4のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程で前記超音波を伝播させかつ前記合わせガラスを浸漬させる媒体が、脱気した強アルカリイオン水であることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、
請求項5又は6に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記強アルカリイオン水のpHが11以上であることを特徴としている。
請求項5又は6に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記強アルカリイオン水のpHが11以上であることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、
請求項5〜7のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記強アルカリイオン水の温度が50℃以下に保持されることを特徴としている。
請求項5〜7のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記強アルカリイオン水の温度が50℃以下に保持されることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の照射時間が1〜30分であることを特徴としている。
請求項1〜8のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の照射時間が1〜30分であることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、
請求項5又は6に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記合わせガラスを浸漬させる媒体として前記強アルカリイオン水に代えて電子波水を用いることを特徴としている。
請求項5又は6に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記合わせガラスを浸漬させる媒体として前記強アルカリイオン水に代えて電子波水を用いることを特徴としている。
請求項11に記載の発明は、
請求項10に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記電子波水の温度が50℃以下に保持されることを特徴とする合わせガラスの分離方法。
請求項10に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記電子波水の温度が50℃以下に保持されることを特徴とする合わせガラスの分離方法。
請求項12に記載の発明は、
請求項10又は11に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の照射時間が1〜30分であることを特徴としている。
請求項10又は11に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の照射時間が1〜30分であることを特徴としている。
請求項13に記載の発明は、
請求項10〜12のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記電子波水に電子波を照射することを特徴としている。
請求項10〜12のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記電子波水に電子波を照射することを特徴としている。
請求項1〜12に係る発明では下記(1)〜(5)の効果を奏する。
(1)合わせガラスをひび入れ工程、加熱工程及び超音波照射工程の3工程の処理の用に供して中間膜とガラスとを分離するため、高分離率で中間膜とガラスとを互いに分離することができ、カレット粒径がほどよくリサイクル用途が広がる。
(2)有機溶剤等の薬品を使用することなく合わせガラスを中間膜とガラスとに分離するため、本発明に係る合わせガラスの分離方法は作業環境性に優れる。
(1)合わせガラスをひび入れ工程、加熱工程及び超音波照射工程の3工程の処理の用に供して中間膜とガラスとを分離するため、高分離率で中間膜とガラスとを互いに分離することができ、カレット粒径がほどよくリサイクル用途が広がる。
(2)有機溶剤等の薬品を使用することなく合わせガラスを中間膜とガラスとに分離するため、本発明に係る合わせガラスの分離方法は作業環境性に優れる。
(3)ひび入れ工程から超音波照射工程にかけて、中間膜とガラスとを分離するのにロールやハンマー等の金属製部材を一切用いないため、分離後のガラスに金属の異物が混入することがない。
(4)ひび入れ工程で合わせガラスにひびを入れるだけで、分離前の原型をほとんど崩さずに中間膜とガラスとを分離するため、粉塵が発生することがなく、本発明に係る合わせガラスの分離方法は作業性・安全性に優れる。
(5)合せガラスの中間膜であるポリビニルブチラール樹脂のリサイクルが可能になる。
(4)ひび入れ工程で合わせガラスにひびを入れるだけで、分離前の原型をほとんど崩さずに中間膜とガラスとを分離するため、粉塵が発生することがなく、本発明に係る合わせガラスの分離方法は作業性・安全性に優れる。
(5)合せガラスの中間膜であるポリビニルブチラール樹脂のリサイクルが可能になる。
請求項13に係る発明では、電子波水に電子波を照射するため、電子波水の劣化を防止することができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
[第1の実施形態]
図1は合わせガラス1の側面断面図である。
図1に示す通り、合わせガラス1は、透明な樹脂(PVB(PolyVinyl Butyral))製の中間膜2の表裏両面にガラス3がそれぞれ接合された構造を有するものであって、自動車のフロントガラスや建築物の防犯用ガラス窓等として使用されるものである。
図1は合わせガラス1の側面断面図である。
図1に示す通り、合わせガラス1は、透明な樹脂(PVB(PolyVinyl Butyral))製の中間膜2の表裏両面にガラス3がそれぞれ接合された構造を有するものであって、自動車のフロントガラスや建築物の防犯用ガラス窓等として使用されるものである。
本発明に係る合わせガラスの分離方法は、上記合わせガラス1において中間膜2と各ガラス3とを互いに分離する技術に関するものであり、ここから図2〜図5を参照しながらその合わせガラス1の分離方法について説明する。
図2は、合わせガラス1の分離方法を経時的に示すフローチャートである。
本発明に係る合わせガラス1の分離方法によれば、図2に示す通り、始めに合わせガラス1にひびを入れ(ひび入れ工程S1)、その後ひび入りの合わせガラス1を加熱し(加熱工程S2)、最後に加熱済みの合わせガラス1に超音波を照射し(超音波照射工程S3)、中間膜2とガラス3とを互いに分離する。つまり、合わせガラス1の分離方法は、ひび入れ工程S1、加熱工程S2及び超音波照射工程S3の3工程から構成されており、ひび入れ工程S1から加熱工程S2を経て超音波照射工程S3に至るようになっている。
本発明に係る合わせガラス1の分離方法によれば、図2に示す通り、始めに合わせガラス1にひびを入れ(ひび入れ工程S1)、その後ひび入りの合わせガラス1を加熱し(加熱工程S2)、最後に加熱済みの合わせガラス1に超音波を照射し(超音波照射工程S3)、中間膜2とガラス3とを互いに分離する。つまり、合わせガラス1の分離方法は、ひび入れ工程S1、加熱工程S2及び超音波照射工程S3の3工程から構成されており、ひび入れ工程S1から加熱工程S2を経て超音波照射工程S3に至るようになっている。
図3はひび入れ工程S1を説明するための説明図である。
図3に示す通り、ひび入れ工程S1では、互いに対向配置された非金属材料(例えばセラミックス)製のローラ10間に合わせガラス1を挟持させ、各ローラ10を回転させて合わせガラス1(各ガラス3)にひびを入れる。ひび入れ工程S1では、赤外線を照射して合わせガラス1にひびを入れてもよいし、熱伝導等により熱歪みを生じさせて合わせガラス1にひびを入れてもよいし、空気中に衝撃波を生じさせて合わせガラス1にひびを入れてもよいし、合わせガラス1そのものを振動させて当該合わせガラス1にひびを入れてもよい。
図3に示す通り、ひび入れ工程S1では、互いに対向配置された非金属材料(例えばセラミックス)製のローラ10間に合わせガラス1を挟持させ、各ローラ10を回転させて合わせガラス1(各ガラス3)にひびを入れる。ひび入れ工程S1では、赤外線を照射して合わせガラス1にひびを入れてもよいし、熱伝導等により熱歪みを生じさせて合わせガラス1にひびを入れてもよいし、空気中に衝撃波を生じさせて合わせガラス1にひびを入れてもよいし、合わせガラス1そのものを振動させて当該合わせガラス1にひびを入れてもよい。
図4は加熱工程S2を説明するための説明図である。
ひび入れ工程S1の処理を終えたら、図4に示す通り、ひび入りの合わせガラス1を加熱装置20に設置して加熱する。図4に示す加熱装置20について説明すると、加熱装置20は、図示略の温度センサ及び加熱手段(例えば電熱線)が配された加熱槽21を有しており、加熱槽21の内部には加熱用の媒体22(例えば水)が満たされている。加熱装置20においては、温度センサに基づく加熱手段の制御により、加熱槽21の媒体22が70〜90℃に保持されるようになっている。加熱工程S2では、ひび入りの合わせガラス1を加熱槽21の媒体22に浸漬させ、当該合わせガラス1を70〜90℃の温度範囲内で1〜20分加熱する。加熱時間はひび入れの方法やひびの入り方で変わるが、好ましい範囲は10〜20分である。
ひび入れ工程S1の処理を終えたら、図4に示す通り、ひび入りの合わせガラス1を加熱装置20に設置して加熱する。図4に示す加熱装置20について説明すると、加熱装置20は、図示略の温度センサ及び加熱手段(例えば電熱線)が配された加熱槽21を有しており、加熱槽21の内部には加熱用の媒体22(例えば水)が満たされている。加熱装置20においては、温度センサに基づく加熱手段の制御により、加熱槽21の媒体22が70〜90℃に保持されるようになっている。加熱工程S2では、ひび入りの合わせガラス1を加熱槽21の媒体22に浸漬させ、当該合わせガラス1を70〜90℃の温度範囲内で1〜20分加熱する。加熱時間はひび入れの方法やひびの入り方で変わるが、好ましい範囲は10〜20分である。
加熱工程S2で加熱温度を70〜90℃とするのは、70〜90℃の温度範囲内では温度上昇に伴い中間膜2とガラス3との接合力が減少する傾向にあるが、70℃未満の温度では中間膜2とガラス3との接合力が強すぎてその後の超音波照射工程S3で中間膜2とガラス3とを分離することができず、90℃より高い温度では中間膜2が劣化して中間膜2を回収・再利用することができないからである。
図5は超音波照射工程S3を説明するための説明図である。
加熱工程S2の処理を終えたら、図5に示す通り、加熱済みの合わせガラス1を超音波照射装置30に設置して当該合わせガラス1に超音波を照射し、中間膜2と各ガラス3とを分離する。図5に示す超音波照射装置30について説明すると、超音波照射装置30は外部槽31と内部槽32を有しており、外部槽31の内部に内部槽32が配されている。外部槽31には、超音波を発振する2台の超音波発振器33,33が配されているとともに脱気水34が満たされている。脱気水34は、各超音波発振器33から発される超音波を伝播させる媒体として機能するものであって、脱気したものであればどのような種類の水であってもよく、単なる水道水であってもよい。また、超音波発振器33もその設置台数は限定されない。
加熱工程S2の処理を終えたら、図5に示す通り、加熱済みの合わせガラス1を超音波照射装置30に設置して当該合わせガラス1に超音波を照射し、中間膜2と各ガラス3とを分離する。図5に示す超音波照射装置30について説明すると、超音波照射装置30は外部槽31と内部槽32を有しており、外部槽31の内部に内部槽32が配されている。外部槽31には、超音波を発振する2台の超音波発振器33,33が配されているとともに脱気水34が満たされている。脱気水34は、各超音波発振器33から発される超音波を伝播させる媒体として機能するものであって、脱気したものであればどのような種類の水であってもよく、単なる水道水であってもよい。また、超音波発振器33もその設置台数は限定されない。
一方、内部槽32には脱気したpH11以上の強アルカリイオン水35が満たされている。強アルカリイオン水35は、上記各超音波発振器33から発される超音波を伝播させかつ合わせガラス1を浸漬させる媒体として機能するものである。超音波照射装置30に関し、外部槽31及び内部槽32にはそれぞれ図示略の温度センサ及び冷却手段が配されており、各温度センサに基づく冷却手段の制御により、外部槽31の脱気水34と内部槽32の強アルカリイオン水35とが50℃以下に保持されるようになっている。
超音波照射工程S3では、加熱工程S2で加熱済みの合わせガラス1を内部槽32の強アルカリイオン水35に浸漬させた状態で、各超音波発振器33から発振周波数19〜30kHzの超音波を1〜30分発振させ、当該合わせガラス1を50℃以下に保持しながら当該合わせガラス1に発振周波数19〜30kHzの超音波を1〜30分照射する。照射時間は、ひびの入り方や加熱時間でも左右されるが、好ましい範囲は10〜20分である。
合わせガラス1に照射する超音波の発振周波数を19〜30kHzとするのは、19kHz未満の発振周波数では、ノイズが発生して好ましくない上に労務上の安全性その他の取締条例が規定する安全性の限界値を超えてしまい、30kHzより高い発振周波数では、発生する真空気泡の数は増えるが、個々の真空気泡が放出するエネルギーが小さくて各真空気泡が放出するエネルギーを足し合わせても、高分離率で中間膜2とガラス3とを分離することができないからである。
超音波の照射中においては、超音波の影響により、各ガラス3のひび部(ひびの入った部分、以下同じ。)や中間膜2とガラス3とのあいだでキャビテーションが発生し、中間膜2とガラス3との分離が促進される。詳しくは、超音波の照射中において、強アルカリイオン水35が局所的に繰り返し加圧・減圧されるが、減圧時に発生した非常に細かい無数の真空気泡が、各ガラス3のひび部や中間膜2とガラス3とのあいだに入り込んで、加圧時に押し潰されて強力な衝撃力を発生し、中間膜2とガラス3との分離を促進する。これにより、中間膜2とガラス3とを高分離率で分離することができる。
なお、超音波照射工程S3で各超音波発振器33から発された超音波は、脱気水34及び強アルカリイオン水35を媒体として内部槽32の壁を完全に透過しながら合わせガラス1まで伝播し、内部槽32の壁で遮断されたり減衰したりすることはない。
以上の本第1の実施形態では下記(1)〜(5)の作用・効果を奏する。
(1)ひび入れ工程S1、加熱工程S2及び超音波照射工程S3の各工程を経て中間膜2とガラス3とを分離するため、高分離率で中間膜2とガラス3とを互いに分離することができる(下記実施例1参照)。
(2)ひび入れ工程S1から超音波照射工程S3にかけて、中間膜2とガラス3とを分離するのにロールやハンマー等の金属製部材を一切用いないため、分離後のガラス3に金属の異物が混入することがなく、純度の高いガラス3を回収することができる。
(1)ひび入れ工程S1、加熱工程S2及び超音波照射工程S3の各工程を経て中間膜2とガラス3とを分離するため、高分離率で中間膜2とガラス3とを互いに分離することができる(下記実施例1参照)。
(2)ひび入れ工程S1から超音波照射工程S3にかけて、中間膜2とガラス3とを分離するのにロールやハンマー等の金属製部材を一切用いないため、分離後のガラス3に金属の異物が混入することがなく、純度の高いガラス3を回収することができる。
(3)ひび入れ工程S1で合わせガラス1にひびを入れるだけで、分離前の原型をほとんど崩さずに中間膜2とガラス3とを分離することができるため、粉塵が発生することがなく、本発明に係る合わせガラス1の分離方法は作業性・安全性に優れる。
(4)有機溶剤等の薬品を使用することなく中間膜2とガラス3とを分離することができるため、本発明に係る合わせガラス1の分離方法は作業環境性に優れ、分離後の中間膜2は品質も良好であって、特に洗浄しなくても当該中間膜2をそのままマテリアルリサイクル品として再利用することができる。
(4)有機溶剤等の薬品を使用することなく中間膜2とガラス3とを分離することができるため、本発明に係る合わせガラス1の分離方法は作業環境性に優れ、分離後の中間膜2は品質も良好であって、特に洗浄しなくても当該中間膜2をそのままマテリアルリサイクル品として再利用することができる。
(5)超音波照射工程S3では、合わせガラス1を浸漬させる媒体として強アルカリイオン水35を用いるため、各ガラス3のひび部から中間膜2と各ガラス3とのあいだに水(強アルカリイオン水35)が侵入し易く、その界面活性効果で中間膜2とガラス3との接合力を弱めることができ、ひいては中間膜2とガラス3との分離率を飛躍的に向上させることができる。
なお、上記超音波照射工程S3では、外部槽31の内部に内部槽32を配した超音波照射装置30を用いたが、内部槽32を省略して外部槽31を脱気したpH11以上の強アルカリイオン水35で満たし、上記超音波照射工程S3で示した処理と同様の処理をおこなってもよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る合わせガラス1の分離方法は、下記の点で上記第1の実施形態に係る合わせガラス1の分離方法と異なっており、それ以外の点は上記第1の実施形態に係る合わせガラス1の分離方法と同じである。
第2の実施形態に係る合わせガラス1の分離方法は、下記の点で上記第1の実施形態に係る合わせガラス1の分離方法と異なっており、それ以外の点は上記第1の実施形態に係る合わせガラス1の分離方法と同じである。
すなわち、第2の実施形態に係る加熱工程S2では、加熱用の媒体として、媒体22に代えて電子波水45を適用し(図4参照)、ひび入りの合わせガラス1に熱を伝達する。
また、第2の実施形態に係る超音波照射工程S3では、内部槽32に入れる媒体であって加熱済みの合わせガラス1を浸漬させる媒体として、強アルカリイオン水35に代えて電子波水45を適用し(図5参照)、加熱済みの合わせガラス1に超音波を照射する。
第2の実施形態に係る超音波照射工程S3において、内部槽32を省略した超音波照射装置30を用いた場合には、外部槽31に電子波水45を満たして加熱済みの合わせガラス1に超音波を照射する。
なお、上記のように、媒体22に代えて電子波水45を適用する加熱工程S2と、強アルカリイオン水35に代えて電子波水45を適用する超音波照射工程S3とを、必ずしも組み合わせる必要はなく、どちらか一方の工程で上記の処理(電子波水45を適用する処理)をおこなうようにしてもよい。
また、本第2の実施形態に係る加熱工程S2及び/又は超音波照射工程S3で合わせガラス1を浸漬させる媒体として電子波水45を適用した場合には、当該加熱工程S2及び/又は超音波照射工程S3で電子波水45に電子波を照射してもよい。電子波水45に電子波を照射すると、当該電子波水45の劣化を防止することができる。
加熱工程S2及び/又は超音波照射工程S3で電子波水45に電子波を照射するときは、加熱槽21及び/又は内部槽32(内部槽32を省略するときは外部槽34)の上方及び/又は側方に電子波照射装置を設置してその電子波照射装置から電子波を照射する。電子波照射装置の設置台数に制限はないが、電子波照射装置からは波長400〜800nmの電子波を照射するのが電子波水を効率良く生成する上で適切である。
本実施例1では、重量の異なる複数種類の合わせガラスを試料として、各試料を一定の条件下で上記ひび入れ工程S1、加熱工程S2及び超音波照射工程S3(上記第1の実施形態参照)と同様の処理の用に供し、各試料の中間膜とガラスとの分離率を測定した。
始めに、各試料1〜12をローラ間に挟持させて各試料1〜12にひびを入れた(ひび入れ工程)。その後、ひび入りの各試料1〜12を、図4に示す加熱装置20と同様の加熱装置に設置し、70〜90℃の温度範囲内で10分間加熱した(加熱工程)。その後、加熱済みの各試料1〜12を、図5に示す超音波照射装置30と同様の超音波照射装置に設置し、50℃以下の温度に保持しながら19〜30kHzの超音波を20分間照射した(超音波照射工程)。
このような処理の前後の各試料1〜12の重量、超音波照射装置における脱気水(外部槽に入れた媒体)及び強アルカリイオン水(内部槽に入れた媒体)の各温度変化、各試料1〜12における中間膜とガラスとの分離率を、実験結果として表1に示す。
表1の実験結果に示すように、試料1〜12のすべての試料において最良又は良好な状態で中間膜とガラスとを分離することができ、平均93.3%という高分離率を実現することができた。このような結果から、加熱工程においてひび入りの合わせガラスを70〜90℃に保持しながら1〜20分加熱し、超音波照射工程において加熱済みの合わせガラスをpH11以上の強アルカリイオン水に浸漬した状態で50℃以下に保持しながら当該合わせガラスに発振周波数19〜30kHzの超音波を1〜30分照射する、という一定の条件に、合わせガラスを分離するための条件が合致した場合、高分離率で合わせガラスを中間膜とガラスとに分離することができることがわかった。
本実施例2では、重量の異なる複数種類の合わせガラスを試料として、各試料を一定の条件下で上記ひび入れ工程S1、加熱工程S2及び超音波照射工程S3(上記第2の実施形態参照)と同様の処理の用に供し、各試料の中間膜とガラスとの分離率を測定した。
始めに、各試料21〜25をローラ間に挟持させて各試料21〜25にひびを入れた(ひび入れ工程)。その後、ひび入りの各試料21〜25を、図4に示す加熱装置20と同様の加熱装置に設置し、70〜90℃の温度範囲内で10分間加熱した(加熱工程)。ただし、加熱用の媒体として電子波水を適用した。
その後、加熱済みの各試料21〜25を、図5に示す超音波照射装置30と同様の超音波照射装置に設置し、50℃以下の温度に保持しながら19〜30kHzの超音波を20分間照射した(超音波照射工程)。ただし、各試料21〜25を浸漬させる媒体(内部槽に入れた媒体)として電子波水を適用した。
このような処理の前後の各試料21〜25の重量、超音波照射装置における脱気水(外部槽に入れた媒体)及び電子波水(内部槽に入れた媒体)の各温度変化、各試料21〜25における中間膜とガラスとの分離率を、実験結果として表2に示す。
表2の実験結果に示すように、平均87.7%という高分離率で各試料21〜25を中間膜とガラスとに分離することができた。このような結果から、加熱工程においてひび入りの合わせガラスを70〜90℃に保持しながら1〜20分加熱し、超音波照射工程において加熱済みの合わせガラスを電子波水に浸漬した状態で50℃以下に保持しながら当該合わせガラスに発振周波数19〜30kHzの超音波を1〜30分照射する、という一定の条件に、合わせガラスを分離するための条件が合致した場合、高分離率で合わせガラスを中間膜とガラスとに分離することができることがわかった。
1 合わせガラス
2 中間膜
3 ガラス
10 ローラ
20 加熱装置
21 加熱槽
22 媒体
30 超音波照射装置
31 外部槽
32 内部槽
33 超音波発振器
34 脱気水
35 強アルカリイオン水
45 電子波水
2 中間膜
3 ガラス
10 ローラ
20 加熱装置
21 加熱槽
22 媒体
30 超音波照射装置
31 外部槽
32 内部槽
33 超音波発振器
34 脱気水
35 強アルカリイオン水
45 電子波水
Claims (13)
- 樹脂製の中間膜の表裏両面にガラスが接合された合わせガラスを前記中間膜と前記ガラスとに分離する合わせガラスの分離方法であって、
前記合わせガラスにひびを入れるひび入れ工程と、
前記ひび入れ工程の後に前記合わせガラスを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の後に前記合わせガラスに超音波を照射する超音波照射工程と、
を備えることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項1に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記加熱工程での加熱温度が70〜90℃であることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項1又は2に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記加熱工程での加熱時間が1〜20分であることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の発振周波数が19〜30kHzであることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程で、前記超音波を伝播させる媒体が脱気水であり、前記合わせガラスを浸漬させる媒体が強アルカリイオン水であることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程で前記超音波を伝播させかつ前記合わせガラスを浸漬させる媒体が、脱気した強アルカリイオン水であることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項5又は6に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記強アルカリイオン水のpHが11以上であることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項5〜7のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記強アルカリイオン水の温度が50℃以下に保持されることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の照射時間が1〜30分であることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項5又は6に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記合わせガラスを浸漬させる媒体として前記強アルカリイオン水に代えて電子波水を用いることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項10に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記電子波水の温度が50℃以下に保持されることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項10又は11に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記超音波照射工程での前記超音波の照射時間が1〜30分であることを特徴とする合わせガラスの分離方法。 - 請求項10〜12のいずれか一項に記載の合わせガラスの分離方法において、
前記電子波水に電子波を照射することを特徴とする合わせガラスの分離方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004146521A JP2005219042A (ja) | 2004-01-05 | 2004-05-17 | 合わせガラスの分離方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004000335 | 2004-01-05 | ||
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005219042A true JP2005219042A (ja) | 2005-08-18 |
Family
ID=34995099
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004146521A Pending JP2005219042A (ja) | 2004-01-05 | 2004-05-17 | 合わせガラスの分離方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005219042A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5308669B2 (ja) * | 2005-09-12 | 2013-10-09 | 日本板硝子株式会社 | 中間膜分離方法 |
JP2014069110A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Sharp Corp | ガラス回収方法及びガラス回収装置 |
CN106183358A (zh) * | 2016-07-06 | 2016-12-07 | 中国航空工业集团公司北京航空材料研究院 | 一种分离夹层玻璃断口的方法 |
-
2004
- 2004-05-17 JP JP2004146521A patent/JP2005219042A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014069110A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Sharp Corp | ガラス回収方法及びガラス回収装置 |
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