JP2005217073A - 電解コンデンサ素子、電解コンデンサ及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 陽極端子における弁金属部の破断を抑制できる電解コンデンサ素子、電解コンデンサ及びこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の電解コンデンサ100は、陽極ランド電極23を有する基板20と、基板20上に積層された電解コンデンサ素子1とを備える。電解コンデンサ素子1は、陽極端子5を有すると共にアルミニウム部3の表面に酸化皮膜13が形成されてなるアルミニウム基体4と、陽極端子5を除くようにアルミニウム基体4の周囲に形成された電解質層8、及び、電解質層8の周囲に形成された導電体層10を有する陰極部7と、を備える。電解コンデンサ素子1の陽極端子5には、粗面化されたアルミニウム基体4の表面を圧縮してなる層15が形成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明の電解コンデンサ100は、陽極ランド電極23を有する基板20と、基板20上に積層された電解コンデンサ素子1とを備える。電解コンデンサ素子1は、陽極端子5を有すると共にアルミニウム部3の表面に酸化皮膜13が形成されてなるアルミニウム基体4と、陽極端子5を除くようにアルミニウム基体4の周囲に形成された電解質層8、及び、電解質層8の周囲に形成された導電体層10を有する陰極部7と、を備える。電解コンデンサ素子1の陽極端子5には、粗面化されたアルミニウム基体4の表面を圧縮してなる層15が形成されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、電解コンデンサ素子、電解コンデンサ及びこれらの製造方法に関する。
電解コンデンサ素子を作製するにあたっては、まず、酸化皮膜を形成する能力を有するアルミニウム、チタン、タンタルなどの金属、いわゆる弁金属からなる弁金属部を用意する。この弁金属部は陽極として機能するものである。次に、この弁金属部を陽極酸化することにより、弁金属部の表面に酸化皮膜を形成する。その後、実質的に陰極として機能する有機化合物等からなる電解質層を酸化皮膜上に形成し、グラファイトや銀等からなる導電体層を電解質層上に形成する。このようにして、電解コンデンサ素子が得られる(例えば、特許文献1参照)。
この電解コンデンサ素子を例えば陽極ランド電極及び陰極ランド電極を有する基板上に搭載すると、基板型の電解コンデンサが得られる。電解コンデンサ素子を基板上に搭載する際には、電解コンデンサ素子の陽極端子及び陰極端子を、それぞれ基板の陽極ランド電極及び陰極ランド電極に接続する。また、複数の電解コンデンサ素子を基板上に重ねて搭載すると、多段積層型の電解コンデンサが得られる。
特許第3424269号公報(特開平7−57976号公報)
ここで、電解コンデンサ素子の陽極端子を基板の陽極ランド電極と電気的に接続するためには、その陽極端子を湾曲させる必要がある。特に、多段積層型の電解コンデンサの場合、基板から遠くに位置する電解コンデンサ素子では陽極端子を基板側に大きく湾曲させる必要がある。
しかしながら、電解コンデンサ素子の陽極端子を過度に湾曲させると、湾曲させた部分の酸化皮膜に亀裂が入ることによって、その部分の弁金属部が破断してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、陽極端子における弁金属部の破断を抑制できる電解コンデンサ素子、電解コンデンサ及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の電解コンデンサ素子は、陽極端子を有すると共に弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体と、陽極端子を除くように弁金属基体の周囲に形成された陰極部と、を備え、陽極端子には、粗面化された弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成されている。
この電解コンデンサ素子では、陽極端子における粗面化された弁金属基体の表面の凹凸が圧縮により潰された状態となっている。つまり、この電解コンデンサ素子では、陽極端子を湾曲させる際に誘電体層の亀裂の起点となり得る凹凸が、殆ど消失している。これに加えて、圧縮により陽極端子における誘電体層が破壊されるので、誘電体層が細分化された状態となっている。したがって、このような電解コンデンサ素子では、陽極端子を湾曲させても誘電体層に亀裂が生じ難く、このため弁金属部の破断を抑制できる。但し、作用はこれらに限定されない。
また、本発明の電解コンデンサは、陽極端子を有すると共に弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体と、陽極端子を除くように弁金属基体の周囲に形成された陰極部と、を有し、陽極端子には、粗面化された弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成されている電解コンデンサ素子と、陽極端子が湾曲した状態で接続される端子を有する被接続体と、を備える。
この電解コンデンサは、上述のような電解コンデンサ素子を備えるので、陽極端子が湾曲した状態であっても、陽極端子における誘電体層に亀裂が生じ難い。このため、このような電解コンデンサでは、弁金属部の破断が抑制されている。
また、上記電解コンデンサは、陽極端子を有すると共に弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体と、陽極端子を除くように弁金属基体の周囲に形成された陰極部と、を有する複数の電解コンデンサ素子が積層されてなる積層体と、積層体における陽極端子が接続される端子を有する被接続体と、を備え、複数の電解コンデンサ素子のうち少なくとも一つの電解コンデンサ素子では、陽極端子には、粗面化された弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成されており、陽極端子が湾曲した状態で被接続体の端子に接続されると好ましい。
この電解コンデンサは複数の電解コンデンサ素子を備え、そのうちの一つが上述の電解コンデンサ素子である。このため、上述の電解コンデンサ素子の陽極端子が湾曲した状態であっても、陽極端子における誘電体層に亀裂が生じ難い。このため、このような電解コンデンサでは、弁金属部の破断が抑制されている。
また、複数の電解コンデンサ素子のうち、粗面化された弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成された電解コンデンサ素子は、被接続体から最も遠くに位置すると好ましい。
この電解コンデンサでは、被接続体から最も遠くに位置する電解コンデンサ素子の陽極端子が、最も大きく湾曲された状態で被接続体の端子に接続される。ここで、被接続体から最も遠くに位置する電解コンデンサ素子の陽極端子には、粗面化された弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成されているので、当該電解コンデンサ素子の陽極端子における誘電体層には亀裂が生じ難い。このため、このような電解コンデンサでは、弁金属部の破断が抑制されている。
また、本発明の電解コンデンサ素子の製造方法は、粗面化された弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体を準備する工程と、弁金属基体の表面の一部を圧縮する工程と、弁金属基体の圧縮された領域を除くように、弁金属基体の周囲に陰極部を形成する工程と、を含む。
この製造方法によれば、弁金属基体の粗面化された表面に形成された凹凸を圧縮により潰すことができる。つまり、弁金属基体を湾曲させる際に誘電体層の亀裂の起点となり得る凹凸を、圧縮により殆ど消失させることができる。これに加えて、圧縮により陽極端子における誘電体層が破壊されるので、誘電体層を細分化させることができる。したがって、この製造方法により得られる電解コンデンサ素子の陽極端子となる弁金属基体の圧縮された領域を湾曲させても誘電体層に亀裂が生じ難く、このため弁金属部の破断を抑制できる。但し、作用はこれらに限定されない。
また、本発明の電解コンデンサの製造方法は、粗面化された弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体を準備する工程と、弁金属基体の表面の一部を圧縮する工程と、弁金属基体の圧縮された領域を除くように、弁金属基体の周囲に陰極部を形成する工程と、弁金属基体の圧縮された領域を湾曲させ、弁金属基体の圧縮された領域を被接続体の端子に接続する工程と、を含む。
この製造方法によれば、弁金属基体の圧縮された領域を湾曲させる際に誘電体層の亀裂が生じ難く、このため弁金属部の破断を抑制できる。
本発明によれば、陽極端子における弁金属部の破断を抑制できる電解コンデンサ素子、電解コンデンサ及びこれらの製造方法を提供することができる。
以下、図面とともに本発明の実施形態に係る電解コンデンサ素子、電解コンデンサ及びこれらの製造方法について説明する。なお、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る電解コンデンサ素子について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る電解コンデンサ素子について説明する。
<電解コンデンサ素子>
図1は、第1実施形態に係る電解コンデンサ素子1を模式的に示す平面図である。図2は、図1に示されるII−II線方向の電解コンデンサ素子1の概略断面図である。
図1は、第1実施形態に係る電解コンデンサ素子1を模式的に示す平面図である。図2は、図1に示されるII−II線方向の電解コンデンサ素子1の概略断面図である。
電解コンデンサ素子1は、陽極端子5を有するアルミニウム基体4(弁金属基体)と、陰極部7とを備える。すなわち、電解コンデンサ素子1は二端子型の固体電解コンデンサ素子である。
アルミニウム基体4は、両面が粗面化(拡面化)された箔状のアルミニウム部3(弁金属部)と、アルミニウム部3の表面に形成された酸化皮膜13(誘電体層)とを有しており、陽極として機能する。陽極端子5は、アルミニウム基体4のうち陰極部7から突出した部分である。粗面化により形成される凹凸の高さは30μm程度であり、その凹凸の凸部におけるアルミニウム基体4の厚さは90〜100μm程度である。また、その凹凸の凹部におけるアルミニウム基体4の厚さは30nm程度である。酸化皮膜13は絶縁性酸化アルミニウム(Al2O3)等から成り、酸化皮膜13の厚さは、数nm〜数十nm程度である。
陰極部7は、陽極端子5を除くようにアルミニウム基体4の周囲に形成された電解質層8と、電解質層8の周囲に形成された導電体層10とを備える。電解質層8は、例えば導電性高分子化合物(例えば、ポリピロール等)を含む固体電解質から成り、実質的に陰極として機能する。導電体層10は、グラファイトペースト層9と、グラファイトペースト層9の周囲に形成された銀ペースト層11とを有している。
また、酸化皮膜13上の陰極部7に隣接する位置には、エポキシ樹脂又ははっすい性の感光性樹脂等から成る絶縁部材17が形成されていると好ましい。これにより、陽極端子5と陰極部7との間の電気的な絶縁を維持し易くなる。
ここで、陽極端子5には、粗面化されたアルミニウム基体4の表面を圧縮してなる層15が形成されている。層15は陽極端子5の基板搭載時に湾曲する部分に形成され、アルミニウム部3の両面に形成されている。層15が形成された部分におけるアルミニウム部3の厚さは30μm程度であり、アルミニウム部3及び層15からなるアルミニウム基体4の厚さは40〜80μm程度である。
層15では、アルミニウム基体4の表面に形成されていた凹凸が圧縮により潰された状態となっており、当該凹凸が殆ど消失していると考えられる。ここで、凹凸は陽極端子5を湾曲させる際に酸化皮膜の亀裂の起点となり得るものであるから、圧縮により凹凸を殆ど消失させることで、陽極端子5における酸化皮膜に亀裂が生じ難くなると考えられる。
さらに、層15中では、圧縮により酸化皮膜が破壊されているので、酸化皮膜は細分化されているものと考えられる。具体的には、層15はアルミニウム中に酸化アルミニウムが分散したものからなると考えられる。ここで、酸化皮膜はアルミニウムよりも脆いので、従来の電解コンデンサ素子では陽極端子を湾曲させる際に酸化皮膜に亀裂が生じ得る。さらに、この酸化皮膜の亀裂を起点としてアルミニウムが破断してしまう。これに対して本実施形態の電解コンデンサ素子1の陽極端子5に形成された層15では、予め酸化皮膜が圧縮により粉砕されて細分化されている。このため、陽極端子5における酸化皮膜の亀裂を未然に防止できると考えられる。
したがって、電解コンデンサ素子1では、陽極端子5を湾曲させてもアルミニウム部3の破断、亀裂、破損等を抑制できる。但し、作用は上述の内容に限定されない。
次に、図3及び図4を参照して、第1実施形態に係る電解コンデンサについて説明する。
<電解コンデンサ>
図3は、第1実施形態に係る電解コンデンサ100の概略断面図である。図4は、図3の領域Aで示される電解コンデンサ100の要部の概略断面図である。
図3は、第1実施形態に係る電解コンデンサ100の概略断面図である。図4は、図3の領域Aで示される電解コンデンサ100の要部の概略断面図である。
電解コンデンサ100は、基板20(被接続体)と、基板20上に複数の電解コンデンサ素子1が積層された積層体1Lとを備える。すなわち、電解コンデンサ100は多段積層型の固体電解コンデンサである。複数の電解コンデンサ素子1は、導電性接着剤層40を介して基板20上に積層されている。基板20及び電解コンデンサ素子1は、樹脂モールド(図示せず)で固定されている。
基板20は、例えばエポキシ樹脂製のプリント基板である。基板20は、その上面に銅製の陽極ランド電極23(端子)及び陰極ランド電極25を有する。また、基板20の下面には、銅製の陽極ランド電極27及び陰極ランド電極29が設けられている。これらの陽極ランド電極23,27及び陰極ランド電極25,29は、例えば印刷によって形成される。陽極ランド電極23と陽極ランド電極27とは、スルーホール(又はビアホール)23aによって電気的に接続されている。同様に、陰極ランド電極25と陰極ランド電極29とは、スルーホール(又はビアホール)25aによって電気的に接続されている。
電解コンデンサ素子1は、例えば図1及び図2で説明したものと同一である。この電解コンデンサ素子1では、陽極端子5に図2に示された層15が形成され、この陽極端子5は湾曲した状態で陽極ランド電極23に接続される。
この電解コンデンサ100は、上述のような電解コンデンサ素子1を備えるので、陽極端子5が湾曲した状態であっても、陽極端子5における酸化皮膜に亀裂が生じ難い。このため、このような電解コンデンサ100では、アルミニウム部3の破断、亀裂、破損等が抑制されている。したがって、電解コンデンサ100のコンデンサ特性の悪化を抑制できる。また、電解コンデンサ100では、陽極端子5を陽極ランド電極23に向けて大きく湾曲させることができる。よって、電解コンデンサ100では省スペース化(図3の左右方向)を図ることができる。
また、本実施形態の電解コンデンサ100では、基板20から最も遠くに位置する最上層の電解コンデンサ素子として、本実施形態の電解コンデンサ素子1が用いられている。この最上層の電解コンデンサ素子1の陽極端子5は、基板20上に載置された全ての電解コンデンサ素子1の中で最も大きく湾曲された状態で基板20の陽極ランド電極23に接続される。ここで、電解コンデンサ素子1の陽極端子5には図2に示された層15が形成されているので、この陽極端子5におけるアルミニウム部3の破断は抑制されている。
続いて、図2〜図8を参照して、第1実施形態に係る電解コンデンサ素子及び電解コンデンサの製造方法について説明する。図5〜図8は、電解コンデンサ素子1及び電解コンデンサ100の製造方法を示す工程断面図である。
<電解コンデンサ素子及び電解コンデンサの製造方法>
(アルミニウム基体の準備工程)
まず、図5に示されるように、アルミニウム部3の母体となる箔状のアルミニウム板3aを準備する。続いて、図6に示されるように、アルミニウム板3aの表面をエッチングすることにより、表面が粗面化されたアルミニウム部3を得る。その後、図7に示されるように、アルミニウム部3の表面に酸化皮膜13を形成することにより、アルミニウム基体4を得る。酸化皮膜13は、化成処理(陽極酸化)によって形成される。具体的には、アルミニウム部3をステンレスビーカに収容された化成溶液中に浸漬し、電圧を印加する。化成溶液としては、例えば濃度3%のアジピン酸アンモニウム水溶液等が好ましい。化成処理時の電圧は、所望する酸化皮膜13の膜厚に応じて適宜決定することができ、10nm〜1μmの膜厚を有する酸化皮膜13を形成する場合には、通常数ボルト〜20ボルト程度である。なお、酸化皮膜13は自然酸化皮膜を含むとしてもよい。
(アルミニウム基体の準備工程)
まず、図5に示されるように、アルミニウム部3の母体となる箔状のアルミニウム板3aを準備する。続いて、図6に示されるように、アルミニウム板3aの表面をエッチングすることにより、表面が粗面化されたアルミニウム部3を得る。その後、図7に示されるように、アルミニウム部3の表面に酸化皮膜13を形成することにより、アルミニウム基体4を得る。酸化皮膜13は、化成処理(陽極酸化)によって形成される。具体的には、アルミニウム部3をステンレスビーカに収容された化成溶液中に浸漬し、電圧を印加する。化成溶液としては、例えば濃度3%のアジピン酸アンモニウム水溶液等が好ましい。化成処理時の電圧は、所望する酸化皮膜13の膜厚に応じて適宜決定することができ、10nm〜1μmの膜厚を有する酸化皮膜13を形成する場合には、通常数ボルト〜20ボルト程度である。なお、酸化皮膜13は自然酸化皮膜を含むとしてもよい。
このようにして、アルミニウム部3の表面に酸化皮膜13が形成されてなるアルミニウム基体4を準備する。
(圧縮工程)
次に、図8に示されるように、アルミニウム基体4の表面の一部を圧縮する。具体的には、ハンドプレス等の圧縮装置PRを用いてアルミニウム基体4の表面の一部を挟むことにより、これを圧縮する。圧縮の際の圧力は、例えば1.4MPa程度が好ましい。これにより、アルミニウム基体4の粗面化された表面に形成された凹凸を圧縮により潰すことができる。つまり、アルミニウム基体4を湾曲させる際に酸化皮膜13の亀裂の起点となり得る凹凸を、圧縮により殆ど消失させることができる。これに加えて、圧縮により陽極端子5における酸化皮膜13が破壊されるので、酸化皮膜13を細分化させることができる。これにより、アルミニウム基体4の表面の一部に層15が形成される。
次に、図8に示されるように、アルミニウム基体4の表面の一部を圧縮する。具体的には、ハンドプレス等の圧縮装置PRを用いてアルミニウム基体4の表面の一部を挟むことにより、これを圧縮する。圧縮の際の圧力は、例えば1.4MPa程度が好ましい。これにより、アルミニウム基体4の粗面化された表面に形成された凹凸を圧縮により潰すことができる。つまり、アルミニウム基体4を湾曲させる際に酸化皮膜13の亀裂の起点となり得る凹凸を、圧縮により殆ど消失させることができる。これに加えて、圧縮により陽極端子5における酸化皮膜13が破壊されるので、酸化皮膜13を細分化させることができる。これにより、アルミニウム基体4の表面の一部に層15が形成される。
(絶縁部材形成工程)
次に、図2に示されるように、陽極端子5となるアルミニウム基体4の圧縮された領域5aと、陰極部7が形成されるアルミニウム基体4の一部7aとの間に絶縁部材17を必要に応じて形成する。絶縁部材17は、スクリーン印刷法等によって形成される。この絶縁部材17は、後述する陰極部形成工程で電解質層8を形成する際に、重合液が毛細管現象によってアルミニウム基体4の圧縮された領域5aに浸透してしまうことを抑制する。また、絶縁部材17に代えて、アルミニウム基体4の粗面化構造を破壊して絶縁溝部を形成するとしてもよい。さらに、この絶縁溝部にシリコーン製等の絶縁性樹脂を充填してもよい。
次に、図2に示されるように、陽極端子5となるアルミニウム基体4の圧縮された領域5aと、陰極部7が形成されるアルミニウム基体4の一部7aとの間に絶縁部材17を必要に応じて形成する。絶縁部材17は、スクリーン印刷法等によって形成される。この絶縁部材17は、後述する陰極部形成工程で電解質層8を形成する際に、重合液が毛細管現象によってアルミニウム基体4の圧縮された領域5aに浸透してしまうことを抑制する。また、絶縁部材17に代えて、アルミニウム基体4の粗面化構造を破壊して絶縁溝部を形成するとしてもよい。さらに、この絶縁溝部にシリコーン製等の絶縁性樹脂を充填してもよい。
(陰極部形成工程)
次に、図2に示されるように、アルミニウム基体4の圧縮された領域5aを除くように、アルミニウム基体4の周囲に電解質層8を形成する。具体的には、アルミニウム基体4の圧縮された領域5aを除くように、ビーカに収容された重合液にアルミニウム基体4を浸漬させ、化学酸化重合又は電解酸化重合を行う。なお、電解質層8を形成した後に、上述の化成処理と同様の方法で皮膜修復処理(エージング)を行ってもよい。
次に、図2に示されるように、アルミニウム基体4の圧縮された領域5aを除くように、アルミニウム基体4の周囲に電解質層8を形成する。具体的には、アルミニウム基体4の圧縮された領域5aを除くように、ビーカに収容された重合液にアルミニウム基体4を浸漬させ、化学酸化重合又は電解酸化重合を行う。なお、電解質層8を形成した後に、上述の化成処理と同様の方法で皮膜修復処理(エージング)を行ってもよい。
その後、電解質層8の周囲にグラファイトペースト層9を形成し、グラファイトペースト層9の周囲に銀ペースト層11を形成する。これらの層を形成する方法として、スクリーン印刷法、浸漬法(ディップ法)、スプレー塗布法等を例示できる。このようにして、グラファイトペースト層9及び銀ペースト層11を含む導電体層10を形成する。
以上より、電解質層8及び導電体層10を含む陰極部7を形成する。
以上の工程を経ることで電解コンデンサ素子1が得られる。なお、上述の各工程の順序は上記のものに限定されない。例えば、圧縮工程は、陰極部形成工程の後に実施されるとしてもよく、絶縁部材形成工程の後に実施されるとしてもよい。
(接続工程)
次に、図3及び図4に示されるように、上記工程を経て得られた電解コンデンサ素子1を基板20上に導電性接着剤層40を介して複数載置する。このとき、電解コンデンサ素子1の陰極部7は、基板20の陰極ランド電極25に接続される。
次に、図3及び図4に示されるように、上記工程を経て得られた電解コンデンサ素子1を基板20上に導電性接着剤層40を介して複数載置する。このとき、電解コンデンサ素子1の陰極部7は、基板20の陰極ランド電極25に接続される。
次に、陽極端子5(アルミニウム基体4の圧縮された領域5a)を湾曲させ、YAGレーザ溶接等により陽極端子5を基板20の陽極ランド電極23に電気的に接続する。このとき、陽極端子5は湾曲した状態となるが、陽極端子5における酸化皮膜13に亀裂は生じ難く、このためアルミニウム部3の破断を抑制できる。但し、作用はこれらに限定されない。
(第2実施形態)
次に、図9を参照して、第2実施形態に係る電解コンデンサについて説明する。
次に、図9を参照して、第2実施形態に係る電解コンデンサについて説明する。
図9は、第2実施形態に係る電解コンデンサ200の概略断面図である。電解コンデンサ200は、図3に示される電解コンデンサ100の基板20をリードフレーム50(被処理体)に置換したものである。すなわち、電解コンデンサ200はいわゆるリードフレーム型電解コンデンサである。リードフレーム50は、陽極リード51(端子)及び陰極リード53を備える。このように、リードフレーム50に電解コンデンサ素子1を搭載した場合にも、第1実施形態のように陽極端子5におけるアルミニウム部3の破断を抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では二端子型の電解コンデンサ素子及び電解コンデンサについて説明したが、複数の陽極端子を有する多端子型の電解コンデンサ素子及び電解コンデンサとしてもよい。なお、図10は、複数の陽極端子5を有する多端子型の電解コンデンサ素子1aを模式的に示す平面図である。各々の陽極端子5には、図2に示された層15が形成されている。多端子型の電解コンデンサ素子1aを用いる場合は、全ての陽極端子5においてアルミニウム基体の表面を圧縮してなる層15が形成されていることが好ましい。もっとも、被接続体の構成等の各種事情に応じて、複数の陽極端子5のうち特定のものにおいてのみ、アルミニウム基体の表面を圧縮してなる層15を形成してもよい。
また、上記実施形態では弁金属基体の材料である弁金属としてアルミニウムを例示したが、これに限定されずチタン、タンタル等でもよい。
また、上記実施形態では電解コンデンサに含まれる全ての電解コンデンサ素子の陽極端子に、粗面化された弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成されているとしたが、少なくとも一つの電解コンデンサ素子の陽極端子に当該層が設けられているとしてもよい。
1,1a…電解コンデンサ素子、1L…積層体、3…アルミニウム部(弁金属部)、4…アルミニウム基体(弁金属基体)、5…陽極端子、5a…アルミニウム基体(弁金属基体)の圧縮された領域、7…陰極部、8…電解質層、10…導電体層、13…酸化皮膜(誘電体層)、15…粗面化されたアルミニウム基体(弁金属基体)の表面を圧縮してなる層、17…絶縁部材、20…基板(被接続体)、23…陽極ランド電極(端子)、50…リードフレーム(被接続体)、51…陽極リード(端子)、100,200…電解コンデンサ。
Claims (6)
- 陽極端子を有すると共に弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体と、
前記陽極端子を除くように前記弁金属基体の周囲に形成された陰極部と、を備え、
前記陽極端子には、粗面化された前記弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成されている電解コンデンサ素子。 - 陽極端子を有すると共に弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体と、前記陽極端子を除くように前記弁金属基体の周囲に形成された陰極部と、を有し、前記陽極端子には、粗面化された前記弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成されている電解コンデンサ素子と、
前記陽極端子が湾曲した状態で接続される端子を有する被接続体と、
を備える電解コンデンサ。 - 陽極端子を有すると共に弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体と、前記陽極端子を除くように前記弁金属基体の周囲に形成された陰極部と、を有する複数の電解コンデンサ素子が積層されてなる積層体と、
前記積層体における前記陽極端子が接続される端子を有する被接続体と、を備え、
前記複数の電解コンデンサ素子のうち少なくとも一つの電解コンデンサ素子では、前記陽極端子には、粗面化された前記弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成されており、該陽極端子が湾曲した状態で前記被接続体の前記端子に接続される電解コンデンサ。 - 前記複数の電解コンデンサ素子のうち、前記粗面化された弁金属基体の表面を圧縮してなる層が形成された電解コンデンサ素子は、前記被接続体から最も遠くに位置する請求項3に記載の電解コンデンサ。
- 粗面化された弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体を準備する工程と、
前記弁金属基体の表面の一部を圧縮する工程と、
前記弁金属基体の圧縮された領域を除くように、前記弁金属基体の周囲に陰極部を形成する工程と、
を含む電解コンデンサ素子の製造方法。 - 粗面化された弁金属部の表面に誘電体層が形成されてなる弁金属基体を準備する工程と、
前記弁金属基体の表面の一部を圧縮する工程と、
前記弁金属基体の圧縮された領域を除くように、前記弁金属基体の周囲に陰極部を形成する工程と、
前記弁金属基体の圧縮された領域を湾曲させ、該弁金属基体の圧縮された領域を被接続体の端子に接続する工程と、
を含む電解コンデンサの製造方法。
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JP2004020505A JP2005217073A (ja) | 2004-01-28 | 2004-01-28 | 電解コンデンサ素子、電解コンデンサ及びこれらの製造方法 |
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KR100889174B1 (ko) * | 2006-04-21 | 2009-03-16 | 산요덴키가부시키가이샤 | 적층형 고체 전해 컨덴서 및 그 제조 방법 |
JP2020061516A (ja) * | 2018-10-12 | 2020-04-16 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 固体電解コンデンサおよびその製造方法 |
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2004
- 2004-01-28 JP JP2004020505A patent/JP2005217073A/ja not_active Withdrawn
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