JP2005215555A - ディスプレイ装置およびディスプレイパネル装置 - Google Patents

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Nobuyuki Hori
伸行 堀
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敦夫 大沢
Fumihiro Namiki
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Abstract

【課題】ディスプレイパネルに対する機械的歪みの影響を低減しつつ、電磁波の遮蔽を実現することを目的とする。
【解決手段】ディスプレイパネル2の前面に貼り付けるシート3の柔軟性を利用することによって、ディスプレイパネル2と導電性ハウジング102との位置関係の柔軟性を確保する。シート3の平面サイズをディスプレイパネル2のそれよりも大きくし、ディスプレイパネル2から離れた位置でシート3の周縁部分を導電性ハウジング102に固定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ディスプレイパネルとそれに貼り付いた前面シートとで構成されるディスプレイパネル装置を備えたフラット型ディスプレイ装置に関する。
自己発光デバイスであるプラズマディスプレイパネル(PDP)の技術開発は、より迫力ある表示の提供をめざし、画面を大型化する方向へ進んでいる。大型化を進める上での重要な課題に軽量化がある。
一般に、プラズマディスプレイパネルを備えたディスプレイ装置は、強化ガラスを支持体とする剛性の板状フィルタを備えている。この板状フィルタは、プラズマディスプレイパネルの前方に配置され、プラズマディスプレイパネルから離れている。板状フィルタは、表示色の光学的調整、外光の反射防止、電磁波の遮断、および近赤外線の遮蔽といった表示動作に係わる様々な機能とともに、プラズマディスプレイパネルを機械的衝撃から保護する機能を有している。また、板状フィルタをプラズマディスプレイパネルの前方に配置することは、プラズマディスプレイパネルの振動音の遮音にも有効である。
しかし、板状フィルタは、それ自体の重量が大きいので、プラズマディスプレイパネルの大型化にとって好ましくない。ディスプレイ装置の軽量化を図るには、板状フィルタの組み付けに代えて、樹脂フィルムを支持体とする薄いフィルタをプラズマディスプレイパネルの前面に直接に貼り付ける構造が適している。
特開2001−343898号公報には、EMI対策のための透明導電フィルムとその前側に接着された反射防止フィルムとからなる前面フィルタが記載されている。この開示では、透明導電フィルムを導電性ハウジング(シールド筐体)と接続するため、透明導電フィルムの周縁部が露出するように、反射防止フィルムの平面サイズが透明導電フィルムの平面サイズよりも小さくされている。透明導電フィルムの周縁部に導電性ハウジングの一部を押し当て、導電性ハウジングとプラズマディスプレイパネルとで透明導電フィルムの周縁部を挟む形式で導電接続が行われる。プラズマディスプレイパネルの外面全体を導体で囲むことにより、プラズマディスプレイパネルの放射する電磁波エネルギーが透明導電フィルムからハウジングへ電流となって流れて消滅する。透明導電フィルムは電磁波遮蔽層として機能する。
特開2001−343898号公報
従来では、電磁波遮蔽層と導電性ハウジングとの接続によってプラズマディスプレイパネルに応力が加わり、それによって不良セルの発生率が高まるという問題があった。画面が大型になるほど機械的歪み(微小変形)の影響が大きくなる。すなわち、プラズマディスプレイパネルとハウジングとの位置関係の変動が顕著になる。従来の構造において機械的歪みの影響を低減するために接続部の押圧力を弱めると、電磁波の遮蔽が不安定になる。複雑な接続機構を採用すると、ディスプレイ装置の厚さが増大してしまう。また、従来では、プラズマディスプレイパネルの振動音を有効に遮音するのが難しいという問題もあった。本発明は、ディスプレイパネルに対する機械的歪みの影響を低減しつつ、電磁波の遮蔽を実現することを目的としている。他の目的は音響ノイズの低減にある。
本発明においては、ディスプレイパネルの前面に貼り付けるシートの柔軟性(フレキシビリティ:flexibility)を利用することによって、ディスプレイパネルと導電性ハウジングとの位置関係をある程度の変化が許容される関係とする。シートの平面サイズをディスプレイパネルのそれよりも大きくし、ディスプレイパネルから離れた位置でシートの周縁部分を導電性ハウジングに固定する。固定位置とディスプレイパネルとの相対位置が微妙にずれるような機械的歪みが生じたとしても、シートにおける固定位置とディスプレイパネルの端縁との間の部分が撓むことによって、ディスプレイパネルに加わる応力が低減される。なお、周縁部分とは、端縁の近傍であり端縁にその全長にわたって沿った環状の部分を意味する。その環の幅は適宜選定することができる。
シートがディスプレイパネルの前面を覆う導電性の層を有すること、導電性ハウジングがディスプレイパネルの側面および背面を覆う導電体であること、および導電性の層の周縁部分が導電性ハウジングと接することによって、電磁波の遮蔽が実現される。
シートにおけるディスプレイパネルと重ならない周縁部分を背面側に折り曲げることにより、上記位置関係の柔軟性を確保しつつ、導電性ハウジングの平面サイズを小さくすることができる。導電性ハウジングのサイズ縮小は、ディスプレイ装置の外形寸法を画面サイズに近づけるのに貢献する。外形寸法の短縮は、外装カバーの内面をプラズマディスプレイパネルの側面に近づけ、外装カバーの前面部分とプラズマディスプレイパネルの前面との間に吸音材を配置するノイズ対策の効果を高める。
シートと導電性ハウジングとの接続の以前に、シートの四隅に切り込みを形成しておけば、シートの折り曲げが容易となる。ただし、切り込みから電磁波が漏れないようにシートと導電性ハウジングとの接続する必要がある。
請求項1ないし請求項4の発明によれば、ディスプレイパネルに対する機械的歪みの影響を低減しつつ、電磁波の遮蔽を実現することができる。請求項3の発明によれば、プラズマディスプレイパネルの発する音響ノイズを低減することができる。
カラー表示デバイスとして有用なプラズマディスプレイパネルは本発明の好適な適用対象である。以下ではディスプレイパネル(表示パネル)としてプラズマディスプレイパネルを用いる実施形態を説明する。
図1は本発明に係るディスプレイ装置の外観を示す。ディスプレイ装置100は、フラット型であり、対角42インチの画面50をもつ。画面50の水平方向の寸法は0.92m、垂直方向の寸法は0.52mである。ディスプレイ装置100の平面サイズを決める化粧カバー101は画面50よりも大きい開口を有しており、ディスプレイパネル装置1の前面が部分的に露出している。
図2はディスプレイパネル装置の構成を示す。ディスプレイパネル装置1は、画面を構成するデバイスであるプラズマディスプレイパネル2と、表示面となるプラズマディスプレイパネル2の前面に直接に貼り付けられた前面シート3とで構成される。プラズマディスプレイパネル2は、ガス放電によって発光する自己発光型のデバイスであり、前面板10と背面板20とからなる。前面板10および背面板20はともに厚さ3mm程度のガラス板を支持体とする構成要素である。本発明の実施においてプラズマディスプレイパネル2の構成に制約はないので、ここではプラズマディスプレイパネル2の内部構造の説明を省略する。
図3は図1の3−3矢視断面図であり、ディスプレイ装置の構成の第1例を示す。図4は図3の鎖線で囲まれた部分の拡大図であり、ディスプレイ装置の要部の構造を示す。図5は前面シートの固定の概要を示す。
図3のように、ディスプレイ装置100では、化粧カバー101が取り付けられた導電性ハウジング102の中にディスプレイパネル装置1が配置されている。ディスプレイパネル装置1は、熱伝導粘着テープ104によってアルミニウム製のシャーシ105に取り付けられ、シャーシ105はスペーサ106,107を介して導電性ハウジング102に固定されている。シャーシ105の背面側に駆動回路90が配置されている。図3では電源、映像信号処理回路、および音響回路が省略してある。
前面シート3は、後述のように樹脂フィルムを支持体とする0.2mm厚の表側部分3Aと樹脂層からなる0.5mm厚の裏側部分3Bとが重なった柔軟性の積層体である。特に、多層構造の機能フィルムである薄い表側部分3Aは湾曲性に優れる。前面シート3の平面サイズ、厳密には表側部分3Aの平面サイズはプラズマディスプレイパネル2の平面サイズよりも大きく、表側部分3Aの周縁部分がプラズマディスプレイパネル2の外側に位置する。裏側部分3Bの平面サイズは表側部分3Aのそれよりも小さくかつ画面のそれよりも大きい。
導電性ハウジング102は、四角形の背面と四方の側面と環状の前面とをもつ箱状に成型された金属板であり、プラズマディスプレイパネル2の側面および背面をそれらから離れて覆う導電体である(図5参照)。導電性ハウジング102の前面の内周縁は前方から見てプラズマディスプレイパネル2の外側に位置する。
ディスプレイ装置100において、前面シート3はプラズマディスプレイパネル2に沿ってほぼ平坦に拡がり、その端部のみが導電性ハウジング102の前面と接する。前面シート3の前側に環状の押さえ部材103が配置され、押さえ部材103と導電性ハウジング102の前面とで前面シート3を挟み付ける形式で、前面シート3の端部が導電性ハウジング102に固定される。ただし、実際は、図4のように前面シート3における表側部分3Aの端部が導電性ハウジング102に固定される。ここで、表側部分3Aは電磁波遮蔽層320を有している。電磁波遮蔽層320は表側部分3Aにおける背面側の層である。表側部分3Aの平面サイズは前面シート3のそれと等しく、裏側部分3Bのそれよりも大きい。したがって、前面シート3を導電性ハウジング102に固定することによって、電磁波遮蔽層320と導電性ハウジング102とが電気的に接続される。その接続位置はプラズマディスプレイパネル2から離れた位置である。
図4がよく示すように、プラズマディスプレイパネル2と導電性ハウジング102とが、前面シート3における中空支持状態の部分3Aaを介して連結される。前面シート3は柔軟性をもつので、衝撃や熱によってプラズマディスプレイパネル2と導電性ハウジング102との位置関係が変動しても、プラズマディスプレイパネル2に加わる応力が部分3Aaの変形によって緩和される。前面シート3と導電性ハウジング102との接続に対する影響も低減される。変形には撓み、収縮、伸張、および捩れが含まれる。
前面シート3の端部の固定手法としては、プラスチック製のリベット150を打ち込む手法が量産性および軽量化の観点で好適である。あらかじめ前面シート3、導電性ハウジング102、および押さえ部材103に、リベット150に適合する穴3Ah,102h,103hを設けておくのが望ましい。パンチングによって多数の穴の一括形成することができる。前面シート3の端部において、押さえ部材103の厚さ分の出っ張りが生じるものの、これによるディスプレイ装置100の厚さの増加は僅か1〜2mm程度に過ぎない。
図6は前面シートの層構造を示す。前面シート3は、前面側から順に0.1mm厚の光学フィルム層310、0.1mm厚の電磁波遮蔽層320、0.5mm厚の衝撃吸収層351、および数μm厚の粘着層352が重なった約0.7mm厚の積層体である。光学フィルム層310および電磁波遮蔽層320が表側部分3Aを構成し、これら層において平面サイズは共通である。前面シート3の全体の可視光透過率は視感度補正した値で約40%である。衝撃吸収層351および粘着層352が裏側部分3Bを構成する。前面シート3の重さは約500gであり、従来の板状フィルタ(約4.2kg)と比べて前面シート3は大幅に軽い。
光学フィルム層310は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のフィルム311、フィルム311の前面側にコーティングされた反射防止膜312、およびフィルム311の背面側に形成された色素層313からなる。反射防止膜312は外光の反射を防止する。ただし、反射防止膜312の機能をAR(アンチリフレクション)からAG(アンチグレア)に変更してもよい。反射防止膜312は、シート表面の傷耐性を鉛筆硬度4Hまで高めるハードコートを含んでいる。色素層313はカラー表示に係る赤(R)、緑(G)、青(B)の可視光透過率の調整と近赤外線の遮蔽を担う。色素層313には樹脂中に波長850nm〜1100nm近傍の光を吸収する赤外光吸収色素、波長580nm近傍の光を吸収するネオン光吸収色素、および可視光透過率を調整するための色素が含まれている。光学フィルム層310の外光反射率は視感度補正した値で3%、可視光透過率は視感度補正した値で55%である。また、赤外線の透過率は波長領域内の平均で10%である。
電磁波遮蔽層320は、PET製のフィルム321とメッシュ状の部分をもつ銅箔である10μm厚の導電層322とからなる。導電層322のうち、画面と重なる領域の可視光透過率は80%である。導電層322の前面側表面には黒化処理が施されているので、光学フィルム層310を通して電磁波遮蔽層320を見ると、電磁波遮蔽層320はほぼ真っ黒に見える。
光学フィルム層310のフィルム311および電磁波遮蔽層320のフィルム321は、プラズマディスプレイパネル2のガラス板が割れる非常事態が生じたときに、ガラスの飛散を防止する機能をもつ。この機能を得る上で、フィルム311およびフィルム321を合わせて、厚さが50μm以上であるのが望ましい。
衝撃吸収層351はアクリル系の軟質の樹脂からなり、その可視光透過率は90%である。衝撃吸収層351は樹脂の塗布によって形成される。塗布に際して、樹脂は導電層322におけるメッシュの隙間に入り込み、導電層322を平坦化する。これによって、導電層322の凹凸によって光散乱が発生するのが防止される。
軟質の樹脂からなる衝撃吸収層351は前面シート3を薄くするのに貢献する。ディスプレイパネル装置1を水平な硬い床に置いて、画面の中心に向けて約500gの鉄球を落下させる試験を行った。プラズマディスプレイパネル2が割れる直前の衝撃力は約0.40Jであった。前面シート3のないプラズマディスプレイパネル2に対する同様の試験の結果は約0.13Jであり、光学フィルム層310のみをプラズマディスプレイパネル2に貼り付けたディスプレイパネル装置に対する同様の試験の結果は約0.15Jであった。つまり、前面シート3による衝撃耐性の向上分は約0.26Jであり、その大半の約0.24Jの向上は衝撃吸収層351が担っている。0.5mm厚の衝撃吸収層351が実用性をもっている。
本実施例では、衝撃吸収層351を構成する樹脂層の背面側表層部が粘着層352として機能する。衝撃吸収層351は、PETと銅とで構成される電磁波遮蔽層320には比較的に強固に粘着する。これに対して、粘着層352は、プラズマディスプレイパネル2の前面であるガラス面には緩く粘着する。その粘着力は2N/25mm程度である。前面シート3を剥がそうとすると、光学フィルム層310と電磁波遮蔽層320とが剥がれることはなく、前面シート3がプラズマディスプレイパネル2から正常に剥がれる。正常とは目視で判る剥がれ残りの生じない一様な剥離面の得られる様相を意味する。
図7は電磁波遮蔽層の導体パターンを模式的に示す。電磁波遮蔽層の導電層322は、画面50に重なる導電性メッシュ322Aとそれを囲む環状の導電体322Bとが一体化した層である。導電性メッシュ322Aの平面サイズは画面50のそれよりも大きい。導電体322Bを構成する上下左右の帯の幅は30mm程度である。前面シートの裏側部分3Bは、その周縁が全長にわたって環状の導電体322Bと重なるように配置されている。これにより、前方からの観察において裏側部分3Bの周縁が導電体322Bによって隠れるので、裏側部分3Bの輪郭が不定形状であっても整然とした見栄えが損なわれない。裏側部分3Bの形成においては、導電体322Bの周縁付近を露出させる必要があるものの、高いパターン精度は不要である。10mm程度の誤差が許容される。
なお、図7において導電性メッシュ322Aは粗いが、実際のメッシュピッチは画面50のセルピッチと同程度、例えば約300μmである。導電層322の製造工数を増加させることなく導電体322Bにアライメントマークおよびリベット穴を形成することができる。アライメントマークは、前面シート3をプラズマディスプレイパネル2に貼り付ける作業を容易にする。
図8は前面シートの表側部分の作製方法を示す。表側部分の作製には、多層フィルムの製造手法であるロールツーロールが用いられる。予め、光学フィルム層が一様に連続した構造をもつフィルム310Rと、多数の電磁波遮蔽層のパターンが一列に繋がった構造をもつフィルム320Rとをロール状に作製しておく。フィルム310Rおよびフィルム320Rをそれぞれが巻かれたロールから引き出して重ね合わせる。これにより得られる多数の前面シートが一列に繋がった構造をもつ多層フィルム3ARをロールに巻き取る。ここで、フィルム320Rはメッシュを含む特定のパターンをもつが、フィルム310Rは平面視において均一であるので、フィルム310Rとフィルム320Rとの間でパターンの位置合わせは不要である。つまり、表側部分3Aの構成において一様でない層を1つ以下に限定することが、ロールツーロールを適用する要件となっている。フィルム310Rおよびフィルム320Rの幅Wを共通にしておけば、ロールツーロールによる重ね合わせに際して幅方向の位置合わせを実質的に省略することができる。フィルム間の若干の幅の差異および幅方向の若干の位置ずれは許される。
図9はディスプレイパネル装置の製造方法を示す。上述の多層フィルム3ARを巻いたロールから多層フィルム3ARを引き出し、裏側部分となる樹脂3B’を多層フィルム3ARに塗布する。この多層フィルム3ARをカッター550で裁断し、得られた前面シート3を台500に置かれた検査済みのパネルモジュールに貼り付ける。ここでいうパネルモジュールは、シャーシ105に取り付けた状態のプラズマディスプレイパネル2である。パネルモジュールのプラズマディスプレイパネル2と前面シート3Aとが一体になってディスプレイパネル装置1が完成する。他の製造方法として、樹脂3B’を塗布した後に、多層フィルム3ARを表裏反転してパネルモジュールに貼り付け、その後に裁断する方法もある。
前面シート3の表側部分3Aは多層フィルム3ARの裁断によって形成されるので、表側部分3Aを構成する光学フィルム層310および電磁波遮蔽層320Aの間で、それらの長さおよび幅の少なくとも一方は必ず完全に共通となる。多層フィルム3ARに対して型抜き形式の裁断を行う場合には、長さが完全に共通で幅も完全に共通となる。
ディスプレイパネル装置1を完成させた後に、前面シート3とプラズマディスプレイパネル2との間への異物混入が見つかったとしても、前面シート3の貼り直しが可能なので、ディスプレイパネル装置1の製造の歩留まりは高い。ディスプレイパネル装置1の構造を採用することにより、従来の一般的な板状フィルタをプラズマディスプレイパネル2の前方に固定する場合と比べて、20%以上の低価格化を実現することができる。
以上の装置構成に関して、導電性ハウジング102を前側と後ろ側とに分割し、前側部分をシャーシ105に絶縁材を介して固定する変形例がある。この変形例では、前面シート3、プラズマディスプレイパネル2、および駆動回路基板に対して、パネルモジュールの要素として共通のコンセプトの下に最適設計を行い、パネルモジュールの低価格化を図ることができる。
図10はディスプレイ装置の構成の第2例を示す。ディスプレイ装置200の基本的構成は上述のディスプレイ装置100と同様である。図10および以下の図において、図3と共通の参照符号が付された構成要素は、ディスプレイ装置100と共通の構成要素である。
ディスプレイ装置200は画面モジュールであるディスプレイパネル装置5を有する。ディスプレイパネル装置5はプラズマディスプレイパネル2と前面シート6とで構成され、前面シート6は表側部分6Aと裏側部分6Bとからなる。前面シート6の層構造は図6と同様である。ディスプレイ装置200においては、表側部分6Aの平面サイズが上述の例と比べて大きく、表側部分6Aの周縁の4辺が背面側へほぼ直角に曲げられ、表側部分6Aの端部が導電性ハウジング202に固定されている。固定の形態は、導電性ハウジング202の側面と環状の押さえ部材203とで表側部分6Aを挟む形式である。その固定位置は、プラズマディスプレイパネル2の前面に対する後方でかつプラズマディスプレイパネル2から離れている。固定位置では表側部分6Aの電磁波遮蔽層と導電性ハウジング202とが接し、両者が導電接続される。
表側部分6Aを曲げることによって、曲げない場合と比べて上記固定位置がプラズマディスプレイパネル2に近づき、導電性ハウジング202の平面サイズを小さくすることができる。また、固定位置が表側部分6Aを曲げない場合よりも後方になるので、導電性ハウジング202の厚さ(側面の寸法)を小さくすることができる。導電性ハウジング202の小型化はディスプレイ装置200の軽量化に貢献する。
なお、ディスプレイパネル装置5を製造する工場(デバイスメーカー)と、ディスプレイパネル装置5をハウジングに収めてディスプレイ装置200を完成させる工場(セットメーカー)とが異なる場合には、ディスプレイパネル装置5の輸送に際して表側部分6Aの周縁の損傷を防ぐ必要がある。例えば、ディスプレイパネル装置5をアルミニウム製のシャーシ205に取り付けた状態で輸送する場合には、表側部分6Aの端部をシャーシ205に絶縁材を介して固定することにより、梱包サイズを小型化することができる。
図11はディスプレイパネル装置の平面形状の概要を示す。ディスプレイパネル装置5の前面シート6において、表側部分6Aの折り曲げを容易にする切り込み61が表側部分6Aの四隅に形成されている。また、表側部分6Aの固定に用いる複数の穴6Ahが表側部分6Aの周縁に沿って形成されている。
図12はディスプレイ装置の構成の第3例を示す。ディスプレイ装置300の構成は上述のディスプレイ装置200とほぼ同様である。ディスプレイ装置300の特徴は、化粧カバー301の前面の内周縁が画面領域に近づけられ、化粧カバー301と前面シート6との間に吸音材351,352が配置されたことである。あらかじめ化粧カバー301に吸音材351,352を接着しておき、化粧カバー301をディスプレイパネル装置5にかぶせることによって、吸音材351,352を前面シート6に押し当てる。吸音材351,352は柔軟なスポンジであるので、プラズマディスプレイパネル2に過大の力は加わらない。プラズマディスプレイパネル2の振動による可聴音響ノイズ(異音と呼ばれる)はプラズマディスプレイパネル2の周辺部において大きいので、吸音材351,352の配置によってノイズを大幅に減少させることができる。従来の板状フィルタをプラズマディスプレイパネルの前方に配置する構造では、板状フィルタで異音が遮蔽されるものの、板状フィルタで反射して背面から前方へ周り込む音の伝播がある。これに対してディスプレイ装置300では異音がほぼ完全に吸収されるので、静かな表示環境が得られる。プラズマディスプレイパネル2の発する音はプラズマディスプレイパネル2に貼り付いた裏側部分6Bを伝導するので、裏側部分6Bと重なるように吸音材351,352を配置するのが望ましい。
図13はディスプレイ装置の構成の第4例を示す。ディスプレイ装置400の構成は上述のディスプレイ装置300とほぼ同様である。ディスプレイ装置400の特徴は、導電性ハウジング402がその前部分である枠状の構造体402Aと後ろ部分である箱状の構造体402Bとで構成されることである。構造体402Aは絶縁スペーサ403,404を介してシャーシ105に固定され、この構造体402Aに前面シート6の周縁部分が押さえ部材203によって固定されている。ディスプレイパネル装置5、シャーシ105、および構造体402Aが一体になったパネルモジュールに、構造体402Bおよび化粧カバー301が取り付けられる。構造体402Bの取り付けに際して、構造体402Aと構造体402Bとの導電接続を確実にする接続部材405,406が用いられる。
実施例4では、パネルモジュールの構成要素について、共通のコンセプトの下に最適設計を行い、パネルモジュールの低価格化を図ることができる。なお、デバイスメーカーとセットメーカーとでディスプレイ装置400を完成させる製造形態において、電源を含む電気回路の全体または一部をパネルモジュールに組み入れてもよいし、セットメーカーが化粧カバー301とともに電気回路の一部または全体をパネルモジュールに取り付けてもよい。
上述の実施例1、実施例2、実施例3、および実施例4によれば、電磁波遮断層320の導電層322において、光を透過させる導電性メッシュ322Aとそれを囲む環状の導電体322Bとが一体形成されるので、導体繊維を編んだメッシュの周りに導電性テープを貼る構造と比べて、ディスプレイパネル装置1,5の価格低減が可能である。
上述の実施例1、実施例2、実施例3、および実施例4によれば、前面シート3,6における表側部分3A,6Aの端縁が裏側部分3B,6Bに対して1cm以上も突出するので、この突出部分を剥離の掴み代として利用することができる。すなわち、前面シート3,6をプラズマディスプレイパネル2から剥がす作業が容易であり、剥離作業の機械化に多くの費用を必要としない。
以上の実施形態には次の変形がある。
透光性と導電性をもつ電磁波遮蔽層320として、メッシュに代えて銀多層膜を組み入れることができる。銀多層膜は赤外線遮断機能をもつので、光学フィルム層310の形成において赤外光吸収色素が不要となる。色素層313について、単層構造に代えて、異なる色素を含む複数の層からなる複層構造を採用することができる。
前面シート3,6の最背面を、自己吸着作用をもつ吸着面にすることができる。例えば、衝撃吸収層351を形成した後に、衝撃吸収層351の表面にシリコーン材からなる膜を形成する。これにより前面シート3,6とプラズマディスプレイパネル2との剥離と貼り付けを何度でも繰り返すことが可能となる。このことはディスプレイパネル装置の製造時の損失を低減させるとともに、ディスプレイ装置に組み付けた後の段階におけるメンテナンスに貢献する。傷が付いた場合に前面シートの取り替えを簡単に行うことができるからである。反射防止層312だけを自己吸着するシートとして、前面シート3,6の残りの部分に吸着させることも考えられる。この場合、反射防止層312を前面シート3の残りの部分をプラズマディスプレイパネル2に貼り付ける工程とは別の工程で貼り付けることもでき、電磁波遮蔽層320と大きさが異なっていてもよい。吸着の強さに関しては、垂直方向の引っ張り力だけで剥離可能なことが望ましく、吸着力としては4N/25mm以下(剥離速度が50mm/分の時)とするのが望ましい。
シリコーン材に代えて、衝撃吸収層351の材料に類似するアクリルフォームを使用しても同様の効果が得られる。
なお、必要に応じて、前面シート3,6の貼り付けに際しては水またはエアーの吹きつけに代表される洗浄処理を事前に行い、剥離した前面シートを再使用するときにもその吸着面に洗浄処理を施す。
プラズマディスプレイパネル2の赤色蛍光体(例えば(Y、Gd、Eu)PVO4)と放電ガス(Xe分圧が20Torr以上である例えばガス圧500TorrのXe5%以上のNe−Xeガス)を、オレンジ色の発光量を低減するように適切に設計することは有用である。オレンジ色の光を選択的に吸収する吸収波長域の狭い光学フィルタが不要になれば、前面シート3のさらなる低価格化が可能である。
導電性ハウジング102,202,402の材質は、金属板に限られず、導電性物質をコートした樹脂、金属箔や金属繊維を付けた樹脂など、表層や内部といった少なくとも一部が導電性をもつ電磁波遮蔽に適したものであればよい。実施例4の導電性ハウジング402において、構造体402Aと構造体402Bとで材質が同じである必要はない。
以上の説明ではプラズマディスプレイパネルを例示したが、画面を構成するデバイスはプラズマディスプレイパネルに限定されず、EL(Electro Luminescence)、FED(Field Emission Display)、液晶を含む他のディスプレイパネルが画面を構成する装置に本発明を適用することができ、特に電磁波の遮蔽を必要とする装置に好適である。
本発明は、大型の画面をもち且つ軽量なディスプレイ装置の信頼性の向上および低価格化に貢献する。
本発明に係るディスプレイ装置の外観を示す図である。 ディスプレイパネル装置の構成を示す図である。 ディスプレイ装置の構成の第1例を示す図である。 ディスプレイ装置の要部の構造を示す図である。 前面シートの固定の概要を示す図である。 前面シートの層構造を示す図である。 電磁波遮蔽層の導体パターンを模式的に示す図である。 前面シートの表側部分の作製方法を示す図である。 ディスプレイパネル装置の製造方法を示す図である。 ディスプレイ装置の構成の第2例を示す図である。 ディスプレイパネル装置の平面形状の概要を示す図である。 ディスプレイ装置の構成の第3例を示す図である。 ディスプレイ装置の構成の第4例を示す図である。
符号の説明
3,6 前面シート(シート)
2 プラズマディスプレイパネル(ディスプレイパネル)
100,200,300,400 ディスプレイ装置
320 電磁波遮蔽層(導電性の層)
102,202 導電性ハウジング(導電体)
101,201,301 化粧カバー(外装体)
351,352 吸音材
61 切り込み
1,5 ディスプレイパネル装置

Claims (8)

  1. 前面に柔軟性のシートが貼り付いたディスプレイパネルを有するディスプレイ装置であって、
    前記ディスプレイパネルの側面および背面を覆う導電体を有しており、
    前記シートは、前記ディスプレイパネルが放射する電磁波を遮蔽する導電性の層を有しており、
    前記シートおよび前記導電性の層の平面サイズは前記ディスプレイパネルの平面サイズよりも大きく、
    前記シートの端部が、前記ディスプレイパネルから離れた位置で前記導電体に固定されており、
    前記導電性の層における周縁部分が、前記ディスプレイパネルから離れた位置で前記導電体と接する
    ことを特徴とするディスプレイ装置。
  2. 前面に柔軟性のシートが貼り付いたディスプレイパネルを有するディスプレイ装置であって、
    前記ディスプレイパネルの側面および背面を覆う導電体を有しており、
    前記シートは、前記ディスプレイパネルが放射する電磁波を遮蔽する導電性の層を有しており、
    前記シートおよび前記導電性の層の平面サイズは前記ディスプレイパネルの平面サイズよりも大きく、
    前記シートの周縁部分が背面側へ曲げられ、前記ディスプレイパネルの前面に対する後方でかつ前記ディスプレイパネルから離れた位置で前記シートの端部が前記導電体に固定されており、
    前記導電性の層における周縁部分が、前記ディスプレイパネルから離れた位置で前記導電体と接する
    ことを特徴とするディスプレイ装置。
  3. 前記シートの前方に、前記ディスプレイパネルの前面の周縁部分を覆う外装体が配置され、
    前記外装体と前記シートとの間に吸音材が装着された
    請求項1または請求項2記載のディスプレイ装置。
  4. 画面をもつディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面に貼り付いたシートとからなるディスプレイパネル装置であって、
    前記シートは、前記ディスプレイパネルが放射する電磁波を遮蔽する導電性の層を有しており、
    前記シートおよび前記導電性の層の平面サイズは前記ディスプレイパネルの平面サイズよりも大きく、
    前記シートの四隅に、当該シートの端部の折り曲げを容易にする切り込みが形成された
    ことを特徴とするディスプレイパネル装置。
  5. 前記プラズマディスプレイパネルの背面に駆動回路基板が固定された
    請求項4記載のディスプレイパネル装置。
  6. 表示面上に機能フィルムを密着配置してなり、前記機能フィルムが少なくとも前記表示面からの射出光に対するフィルタ機能を有する光学機能フィルムと、前記表示面から射出する電磁波を遮蔽するための導体層を備えた電磁遮蔽フィルムとの積層体シートからなり、かつ該積層体シートがその四辺において前記表示面よりはみ出す大きい面積をもつと共に、前記電磁遮蔽フィルムの導体層が表示面側に位置する関係で表示面上に密着配置されてなる
    ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  7. 表示パネルの表示面上に機能フィルムを密着配置してなり、前記機能フィルムが少なくとも前記表示面からの射出光に対するフィルタ機能を有する光学機能フィルムと、前記表示面から射出する電磁波を遮蔽するための導体層を備えた電磁遮蔽フィルムとの積層体シートからなり、かつ該積層体シートがその四辺において前記表示面よりはみ出す大きい面積をもつと共に、前記電磁遮蔽フィルムの導体層が表示面側に位置する関係で表示面上に密着配置され、かつ前記導体層が前記表示パネルの表示面よりも外側において当該積層体シートが一体的に少なくとも一部が導電性の筐体に直接導電接続されてなる
    ことを特徴とするディスプレイ装置。
  8. 表示パネルの表示面上に機能フィルムを密着配置してなり、前記機能フィルムが少なくとも前記表示面からの射出光に対するフィルタ機能を有する光学機能フィルムと、前記表示面から射出する電磁波を遮蔽するための導体層を備えた電磁遮蔽フィルムとの積層体シートからなり、かつ該積層体シートがその四辺において前記表示面よりはみ出す大きい面積をもつと共に、前記電磁遮蔽フィルムの導体層が表示面側に位置する関係で表示面上に密着配置され、かつ前記導体層が前記表示パネルの表示面よりも外側において当該積層体シートが一体的に導電性の遮蔽用筐体に導電接続するための少なくとも一部が導電性の枠体に直接接続されてなる
    ことを特徴とするディスプレイパネル装置。
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