JP2005214267A - 液圧装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】切換弁、電動モータ、ポンプ等のメンテナンスサイクルを伸ばすことができ、エネルギー損失を低減できる液圧装置を提供すること。
【解決手段】指令信号に基いて運転及び停止するサーボモータ13と、ポンプ12と、該ポンプ12により吐出される高圧流体により駆動されるアクチュエータ(加圧部40)と、アクチュエータの動作方向、速度、位置、発生力を制御する制御弁14と、制御弁14とアクチュエータの間の流路を開閉する切換弁15を備えた液圧装置において、アクチュエータの位置保持に際し、切換弁15を閉じ、ポンプ12を停止させて該アクチュエータの位置を保持する第1の位置保持手段と、ポンプを駆動し高圧流体を発生し、制御弁14による位置制御によってアクチュエータの位置を保持する第2の位置保持手段による位置保持が実施可能であって、且つ第2の位置保持手段から自動的に第1の位置保持方式に切り換えるコントローラ1を備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は液圧アクチュエータを制御するための液圧装置に関するものであり、特に機器の耐久性を伸ばし、且つエネルギー消費量を低減する液圧装置に関するものである。
従来、この種の液圧装置としては特許文献1に開示された流体圧装置がある。この流体圧装置はエネルギー消費量を極力少なくするように工夫された流体圧装置である。また、本流体圧装置には電気的制御手段により駆動電動機の回転数を制御される流体吐出手段と、アクチュエータとし油圧シリンダが、制御弁手段として電気・油圧サーボ弁が示されている。更に、本特許出願人の出願に係る特願2003−101576号の液圧装置によれば、液圧装置の動作が完了した時に、アクチュエータと制御弁の間の流路上に設けた切換弁を閉じ、ポンプを停止することによって、停止時のエネルギー損失を低減するようにしており、アクチュエータと制御弁の間の流路に切換弁を備えた液圧装置が記載されている。
特開平6−173903号公報
この種の液圧装置をアクチュエータの位置保持に長時間あるいは頻繁に行う装置に適用した場合、上記特許文献1に記載の流体圧装置によれば、常時低負荷ポンプを駆動しながら流体制御弁を制御しなければならず、エネルギーの消費量が増大し非効率である。
また、上記特願2003−101576号に記載の液圧装置は、アクチュエータの停止時に切換弁を閉じ、電動機やポンプを停止させると、切換弁の開閉頻度や電動機やポンプの起動停止頻度は高くなり、それぞれのメンテナンスサイクルが短くなってしまう。切換弁の場合、開閉頻度が高くなると可動部分のシールの摩耗量が大きくなると共に、弁部材とシート部材が機械的に接触する回数が多くなるため摩耗し、寿命が短くなる。また、ポンプの場合には起動停止時に大きなトルクがポンプのシャフトにかかるため、負担が増大し、シャフトが疲労破壊する可能性がある。一方、アクチュエータの停止時にも電動モータとポンプを駆動するとエネルギーの損失が大きくなってしまう。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記問題点を除去し、切換弁、電動モータ、ポンプ等のメンテナンスサイクルを伸ばすことができ、エネルギー損失を低減できる液圧装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、指令信号に基いて運転及び停止するモータと、該モータにより回転駆動され高圧流体を吐出する液圧ポンプと、該液圧ポンプにより吐出される高圧流体により駆動されるアクチュエータと、該アクチュエータの動作方向、速度、位置、発生力を制御する制御弁と、該制御弁とアクチュエータの間の流路を開閉する切換弁を備えた液圧装置において、アクチュエータの位置保持に際し、切換弁を閉じ、ポンプを停止させて該アクチュエータの位置を保持する第1の位置保持手段と、ポンプを駆動し高圧流体を発生し、制御弁による位置制御によってアクチュエータの位置を保持する第2の位置保持手段による位置保持が実施可能であって、且つ該第2の位置保持手段から自動的に前記第1の位置保持方式に切り換えるコントローラを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液圧装置において、第2の位置保持手段による位置保持を継続する位置制御時間をコントローラに設定し、該位置制御時間を超えた時に第2の位置保持手段から自動的に第1の位置保持手段に切り換えるように構成したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の液圧装置において、制御弁は、流路を切換える可動部が固定部に対して非接触に支持される静圧軸受を備えていることを特徴とする。
各請求項に記載の発明は、上記のように液圧装置のアクチュエータが停止して次の動作指令を待つ間、ポンプから高圧流体を供給して位置を保持するようにしたので、切換弁の開閉頻度と電動モータやポンプの起動停止回数が低減される。この結果、切換弁、電動モータ、ポンプ等のメンテナンスサイクルを伸ばすことができる。
また、第2の位置保持手段が位置を保持するに際し、位置保持を継続する位置制御時間を設定し、位置保持中に次の動作指令がない場合には液圧装置の切換弁を閉じ、電動機及びポンプを停止するようにしたので、エネルギー損失を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る液圧装置の構成を示す図である。本実施形態例では、指令信号に基いて運転又は停止するモータとしてサーボモータ13を、ポンプ12により吐出される高圧流体により駆動されるアクチュエータとしてシリンダ41が採用されている。
液圧装置10は圧力媒体である液体を貯めておくタンク11、高圧流体を発生するポンプ12、該ポンプ12を駆動するサーボモータ13、流体の流量・圧力を制御する制御弁14、流体の流れを切り換える切換弁15、そして高圧フィルター16、液面スイッチ17、温度スイッチ18、圧力スイッチ19などの補器類から構成されている。なお、1はコントローラである。
ポンプ12は駆動軸(シャフト)20を上方に向けてポンプフランジ21に取り付けられ、ポンプ12をタンク11内に収容するようにポンプフランジ21がタンク11上面に固定されている。また、モータフランジ22に取り付けられたサーボモータ13が回転軸23を下方に向けて配置されている。サーボモータ13の回転軸23とポンプ12の駆動軸20は軸心を同一とし対向するように配置され、ポンプフランジ21とモータフランジ22が支柱24により固定されている。また、ポンプ12の駆動軸20とサーボモータ13の回転軸23はカップリング25により連結されている。
ポンプ12の吐出口26から配管でタンク11外に設置した高圧フィルター16に導入され、濾過された高圧流体を制御弁14や切換弁15を取り付けるためのバルブブロック30へ導入するように高圧配管27が接続されている。バルブブロック30には高圧流体を導入して制御弁14へ連通させる流路や制御弁14の出力である制御ポートを切換弁15へ連通させる流路などが加工されており、後述する液圧回路の流路を構成すると共に、バルブを取り付ける架台として設けられている。なお、29はサーボモータ13の回転軸23の回転角信号を検出するエンコーダである。
タンク11の側面には内部の流体の液面と温度を検知する液面スイッチ17と、温度スイッチ18が取り付けられている。また、高圧配管27を分岐して圧力スイッチ19が取り付けられている。また、制御弁14の制御ポートから切換弁15を介して流体利用システムへ配管28が取り付けられており、その配管28を分岐して圧力センサ31が設けられている。
ポンプ12は可変容量式ポンプと固定容量式ポンプと呼ばれるものがあるが、本実施形態におけるポンプ12には固定容量式ポンプを用いている。固定容量式ポンプは一回転当りの吐出量が構造的に一定のポンプであるが、ここでは回転数を変更することにより単位時間当りの吐出し流量を可変にし、また、ポンプ吐出側の抵抗と回転数に応じて吐出圧力を可変にしている。
また、本実施形態のポンプ12は回転方向が一方向のみで、吸込口(図示せず)と吐出し口26が構造的に決まっているもので、回転方向によって吸込口と吐出し口26が切り換るものではない。したがって、サーボモータ13の回転も一方向の回転のみ行うようにしている。
加圧部40はアクチュエータをシリンダとしてその動作方向、速度、発生力を制御し、対象物42を成形するものである。下定盤43と上定盤44が支柱50によって連結されており、垂直に配置されたシリンダ41のチューブ46側が下定盤43に固定されている。上定盤44には上金型47が取り付けられ、シリンダ41のロッド45の先端には下金型48が取り付けられている。シリンダ41を上下動及び上方に加圧することにより、下金型48を上下動及び下金型48を上金型47に加圧する。
また、下金型48の位置を検出する変位センサ49が上定盤44と下金型48に取り付けられ、シリンダ41内部の圧力を検出する圧力センサ31が切換弁15と復動シリンダ41を接続する配管(ホース)28に設けられている。本実施形態例において、変位センサ49としてリニアエンコーダを用い、圧力センサ28として動歪式圧力センサが採用されている。圧力センサ28は圧力を検出することにより、シリンダ41の発生力を検知している。
そして、前述した液圧装置10の制御弁14の制御ポート(図示せず)が復動シリンダ41に接続されている。ここで、先に説明したサーボモータ13、ポンプ12、制御弁14、切換弁15などから構成される部分を流体制御部32とし、シリンダ41や上下定盤44、43、上下金型47、48などから構成される部分を加圧部40とし、全体として液圧装置10を構成している。なお、63は金型清掃機構である。
図2は図1に示す液圧装置の加圧部40及び搬入搬出機構61を図中の矢印A方向から見た上面図である。上面から見て加圧部40の右側に搬入搬出機構61が設けられ、上面から見て上側には金型清掃機構63が設けられている。即ち、金型清掃機構63は図1において、加圧部40の奥に配置されている。搬入搬出機構61及び金型清掃機構63はそれぞれロボットアーム64、65を具備し、該ロボットアーム64、65はそれぞれ上下金型47、48の間に前進・後退可能になっている。搬入搬出機構61のロボットアーム64の先端には真空吸着機構66を備え、対象物42の脱着が可能になっている。また、金型清掃機構63にはエアブローを行うエアブローノズル67が取付けられている。ロボットアーム64、65はスカラー型ロボットと呼ばれるもので、搬入搬出機構61は図中のX方向に真空吸着機構66を直線的に前進・後退させ、金型清掃機構63はY方向にエアブローノズル67を前進・後退させる。
搬入搬出機構61は図1に示すようにロボットアーム64が上昇下降機構62の上に設置されており、搬入搬出機構61が上下に動作可能になっている。また、搬入搬出機構61及び金型清掃機構63は、電気や空気により駆動されるので、流体駆動源とは独立した駆動源で駆動されるようになっている。
図3は流体制御部32とシリンダ41を含む流体駆動系の流体回路を示す図である。サーボモータ13に接続され、タンク11内の流体を吸い込み高圧流体を吐出すポンプ12吐出口にはのチャッキ弁33を介してフィルター16へ接続されている。チャッキ弁33とフィルター16の間の流路は分岐して安全弁34を介してタンク11へ戻される。フィルター16で濾過された流体は制御弁14の供給ポートPへ導かれる。制御弁14は4つのポート(供給ポートP、タンクポートT、制御ポートA、制御ポートB)を備え、制御ポートA、Bはそれぞれ切換弁15a、15bを介して流体利用システムへ連通し、タンクポートTはタンク11へ連通している。制御弁の制御ポートA、Bに接続された切換弁15a、15bは流路の開閉を行い、制御弁14とシリンダ41との流路の切換を行う。制御ポートAに接続された切換弁15a、15bから外部への配管は分岐して圧力センサ31が取り付けられている。
サーボモータ13に指令信号を与え、サーボモータ13の回転軸を回転することによりカップリング25で連結されているポンプ12の駆動軸を回転させると、ポンプ12の下面の吸込口(図示せず)からタンク11内の流体を吸込み、吐出口から高圧の流体を吐出する。高圧の流体はタンク11内の配管でタンク11の外のフィルター16へ導かれる。フィルター16の配管は途中で分岐して安全弁34を介して一方はタンクへ戻るようになっている。安全弁34はポンプ12の吐出し側の圧力を制限するもので、配管やポンプ12を保護するために設けられている。
フィルター16で濾過された流体は制御弁14の供給ポートPに導入され、制御弁14へ外部からの信号を与えることにより供給ポートPから制御ポートA、Bへの流れを制御し、同時に制御ポートA、BからタンクポートTへの流を制御する。制御弁14は各ポートを切り換えるのと同時に弁開度を調整し、制御ポートA、Bへの流量や圧力を制御する。
図4は対象物42を加圧部40に搬入する工程を示す図である。図4(a)乃至(f)において、上面図が各図の上に示されており、それぞれの上面図は上金型を透視する図として示している。図4(a)はロボットアーム64が対象物42を真空吸着し、シリンダ41が金型搬入位置にある状態を示す。二節のロボットアーム64の先端に板状の真空吸着機構66が備えられている。
図4(a)はロボットアーム64が対象物42を真空吸着機構66で真空吸着し、シリンダ41が金型搬入位置にある状態を示す。図4(a)の状態から、二節のロボットアーム64が同じ角度だけ揺動させ、同時に真空吸着機構66を備えたロボットアーム64の先端も同じ角度だけ揺動させることにより、図4(b)から(c)に示すように、対象物を直線的に下金型48の上部に搬入する。そして図4(d)に示すように、対象物42と下の金型48の位置が合った後、図4(e)に示すように、搬入搬出機構61を搭載している上昇下降機構62を下降させて下金型48の上面に対象物42を載置する。その後、真空吸着機構66の真空吸着を解除し、図4(f)に示すように、ロボットアーム64を元の状態に戻すと共に、上昇下降機構66を上昇させる。このように対象物42をロボットアーム64により自動的に下金型48の上面に搬入する。
図5は加工後の対象物42を加工部40から搬出する工程を示す図である。対象物42の加工が終了した後、図5(a)に示すように、上金型47と下金型48の間にロボットアーム64が進入できる空間が空く位置まで、シリンダ41を下降させる。この時、予め上昇下降機構62によりロボットアーム64が上金型47と下金型48の隙間に進入できるように搬入搬出機構61を上昇させておく。そして図5(b)に示すように、ロボットアーム64を上金型47と下金型48の隙間に進入させる。その後、図5(c)に示すように搬入搬出機構61を上昇下降機構62により下降させ、真空吸着機構66で対象物42を真空吸着する。更に図5(d)に示すように、上昇下降機構62を上昇させて、対象物42を下金型48から上昇させ、図5(e)に示すように、ロボットアーム64を後退させることにより、対象物42を下金型48から搬出する。
図6は金型清掃の工程を示す図である。図6(a)は対象物42を下金型48から搬出した後、上金型47と下金型48との距離をエアブローノズル67が僅かな隙間を持って進入できる位置にするため、シリンダ41を上昇させた状態を示す。この状態で図6(b)に示すように、ロボットアーム65によりエアブローノズル67を上金型47と下金型48の間に進入させる。そしてロボットアームを図6(c)の矢印Aに示すように、揺動させながら、エアブローノズル67から圧縮空気を噴出させて、上下金型47、48の表面の塵埃を吹き飛ばして除去する。最後に図6(d)に示すようにエアブローノズル67を上下金型47、48の間より後退させる。
なお、この金型清掃工程のエアブローノズル67の揺動回数は変更可能になっており、目視などにより塵埃の量が多い場合などには、揺動回数を増やすようになっている。この揺動回数を増やすと、金型清掃工程にかかる時間は長くなる。
ここで、対象物42を搬入する位置と搬出する位置は異なり、搬出位置の方が上に設定されている。これは上金型47と下金型48が僅かに離間した位置で両上下金型47、48を同時にエアブローするように上下金型47、48の洗浄を行うため、シリンダ41の移動距離を少なくするために搬入位置を上側に設定しているためである。加圧後、搬入位置まで下降させて対象物42を搬出した場合、再度金型清掃のために下金型48を金型正常位置に上昇させた場合、長い距離を上昇しなければならない。加圧中に上昇下降機構62により所定の位置まで搬入搬出機構61を上昇させておき、搬出位置を金型清掃位置に近い位置に設定することにより、効率よく工程を進めることができる。また、同じように、金型清掃工程中に上昇下降機構62により搬入搬出機構61を搬入位置まで下げておくことができる。
図7は装置全体の工程において、シリンダの停止位置を説明するための図である。先ず、図4で説明したように、図7(a)に示すように上金型47と下金型48が離間した状態(シリンダ41が下降した状態)で、搬入搬出機構61が対象物42を下金型48上に載置する。次に図7(b)に示すように、対象物42をシリンダ41により上昇させて上金型47と下金型48により対象物42を加圧する。そして図7(c)に示すように上金型47と下金型48を離間させ、搬入搬出機構61により加工された対象物42を下金型48から取出す。更に図7(d)に示すように上下金型47、48を同時に清掃するため、シリンダ41を上昇させる。最後に、図7(e)に示すように再びシリンダ41を対象物42が搬入される位置まで下降させる。
この工程において、シリンダ41が位置保持される位置は、対象物搬入位置(図7(a)及び(b))、対象物搬出位置(図7(c))、金型清掃位置(図7(d))の3箇所である。ここで、図7(b)におけるシリンダの位置は略一定であるが、この状態は位置保持ではなく、加圧した力を保持する加圧保持である。シリンダ41の位置保持に際し、ポンプ12を停止させてアクチュエータの位置を保持する手段を第1の位置保持手段とし、ポンプ12を駆動して高圧流体を発生し、制御弁14による位置制御によってアクチュエータの位置を保持する手段を第2の位置保持手段とする。
前述の対象物加工工程において、全ての位置保持を第1の位置保持手段によって行った場合を図8に示す。図示するように、搬入位置の時刻t1に切換弁(電磁弁)15を開くと共に、ポンプ12を運転しシリンダ41を加圧位置に上昇させ(時刻t2)、時刻t2から時刻t3まで圧力制御を行い所定の圧力を発生させ、時刻t3で切換弁(電磁弁)15を閉じると共にポンプ12を停止し、圧力保持を行う。時刻t4で切換弁(電磁弁)15を開くと共にポンプ12を運転し、シリンダ41を搬入位置まで下降させ(時刻t5)、時刻t5で切換弁(電磁弁)15を閉じると共にポンプ12を停止し、時刻t6で切換弁(電磁弁)15を開くと共にポンプ12を運転しシリンダ41を金型清掃位置まで上昇させ(時刻t7)、時刻t7で切換弁(電磁弁)15を閉じると共にポンプ12を停止する。金型清掃終了後時刻t8で切換弁(電磁弁)15を開くと共にポンプ12を運転しシリンダ41を搬送位置まで下降(時刻t9)する。
また、図9は対象物加工工程において、全ての位置保持を第2の位置保持手段によって行った場合を示す。図示するように、ここでは時刻t3〜時刻t4の圧力保持以外は切換弁(電磁弁)15を開くと共に、ポンプ12を運転している。
図8に示すように対象物搬入から再度搬入位置に戻る工程を行うサイクル中で、切換弁(電磁弁)15の切換回数は4回になる。ここで、シリンダ41を加圧位置に上昇させ、上下金型47、48が係合した後は圧力制御を行い、シリンダ41から所定の圧力を発生させ、その後切換弁(電磁弁)15を閉じることにより圧力保持を行うようになっているため、圧力制御により所定の圧力に制御された後は、切換弁(電磁弁)15を閉じで、ポンプ12を停止している。
すべてのシリンダ41の位置保持を切換弁(電磁弁)15を開いた状態とし、ポンプ12を駆動し、制御弁14の位置制御を行ってシリンダ41の位置を保持する第2の位置保持手段で行った場合、図9に示すように圧力保持以外はポンプ12を運転し、切換弁(電磁弁)15も開いた状態になる。即ち、切換弁(電磁弁)15の切換回数は1回であり、ポンプ12の起動停止回数も1回になる。
図8に示した第1の位置保持手段によれば、必要な時以外はポンプ12を停止しているので、エネルギー消費量が少なくて済むという利点がある。一方、切換弁(電磁弁)15の切換回数、ポンプ12の起動停止回数は図9に示した第2の位置保持手段より多くなる。切換弁(電磁弁)15の開閉頻度やサーボモータ13やポンプ12の起動停止頻度が高くなると、それぞれ機器のメンテナンスサイクルが短くなってしまうという不都合が生じる。切換弁(電磁弁)15の場合、開閉頻度が高くなると可動部分のシールの摩耗量が大きくなると共に、弁部材とシート部材が機械的に接触する回数が多くなるため摩耗し、寿命が短くなる。また、ポンプ12の場合には起動停止時に大きなトルクがポンプ12のシャフトにかかるため、負担が増大し、シャフトが疲労破壊するという問題が生じる。
一方、図9に示した第2の位置保持手段によれば、位置保持しているときポンプ12を駆動しているので、切換弁(電磁弁)15の切換回数、ポンプ12の起動停止回数が少なくて済むが、第1の位置保持手段よりエネルギーを消費する。
本実施形態では、アクチュエータの位置保持に際し、切換弁(電磁弁)15を閉じ、ポンプ12を停止させてアクチュエータの位置を保持する第1の位置保持手段と、ポンプ12を駆動して高圧流体を発生し、制御弁14による位置制御によってアクチュエータの位置を保持する第2の位置保持手段による位置保持を実施可能であって、且つ第2の位置保持手段から自動的に第1の位置保持手段に切り換えるように構成したことを特徴とするものであり、以下制御方法を詳細に説明する。
図10は本発明に係る液圧装置の制御方法を示す図である。ここでは、搬入位置では第1の位置保持手段を用い、搬出位置及び金型清掃位置では第2の位置保持手段を用いている。本制御方法によれば、切換弁(電磁弁)15の切換回数は2回であり、ポンプ12の起動停止回数も2回となる。また、ポンプ12の稼働時間も第2の位置保持手段による位置保持に比べてみ短くなっており、エネルギー消費量は第2の位置保持手段の場合より低減されている。
本実施形態例において、対象物搬入位置で第1の位置保持手段を選択しているのは、上下金型47、48が離間している状態は危険であるため切換弁(電磁弁)15による流路を遮断すると共に、ポンプ12を停止させて安全に位置保持するためである。そして、搬出位置と金型清掃位置では位置制御にて保持する時間(位置制御設定時間T1、T2)を設定し、設定された時間内に対象物42の搬出や上下金型47、48の清掃が終了しない場合に切換弁(電磁弁)15による位置保持に切り換えるようにしている。即ち、搬出位置において第2の位置保持手段を継続する位置制御時間を設定し位置制御時間を超えた時には自動的に第1の位置保持手段に切り換えて位置保持を行うようになっている。
図10において、搬出位置及び金型清掃時における第2の位置保持手段を継続する時間がそれぞれT1、T2に設定しているが、この時間が経過する前に搬出、金型清掃が終了し、次の工程に移行する指令が入ったために、切換弁(電磁弁)15の開閉を行わず、またポンプ12を停止することなく、連続して動作を行っている。なお、位置制御設定時間T1、T2はそれぞれ独立に設定可能になっている。この他に第2の位置保持手段によって位置保持を行う位置を追加する場合にも位置制御時間はこれらとは独立に設定できるようになっている。
図11は金型清掃時間を長く設定した場合の制御方法例を示す。金型清掃位置における位置制御設定時間は図10と同じT2に設定しているが、位置制御設定時間T2より金型清掃時間が長くなったため、金型清掃工程中に切換弁(電磁弁)15を閉じ、ポンプ12を停止させている。そして、金型清掃工程が終了し、次の搬入位置までのシリンダ41を下降させる指令が入った時には、切換弁15を開き、ポンプ12を起動している。この機能は、金型清掃機構を長い時間動作させる等の付加的な機能を行う時や、搬入搬出機構61等が何等かの原因で動作しないといった不具合が生じた時に、ポンプ12を長時間運転せずに停止させてエネルギー消費量を低減することを目的としている。
本制御方法によれば、切換弁(電磁弁)15を閉じてポンプ12の起動停止頻度を低減することができるので、液圧装置のメンテナンスサイクルを伸ばすことができる。また、長時間位置保持するような箇所では第1の位置保持手段を選択し、短時間の位置保持でよい箇所では第2の位置保持手段を選択することによりエネルギー消費を低減することができる。また、駆動源を停止させて安全に位置保持させる時には第1の位置保持手段と選択し、それ以外の時は第2の位置保持させるように目的に応じて位置保持手段を選択することができる。更に、第2の位置保持手段を継続する位置制御時間を設定し、該位置制御時間を超えた時には自動的に第1の位置保持手段に切り換えて位置保持するようにしたので、長時間ポンプ12を運転してエネルギーを無駄に消費することがない。
次に、第1の位置保持手段と第2の位置保持手段について、その制御を詳細に説明する。図12は第1の位置保持手段を説明する図で、図12(a)は上昇時を示し、横軸に時間、縦軸にシリンダの位置を示すグラフ、切換弁操作指令、制御状態を示し、図12(b)は下降時を示し、横軸に時間、縦軸にシリンダの位置を示すグラフ、切換弁操作指令、制御状態を示す。
図12(a)において、移動開始位置にある時刻t1でシリンダ41に上昇指令があると、切換弁15を開き、コントローラ1に設定された移動速度に速度制御を行って上昇させる。そして、目標位置の手前の切換弁閉位置に達した時(時刻t2)に切換弁15を閉じるように切換弁操作指令を出力する。実際、シリンダ41は切換弁操作指令が出力されてから、切換弁15が完全に閉じるまでの時間僅かに移動して停止する。この停止位置が目標位置になるよう、目標位置から停止距離分手前の切換弁閉命令位置を決定する。
この停止位置距離は切換弁15の仕様やシリンダ41のサイズ等から求めるから、試験的に目標位置に停止するように距離を求めることにより設定する。ここで、移動速度が変更になると、切換弁閉命令から完全に切換弁15が閉じるまでの時間が同じであっても停止距離が変わってくるため、移動速度に応じて停止距離を演算するようにするとよい。例えば。停止距離を移動速度の係数倍にするようにすればよい。
図12(b)は下降時の動作を説明するグラフで、前述の上昇時と同様に目標位置に対して停止距離の手前の時刻t4で切換弁操作指令を出力し、シリンダ41を停止させている。ここで、シリンダ41が上昇する場合に位置データが増加するようにした場合、上昇時は目標位置に対して停止距離を減算し、下降時は目標位置に停止距離を加算する。
図13は第2の位置保持手段を説明する図で、図13(a)は上昇時を示し、横軸に時間、縦軸にシリンダの位置を示すグラフ、切換弁操作指令、制御状態を示し、図13(b)は下降時を示し、横軸に時間、縦軸にシリンダの位置を示すグラフ、切換弁操作指令、制御状態を示す。
図13(a)において、移動開始位置にあるシリンダ41に時刻t1で上昇指令があると、切換弁15を開きコントローラ1に設定された移動速度に速度制御を行って上昇させる。そして目標位置の手前の位置制御開始位置に達した時刻t2に制御を速度制御から位置制御に切り換える。この時、切換弁操作指令は開きのままとする。
速度制御から位置制御に切り換える位置に目標位置の手前に設定しているのは、切換位置を目標位置に設定した場合、シリンダ41は所定の速度で移動しているため目標位置を超えて再度目標位置を戻すような動作になることを防ぐためである。ここで、位置制御切換位置は目標位置から位置制御開始距離分手前の位置を設定するが、移動速度が変更すると、位置制御切換位置からシリンダが上昇する距離が変わってくるため、移動速度に応じて位置制御開始距離を演算するようにするとよい。例えば、位置制御開始距離を移動速度の移動速度の係数倍にするようにすればよい。
次に、本液圧装置に用いる切換弁15の一例を説明する。図14はこの切換弁15の構成例を示す略断面図である。図14において、ソレノイド15−1に通電すると、カンチレバー15−2の作用点が下方向に押圧されると支点15−3を中心にプッシュピン15−4が右方向に押圧される。カンチレバー15−2の機構によりソレノイド15−1の発生力が増幅されてプッシュピン15−4に力が伝達されるようになっている。そして、切換弁15の内部の稼働部である弁体15−5がソレノイド15−1に通電させることにより右側へ駆動され、通電を切ることによりバネ15−6で左側に駆動される。即ち、ソレノイド15−1への電流の供給と遮断により弁体15−5が左右に駆動される。該弁体15−5が左右に駆動されると、円筒状のスリーブ15−7の内周面の角部と弁体15−5の斜面部により流体の流路が開閉される。
ここで、スリーブ15−7は弁本体15−8に固定されており、弁体15−5はスリーブ15−7に対して左右に動作する。スリーブ15−7と弁体15−5はシール15−9で外部に高圧流体が漏洩しないようにシールされているが、弁体15−5が左右に動作すると、固定されたシール15−9と弁体15−5とが擦れ弾性体であるシール15−9が摩耗することになる。弁の開閉頻度が高いということは、弁体15−5が左右に駆動される回数が多くなるということであり、シール15−9の摩耗量も多くなる。
次に、本液圧装置に用いる制御弁14の一例を説明する。図15はこの制御弁14の構成例を示す略断面図である。弁本体14−1に固定され流路が形成されたスリーブ14−2と、該スリーブ14−2内を図中左右に移動するスプール14−3を備え、該スプール14−3が静圧軸受14−7で支持され左右に移動することにより供給ポートPに導入された圧力流体を制御ポートA、Bのいずれか一方に供給し、もう一方をタンクポートTへ連通させる。そして、スプール14−3の移動量を変化させることにより弁の開度を調整する。
スプール14−3の左側には変位センサ(差動変圧器)14−4が取り付けられており、スプール14−3と連結されたセンサコア14−4aの変位量を検出する。変位センサ(差動変圧器)14−4のコイル14−4bとセンサコア14−4aは非磁性体の片方(左側)にとしたチューブを介し、コイルは大気中に、センサコア14−4aは流体中にある。そして、センサコア14−4aはチューブとは接触しないように左右に作動し、その変位量をコイル14−4bによって検出するようになっている。ここで検出されたスプール14−3の変位をフィードバックし、外部からの指令信号との偏差に基づいてトルクモータ部14−5を駆動するようになっている。
トルクモータ部14−5はコイル14−5aに電流を流すことにより電磁力によりアーマチュア14−5bを継鉄14−5cに吸引し、フラッパ14−5dを微少量だけ傾倒させ、ノズル14−6とフラッパ14−5d間の距離を変更させる。ノズル14−6とフラッパ14−5d間の距離が変わるとノズル14−6からの流れ抵抗が変化し、その結果、左右のノズル上流の圧力が変化する。この圧力差によってスプール14−3が左右に駆動される。
制御弁14のアンプ80内には変位センサの信号処理を行うオシレータ/デモジュレータ80a、該オシレータ/デモジュレータ80aの出力であるフィードバック信号80bと指令信号との偏差を演算する演算回路80c、偏差信号に基づいてコイルの駆動電流を発生する増幅回路80dが内蔵されている。
本制御弁は流路を切り換える可動部であるスプール14−3を固定部であるスリーブ14−2に対して非接触に支持する静圧軸受14−7を備えている。また、前述の通り、センサ部においても、スプール14−3と連結されたセンサコア14−4aはいずれの箇所とも接触していない。即ち、本制御弁14が左右に動作することによって、機械的接触する部分がない。さらにノズル14−6とフラッパ14−5dも接触することはない。このため、切換弁15を閉じてシリンダ41の位置を保持する第1の位置保持手段から、制御弁14に機械的接触箇所がないことから、制御弁14の可動部が動作しても内部の可動部が摩耗してメンテナンスサイクルが短くなることはない。このように、制御弁14として可動部を固定部に対して非接触に支持する静圧軸受14−7を備えた制御弁を採用して位置決め制御することにより、本願発明の作用が効果的に発揮される。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
本発明に係る液圧装置の構成例を示す図である。 本発明に係る液圧装置の加圧部の上面図である。 本発明に係る液圧装置の流体駆動系の流体回路を示す図である。 本発明に係る液圧装置の加圧部に対象物を搬入する工程を示す図である。 本発明に係る液圧装置の加圧部から対象物を搬出する工程を示す図である。 本発明に係る液圧装置の加圧部の金型清掃工程を示す図である。 本発明に係る液圧装置の全工程における加圧部のシリンダの停止位置を示す図である。 液圧装置の対象物加工工程の各部の動作タイミングの従来の例を示す図である。 液圧装置の対象物加工工程の各部の動作タイミングの他の従来例を示す図である。 本発明に係る液圧装置の対象物加工工程の各部の動作タイミング例を示す図である。 本発明に係る液圧装置の対象物加工工程の各部の動作タイミング例を示す図である。 本発明に係る液圧装置の第1の位置保持手段の各部の動作タイミング例を示す図である。 本発明に係る液圧装置の第2の位置保持手段の各部の動作タイミング例を示す図である。 本発明に係る液圧装置の切換弁の構成例を示す図である。 本発明に係る液圧装置の制御弁の構成例を示す図である。
符号の説明
1 コントローラ
10 液圧装置
11 タンク
12 ポンプ
13 サーボモータ
14 制御弁
15 切換弁
16 高圧フィルタ
17 液面スイッチ
18 温度スイッチ
19 圧力スイッチ
20 駆動軸
21 ポンプフランジ
22 モータフランジ
23 回転軸
24 支柱
25 カップリング
26 吐出口
27 高圧配管
28 配管
29 エンコーダ
30 バルブブロック
31 圧力センサ
32 流体制御部
40 加圧部
41 シリンダ
42 対象物
43 下定盤
44 上定盤
45 ロッド
46 チューブ
47 上金型
48 下金型
49 変位センサ
50 支柱
61 搬入搬出機構
62 上昇下降機構
63 金型清掃機構
64 ロボットアーム
65 ロボットアーム
66 真空吸着機構
67 エアブローノズル

Claims (3)

  1. 指令信号に基いて運転及び停止するモータと、該モータにより回転駆動され高圧流体を吐出する液圧ポンプと、該液圧ポンプにより吐出される高圧流体により駆動されるアクチュエータと、該アクチュエータの動作方向、速度、位置、発生力を制御する制御弁と、該制御弁とアクチュエータの間の流路を開閉する切換弁を備えた液圧装置において、
    前記アクチュエータの位置保持に際し、前記切換弁を閉じ、前記ポンプを停止させて該アクチュエータの位置を保持する第1の位置保持手段と、前記ポンプを駆動し高圧流体を発生し、制御弁による位置制御によって前記アクチュエータの位置を保持する第2の位置保持手段による位置保持が実施可能であって、且つ該第2の位置保持手段から自動的に前記第1の位置保持手段に切り換えるコントローラを備えたことを特徴とする液圧装置。
  2. 請求項1に記載の液圧装置において、
    前記第2の位置保持手段による位置保持を継続する位置制御時間を前記コントローラに設定し、該位置制御時間を超えた時に前記第2の位置保持手段から自動的に前記第1の位置保持手段に切り換えるように構成したことを特徴とする液圧装置。
  3. 請求項1又は2に記載の液圧装置において、
    前記制御弁は、流路を切換える可動部が固定部に対して非接触に支持される静圧軸受を備えていることを特徴とする液圧装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103464666A (zh) * 2012-06-08 2013-12-25 无锡市晟达汽车附件厂 一种数控频动冷成型机及其生产方法
CN109434817A (zh) * 2018-12-10 2019-03-08 美钻深海能源科技研发(上海)有限公司 水下履带智能机器人工作臂单元
JP7574017B2 (ja) 2020-08-28 2024-10-28 住友重機械工業株式会社 油圧プレス、油圧プレスの制御装置及びプログラム

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