JP2005213624A - 金属帯の連続熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚物から薄物へのサイズ変更部を有する金属帯を連続熱処理ラインの中央に配置された加熱炉を通して連続熱処理する際に、ライントラブルの発生や操業効率の低下などを招くことなく金属帯を連続熱処理することのできる金属帯の連続熱処理方法を提供する。
【解決手段】加熱炉としての直火炉3を通過する鋼帯2が厚さの厚いものから薄いものに変化する前の連続焼鈍ライン1の中央速度をVc0、直火炉3を通過する鋼帯2が厚さの厚いものから薄いものに変化した時の中央速度Vcの増速量をΔV、中央速度Vcを増速する前の事前減速量をΔVJ、中央速度Vcの制約速度をV1としたとき、V1≧(Vc0+ΔV)のときはΔVJ=0、(Vc0+ΔV)>V1≧Vc0のときはΔVJ=−(Vc0+ΔV−V1)、V1<Vc0のときはΔVJ=−ΔVに設定して鋼帯2を連続焼鈍処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼帯等の金属帯を連続焼鈍ライン、連続溶融亜鉛メッキライン等の連続熱処理ラインで連続熱処理する方法に関するものであり、特に、厚物から薄物へのサイズ変更部を有する金属帯の連続熱処理方法に関する。
連続焼鈍ラインや連続溶融亜鉛メッキライン等の連続熱処理ラインでは、金属帯の板厚や板幅が異なるサイズ変更部が加熱炉を通過する場合に適正な板温にする、すなわち板温外れを防止するための方法として、目標板温度を許容温度範囲内で変更・設定し、加熱炉の設定温度を制御する方法と連続熱処理ラインの中央速度(加熱炉を通過する金属帯の速度)を制御する方法とがある。
一般的には、操業能率の観点から、炉の加熱・冷却能力、焼鈍必要時間等から出し得る最大の速度で操業することが望ましく、また熱処理ラインの中央速度を変更すると外乱要因にもなるため、可能であれば目標板温の変更・設定で制御したいが、すべての条件に対応することは困難であるため、効率を極力低下させずに中央速度を制御する方法が提案されている。例えば、下記文献1に記載された方法は、目標板温の変更ではサイズ変更点の通過に応答性が追従できないため、サイズ変更点が熱処理ラインの中で鋼板加熱に最も寄与する直火炉を通過中にライン速度を変更して、許容範囲内に保つ方法である。
また、特許文献2には、連続熱処理ラインの入側、中央、出側の設備制約から出し得る最適な中央速度を予測して、金属帯のサイズ変更部が連続熱処理ラインの加熱炉に進入する前に連続熱処理ラインの中央速度を変更して加熱炉での板温変動を許容範囲内に抑えるようにした金属帯の連続熱処理方法が提案されている。
特開平6−25756号公報 特開平6−330182号公報
しかしながら、上記文献2に記載の方法では、連続熱処理ラインの入側制約条件(入側ダウンタイムと入側ルーパ長による制約)、中央制約条件(炉負荷燃焼、熱処理方法による制約)および出側制約条件(出側ダウンタイムと出側ルーパ長による制約)によって定まる制約速度のみで中央速度を変更している。このため、特許文献1に記載の方法で金属帯のサイズ変更部が加熱炉を通過するときに中央速度を増速しようとすると、中央速度が設備上や操業上の制約速度を超えてしまうことがあり、ライントラブルの発生や操業効率の低下などを招くことがあった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、厚物から薄物へのサイズ変更部を有する金属帯を連続熱処理ラインの中央に配置された加熱炉を通して連続熱処理する際に、ライントラブルの発生や操業効率の低下などを招くことなく金属帯を連続熱処理することのできる金属帯の連続熱処理方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、厚物から薄物へのサイズ変更部を有する金属帯を連続熱処理ラインの中央に配置された加熱炉を通して連続熱処理する方法であって、前記加熱炉をサイズ変更部が通過する事前に前記連続熱処理ラインの中央速度を減速させることにより、その後のサイズ変更部通過時に伴い増加した中央速度が連続熱処理ラインの設備能力から決定される最大速度を超えないようにして前記金属帯を連続熱処理することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の金属帯の連続熱処理方法において、前記加熱炉をサイズ変更部が通過する事前に前記中央速度を減速させる事前減速量ΔVJが最小値に設定されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2記載の金属帯の連続熱処理方法において、前記金属帯のサイズ変更部が加熱炉に入る前の中央速度(事前減速を行なう前の中央速度)Vc0と前記連続熱処理ラインの中央制約条件によって定まる中央速度の制約速度V1および前記サイズ変更部が前記加熱炉を通過する時の中央速度の増速量ΔVとの関係がV1≧(Vc0+ΔV)のときは前記事前減速量ΔVJがΔVJ=0に設定され、(Vc0+ΔV)>V1≧Vc0のときはΔVJ=−(Vc0+ΔV−V1)に設定され、V1<V0のときはΔVJ=−ΔVに設定されることを特徴とする。
このような方法によると、中央速度の事前減速量ΔVJが増速量ΔVと制約速度V1とを考慮した速度に設定される。従って、加熱炉を通過する金属帯が厚さの厚いものから薄いものに変化したときに連続熱処理ラインの中央速度が制約速度を超える速度に増速されてしまうことがないので、ライントラブルの発生や操業効率の低下などを招くことなく金属帯を連続熱処理することができる。
この場合、前記金属帯の先端から1番目のサイズ変更部までの金属帯長さをLA、前記1番目のサイズ変更部から2番目のサイズ変更部までの金属帯長さをLB、前記2番目のサイズ変更部が直火炉を通過する金属帯の現在速度から目標速度に減速するまでの減速距離をDB、前記金属帯の先端から3番目のサイズ変更部が直火炉を通過する金属帯の現在速度から目標速度に減速するまでの減速距離をDcとしたとき、前記金属帯の減速開始ポイントPを
P=min(PB、PC、…)
但し、PB=LA−DB
C=LA+LB−Dc
から算出して、前記金属帯を連続熱処理することが好ましい。
本発明に係る金属帯の連続熱処理方法によれば、加熱炉を通過する金属帯が厚さの厚いものから薄いものに変化したときに連続熱処理ラインの中央速度が制約速度を超える速度に増速されてしまうことがないので、ライントラブルの発生や操業効率の低下などを招くことなく金属帯を連続熱処理することができる。
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図3に基づいて説明する。
図1において、符号1は被焼鈍材である鋼帯2を連続焼鈍処理する連続焼鈍ラインであって、この連続焼鈍ライン1の中央には、鋼帯2を支配的に加熱するための加熱炉として、直火炉3が配置されている。
直火炉3はバーナ4を有しており、バーナ4に燃料を供給する燃料供給管5には、バーナ4への燃料供給量を検出する燃料供給量検出手段としての流量検出器6が設けられているとともに、バーナ4への燃料供給量を調整する燃料供給量調整手段としての流量調整弁7が設けられている。
また、直火炉3は鋼帯2の板温を検出する板温検出器8を有しており、流量検出器6と板温検出器8から出力された信号は炉温制御装置9に供給されている。この炉温制御装置9は板温制御装置10からの板温設定信号に基づいて直火炉3の炉内温度を制御するように構成されており、直火炉3での鋼帯温度を制御する板温制御装置10には、板温設定及び板温変更タイミング演算装置11で設定された設定温度が供給されている。
連続焼鈍ライン1は鋼帯2を走行駆動するラインドライブ電動機12と、このラインドライブ電動機12を制御するラインドライブ制御装置13を介して中央速度Vcを制御する速度制御装置14とを備えており、速度制御装置14には、中央速度設定及び速度変更タイミング演算装置15で設定された速度設定信号が供給されている。
また、連続焼鈍ライン1は直火炉3を通過する鋼帯2の速度つまり連続焼鈍ライン1の中央速度Vcを検出する速度検出器16を備えており、この速度検出器16から出力された信号はラインドライブ制御装置13に供給されていると共に、鋼帯2のサイズ変更点をトラッキングするサイズ変更点トラッキング装置17に供給されている。
なお、図示を省略したが、直火炉3と入側ルーパ18との間には予熱炉が配置され、直火炉3と出側ルーパ19との間には間接的輻射式加熱炉、均熱炉、ガスジェット炉、過時効炉、急冷炉等が配置されている。
このような構成において、鋼帯2が厚物から薄物へのサイズ変更部を有する場合には、図2に示すように、鋼帯2のサイズ変更部が直火炉3に入る前に連続焼鈍ライン1の中央速度Vcを事前に減速しておき、鋼帯2のサイズ変更部が直火炉3を通過する時には、連続焼鈍ライン1の中央速度Vcを増速させて鋼帯温度PVを板温許容範囲内に制御する必要がある。そのため、本発明の一実施形態では、図3に示すように、連続焼鈍ライン1の中央制約条件(炉負荷燃焼、熱処理方法による制約)によって定まる中央速度Vcの制約速度V1と鋼帯2のサイズ変更部が直火炉3を通過する時の中央速度Vcの増速量ΔVとを求めた後(ステップS1及びS2)、サイズ変更部が直火炉3に入る前の事前減速量ΔVJを設定する(ステップS3〜S8)。なお、増速量ΔVの求め方は従来から知られている方法でよく、例えば特許文献1記載の方法でよい。
ここで、鋼帯2のサイズ変更部が直火炉3に入る前の中央速度(事前減速前の中央速度)Vc0と制約速度V1および増速量ΔVとの関係がV1≧(Vc0+ΔV)のときは、図3に示すように、事前減速量ΔVをΔVJ=0に設定する。また、(Vc0+ΔV)>V1≧Vc0のときは事前減速量ΔVをΔVJ=−(Vc0+ΔV−V1)に設定し、V1<Vc0のときはΔVJ=−ΔVに設定する。
なお、中央速度Vcの制約速度V1は、熱処理ラインの各設備の制約(加熱炉燃焼能力、処理時間等)から決定されるライン中央部での最大速度である。
このようにして中央速度Vcの事前減速量ΔVJを設定した後は、鋼帯2のサイズ変更部が直火炉3に入るまでに中央速度Vcの事前減速を完了させておく必要があるため、本発明の一実施形態では、鋼帯2の減速開始ポイントPを下式(2)から算出し(ステップS10)、算出した減速開始ポイントPが減速開始位置に到達したときに中央速度Vcの事前減速を開始する(ステップS15)。このとき、炉温制御装置9は、図3に示すように、直火炉3での鋼帯温度PV(実測温度)を板温制御装置10から供給された板温設定温度SVに一致させるために、流量調整弁7に制御信号を送出して直火炉3の炉内温度を制御するため、中央速度Vcの事前減速時に鋼帯温度PV(実測温度)が上昇することはない。そして、中央速度Vcの事前減速が完了したならば、図2に示すように、連続焼鈍ライン1の中央速度VcをVc+ΔVに変更する。その結果、直火炉板温PV(実測温度)は、中央速度Vcの増加により加熱量が低減するため、一旦温度は急激に低下する。ただし、温度低下量は、下限値未満にならない量とされる。その直後、サイズ変更点の通過時にサイズ変更比率に応じて、板温が急激に上昇する。ここでも、温度上昇量は上限値を超えない量とされ、その結果、直火炉板温PV(実測温度)を温度許容範囲内に制御することが可能となる。その後は、制御の応答性が遅い板温制御装置、炉温制御装置により加熱量を制御することによって次第に直火炉板温SVへ制御されることになる。
P=min(PB、PC、…) ‥‥(2)
但し、PB=LA−DB
C=LA+LB−DC
B=(Vc0 2−VB 2)/(2×α)
B=Vc0−ΔVJ
A:鋼帯の先端から1番目のサイズ変更部までの鋼帯長さ
B:1番目のサイズ変更部から2番目のサイズ変更部までの鋼帯長さ
B:2番目のサイズ変更部が直火炉に入る前までの減速距離
c:鋼帯の先端から3番目のサイズ変更部が直火炉に入る前までの減速距離
α:減速率
なお、図2では、速度変更点が勾配をもって速度を増加しているため、直火炉板温PVの温度低下もそれに伴って勾配を持って低下する。この速度変更の勾配は、設備能力等により瞬時に速度変更をすることができないからであるが、短時間で変更するのが良い。
このように、直火炉3を通過する鋼帯2が厚さの厚いものから薄いものに変化する前の連続焼鈍ライン1の中央速度(事前減速前の速度)をVc0、直火炉3を通過する鋼帯2が厚さの厚いものから薄いものに変化した時の中央速度Vcの増速量をΔV、中央速度Vcを増速する前の事前減速量をΔVJ、中央速度Vcの制約速度をV1としたとき、V1≧(Vc0+ΔV)のときはΔVJ=0、(Vc0+ΔV)>V1≧Vc0のときはΔVJ=−(Vc0+ΔV−V1)、V1<Vc0のときはΔVJ=−ΔVに設定して鋼帯2を連続焼鈍処理すると、事前減速量ΔVJが増速量ΔVと制約速度V1とを考慮した速度に設定される。従って、直火炉3を通過する鋼帯2が厚さの厚いものから薄いものに変化したときに連続熱処理ライン1の中央速度Vcが制約速度を超える速度に増速されてしまうことがないので、ライントラブルの発生や操業効率の低下などを招くことなく金属帯を連続熱処理することができる。
また、鋼帯2の減速開始ポイントPを式(2)から算出して鋼帯2を連続焼鈍処理すると、鋼帯2のサイズ変更部が直火炉3に入る前に連続焼鈍ライン1の中央速度Vcを所定速度まで確実に事前減速できるので、ライントラブルの発生や操業効率の低下などを招くことなく鋼帯2を安定して連続焼鈍処理することができる。
なお、上述した実施形態では本発明に係る金属帯の連続熱処理方法を連続焼鈍ラインに適用した場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、連続溶融亜鉛メッキライン等にも適用することができる。
本発明を連続焼鈍ラインに適用した場合の一実施形態を示す図である。 連続焼鈍ラインの中央速度を減速させるタイミングを説明するための図である。 本発明の一実施形態を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 連続焼鈍ライン
2 鋼帯
3 直火炉
4 バーナ
5 燃料供給管
6 流量検出器
7 流量調整弁
8 板温検出器
9 炉温制御装置
10 板温制御装置
11 板温設定及び板温変更タイミング演算装置
12 ラインドライブ電動機
13 ラインドライブ制御装置
14 速度制御装置
15 中央速度設定及び速度変更タイミング演算装置
16 速度検出器
17 サイズ変更点トラッキング装置
18 入側ルーパ
19 出側ルーパ

Claims (3)

  1. 厚物から薄物へのサイズ変更部を有する金属帯を連続熱処理ラインの中央に配置された加熱炉を通して連続熱処理する方法であって、前記加熱炉をサイズ変更部が通過する事前に前記連続熱処理ラインの中央速度を減速させることにより、その後のサイズ変更部通過時に伴い増加した中央速度が連続熱処理ラインの設備能力から決定される最大速度を超えないようにして前記金属帯を連続熱処理することを特徴とする金属帯の連続熱処理方法。
  2. 前記加熱炉をサイズ変更部が通過する事前に前記中央速度を減速させる事前減速量ΔVJは、最小値に設定されることを特徴とする請求項1記載の金属帯の連続熱処理方法。
  3. 前記事前減速量ΔVJは、前記金属帯のサイズ変更部が加熱炉に入る前の中央速度Vc0と前記連続熱処理ラインの中央制約条件によって定まる中央速度の制約速度V1および前記サイズ変更部が前記加熱炉を通過する時の中央速度の増速量ΔVとの関係がV1≧(Vc0+ΔV)のときはΔVJ=0、(Vc0+ΔV)>V1≧Vc0のときはΔVJ=−(Vc0+ΔV−V1)、V1<V0のときはΔVJ=−ΔVに設定されることを特徴とする請求項1または2記載の金属帯の連続熱処理方法。
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