JP2005213285A - 紫外線硬化型塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、黄変、ひび割れ、光沢減少を抑えた、実用に適する十分に優れた耐候性を有する紫外線硬化型塗料組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 光重合性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤、それらに加えてジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系分光増感剤を含有してもよい紫外線硬化型塗料組成物である。そして紫外線照射を低酸素濃度下で行う事によって一層耐候性に優れた紫外線硬化型塗料硬化物を得ることが出来る。
【選択図】 無し

Description

本発明は、耐候性硬化塗膜を得るために用いられる紫外線硬化型塗料組成物及び該硬化塗膜の形成方法に関するものである。
従来、重合性不飽和二重結合を有する塗料組成物は紫外線硬化型塗膜として、外装用途に用いられてきた。外装用途に使用する場合、優れた耐黄変性、耐ひび割れ剥がれ性、高い光沢の保持といった屋外での曝露に対する耐候性が必要とされる。しかし紫外線硬化に必要な光重合開始剤は、未反応物が塗膜中に残留し、耐候性の悪化につながっていた。また、紫外線吸収剤の添加量が適量を超えた場合、硬化に必要なエネルギーを吸収し、硬化阻害を起こす可能性があった。この様な理由でメタルウェザー耐候試験機を用いた耐候性試験において1000時間で著しい黄変、ひび割れ、剥がれ、著しい光沢の減少が起こらない耐候性に優れた紫外線硬化型塗料はいまだ実用化されていない。
特許文献1には、耐候性、耐汚染性に優れた塗膜を与える塗料用樹脂が記載されている。該樹脂は原料に高価なフッ素系モノマーを使用するため塗料コストが非常に高くなる。また、住宅施工後に火事となった場合フッ化水素等有毒ガスが発生するおそれもある。
特開平05−043831号公報
本発明の課題は、黄変、ひび割れ、光沢減少を抑えた、実用に適する十分に優れた耐候性を有する紫外線硬化型塗料組成物を提供することにある。
上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、光重合性モノマーと特定の紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤それらに加えて任意に分光増感剤を含有する塗料組成物が課題を解決することを見い出し、本研究を完成するに至った。
即ち、本発明の第一の構成は、光重合性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤、それらに加えて任意に分光増感剤を含有することを特徴とした紫外線硬化型塗料組成物である。そして紫外線照射を低酸素濃度下で行う事によって一層耐候性に優れた紫外線硬化型塗料硬化物を得ることが出来る。
本発明の紫外線硬化型塗料組成物及び該塗料組成物を本発明の方法により塗布し硬化させた塗装板は、実用に適する優れた耐候性を有する。
(一)
本発明の紫外線硬化型塗料組成物は、光重合性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含有する。さらにそれらに加えて分光増感剤を含有しても良い。以下、各構成要件に付いて詳しく述べる。
(二)
本発明の紫外線硬化型塗料組成物に使用する光重合性モノマーとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル,1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル,1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル,2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(三)
これらのモノマーは、1種または2種以上の混合系で用いることが出来るが、耐候性の観点から少なくとも1種は1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレートまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
紫外線吸収剤に関しては公知のものが使用できる。例えば、チヌビン400、チヌビン1577FF等が挙げられる。チヌビンはチバ・スペシャルティケミカルズ社の登録商標である。これらのうちから1種類もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。添加量は紫外線硬化型塗料組成物中に0.01〜15質量%程度が好ましい。
※登録商標はその旨明示することになっています。
ヒンダードアミン系光安定剤に関しては公知従来のものが使用できる。例えばチヌビン292、チヌビン123等が挙げられる。これらのうちから1種類もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。添加量は紫外線硬化型塗料組成物中に0.01〜15質量%程度が好ましい。
光重合性モノマーの含有量とウレタンアクリレートの含有量の比は1:10〜10:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1:3〜3:1の範囲である。
形成される塗膜の耐候性は、メタルウェザー耐候試験機を用いた耐候性試験において評価し、1000時間で著しい黄変、ひび割れ、著しい光沢の減少が起こらない程度であれば、従来にない優れた耐候性を有すると言える。
(四)
本発明の紫外線硬化型塗料組成物に使用する光重合性オリゴマーとしては、従来公知のものが使用できるが、その中でも特に代表的なものとしては、ビスフェノールA型、ノボラック型、多価アルコール型、多塩基酸型、ポリブタジエン型のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル型、ポリエーテル型のウレタン(メタ)アクリレートなどであり、何れも1種または2種以上の混合系で用いることが出来る。中でも、高耐候性を得るためには、ポリエーテル型のウレタン(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
(五)
本発明の紫外線硬化型塗料組成物は、公知の分光増感剤も併用することができる。代表的なものとしては、DETX(ジエチルチオキサントン)などのチオキサントン系が挙げられる。その添加量は、紫外線硬化型塗料組成物中に1〜15質量%であることが好ましい。
本発明の紫外線硬化型塗料組成物には、さらに必要に応じて本発明の目的を逸脱しない範囲内で、各種の機能を付与するため着色剤、体質顔料、滑剤、可塑剤、消泡剤、酸化防止剤、カップリング剤、有機溶剤及びキレート剤などの添加剤を添加することができる。また、艶消し用途の場合、アクリル系ビーズやウレタン系ビーズといった樹脂系ビーズ、有機処理シリカ、未処理シリカ、炭酸カルシウム、高分子量ワックス等を艶消し剤として用いてもよい。
(六)
本発明に係わる紫外線硬化型塗料組成物の製造は、従来公知の方法で実施することができる。一例として、光重合性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤をこの順に撹拌、混合することで製造可能である。
本発明に係わる紫外線硬化型塗膜を形成する方法について記述する。本塗膜形成方法は光重合性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する紫外線硬化型塗料組成物を基材に塗布し、紫外線照射により塗膜を形成する。
本発明の紫外線硬化型塗料組成物の塗工方式としては、従来公知の方式が適用できるが、その中でも特に代表的なものとしては、ロールコート、グラビアコート、バーコート、フローコート、ディップコート、フレキソコート、スプレーコートなどがある。
本発明の紫外線硬化型塗料組成物を前述の塗工方式で塗工する際の塗布量は、硬化塗膜として1〜100μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。
本発明に係わる紫外線硬化型塗料組成物を紫外線により硬化させる際、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができ、硬化後の塗膜中の残留開始剤を減らすために照射時の酸素濃度は15%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
本発明に係わる紫外線硬化型塗料組成物を紫外線により硬化させる際、複数回に分けて照射でき、その際高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。
本発明の紫外線硬化型塗料組成物を塗工する基材とは、一般に硬化皮膜が被覆される物体であれば特に制限はなく、具体的にはプラスチック、金属、紙、木材、無機質板、あるいは、これらに印刷が施されたもの、グラビアインキ等の印刷層を接着剤等で張り付けたもの等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において特に断りのない限り、表中の数字は質量部を表すものとする。
[塗料A〜Gの配合]
下記に示す組成の紫外線硬化型塗料組成物A〜Gを配合し、分散攪拌機にて各々調製した。これらの塗料を用いて表1〜3に示す実施例1〜6及び比較例1〜2を得る。
(塗料A)
3官能ウレタンアクリレートオリゴマー55部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30部、ベンゾフェノン5部、チヌビン400を2部、チヌビン123を2部。以上の合計94部。
(塗料B)
3官能ウレタンアクリレートオリゴマー55部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30部、ベンゾフェノン1部、チヌビン400を2部、チヌビン123を2部。以上の合計94部。
(塗料C)
3官能ウレタンアクリレートオリゴマー55部、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート30部、ベンゾフェノン5部、チヌビン400を2部、チヌビン123を2部。以上の合計94部。
(塗料D)
3官能ウレタンアクリレートオリゴマー55部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート30部、ベンゾフェノン5部、チヌビン400を2部、チヌビン123を2部。以上の合計94部。
(塗料E)
3官能エポキシアクリレートオリゴマー55部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30部、ベンゾフェノン5部、チヌビン400を2部、チヌビン123を2部。以上の合計94部。
(塗料F)
3官能ウレタンアクリレートオリゴマー55部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30部、ベンゾフェノン5部。以上の合計90部。
(塗料G)
3官能ウレタンアクリレートオリゴマー55部、ポリエチレングリコールジアクリレート30部、ベンゾフェノン5部、チヌビン400を2部、チヌビン123を2部。以上の合計94部。
塗料A〜Gに使用されている原料の詳細は以下の通りである。
3官能ウレタンアクリレートオリゴマー・・ヘキサメチレンジイソシアヌレートとヒドロキシエチルアクリレートとの化合物、
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート・・東亞合成株式会社製、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート・・東亞合成株式会社製、
ポリエチレングリコールジアクリレート・・東亞合成株式会社製、
ベンゾフェノン・・チバスペシャリティケミカル株式会社製、
チヌビン400・・チバスペシャリティケミカル株式会社製、
チヌビン123・・チバスペシャリティケミカル株式会社製。
前記のA〜Gの塗料をウレタン系塗料をロールコートにて塗装して下処理した合板にウェット塗布量10g/mで塗布し、表1〜2に示した各酸素濃度、各紫外線照射量で硬化させた。実施例3については表1に示す条件で第一照射及び第二照射の2段階で硬化させた。得られた硬化塗膜それぞれに対し、下記に記載の方法に従って耐候性の試験及び評価を行った。
(耐候性試験条件)
表1〜2に示す方法により得られた実施例1〜6及び比較例1〜2の硬化塗膜の耐候性試験を行った。耐候性試験機には、メタルウェザー耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス社製)を用いた。試験条件は1サイクルが10時間であり、そのうち6時間を照射時間(温度:65℃、湿度:30%、1時間毎にシャワーによる噴霧:5秒、照射強度:75mW/cm)、4時間を結露時間(温度:30℃、湿度:98%以上)とした。
本発明において、十分に優れた耐候性とはメタルウェザー耐候試験機を用いた耐候性試験において、1000時間(即ち、上記の、照射、シャワー、結露試験を連続100サイクル行う。)で著しい黄変、ひび割れ、著しい光沢の減少が生じないことを意味する。
(黄変性)
塗膜の黄変性はSpectro Color Meter SE2000(日本電色製)を用い、塗膜のLab値を測定し、耐候試験機にかける前の塗膜とのΔE(色差)を算出した。
(塗膜の外観)
塗膜の外観を目視で評価した。凡例を以下に示す。
○:変化なし △:塗膜の一部が白化 ×:塗膜全体に白化 ※:割れあり
(光沢保持率)
塗膜の光沢はGloss Meter VG2000(日本電色製)により測定した。測定条件は入射角60°、反射角60°とした。
Figure 2005213285
Figure 2005213285
表1〜2に示す耐候性試験結果より、本発明の塗料組成物A〜Eを用いた実施例1〜6は、比較例1〜2に比べて良好な耐候性を有することがわかる。

Claims (6)

  1. 光重合性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする紫外線硬化型塗料組成物。
  2. 前記の光重合性モノマーが、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル,1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル,1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル,2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から1種以上選ばれたものである請求項1に記載の紫外線硬化型塗料組成物。
  3. 前記の光重合性モノマーのうち少なくとも1種類がヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート又は1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートである請求項2に記載の紫外線硬化型塗料組成物。
  4. アクリレートオリゴマーを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線硬化型塗料組成物。
  5. 分光増感剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化型塗料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の紫外線硬化型塗料組成物を酸素濃度15%以下のガス雰囲気下において、紫外線照射して硬化を行ったことを特徴とする硬化皮膜塗工物。

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