JP2005212130A - プリンタ - Google Patents

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Yuki Oishi
雄輝 大石
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Abstract

【課題】 記録に供されるインクフィルムに皺が発生することを防止し、高品質な記録結果を得ることができるプリンタを提供する。
【解決手段】 ラインサーマルヘッド2の発熱素子3のインクフィルム21の搬送方向上流側の近傍に、ヘッドダウン時において走行するインクフィルムに対し摺接可能であり、前記発熱素子3の配列方向と平行にライン状に形成された突起状部材からなるフィルム皺除去部材11を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、サーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に発熱させることによりインクフィルムのインクを用紙に転写させて所望の記録を行なうプリンタに係り、特に、記録用紙の記録範囲における行方向の全域に対向するように複数の前記発熱素子を直線状に配列させてなるラインサーマルヘッドを搭載したプリンタに関する。
一般に、インクフィルムを用いて記録を行なうサーマルプリンタ等に搭載される記録ヘッドとしてのラインサーマルヘッドは、発熱抵抗体からなる複数の発熱素子を基板上に一列に形成し、記録情報にしたがって、それぞれの発熱素子に選択的に通電し発熱させることにより、インクフィルムのインクを溶融させて普通紙やOHP用紙などの記録用紙に転写し、所望の記録を行うようになっている。
このような従来のラインサーマルヘッドにおいては、放熱性の基板の表面に保温層が形成されており、この保温層の上面の先端部近傍には所定の高さで突出する凸部が形成されている。また、凸部を含む保温層の上面には、発熱抵抗体が積層形成されており、この発熱抵抗体の前記基板の先端側および基端側には、それぞれ前記発熱抵抗体に電圧を印加するための共通電極および個別電極が形成されている。そして、前記発熱抵抗体の共通電極と各個別電極とに挟まれた部分にはドット状をなす、複数個の発熱素子が直線状に形成されている。
また、前記基板の基端側には、前記共通電極および個別電極に接続されるドライバICのチップ(以下、ICチップという)が配設されている。そして、前記ICチップは封止樹脂材からなる封止部材により被覆され、保護されている。
このような従来のラインサーマルヘッドは、基板がヘッド取付け台に取付けられることでプリンタ本体に配設されており、前記ヘッド取付け台を回動させることによって前記発熱素子をインクフィルムと記録用紙とを介して前記プラテンに当接させることが可能とされている(以下、発熱素子とプラテンの当接する部分の記録用紙の搬送方向における中央を「当接位置」という)。
そして、ラインサーマルヘッドを用いて記録する場合には、インクフィルムと記録用紙とを介してラインサーマルヘッドの発熱素子をプラテンに当接させ、インクフィルムと用紙を搬送させるとともに、記録情報に基づいて複数の発熱素子を選択的に発熱させて、インクフィルムを加熱することにより、インクフィルムのインクを記録用紙に転写して、用紙に文字や画像等を記録することになる(例えば、特許文献1参照)。
ところで、前述のようなラインサーマルヘッドを搭載したプリンタにおいても、他の電気製品と同様に小型化の要請がある。また、コストダウンの要請もある。そこで、ラインサーマルヘッドの基板の前記発熱素子の配列方向に直交する方向の寸法を従来のラインサーマルヘッドに比べて格段に小さくすることで、前述のプリンタの小型化を実現し、さらには、1枚のマザー基板から切り出すラインサーマルヘッドの基板の数を多くすることで、コストダウンを図ることが検討されている。
前述のように前記基板の前記発熱素子の配列方向に直交する方向の寸法を小さくした場合、前記基板の上面において前記発熱素子に対し前記ICチップを保護する封止部材が近接することになる。よって、基板の前記発熱素子の配列方向に直交する方向の寸法を小さくしたラインサーマルヘッドを搭載するプリンタにおいては、前記ラインサーマルヘッドがプラテンに当接する際の前記ラインサーマルヘッドの当接角、すなわち、前記ラインサーマルヘッドとプラテンとの前記当接位置におけるプラテンの接線に対しラインサーマルヘッドの基板が成す角度が、従来よりも大きくなるように調整し、前記プラテンに対して発熱素子のみを適切に当接させるように構成する必要がある。
特開平10−129023号公報
ところが、前記ラインサーマルヘッドのプラテンに対する当接角が大きくなると、前記プラテンとラインサーマルヘッドの基板との間に形成される空間も大きくなる。そして、この大きく形成された空間においては、前記ラインサーマルヘッドの発熱素子とプラテンとが当接する記録位置に供給されるインクフィルムの搬送が不安定となり易く、記録に供されるインクフィルムが弛み、前記インクフィルムに皺が発生しやすくなり、記録結果に悪影響を及ぼすことが懸念された。特に、高温高湿となる記録環境下においては、前記皺が発生しやすい。
そこで、本発明は記録に供されるインクフィルムの皺の発生を防止し、高品質な記録結果を得ることができるプリンタを提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明のプリンタは、前記ラインサーマルヘッドの発熱素子のインクフィルムの搬送方向上流側における近傍に、ヘッドダウン時において走行するインクフィルムに対し摺接可能なフィルム皺除去部材が形成されていることを特徴とする。
そして、前記フィルム皺除去部材は、前記発熱素子の配列方向と平行にライン状に形成された突起状部材であることを特徴とする。
さらに、前記フィルム皺除去部材は、弾性体により形成されていることを特徴とする。
本発明のプリンタによれば、走行するリボンフィルムの前記サーマルヘッドに対向する裏面に前記ラインサーマルヘッドに形成されたフィルム皺除去部材を当接させ、インクフィルムにテンションを付与しつつ、インクフィルムとプラテンとの間に搬送される記録用紙に押し付けて皺を伸ばすとともに、前記インクフィルムの皺を該インクフィルムの搬送方向における上流側へ押し戻すように作用させることで、前記皺をサーマルヘッドの発熱素子がインクフィルムおよび記録用紙を介してプラテンに当接する記録位置へ到達しないようにさせることができる。しかも、本発明のプリンタは、前記インクフィルムの搬送方向上流側となる前記発熱素子の直前部に前記フィルム皺除去部材を位置させるようにしたので、前記記録位置のすぐ近くでインクフィルムの皺を伸ばすことができ、前記記録位置までの間に再びインクフィルムに弛みが発生し、皺が生じる虞も少なくなる。
特に、前記フィルム皺除去部材を、前記ラインサーマルヘッドの基板表面の前記発熱素子と前記封止部材との間隙に前記発熱素子の配列方向と平行にライン状に形成された突起状部材とすることで、インクフィルムに発生する皺を前記発熱素子の配列方向、すなわち、該インクフィルムの幅方向において確実に行なうことができる。
また、前記フィルム皺除去部材を弾性体で形成することにより、前記インクフィルムを、走行を阻害しない程度の適切な押圧力で記録用紙に押し付けることが可能となる。
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
図1は本発明に係るプリンタとしてのラインプリンタ(以下、単にプリンタという)の記録状態における要部の構成を示す正面図である。
本実施形態のプリンタの本体内には、プラテンとしてのプラテンローラ1が回転自在に配設されている。このプラテンローラ1の上方には、記録ヘッドとしてのラインサーマルヘッド2が、その記録面に整列配置させて形成された発熱素子3をプラテンローラ1の外周面と対向させ、プラテンローラ1の長手方向となる軸方向と平行な方向に延在するようにして配設されている。
ここで、本実施形態のプリンタにおけるラインサーマルヘッド2は、放熱性の良い基板4が配設され、この基板の上面には保温性の良いグレーズ等からなる保温層(図示せず)が形成されている。前記保温層の上面の先端部近傍には、フォトリソ技術等により表面を部分的に突出させて凸部5が形成されている。この凸部5を含む保温層の上面には、Ta−NやTa−SiO等からなる発熱抵抗体(図示せず)が積層形成されている。この発熱抵抗体の前記基板4の先端側および基端側には、それぞれ前記発熱抵抗体に電圧を印加するための共通電極(図示せず)および個別電極(図示せず)がAl、Cu、Au等のスパッタリング及びフォトリソ技術により積層されパターン形成されている。そして、前記発熱抵抗体の共通電極と個別電極とに挟まれた部分にはドット状に整列させて、複数個の発熱素子3が形成されており、記録時において、ラインサーマルヘッド2を所定の当接角をもって傾斜させたときに、発熱素子3がインクフィルム21(図1において一点鎖線で示す)と記録用紙22(図1において二点鎖線で示す)を介してプラテンローラ1と当接できるようになっている。なお、前記凸部5の形状は、ラインサーマルヘッド2の当接角、当接位置等から、プラテンローラ1との当接に適した形状に適宜設計される。
さらに、前記基板4には前記共通電極および個別電極に接続される図示しないドライバICのチップ(以下、ICチップという)が配設されている。前記ICチップは、例えば複数の発熱素子3に印加する通電パルスの電圧を制御して、発熱素子3の発熱量を制御するようになっている。そして、前記ICチップは機械的、熱的ストレス、水分等の外的要因から保護するため、その上面を封止樹脂材からなる封止部材6により被覆され、保護されている。なお、前記ICチップと封止部材6の形態としては、基板4上の共通電極及び個別電極に直接ICチップを実装し、実装領域を封止部材8で封止するCOB(Chip On Board)でもよいし、ICチップを封止部材でパッケージした上で、ラインサーマルヘッド2に実装してもよい。
また、発熱素子3や、共通電極と個別電極の上面には、これらの酸化や摩耗を防止するための、耐酸化性及び耐摩耗性に優れたSi−O−Nや、SiAlON等の硬質セラミックからなる保護層(図示せず)が所定の厚さでスパッタリング等により被覆形成されている。
また、ラインサーマルヘッド2の前記基板4の他端部の保温層上からは、ICチップの端子部に接続されるFPC(フレキシブル基板)等からなる外部端子部(図示せず)が引き出されている。
そして、前記ラインサーマルヘッド2は、軽量で放熱性(熱伝導性)に優れたアルミニウム合金などの金属材料により形成されたヘッド取付台7に取付けられており、記録中に前記保温層に蓄熱される熱を基板を介して放熱するようになっている。そして、前記ヘッド取付台7は、基端部を支持軸(図示せず)で枢着された図示しないヘッドレバーの先端部に取付けられており、前記ヘッドレバーを図示しない駆動源からの駆動力をもって前記支持軸を中心として回動させることにより、ヘッド取付台7に取付けられたラインサーマルヘッド2をプラテンローラ1に当接させたヘッドダウン位置と、プラテンローラ1から離間させたヘッドアップ位置との2位置を選択的に取らせるように形成されている。
さらに、本実施形態においては、前記ラインサーマルヘッド2の記録に供されるインクフィルム21の搬送方向上流側の発熱素子の近傍には、ヘッドダウン時において、走行する前記インクフィルム21に摺接するフィルム皺除去部材が形成されている。前記フィルム皺除去部材11は、図1に示すような、前記発熱素子の配列方向と平行にライン状に形成された、低粘度ゴム、スポンジ、ポロンなどの弾性体によりなる突起状部材とされている。
そして、図1に示すように、ヘッドダウン状態におけるプラテンローラ1とラインサーマルヘッド2との間には、プラテンローラ1側から順に、記録用紙22およびインクフィルム21が供給されるように構成されている。そして、前記プラテンローラ1に対してラインサーマルヘッド2が所定の当接力をもって当接したヘッドダウン状態におけるラインサーマルヘッド2とプラテンローラ1との当接位置は、インクフィルム21のインクを記録に供される記録用紙22に転写させる記録位置PPとされている。
また、前記ヘッド取付台7の前記インクフィルム21の搬送方向における前記記録位置PPより上流側には、記録に供されるインクフィルム21が前記発熱素子3以外の部分には接触しないような搬送経路を形成するインクフィルムガイド9が形成されている。さらに、前記ヘッド取付台7の前記インクフィルム21の搬送方向における前記記録位置PPより下流側には、記録に供されたインクフィルム21を前記記録用紙から剥離させるための剥離部材10が形成されている。
また、前記インクフィルム21は、用紙22の記録範囲の行方向の寸法である記録幅(記録幅)に対応する幅を有し、用紙22とともに搬送可能とされている。そして、記録時には、前記用紙22の搬送方向における前記記録位置PPの上流側となる送出側(図1中、右側)に配設されたインクフィルムカートリッジ23から繰り出され、前記インクフィルムガイド9に案内され、前記フィルム皺除去部材11により、インクフィルム21の弛みやその弛みを原因とする皺を除去した状態で前記記録位置PPへ供給され、記録に供された後、下流側となる巻取側(図1中、左側)に、順次巻取られるように構成されている。
そして、記録時には、ラインサーマルヘッド2をヘッドダウンさせた状態で、記録情報に基づいて発熱素子3に選択的に電圧を印加させることにより、発熱素子3がジュール熱を発生して選択的に発熱する。この発熱素子3の発熱により、インクフィルム21が部分的に加熱されて、インクフィルム21のインク(図示せず)が転写され、プラテンローラ1上に位置する記録用紙22に文字あるいは画像等が記録可能になっている。
このように構成された本実施形態においては、ラインサーマルヘッド2がヘッドダウン状態となったときに、前記フィルム皺除去部材11を走行する前記インクフィルム21の前記ラインサーマルヘッド2に対向する面に当接させ、前記インクフィルム21の走行により摺接させる。そのとき、前記フィルム皺除去部材11により、前記インクフィルム21にテンションをかけ、前記インクフィルム21を前記記録用紙22に押し付けるようにして皺を伸ばすとともに、前記インクフィルム21の皺をインクフィルムの搬送方向における上流側へ押し戻すことにより、前記皺がラインサーマルヘッド2の発熱素子がインクフィルム21および記録用紙22を介してプラテン1に当接する当接位置(記録位置)へ到達しないようにすることができる。
また、本実施形態のプリンタは、前記インクフィルム21の搬送方向上流側となる前記発熱素子3の近傍(直前部)にラインサーマルヘッド2に形成されたフィルム皺除去部材11を位置させることで、ラインサーマルヘッド2の発熱素子がインクフィルムおよび記録用紙を介してプラテンローラ1に当接する当接位置(記録位置PP)のすぐ近くでインクフィルム21の皺を伸ばすことができ、前記記録位置PPまでの間に再びインクフィルム21に弛みが発生し、皺の生じる虞を少なくすることができる。
また、本実施形態における前記フィルム皺除去部材11は、前記発熱素子の配列方向と平行にライン状に形成された突起状部材とされているので、インクフィルム21に発生する皺を前記発熱素子の配列方向、すなわち、該インクフィルム21の幅方向において確実に行なうことができる。
さらに、本実施形態における前記フィルム皺除去部材11を低粘度ゴムなどの弾性体により形成することにより、前記インクフィルム21を、走行を阻害しない程度の適切な押圧力で前記記録用紙22に押し付けることが可能となる。
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更をすることができる。
本発明のラインサーマルヘッドと共に使用されるインクフィルムは、プラスチックフィルムのようなベースフィルムに熱溶融性インクや熱昇華性インクを塗布したものであり、インクリボンやインクシートを含む概念である。
本発明のプリンタにおける要部構成を示す概略断面図
符号の説明
1 プラテンローラ
2 ラインサーマルヘッド
3 発熱素子
4 基板
5 凸部
6 封止部材
7 ヘッド取付台
9 インクフィルムガイド
10 剥離部材
11 フィルム皺除去部材
21 インクフィルム
22 記録用紙
PP 記録位置

Claims (3)

  1. 基板の上面の先端側に部分的に突出する凸部が形成された保温層と、前記凸部の上面に形成された複数の発熱素子と、前記各発熱素子に給電するための個別電極および共通電極とを有し、前記基板の表面の前記発熱素子より基端側における少なくとも一部を封止部材により被覆して保護してなるラインサーマルヘッドを備え、前記ラインサーマルヘッド側から順に重ねたインクフィルムと記録用紙とを介して前記ラインサーマルヘッドをプラテンに当接させた状態で、前記発熱素子に対し選択的に電圧を印加して所望の記録を行なうプリンタであって、
    前記ラインサーマルヘッドの発熱素子のインクフィルムの搬送方向上流側における近傍に、ヘッドダウン時において走行するインクフィルムに対し摺接可能なフィルム皺除去部材が形成されていることを特徴とするプリンタ。
  2. 前記フィルム皺除去部材は、前記発熱素子の配列方向と平行にライン状に形成された突起状部材であることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
  3. 前記フィルム皺除去部材は、弾性体により形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリンタ。
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