JP2005209947A - プラスチック磁石及びその製造方法 - Google Patents

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健 荒木
Takako Takei
夛賀子 竹井
Takanori Sone
孝典 曽根
Takayuki Hanaki
隆行 花木
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Abstract

【課題】安定且つ高い磁気特性を有し、成形性が優れると共に成形体密度の高いプラスチック磁石を得る。
【解決手段】少なくとも1種類以上の樹脂粉末、例えば、低吸湿性のポリアミド、低吸湿性のポリエステル及び低吸湿性のポリフェニレンサルファイドを加熱して得られる溶融樹脂と、少なくとも1種類以上の磁性粉末、例えば、フェライト、希土類−鉄系磁性粉末とからなる結合体を形成し、金型内で前記結合体を固化して製造されるプラスチック磁石であって、前記結合体は形成後、直接金型に注入されるものであり、かつ前記溶融樹脂の固化物の数平均分子量が2000以上6000未満であることを特徴とするプラスチック磁石を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック磁石及びその製造方法に関する。詳しくは安定且つ高い磁気特性を有し、成形性が優れると共に成形体密度の高いプラスチック磁石及びその製造方法に関する。
フェライト等の焼結磁石は磁気特性に優れるが、非常に堅く且つ脆いものであるため、薄肉及び複雑形状のものを生産することは困難であった。そこで、複雑形状を必要とする磁石は、磁気特性をある程度低下させても、焼結磁石の代わりに、加工性及び大量生産性等に優れるプラスチック磁石が求められてきた。
従来、フェライト磁性粉末と樹脂粉末の混合粉末を原料とするプラスチック磁石を射出成形法により製造する場合において、原料をペレット化させる必要があるために、多大な工程を要するだけでなく、製品バラツキが大きくなっていた。
そこで、磁性粉末と樹脂粉末をペレット化させなくても、磁性粉末の熱処理条件と樹脂粉末の粒径を規定することによって、良好な熱間流動性と射出成形性を確保したものがある(特許文献1)。
現在、より安定且つ高い磁気特性を有し、成形性が優れると共に成形体密度の高いプラスチック磁石が求められている。
特公昭55−33173号公報
プラスチック磁石の磁気特性を向上させるためには、磁性粉末の混合比率を高める必要がある。しかしながら、磁性粉末の混合比率が、体積比で55%を超えると、溶融樹脂が磁性粉末の周囲にうまく行き渡らずに、成形体密度が低下してしまう。
また、例えば、Sm−Fe−N等の希土類−鉄系磁性粉末は酸化しやすく、表面損傷により保磁力が低下しやすい性質を有するため、射出成形装置内で溶融樹脂が磁性粉末の間にうまく行き渡らないと、磁性粉末が高温の空気にさらされ続けて酸化すると共に、外部、例えばスクリューから直接的な機械的損傷を受けてしまうので、磁気特性が大きく低下してしまう。
従って、本発明は、前記欠点を解消し、より安定且つ高い磁気特性を有し、成形性が優れると共に成形体密度の高いプラスチック磁石を得る事を目的とする。
本発明のプラスチック磁石は、少なくとも1種類以上の樹脂粉末を加熱して得られる溶融樹脂と、少なくとも1種類以上の磁性粉末とからなる結合体を形成し、金型内で前記結合体を固化して製造されるプラスチック磁石であって、前記結合体は形成後、直接金型に注入されるものであり、かつ前記溶融樹脂の固化物の数平均分子量が2000以上6000未満であることを特徴とする。
また、前記プラスチック磁石の製造方法は、加熱シリンダーに少なくとも1種類以上の樹脂粉末と、少なくとも1種類以上の磁性粉末とを投入する工程と、前記加熱シリンダーで前記樹脂粉末から得られる溶融樹脂と前記磁性粉末とを結合して結合体を形成する工程と、前記結合体を加熱シリンダーから金型に直接注入する工程と、前記結合体を固化する工程とを含み、前記溶融樹脂の固化物の数平均分子量が2000以上6000未満であることを特徴とする。
本発明のプラスチック磁石及びプラスチック磁石の製造方法によれば、溶融樹脂の固化物全体の数平均分子量を2000以上6000未満とすることにより、溶融樹脂が適度に低い粘度となって磁性粉末の周囲に速やかに行き渡るので、空隙量が減少して成形体の密度を高めることができる。また、磁性粉末の表面に行き渡った樹脂は空気を遮断するため磁性粉末の酸化劣化を防止することができると共に、前記樹脂によりスクリュー等からの磁性粉末への直接的な機械的損傷を防止することができるので、磁気特性の低下が起こらない。さらに、結合体が直接金型に注入されるので、製造工程間の酸化を防止することができる。
従って、安定且つ高い磁気特性を有し、成形性が優れると共に成形体密度の高いプラスチック磁石を提供できる。
本発明は、少なくとも1種類以上の樹脂粉末を加熱して得られる数平均分子量数が2000以上6000未満の溶融樹脂の固化物と、少なくとも1種類以上の磁性粉末とを原料として、所定の製造工程によって製造するプラスチック磁石である。
本発明に係る溶融樹脂の固化物の数平均分子量は、加熱時における樹脂粘度の観点から2000以上6000未満、好ましくは4000以上5000未満である。数平均分子量が6000を超えると、射出成形装置内での溶融樹脂の粘度が高く、溶融樹脂が磁性粉末の周囲にうまく行き渡らないので、プラスチック磁石の成形体密度が低下する。一方、数平均分子量が2000未満であると、樹脂がもろくなり、成形体の割れやカケが多発する。
なお、異なる数平均分子量を有する複数種の樹脂を用いる場合であっても、その全体の数平均分子量が上記範囲内であれば良い。
本発明に係る樹脂粉末は、低吸湿性のポリアミド、低吸湿性のポリエステル及び低吸湿性のポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種以上で構成されていることが好ましい。ここで、低吸湿性とは、ISO 62を使用して測定した吸水率が2%以下のものを表す。低吸湿性の樹脂粉末とすることにより、高湿下においても磁性粉末の錆を極力抑制するので、プラスチック磁石の磁気特性の低下(経時劣化)を抑制することができる。
また、本発明に係る磁性粉末は、優れた磁気特性の観点から、フェライト、希土類−鉄系、希土類−コバルト系が好ましく、このようなものとして、例えばSr系フェライト、Sm−Fe−N、Nd−Fe−B、SmCo、Sm17等が挙げられる。これら磁性粉末は、等方性磁性粉末でも異方性磁性粉末のどちらでも良いが、異方性磁性粉末の場合には、成形時に配向処理を行う必要がある。なお、磁性粉末は、液体急冷法、HDDR法、還元拡散法等によって製造される。例えば、Nd−Fe−B系等方性磁性粉末は液体急冷法、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末はHDDR法、Sm−Fe−N系異方性磁性粉末は還元拡散法等によって各々製造される。
樹脂粉末の平均粒径は、樹脂粉末と磁性粉末を均一に混合する観点から、使用する磁性粉末の平均粒径の大きさに従って定めることが好ましい。樹脂粉末の平均粒径は、磁性粉末の平均粒径に対して、好ましくは0.1〜10倍となる。
磁性粉末の平均粒径は、成形性及び磁気特性によって適宜選択される。例えば、磁性粉末としてフェライトを用いた場合、フェライト磁性粉末の平均粒径は、好ましくは0.5μm〜10μm、より好ましくは1μm〜3μmである。10μmを超えると保持力が低下し、0.5μm未満であると残留磁化が低下する。
磁性粉末としてNd−Fe−B系等方性磁性粉末を用いた場合、Nd−Fe−B系等方性磁性粉末の平均粒径は、好ましくは10μm〜500μm、より好ましくは20μm〜200μmである。500μmを超えると成形時の流動性が低下して成形性が悪くなり、10μm未満であると残留磁化及び保持力が低下する。
磁性粉末としてNd−Fe−B系異方性磁性粉末を用いた場合、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末の平均粒径は、好ましくは5μm〜300μm、より好ましくは10μm〜150μmである。300μmを超えると成形時の流動性が低下して成形性が悪くなり、5μm未満であると残留磁化及び保持力が低下する。
磁性粉末としてSm−Fe−N系異方性磁性粉末を用いた場合、Sm−Fe−N系異方性磁性粉末の平均粒径は、好ましくは0.5μm〜50μm、より好ましくは1μm〜20μmである。50μmを超えると保持力が低下し、0.5μm未満であると残留磁化が低下する。
なお、樹脂粉末には、樹脂粉末及び磁性粉末の酸化を防止する観点から、磁性粉末と混合する前に酸化防止剤や金属不活性剤を微量に添加することができる。酸化防止剤には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤等を使用することができ、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジターシャルブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジターシャルブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)]、オクタデシル−3−(3,5−ジターシャルブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7〜C9側鎖アルキルエステル、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−ターシャルブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、トリス(2,4−ジターシャルブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸塩、テトラキス(2,4−ジターシャルブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、3−ヒドロキシ−5,7−ジターシャルブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物等が挙げられる。また、金属不活性剤には、例えば2’,3−ビス[[3−[3,5−ジターシャルブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン等を使用することができる。
一方、磁性粉末は、樹脂との親和性を向上させる観点から、樹脂と混合する前に表面被覆処理を施すことができる。表面被覆処理には、例えば、チタネートカップリング剤、シラン系カップリング剤等を使用することができる。
樹脂粉末と磁性粉末の混合比率は、体積比で50:50〜25:75の範囲とすることが好ましい。磁性粉末の混合比率が、体積比で75を超えると成形時の流動性が低下し、50未満であると磁気特性が低下するため実用性が乏しくなる。
本発明のプラスチック磁石は、樹脂粉末と磁性粉末とを加熱シリンダーに投入する工程と、樹脂粉末を加熱溶融して磁性粉末との結合体を形成する工程と、結合体を加熱シリンダーから金型に直接注入する工程と、結合体を固化する工程とにより製造される。
樹脂粉末は、磁性粉末と共に加熱シリンダーに投入された後、加熱されて溶融樹脂となると共に、磁性粉末と結びついて結合体を形成する。加熱温度は、樹脂の溶融温度によって決定され、150℃〜400℃の範囲にある。加熱は、段階的に昇温させることによって行ってよく、例えば、溶融、貯留等の段階に合わせて温度を複数設定してもかまわない。溶融樹脂と磁性粉末との結合体は、磁性粉末を溶融樹脂内に均一に分散させる観点から、例えば、スクリュー等により攪拌することが好ましい。
結合体は、途中で酸化されないように加熱シリンダーから金型に直接注入され固化する。金型は、成形体表面の肌荒れ不良を防ぐ観点から、必要に応じて50℃〜180℃に加熱される。50℃未満であると肌荒れ不良(フローマーク等)を十分に防ぐことができない。また、肌荒れ不良の防止には最高で180℃の温度があれば十分であり、それ以上の高温は不要である。また、結合体の固化は、加圧成形を用いて行われる。加圧成形は、結合体を加圧して行うものであればよく、例えば射出成形、押出し成形及び圧縮成形等がある。加える圧力は、使用する装置及び結合体の種類等により決定される。
また、磁性粉末としてフェライトやSm−Fe−N等の異方性磁性粉末を使用した場合には、成形の際に、磁性粉末の配向処理を行う必要がある。配向処理は、例えば電磁コイル、永久磁石等による磁場を利用することができる。なお、配向方向は特には限定されず、軸方向、ラジアル方向、極方向、垂直方向等に配向させることができる。印加する磁場の大きさは、使用する装置及び成形体の種類並びに大きさ等により決定される。
さらに、例えば、金型内に予めシャフト等の部品を内挿しておけば、同部品の周囲に所望の成形品を形成することが可能である。
また、結合体を形成する工程の際に、加熱シリンダーの内部を非酸化性雰囲気にしてもよい。非酸化性雰囲気とすることより磁性粉末、特に希土類−鉄系磁性粉末の酸化を抑制することができる。
非酸化性雰囲気は、酸化性ガスを排気して、加熱シリンダーの内部圧力を減圧することによって得られる。この場合、加熱シリンダーの内部圧力は、1000Pa以下とすることが好ましい。加熱シリンダーの内部圧力が1000Pa以下の場合、雰囲気中の酸素又は水分量が大気中に比べて1/100以下となり、例えば、希土類−鉄系磁性粉末の酸化が抑制され、プラスチック磁石の磁気特性が向上する。さらに、ガスの包含が抑制されるので、成形体の空孔が減り、成形体密度が向上すると共に、ウエルドライン間にガスが残らないので成形体の機械的強度が向上する。加熱シリンダーの内部圧力が1000Paを超えると、酸化性ガスの排気が不十分であるために、希土類−鉄系磁性粉末が酸化し、プラスチック磁石の磁気特性が低下する。加熱シリンダーの内部圧力の下限は、特に限定されず、使用する装置の能力により決定される。
また、非酸化性雰囲気は、酸化性ガスを不活性ガスで置換することによっても得られる。不活性ガスは、純度95%以上のArガス又は窒素ガスが好ましい。この場合、加熱シリンダーの酸素分圧又は水蒸気分圧を、1000Pa以下にすることが好ましい。加熱シリンダーの酸素分圧又は水蒸気分圧が1000Pa以下の場合、加熱シリンダーの酸素又は水分量が大気中に比べて1/100以下となり、例えば、希土類−鉄系磁性粉末の酸化が抑制され、プラスチック磁石の磁気特性が向上する。加熱シリンダーの酸素分圧又は水蒸気分圧が1000Paを超えると、酸化性ガスの不活性ガスによる置換が不十分であるために、希土類−鉄系磁性粉末が酸化し、プラスチック磁石の磁気特性が低下する。加熱シリンダーの酸素分圧又は水蒸気分圧の下限は、特に限定されず、使用する装置の能力により決定される。
次に、本発明のプラスチック磁石を成形するために使用可能な製造装置の一例としての射出成形装置を、図1を参照して以下に説明する。
図1のプラスチック磁石の射出成形装置は、加熱シリンダー1と、磁性粉末15及び樹脂粉末16の混合粉末が貯蔵された原料供給容器12とで構成されている。この原料供給容器12は、ホッパー3を通じて加熱シリンダー1に連結されており、ホッパー3と原料供給容器12との間には、原料を一定速度で送るための計量フィーダ17が備えられている。また、ホッパー3には、シリンダー入り口における粉末のブリッジを防止するためのスクリュー13及び振動機構14が配置されている。
加熱シリンダー1は略円筒状の形態であって、一端には射出口8が設けられており、また、他端には、加圧機構7が備えられている。加熱シリンダー1の内部には、射出スクリュー2が配置され、加熱シリンダー1の周辺には長手方向に沿って、異なる温度に設定可能な第1加熱ゾーン22、第2加熱ゾーン23、第3加熱ゾーン24がこの順で配列されている。これら加熱ゾーンの温度は、樹脂の溶融温度により決定される。通常、第1加熱ゾーン22、第2加熱ゾーン23、第3加熱ゾーン24は樹脂の溶融温度以上に設定することが好ましいが、溶融潜熱等の樹脂に特徴があるものについては特に限定されない。射出スクリュー2は、スクリュー回転機構6を介して加圧機構7に接続されており、加圧機構7の作動によって、射出口8に向けて移動可能となっている。なお、射出スクリュー2の回転速度は、使用する装置及び結合体の種類等により決定される。
射出スクリュー2先端部と射出口8との間にある加熱シリンダー1の内部は、磁性粉末15及び樹脂粉末16の結合体が貯留される貯留ゾーン4となっている。また、射出口8は、磁場発生機構11が設けられた金型5に接続されている。
このようなプラスチック磁石の製造装置において、磁性粉末15と樹脂粉末16との混合粉末は、原料供給容器12から加熱シリンダー1に投入される。樹脂粉末16は、第1加熱ゾーン22の熱を受けて溶融し、磁性粉末15と結合する。結合体は第2加熱ゾーン23の熱を受けながら射出スクリュー2の回転によって攪拌されると共に貯留ゾーン4に搬送され、所定量に達するまで第3加熱ゾーン24による熱を受けながら貯留される。その後、加圧機構7の作動により射出スクリュー2が射出口8側へ押し込まれ、加熱された結合体が射出口8を通り、金型5に射出される。このとき同時に磁場発生機構11によって配向処理が行われる。
さらに、別の製造装置の一例として、非酸化性雰囲気を生成するための排気機構及び不活性ガス供給機構を備えた射出成形装置を、図2を参照して以下に説明する。なお、図1の射出成形装置と同一の部材については、同一の符号を付して省略する。
図2の射出成形装置では、加熱シリンダー1の近傍に貯留ゾーン4を備えた貯留シリンダー9が配置され、加熱シリンダー1の押出し方向先端部と貯留シリンダー9の貯留ゾーン4とは、流路10によって連結されている。なお、流路10には、温度を低下させないために図示しない加熱ヒーターが備えられている。加熱シリンダー1の周辺には、長手方向に沿って第1加熱ゾーン22、第2加熱ゾーン23が配列されると共に、貯留シリンダー9の周辺にも、長手方向に沿って第3加熱ゾーン24が配置されている。貯留シリンダー9の一端には加圧機構7が配置され、他端には射出口8を介して金型5が接続されている。
一方、原料供給容器12の上部には、ガス導入口19及び排気口20が設置されると共に、ホッパー3上部と計量フィーダ17の間には、排気口21が設置されている。また、ガス導入口19及び排気口20、21には、開閉コック25、26、27がそれぞれ備えられている。なお、非酸化性雰囲気を生成するために、排気機構及び不活性ガス供給機構を備えた射出成形装置を例示したが、これに限定されない。
このようなプラスチック磁石の製造装置において、射出スクリュー2によって加熱シリンダー1前方へ送り出された磁性粉末15と溶融樹脂16との結合体は、流路10を通って貯留シリンダー9に搬送される。結合体は、貯留シリンダー9の内部の貯留ゾーン4に、所定量に達するまで、第3加熱ゾーン24による熱を受けながら貯留される。その後、貯留シリンダー9側の加圧機構7の作動によって、加熱された結合体が射出口8を通り、金型5に射出される。このとき同時に磁場発生機構11によって配向処理が行われる。
また、磁性粉末15と樹脂粉末16との混合粉末を原料供給器12に貯蔵した後、それらを加熱シリンダー1に投入する前に、開閉コック29、30を開けて排気口20、21から酸化性ガスを排出して、加熱シリンダーの内部圧力を1000Pa以下にする。これによって、例えば、希土類−鉄系磁性粉末の酸化が抑制されると共に、ガスの包含を抑制することができる。
さらに、磁性粉末15と樹脂粉末16との混合粉末を原料供給器12に貯蔵した後、それらを加熱シリンダー1に投入する前に、開閉コック28を開けて不活性ガス導入口19から不活性ガスを導入し、加熱シリンダーの酸素分圧又は水蒸気分圧を1000Pa以下にする。これによって、磁性粉末、特に希土類−鉄系磁性粉末の酸化が抑制される。
どちらの製造装置を用いても、結合体は、空気との接触を遮断するために、加熱シリンダー1から金型5に直接注入される。このように、本発明では、結合体を金型に直接注入するようにしているので、結合体を構成する磁性粉末は、酸化が最小限に抑えられる。
(実施例1)
平均粒径1.4μmのSr系フェライト異方性磁性粉末にチタネート系カップリング剤により表面被覆処理を施した。磁性粉末に平均粒径10μm、吸水率が1.5%(以下、ポリアミド12の吸水率は同じ)のポリアミド12粉末を加えてよく混合した。ポリアミド12粉末とSr系フェライト磁性粉末の混合比率は、質量比で9.8:90.2(体積比で35:65)である。なお、ポリアミド12粉末には、予め金属不活性剤と酸化防止剤をそれぞれ0.1質量部ずつ添加しておいた。前記混合粉末を、射出成形装置(図1参照)に投入し、予め金型内に内挿しておいたφ(外径)10mmの鉄製のシャフトの外周にφ50mm×t(高さ)30mmのプラスチックリング磁石を射出成形した。ここで、射出圧力は1140kg/cm、スクリュー回転数は90rpmとした。射出成形装置における3つの加熱ゾーンの温度は、それぞれ第1加熱ゾーン:230℃、第2加熱ゾーン:230℃、第3加熱ゾーン:240℃であった。また、射出の際には金型に取り付けた電磁コイル11により成形体の極方向に0.5Tの磁場を印加した。以上の工程に基づき、数平均分子量が異なる数種類のポリアミド12粉末を用いてそれぞれプラスチック磁石を作製した。また、磁性粉末としてフェライトの代わりに、平均粒径3μmの還元拡散法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁性粉末、平均粒径60μmのHDDR法によって製造されたNd−Fe−B系異方性磁性粉末を用いた場合についてそれぞれ同様の条件でプラスチック磁石を作製した。ただし、ポリアミド12粉末とこれらの磁性粉末の混合比率は、質量比で6.8:93.2(体積比で35:65)である。作製したプラスチック磁石の密度を測定し、また、ひび割れの有無について目視により調べた。
図3に実施例1で作製したプラスチック磁石の成形体密度の測定結果を示す。図3の縦軸は、樹脂の数平均分子量が2000の場合の成形体密度を基準とした場合の密度低下率(%)を示している。図3に示されるように、樹脂の数平均分子量が6000以下の場合、フェライト、Sm−Fe−N及びNd−Fe−Bの磁性粉末にかかわらず、密度低下が1%未満であった。
数平均分子量が6000以下の樹脂とすることによって、低粘度の樹脂が磁性粉末の周囲に速やかに行き渡る。その結果、空孔が生じにくくなり、プラスチック磁石の成形体密度が高くなるので、磁力の強いプラスチック磁石を得ることができる。
また、図4に実施例1で作製したプラスチック磁石のひび割れの有無についての結果を示す。図4に示されるように、樹脂の数平均分子量が2000を下回ると、樹脂がもろくなるためにプラスチック磁石の割れ発生率が大きくなった。
従って、樹脂の数平均分子量は2000以上6000未満の範囲であることが好ましい。
なお、実施例1では1種類の樹脂粉末しか使用していないため、溶融前後で、数平均分子量に変化は生じない。数平均分子量の異なる数種類の樹脂粉末を混合して用いる場合には、後出する実施例4で示すように、混合物の溶融後の数平均分子量を上記の範囲に収めれば、同様の効果が得られる。
(実施例2)
平均粒径100μmの液体急冷法によって製造されたNd−Fe−B系等方性磁性粉末にチタネート系カップリング剤により表面被覆処理を施した。この磁性粉末に数平均分子量が4000である平均粒径20μmのポリアミド12粉末を加えて両者をよく混合した。ポリアミド12粉末とNd−Fe−B系磁性粉末の混合比率は、質量比で9.8:90.2(体積比で45:55)である。なお、ポリアミド12粉末には予め金属不活性剤と酸化防止剤をそれぞれ0.1質量部ずつ添加しておいた。前記混合粉末を、非酸化性雰囲気生成手段を備えた射出成形装置(図2参照)に投入し、1分のタクトタイムでφ30×t8mmのプラスチック磁石を射出圧力:1140kg/cm、スクリュー回転数:90rpmで射出成形した。射出成形装置における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、第1加熱ゾーン:230℃、第2加熱ゾーン:230℃、第3加熱ゾーン:240℃であった。なお、磁性粉末の磁気特性が等方性であるため射出の際に磁場は印加しなかった。作製したプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
(比較例2)
ポリアミド12粉末として、数平均分子量が9000である平均粒径20μmのポリアミド12粉末を用いる以外は上記と同じ条件でプラスチック磁石を射出成形した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
(実施例3)
平均粒径80μmのHDDR法によって製造されたNd−Fe−B系異方性磁性粉末にチタネート系カップリング剤により表面被覆処理を施した。この磁性粉末に数平均分子量が5000である平均粒径10μmのポリアミド12粉末を加えて両者をよく混合した。ポリアミド12粉末とNd−Fe−B系磁性粉末の混合比率は、質量比で8.1:91.9(体積比で40:60)である。なお、ポリアミド12粉末には予め金属不活性剤と酸化防止剤をそれぞれ0.1質量部ずつ添加しておいた。前記混合粉末を実施例2と同様の射出成形装置に投入し、1分のタクトタイムでφ30×t8mmのプラスチック磁石を射出圧力:1140kg/cm、スクリュー回転数:90rpmで射出成形した。射出成形装置における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、第1加熱ゾーン:230℃、第2加熱ゾーン:230℃、第3加熱ゾーン:240℃であった。また、射出の際には金型に取り付けた電磁コイル11により成形体の板厚方向に1.0Tの磁場を印加した。作製したプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
(比較例3)
ポリアミド12粉末として、数平均分子量が9000である平均粒径10μmのポリアミド12粉末を用いる以外は上記と同じ条件でプラスチック磁石を射出成形した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
(実施例4)
平均粒径3μmの還元拡散法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁性粉末にシラン系カップリング剤により表面被覆処理を施した。次に、数平均分子量が4000である平均粒径5μmのポリアミド12粉末と、数平均分子量が10000である平均粒径5μmのポリアミド12粉末とを、7:3の割合で混合して溶融樹脂の固化物の数平均分子量が5800となるポリアミド12粉末を作製し、これに磁性粉末を加えて両者をよく混合した。ポリアミド12粉末とSm−Fe−N系磁性粉末の混合比率は、質量比で8.2:91.8(体積比で40:60)である。なお、ポリアミド12粉末には予め金属不活性剤と酸化防止剤をそれぞれ0.1質量部ずつ添加しておいた。前記混合粉末を実施例2と同様の射出成形装置に投入し、1分のタクトタイムでφ30×t8mmのプラスチック磁石を射出圧力:1140kg/cm、スクリュー回転数:90rpmで射出成形した。射出成形装置における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、第1加熱ゾーン:230℃、第2加熱ゾーン:230℃、第3加熱ゾーン:240℃であった。また、射出の際には金型に取り付けた電磁コイル11により成形体の板厚方向に1.0Tの磁場を印加した。作製したプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
(比較例4)
ポリアミド12粉末として、数平均分子量が10000である平均粒径5μmのポリアミド12粉末を用いる以外は上記と同じ条件でプラスチック磁石を射出成形した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
表1に、実施例2〜4及び比較例2〜4で作製したプラスチック磁石のBHカーブトレーサの結果を示す。
Figure 2005209947
表1に示されるように、各実施例及び比較例のプラスチック磁石は、樹脂の数平均分子量のみが異なるものである(数平均分子量は、実施例が2000以上6000未満の範囲、比較例が6000以上である)。このような実施例と比較例を比較すると、実施例は、比較例よりも残留磁化、保磁力及び最大エネルギー積がいずれも大きい。
従って、数平均分子量が2000以上6000未満の樹脂粉末を原料とすることによって、低粘度の樹脂が磁性粉末の周囲に速やかに行き渡る。その結果、磁性粉末の酸化及び直接的な機械的損傷が抑制されて、安定且つ高い磁気特性を有するプラスチック磁石を得ることができる。また、異なる数平均分子量を有する複数種の樹脂を用いた場合でも、それらの全体の数平均分子量が上記範囲内であれば、同様の効果を得ることができる。
(実施例5−1〜5−3)
平均粒径80μmのHDDR法によって製造されたNd−Fe−B系異方性磁性粉末と平均粒径3μmの還元拡散法還元拡散法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁性粉末にシラン系カップリング剤により表面被覆処理を施した。これらの磁性粉末に数平均分子量が3000である平均粒径5μmのポリアミド12粉末を加えて三者をよく混合した。ポリアミド12粉末、Nd−Fe−B系磁性粉末及びSm−Fe−N系磁性粉末の混合比率は、質量比で8.2:46.2:45.6(体積比で40:30:30)である。なお、ポリアミド12粉末には予め金属不活性剤と酸化防止剤をそれぞれ0.1質量部ずつ添加しておいた。前記混合粉末を実施例2と同様の射出成形装置に投入し、1分のタクトタイムでφ30×t8mmのプラスチック磁石を射出圧力:1140kg/cm、スクリュー回転数:90rpmで射出成形した。射出成形装置における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、第1加熱ゾーン:230℃、第2加熱ゾーン:230℃、第3加熱ゾーン:240℃であった。また、射出の際には金型に取り付けた電磁コイル11により成形体の板厚方向に1.0Tの磁場を印加した(実施例5−1)。また、樹脂としてポリアミド12粉末の代わりに吸水率が0.01%の芳香族ポリエステル粉末(実施例5−2)、吸水率が0.02%のポリフェニレンサルファイド粉末(実施例5−3)についてそれぞれ同様の条件(磁性粉末と樹脂粉末との混合比率については体積比を上記と同様にした)でプラスチック磁石を作製した。ただし、射出成形時の加熱ゾーンの温度は芳香族ポリエステルの場合、第1加熱ゾーン:260℃、第2加熱ゾーン:260℃、第3加熱ゾーン:270℃、ポリフェニレンサルファイドの場合、第1加熱ゾーン:290℃、第2加熱ゾーン:300℃、第3加熱ゾーン:310℃、とした。これらのプラスチック磁石を温度が80℃、湿度が90%の雰囲気下で1000時間保持する恒温恒湿試験を行い、試験前と試験後の磁気特性の劣化の割合(残留磁束密度の低下率)をBHカーブトレーサで調べた。
(実施例5−4)
樹脂粉末として、吸水率が10%のポリアミド6粉末を用いる以外は上記と同じ条件でプラスチック磁石を射出成形した。ただし、ポリアミド6粉末、Nd−Fe−B系磁性粉末及びSm−Fe−N系磁性粉末の混合比率は、質量比で9.1:45.7:45.2(体積比で40:30:30)である。得られたプラスチック磁石を温度が80℃、湿度が90%の雰囲気下で1000時間保持する恒温恒湿試験を行い、試験前と試験後の磁気特性の劣化の割合(残留磁束密度の低下率)をBHカーブトレーサで調べた。
表2に、実施例5−1〜5−4で作製したプラスチック磁石の恒温恒湿試験前後におけるBHカーブトレーサの結果を示す。
Figure 2005209947
表2に示されるように、数平均分子量が3000である樹脂粉末を共通して用いた実施例5−1〜5−4のプラスチック磁石は、いずれも残留磁化が大きく、良好であった。更に、使用する樹脂粉末を低吸湿性の樹脂(実施例5−1〜5−3)にすることにより、恒温恒湿試験前後の残留磁化の変化(低下率)を小さくすることができた。
従って、低吸湿性の樹脂粉末を原料とすることによって、水分による磁性粉末の酸化が抑制されるので、より安定で高い磁気特性を有するプラスチック磁石を得ることができる。
(実施例6−1)
平均粒径1.4μmのSr系フェライト異方性磁性粉末と平均粒径3μmの還元拡散法還元拡散法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁性粉末にシラン系カップリング剤により表面被覆処理を施した。これらの磁性粉末に数平均分子量が2000である平均粒径10μmのポリアミド12粉末を加えて三者をよく混合した。ポリアミド12粉末、フェライト磁性粉末及びSm−Fe−N系磁性粉末の混合比率は、質量比で8.0:36.8:55.2(体積比で35.0:32.5:32.5)である。なお、ポリアミド12粉末には予め金属不活性剤と酸化防止剤をそれぞれ0.1質量部ずつ添加しておいた。前記混合粉末を実施例2と同様の射出成形装置に投入し、ガス導入口19から窒素ガスを導入して射出成形装置内を窒素ガスで置換し、1分のタクトタイムでφ30×t8mmのプラスチック磁石を射出圧力:1140kg/cm、スクリュー回転数:90rpmで射出成形した。加熱シリンダーの酸素分圧と水蒸気分圧はいずれも1000Pa未満であった。射出成形装置における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、第1加熱ゾーン:230℃、第2加熱ゾーン:230℃、第3加熱ゾーン:240℃、であった。また、射出の際には金型に取り付けた電磁コイル11により成形体の板厚方向に1.0Tの磁場を印加した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
(実施例6−2)
加熱シリンダーを窒素ガスで置換せずに大気の状態を維持する以外は上記と同じ条件でプラスチック磁石を射出成形した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
(実施例7−1)
平均粒径1.4μmのSr系フェライト異方性磁性粉末と平均粒径3μmの還元拡散法還元拡散法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁性粉末にシラン系カップリング剤により表面被覆処理を施した。これらの磁性粉末に数平均分子量が4000である平均粒径10μmのポリフェニレンサルファイドを加えて三者をよく混合した。ポリフェニレンサルファイド粉末、フェライト磁性粉末及びSm−Fe−N系磁性粉末の混合比率は、質量比で12.6:35.0:52.4(体積比で40:30:30)である。なお、ポリフェニレンサルファイドには予め金属不活性剤と酸化防止剤をそれぞれ0.1質量部ずつ添加しておいた。前記混合粉末を実施例2と同様の射出成形装置に投入し、ガス導入口19からアルゴンガスを導入して射出成形装置をアルゴンガスで置換し、1分のタクトタイムでφ30×t8mmのプラスチック磁石を射出圧力:1140kg/cm、スクリュー回転数:90rpmで射出成形した。加熱シリンダーの酸素分圧と水蒸気分圧はいずれも1000Pa未満であった。射出成形装置における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、第1加熱ゾーン:290℃、第2加熱ゾーン:300℃、第3加熱ゾーン:310℃であった。また、射出の際には金型に取り付けた電磁コイル11により成形体の板厚方向に1.0Tの磁場を印加した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
(実施例7−2)
加熱シリンダーをアルゴンガスで置換せずに大気の状態を維持する以外は上記と同じ条件でプラスチック磁石を射出成形した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。
表3に、実施例6−1〜6−2及び実施例7−1〜7−2で作製したプラスチック磁石のBHカーブトレーサの結果を示す。
Figure 2005209947
表3に示されるように、実施例6−1、6−2、7−1、7−2のプラスチック磁石は、いずれも残留磁化が大きく、良好であった。更に、加熱シリンダー内の雰囲気を不活性ガス雰囲気(実施例6−1と7−1)にすることにより、さらに残留磁化、保磁力及び最大エネルギー積を大きくすることができた。
従って、加熱シリンダーを不活性ガス雰囲気にすることによって磁性粉末の酸化が抑制されるので、より安定で高い磁気特性を有するプラスチック磁石を得ることができる。
(実施例8−1)
平均粒径1.4μmのSr系フェライト異方性磁性粉末と平均粒径60μmのHDDR法によって製造されたNd−Fe−B系異方性磁性粉末にチタネート系カップリング剤により表面被覆処理を施した。これらの磁性粉末に数平均分子量が3000である平均粒径10μmのポリアミド12粉末を加えて三者をよく混合した。ポリアミド12粉末、フェライト磁性粉末及びNd−Fe−B系磁性粉末の混合比率は、質量比で7.9:36.5:55.6(体積比で35.0:32.5:32.5)である。なお、ポリアミド12粉末には予め金属不活性剤と酸化防止剤をそれぞれ0.1質量部ずつ添加しておいた。前記混合粉末を実施例2と同様の射出成形装置に投入し、排気口20,21から射出成形装置内を1000Pa以下に排気し、1分のタクトタイムでφ30×t8mmのプラスチック磁石を射出圧力:1140kg/cm、スクリュー回転数:90rpmで射出成形した。射出成形装置における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、第1加熱ゾーン:230℃、第2加熱ゾーン:230℃、第3加熱ゾーン:240℃、であった。また、射出の際には金型に取り付けた電磁コイル11により成形体の板厚方向に1.0Tの磁場を印加した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。また、同プラスチック磁石から5mm×5mm×25mmの角柱形状を切り出して抗折強度試験(3点折り曲げ試験)を行った。
(実施例8−2)
加熱シリンダーを排気せずに大気の状態を維持する以外は上記と同じ条件でプラスチック磁石を射出成形した。得られたプラスチック磁石の磁気特性をBHカーブトレーサで調べた。また、同プラスチック磁石から5mm×5mm×25mmの角柱形状を切り出して抗折強度試験(3点折り曲げ試験)を行った。
表4に、実施例8−1及び8−2で作製したプラスチック磁石のBHカーブトレーサ及び抗折強度の結果を示す。
Figure 2005209947
表4に示されるように、数平均分子量が3000である樹脂を共通して用いた実施例8−1及び8−2のプラスチック磁石は、いずれも残留磁化が大きく、良好であった。更に、加熱シリンダーを減圧雰囲気(実施例8−1)にすることにより、さらに残留磁化、保磁力、最大エネルギー積及び抗折強度を大きくすることができた。
従って、加熱シリンダーを減圧することによって、磁性粉末の酸化及びガスの包含が抑制されるので、より安定で高い磁気特性を有し、機械的強度の高いプラスチック磁石を得ることができる。
本発明のプラスチック磁石を製造するための製造装置の一例を示す概略断面図である。 本発明のプラスチック磁石を製造するための製造装置の他の例を示す概略断面図である。 実施例1におけるプラスチック磁石の樹脂の数平均分子量と密度低下との関係を示す図である。 実施例1におけるプラスチック磁石の樹脂の数平均分子量と割れ発生率との関係を示す図である。
符号の説明
1 加熱シリンダー、2 射出スクリュー、3 ホッパー、4 貯留ゾーン、5 金型、 6 スクリュー回転機構、7 加圧機構、8 射出口、9 貯留シリンダー、10 流路、11 磁場発生コイル、12 原料供給容器、15 磁性粉末、16 樹脂粉末、19 ガス導入口、20、21 排気口、22 第1加熱ゾーン、23 第2加熱ゾーン、24 第3加熱ゾーン、25、26、27 開閉コック。

Claims (5)

  1. 少なくとも1種類以上の樹脂粉末を加熱して得られる溶融樹脂と、少なくとも1種類以上の磁性粉末とからなる結合体を形成し、金型内で前記結合体を固化して製造されるプラスチック磁石であって、前記結合体は形成後、直接金型に注入されるものであり、かつ前記溶融樹脂の固化物の数平均分子量が2000以上6000未満であることを特徴とするプラスチック磁石。
  2. 前記樹脂粉末が、低吸湿性のポリアミド、低吸湿性のポリエステル及び低吸湿性のポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック磁石。
  3. 加熱シリンダーに少なくとも1種類以上の樹脂粉末と、少なくとも1種類以上の磁性粉末とを投入する工程と、
    前記加熱シリンダーで前記樹脂粉末から得られる溶融樹脂と前記磁性粉末とを結合して結合体を形成する工程と、
    前記結合体を加熱シリンダーから金型に直接注入する工程と、
    前記結合体を固化する工程と、
    を含み、前記溶融樹脂の固化物の数平均分子量が2000以上6000未満であることを特徴とするプラスチック磁石の製造方法。
  4. 前記加熱シリンダーの内部圧力が1000Pa以下であることを特徴とする請求項3に記載のプラスチック磁石の製造方法。
  5. 前記加熱シリンダーの酸素分圧又は水蒸気分圧が1000Pa以下であることを特徴とする請求項3に記載のプラスチック磁石の製造方法。
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