JP2005209665A - 電気化学キャパシタ用電極の製造方法及び電気化学キャパシタ用電極の製造装置 - Google Patents

電気化学キャパシタ用電極の製造方法及び電気化学キャパシタ用電極の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 電気化学キャパシタ用電極の体積容量を高める。
【解決手段】 本発明による電気化学キャパシタ用電極の製造方法は、集電体上に分極性電極層を形成する第1の工程(ステップS1〜S3)と、集電体上に形成された分極性電極層の表面をエンボス加工する第2の工程(ステップS4)と、エンボス加工された分極性電極層の表面を平坦化する第3の工程(ステップS5)とを備えている。このように、本発明では分極性電極層の表面をエンボス加工していることから、分極性電極層が効果的に圧縮され、その結果、17F/cm以上の高い体積容量を達成することが可能となる。しかも、エンボス加工した後、このエンボスを平坦化していることから、分極性電極層に含まれる多孔体粒子の脱落が防止され、高い信頼性を確保することが可能となる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電気化学キャパシタ用電極の製造方法及び製造装置に関し、特に、高い体積容量を有する電気化学キャパシタ用電極の製造方法及び製造装置に関する。
電気二重層キャパシタをはじめとする電気化学キャパシタは、小型化、軽量化が容易に可能であるため、例えば、携帯機器(小型電子機器)等の電源のバックアップ用電源、電気自動車やハイブリッド車向けの補助電源等として期待されており、その性能向上のための様々な検討がなされている。特に、電気自動車用電源のように大容量を必要とされる場合には、電極の単位体積当たりの静電容量(以下、「体積容量」という)が高い電気化学キャパシタの開発が望まれている。
このような電気化学キャパシタに用いられている電極は、集電体と分極性電極層を含む積層構造を有しており、シート状の集電体の表面に分極性電極層の材料となる溶液を塗布し、乾燥させることよって作製することができる(特許文献1参照)。しかしながら、集電体の表面にこのような溶液を塗布し乾燥させただけでは、形成される分極性電極層の密度が低いため十分な体積容量を得ることはできない。このため、より高い体積容量を得るためには、塗布により分極性電極層を形成した後、ロールプレス等によって分極性電極層を圧縮する必要がある。
特開2000−106332号公報
しかしながら、本発明者らの研究によれば、表面が実質的に平滑なローラを用いたロールプレスのみでは分極性電極層の圧縮が不十分であり、大容量の電気化学キャパシタに要求されている体積容量(17F/cm以上)を達成することが困難であることが明らかとなった。
したがって、本発明の目的は、より高い体積容量を有する電気化学キャパシタ用電極の製造方法及び製造装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、17F/cm以上の体積容量を有する電気化学キャパシタ用電極の製造方法及び製造装置を提供することである。
また、本発明のさらに他の目的は、より高い体積容量を有し、且つ、高い信頼性を有する電気化学キャパシタ用電極の製造方法及び製造装置を提供することである。
本発明による電気化学キャパシタ用電極の製造方法は、集電体上に分極性電極層を形成する第1の工程と、前記集電体上に形成された前記分極性電極層の表面をエンボス加工する第2の工程と、前記エンボス加工された前記分極性電極層の表面を平坦化する第3の工程とを備えることを特徴とする。
ここで、「分極性電極層の表面をエンボス加工する」とは、分極性電極層を圧縮することによりその表面に凹凸パターンを形成することをいう。形成する凹凸パターンは、規則的であっても構わないし、ランダムであっても構わない。また、「エンボス加工された記分極性電極層の表面を平坦化する」とは、分極性電極層の表面に形成された凹凸パターンの高さを圧縮により低くすることをいう。したがって、必ずしもエンボスを完全に除去する必要はなく、凹凸パターンの高さが低くなれば足りる。この場合、全体として凹凸パターンの高さを低くする限りにおいて、新たなエンボスが形成されても構わない。「凹凸パターンの高さ」とは、凸部と凹部の垂直方向における距離を指す。
このように、本発明では分極性電極層の表面をエンボス加工していることから、分極性電極層が効果的に圧縮され、その結果、17F/cm以上の高い体積容量を達成することが可能となる。しかも、エンボス加工した後、このエンボスを平坦化していることから、分極性電極層に含まれる多孔体粒子の脱落が防止され、高い信頼性を確保することが可能となる。
前記第1の工程は、電子伝導性を有する多孔体粒子と、前記多孔体粒子を結着可能なバインダーと、前記バインダーを溶解又は分散可能な液体とを含有する塗布液を、前記集電体上に塗布することにより行うことが好ましい。これによれば、集電体上に分極性電極層を簡単に形成することが可能となる。この場合、前記塗布液には、導電助剤がさらに含まれていることが好ましい。導電助剤を用いれば、集電体と分極性電極層との間における電荷の移動を促進させることが可能となる。
前記第2の工程は、表面に凹凸パターンが設けられたローラによるロールプレスによって行うことが好ましい。これによれば、分極性電極層の表面を確実にエンボス加工することが可能となる。この場合、凹凸パターンの高さは、前記第2の工程を行う前における前記分極性電極層の厚さの20%以上、70%以下とすることが好ましい。これは、凹凸パターンが低すぎると分極性電極層が効果的に圧縮されない一方、凹凸パターンが高すぎると集電体へのダメージが大きくなるからである。
前記第3の工程は、表面が実質的に平滑なローラによるロールプレスによって行うことが好ましい。これによれば、分極性電極層の表面に形成されたエンボスを確実に平坦化することが可能となる。
また、前記第2の工程を複数回行った後、前記第3の工程を行っても構わないし、第3の工程を複数回行っても構わない。これによれば、分極性電極層がよりいっそう圧縮されるとともに、分極性電極層に含まれる多孔体粒子の脱落がより確実に防止される。
本発明による電気化学キャパシタ用電極の製造装置は、少なくとも集電体及び分極性電極層が積層されてなる積層体をロールプレスすることによって電気化学キャパシタ用電極を製造するための電気化学キャパシタ用電極の製造装置であって、前記分極性電極層の表面をエンボス加工する第1のロールプレス部と、前記第1のロールプレス部の下流側に設けられ、前記エンボス加工された前記分極性電極層の表面を平坦化する第2のロールプレス部とを備えることを特徴とする。
本発明による製造装置を用いれば、分極性電極層を効果的に圧縮することができるとともに、分極性電極層に含まれる多孔体粒子の脱落が防止されることから、高い信頼性を確保することが可能となる。また、脱落した多孔体粒子による装置の汚染も防止される。
前記第1のロールプレス部は、前記積層体をロールプレスする第1及び第2のローラを有しており、前記第1及び第2のローラの少なくとも一方の表面には、凹凸パターンが設けられていることが好ましく、前記凹凸パターンの高さは、前記第1のロールプレス部によるロールプレスを行う前における前記分極性電極層の厚さの20%以上、70%以下であることがより好ましい。さらに、前記凹凸パターンは分極性電極層の幅とほぼ同じ幅を持ったエリアに設けられ、前記エリアと隣り合うエリアは実質的に平滑であっても構わない。このようなローラを用いれば、分極性電極層に覆われていない集電体はエンボス加工されないことから、集電体へのダメージを低減することが可能となる。
前記第2のロールプレス部は、前記積層体をロールプレスする第3及び第4のローラを有しており、前記第3及び第4のローラの表面は、いずれも実質的に平滑であることが好ましい。
このように、本発明によれば、分極性電極層の表面をエンボス加工していることから、分極性電極層が効果的に圧縮され、その結果、17F/cm以上の高い体積容量を達成することが可能となる。しかも、エンボス加工した後、このエンボスを平坦化していることから、分極性電極層に含まれる多孔体粒子の脱落が防止され、高い信頼性を確保することが可能となる。これにより、大容量で且つ信頼性の高い電気化学キャパシタを作製することが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。以下の説明においては、まず、本実施形態による製造方法によって作製される電気化学キャパシタ用電極の構成を説明し、その後、本実施形態による製造方法について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態による製造方法によって作製される電気化学キャパシタ用電極の構造を示す略断面図である。
図1に示すように、作製される電気化学キャパシタ用電極10は、電子伝導性を有する集電体16と、集電体16上に形成された電子伝導性を有する分極性電極層18によって構成される。
集電体16は、分極性電極層18への電荷の移動を十分に行うことができる良導体であればその材料としては特に制限されず、公知の電気化学キャパシタ用電極に用いられる集電体材料、例えばアルミニウム(Al)を用いることができる。集電体16の厚さについても特に限定されないが、電気化学キャパシタをより小型化するためには、機械的強度が十分に確保される限度においてできる限り薄く設定することが好ましい。具体的には、集電体16の材料としてアルミニウム(Al)を用いた場合、その厚さを20μm以上、50μm以下に設定することが好ましく、20μm以上、30μm以下に設定することがより好ましい。アルミニウム(Al)からなる集電体16の厚さをこの範囲に設定すれば、十分な機械的強度を確保しつつ、電気化学キャパシタの小型化を達成することが可能となる。
分極性電極層18は、集電体16上に形成される層であり、電荷の蓄電と放電に寄与する。分極性電極層18は、その構成材料として電子伝導性を有する多孔体粒子と、多孔体粒子を結着可能なバインダーとを少なくとも含有している。特に限定されるものではないが、分極性電極層18における多孔体粒子の含有量は、分極性電極層18全量を基準として84〜92質量%とすることが好ましく、バインダーの含有量は、分極性電極層18全量を基準として6.5〜16質量%とすることが好ましい。特に、分極性電極層18全量を基準として、84〜92質量%の多孔体粒子、6.5〜16質量%のバインダー及び0〜1.5質量%の電子伝導性を有する導電助剤からなることが好ましい。
分極性電極層18に含有される多孔体粒子は、電荷の蓄電と放電に寄与する電子伝導性を有する多孔体粒子であれば特に制限はなく、例えば、粒状又は繊維状の賦活処理済みの活性炭等が挙げられる。これら活性炭としては、フェノール系活性炭や、椰子ガラ活性炭等を用いることができる。この多孔体粒子の平均粒径は、好ましくは3〜20μmであり、窒素吸着等温線からBET等温吸着式を用いて求められるBET比表面積は、好ましくは1500m/g以上、より好ましくは2000〜2500m/gである。このような多孔体粒子を用いれば、高い体積容量を得ることが可能となる。
また、分極性電極層18に含有されるバインダーは、上記多孔体粒子を結着可能なバインダーであれば特に制限されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、フッ素ゴム等を用いることができる。これらの中でも、フッ素ゴムを用いることが特に好ましい。これは、フッ素ゴムを用いれば少ない含有量であっても多孔体粒子を十分に結着することが可能となり、これにより分極性電極層18の塗膜強度が向上するとともに、二重層界面の大きさが向上し、体積容量を向上させることができるからである。
フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等が挙げられるが、VDF、HFP及びTFEからなる群から選択される少なくとも二種が共重合してなるフッ素ゴムが好ましく、密着性や耐薬品性がより向上する傾向があることから、上記群の三種が共重合してなるVDF−HFP−TFE系フッ素ゴムが特に好ましい。
更に、分極性電極層18に必要に応じて含有される上記導電助剤は、集電体16と分極性電極層18との間での電荷の移動を十分に進行させることが可能な電子伝導性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
上記カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、ケッフェンブラック、ファーネスブラック等が挙げられるが、本発明においてはアセチレンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックの平均粒径としては、好ましくは25〜50nmであり、BET比表面積としては、好ましくは50m/g以上、より好ましくは50〜140m/gである。
また、分極性電極層18の厚さは、電気化学キャパシタ用電極10の小型化及び軽量化を図る観点から、50〜200μmであることが好ましく、80〜150μmであることがより好ましい。なお、分極性電極層18の厚さが均一でない場合(例えば、表面にエンボスが残存している場合)、上記厚さは最大膜厚を意味するものとする。分極性電極層18の厚さを上記範囲とすることにより、電気化学キャパシタの小型化及び軽量化が可能となる。
集電体16及び分極性電極層18を積層してなる電気化学キャパシタ用電極10全体としての厚さ(最大膜厚)は、70〜250μmであることが好ましく、100〜180μmであることがより好ましい。このような厚さとすることによって、電気化学キャパシタの小型化及び軽量化が可能となる。
以上が、本発明の好ましい実施形態による製造方法によって作製される電気化学キャパシタ用電極10の構成である。次に、本発明の好ましい実施形態による製造方法について詳細に説明する。
図2は、本発明の好ましい実施の形態による電気化学キャパシタ用電極の製造方法を説明するためのフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しながら、本実施形態による電気化学キャパシタ用電極の製造方法について説明を進める。
まず、分極性電極層18の材料となる塗布液を調製する(ステップS1)。塗布液の調整は次のようにして行うことができる。まず、図3に示すように、撹拌部SB1を備える混合装置C1中に、上述した多孔体粒子P1、上述したバインダーP2、後述する液体S1及び必要に応じて上記の導電助剤P3を投入し、撹拌する。これにより、塗布液L1を調製することができる。塗布液の調製は、混練操作及び/又は希釈混合操作を含むことが好ましい。ここで「混練」とは、液が比較的高粘度の状態で撹拌することにより材料を練り合わせることを意味し、「希釈混合」とは混練された液にさらに溶剤等を添加して比較的低粘度の状態で混ぜ合わせることを意味する。これら操作の時間や操作時の温度としては特に制限されないが、均一な分散状態とする点で、混練時間は30分〜2時間程度、混練時の温度は40〜80℃程度とすることが好ましく、希釈混合時間は1〜5時間程度、希釈混合時の温度は20〜50℃程度とすることが好ましい。
図3に示す液体S1としては、バインダーP2を溶解又は分散可能なものであれば特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトン(MEK)やメチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶剤等を用いることができる。また、塗布液L1における液体S1の配合量は、塗布液L1中の固形分全量100質量部に対して200〜400質量部とすることが好ましい。塗布液L1における多孔体粒子P1の含有量は、分極性電極層18を形成した後における多孔体粒子P1の含有量が先に説明した範囲となるように設定することが好ましい。
このようにして塗布液L1を調製した後、次にこの塗布液L1を集電体16の面上に塗布することによって塗膜を形成し(ステップS2)、乾燥により塗膜に含まれる液体S1を除去する(ステップS3)。これにより、未圧縮の分極性電極層18が集電体16上に形成された状態となる。塗布液L1を集電体16の面上に塗布する方法としては、公知である種々の塗布方法を特に制限なく使用することができる。例えば、エクストルージョンラミネーション法、ドクターブレード法、グラビアコート法、リバースコート法、アプリケーターコート法、スクリーン印刷法等の方法を採用することができる。また、塗膜の乾燥は所定時間の加熱によって行うことができる。具体的には、70〜130℃、0.1〜10分間の条件で乾燥を行うことが好ましい。
このようにして未圧縮の分極性電極層18を集電体16上に形成した後、次に、分極性電極層18の表面をエンボス加工し(ステップS4)、さらに、エンボス加工された分極性電極層18の表面を平坦化する(ステップS5)。ここで、分極性電極層18の表面をエンボス加工するのは、分極性電極層18を効果的に圧縮し、これによって体積容量を高めるためである。一方、エンボス加工された分極性電極層18の表面を平坦化するのは、エンボス加工された分極性電極層18の表面から多孔体粒子P1が脱落するのを防止するためである。つまり、強くエンボス加工を行うと(例えば、後述する凹凸パターンの高さが大きい場合)、多孔体粒子P1が脱落しやすいため、製品の信頼性を低下させたり、製造装置を汚染するおそれがあるからである。
分極性電極層18の表面にエンボス加工する方法としては、例えば、表面に凹凸パターンが設けられたローラ等の転写部材を分極性電極層18の表面に押しつけることによって行うことができる。この場合、転写部材の表面に設けられた凹凸パターンの高さは、エンボス加工前の分極性電極層18の厚さの20%以上、70%以下に設定することが好ましく、30%以上、60%以下に設定することがより好ましい。これは、凹凸パターンの高さが低すぎると分極性電極層18が効果的に圧縮されない一方、凹凸パターンの高さが高すぎると集電体16へのダメージが大きくなるからである。尚、「凹凸パターンの高さ」とは、凸部と凹部の垂直方向における距離を指す。
また、エンボス加工された分極性電極層18の表面を平坦化する方法としては、例えば、表面が実質的に平滑なローラ等の平坦化部材を分極性電極層18の表面に押しつけることによって行うことができる。
以上により、効果的に圧縮され且つ多孔体粒子の脱落が防止された分極性電極層18が集電体16上に形成される。したがって、これを必要な大きさ・形状に切り出せば(ステップS6)、電気化学キャパシタ用電極10が完成する。
図4は、上述したステップS2〜S5を実施可能な装置(電気化学キャパシタ用電極の製造装置)の構造を示す概略図である。
図4に示す電気化学キャパシタ用電極の製造装置100は、シート状の集電体16が巻回された供給ロール101と、所定の速度で回転することによって集電体16と分極性電極層18の積層体20を巻回する巻き取りロール102と、供給ロール101と巻き取りロール102との間にこの順に設けられた塗布部110、乾燥部120、第1のロールプレス部130及び第2のロールプレス部140とを備えている。このように、電気化学キャパシタ用電極の製造装置100では、塗布部110、乾燥部120、第1のロールプレス部130及び第2のロールプレス部140が上流(供給ロール101)から下流(巻き取りロール102)へと順に配置された構成を有している。
塗布部110は、塗布液L1を集電体16の面上に塗布する工程(ステップS2)を行うための部分である。塗布部110は、塗布液L1を貯留する容器111と、容器111内の塗布液L1を集電体16へ供給する塗布液供給ロール(グラビアロール)112と、塗布液供給ロール112と連動して回転するバックアップロール113とを備える。図4に示すように、供給ロール101より供給された集電体16は、回転する塗布液供給ロール112とバックアップロール113に挟まれながら搬送され、これにより集電体16の一方の面上には分極性電極層18の材料となる塗膜L2が形成される。塗膜L2が形成された集電体16は、ガイドロール103によって乾燥部120へと移動する。
乾燥部120は、塗膜L2に含まれる液体S1を除去する工程(ステップS3)を行うための部分である。図4に示す電気化学キャパシタ用電極の製造装置100では、集電体16を挟むように配置された2つの乾燥機121、122によって構成されており、これら乾燥機121、122による加熱によって塗膜L2に含まれる液体S1が除去され、分極性電極層18となる。これにより、集電体16の面上に分極性電極層18が形成された状態となる。但し、この状態では分極性電極層18の密度は低く、このままの状態では高い体積容量を得ることはできない。
第1のロールプレス部130は、分極性電極層18の表面をエンボス加工する工程(ステップS4)を行うための部分である。図4に示す電気化学キャパシタ用電極の製造装置100では、分極性電極層18側に配置された第1のローラ131と集電体16側に配置された第2のローラ132を備え、これらローラ131、132によって積層体20をロールプレスし、積層体20に含まれる分極性電極層18を圧縮する。ここで、第1のローラ131の表面131aには、凹凸パターンが設けられており、これによって第1のロールプレス部130を通過した分極性電極層18の表面には凹凸パターンが転写される。つまり、分極性電極層18の表面がエンボス加工される。一方、第2のローラ132の表面132aは実質的に平滑である。
第1のロールプレス部130に含まれる第1のローラ131は、分極性電極層18のほぼ全表面をエンボス加工可能である限り、図5に示すように表面131aのほぼ全面に凹凸パターンが設けられていても構わないし、図6に示すように分極性電極層18の幅W1とほぼ同じ幅を持ったエリア131aにのみ凹凸パターンが設けられ、その他のエリア131aは実質的に平滑であっても構わない。第1のローラ131として図5に示すタイプのものを用いれば、積層体20が第1のローラ131に対して軸方向にずれた場合であっても、分極性電極層18の全表面を確実にエンボス加工することが可能となる。一方、第1のローラ131として図6に示すタイプのものを用いれば、分極性電極層18に覆われていない集電体16はエンボス加工されないことから、集電体16へのダメージを低減することが可能となる。
図7は、第1のローラ131の表面131aに設けられた凹凸パターンを拡大して示す図であり、(a)は略断面図、(b)は略平面図である。
図7(a)、(b)に示すように、第1のローラ131の表面131aには、凹部90a及び凸部90bが形成されており、凹部90aは、錐体形状を有し等間隔で規則的に複数設けられている。そして、凸部90bは、凹部90aの間に位置している。凹部90aと凸部90bの垂直方向における距離N、つまり凹凸パターンの高さは、既に説明したように、エンボス加工前の分極性電極層18の厚さの20%以上、70%以下に設定することが好ましく、30%以上、60%以下に設定することがより好ましい。また、本例では、凸部90bは平坦部90cを有しており、この平坦部90cの幅Nは5〜15μmに設定することが好ましい。また、凹部90aの傾きαについては、35°〜75°に設定することが好ましく、45°〜65°に設定することがより好ましい。
図8は、第1のロールプレス部130によってエンボス加工された分極性電極層18の表面を拡大して示す図であり、(a)は略断面図、(b)は略平面図である。
図8(a)、(b)に示すように、第1のロールプレス部130を通過した分極性電極層18の表面には、第1のローラ131の表面131aに設けられた凹凸パターンが転写される。つまり、第1のローラ131の凸部90bに対応する領域には凹部91aが形成され、第1のローラ131の凹部90aに対応する領域には凸部91bが形成される。また、第1のローラ131の平坦部90cに対応する領域は平坦部91cとなる。これにより、分極性電極層18は特に平坦部91cにおいて最も強く圧縮され、これにより分極性電極層18の密度が効果的に高められる。
但し、この状態では分極性電極層18の凸部91bの特に先端部における密度が十分でなく、さらに、その形状ゆえ凸部91bから多孔体粒子P1が脱落するおそれがある。このような問題は、第1のロールプレス部130の下流側に位置する第2のロールプレス部140によるロールプレスによって解決される。
つまり、第2のロールプレス部140は、エンボス加工された分極性電極層18の表面を平坦化する工程(ステップS5)を行うための部分であり、図4に示す電気化学キャパシタ用電極の製造装置100では、分極性電極層18側に配置された第3のローラ141と集電体16側に配置された第4のローラ142によって構成される。これら第3及び第4のローラ141、142の表面141a、142aはいずれも実質的に平滑であり、このようなローラ141、142によって積層体20をロールプレスすることにより、分極性電極層18の表面に形成されたエンボスが平坦化される。つまり、分極性電極層18の凸部91bが潰され、これにより、密度がさらに高められるとともに、凸部91bからの多孔体粒子P1の脱落が防止される。
尚、エンボス加工や平坦化のためのロールプレスの圧力は4900N/cm(500kgf/cm)〜24500N/cm(2500kgf/cm)とすることが好ましい。
このようなロールプレスが完了した積層体20は、ガイドロール104により導かれて巻き取りロール102に巻回される。
このように、図4に示す電気化学キャパシタ用電極の製造装置100を用いれば、上述したステップS2〜S5を連続的に実施することが可能となる。
そして、図9(a)に示すように、巻き取りロール102に巻回された積層体20を所定の大きさに切断し、図9(b)に示すように、作製する電気化学キャパシタのスケールに合わせて積層体20を打ち抜けば、図9(c)に示すように電気化学キャパシタ用電極10が完成する。このとき、図9(c)に示すように分極性電極層18に覆われていない集電体16の一部を同時に取り出せば、これを引き出し電極12として利用することが可能となる。
以上のようにして製造された電気化学キャパシタ用電極10は、分極性電極層18の表面がエンボス加工された後(ステップS4)、これが平坦化されていることから(ステップS5)、17F/cm以上の高い体積容量を達成することができるのみならず、多孔体粒子P1の脱落が防止され、高い信頼性を確保することが可能となる。また、脱落した多孔体粒子P1による装置の汚染も防止される。
そして、図10に示すように作製した電気化学キャパシタ用電極10を少なくとも2枚用意し、分極性電極層18が向き合うよう、これら2枚の電気化学キャパシタ用電極10によってセパレータ40を挟んだ後、図示しないケースに収容し、ケース内に電解質溶液を充填すれば、電気化学キャパシタが完成する。
セパレータ40としては、絶縁性の多孔体から形成されていることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布等を用いることができる。
また電解質溶液としては、公知の電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタに用いられている電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電気化学キャパシタが電気二重層キャパシタである場合、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いためキャパシタの耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。具体的な電解質溶液の種類は特に限定されないが、溶質の溶解度、解離度、液の粘性を考慮して選択することが好ましく、高導電率でかつ高電位窓(分解開始電圧が高い)の電解質溶液であることが特に望ましい。代表的な例としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレイトのような4級アンモニウム塩を、プロピレンカーボネート、ジエチレンカーボネイト、アセトニトリル等の有機溶媒に溶解したものが使用される。なお、この場合、混入水分を厳重に管理する必要がある。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、分極性電極層18の表面に対するエンボス加工を1回のみ行っているが、図11に示すように第1のロールプレス部130を複数設けることによって複数回のエンボス加工を行っても構わない。図11に示す例では、上流側ロールプレス部130−1と下流側ロールプレス部130−2を備えており、上流側ロールプレス部130−1に含まれるローラ131−1の表面131−1aと、下流側ロールプレス部130−2に含まれるローラ131−2の表面131−2aのそれぞれに凹凸パターンが設けられている。この場合、ローラ131−1の表面131−1aに設けられた凹凸パターンとローラ131−2の表面131−2aに設けられた凹凸パターンが同じ形状である必要はなく、例えば、下流側に位置するローラ131−2よりも上流側に位置するローラ131−1の凹凸パターンの高さを高く設定すれば、分極性電極層18には上流側ロールプレス部130−1によって深いエンボスが形成され、さらに、下流側ロールプレス部130−2によってこのエンボスが平坦化され且つ新たな浅いエンボスが形成されることになる。そして、下流側ロールプレス部130−2によって形成された浅いエンボスは、第2のロールプレス部140によってさらに平坦化される。
逆に、上流側に位置するローラ131−1よりも下流側に位置するローラ131−2の凹凸パターンの高さを高く設定しても構わない。この場合、分極性電極層18には上流側ロールプレス部130−1によって比較的浅いエンボスが形成され、さらに、下流側ロールプレス部130−2によって深いエンボスが形成されることになる。この場合も、下流側ロールプレス部130−2によって形成された深いエンボスは、第2のロールプレス部140によって平坦化される。
また、凹凸パターンの高さについては上流側に位置するローラ131−1と下流側に位置するローラ131−2とをほぼ等しくする一方、凸部90bのピッチNや凸部90bの傾きα(いずれも図7参照)を互いに異ならせることで、形状の異なるエンボスを形成しても構わない。
尚、図示しないが、第2のロールプレス部140を複数設けることによってエンボスの平坦化を複数回行っても構わない。
さらに、図12に示すように第2のロールプレス部140に含まれる第3のローラ141の表面141aに高さの低い凹凸パターンを設けても構わない。これによれば、第1のロールプレス部130によって形成された深いエンボスを平坦化しつつ、新たな浅いエンボスが形成されることになる。但しこの場合、分極性電極層18の表面から多孔体粒子P1が脱落するのを十分に防止するためには、第3のローラ141の表面141aに設ける凹凸パターンの高さとして、第1のロールプレス部130によりロールプレスした後における分極性電極層18の厚さの15%以下に設定することが好ましく、10%以下に設定することがより好ましい。
さらに、上記実施形態では、集電体16の一方の面にのみ分極性電極層18が形成されているが、集電体16の両面に分極性電極層18を形成することも可能であり、この場合には、図13に示すように、第1のロールプレス部130に含まれる第2のローラ132の表面132aにも凹凸パターンを設ければよい。これによれば、集電体16の両面に形成された分極性電極層18を同時にエンボス加工することが可能となる。
但し、第1のローラ131及び第2のローラ132の両方に凹凸パターンを設けると、凹凸パターンの重なり方によっては分極性電極層18を十分に圧縮できなかったり、逆に、過度の圧縮により集電体16へのダメージが大きくなったりする可能性がある。これを避けるためには、図14に示すように、第1のロールプレス部130を上流側ロールプレス部130−1と下流側ロールプレス部130−2に分け、上流側ロールプレス部130−1に含まれるローラ131−1の表面131−1aと、下流側ロールプレス部130−2に含まれるローラ132−2の表面132−2aにそれぞれ凹凸パターンを設けることが好ましい。これによれば、それぞれ他方のローラ132−1、131−2の表面132−1a、131−2aは実質的に平滑であることから、上記の問題が生じることはない。
また、本発明による電気化学キャパシタ用電極の製造装置は、図4に示した装置のように、塗布部110、乾燥部120、第1のロールプレス部130及び第2のロールプレス部140が連続的且つ一体的に配置された構成である必要はなく、上記の順が確保される限り、2以上の装置の集合体であっても構わない。例えば、乾燥部120を通過したシート状の集電体16を一旦巻き取り、第1のロールプレス部130及び第2のロールプレス部140を備える別の装置によってロールプレスしても構わない。さらに、第1のロールプレス部130と第2のロールプレス部140がそれぞれ別個の装置であっても構わない。
さらに、上記実施形態では、ロールプレスによって分極性電極層18へのエンボス加工及び平坦化を行っているが、これに限らず、ホットプレス等、プレート状のプレス装置を用いてエンボス加工及び/又は平坦化を行っても構わない。
尚、本発明により製造される電気化学キャパシタ用電極は、電気二重層キャパシタ用の電極として用いることができる他、擬似容量キャパシタ、シュードキャパシタ、レドックスキャパシタ等の種々の電気化学キャパシタ用の電極として利用することが可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
粒状の活性炭(クラレケミカル社製、商品名:RP−20)及びアセチレンブラック(電気化学工業社製、商品名:デンカブラック)を、プラネタリーミキサーを用いて15分間混合したものと、フッ素ゴム(デュポン社製、商品名:Viton−GF)とをMIBK150質量部に投入し、プラネタリーミキサーを用いて45分間混練した。このとき、活性炭、アセチレンブラック及びフッ素ゴムの配合量は、それぞれ90.0質量部、1.0質量部及び9.0質量部とした。得られた混練物にMIBKを更に150質量部加えて1時間撹拌することにより、塗布液を調製した。
上記塗布液を、グラビアコート法により集電体であるアルミニウム箔(厚さ:20μm)の一方の面上に均一に塗布し、100℃の乾燥炉内でMIBKを除去して積層シートを得た。その後、この積層シートを図5に示した第1のロールプレス部130及び第2のロールプレス部140をこの順で通過させ、これによって厚さ150μmの積層シートを作製した。
ここで、第1のローラ131の表面131aに設けられた凹凸パターンの高さ(N)は75μm、凹部90aのピッチ(N)は97μm、平坦部90cの幅(N)は10μmとした。また、凹部90aの傾き(α)については、60°に設定した。また、第1のロールプレス部130及び第2のロールプレス部140によるプレス圧力は、いずれも圧力9800N/cm(1000kgf/cm)に設定した。
[比較例1]
第2のロールプレス部140の代わりに、第1のロールプレス部130と同じロールプレス部を用いた他は、実施例1と同様にして積層シートを作製した。
[比較例2]
第1のロールプレス部130の代わりに、第2のロールプレス部140と同じロールプレス部を用いた他は、実施例1と同様にして積層シートを作製した。
[比較例3]
第1のロールプレス部130と第2のロールプレス部140の位置を逆にした他は、実施例1と同様にして積層シートを作製した。
[比較例4]
ロールプレスを全く行わなかった他は、実施例1と同様にして積層シートを作製した。つまり、集電体であるアルミニウム箔状の塗布液を乾燥させた時点で工程を終了した。
[評価]
まず、実施例1及び比較例1〜4の方法により作製した積層シートの分極性電極層側表面を指で擦過し、多孔体粒子がどの程度脱落するかを評価した。
さらに、各積層シートを20mm×40mmのサイズに打ち抜き、更に150℃〜175℃の温度で真空乾燥を12時間以上行うことにより、多孔体層に吸着した水分を除去し、電気化学キャパシタ用電極を作製した。そして、このようにして作製した電気化学キャパシタ用電極の体積容量を以下のようにして求めた。先ず、作製した電気化学キャパシタ用電極を、アノード用及びカソード用として2つ用意した。次に、このアノード及びカソードを互いに対向させ、その間に再生セルロース不織布からなるセパレータ(21mm×41mm、厚さ:0.05mm、ニッポン高度紙工業製、商品名:TF4050)を配置し、アノード、セパレータ及びカソードがこの順で接触した状態(非接合の状態)で積層された積層素体を作製した。そして、この積層素体と電解質溶液(1.2mol/Lのホウフッ化トリエチルメチルアンモニウムのプロピレンカーボネート溶液)とを用いて試験評価用測定セルを作製した。
次に、作製した試験評価用測定セルに充放電試験装置(北斗電工社製 HJ−101SM6)を用いて2.5mAの定電流で充電を行い、電気二重層キャパシタに電荷が蓄積していくにしたがって電圧が上昇する様子をモニタし、電圧が2.5Vに達したのち定電圧充電(緩和充電)に移行し、電流が充電電流の1/10となった時点で充電を終了させた。そして、放電は2.5mAの定電流で行い、終止電圧を0Vとした。この試験後、5mAの定電流で充電を行い、電圧が2.5Vに達したのち定電圧充電に移行し、電流が充電電流の1/10となった時点で充電を終了させた。そして、放電も5mAの定電流で行い、終止電圧を0Vとした。このような定電流定電圧充放電操作を1セットとして、これを10セット繰り返し行った。これにより得られた放電曲線(放電電圧−放電時間)から放電エネルギー(放電電圧×電流(=5mA))の時間積分として合計放電エネルギー[W・s]を求め、静電容量[F]=2×合計放電エネルギー[W・s]/(放電開始電圧[V])の関係式を用いて静電容量を求め、この静電容量を両極(アノード及びカソード)の体積で除した値を単位体積当たりの静電容量(体積容量)[F/cm]とした。尚、単位体積当たりの静電容量の測定は、温度25℃、相対湿度60%の環境下において行った。
評価の結果を表1に示す。
Figure 2005209665
表1に示すように、実施例1の方法により作成した積層シートは多孔体粒子の脱落がほとんど無く、しかも、18F/cmという非常に高い体積容量が得られた。
これに対し、エンボスの平坦化を行わない比較例1及び3の方法により作成した積層シートは、高い体積容量が得られたものの、多孔体粒子の脱落が多かった。また、エンボス加工を行わない比較例2の方法により作成した積層シートは、多孔体粒子の脱落がほとんど無かったものの、十分な体積容量が得られなかった。さらに、ロールプレスを行わない比較例4の方法により作成した積層シートは、体積容量が低く、且つ、多孔体粒子の脱落もある程度見られた。
以上より、エンボス加工を行った後このエンボスを平坦化することによって、高い体積容量が得られ且つ多孔体粒子の脱落が防止されることが確認された。
本発明の好ましい実施形態による製造方法によって作製される電気化学キャパシタ用電極の構造を示す略断面図である。 本発明の好ましい実施の形態による電気化学キャパシタ用電極の製造方法を説明するためのフローチャートである。 塗布液の調製方法(ステップS1)を説明するための模式図である。 本発明の好ましい実施の形態による電気化学キャパシタ用電極の製造装置の構造を示す概略図である。 第1のローラ131の表面131aのほぼ全面に凹凸パターンを設けた例を示す図である。 第1のローラ131の表面131aのうち、分極性電極層18の幅W1とほぼ同じを持ったエリア131aにのみ凹凸パターンを設けた例を示す図である。 第1のローラ131の表面131aに設けられた凹凸パターンを拡大して示す図であり、(a)は略断面図、(b)は略平面図である。 第1のロールプレス部130によってエンボス加工された分極性電極層18の表面を拡大して示す図であり、(a)は略断面図、(b)は略平面図である。 積層体20から電気化学キャパシタ用電極10を切り出す工程(ステップS6)を説明するための図であり、(a)は所定の大きさに切断された積層体20の略平面図であり、(b)は、電気化学キャパシタ用電極10が切り出された積層体20の略平面図であり、(c)は、切り出した電気化学キャパシタ用電極10の略平面図である。 電気化学キャパシタ用電極10を用いて電気化学キャパシタを作成する方法を説明するための模式図である。 第1のロールプレス部130を複数設けた例を示す図である。 第2のロールプレス部140に含まれる第3のローラ141の表面141aに高さの低い凹凸パターンを設けた例を示す図である。 第1のロールプレス部130に含まれる第2のローラ132の表面132aにも凹凸パターンを設けた例を示す図である。 上流側ロールプレス部130−1に含まれるローラ131−1の表面131−1aと、下流側ロールプレス部130−2に含まれるローラ132−2の表面132−2aにそれぞれ凹凸パターンを設けた例を示す図である。
符号の説明
10 電気化学キャパシタ用電極
12 引き出し電極
16 集電体
18 分極性電極層
20 積層体
40 セパレータ
90a ローラの凹部
90b ローラの凸部
90c ローラの平坦部
91a 分極性電極層の凹部
91b 分極性電極層の凸部
91c 分極性電極層の底部
100 製造装置
101 供給ロール
102 巻き取りロール
103,104 ガイドロール
110 塗布部
111 容器
112 塗布液供給ロール(グラビアロール)
113 バックアップロール
120 乾燥部
121,122 乾燥機
130 第1のロールプレス部
130−1 上流側ロールプレス部
130−2 下流側ロールプレス部
131 第1のローラ
131a 第1のローラの表面
131a 凹凸パターンが形成されたエリア
131a 実質的に平滑なエリア
132 第2のローラ
132a 第2のローラの表面
140 第2のロールプレス部
141 第3のローラ
141a 第3のローラの表面
142 第4のローラ
142a 第4のローラの表面
C1 混合装置
L1 塗布液
L2 塗膜
P1 多孔体粒子
P2 バインダー
P3 導電助剤
SB1 撹拌部

Claims (13)

  1. 集電体上に分極性電極層を形成する第1の工程と、前記集電体上に形成された前記分極性電極層の表面をエンボス加工する第2の工程と、前記エンボス加工された前記分極性電極層の表面を平坦化する第3の工程とを備えることを特徴とする電気化学キャパシタ用電極の製造方法。
  2. 前記第1の工程は、電子伝導性を有する多孔体粒子と、前記多孔体粒子を結着可能なバインダーと、前記バインダーを溶解又は分散可能な液体とを含有する塗布液を、前記集電体上に塗布することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造方法。
  3. 前記塗布液には、導電助剤がさらに含まれていることを特徴とする請求項2に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造方法。
  4. 前記第2の工程は、表面に凹凸パターンが設けられたローラによるロールプレスによって行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造方法。
  5. 前記凹凸パターンの高さは、前記第2の工程を行う前における前記分極性電極層の厚さの20%以上、70%以下であることを特徴とする請求項4に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造方法。
  6. 前記第3の工程は、表面が実質的に平滑なローラによるロールプレスによって行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造方法。
  7. 前記第2の工程を複数回行った後、前記第3の工程を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造方法。
  8. 前記第3の工程を複数回行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造方法。
  9. 少なくとも集電体及び分極性電極層が積層されてなる積層体をロールプレスすることによって電気化学キャパシタ用電極を製造するための電気化学キャパシタ用電極の製造装置であって、前記分極性電極層の表面をエンボス加工する第1のロールプレス部と、前記第1のロールプレス部の下流側に設けられ、前記エンボス加工された前記分極性電極層の表面を平坦化する第2のロールプレス部とを備えることを特徴とする電気化学キャパシタ用電極の製造装置。
  10. 前記第1のロールプレス部は、前記積層体をロールプレスする第1及び第2のローラを有しており、前記第1及び第2のローラの少なくとも一方の表面には、凹凸パターンが設けられていることを特徴とする請求項9に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造装置。
  11. 前記凹凸パターンの高さは、前記第1のロールプレス部によるロールプレスを行う前における前記分極性電極層の厚さの20%以上、70%以下であることを特徴とする請求項10に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造装置。
  12. 前記凹凸パターンは分極性電極層の幅とほぼ同じ幅を持ったエリアに設けられ、前記エリアと隣り合うエリアは実質的に平滑であることを特徴とする請求項10又は11に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造装置。
  13. 前記第2のロールプレス部は、前記積層体をロールプレスする第3及び第4のローラを有しており、前記第3及び第4のローラの表面は、いずれも実質的に平滑であることを特徴とする請求項9乃至12に記載の電気化学キャパシタ用電極の製造装置。
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