JP2005208585A - 画像形成装置、トナーカウンタおよびトナー消費量算出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 画像形成装置において消費されるトナーの量を精度よく求める。
【解決手段】 装置のガンマ特性によりトナー消費量がばらつくことに鑑み、階調データの積算値に乗じる係数をガンマ特性に応じて設定する。装置が階調レベルに対し画像濃度が高めに出る特性(2)を有する場合には、トナー消費量も多いので、ほぼ直線的な特性(1)を有する装置より係数を大きく設定する。反対に、画像濃度が低くトナー消費量が少なくなる特性(3)を有する場合には、係数を小さく設定する。
【選択図】 図4
【解決手段】 装置のガンマ特性によりトナー消費量がばらつくことに鑑み、階調データの積算値に乗じる係数をガンマ特性に応じて設定する。装置が階調レベルに対し画像濃度が高めに出る特性(2)を有する場合には、トナー消費量も多いので、ほぼ直線的な特性(1)を有する装置より係数を大きく設定する。反対に、画像濃度が低くトナー消費量が少なくなる特性(3)を有する場合には、係数を小さく設定する。
【選択図】 図4
Description
この発明は、画像形成装置におけるトナーの消費量を算出する技術に関するものである。
プリンタ、複写機、ファクシミリ装置など、トナーを使用して画像を形成する電子写真方式の画像形成装置においては、トナー補給などメンテナンスの都合上、トナーの消費量あるいは残量を把握する必要がある。このような要求に応えて、トナーの消費量を精度よく求めるための技術が従来より提案されている。例えば、特許文献1に記載のトナー消費量算出方法では、パルス変調回路に入力される印刷ドットの値を1ページ単位あるいはジョブ単位など一定の単位で各色ごとに積算し、その積算値に所定の係数を乗じ、それにオフセット量を加えることによって、上記単位における各色ごとのトナー消費量を算出している。
この種の画像形成装置では、装置個体ごとに、また同一の装置であってもその使用状況によってガンマ特性が微妙に異なっている。これに起因して、同じ画像を形成する際のトナー消費量は、装置ごとに、また同一装置でもその使用状況によって必ずしも同じではない。しかしながら、従来の技術ではこの点が十分に考慮されておらず、装置の特性ばらつきやその経時変化等に起因して、トナー消費量を精度よく求めることが難しい場合があった。
その一方で、装置に充填されたトナーを無駄にすることなくできるだけ有効に使用し、しかもトナーの残量不足に起因する画像品質の劣化をも防止したいという要求が強まっている。そのため、装置におけるトナー消費量あるいは装置内のトナー残量をより精度よく算出するための技術の確立が望まれている。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、画像形成装置において消費されるトナーの量を精度よく求めることを目的とする。
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するため、形成すべきトナードットに関する多値信号に応じてトナードットを形成することによってトナー像を形成する像形成手段と、前記多値信号に基づいて前記像形成手段におけるトナー消費量を算出するトナー消費量算出手段とを備え、前記トナー消費量算出手段は、当該画像形成装置のガンマ特性に応じた補正情報に基づいて前記多値信号の値を補正積算することによって前記トナー消費量を算出することを特徴としている。
また、この発明にかかるトナー消費量算出方法は、形成すべきトナードットに関する多値信号に基づいて、画像形成装置におけるトナー消費量を算出するトナー消費量算出方法において、上記目的を達成するため、当該画像形成装置のガンマ特性に応じた補正情報に基づいて前記多値信号の値を補正積算することによって前記トナー消費量を算出することを特徴としている。
また、この発明にかかるトナーカウンタは、形成すべきトナードットに関する多値信号に基づいて、画像形成装置におけるトナー消費量を算出するトナーカウンタにおいて、上記目的を達成するため、当該画像形成装置のガンマ特性に応じた補正情報に基づいて前記多値信号の値を補正積算することによって前記トナー消費量を算出することを特徴としている。
本発明において、「形成すべきトナードットに関する多値信号」とは、トナードットの集合体としてのトナー像を形成する画像形成装置において、各トナードットそれぞれについて、その形成すべき大きさや濃淡などを表す信号を意味している。この多値信号は、数値で表される場合のほか、形成すべきトナードットの大きさや濃淡に対応してパルス幅やパルス数、振幅などが変化するアナログ信号として定義されてもよい。また、「補正積算」という語は、「多値信号を補正情報により補正した上で積算する」という概念と、「多値信号の積算値を補正情報により補正する」という概念との双方を含んでいる。
上記のように構成された発明では、装置のガンマ特性のばらつきおよびその経時変化に起因する実際のトナー消費量のばらつきに対応して、計算により求められるトナー消費量が補正される。そのため、装置特性のばらつきや経時変化によらず、そのトナー消費量を精度よく算出することができる。
例えば、前記多値信号の値を累積加算した値と、前記補正情報としての補正係数とを乗じて前記トナー消費量を算出することができる。1台の装置では、多値信号の積算値とトナー消費量との間には概ね比例関係が成立するが、その比例係数は、装置ごとに、また装置の使用状況によって異なっている。その原因の一つは上記したガンマ特性のばらつきや経時変化であり、装置のガンマ特性に応じて設定した補正係数を積算値に乗じることで、当該装置におけるトナー消費量を精度よく求めることができる。
また、その乗算結果に、当該画像形成装置の使用状況に応じたオフセット値を加えて前記トナー消費量を算出するようにしてもよい。この種の画像形成装置では、画像を形成するために消費されるトナーの他に、装置内部に飛散したり、装置を動作させる上で内部的に消費されるなど、画像形成に直接寄与しないトナー消費が不可避的に存在する。そこで、これらのトナー消費量に対応するオフセット値を上記乗算結果に加えることで、算出の精度を向上させることができる。
また、上記のように構成された画像形成装置において、前記像形成手段が装置本体に対し着脱可能なプロセスユニットを有している場合には、装置本体に装着された前記プロセスユニットの特性に応じて、前記補正情報が設定されてもよい。この種の装置では、装置に装着されるプロセスユニットの特性ばらつきは装置全体のガンマ特性に影響する。したがって、実際に使用されるプロセスユニットの特性に応じて補正情報を設定することで、その装置におけるトナー消費量を精度よく求めることができる。なお、装置が複数のプロセスユニットの組み合わせにより構成される場合には、それぞれのユニットの特性を総合して補正情報を設定するのが好ましい。
また、上記のように構成された画像形成装置において、前記像形成手段により形成されたパッチ画像としてのトナー像の濃度検出結果に基づいて、当該画像形成装置のガンマ特性に応じた前記補正情報を設定する設定手段をさらに備えてもよい。装置のガンマ特性は形成されたトナー像の濃度に反映されているので、実際にトナー像を形成しその濃度検出結果に基づいて補正情報の設定を行うことで、装置の特性に即した適切な補正情報の設定が可能である。
特に、ハーフトーントナー像では装置のガンマ特性の違いによる濃度変動が大きいので、このようなトナー像をパッチ画像として形成することで、補正情報の設定を容易かつ的確に行うことができる。
また、画像信号を受信し、該画像信号に対し当該画像形成装置のガンマ特性に応じた補正処理を施すことによって前記多値信号を生成する信号処理手段をさらに備える装置においては、前記パッチ画像の濃度検出結果に基づいて、前記設定手段が前記信号処理手段による前記補正処理の特性を設定するようにしてもよい。こうすることで、当該装置のガンマ特性が出力された画像の品質に及ぼす影響をキャンセルすることができ、その結果、この画像形成装置では、入力された画像信号に忠実な画像が得られる。
なお、ここでいう「画像信号」は、当該画像形成装置と接続された外部装置、例えばホストコンピュータやファクシミリ送信装置などから送られてくる信号のほか、与えられた原稿画像の読み取り結果に基づき画像形成装置の内部で生成される信号であってもよい。
さらに、本発明の画像形成装置では、当該画像形成装置の使用状況に応じて、前記補正情報が更新設定されることが好ましい。上記したように、装置の特性は経時的に変動するので、適時補正情報の更新を行うことで、装置特性の変動によらず、高い精度で、しかも安定してトナー消費量を算出することが可能となる。
例えば、前記像形成手段が、所定の表面電位に帯電される感光体と、前記多値信号に基づいてオン・オフされる露光ビームを該感光体表面に向けて照射する露光手段と、該露光ビームの強度を変更設定可能な制御手段とを備えている場合には、前記補正情報は、前記露光ビームの強度の設定値に応じて変更設定されるのが望ましい。というのは、露光ビームの強度によって感光体上に形成される静電潜像の電位プロファイルが微妙に変動し、これに伴って装置のガンマ特性が変化するからである。このことは、露光ビームの強度を調整することで画像濃度を一定に維持するように構成された装置においても同様である。
また、例えば、前記像形成手段が、所定の表面電位に帯電される感光体と、前記多値信号に基づいてオン・オフされる露光ビームを該感光体表面に向けて照射する露光手段とを備えている場合には、前記補正情報は、前記感光体の使用状況に応じて変更設定されるのが望ましい。この場合において、前記補正情報は、前記感光体の厚さおよび/またはその通算使用時間に応じて設定されることが好ましい。というのは、感光体の厚さによってその光学的・電気的特性は異なり、これに起因して装置のガンマ特性が変化するからである。感光体の厚さおよび特性には製造上のばらつきによる差異が生じうる。また、感光体は使用されるにつれて損耗し、厚さが減少したり特性が変化する。そこで、初期の感光体の厚さや、その通算使用時間の大小に応じて補正情報を変更するようにすれば、ガンマ特性の変動に適切に対応してトナー消費量を精度よく求めることができる。
また、例えば、前記像形成手段が、前記多値信号に対応する静電潜像を表面に担持する潜像担持体と、前記潜像担持体の表面に向けてトナーを供給するとともに所定の現像バイアスを印加されて前記静電潜像をトナーにより顕像化するトナー担持体と、前記現像バイアスの大きさを変更設定可能な制御手段とを備えている場合には、現像バイアスの設定値によってもガンマ特性が変動する。そこで、このような装置では、前記補正情報は、前記現像バイアスの設定値に応じて変更設定されるのが望ましい。
以下、本発明を適用した画像形成装置の4つの実施形態について順次説明する。これらの各実施形態はいずれも同一の装置構成を有しており、トナー消費量を算出するための処理内容が互いに相違している。そこで、ここではまず装置の構成について説明し、次いで各実施形態におけるトナー消費量算出処理について分説することとする。
(装置構成)
図1はこの発明にかかる画像形成装置の構成を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
図1はこの発明にかかる画像形成装置の構成を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置1本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色の帯電トナーを担持するとともに所定の現像バイアスを印加された金属製の現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
各現像器4Y、4C、4M、4Kには、当該現像器に関する情報を記憶するための不揮発性メモリ91〜94がそれぞれ設けられている。そして、各現像器に設けられたコネクタ49Y、49C、49M、49Kのうち必要に応じて選択された1つと、本体側に設けられたコネクタ109とが互いに接続され、エンジンコントローラ10のCPU101とメモリ91〜94との間で通信が行われる。こうすることで、各現像器に関する情報がCPU101に伝達されるとともに、各メモリ91〜94内の情報が更新記憶される。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、ローラ75の近傍には、濃度センサ60およびクリーナ76が設けられている。濃度センサ60は、必要に応じ、中間転写ベルト71上に形成されるトナー像を構成するトナー量を光学的に検出する。すなわち、濃度センサ60は、トナー像に向けて光を照射するとともに該トナー像からの反射光を受光し、その反射光量に応じた信号を出力する。クリーナ76は、中間転写ベルト71に対し離当接自在に構成され、必要に応じて中間転写ベルト71に当接することで、該ベルト71上の残留トナーを掻き落とす。
また、この装置1では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
図3はこの装置における信号処理ブロックを示す図である。この画像形成装置では、ホストコンピュータ100などの外部装置から画像信号が入力されると、メインコントローラ11がその画像信号に対し所定の信号処理を施す。メインコントローラ11は、色変換部114、階調補正部115、ハーフトーニング部116、パルス変調部117、階調補正テーブル118および補正テーブル演算部119などの機能ブロックを備えている。
また、エンジンコントローラ10は、図2に示すCPU101、ROM106、RAM107以外に、露光ユニット6に設けられたレーザ光源を駆動するためのレーザドライバ121と、濃度センサ60の検出結果に基づきエンジン部EGのガンマ特性を示す階調特性を検出する階調特性検出部123を備えている。
なお、メインコントローラ11およびエンジンコントローラ10においては、これらの各機能ブロックはハードウェアにより構成されてもよく、またCPU111、101により実行されるソフトウェアによって実現されてもよい。
ホストコンピュータ100から画像信号が与えられたメインコントローラ11では、色変換部114がその画像信号に対応する画像内の各画素のRGB成分の階調レベルを示したRGB階調データを、対応するCMYK成分の階調レベルを示したCMYK階調データへ変換する。この色変換部114では、入力RGB階調データは例えば1画素1色成分当たり8ビット(つまり256階調を表す)であり、出力CMYK階調データも同様に1画素1色成分当たり8ビット(つまり256階調を表す)である。色変換部114から出力されるCMYK階調データは階調補正部115に入力される。
この階調補正部115は、色変換部114から入力された各画素のCMYK階調データに対し階調補正を行う。すなわち、階調補正部115は、不揮発性メモリに予め登録されている階調補正テーブル118を参照し、その階調補正テーブル118にしたがい、色変換部114からの各画素の入力CMYK階調データを、補正された階調レベルを示す補正CMYK階調データに変換する。この階調補正の目的は、上記のように構成されたエンジン部EGのガンマ特性変化を補償して、この画像形成装置の全体的ガンマ特性を常に理想的なものに維持することにある。
こうして補正された補正CMYK階調データは、ハーフトーニング部116に入力される。このハーフトーニング部116は誤差拡散法、ディザ法、スクリーン法などのハーフトーニング処理を行い、1画素1色当たり8ビットのハーフトーンCMYK階調データをパルス変調部117に入力する。
このパルス変調部117に入力されたハーフトーニング後のCMYK階調データは、各画素に付着させるべきCMYK各色のトナードットのサイズおよびその配列を示す多値信号であり、かかるデータを受け取ったパルス変調部117は、そのハーフトーンCMYK階調データを用いて、エンジン部EGのCMYK各色画像の露光レーザパルスをパルス幅変調するためのビデオ信号を作成し、図示を省略するビデオインターフェースを介してエンジンコントローラ10に出力する。そして、このビデオ信号を受けたレーザドライバ121が露光ユニット6の半導体レーザをON/OFF制御して各色成分の静電潜像を感光体22上に形成する。このようにして画像信号に対応した画像形成を行う。
また、この種の画像形成装置では、装置のガンマ特性が装置個体ごとに、また同一の装置においてもその使用状況によって変化する。そこで、このようなガンマ特性のばらつきが画像品質に及ぼす影響を除くため、所定のタイミングで、前記した階調補正テーブル118の内容を画像濃度の実測結果に基づいて更新する階調制御処理を実行する。
この階調制御処理では、各トナー色毎に、ガンマ特性を測定するために予め用意された階調補正用の階調パッチ画像がエンジン部EGによって中間転写ベルト71上に形成され、各階調パッチ画像の画像濃度を濃度センサ60が読み取り、その濃度センサ60からの信号に基づき階調特性検出部123が各階調パッチ画像の階調レベルと、検出した画像濃度とを対応させた階調特性(エンジン部EGのガンマ特性)を作成し、メインコントローラ11の補正テーブル演算部119に出力する。そして、補正テーブル演算部119が、階調特性検出部123から与えられた階調特性に基づき、実測されたエンジン部EGの階調特性を補償して理想的な階調特性を得るための階調補正テーブルデータを計算し、階調補正テーブル118の内容をその計算結果に更新する。こうして階調補正テーブル118を変更設定する。こうすることで、この画像形成装置では、装置のガンマ特性のばらつきや経時変化によらず、安定した品質で画像を形成することができる。
次に、この画像形成装置において、各現像器4Y等に貯留されたトナーが画像形成によって消費された量を算出する方法について説明する。この画像形成装置では、トナー消費量を求めるために、図3に示すように、メインコントローラ11内においてハーフトーニング部116からパルス変調部117に与えられる多値信号であるハーフトーンCMYK階調データの階調値を積算するドットカウンタ201と、そのカウント値に基づいてトナー消費量を算出するトナーカウンタ202とが設けられている。
この種の画像形成装置では、形成する各トナードットごとのトナー消費量を積算して画像全体あるいは装置全体としてのトナー消費量を求めることが従来より行われている。各トナードットごとのトナー消費量は、露光ビームLによる露光時間に概ね比例するので、その発光時間を検出し積算するほか、その光源を制御する変調信号のパルス幅またはパルス変調のための階調データの階調値など、形成すべきトナードットに関する多値信号を積算することによって求めることができる。露光源の発光時間を直接検出することは容易でなく、それに対応する多値信号の値を積算する方法がより現実的である。そこで、この画像形成装置では、上記したように、パルス変調部117に入力されるハーフトーンCMYK階調データの階調値をドットカウンタ201により積算することで、トナー消費量を求めている。
ただし、前述したように、この種の画像形成装置では装置のガンマ特性にばらつきがあり、これに起因して、トナー消費量は必ずしも一律ではない。
図4は装置のガンマ特性の例を示す図である。入力された画像信号に忠実な画像を形成するためには、図4の曲線(1)に示すように、元の画像信号により規定される入力階調レベル(色変換部114から階調補正部115に与えられるデータが有する階調レベル)に対して、実際の画像濃度ができるだけ直線に近い関係で変化することが望ましい。しかしながら、実際の装置では、曲線(2)に示すように上に凸の曲線となったり、逆に、曲線(3)に示すように下に凸の曲線となったりする。ここで、曲線(2)のような特性を有する装置では、同一の画像信号に対して形成される画像の濃度が他の特性を有する装置よりも高く、これに伴ってトナー消費量も多い。一方、曲線(3)のような特性を有する装置では、他の特性を有する装置よりも画像濃度が低く、トナー消費量も少なくなる。
つまり、ドットカウンタ201による階調データの積算値が同じであっても、装置のガンマ特性の違いにより、そのときのトナー消費量は異なっている。そこで、トナーカウンタ202では、上記積算値からトナー消費量を求める際に、装置のガンマ特性の影響を考慮した補正を積算値に対し行う必要がある。
なお、前記したように、この装置では与えられた画像信号に対し階調補正を行っているので、ガンマ特性のばらつきに起因するこのような画像濃度のばらつきは抑えられている。つまり、階調補正部115は、曲線(2)のような特性を有し高濃度が出やすい装置に対しては、階調値を低めに補正した階調データを出力する一方、曲線(3)のような特性を有し低濃度が出やすい装置に対しては、階調値を高めに補正した階調データを出力することで、ガンマ特性の影響が画像濃度に現れるのを防止している。したがって、この装置では、同一の画像信号に対応する画像形成におけるトナー消費量は装置個体やその使用状況によらずほぼ一定とすることが可能である。
しかしながら、この場合のドットカウンタ201による積算値は同じではない。というのは、与えられた画像信号は同一であっても、積算すべき階調データは一律でなく、上記したように、装置のガンマ特性に応じた補正を受けたものであるからである。したがって、この積算値を補正せずそのまま使ってトナー消費量を求めると、実際の消費量とは異なる結果となってしまう場合がある。
このように、そのガンマ特性が一定でなく、装置ごとにあるいはその使用状況により変動する画像形成装置では、階調補正を行うか否かにかかわらず、階調データの積算値からトナー消費量を精度よく求めるためには装置のガンマ特性に応じた補正を行う必要がある。このことは、例えばパルス変調信号のパルス幅や露光源の発光時間を積算する方法においても成り立つ。例えば、露光源の発行時間と、トナー消費量との間には概ね比例関係が成立するが、その比例定数は、装置のガンマ特性に対応して装置ごとにあるいはその使用状況により異なっている。したがって、発光時間の積算値から精度よくトナー消費量を求めるためには、装置のガンマ特性に応じた補正が必要となる。具体的には、トナーカウンタ202は次のようにして積算値を補正しトナー消費量を算出する。
図5はトナーカウンタにおけるトナー消費量算出処理を示すフローチャートである。トナーカウンタ202は、必要に応じて、所定の画像形成枚数ごとに、あるいはジョブ単位や1日単位など所定のタイミングで図5に示す処理を実行し、その間のトナー消費量を算出する。トナーカウンタ202は、まずドットカウンタ201からその間のドットカウント値Cdot、つまりハーフトーニング部116から出力されるハーフトーンCMYK階調データの階調値を積算した値を読み出す(ステップS1)。次いで、当該装置のガンマ特性に応じた補正係数Kを設定する(ステップS2)。この補正係数Kとは、ドットカウント値Cdotとトナー消費量との間の比例定数であり、ドットカウント値1カウントあたりのトナー消費量に相当する数値であるが、その値は装置のガンマ特性によって異なる。この補正係数Kをどのように設定するかについては、後述する各実施形態の説明の項で詳述する。
次いで、トナーカウンタ202は装置の使用状況に応じたオフセット値Coffを設定する(ステップS3)。このオフセット値とは、与えられた画像信号に対応した画像形成に寄与しない形で消費されたトナー量に相当する値である。このようなトナーとしては、現像ローラ44から離脱し、感光体22に付着してカブリを生じさせたり装置内部に飛散するトナーや、装置の性能維持のための制御動作において装置内部で消費されるトナーなどがある。このようにして消費されるトナーの量は装置の稼働時間や画像形成枚数、装置の動作条件などと相関があるので、エンジンコントローラ10により管理されているこれらの情報に基づいて、当該期間におけるトナー消費量を推定しオフセット値Coffとする。
そして、これらの値から、当該期間の全トナー消費量TCを算出する(ステップS4)。すなわち、次式:
TC=K・Cdot+Coff
によりトナー消費量TCを算出する。こうして求められたトナー消費量については、エンジンコントローラ10に設けられたCPU101が管理しており、必要に応じて、RAM107あるいは各現像器4Y等のメモリ91等に記憶させる。また、求められたトナー消費量の値から各現像器のトナー残量を推定することが可能であり、現像器内のトナー残量が所定値以下まで減少したと判断されるときには表示部12に現像器の交換を促すメッセージを表示させるなど、装置の消耗品管理に役立てることができる。
TC=K・Cdot+Coff
によりトナー消費量TCを算出する。こうして求められたトナー消費量については、エンジンコントローラ10に設けられたCPU101が管理しており、必要に応じて、RAM107あるいは各現像器4Y等のメモリ91等に記憶させる。また、求められたトナー消費量の値から各現像器のトナー残量を推定することが可能であり、現像器内のトナー残量が所定値以下まで減少したと判断されるときには表示部12に現像器の交換を促すメッセージを表示させるなど、装置の消耗品管理に役立てることができる。
次に、ステップS2における補正係数Kの設定の仕方について説明する。この装置では、装置の電源が投入された直後や画像形成枚数が所定数に達した時などの所定のタイミングで補正係数Kを更新設定することにより、装置のガンマ特性の変動によらず、トナー消費量を精度よく求めることができるようにしている。装置のガンマ特性をどのようなパラメータを用いて表すかについては種々の考え方があり、それに伴って補正係数Kの設定方法も種々に考えられる。ここでは、その代表例として、補正係数Kの設定方法が互いに異なる4つの実施形態について順に説明する。
(第1実施形態)
この第1実施形態では、装置のガンマ特性に影響を与えるパラメータのうち、現像器に充填されたトナーの特性ばらつきを考慮して補正係数Kを定める。この画像形成装置では、各現像器4Y等が装置本体に対し着脱可能であり、トナー切れの場合には現像器を新しいものと交換することによってトナーが補充される。トナーの特性は製造ロットによって若干異なっているため、装置全体のガンマ特性は使用する現像器によってばらつきを有することとなる。
この第1実施形態では、装置のガンマ特性に影響を与えるパラメータのうち、現像器に充填されたトナーの特性ばらつきを考慮して補正係数Kを定める。この画像形成装置では、各現像器4Y等が装置本体に対し着脱可能であり、トナー切れの場合には現像器を新しいものと交換することによってトナーが補充される。トナーの特性は製造ロットによって若干異なっているため、装置全体のガンマ特性は使用する現像器によってばらつきを有することとなる。
この実施形態では、特にトナーの単位質量あたりの帯電量に着目している。トナーの帯電量は、トナー組成のばらつきや現像器の構成部品の寸法ばらつきにより変動し、また劣化により経時変化する。この画像形成装置では、各現像器に当該現像器に関する情報を記憶させるメモリを設けているので、このメモリにアクセスするCPU101は、記憶されている情報、例えば当該現像器におけるトナー残量や印字枚数、トナー色、製造ロット情報などの情報からトナー帯電量を推定することができる。そこで、トナーカウンタ202では、こうして推定されたトナー帯電量の大小に応じて補正係数Kを設定する。
図6は第1実施形態における補正係数の設定値を示す図である。また、図7はこの実施形態におけるトナー消費量の計算結果を示すグラフである。CPU101は、RAM107および各現像器のメモリ91等から読み出した情報に基づき、当該現像器を3つのランク、すなわち、ランク1(単位質量あたりのトナー帯電量:大)、ランク2(同:中)およびランク3(同:小)のいずれかに分類する。トナーカウンタ202では、図6に示すように、このランク情報に基づいて、予め用意された3種類の補正係数の候補の中から1つを選択し、その値をそのときの補正係数Kとして設定し、トナー消費量を求める。
このようにして補正係数Kを定めるトナーカウンタ202を備える画像形成装置において、種々の条件で画像形成を行い、トナーカウンタ202で算出されたトナー消費量とその実測値とを比較したところ、図7(a)に示すように、両者の間に高い相関性(相関係数R2=0.9954)がみられ、この方法によりトナー消費量を精度よく求められることが確認された。一方、トナー帯電量によらず補正係数Kを一定とした場合には、図7(b)に示すように、トナーカウンタ202による計算結果は実測されたトナー消費量とあまり一致しなかった(相関係数R2=0.6908)。
(第2実施形態)
この第2実施形態では、感光体22の劣化状況に応じて補正係数Kを設定する。新品の感光体22ではその厚みが大きいため画像濃度は比較的高く出るが、使用を重ねるにつれて磨耗しその性能も次第に劣化するため、画像濃度は低下してゆく。したがって、新しい感光体を使用した装置では、そのガンマ特性は図4に示す曲線(2)のように上に凸となりやすい一方、磨耗の進んだ古い感光体を使用した装置では、そのガンマ特性は図4に示す曲線(3)のように下に凸となりやすい。このことから、感光体の劣化状況に応じて補正係数Kを設定することによって、トナー消費量の算出精度を向上させることができる。
この第2実施形態では、感光体22の劣化状況に応じて補正係数Kを設定する。新品の感光体22ではその厚みが大きいため画像濃度は比較的高く出るが、使用を重ねるにつれて磨耗しその性能も次第に劣化するため、画像濃度は低下してゆく。したがって、新しい感光体を使用した装置では、そのガンマ特性は図4に示す曲線(2)のように上に凸となりやすい一方、磨耗の進んだ古い感光体を使用した装置では、そのガンマ特性は図4に示す曲線(3)のように下に凸となりやすい。このことから、感光体の劣化状況に応じて補正係数Kを設定することによって、トナー消費量の算出精度を向上させることができる。
図8は感光体の厚さの経時変化の一例を示すグラフである。また、図9は感光体の厚さとガンマ特性の関係の一例を示すグラフである。感光体22表面には、中間転写ベルト71や、残留トナーを除去するためのクリーニングブレードが当接されている。そのため、図8に示すように、回転を重ねるにつれて感光体22は次第に磨耗し、その厚みが減少する。また、このように厚みが変化すると感光体22の特性が変化するため、装置全体のガンマ特性も変化する。本願発明者の実験によれば、図9に示すように、感光体22の厚さが大きいほど中間調における画像濃度は高めとなる傾向が現れた。つまり、感光体22の磨耗が進みその厚さが小さくなるにつれて、中間調における画像濃度は低下する。
この実施形態における感光体カートリッジ2にはメモリを設けていないが、感光体22の劣化はその使用時間に応じて進むので、新品の感光体22がいつ装着され、その感光体22がどれぐらいの時間使用されたかがわかればその劣化状況はある程度把握できる。新品の感光体22が装着されたことについては、例えば感光体カートリッジ2にヒューズを設けるとともに、装置に最初に装着されたときにこのヒューズが溶断するようにしておけば、このヒューズに電流が流れるか否かを検出することで検知可能である。また、その後の感光体22の使用時間は、例えば当該感光体22を使用して形成された画像の枚数や装置の稼働時間などによりCPU101が把握することのできる情報である。
図10は第2実施形態における補正係数の設定値を示す図である。上記したように、感光体が新しいときには画像濃度が高く、逆に古くなると画像濃度が低くなることから、この実施形態では、新しい感光体カートリッジを装着してからの画像形成枚数が少なく、感光体が比較的新しいときには補正係数Kを大きくする一方、感光体が古くなるにつれて補正係数Kを小さくするようにした。結果の図示を省略するものの、このようにすることで、第1実施形態の場合と同様に、算出されたトナー消費量は実測値とよく一致した。
なお、このような感光体22の厚さは、磨耗により経時的に変化するだけでなく、製造上のばらつきによっても変化しうる。そこで、製造時に測定された感光体の厚みに関する情報を感光体カートリッジ2に記録しておき、当該カートリッジが装着されたときに、装置本体側でこの情報を読み出して補正係数Kの設定に用いるようにしてもよい。例えば、工場出荷時の感光体22の厚みが大きいほど補正係数Kを大きく、また厚みが小さいほど補正係数Kを小さくすればよい。また、こうして設定した値を初期値として、さらに感光体22の使用状況に応じて補正係数Kを適宜変更するようにしてもよい。
(第3実施形態)
第3実施形態では、装置の動作条件を定めるパラメータのうち画像濃度を調整するために可変となっているものの設定値に応じて補正係数Kを設定する。本発明にかかる画像形成装置1では、感光体22を露光するための露光ユニット6からの露光ビームLのパワー(以下、「露光パワー」と略称する)および現像ローラ44に与える現像バイアス電位が可変となっており、これらを適宜変更することによって画像濃度の調整を行う。より詳しくは、各トナー色毎に、ベタ画像などの高濃度画像をパッチ画像として形成し、その画像濃度が予め定められた目標濃度となるように現像バイアスを調整する。さらに、低濃度画像(例えば1オン10オフの細線画像)をパッチ画像として形成し、その画像濃度が予め定められた目標濃度となるように露光パワーを調整する。このような調整方法については多くの公知技術があるのでここでは説明を省略する。
第3実施形態では、装置の動作条件を定めるパラメータのうち画像濃度を調整するために可変となっているものの設定値に応じて補正係数Kを設定する。本発明にかかる画像形成装置1では、感光体22を露光するための露光ユニット6からの露光ビームLのパワー(以下、「露光パワー」と略称する)および現像ローラ44に与える現像バイアス電位が可変となっており、これらを適宜変更することによって画像濃度の調整を行う。より詳しくは、各トナー色毎に、ベタ画像などの高濃度画像をパッチ画像として形成し、その画像濃度が予め定められた目標濃度となるように現像バイアスを調整する。さらに、低濃度画像(例えば1オン10オフの細線画像)をパッチ画像として形成し、その画像濃度が予め定められた目標濃度となるように露光パワーを調整する。このような調整方法については多くの公知技術があるのでここでは説明を省略する。
こうして装置の動作条件を調整することによって、図5における階調レベルが0%に近い領域および100%に近い領域では、装置の動作状況や周囲環境の変動によらずほぼ一定の画像濃度を得ることができる。しかしながら、以下に説明するように、中間の階調レベルを有する画像における画像濃度は必ずしも同じにならず、上記したパラメータの設定値によって若干異なっている。
図11は露光パワーとガンマ特性との関係の一例を示す図である。また、図12は現像バイアス電位とガンマ特性との関係の一例を示す図である。より詳しくは、上記のように動作条件を調整したとき、露光パワーの設定値によってガンマ特性がどのように変化するかを実測した結果を表すのが図11である。また、同様に現像バイアスの設定値によってガンマ特性がどのように変化するかを実測した結果を表すのが図12である。図11および図12に示すように、動作条件の調整を行ったことによって、低階調レベルおよび高階調レベル領域での画像濃度はほぼ一定となる。しかしながら、その中間の領域ではパラメータの設定値によって画像濃度が微妙に異なっている。
具体的には、露光パワーが大きいほど中間階調レベルにおける画像濃度は高めに出る。言い換えれば、露光パワーが比較的高い値に設定されている場合には、そうでない場合に比べてトナー消費量が多くなると予想される。また、現像バイアス電位が高い(感光体表面電位との電位差が大きい)ほど画像濃度は高めに出るので、トナー消費量も多めとなる。したがって、装置の動作条件を定める各パラメータが、中間階調レベルにおける画像濃度が比較的高くなるような値に設定されている場合には、そうでない場合に比べて(式1)における補正係数Kを大きくするようにするのが望ましい。ここでは実測結果の図示を省略するが、このようにすることで、パラメータの設定値によらず補正係数Kを一定値とした場合よりもトナー消費量を精度よく求めることが可能となる。
なお、この装置では固定値としているが、感光体22を帯電させるために帯電ユニット3に与える帯電バイアス電位を可変とすることで画像濃度を調整する装置が知られている。このような装置においても、帯電バイアスの設定値に応じて補正係数Kを変更設定することによって、トナー消費量の算出精度を向上させることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、テスト用のパッチ画像を実際に形成し、装置のガンマ特性を反映したパッチ画像の濃度検出結果に基づいて補正係数Kを定める。なお、前述したように、この画像形成装置では、装置の実態に合わせて階調補正テーブル118を更新する階調制御処理を行うために、パッチ画像の形成およびその濃度検出を行っている。補正係数Kを定める際にもこの濃度検出結果を活用することができるので、補正係数Kの設定のために別途パッチ画像を形成する必要はない。
第4実施形態では、テスト用のパッチ画像を実際に形成し、装置のガンマ特性を反映したパッチ画像の濃度検出結果に基づいて補正係数Kを定める。なお、前述したように、この画像形成装置では、装置の実態に合わせて階調補正テーブル118を更新する階調制御処理を行うために、パッチ画像の形成およびその濃度検出を行っている。補正係数Kを定める際にもこの濃度検出結果を活用することができるので、補正係数Kの設定のために別途パッチ画像を形成する必要はない。
図13はパッチ画像濃度に基づく補正係数設定の原理を示す図である。この実施形態では、所定の階調レベルで形成されたパッチ画像の画像濃度を、当該画像における標準的な画像濃度として予め設定された値と比較する。例えば、階調レベル50%(256段階における第128段階)のパッチ画像の濃度を、その標準的な濃度として予め設定された値D50と比較する。その結果に基づいて、当該装置のガンマ特性が理想(図13の破線で示す直線)に近いものであるか(図13の曲線(1))、あるいは高濃度側(曲線(2))、低濃度側(曲線(3))のいずれに偏っているかを判定し、その判定結果に応じて補正係数Kを設定する。
図14は階調制御処理を示すフローチャートであり、図15はパッチ画像の例を示す図である。CPU101により実行される図14に示す階調制御処理では、まず階調値が互いに異なるいくつかのパッチ画像を形成する(ステップS101)。例えば、図15に示すように、階調値がそれぞれ10,25,50,75および90%の計5個のパッチ画像P10,P25,P50,P75およびP90を形成する。なお、ここでいうパッチ画像の階調値は、ハーフトーニング部116から出力されるハーフトーン階調データの階調値であって、図4における入力階調レベル(色変換部114に入力されるデータの階調値)とは異なることに注意を要する。このようにすることで、これらのパッチ画像の濃度検出結果は、階調補正が施されない状態での装置のガンマ特性、すなわちエンジン部EGの「裸の」ガンマ特性を反映したものとなるので、この結果を用いて階調補正テーブル118の更新を行うことで、より装置の実態に応じた階調補正が可能となる。
図14に戻って階調制御処理の説明を続ける。こうして形成された各パッチ画像については、濃度センサ60によりその画像濃度を検出する(ステップS102)。そして、その濃度検出結果に基づいて、入力階調レベルに対する最終的な画像の階調レベルがほぼ線形となるように、階調補正テーブル118を更新設定する(ステップS103)。こうすることで、以後の画像形成動作では、装置のガンマ特性によらず画像信号に忠実な画像を形成することができる。
続いて、各パッチ画像のうち階調値50%でのパッチ画像P50の濃度検出結果に基づき、ガンマ特性に対応する当該装置の「ランク」を判定し(ステップS104)、その判定結果に基づき補正係数Kを設定する(ステップS105)。具体的な設定方法について、再び図13を参照しながら説明する。
階調値50%の階調データに基づきエンジン部EGが画像形成を行ったとき、その画像濃度は必ずしも標準濃度D50とはならず、エンジン部EGのガンマ特性を反映してこれより高濃度となったり低濃度となったりする場合がある。つまり、パッチ画像P50の濃度が標準濃度D50より高いとき、その装置は、図13の曲線(2)に示すように、上に凸のガンマ特性を有している。したがって、この装置では、比較的高濃度が出やすくトナー消費量も多くなる傾向を有している。逆に、パッチ画像P50の濃度が標準濃度D50より低い装置は、図13の曲線(3)に示すように、下に凸のガンマ特性を有しているので、比較的低濃度が出やすくトナー消費量が少ない。そこで、パッチ画像P50の濃度検出結果が高濃度であった装置では、低濃度であった装置よりも補正係数Kを大きく設定すれば、より装置の実態に即した精度の高いトナー量算出が可能である。
すなわち、パッチ画像P50の濃度検出結果が高濃度であった装置ほど、補正係数Kを大きくする必要がある。そこで、この実施形態では、画像濃度を3段階にランク分けし、パッチ画像P50の濃度検出結果がどのランクに属しているかによって補正係数Kを定める。具体的には、図13に示すように、パッチ画像P50の標準濃度D50を中心として、装置のガンマ特性がほぼ線形であるとみなしてよい上限濃度Dupおよび下限濃度Dlowを定めておき、濃度検出結果をこれらの値と比較してランクを判断する。
図16は第4実施形態における補正係数の設定値を示す図である。パッチ画像P50の濃度検出結果が、上限濃度Dupと下限濃度Dlowとの間のランクR1に属するとき、エンジン部EGのガンマ特性は図13の曲線(1)に示すようにほぼ直線的である。このときの補正係数Kの値は0.502とする。一方、パッチ画像P50の濃度検出結果が上限濃度Dupより大きいランクR2に属するとき、エンジン部EGのガンマ特性は図13の曲線(2)に示すように上に凸である。このときの補正係数Kは、上記より大きな値0.554とする。逆に、パッチ画像P50の濃度検出結果が下限濃度Dlowより小さいランクR3に属するとき、エンジン部EGのガンマ特性は図13の曲線(3)に示すように下に凸であるから、このときの補正係数Kは、最も小さな値0.451とする。
なお、図16の表における第2列(D50に対応する階調値ランク)は、別の考え方によるランク分けを示している。すなわち、この第4実施形態では、次のようにして補正係数Kを設定してもよい。
図17はパッチ画像濃度に基づく補正係数設定の他の方法を示す図である。種々の階調値でのパッチ画像の濃度検出結果から、当該装置におけるガンマ特性を推定することができる。このことから逆に、所望の画像濃度を得るためには、如何なる階調値の階調データをパルス変調部117に与えればよいかを推定することができる。
そこで、ある濃度、例えば濃度D50に対応する階調データの階調値によって、装置の特性をランク分けし、そのランクによって補正係数Kを定める。図17の例では、階調データの階調値を3段階にランク分けしている。曲線(1)に示すように、直線に近い特性を有する装置では、濃度D50に対応する階調値は50%に近い数値であり、この装置は中央のランクIに分類される。また、曲線(2)および(3)に示すような特性を有する装置は、それぞれランクIIおよびランクIIIに分類される。ここでは、画像濃度が高く出やすい装置ほど、階調値のランクとしては低い方に分類されることとなる。こうして分類された装置のガンマ特性にしたがい、図16に示すように、補正係数Kを設定することができる。
図18はこの実施形態におけるトナー消費量の計算結果を示すグラフである。上記のようにして補正係数Kを定めるトナーカウンタ202を備える画像形成装置において、種々の条件で画像形成を行い、トナーカウンタ202で算出されたトナー消費量とその実測値とを比較したところ、図18(a)に示すように、両者の間に高い相関性(相関係数R2=0.9934)がみられ、この方法によりトナー消費量を精度よく求められることが確認された。一方、装置のガンマ特性によらず補正係数Kを一定とした場合には、図18(b)に示すように、トナーカウンタ202による計算結果は実測されたトナー消費量とあまり一致しなかった(相関係数R2=0.6122)。
(まとめ)
以上のように、上記した画像形成装置の各実施形態では、与えられた画像信号に対応して生成された、各トナードットごとの階調データの階調値に基づいてトナー消費量を求める。すなわち、階調値を積算した値に比例定数を乗じてトナー消費量とする。その際に、装置のガンマ特性のばらつきを考慮して、その比例定数を装置のガンマ特性に応じて設定しているので、装置の特性ばらつきによらず、画像形成に消費されたトナーの量を精度よく求めることができる。装置のガンマ特性については、現像器や感光体カートリッジなど、装置を構成するプロセスユニットの使用状況から推定することができるほか、パッチ画像の濃度検出結果に基づいて推定することが可能である。
以上のように、上記した画像形成装置の各実施形態では、与えられた画像信号に対応して生成された、各トナードットごとの階調データの階調値に基づいてトナー消費量を求める。すなわち、階調値を積算した値に比例定数を乗じてトナー消費量とする。その際に、装置のガンマ特性のばらつきを考慮して、その比例定数を装置のガンマ特性に応じて設定しているので、装置の特性ばらつきによらず、画像形成に消費されたトナーの量を精度よく求めることができる。装置のガンマ特性については、現像器や感光体カートリッジなど、装置を構成するプロセスユニットの使用状況から推定することができるほか、パッチ画像の濃度検出結果に基づいて推定することが可能である。
また、装着された現像器や感光体の特性やその使用履歴、動作条件を決めるパラメータの設定値など、装置各部の動作状況から装置のおよそのガンマ特性を推定し、その推定される特性に対応して比例定数を適宜変更するようにしているので、装置の動作状況の変動によらず、トナー消費量を精度よく、しかも安定して求めることができる。
また、画像形成以外に消費されたトナーの量に相当するオフセット値を加えることで、装置全体としてのトナー消費量をより精度よく求めることが可能となる。
このように、本発明にかかる画像形成装置、トナーカウンタおよびトナー消費量算出方法によれば、画像形成装置において消費されるトナーの量を、装置のガンマ特性ばらつきによらず、精度よく求めることができる。
以上説明した実施形態においては、エンジン部EGが本発明の「像形成手段」として機能している。また、エンジンコントローラ10に設けられたトナーカウンタ202が、本発明の「トナー消費量算出手段」および「トナーカウンタ」に相当する。また、ドットカウント値に乗じる係数Kが本発明の「補正情報」であり「補正係数」である。また、装置本体に対し着脱自在の現像器4Y等および感光体カートリッジ2が本発明の「プロセスユニット」に相当する。さらに、階調制御処理を実行しパッチ画像の濃度検出結果から補正係数を定めるCPU101が、本発明の「設定手段」として機能している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態の画像形成装置では、装置のガンマ特性によって画像品質が変動するのを防止するため、与えられた画像信号に対し階調補正を行っている。しかしながら、上記したように、階調補正を行うか否かにかかわらず、装置のガンマ特性に起因するトナー消費量のばらつきが存在するため、階調補正を行わない場合でも本発明を有効に適用することができる。
また、例えば、上記各実施形態では、装置のガンマ特性を3段階にランク分けし、そのランクに応じて補正係数を設定するようにしているが、これに限定されず、さらに細かいランク分けをするようにしてもよい。また、ガンマ特性に対応する数値を用いた演算によって補正係数を定めるようにしてもよい。
また、例えば、上記した第4実施形態では、階調値50%のパッチ画像P50の濃度検出結果によって補正係数Kを定めているが、他の階調値のパッチ画像を用いて補正係数を定めてもよい。ただし、装置の実態に合わせた補正係数を設定するためには、装置のガンマ特性および信号処理の内容が画像濃度に反映されやすいハーフトーントナー像を用いるのが好ましい。
さらに、上記実施形態の構成に限定されず、例えばブラック色トナーに対応した現像器のみを備えモノクロ画像を形成する装置や、中間転写ベルト以外の転写媒体(転写ドラム、転写シートなど)を備える装置、さらには複写機、ファクシミリ装置など他の画像形成装置に対しても、本発明を適用することが可能である。
2…感光体カートリッジ(プロセスユニット)、 4Y,4M,4C,4K…現像器(プロセスユニット)、 101…CPU(設定手段)、 201…ドットカウンタ、 202…トナーカウンタ(トナー消費量算出手段)、 EG…エンジン部(像形成手段)
Claims (17)
- 形成すべきトナードットに関する多値信号に応じてトナードットを形成することによってトナー像を形成する像形成手段と、
前記多値信号に基づいて前記像形成手段におけるトナー消費量を算出するトナー消費量算出手段と
を備え、
前記トナー消費量算出手段は、当該画像形成装置のガンマ特性に応じた補正情報に基づいて前記多値信号の値を補正積算することによって前記トナー消費量を算出する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記トナー消費量算出手段は、前記多値信号の値を累積加算した値と、前記補正情報としての補正係数とを乗じて前記トナー消費量を算出する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記トナー消費量算出手段は、前記乗算結果に、当該画像形成装置の使用状況に応じたオフセット値を加えて前記トナー消費量を算出する請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記像形成手段が装置本体に対し着脱可能なプロセスユニットを有しており、
装置本体に装着された前記プロセスユニットの特性に応じて、前記補正情報が設定される請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記像形成手段により形成されたパッチ画像としてのトナー像の濃度検出結果に基づいて、当該画像形成装置のガンマ特性に応じた前記補正情報を設定する設定手段をさらに備える請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記像形成手段は、前記パッチ画像としてハーフトーントナー像を形成する請求項5に記載の画像形成装置。
- 画像信号を受信し、該画像信号に対し当該画像形成装置のガンマ特性に応じた補正処理を施すことによって前記多値信号を生成する信号処理手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記パッチ画像の濃度検出結果に基づいて、前記信号処理手段による前記補正処理の特性を設定する請求項5または6に記載の画像形成装置。 - 当該画像形成装置の使用状況に応じて、前記補正情報が更新設定される請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記像形成手段が、所定の表面電位に帯電される感光体と、前記多値信号に基づいてオン・オフされる露光ビームを該感光体表面に向けて照射する露光手段と、該露光ビームの強度を変更設定可能な制御手段とを備えており、
前記補正情報は、前記露光ビームの強度の設定値に応じて変更設定される請求項8に記載の画像形成装置。 - 前記像形成手段が、所定の表面電位に帯電される感光体と、前記多値信号に基づいてオン・オフされる露光ビームを該感光体表面に向けて照射する露光手段とを備えており、
前記補正情報は、前記感光体の使用状況に応じて変更設定される請求項8に記載の画像形成装置。 - 前記補正情報は、前記感光体の厚さに応じて設定される請求項10に記載の画像形成装置。
- 前記補正情報は、前記感光体の通算使用時間に応じて設定される請求項10に記載の画像形成装置。
- 前記像形成手段が、前記多値信号に対応する静電潜像を表面に担持する潜像担持体と、前記潜像担持体の表面に向けてトナーを供給するとともに所定の現像バイアスを印加されて前記静電潜像をトナーにより顕像化するトナー担持体と、前記現像バイアスの大きさを変更設定可能な制御手段とを備えており、
前記補正情報は、前記現像バイアスの設定値に応じて変更設定される請求項8に記載の画像形成装置。 - 形成すべきトナードットに関する多値信号に基づいて、画像形成装置におけるトナー消費量を算出するトナーカウンタにおいて、
当該画像形成装置のガンマ特性に応じた補正情報に基づいて前記多値信号の値を補正積算することによって前記トナー消費量を算出することを特徴とするトナーカウンタ。 - 形成すべきトナードットに関する多値信号に基づいて、画像形成装置におけるトナー消費量を算出するトナー消費量算出方法において、
当該画像形成装置のガンマ特性に応じた補正情報に基づいて前記多値信号の値を補正積算することによって前記トナー消費量を算出することを特徴とするトナー消費量算出方法。 - 前記多値信号の値を累積加算した値と、前記補正情報としての補正係数とを乗じて前記トナー消費量を算出する請求項15に記載のトナー消費量算出方法。
- 前記乗算結果に、当該画像形成装置の使用状況に応じたオフセット値を加えて前記トナー消費量を算出する請求項16に記載のトナー消費量算出方法。
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