JP2005208063A - ポリマーの分子量を決定する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い誘電率を有する溶媒を使用して、ポリマーのエレクトロスプレーによって発生させた電荷の減少したイオンの移動度の測定による、ポリマーの質量分析のための方法を提供する。
【解決手段】エレクトロスプレーにより形成されたポリマーイオンは、それらの長さおよび質量に比例するあるレベルの電荷を運ぶ。結果として生じるポリマーイオン上の電荷の数は、放射性線源を使用して単一に近い値に減少される。次いで、電荷の減少したポリマーイオンの移動度分布が、高分解能微分型電気移動度測定装置(DMA)により測定される。ポリマーの移動度Zとその質量mとの関係式Z(m)は、狭い分布のポリマー質量スタンダードを使用して決定される。本発明に従い分析されるポリマーは、1キロダルトン(kD)〜500,000kDの間の重量平均分子量を有する水溶性および水不溶性ポリマー双方を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマーの分子量を決定する方法に関する。より詳細には、本発明は、高い誘電率を有する溶媒中でのポリマーのエレクトロスプレーによって発生させた、電荷の減少したイオンの移動度測定によって、ポリマーの質量を分析するための方法を対象とする。
ポリマーの分子量分布を決定することは、ポリマー特性決定の重要な側面である。ポリマーの分子量分布(MWD)を決定するための従来方式では、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して、MWDがすでに正確に決定されているある種のポリマースタンダードに相対させる。しかし、多くのポリマーについての分子量分布は、GPCを使用しては決定することができない。GPCを使用してMWDの決定を成功させるためには、GPCカラム充填材料と適合するとともにカラムとの吸着相互作用を回避する溶媒に、ポリマーが溶解しなければならない。質量分析法(MS)は、ポリマーのMWDを決定する別の方法である。その方法の1つの利点は、測定されたポリマーデータの分子量軸が絶対的であるということである。しかし、工業的に重要なポリマーの平均分子量およびMWDの質量分析的な決定は、生体高分子ほど成功していない。多くの場合、ポリマーイオンは、ある範囲の電荷状態(z)を有して生成される。この範囲が、分析されるべき広いMWDを有するポリマーに関連する場合、イオンがm/z比率に従って分離されるので、その結果深刻なスペクトルの重複となる。かかる重複は、平均分子量が約10,000ダルトンを超えてしまうと、多くの場合、ポリマーの正確なMWDを決定することを不可能にする。
米国特許出願公開第2003/0136680A1号は、生物学的粒子のイオン移動度分析から、生物学的粒子の粒度分布を分析する方法を開示している。しかし、粒子の移動度に基づいて、生物学的粒子あるいはポリマーの分子量分布を決定する方法は開示も教示も示唆もされていない。さらに、ポリマーと異なり、生物学的粒子は典型的には単分散であり、それらは、クラスタイオンを発生しない。さらに、生物学的粒子のスペクトルの重複の問題は実際には存在せず、多重電荷は、障害となるよりむしろその質量が質量分析器の範囲を超えるが、多重電荷によりm/zは質量分析器の範囲を超えない粒子に対する利点のためにしばしば使用される。したがって、2〜100ナノメートル(nm)のポリマー粒子サイズ範囲のための高分解能を達成する高分解能の微分型電気移動度測定装置を使用して、ポリマーイオンの移動度(z)をポリマー質量(m)に関連づけることにより、ポリマーの分子量分布を決定する方法を提供することが望ましい。さらに、単量体n=1、ニ量体n=2、六量体n=6およびそれ以上を含む参照ポリマーのクラスタを発生させることにより、利用可能な参照ポリマーの分子量の範囲を拡張することが望ましい。かかる方法は、その分子量が数千ダルトン(2〜3nmのポリマー粒子サイズに対応する)から数億ダルトン(15〜100nmのポリマー粒子サイズに対応する)までの範囲に及ぶ工業ポリマーであって、その分子量分布をGPCおよびMSを含む従来の方法を使用して分析を行なうことができないポリマーについての、先例がない質量分析を提供する。
発明者らは、高い誘電率を有する溶媒を使用して、水溶性ポリマーおよび水不溶性ポリマー双方のエレクトロスプレーによって発生させた、電荷の減少したイオンの移動度測定による、ポリマーの質量分析の方法を見出した。エレクトロスプレーで形成されたポリマーイオンは、それらの長さおよび質量に比例するあるレベルの電荷を運ぶ。結果として生じるポリマーイオン上の電荷の数は、放射性線源を使用して単一(unity)に近い値に減少させる。次いで、電荷の減少したポリマーイオンの移動度分布が、高分解能微分型電気移動度測定装置(DMA)により測定される。ポリマーの移動度Zとその質量mとの関係式Z(m)は、狭い分布のポリマー質量スタンダードに相対して決定される。発明者らは、また、分析されるポリマーの分子量の範囲が、ポリマー参照スタンダードの1からn分子までを含むクラスタイオンを発生させることで、因数n(Mw)により拡張されることを見出した。
従って、本発明は、ポリマーの分子量分布を決定する方法であって、
(a)ポリマーおよび1以上の参照ポリマーをエレクトロスプレーする工程;
(b)高分解能微分型電気移動度測定装置を使用して、ポリマーおよび1以上の参照ポリマーについてのイオンの移動度分布を測定する工程;および
(c)ポリマー質量を、その対応する測定されたポリマーイオン移動度から計算することにより、1以上の参照ポリマーと比較したポリマーの分子量を得る工程
を含む方法を提供する。
一態様によれば、イオン移動度は、異なる分子質量(分子量)を有する複数の参照ポリマーについて測定される。別の実施態様によれば、イオン移動度は、狭い範囲で明確にされている分子質量の参照ポリマーについて発生させた一連の1〜nのクラスタイオンについて測定される。また、別の実施態様では、イオン移動度は、異なる分子質量の2つ以上の参照ポリマーについて発生させた一連の1〜nのクラスタイオンについて測定される。
本発明は、ポリマーのイオン移動度を、その対応するポリマー質量(分子量)により検量する方法であって、
(a)異なる分子質量を有する1以上の参照ポリマーを得る工程;
(b)微分型電気移動度測定装置を使用して、各参照ポリマーについてのイオン移動度を測定する工程;
(c)参照ポリマーイオンの粒子直径を、測定された移動度分布から計算する工程;および
(d)確定されている質量範囲にわたるポリマー質量(m)1/3に対して、ポリマー粒子直径d(Z)またはポリマー粒子移動度(Z−1/2)のプロットを得る工程、
を含む方法を提供する。
本発明は、ポリマーのイオン移動度を、その対応するポリマー質量(分子量)により検量し、かつ、エレクトロスプレーイオンの移動度分析においてポリマー質量(分子量)範囲を拡張する方法であって、
(a)狭い分子量分布を有する参照ポリマーを得る工程;
(b)参照ポリマーから一連のn個のクラスタイオンを発生させ、微分型電気移動度測定装置を使用して、各クラスタイオンのイオン移動度を測定する工程;
(c)測定された移動度分布から参照ポリマーおよび対応するクラスタイオンの粒子直径を計算する工程;および、
(d)拡張された質量範囲n(m)にわたるポリマー質量(m)1/3に対して、ポリマー粒子直径d(Z)またはポリマー粒子移動度(Z−1/2)のプロットを得る工程、
を含む方法を提供する。
本明細書で使用される場合、ダルトンは、最も豊富な炭素の同位体である、原子質量12を有する炭素(12C)の1/12に等しい原子質量の単位であり、(1ダルトン=1原子質量単位(amu))である。本発明よって分析されるポリマーは、1キロダルトン(kD)〜500,000kDの間の重量平均分子量を有する水溶性および水不溶性のポリマー双方を含む。本明細書で使用される場合、用語「水溶性」は、ポリマーに適用される場合、ポリマーが、水100グラムあたり少なくとも1グラム、好ましくは、水100グラムあたり少なくとも10グラム、より好ましくは、水100グラムあたり少なくとも約50グラムの溶解度を有していることを意味する。用語「水不溶性」は、ポリマーに適用される場合、水100グラムあたり1グラム未満の、低いまたは非常に低い水溶解度を有するポリマーを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「クラスタイオン」は、1(単量体)からn(例えば、n=6は六量体を意味する)分子の基本参照ポリマー質量スタンダードを含む、基本参照ポリマー質量スタンダードから発生する、内部に従属する質量の一連を意味する。クラスタイオンの数は、液滴中のポリマーの濃度に応じて変化する。クラスタイオンを発生させる利点は、それが質量範囲を因数n(m)に拡張するということである。例えば、50kDのポリエチレングリコール(PEG)単量体は、12kD PEG四量体(または4×12kD=48kD)と等価の測定された移動度、質量および密度を有する。
本発明の方法によれば、水溶性ポリマーおよび水不溶性ポリマーのエレクトロスプレーは、エレクトロスプレー装置(米国特許第5,873,523号)およびエレクトロスプレー液滴発生器(米国特許出願公開第2003/0136680A1号)として参照されるエレクトロスプレー源(ES)を使用して生成させる。本発明で使用されるエレクトロスプレー装置は、Analytical Chem.、第68巻、1895〜1904頁(1996年)にKaufmanらによって記載された装置に設計において類似するものである。同様のエレクトロスプレー液滴発生器は、TSIモデル3480 エレクトロスプレーエアゾール発生器(TSI Inc.、米国、ミネソタ州、セントポール)として商業的に入手可能である。代替のエレクトロスプレー装置は、米国特許第5,873,523号に記載されている。
ESは、アナライトとして、水溶性ポリマーおよび水不溶性ポリマーを含む導電性溶液から、均一なナノメートルサイズのエレクトロスプレー(液滴およびエアゾールとも称される)を生成する。用語エレクトロスプレーは、良く限定されたサイズ分布を有する液滴(およびエアゾール)を意味し、これは、キャピラリーから所定の距離(センチメートルcm、からミリメートルmm)を離れて位置する基準電極に相対して、数キロボルト(kV)の電位を維持しながら、キャピラリーを通して充分な電気伝導性を有する液体を供給することによって生成する。用語エアゾールは、液滴の形状で、空気中に懸濁されたアナライトの分散体および懸濁体をはじめとするナノメートル(nm)サイズの溶液を意味する。本発明のエレクトロスプレーは、溶解されたポリマーを含む良く限定されたサイズ分布を有する溶媒液滴として、大きな印可電位下でESから生成する。用語アナライトは、溶液を生じる溶媒中に溶解された固体(ポリマー)を意味する。用語、溶解ポリマーおよびポリマー溶液は、ポリマーの懸濁液および分散液、典型的にはポリマーの微細な懸濁液および分散液を包含するものであると本文中において理解される。
本発明のESは、液体を放出するための出口を有するキャピラリーを含み、当該液体は高電圧電源によって高電位に帯電される。キャピラリーの典型的な例はシリカキャピラリーである。代替キャピラリーは導電性材料から作られる。基準電極は、キャピラリーから所定距離(cm)離れて位置する。ガス源は、キャピラリーの出口の領域で、ガス領域を直ちに確立するために使用される。典型的なガス源としては、例えば、空気と二酸化炭素が挙げられる。ES中のキャピラリー出口と電極との電位差は、高度に均一なサイズの液滴を含むエレクトロスプレーを確立するのに充分なものである。
ポリマーアナライトを含む液滴は、層流のガス流によって運ばれ、急速に脱溶媒和して、乾燥し、形成した中性のおよび荷電したポリマー粒子はイオン源(例えば、アルファ放出放射線源)に曝露され、そして、粒子の電荷を、液滴の蒸発につれて単一に近い値に減少させる。アルファ線放射線源への曝露レベル(例えば、典型的には5ミリキューリー210Po)は、金属箔でその活性領域を覆うことにより制御される。これはポリマーアナライトが多重荷電種に関連するピークを表示しないように規制される。液滴には、乾燥ポリマー粒子が電荷減少する前に蒸発するために充分な時間が与えられる。
ポリマー粒子は、最初にエレクトロスプレーされた液滴が運搬したのと同じ電荷量を運ぶ。アルファ−放射線源による電荷の減少過程は、荷電されたポリマー粒子の良く特徴づけられた確かな流れを生み出す。本明細書において、良く特徴付けられたとは、単一に荷電されたポリマー粒子の画分は粒子直径に依存するが、粒子直径と単一電荷を運ぶポリマー粒子の画分との間の関係が充分確立されていることを意味する。代替法は、荷電されたポリマー粒子の流入流れが単一電荷しかない粒子として出て行くことを確実にするために使用される方法であり、たとえばアルファ放射線源と同一の電荷状態減少を有する第二次電子を生じさせる交流コロナを含む。
本発明の方法の一態様によれば、エレクトロスプレーは、著しく低いポリマーアナライト濃度を使用する必要なしに、アナライトとして、1つだけのポリマー分子を含むような粒子サイズ分布を有して発生する。水溶性ポリマー(たとえば、PEG)の場合には、水が溶媒として使用され、これは少量の1以上の電解質(たとえば、10mMの酢酸アンモニウム)を同時に含む。水不溶性ポリマー(例えば、ポリスチレン、PS)の場合には、高誘電率を有する溶媒(たとえば、N−メチル−2−ピロリジノン、NMP)が使用され、これは少量の1以上の電解質(たとえば、10mMのトリフルオロ酢酸、TFA)を同時に含む。与えられた液滴の直径およびポリマーの分子量について、液滴当たり1つのポリマー鎖を提供する、対応ポリマー濃度が計算される。例えば、最初の液滴の直径が50nmである100kDのPEGは、2538ppmの濃度において、単一PEG鎖を提供する。100nm、500nm、2μm、10μmの最初の液滴直径を有する同ポリマーは、それぞれ317ppm、2.5ppm、0.04ppm、0.0003ppmの濃度で、単一のPEG鎖を提供する。したがって、シグナルを最大限にするために、液滴直径は最小限にされ、また、エレクトロスプレー化は、狭い粒度分布を有する液滴を発生する。液滴中のポリマーの濃度を増加させると、複数のポリマー分子(鎖)が提供され、同じ乾燥ポリマー粒子中に、クラスタイオンと称される、分子のクラスタが提供される。クラスタイオン数、n、がより高い分子量mの単一分子(鎖)ポリマーについて合理的な概算に使用され、それにより、因数n(m)によって、分子量の範囲が拡張される。例えば、120kDのPEGの六量体は、720kDのPEG単鎖(分子)(6×120kD=720kD)と等価である。
ES装置は電荷の減少したポリマー粒子を微分型電気移動度測定装置(DMA)に送り、そこで荷電ポリマー粒子の粒子サイズが決定される。イオン電気移動度は、イオンの物理的特性であり、イオンが電場に付される場合にイオンが獲得する速度に相関する。電気移動度Zは、数学的関係式Z=V/Eから定義され、式中Vは終端速度およびEは電場である。粒子直径は、Z=neC/3πηdの関係より決定され、次の項を代入する:nは粒子についての電荷の数(n=1)であり、e=1.6×10−19クーロン/電荷、Cは粒子サイズ依存性滑り補正係数、ηは気体粘度およびdは粒子直径である。粒子直径について解くと関係式:d=[neC/3πη][E/V]が導かれ、これは既知のパラメーターの関数として、粒子直径について明示的な関係を提供する。Eを変えることにより、荷電ポリマー粒子の異なる粒子直径が得られる。本発明は高分解能DMAを使用してポリマーイオン電気移動度を測定し、測定されたポリマーイオン移動度をポリマー質量に関係付ける正確な検量方法を開発する方法を提供する。
DMAは、流れ場と電場を組み合わせて、時間ではなく空間においてイオンを分離する。本発明において使用されるDMAは、T.Eichlerにより、Fachhochschule Offenburg、ドイツ(1997年5月)に提出された「イオンおよびナノ粒子についての微分型電気移動度測定装置:高レイノルズ数における層流」と題された論文において記載され、その改良である大型層流化入り口を有する小型ウイーン型DMAが、Herrmann等によりミシシッピー州セントルイスにおいてAAARの年次総会、2000年、10月6〜10日において記載された。実際には、典型的なDMAは、2nmより小さな粒子の粒度分布を測定することができない。しかしながら、それらはMw>10kDを有するポリマーを測定する本発明において容易に使用される。高分解能DMAは、1nm未満の粒子のサイズ分布を測定できるよう設計および製作された。米国特許出願第2003/0116708A1号に記載された該高分解能DMAにおいて、層流は異例に高く、層流を維持している間の分析部分における平均速度および円筒状電極間隔(0.5センチメートル)から計算して、10,000〜30,000以上のレイノルズ数(Re)に相当する。用語「レイノルズ数」は、流体の密度、流体の速度および固有の長さの積全てを、流体の粘性係数で割ったものに等しい無次元の数である。小さなMwを有する有機分子についてのイオン移動度を測定するのには、そのような高Re数が要求されるのに対し、1kDより大きいMwを有するポリマーについてのイオン移動度を正確に測定するには、高Re数が必要とされない。本発明の一利点は、ポリマー質量を正確に決定するための方法が、層流を維持しながら2000未満(Re<2000)のレイノルズ数でDMAを作動することを要求するということである。
電荷の減少したポリマーイオンが、DMAを通して注入され、DMAはそれらの直径および移動度に従い荷電ポリマーイオンを分離する。移動度で選択されたポリマー粒子を感知する検出器は、約1秒の応答時間および約10−16アンペアのノイズレベルを有するLazcano Inc.から商業的に供給される電位計である。最大ピーク高さにおける全幅(FWHM)が2.7%より優れた移動度分解能を有するDMAが、典型的である。分解能は、DMAを改変することにより1.8%FWHMまで改良することができる。
ポリマーの、測定された移動度分布は、下記の方法によってそれぞれのポリマー質量に相関する。ポリエチレングリコール(PEG)を含むポリマーのエレクトロスプレーは、それらが単一または複数ポリマー鎖から構成されているか否かにかかわらず、ガラス状態または結晶状態に相当する嵩密度を有する球状ポリマー粒子を生成する。該ポリマー粒子は、球状であり、気体平均自由行程よりずっと小さいので、移動度Zおよび質量mはお互い相関し得る。何故ならmおよびZ双方は、Journal of Aerosol Science、第26巻、459〜475頁(1995年)においてH.TammetによりおよびTrends in Analytical Chemistry 第17巻、328〜339頁(1998年)においてde la Moraらに従い粒子直径dと関連するからである。:
d=(6m/πρ)1/3 (1)
z=〔3q/2p(d+d〕〔(kT/2πm1/2/(1+πα/8)〕 (2)
式中、ρは球状粒子の密度であり、qはその電荷であり、pは圧力であり、Tは温度であり、mは懸濁化気体の分子の質量であり、kはボルツマン定数、dは気体粒子衝突の有効直径であり、およびαは相当する適応係数である。用語αは弾性衝突については0および完全非弾性衝突については1である。空気中の小粒子の多様な測定は、α=0.91である場合の式(2)に一致し、これはS.Friedlanderによる「Dust,Smoke and Haze」、J Wiley and Sons、第2版、2000年において報告されており、dが0.53nmであるとも報告されている。式(1)および(2)から結果的に、m1/3およびZ−1/2の量は双方ともdに関して線形的であり、それぞれがそれぞれに対しプロットされた場合に直線の関係を生じる:
−1/2=A+Bm1/3 (3)
式中、定数AおよびBは上記により与えられた情報から推定されるだけでなく、検量によって得られる。より大きなポリマー粒子(d>10nm)についての一般的な手順としては、関係Z(d)を逆数にして、移動度直径d(Z)に関して、測定された移動度を表す。これはd(Z)対m1/3のプロットが、対象である工業的ポリマーについての質量の全範囲内で直線となるよう、メガダルトン範囲を含むよう代数的になされる。
移動度Zおよび移動度の逆数1/Zは、下記のMillikan関係式から決定することができる。式中Knudsen数Knはキャリヤーガスの平均自由行程の2倍と粒子直径dとの間の比率である:
1/Z=3πμ(d+d)/qC(kn) (4a)
C(Kn)=1+kn〔1.257+0.4exp(−1.1/Kn)〕 (4b)
Kn=〔2μ/(d+d)ρ〕〔πm/2kT〕1/2 (4c)
式中、μは気体の速度係数であり、およびρは気体密度である。これはZの関数としてのdを生じ、それによりZ−1/2の代わりにdを使用することが可能になり、式(5)に示されるようにdおよびm1/3との間に直線関係を生じさせる。
d=d+B1/3 (5)
従って、本発明は、
(a)ポリマーおよび1以上の参照ポリマーをエレクトロスプレーする工程;
(b)高分解能微分型電気移動度測定装置を使用してポリマーおよび1以上の参照ポリマーについてのイオン移動度分布を測定する工程;および
(c)ポリマー質量を、その対応する測定されたポリマーイオン移動度から計算することにより、1以上の参照ポリマーと比較したポリマーの分子量を得る工程
を含むポリマーの分子量分布を決定する方法を提供する。
水溶性ポリマーおよび水不溶性ポリマーについて高分解能質量(分子量)分布決定のための電荷減少エレクトロスプレー移動度分析の有効性が、本発明の方法を使用して実証されている。水溶性ポリマーの代表例はPEGである。一例において、与えられた液滴中に唯一のPEG分子(鎖)を含有する希釈ポリマー濃度および与えられた液滴中にPEG分子のクラスタが存在する増加したポリマー濃度におけるエレクトロスプレーから、12.6kDのPEG試料についてのイオン移動度スペクトルが測定された。低ポリマー濃度において、単一鎖PEG分子(単量体、n=1)に相当する移動度ピークが観察された。クラスタイオンでは漸次的な外観が見られ、単量体から十量体(n=10)の移動度のピークが、ポリマー濃度が1×10−6から1×10−6Mに増加する間に観察された。この例から、プローブされるポリマー質量の範囲は、単一ポリマー試料およびクラスタ形成物を使用して、因数10によって単一の126kDのPEG鎖に等しい値まで拡張される。更に、120kDのPEG試料のエレクトロスプレー移動度分析は、本発明の方法を使用する単量体から六量体までに相当する移動度ピークから、720kDにまで拡張させることができる。本方法においてなされる仮定の一つは、(特にクラスタの場合において)乾燥ポリマー粒子は球状であり、それらの密度は直径、即ち、分子量とは無関係であるとすることである。その仮定の正当性は、PEGポリマーの二組の実験結果、つまり直線関係がポリマーイオン移動度の逆数の平方根対ポリマー質量(分子量)の立方根との間で得られたという実験結果を使用して実証された。本方法の一つの利点は、上記した様に一連の質量は内部的に従属しており、一貫性がありおよび直線をなすことである。移動度対MWの関係を使用して、1.001の多分散性が5%FWHMのイオン移動度ピークを与えることが算出される。従って、慣用のDMAの分解能は、合成、半合成および自然発生ポリマーを含む多分散性ポリマーの分子量分布を測定する場合に観察し得るピークのブロード化をほとんどまたは全く与えない。二つの例は、ポリマーについてのエレクトロスプレー移動度分析クラスタデータが、2桁の規模範囲を超えるポリマーの高分解分子量分布をもって正確に決定する能力を提供し、分解能はGPCよりかなり優れており、典型的にMALDI−MSスペクトルに見られる範囲を超える範囲を有していることを示している。
水不溶性ポリマーのエレクトロスプレー移動度分析が、本発明の方法を使用して同様の方法で遂行される。代表的な水不溶性ポリマーは、ポリスチレン(PS)である。一例において、与えられた液滴中に唯一のPS分子(鎖)を含有する希釈ポリマー濃度および与えられた液滴中にPS分子のクラスタが存在する増加したポリマー濃度におけるエレクトロスプレーから、170kDのPS試料についてのイオン移動度スペクトルが測定された。単量体(n=1)のイオン移動度ピークは、2×10−6Mにおいて観察された。クラスタイオンでは漸次的な外観が見られ、単量体から三量体(n=3)までの移動度ピークが、ポリマー濃度が1.7×10−5Mまで増加する間に観察され、分子量範囲は510kDまで拡張される。
分子量が未知の任意のポリマーは、1以上の参照ポリマーを使用してエレクトロスプレー移動度分析により決定される。参照ポリマーは、GPCまたはMS等の任意の慣用技術を使用してその分子量がすでに正確に決定されているポリマーである。PEGスタンダードは、本発明の方法を使用する水溶性ポリマーについての参照ポリマーとして有用である。PSスタンダードは、本発明の方法を使用する水不溶性ポリマーについての参照ポリマーとして有用である。任意の好適な水溶性ポリマーまたは水不溶性ポリマーを、その分子量がすでに正確に決定されていることを条件として、参照として使用することができる。エレクトロスプレー移動度分析におけるクラスタの一つの利点は、クラスタイオンが、一連の内部参照をも提供することである。分子量が未知のポリマーについての移動度分布は、1以上の参照ポリマーのイオン移動度分布と比較して本発明の方法を使用して決定される。
ポリマー質量に対してポリマーの移動度分布を検量する方法は、
(a)異なる分子質量を有する1以上の参照ポリマーを得る工程;
(b)微分型電気移動度測定装置を使用して各参照ポリマーについてのイオン移動度を測定する工程;
(c)測定された移動度分布から参照ポリマーイオンの粒子直径を算出する工程;および(d)確定されている質量範囲にわたるポリマー質量(m)1/3に対する、ポリマー粒子直径d(Z)またはポリマー粒子移動度(Z−1/2)のプロットを得る工程、
を含む。
本発明は、また、対応するポリマー質量を有するポリマーのイオン移動度を検量し、ポリマー質量範囲を拡張する方法であって、
(a)挟い分子量分布を有する参照ポリマーを得る工程;
(b)一連のn個のクラスタイオンを参照ポリマーから発生させ、さらに微分型電気移動度測定装置を使用して各クラスタイオンについてのイオン移動度を測定する工程;
(c)測定された移動度分布から参照ポリマーおよび対応するクラスタイオンの粒子直径を算出する工程;および
(d)拡張された質量範囲n(m)にわたるポリマー質量(m)1/3に対して、ポリマー粒子直径d(Z)またはポリマー粒子移動度(Z−1/2)のプロットを得る工程、
を含む方法を提供する。この方法の一利点は、その一連の参照質量は上記したように内部的に従属し、一貫性がありおよび直線をなすことである。
上記したように、水溶性ポリマーおよび水不溶性ポリマー双方の質量分析は、本発明の方法を使用して遂行される。水溶性ポリマーは、水と好適な塩を含む緩衝溶液からエレクトロスプレーされ、必要とされる液滴を生成する。好適な水溶性ポリマーの例としては、これらに限定されないが、たとえばポリアルキレンオキシド、たとえばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、ポリクロトン酸およびその塩、ポリマレイン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸の誘導体およびその塩、ポリアミンおよびそのアンモニウム塩、ポリアミノアクリレートおよびそのアンモニウム塩が挙げられる。他の好適な水溶性ポリマーとしては、全ての高分子電解質、たとえば、ポリ(メタ)アクリル酸コポリマーおよびその塩、無水マレイン酸コポリマー、多糖類およびその塩、多糖類誘導体およびその塩、ポリエチレンイミンおよびその塩、ポリアミドアミンおよびその塩、イオネン(ionene)およびその塩、カチオン性アクリル酸エステルのホモ−およびコポリマー、ゼラチンおよび核酸が挙げられる。全ての水溶性ポリマーの分子量分布を、本発明の方法を使用して決定することができると考えられる。
水不溶性ポリマーの質量分析は、高誘電率を有する溶媒中のポリマーのエレクトロスプレーから決定される。用語「誘電率」は、溶媒を含む液体媒体の極性を意味し、式F=QQ’/εrにおけるεにより定義され、ここでFは媒体において距離rで分離される二つの電荷QおよびQ’間の引力である。高誘電性溶媒は、ポリマーを溶解し/分散する働きをし、必要とされる導電性を有し、および不純物を含まず、本発明の方法を使用する質量分析のための汚染されていないポリマーイオンを生じさせる。全ての水不溶性ポリマーの分子量分布を、それらがイオン化のために充分高い誘電率を有する1以上の好適な溶媒中に溶解され、懸濁されまたは分散され得ることを条件に、本発明の方法を使用して決定することができると考えられる。
高い誘電率を有する溶媒の好適な例としては、限定されるものではないが、誘電率ε>2.0を有する溶媒が挙げられる。好適な例としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ホルムアミド、これらのホルムアミド塩、メチルアンモニウムホルムアミド、ジメチルアンモニウムホルムアミド、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、アセトアミド、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、アリルアルコール、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、5−メチル−2−ピロリジノン、2−メチル−1−ブタノール、無水酢酸、アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノン、グリコールニトリル、シアン化水素(超臨界、あるいは低温の凝縮相中で)、二酸化硫黄(超臨界、あるいは低温の凝縮相中で)、シアン化水素酸、イソブチロニトリル、イソブチルアルコール、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、N−メチルピリジンおよびリン酸トリブチルが挙げられる。
1以上の金属塩もまた、誘電率が高い溶媒(誘電率ε>2.0を有する溶媒)に添加され、または、水溶液中で単独で使用されて、エレクトロスプレーするポリマーアナライトの導電性をさらに向上させる。任意の好適な導電性塩が、本発明によって有用に使用される。特に、有用な塩には、水溶液および非水溶液、または非水溶液で使用することができる塩が含まれる。好適な塩としては、これに限定されないが、例えば、トリフルオロ酢酸、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸アルキルアンモニウム、ピリジニウム塩、ピロリジノンニウム塩、スルホニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウムハロゲン化物、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウム塩、ホルムアミド塩、アルキルアンモニウムホルムアミド塩、メチルアンモニウムホルムアミドハロゲン化物、ジアルキルアンモニウムホルムアミド塩、ジメチルアンモニウムホルムアミド塩およびそれらの化合物が挙げられる。一態様によれば、塩はε>2.0の誘電率を有する1以上の溶媒に添加される。別の実施形態によれば、1以上の金属塩を含有する水溶液、非水溶液および混合溶液が、ポリマーアナライトをエレクトロスプレーするために使用される。
広範囲の水不溶性の工業用ポリマーの質量(分子量)分析は、本発明の方法を使用して決定される。好適なポリマーとしては、これらに限定されないが、ビニルポリマー、たとえばポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルピリジン、ポリビニルアミン、ポリビニルアミド、ポリビニルエーテル;縮合ポリマー、たとえばポリエステルおよびポリウレタン;多エチレン性不飽和ポリマー、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミドおよびポリ(メタ)アクリルアミドコポリマー、ポリウレタンおよびポリエステルが挙げられる。他の好適な水不溶性ポリマーの例には、掲げられたポリマーの架橋ポリマーが含まれる。
本発明に有用な水不溶性アクリルポリマーは、溶液、サスペンションおよびエマルション重合を含む慣用の重合技術により調製される。たとえば、ラテックスポリマー粒子のディスパーションは、米国特許第4,427,836号;第4,469,825号;第4,594,363号;第4,677,003号;第4,920,160号;および第4,970,241号に開示されたものを含むプロセスに従って調製される。ラテックスポリマー粒子は、また、たとえば欧州特許出願番号第EP0267726号;EP0331421号;EP0915108号および米国特許第4,910,229号;第5,157,084号;第5,663,213号および第6,384,104号に開示された重合技術によっても調製することができる。
本明細書において、用語「(メタ)アクリル」は、対応するアクリルまたはメタクリル酸および誘導体のいずれかを意味し;同様に用語「アルキル(メタ)アクリレート」は、対応するアクリレートまたはメタクリレートエステルのいずれかを意味する。
移動度測定によるポリマーの質量分析は、いくつかの重要な利点を提供する。それは、GPCを使用しては決定され得ないまたは慣用のMS装置を使用しては直接決定され得ないポリマーの質量(分子量)分析を可能にする。当該質量分析は、迅速規模で遂行される。ポリマーイオンの移動度は、第一原理からポリマー粒径および形状まで相関させることができる。
本発明に従い分析されるポリマーは、1キロダルトン(kD)〜500,000kDの間の重量平均分子量を有する水溶性および水不溶性ポリマー双方を含む。
本方法は、また、多種類の工業的ポリマーの分子量決定に一般的に適用可能である。本発明の一態様によれば、移動度対質量の関係は分析される各ポリマーについて決定される。別の態様に従い、移動度対質量の関係は、使用される一つのポリマーについて得られる関係を他のポリマーに変換することにより決定される。実験データは、単一鎖粒子の密度はバルクポリマーの密度と同様であることを示しており、嵩密度は測定されるか推定される。
本発明のいくつかの態様は、次の実施例により詳細に記載される。
水溶性ポリマーの質量分析
10ミリモラー(mM)酢酸アンモニウムバッファー中のポリエチレングリコール(PEG)の水溶液が、エレクトロスプレーされた。バッファーは、50/50(v/v)水メタノール溶液と10mM酢酸アンモニウムを含んでいた。二酸化炭素が、エレクトロスプレー用の気体として使用された。商業的に入手可能なPEG試料が、入手された(ポリマーラボラトリーズ、米国、マサチューセッツ州、アムハースト01003)。分子量は、製造者によってGPCおよび光散乱測定を使用して独立に決定され、表1に掲げられている。
Figure 2005208063
形成されるポリマーイオンの移動度分布は、高分解能DMAを使用して空気中で測定され、対応するマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析法(MS)データと比較された。移動度スペクトルは、各PEG試料について得られた。結果により、本発明の方法を使用してもたらされたいかなるピークの広域化も、最も狭い入手可能なPEG試料についての算出されたMWDに深刻な影響を及ぼさないことを確認した。ポリマーイオンの移動度とその質量との間の関係は、狭いMWDを有するPEG質量スタンダードと比較して決定された。PEG試料は、液滴あたり1を超えないポリマー鎖を生じさせるに充分な低濃度(表1)においてエレクトロスプレーされた。PEGスタンダードから入手され得る情報を最大化するために、より濃縮された溶液が、またエレクトロスプレーされ、DMAにより分析された。1PEG分子から6分子(六量体)までを含むクラスタイオンの漸次的な出現が1×10−6〜1×10−4モル/リットル(M)まで濃度を増加するにつれて観察された。クラスタ化プロセスは、因数n(m)により入手可能な質量スタンダードの有効数を拡張するという利点を有する。
ポリマーイオン移動度とポリマー質量との信頼性のある関係は、商業的に入手可能なPEGスタンダードを使用して得られた。その結果により、PEG粒子はそれらが単一または複数のポリマー鎖から構成されるか否かとは無関係に、ガラス状態または結晶状態に相当する嵩密度を伴って球状をしていることを確認した。形成される粒子についての一定の形状および密度は、測定された移動度から質量を正確に決定するのに有用である、何故ならZは断面積の関数であり、それは形状および容積に依存し、言い換えれば密度に依存するからである。
PEGの嵩密度についての報告された値は、298KにおいてMw=3,400g/モルにおいて1.204g/cmであり、およびMw=6,000g/モルにおいて1.21g/cmである。式(1)〜(5)を使用して、d(Z)対m1/3の直線プロットがPEGスタンダードについて得られた。式(5)を使用してデータを適合させ、d=0.453nmおよびB=0.1364nm/(g/モル)1/3を得る。線Bの勾配から、1.25g/cmの粒子密度は、PEGの嵩密度と一致して得られる。
水不溶性ポリマーの質量分析
狭い質量分布および9kD<Mn<170kDの範囲の平均分子量を有するポリスチレンポリマーは、5容積%のトリフルオロ酢酸でシードされたNMP中のそれらの溶液からエレクトロスプレーされた。ポリスチレン質量スタンダードは、商業的に得られ、表2において要約されている。
Figure 2005208063
形成されるポリマーイオンの移動度分布は、高分解能DMAを使用して空気中で測定された。移動度スペクトルは、各ポリスチレン試料について得られた。1×10−4モル/リットルに近づく濃度において使用されるポリスチレン質量スタンダードは、1から6(六量体)までのポリスチレン分子を含有する粒子の形成に関連するいくつかのよく限定された移動度ピークを生じさせる。
ポリマーイオン移動度およびポリマー質量との間の信頼性ある関係は、商業的に入手可能なポリスチレンスタンダードを使用して得られた。その結果により、ポリスチレン粒子はそれらが単一または複数のポリマー鎖から構成されるか否かとは無関係にガラスまたは結晶状態に相当する嵩密度を伴って球状をしていることを確認した。4つのポリスチレン質量スタンダード(Mn(kD)9.2、45、68および170)の使用は、9kD〜170kDの(Z−1/2)対m1/3の直線関係を確立する15の質量対移動度データを与える。球状ポリマー粒子は、エレクトロスプレーおよびポリスチレンの測定された嵩密度に一致する移動度分析から確認された。式(1)〜(5)を使用して、(Z−1/2)対m1/3の直線プロットがPEGスタンダードについて得られた。式(5)を使用してデータを適合させ、線Bの勾配から、1.067g/cmの粒子密度がPSの嵩密度と一致して得られる。PSの嵩密度は、1.040〜1.080g/cmの範囲である。最高分子量PS試料は、6%以内で一貫性があった。

Claims (10)

  1. ポリマーの分子量分布を決定する方法であって、
    (a)ポリマーおよび1以上の参照ポリマーをエレクトロスプレーする工程;
    (b)高分解能微分型電気移動度測定装置を使用してポリマーおよび1以上の参照ポリマーについてのイオン移動度を測定する工程;および
    (c)ポリマーの分子量を、その対応する測定されたポリマーイオン移動度から計算することにより、1以上の参照ポリマーと比較したポリマーの分子量を得る工程
    を含む方法。
  2. ポリマーが、水溶性ポリマーである、請求項1記載の方法。
  3. ポリマーが、水不溶性ポリマーである、請求項1記載の方法。
  4. 誘電率が少なくとも2.0の溶媒を用いて、水不溶性ポリマーをエレクトロスプレーする、請求項3記載の方法。
  5. 溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ホルムアミド、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、1−ブタノール、アセトアミド、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、アリルアルコール、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、5−メチル−2−ピロリジノン、2−メチル−1−ブタノール、無水酢酸、アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノン、グリコールニトリル、シアン化水素、シアン化水素酸、イソブチロニトリル、イソブチルアルコール、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、N−メチルピリジンおよびトリブチルホスフェートからかる群から選択される、請求項3記載の方法。
  6. 決定されるポリマーの分子量が、1キロダルトン(kD)〜500,000kDである、請求項1に記載の方法。
  7. 参照ポリマーが、ポリエチレングリコールである、請求項2記載の方法。
  8. 参照ポリマーが、ポリスチレンである、請求項3記載の方法。
  9. ポリマー分子量に対するポリマーのイオン移動度分布を検量する方法であって、
    (a)異なる分子質量を有する1以上の参照ポリマーを得る工程;
    (b)微分型電気移動度測定装置を使用して、各参照ポリマーについてのイオン移動度を測定する工程;
    (c)参照ポリマーイオンの粒子直径を測定された移動度分布から計算する工程;および
    (d)確定されている質量範囲にわたるポリマー質量(m)1/3に対して、ポリマー粒子直径d(Z)またはポリマー粒子移動度(Z−1/2)のプロットを得る工程、
    を含む方法。
  10. エレクトロスプレーイオンの移動度分析におけるポリマー分子量の範囲を拡張する方法であって、
    (a)狭い分子量分布を有する参照ポリマーを得る工程;
    (b)参照ポリマーから一連のn個のクラスタイオンを発生させ、微分型電気移動度測定装置を使用して、各クラスタイオンのイオン移動度を測定する工程;
    (c)測定された移動度分布から参照ポリマーおよび対応するクラスタイオンの粒子直径を計算する工程;および、
    (d)拡張された質量範囲n(m)にわたるポリマー質量(m)1/3に対してポリマー粒子直径d(Z)またはポリマー粒子移動度(Z−1/2)のプロットを得る工程、
    を含む方法。
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