JP2005207431A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロック解除初期における回転変動トルクによるベーンの振動を利用して、ロック機構の速やかなロック解除を図る。
【解決手段】 タイミングプーリ1と相対回転可能なベーン3を、進角側油圧室32と遅角側油圧室33への相対的な油圧の給排により、正逆回転させてタイミングプーリとカムシャフト2との相対回転位相を変換させて、吸気弁の開閉時期を可変にする。前記ベーンとタイミングプーリとの相対回転を規制するロック機構のコイルスプリング39のばね力を、ベーンに作用する正負の交番変動トルクの平均値よりも高くかつ最大変動トルクよりも低い油圧が受圧室40に作用した際に、ロックピン34を後退移動させる設定圧にした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の吸気弁,排気弁の開閉時期を運転状態に応じて可変にするバルブタイミング制御装置に関する。
従来のバルブタイミング制御装置としては、以下の特許文献1に記載されたベーン式のものが知られている。
概略を説明すれば、このバルブタイミング制御装置は、前記開口端がフロントカバーとリアーカバーで閉塞されたタイミングスプロケットの筒状ハウジングの内部に、カムシャフトの端部に固定されたベーンが回転自在に収納されていると共に、ハウジングの内周面に直径方向から互いに内方へ突出されたほぼ台形状の4つの突状部とベーンの4つの羽根部との間に進角側油圧室と遅角側油圧室が画成されている。そして、機関運転状態に応じて前記進角側と遅角側の各油圧室に油圧が給排されてベーンを正逆回転させることによりタイミングプーリとカムシャフトとの相対回動位相を変化させて、吸気弁の開閉時期を可変にするようになっている。
また、前記1つの突状部とベーンに固定されたリアカバーとの間には、タイミングスプロケットとベーンとの相対回転を規制ロックあるいはロックを解除するロック機構が設けられている。このロック機構はタイミングスプロケットの一つの突状部内に貫通孔がカムシャフト軸方向に沿って形成され、この貫通孔内にロックピンが摺動自在に設けられていると共に、前記ベーンと一体に回転するリアカバーに貫通孔と連続した係止穴が形成されている。また、前記ロックピンは、外端側に弾装されたスプリングのばね力で係止穴側へ付勢されていると共に、前記係止穴の受圧部に供給される油圧によって係止穴から押し出されるようになっている。また、前記スプリングのばね力(付勢力)は、タイミングスプロケットとベーンとの相対回転が生じる時の前記油圧室内における流体圧と等しい流体圧が前記受圧部に作用した際にロックピンに生じる係止穴から抜け出す駆動力よりも小さく設定されている。
したがって、バルブの開閉タイミングの変更を行う際にロックピンが係止穴から抜け出してタイミングスプロケットとベーンとのロックが解除された後に、両者の相対回転が行われることになり、これによってロックピンの損傷等を防止できるようになっている。
特開平9−280017号公報
ところで、一般に内燃機関のカムシャフトには、機関の作動中にバルブスプリングのばね力などに起因して図6に示すような、正及び負の交番変動トルクが発生していることが知られており、この交番変動トルクの正の変動トルクの最大ピーク値P1と、負の変動トルクの最大ピーク値P2を平均したものが、つまり図6の斜線に示す両者の面積51,52の平均値を交番変動トルクの平均値P3とされている。
そして、前記従来のバルブタイミング制御装置においてロックピンのロック解除初期の前記遅角側油圧室内の油圧、つまりベーンに作用する流体圧力と前記交番変動トルクとの関係を考察すると、前記ロック解除初期の時点には流体圧力が十分に高くなっていないためベーンは未だ回転していないことから該ベーンには前記交番変動トルクと該交番変動トルクの平均値P3に等しい流体圧力が作用していると考えられる。ところが、前記交番変動トルクの平均値P3と等しい流体圧力が交番変動トルクの正負の最大ピーク値P1,P2よりも低い圧力であるため、該交番変動トルクの値によっては、つまり相対回転させる流体圧力よりも変動トルクが平均値P3よりも大きくなっている場合は、前記流体圧力によってロックピンのロック解除がなされるや否やベーンが交番変動トルクに振動して、近接した前記各突状部の側面に打ち付けられて比較的大きな振動打音が発生するおそれがある。この結果、振動騒音の発生とベーン等の耐久性の低下を招来する。
本発明は、前記従来のバルブタイミング制御装置の技術的課題に鑑みて案出されたもので、請求項1記載の発明は、機関のクランクシャフトによって回転駆動する回転体と、該回転体と相対回動可能なカムシャフトと、該カムシャフトの端部に固定されて、前記回転体のハウジング内を摺動回転するベーンと、前記ハウジングの一端開口を閉塞する蓋体と、前記ハウジングの内周面に内方へ突設された複数の隔壁部と、該隔壁部と前記ベーンの両側面との間に画成された遅角側油圧室及び進角側油圧室と、該両油圧室に相対的に油圧を給排して前記ベーンを正逆回転させる油圧回路と、前記各油圧室にそれぞれ接続された油圧回路の2系統の油圧通路を機関運転状態に応じて切り替え制御する制御弁と、前記油圧回路を介して供給された油圧によって回転体とベーンとの相対回転をロックあるいはロックを解除するロック機構とを備えたバルブタイミング制御装置において、前記ロック機構は、機関始動時における前記ベーンに作用する正負の回転変動トルクの平均値から最大トルク値までの範囲内のトルク値に等しい油圧が作用したときにロックを解除するようにしたことを特徴としている。
図1〜図3は本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の第1の実施形態を示し、吸気弁側に適用したものを示している。
すなわち、機関の図外のクランクシャフトによりタイミングベルトを介して回転駆動される回転体たるタイミングプーリ1と、該タイミングプーリ1に対して相対回動可能に設けられたカムシャフト2と、該カムシャフト2の端部に固定されてタイミングプーリ1内に回転自在に収容されたベーン3と、該ベーン3を油圧によって正逆回転させる油圧回路とを備えている。
前記タイミングプーリ1は、図3にも示すように、外周にタイミングベルトが噛合する歯部5aを有する回転部材5と、該回転部材5の前方に配置されてベーン3を回転自在に収容したハウジング6と、該ハウジング6の前端開口を閉塞する蓋体たる円板状のフロントカバー7と、ハウジング6と回転部材5との間に配置されてハウジング6の後端開口を閉塞するほぼ円板状のリアカバー8とから構成され、これら回転部材5とハウジング6及びフロントカバー7,リアカバー8は、4本の小径ボルト9によって軸方向から一体的に結合されている。
前記回転部材5は、ほぼ円環状を呈し、周方向の約90°の等間隔位置に各小径ボルト9が螺着する4つの雌ねじ孔10が前後方向へ貫通形成されていると共に、内部中央位置に後述する通路構成用のスリーブ25が嵌合する段差径状の嵌合孔11が貫通形成されている。さらに、前端面には、前記リアカバー8が嵌合する円板状の嵌合溝12が形成されていと共に、嵌合溝12の外周側所定位置に係合溝20が形成されている。
また、前記ハウジング6は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面の周方向の90°位置には4つの隔壁部13が突設されている。この隔壁部13は、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング6の軸方向に沿って設けられて、各両端縁がハウジング6の両端縁と同一面になっていると共に、基端側には、小径ボルト9が挿通する4つのボルト挿通孔14が軸方向へ貫通形成されている。さらに、各隔壁部13の内端面中央位置に軸方向に沿って切欠形成された保持溝13a内にコ字形のシール部材15と該シール部材15を内方へ押圧する板ばね16が嵌合保持されている。
さらに、前記フロントカバー7は、中央に比較的大径なボルト挿通孔17が穿設されていると共に、前記ハウジング6の各ボルト挿通孔14と対応する位置に4つのボルト孔18が穿設されている。
また、リアカバー8は、後端面に前記回転部材5の嵌合溝12内に嵌合保持される円板部8aを有していると共に、中央にスリーブ25の小径な円環部25aが嵌入する嵌入孔8cが穿設され、さらに前記ボルト挿通孔14に対応する位置に4つのボルト孔19が同じく形成されている。また、リアカバー8の前記係合溝20に対応する位置に内周面がテーパ状の係合孔21が貫通形成されている。
前記カムシャフト2は、シリンダヘッド22の上端部にカム軸受23を介して回転自在に支持され、外周面所定位置に吸気弁をバルブリフターを介して開作動させる図外のカムが一体に設けられていると共に、前端部にはフランジ部24が一体に設けられている。
前記べーン3は、焼結合金材で一体に形成され、フランジ部24と嵌合孔11に夫々前後部が嵌合した前記スリーブ25を介して軸方向から挿通した固定ボルト26によってカムシャフト2の前端部に固定されており、中央に前記固定ボルト26が挿通するボルト挿通孔27aを有する円環状の基部27と、該基部27の外周面の周方向の90°位置に一体に設けられた4つの羽根部28とを備えている。
前記各羽根部28は、夫々長方体形状を呈し、各隔壁部13間に配置されていると共に、各外周面の中央に軸方向に切欠された保持溝29にハウジング6の内周面6aに摺接するコ字形のシール部材30と該シール部材30を外方に押圧する板ばね31が夫々嵌着保持されている。また、この各羽根部28の両側と各隔壁部13の両側面との間に夫々4つの進角側油圧室32と遅角側油圧室33が隔成されている。また、1つの羽根部28には、前記リアプレート8の係合穴21に対応した位置に摺動用孔35が軸方向に沿って貫通形成されていると共に、側部に前記遅角側油圧室33と摺動用孔35を連通する通孔36がほぼ周方向に沿って穿設されている。
さらに、1つの羽根部28の前記摺動用孔35には、ロックピン34が摺動自在に設けられている。このロックピン34は、図1,図4,図5に示すように中央側の中径状の本体34aと、該本体34aの先端側にほぼ先細り円錐状に形成された係合部34bと、本体34aの後端側に形成された段差大径状のストッパ部34cとから構成されている。また、このストッパ34cと本体34aとの間の外周面及び摺動用孔35の内周面との間に、受圧室40が形成されていると共に、ストッパ部34cの外端面とフロントカバー7の内端面との間に、ロックピン34を係合穴21方向へ付勢するばね部材たるコイルスプリング39が弾装されており、ロックピン34の係合部34bは、ベーン3の最大遅角側の回動位置において係合部34bが係合穴21内に係入するようになっている。
このとき、4枚のベーン3〜3のうちの1枚のベーン3を、これに対向する隔壁部13に当接させ、他のベーン3とこれに対向するそれぞれの隔壁部13との間を微小隙間sをもって離間状態となるように、ロックピン34とその係合穴21との相対的な位置関係が設定されている。ここで、微小隙間sは、平均トルクや摺動フリクション及びベーン3の大きさによって決定されるようになっている。
したがって、他のベーン3と隔壁部13との張り付きが防止されて、回転時の応答性を向上させることができる。
尚、4枚のベーン3の全てを離間状態に設定することも可能である。
前記受圧室40は、前記通孔36を介して遅角側油圧室33に連通し、該遅角側油圧室33から導入された油圧によってロックピン34をコイルスプリング39のばね力に抗して図中左方向、つまり係合部34bを係止穴21から抜け出す後退方向へ作動させるようになっている。
一方、コイルスプリング39は、そのばね力が機関作動中にカムシャフト2及びベーン3に発生する正負の交番変動トルクと前記受圧室40に供給される油圧との関係で設定されている。すなわち、コイルスプリング39のばね力は、図6に示したように、正の変動トルクの最大ピーク値P1と負の変動トルクの最大ピーク値P2の平均値P3よりも高い油圧が受圧室40に作用した場合、つまり、平均値P3から正あるいは負の最大ピーク値P1,P2までの範囲内のトルク値に等しい油圧が作用したときにはじめて圧縮変形するばね力に設定されている。このコイルスプリング39のばね力(ばね荷重)は、具体的には、以下の式によって設定されている。すなわち、
ロックピンを動かす力Fは
F=PS
油圧による発生トルクTpは
Tp=ηPBn(R12−R22)/8
よってトルクTに相当する油圧Ppは
Pp=8T/ηBn(R12−R22
一方、油圧室の総体積は
V=nBα(R12−R22)/8
∴Pp=Tα/ηV
∴F=TαS/ηV
平均変動トルクをT1、ピークトルクをT2とすれば、ロックピン のコイルスプリングの荷重Fspは
T1αS/ηV≦Fsp≦T2αS/ηV
に設定すればよい。
ここで、P:油圧、S:ロックピンの受圧面積、η:機構の機械効 率、n:ベーン羽の数、B:ベーンの長さ、R1:ベーン羽外径、 R2:ベーン軸外径、α:最大変換角
そして、これら摺動用孔35、係合穴21、ロックピン34、コイルスプリング39、受圧室40によってロック機構が構成されている。尚、図中60はロックピン34が後退移動する際の空気抜き用の溝であり、フロントカバー7のボルト挿通孔17に連通されている。
前記油圧回路4は、図1〜図3に示すように進角側油圧室32に対して油圧を給排する第1油圧通路41と、遅角側油圧室33に対して油圧を給排する第2油圧通路42との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路41,42には、供給通路43とドレン通路44とが夫々通路切替用の電磁切替弁45を介して接続されている。前記供給通路43には、オイルパン46内の油を圧送するオイルポンプ47が設けられている一方、ドレン通路44の下流端がオイルパン46に連通している。
前記第1油圧通路41は、シリンダヘッド22内からカムシャフト2の軸心内部に形成された第1通路部41aと、固定ボルト26の内部軸線方向を通って頭部26a内で分岐形成されて第1通路部41aと連通する第1油路41bと、該頭部26aの小径な外周面とベーン3の基部27内のボルト挿通孔27aの内周面との間に形成されて第1油路41bに連通する油室41cと、ベーン3の基部27内にほぼ放射状に形成されて油室41cと各進角側油圧室32に連通する4本の分岐路41dとから構成されている。
一方、第2油圧通路42は、シリンダヘッド22内及びカムシャフト2の内部一側に形成された第2通路部42aと、前記スリーブ25の内部にほぼL字形状に折曲形成されて第2通路部42aと連通する第2油路42bと、回転部材5の嵌合孔11の外周側孔縁に形成されて第2油路42bと連通する4つの油通路溝42cと、リアカバー8の周方向の約90°の位置に形成されて、各油通路溝42cと遅角側油圧室33とを連通する4つの油孔42dとから構成されている。
前記電磁切替弁45は、4ポート2位置型であって、内部の弁体が各油圧通路41,42と供給通路43及びドレン通路44とを相対的に切り替え制御するようになっていると共に、コントローラ48からの制御信号によって切り替え作動されるようになっている。コントローラ48は、機関回転数を検出するクランク角センサや吸入空気量を検出するエアフローメータからの信号によって現在の運転状態を検出すると共に、クランク角及びカム角センサからの信号によってタイミングプーリ1とカムシャフト2との相対回動位置を検出している。
以下、本実施形態の作用を説明する。まず、機関始動時及びアイドリング運転時には、コントローラ48から制御信号が出力された電磁切替弁48が供給通路43と第2油圧通路42を連通させると共に、ドレン通路44と第1油圧通路41とを連通させる。このため、オイルポンプ47から圧送された油圧は第2油圧通路42(油通路溝42c→油孔42d)を通って遅角側油圧室33に供給される一方、進角側油圧室32には、機関停止時と同じく油圧が供給されず低圧状態を維持している。したがって、ベーン3は、図2に示すように各羽根部28が進角側油圧室32側の各隔壁部13の一側面に当接した状態になる。したがって、タイミングプーリ1とカムシャフト2との相対回動位置から一方側(遅角側)に保持されて、吸気弁の開閉時期を遅角側に制御する。これによって、慣性吸気の利用による燃焼効率が向上して機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
一方、この運転状態における遅角側油圧室33内の油圧は、今まだ十分に高くならずに比較的低い状態になっているため、ベーン3は図示の位置に保持されるもののロックピン34は、図5に示すように、通孔36から受圧室40へ供給される油圧よりもコイルスプリング39のばね力が打ち勝って係合部34aがリアプレート8の係合穴21内に係合した状態を維持する。したがって、ベーン3は、当該遅角側の位置に安定かつ確実に保持されて、遅角側油圧室33内の油圧の変動やカムシャフト2に発生する正負の変動トルクによる揺動振動の発生を防止でき、ひいては、ベーン3と隔壁部13との衝突音を防止できる。
また、車両が走行を開始して所定の低回転低負荷域に移行すると、電磁切替弁45は現状の作動状態を維持し、遅角側油圧室33内の油圧が高くなると、つまり変動トルクの平均値P3よりも大きな油圧になると、同じく受圧室40内の油圧も高くなってロックピン34はコイルスプリング39を圧縮変形させながらばね力に抗して後退動し、係合部34aが係合穴21から抜け出して係合が解除される。このため、ベーン3は、自由な回動が許容されることになるが、遅角側油圧室33内の油圧が高くなっているので、図2に示す位置に安定に保持される。
その後、機関が中回転中負荷域に移行すると、コントローラ48からの制御信号によって電磁切替弁45が作動して、供給通路43と第1油圧通路41を連通させる一方、ドレン通路44と第2油圧通路42を連通させる。したがって、今度は遅角側油圧室33内の油圧が第2油圧通路42を通ってドレン通路44からオイルパン46内に戻されて遅角側油圧室33内が低圧になる一方、進角側油圧室32内に油圧が第1油路41a→41b→分岐路41dを経由して供給されて高圧となる。このため、ベーン3は図2に示す位置から時計方向に回転して各羽根部28が反対側(遅角側油圧室側)の各隔壁部13の他側面に当接する位置まで最大に回転する。尚、この遅角側から進角側へ切り換えられた時点では、遅角側油圧室33の油圧が排出されて低圧になるものの、ベーン3の回転に伴って該遅角側油圧室33内の油圧が押圧されて該油圧も比較的高くなっているため、受圧室40内も高油圧に維持され、したがって、ロックピン34は、図4に示すように、コイルスプリング39のばね力に抗して後退位置に保持された状態になっている。したがって、ベーン3は、自由な回転が規制されることなく、遅角側油圧室33方向へ速やかに回転する。
したがって、タイミングプーリ1とカムシャフト2とは、他方側へ相対回動して吸気弁の開閉時期を進角側へ制御する。これによって、機関のポンプ損失が低減して出力の向上が図れる。
さらに、機関高回転高負荷域に移行すると、電磁切替弁45が作動してアイドリングなどと同じように供給通路43と第2油圧通路42,ドレン通路44と第1油圧通路41とを夫々連通させて、進角側油圧室32を低圧、遅角側油圧室33を高圧にするため、ベーン3は、図2に示すように反時計方向へ回動して、タイミングプーリ1とカムシャフト2とを一方側へ相対回動させ、吸気弁の開閉時期を遅角側へ制御する。これによって、吸気充填効率の向上による出力の向上が図れる。
尚、機関停止時には、アイドリング運転等を経るためベーン3は、進角側油圧室32方向へ回転して図2に示す状態となり、ロックピン34の係合部34bがコイルスプリング39のばね力で係合孔21に係合する。また、万一アイドリング運転等を経ないで機関が停止しても、カムシャフト2に発生する変動トルクによりベーン3が進角側油圧室32方向へ回動して、ロックピン34が係合穴21に係合する。
また、各油圧室32,33には、機関の運転状態に応じて油圧を適宜給排することによりベーン3を所望の中間位置に保持することも可能である。
このように、本実施形態によれば、各油圧室32,33への油圧の給排制御によって吸気弁の開閉時期を可変制御できることは勿論のこと、ロック機構のコイルスプリング39のばね力を前述のように特異な設定値としたため、ロック解除初期における変動トルクによるベーン3の振動が抑制されて、隔壁部13との振動打音の発生が防止されると共に、ベーン3等の耐久性の向上が図れる。
本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えばロック機構の受圧室40に供給される油圧を遅角側油圧室33からではなく、これらとは独立した油圧回路を利用することも可能である。
本発明の第1の実施形態を示す図2のA−A線断面図。 図1のB−B線断面図。 本実施形態の分解斜視図。 ロック機構のロック状態を示す断面図。 ロック機構のロック解除状態を示す断面図。 カムシャフトに発生する交番変動トルクの特性図。
符号の説明
1…タイミングプーリ(回転体)
2…カムシャフト
3…ベーン
3a,3b…端面
4…油圧回路
5…回転部材
6…ハウジング
6a…内周面
7…フロントカバー
7a…内端面
8…リアカバー
8b…内端面
13…隔壁部
21…係合穴
27…基部
28…羽根部
32…進角側油圧室
33…遅角側油圧室
34…ロックピン
35…摺動用孔
39…コイルスプリング(ばね部材)
40…受圧室

Claims (1)

  1. 機関のクランクシャフトによって回転駆動する回転体と、
    該回転体と相対回動可能なカムシャフトと、
    該カムシャフトの端部に固定されて、前記回転体のハウジング内を摺動回転するベーンと、
    前記ハウジングの一端開口を閉塞する蓋体と、
    前記ハウジングの内周面に内方へ突設された複数の隔壁部と、
    該隔壁部と前記ベーンの両側面との間に画成された遅角側油圧室及び進角側油圧室と、
    該両油圧室に相対的に油圧を給排して前記ベーンを正逆回転させる油圧回路と、
    前記各油圧室にそれぞれ接続された油圧回路の2系統の油圧通路を機関運転状態に応じて切り替え制御する制御弁と、
    前記油圧回路を介して供給された油圧によって前記回転体とベーンとの相対回転をロックあるいはロックを解除するロック機構とを備えたバルブタイミング制御装置において、
    前記ロック機構は、機関始動時における前記ベーンに作用する正負の回転変動トルクの平均値から最大トルク値までの範囲内のトルク値に等しい油圧が作用したときにロックを解除するようにしたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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