JP2005207282A - 圧縮機およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】裏当て部材を容器本体の内側に確実に装着でき、かつ、製造コストを低減できる圧縮機の製造方法を提供すること。
【解決手段】圧縮機の製造方法は、容器本体12Aに電動要素14および回転圧縮機構部18を収納する手順と、スリット71が形成された断面略C字形状でかつ外径寸法が容器本体12Aの開口12Cの内径寸法よりも大きい裏当て部材70を、弾性変形させて開口12Cに嵌め込むことにより、容器本体12Aの開口12Cの辺縁の内側に、裏当て部材70を装着する手順と、容器本体12Aの開口12Cをエンドキャップ12Bで閉塞する手順と、容器本体12Aとエンドキャップ12Bとを溶接する手順と、を備え、溶接する手順では、スリット71に対応した位置から溶接を開始、あるいは、スリット71に対応した位置で溶接を終了する。
【選択図】 図1
【解決手段】圧縮機の製造方法は、容器本体12Aに電動要素14および回転圧縮機構部18を収納する手順と、スリット71が形成された断面略C字形状でかつ外径寸法が容器本体12Aの開口12Cの内径寸法よりも大きい裏当て部材70を、弾性変形させて開口12Cに嵌め込むことにより、容器本体12Aの開口12Cの辺縁の内側に、裏当て部材70を装着する手順と、容器本体12Aの開口12Cをエンドキャップ12Bで閉塞する手順と、容器本体12Aとエンドキャップ12Bとを溶接する手順と、を備え、溶接する手順では、スリット71に対応した位置から溶接を開始、あるいは、スリット71に対応した位置で溶接を終了する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、電動要素と、この電動要素に連結された圧縮要素と、これら電動要素および圧縮要素を内部に収納する密閉容器とを備える圧縮機およびその製造方法に関する。
従来より、電動要素と、この電動要素に連結された圧縮要素と、これら電動要素および圧縮要素を内部に収納する密閉容器とを備え、電動要素で圧縮要素を駆動させることにより、導入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機が知られている。ここで、密閉容器は、開口を有する箱状の容器本体と、この容器本体の開口を閉塞する蓋部材と、を備えている。蓋部材の端縁は、容器本体の開口の辺縁の内側に位置し、この辺縁に重なり合うようになっている。
このような圧縮機は、例えば、電気自動車(HEVやPEV等)のエンジンルームに搭載されて、カーエアコンに用いられる。この場合、自動車の燃費向上のため、密閉容器をアルミニウムを主成分とする材料で形成して、圧縮機の軽量化が図られている(例えば、特許文献1参照)。
以上の圧縮機は、例えば、以下の手順で製造される。まず、容器本体に電動要素および圧縮要素を収納する。次に、容器本体の開口を前記蓋部材で閉塞する。続いて、容器本体と蓋部材とを外側からアーク溶接する。このとき、アーク溶接によって密閉容器の内側にスパッタが飛散するのを防止するため、密閉容器の開口の辺縁の内側に裏当て部材が設けられる。
特開2002−174179号公報
ところで、スパッタの飛散防止のためには、裏当て部材を容器本体の内側に確実に装着する必要がある。そのため、裏当て部材を高精度で加工して、圧入や焼嵌め等の工程を経る必要があり、圧縮機の製造コストが高くなっていた。
本発明の目的は、裏当て部材を容器本体の内側に確実に装着でき、かつ、製造コストを低減できる圧縮機の製造方法を提供することにある。
請求項1の発明の圧縮機の製造方法は、電動要素と、この電動要素に連結された圧縮要素と、これら電動要素および圧縮要素を内部に収納する密閉容器と、を備え、前記密閉容器は、アルミニウムを主成分とする材料で形成され、開口を有する容器本体と、この容器本体の開口を閉塞する蓋部材と、を備え、前記電動要素で前記圧縮要素を駆動させることにより、導入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機の製造方法であって、前記容器本体に前記電動要素および前記圧縮要素を収納する手順と、スリットが形成されたリング状でかつ外径寸法が前記開口の内径寸法よりも大きい裏当て部材を、弾性変形させて前記開口に嵌め込むことにより、前記容器本体の開口の辺縁の内側に、前記裏当て部材を装着する手順と、前記容器本体の開口を前記蓋部材で閉塞する手順と、前記容器本体と前記蓋部材とを溶接する手順と、を備え、前記溶接する手順では、前記スリットに対応した位置から溶接を開始、あるいは、前記スリットに対応した位置で溶接を終了することを特徴とする。
なお、容器本体と蓋部材とを、密閉容器の外周を全周に亘って溶接してもよいし(MIG溶接)、部分的に溶接してもよい(TIG溶接)。
アルミニウムを主成分とする材料は、融点が低い(約400度)ため、溶接機のワイヤの温度を徐々に上昇させながら溶接を行う。したがって、溶接開始時および溶接終了時は、ワイヤの温度が低いため、母材の溶込みが浅く、裏当て部材を必要としない。一方、溶接途中では、母材が十分に溶込むため、裏当て部材が必要となる。
そこで、請求項1の発明によれば、スリットが形成されたリング状でかつ外径寸法が開口の内径寸法よりも大きい裏当て部材を、弾性変形させて容器本体の開口に嵌め込む。これにより、裏当て部材は、弾性復元力によって、容器本体の開口の辺縁の内側に密着する。したがって、裏当て部材を容器本体に容易かつ確実に装着できる。その結果、カーエアコンの運転により圧縮機に微振動が加わっても、裏当て部材が容器本体に密着しているため、この微振動による裏当て部材のがたつきを確実に防止できる。
また、裏当て部材をC字形状とするだけでよいので、すなわち、リングにスリットを形成するだけでよいので、裏当て部材を高精度で加工する必要がなく、圧縮機の製造コストを低減できる。また、スリットに対応した位置から溶接を開始、あるいは、スリットに対応した位置で溶接を終了したので、溶接開始部分あるいは終了部分での熱容量の低減効果により、溶け込み性を向上でき、母材が十分に溶込む溶接途中では、確実に裏当てすることができる。
請求項2の発明の圧縮機の製造方法は、前記密閉容器は、Alを主成分とし、Siを1重量%以上12重量%以下、Mgを2重量%以下、Cuを5重量%以下含有する材料で形成され、T6処理がされていることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、密閉容器を、Alを主成分とし、Siを1重量%以上12重量%以下、Mgを2重量%以下、Cuを5重量%以下含有する材料で形成し、T6処理を行ったので、密閉容器の剛性を向上できる。したがって、裏当て部材をさらに確実に容器本体に装着できるうえに、裏当て部材のがたつきをさらに確実に防止できる。
請求項3の発明の圧縮機の製造方法は、前記スリットの幅を、5mm以上とすることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、スリットの幅を5mm以上としたので、裏当て部材を大きく弾性変形させることができるから、裏当て部材をさらに確実に容器本体に装着できるうえに、裏当て部材のがたつきをさらに確実に防止できる。
請求項4の発明の圧縮機の製造方法は、前記スリットの幅を、前記裏当て部材の中心に対して5°以上とすることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、スリットの幅を裏当て部材の中心に対して5°以上としたので、裏当て部材を大きく弾性変形させることができるから、裏当て部材をさらに確実に容器本体に装着できるうえに、裏当て部材のがたつきをさらに確実に防止できる。
請求項5の発明の圧縮機は、電動要素と、この電動要素に連結された圧縮要素と、これら電動要素および圧縮要素を内部に収納する密閉容器と、を備え、前記密閉容器は、アルミニウムを主成分とする材料で形成され、開口を有する容器本体と、この容器本体の開口を閉塞する蓋部材と、を備え、前記電動要素で前記圧縮要素を駆動させることにより、導入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機であって、前記容器本体の開口の辺縁の内側に、スリットが形成されたリング状の裏当て部材が装着されていることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、請求項1と同様の効果がある。
本発明の圧縮機およびその製造方法によれば、次のような効果が得られる。裏当て部材は、弾性復元力によって、容器本体の開口の辺縁の内側に密着する。したがって、裏当て部材を容器本体に容易かつ確実に装着できる。その結果、カーエアコンの運転により圧縮機に微振動が加わっても、裏当て部材が容器本体に密着しているため、この微振動による裏当て部材のがたつきを確実に防止できる。また、裏当て部材をC字形状とするだけでよいので、すなわち、リングにスリットを形成するだけでよいので、裏当て部材を高精度で加工する必要がなく、圧縮機の製造コストを低減できる。また、スリットに対応した位置から溶接を開始、あるいは、スリットに対応した位置で溶接を終了したので、母材が十分に溶込む溶接途中では、確実に裏当てすることができる。
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る第1回転圧縮要素32および第2回転圧縮要素34を備えた内部中間圧型多段(2段)圧縮式の圧縮機としてのロータリコンプレッサ10の縦断面図である。
ロータリコンプレッサ10は、例えば電気自動車(HEVやPEV)などの車両のエンジンルームに搭載され、二酸化炭素(CO2)を冷媒として使用する内部中間圧型多段圧縮式のロータリコンプレッサである。このロータリコンプレッサ10は、円筒状の密閉容器12と、この密閉容器12の内部空間の上側に収納された電動要素14と、この密閉容器12の内部空間の下側に収納され電動要素14に連結された圧縮要素としての回転圧縮機構部18と、で構成されている。
前記電動要素14は、密閉容器12の上部空間の内周面に沿って環状に形成されたステータ22と、このステータ22の内側に若干の間隙(エアギャップ)を介して回転可能に設けられたロータ24とを備える。
ステータ22は、ドーナッツ状の電磁鋼板が積層された積層体26と、この積層体26の歯部に直巻き(集中巻き)方式により巻装されたステータコイル28と、を有している。また、ロータ24は、回転中心を通る回転軸16と、ステータ22と同様に電磁鋼板が積層された積層体30と、この積層体30内に配置された永久磁石MGと、を有する。
一方、回転圧縮機構部18は、電動要素14により駆動される第1回転圧縮要素32(1段目)および第2回転圧縮要素34(2段目)と、第2回転圧縮要素34の上側に配置された上部支持部材54および上部カバー66と、第1回転圧縮要素32と第2回転圧縮要素34との間に配置された中間仕切板36と、第1回転圧縮要素32の下側に配置されて回転軸16の軸受けを兼用する下部支持部材56および下部カバー68と、を備えている。ここで、第2回転圧縮要素34の排除容積は、第1回転圧縮要素32の排除容積よりも小さい。
第2回転圧縮要素34は、図2にも示すように、上シリンダ38と、この上シリンダ38内に配置されて回転軸16に固定された上偏心部42と、この上偏心部42に嵌合された上ローラ46と、この上ローラ46に当接して上シリンダ38内を低圧側と高圧側に区画する上ベーン50と、を備えている。
上シリンダ38には、低圧側と上部支持部材54の後述する吸込通路とを連通する吸込ポート161と、高圧側と上部支持部材54の後述する吐出消音室62とを連通する吐出ポート39とが形成されている。また、上シリンダ38には、吸込ポート161には、中間仕切板36の後述する連通孔131に接続される連通孔134が形成されており、この連通孔134を通して、オイルが供給される。
この第2回転圧縮要素34によれば、まず、吸込ポート161を通って低圧側に冷媒ガスが吸入される。そして、上偏心部42および上ローラ46が偏心回転することにより、上シリンダ38内の冷媒ガスが吸入された空間が縮小される。その結果、冷媒ガスは、圧縮されて高圧となり、高圧側から吐出ポート39を通って吐出される。
図1に戻って、上部支持部材54は、上シリンダ38の吸込ポート161に接続された吸込通路と、上側に凹陥して形成されて上シリンダ38の吐出ポート39(図2参照)に接続された吐出消音室62と、を備えている。なお、上部支持部材54には、吐出ポート39を開閉する吐出弁が設けられている。
上部支持部材54の中央には、軸受け54Aが起立形成されており、この軸受け54A内面には、筒状のブッシュ122が装着されている。ブッシュ122は、摺動性の良い材料で形成されている。
上部カバー66は、略ドーナッツ状の円形鋼板で形成されており、上部支持部材54の軸受け54Aが貫通する。この上部カバー66は、上部支持部材54の吐出消音室62を閉塞する。これにより、吐出消音室62と密閉容器12内の電動要素14側とは、仕切られている。また、上部カバー66は、密閉容器12の内周面に当接し、密閉容器12に溶接で固定されている。
第1回転圧縮要素32は、第2回転圧縮要素34と同様の構成であり、下シリンダ40と、この下シリンダ40内に上偏心部42に対して180度の位相差で回転軸16に固定された下偏心部44と、この下偏心部44に嵌合された下ローラ48と、この下ローラ48に当接して下シリンダ40内を低圧側と高圧側に区画する図示しない下ベーンと、を備えている。
下シリンダ40には、低圧側と下部支持部材56の後述する吸込通路60とを連通する図示しない吸込ポートと、高圧側と下部支持部材56の後述する吐出消音室64とを連通する図示しない吐出ポートとが形成されている。
この第1回転圧縮要素32によれば、まず、吸込みポートを通って低圧側に冷媒ガスが吸入される。そして、下偏心部44および下ローラ48が偏心回転することにより、下シリンダ40内の冷媒ガスが吸入された空間が縮小される。その結果、冷媒ガスは、圧縮されて高圧となり、高圧側から吐出ポートを通って吐出される。
下部支持部材56は、下シリンダ40の吸込ポートに接続された吸込通路60と、下側に凹陥して形成されて下シリンダ40の吐出ポートに接続された吐出消音室64と、を備えている。なお、下部支持部材56には、吐出ポートを開閉する吐出弁が設けられている。
下部支持部材56の中央には、軸受け56Aが貫通形成されており、この軸受け56A内面にも、筒状のブッシュ123が装着されている。ブッシュ123は、ブッシュ122と同様に、摺動性の良い材料で形成されている。これにより、回転軸16はブッシュ122、123を介して、上部支持部材54の軸受け54Aと下部支持部材56の軸受け56Aに保持される。
下部カバー68は、下部支持部材56の吐出消音室64を閉塞する。下部カバー68は、ドーナッツ状の円形鋼板で形成されており、下部支持部材56に固定される。また、下部カバー68の内周縁は、下部支持部材56の軸受け56A内面より内方に突出し、これによって、ブッシュ123の下端面は、下部カバー68によって保持される。
上下シリンダ38、40、中間仕切板36、上下部支持部材54、56、および上下部カバー66、68は、それぞれ、4本の主ボルト128および主ボルト129で上下から締結される。すなわち、主ボルト128は、上部カバー66側から挿入されて、その先端が下部支持部材56に螺合される。主ボルト129は、下部カバー68側から挿入されて、その先端が上部支持部材54に螺合される。
中間仕切板36は略ドーナツ形状であり、その内周面側は、上下偏心部42、44の外周面に連通している。この中間仕切板36内には、内周面から外周面に向かって延びる連通孔131が設けられており、この連通孔131は、上シリンダ38の連通孔134に接続されている。
また、下部支持部材56、上下シリンダ38、40、上部支持部材54、上部カバー66、および中間仕切板36には、下部支持部材56の吐出消音室64と密閉容器12内の上部カバー66の上側の空間とを連通する連通路が貫通して形成されている。連通路の上端には、図示しない中間吐出管が立設されており、この中間吐出管は、電動要素14のステータ22に巻装された互いに隣接するステータコイル28同士の隙間に向かって延びている。これにより、比較的温度の低い冷媒ガスを電動要素14に積極的に供給して、電動要素14の温度上昇を抑制できる。
回転軸16内には、軸方向に沿って延びるオイル孔80と、このオイル孔80の途中から分岐して軸方向に交差する方向に延びる給油孔82、84とが形成されている。この給油孔82、84は、回転圧縮要素32、34の上下偏心部42、44の外周面まで延びている。
回転軸16の下端部には、オイルポンプ99が設けられている。オイルポンプ99は、密閉容器12内底部のオイル溜から、オイルを汲み上げる。汲み上げられたオイルは、オイル孔80を上昇し、給油孔82、84を通って、上下偏心部42、44、第1回転圧縮要素32、および第2回転圧縮要素34の摺動部分に供給される。これにより、上下偏心部42、44、第1回転圧縮要素32、および第2回転圧縮要素34の磨耗の防止やシールが図られている。
具体的には、後述するように、密閉容器12内は中間圧になり、上シリンダ38内よりも低圧になる。しかしながら、オイルは、密閉容器12内底部のオイル溜から汲み上げられて、オイル孔80を上昇し、給油孔82、84、中間仕切板36の連通孔131、および上シリンダ38の連通孔134を通って、上シリンダ38の吸込ポート161に供給される。
冷媒としては、可燃性および毒性等を考慮して、地球環境にやさしい自然冷媒である炭酸ガス、ここでは前記二酸化炭素(CO2)が用いられる。また、オイル(潤滑油)としては、既存のオイル、例えば、鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油、または、PAG(ポリアルキレングリコール)が用いられる。
密閉容器12は、Alを主成分とし、Siを1重量%以上12重量%以下、Mgを2重量%以下、Cuを5重量%以下含有する材料で形成され、T6処理がされている。
密閉容器12は、上端面に開口12Cが形成されて下端面が閉塞された略円筒状の容器本体12Aと、この容器本体12Aの開口12Cを閉塞する略円盤状の蓋部材としてのエンドキャップ12Bとを含んで構成される。容器本体12A内には、電動要素14や回転圧縮機構部18が収納される。
容器本体12Aの外周面のうち、開口12C側と、後述する冷媒導入管94および冷媒吐出管96が接続される下端面側とは、肉厚に形成されている。また、開口12Cの辺縁は、薄肉に形成されている。
エンドキャップ12Bの中央部分は肉厚となっており、この中央部分に円形の取付孔12Dが形成されている。エンドキャップ12Bには、この取付孔12Dを閉塞する円盤状のターミナル20がボルト固定されている。ターミナル20には、電動要素14に電力を供給するための電気的端子139(配線を省略)が貫通固定されている。また、このエンドキャップ12Bの端縁は、容器本体12Aの開口12Cの辺縁の内側に延びる取付部20Bが形成されている。
また、このエンドキャップ12Bの取付部20Bの内側には、裏当て部材70が装着されている。裏当て部材70は、図3に示すように、短い円筒形状であり、軸方向に平行にスリット71が形成されて、断面略C字形状となっている。裏当て部材70の装着前の外径寸法は、開口12Cの内径寸法よりも大きく、スリット71の幅Wは5mm以上、または、中心に対する角度θは5°以上である。
図1に戻って、密閉容器12の容器本体12Aの外面には、冷媒導入孔94Aおよび冷媒吐出孔96Aが形成されている。冷媒導入孔94Aには連通管94Bが嵌め込まれ、この連通管94Bを介して、冷媒導入管94が下部支持部材56の吸込通路60に接続されている。冷媒吐出孔96Aには連通管96Bが嵌め込まれ、この連通管96Bを介して、冷媒吐出管96が上部支持部材54の吐出消音室62に接続されている。なお、冷媒導入孔94Aおよび冷媒吐出孔96Aは、略対角線上に位置している。
また、密閉容器12には、冷媒導入管94の上に位置し上下方向に延びる冷媒導入部92が設けられている。この冷媒導入部92は、上部支持部材54の吸込通路と密閉容器12内の電動要素14側とを連通する。
冷媒導入部92は、容器本体12Aの一部である肉厚部13Bと、この肉厚部13Bの外側に取り付けられた蓋部材112と、を含んで構成される。この肉厚部13Bには、上側に位置する連通孔91Aと、下側に位置する連通孔93Aと、この連通孔91Aから連通孔93Aに至る断面半円弧状の溝とが形成されている。連通孔91Aには、連通管91Bが嵌め込まれ、連通孔93Aには、連通管93Bが嵌め込まれる。一方、蓋部材112には、肉厚部13Bの溝に対向する面に断面半円弧状の溝が形成されている。これら肉厚部13Bおよび蓋部材112は、パッキン114を介して互いにボルト接合されている。
これらのボルトの締め付け強度は、所定の値に設定されている。
これらのボルトの締め付け強度は、所定の値に設定されている。
以上のロータリコンプレッサ10は、以下の手順で組み立てられる。(ST1)容器本体12Aに電動要素14および回転圧縮機構部18を焼嵌めする。具体的には、まず、電動要素14および回転圧縮機構部18をそれぞれ組み立てておき、電動要素の回転軸16に回転圧縮機構部18を取り付けて、電動要素14および回転圧縮機構部18を一体化する。
次に、容器本体12Aを加熱し、この加熱した容器本体12A内に、一体化した電動要素14および回転圧縮機構部18を挿入する。このとき、上部支持部材54の吐出消音室62が冷媒吐出孔96Aに、上部支持部材54の吸込通路が連通孔93Aに、下部支持部材56の吸込通路60が冷媒導入孔94Aに、それぞれ対応するように配置する。その後、容器本体12Aを冷却することにより、電動要素14のステータ22、上部支持部材54、および下部支持部材56の外周面を、容器本体12Aの内周面で保持する。
(ST2)エンドキャップ12Bの取付部20Bの内側に、裏当て部材70を装着する。裏当て部材70の装着前の外径寸法は、開口12Cの内径寸法よりも大きいが、この裏当て部材を弾性変形させて、スリット71の幅を狭めることにより、外径寸法を小さくする。この状態で、裏当て部材70を開口12Cに嵌め込むことにより、容器本体12Aの開口12Cの辺縁の内側に装着する。
(ST3)容器本体12Aの開口12Cをエンドキャップ12Bで閉塞し、容器本体12Aの開口12Cの辺縁の薄肉部分とエンドキャップ12Bとを溶接する。このとき、裏当て部材70のスリット71に対応した位置から溶接を開始、あるいは、スリット71に対応した位置で溶接を終了する。なお、この溶接は、容器本体12Aの外周を全周に亘って溶接してもよいし(MIG溶接)、部分的に溶接してもよい(TIG溶接)。
次に、ロータリコンプレッサ10の動作を説明する。まず、ターミナル20および図示されない配線を介して、電動要素14のステータコイル28に通電すると、電動要素14が起動してロータ24が回転する。これにより、回転軸16および上下偏心部42、44を介して、回転圧縮要素32、34の上下ローラ46、48が上下シリンダ38、40内を偏心回転する。
すると、冷媒導入管94内の低圧(1段目吸入圧LP:4MPaG)の冷媒ガスは、ロータリコンプレッサ10に吸入される。具体的には、冷媒ガスは、下部支持部材56の吸込通路60および第1回転圧縮要素32の下シリンダ40の吸込ポートを経由して、第1回転圧縮要素32の低圧側に吸入される。この吸入された低圧の冷媒ガスは、第1回転圧縮要素32の下ローラ48および下ベーンの動作により圧縮されて、中間圧(1段目吐出圧MP1:8MPaG)の冷媒ガスとなる。この中間圧の冷媒ガスは、第1回転圧縮要素32の高圧室側より、下シリンダ40の吐出ポート、下部支持部材56の吐出消音室64、連通路、および中間吐出管を経て、密閉容器12内に吐出される。
密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスは、冷媒導入部92、上部支持部材54の吸込通路および第2回転圧縮要素34の上シリンダ38の吸込ポート161を経由して、第2回転圧縮要素34の低圧側に吸入される(2段目吸入圧MP2:8MPaG)。この吸入された中間圧の冷媒ガスは、第2回転圧縮要素34の上ローラ46と上ベーン50の動作によりさらに圧縮されて、高温高圧(2段目吐出圧HP:12MPaG)の冷媒ガスとなる。この高圧の冷媒ガスは、第2回転圧縮要素34の高圧室側より、上シリンダ38の吐出ポート39および上部支持部材54の吐出消音室62を経由して、冷媒吐出管96に吐出される。
なお、密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスの圧力が所定値まで上昇すると、この冷媒ガスの圧力により、蓋部材112と肉厚部13Bとを連結するボルトが変形し、蓋部材112と肉厚部13Bとの間に隙間が生じる。そして、この隙間から密閉容器12内の冷媒ガスが外部に流出する。したがって、コンプレッサ10の耐久性、信頼性を向上できる。
本実施形態によれば以下の効果がある。スリット71が形成されたリング状でかつ外径寸法が開口12Cの内径寸法よりも大きい裏当て部材70を、弾性変形させて容器本体12Aの開口12Cに嵌め込む。これにより、裏当て部材70は、弾性復元力によって、容器本体12Aの開口12Cの辺縁の内側に密着する。したがって、裏当て部材70を容器本体12Aに容易かつ確実に装着できる。その結果、カーエアコンの運転によりロータリコンプレッサ10に微振動が加わっても、裏当て部材70が容器本体12Aに密着しているため、この微振動による裏当て部材70のがたつきを確実に防止して、異音の発生を防止できる。
また、裏当て部材70にスリット71を形成するだけでよいので、裏当て部材70を高精度で加工する必要がなく、ロータリコンプレッサ10の製造コストを低減できる。また、スリット71に対応した位置から溶接を開始、あるいは、スリット71に対応した位置で溶接を終了したので、母材が十分に溶込む溶接途中では、確実に裏当てすることができる。
また、密閉容器12を、Alを主成分とし、Siを1重量%以上12重量%以下、Mgを2重量%以下、Cuを5重量%以下含有する材料で形成し、T6処理を行ったので、密閉容器12の剛性を向上できる。したがって、裏当て部材70をさらに確実に容器本体12Aに装着できるうえに、裏当て部材70のがたつきをさらに確実に防止できる。
また、スリット71の幅を5mm以上、または、裏当て部材70の中心に対して5°以上としたので、裏当て部材70を大きく弾性変形させることができるから、裏当て部材70をさらに確実に容器本体12Aに装着できるうえに、裏当て部材70のがたつきをさらに確実に防止できる。
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、前記実施形態では、裏当て部材70のスリット71を、軸方向と平行に形成したが、これに限らず、図4に示すように、裏当て部材70Aのスリット71Aを軸方向に対して斜めに形成してもよい。
また、裏当て部材70Bのスリット71Bを階段状としてもよい。すなわち、スリット71の対向する2辺に、それぞれ段差72を設けて、互いに当接させる。このとき、段差72の当接面73は、軸方向に直交する方向に延びている。このようにすれば、裏当て部材70Bを弾性変形させると、段差72の当接面73が摺動しながらスリット71の幅が狭まるため、裏当て部材70Bが軸方向に変形するのを防止できる。
また、前記各実施形態では、ロータリコンプレッサ10を2段圧縮式としたが、これに限らない。すなわち、ロータリコンプレッサを単段(1段)圧縮式や3段以上の圧縮式としてもよい。単段圧縮式のロータリコンプレッサは、例えば、外部から冷媒を導入し、この導入した冷媒を圧縮要素で圧縮して密閉容器内に吐出し、この密閉容器から外部に冷媒を吐出する構成である。
10 ロータリコンプレッサ(圧縮機)
12B エンドキャップ(蓋部材)
12C 開口
12 密閉容器
12A 容器本体
14 電動要素
16 回転軸
18 回転圧縮機構部(圧縮要素)
70,70A,70B 裏当て部材
71,71A,71B スリット
12B エンドキャップ(蓋部材)
12C 開口
12 密閉容器
12A 容器本体
14 電動要素
16 回転軸
18 回転圧縮機構部(圧縮要素)
70,70A,70B 裏当て部材
71,71A,71B スリット
Claims (5)
- 電動要素と、この電動要素に連結された圧縮要素と、これら電動要素および圧縮要素を内部に収納する密閉容器と、を備え、前記密閉容器は、アルミニウムを主成分とする材料で形成され、開口を有する容器本体と、この容器本体の開口を閉塞する蓋部材と、を備え、前記電動要素で前記圧縮要素を駆動させることにより、導入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機の製造方法であって、
前記容器本体に前記電動要素および前記圧縮要素を収納する手順と、
スリットが形成されたリング状でかつ外径寸法が前記開口の内径寸法よりも大きい裏当て部材を、弾性変形させて前記開口に嵌め込むことにより、前記容器本体の開口の辺縁の内側に、前記裏当て部材を装着する手順と、
前記容器本体の開口を前記蓋部材で閉塞する手順と、
前記容器本体と前記蓋部材とを溶接する手順と、を備え、
前記溶接する手順では、前記スリットに対応した位置から溶接を開始、あるいは、前記スリットに対応した位置で溶接を終了することを特徴とする圧縮機の製造方法。 - 前記密閉容器は、Alを主成分とし、Siを1重量%以上12重量%以下、Mgを2重量%以下、Cuを5重量%以下含有する材料で形成され、T6処理がされていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の製造方法。
- 前記スリットの幅を、5mm以上とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の圧縮機の製造方法。
- 前記スリットの幅を、前記裏当て部材の中心に対して5°以上とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の圧縮機の製造方法。
- 電動要素と、この電動要素に連結された圧縮要素と、これら電動要素および圧縮要素を内部に収納する密閉容器と、を備え、前記密閉容器は、アルミニウムを主成分とする材料で形成され、開口を有する容器本体と、この容器本体の開口を閉塞する蓋部材と、を備え、前記電動要素で前記圧縮要素を駆動させることにより、導入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機であって、
前記容器本体の開口の辺縁の内側に、スリットが形成されたリング状の裏当て部材が装着されていることを特徴とする圧縮機。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004013512A JP2005207282A (ja) | 2004-01-21 | 2004-01-21 | 圧縮機およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115243821A (zh) * | 2020-02-28 | 2022-10-25 | 三菱电机株式会社 | 密闭型压缩机的制造方法 |
-
2004
- 2004-01-21 JP JP2004013512A patent/JP2005207282A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115243821A (zh) * | 2020-02-28 | 2022-10-25 | 三菱电机株式会社 | 密闭型压缩机的制造方法 |
CN115243821B (zh) * | 2020-02-28 | 2023-09-22 | 三菱电机株式会社 | 密闭型压缩机的制造方法 |
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