JP2005206036A - 車両の運動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】散布物を散布する方式の摩擦力付加手段を用いた場合に、タンク容量を必要以上大きくせずに緊急度合いに応じて摩擦効果を大とし、緊急度合いが小さい場合は経済性又は作動可能時間増とするように選択的に散布物の散布量を制御することを可能とする車両の運動制御装置を得ることである。
【解決手段】車両の運動制御装置はスリップ防止粒子のような散布物12を散布して摩擦力を増大させる摩擦力付加手段10を備え、第1の制動装置であるブレーキ装置1のマスタシリンダMCの圧力センサ21からの信号を制御部20へ送り、MC圧力PMCの値からMC圧力変化速度DPMCを演算により得、その後の演算タイミングを走行中の信号から得ると、緊急状態の判断をし、緊急状態であると判断されると緊急状態の時間に応じて緊急度合いを判定し、その判定に対応する信号を摩擦力付加手段10のアクチュエータ13に送り、散布量の増減を制御するように構成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両の走行中にブレーキ制動すべき状況の緊急度に応じて摩擦力付加手段による散布物の散布量を調整して運動を制御する車両の運動制御装置に関する。
車両の走行を安全に、スムーズに行なうためドライバーは、道路のカーブに沿って又は交差点等でハンドルを切って曲る際にブレーキペダルを踏込んで車両が不安定にならないように運転することは勿論であるが、このような通常のブレーキ制動以外にも、人や動物が道路に飛び出したり、あるいは交差点の赤信号に気付くのが遅れたり、さらには外部の特定の人や建物に気付いた場合に緊急にブレーキ制動して車両の走行を停止したい場合がある。しかし、その緊急度の度合いはそれぞれの状況に応じて種々異なる。
このようないずれかの緊急時に急ブレーキを作動させる場合、ブレーキペダルの踏込量に対する液圧を通常時よりも多くブレーキシリンダへ送り、車輪の回転に制動をかけるブレーキアシスト(以下BAと略記)というシステムが利用されることがある。しかしBAではあくまでその時の路面とタイヤ間の摩擦力の範囲内でしか止まれないため、特に凍結路のような摩擦係数μの低い路面や水で濡れた路面あるいは砂利を含む中μ路以下の路面では、有効な制動ができない場合が多い。
又、路面の摩擦係数μはアスファルト路面のような一般に想定されている路面であっても、急激なブレーキペダル踏込による急制動時、あるいは急発進時に車輪の回転が車体の動きと大きく異なる場合に生じるタイヤスリップを回避するためのABS制御システム、あるいはTRC(トラクション)制御システムが普及しつつあるが、このようなシステムもあくまでその時のタイヤと路面間の摩擦係数μの範囲内での制御であるため、上記のような低又は中以下のμ路面では、ABS、TRC制御システムを備えていても緊急時の急ブレーキ制動が有効に働かない場合がある。
このようなμの値が小さい路面では、通常のブレーキ制動が有効に働かない場合があるため、タイヤと路面間の摩擦係数μを増大させる対策の1つとして特許文献1の公報により「車両のスリップ防止補助装置」が提案されている。この公報による装置は、スリップ防止粒子を散布する方式のスリップ防止補助装置について開示しており、砂粒や融氷剤(MCA等)などの無機物、植物の種子、食用粒、松脂粉などの有機物の粉又は粒子状物質をスリップ防止粒子として、保温手段で保温してタンクに蓄えられたこのスリップ防止粒子を水と共に圧縮エアーで散布する。その際タイヤのスリップを検出し、又タイヤと路面間の摩擦係数を推定又は検出してその値に応じた量を散布するようにしている。
しかし、上記公報による車両のスリップ防止補助装置は、凍結路のような摩擦係数μが小さい路面に対し第1の制動手段では制動不能であることを検出すると、スリップ防止剤を散布して摩擦係数μを増大させるか、又は摩擦部材を路面に係合させて付加的に車両に対して摩擦力を得るようにしたというだけであり、制動時の緊急度や散布量の増、減をどのような条件で行なうか等については考慮されていない。
散布物を散布する方式の摩擦付加部材で摩擦係数μを増大させる方法を採用した場合、一般に低μ路では、スリップ防止粒子のような散布物の散布量が多い程、路面とタイヤの摩擦力は増大するが、その分散布物を貯蔵するタンクの容量も大きくなり、搭載性や経済性が低下する。従って、タンク容量を必要以上に大きくせずに緊急度合いが高い場合は摩擦効果の増大を優先、緊急度合いが低い場合は経済性又は作動可能時間を優先するよう選択的に制御するのが望ましいが、上述した先行の特許文献等ではこのような提案はされたことがない。
特開平8−25905号公報
この発明は、上記の問題に留意して、散布物を散布する方式の摩擦力付加手段を用いた場合に、タンク容量を必要以上に大きくせずに緊急度合いに応じて摩擦効果を大とし、緊急度合いが小さい場合は経済性又は作動可能時間増とするように選択的に散布物の散布量を制御することを可能とする車両の運動制御装置を提供することを課題とする。
この発明は、上記の課題を解決する手段として、散布物を散布する作動部材をアクチュエータにより駆動して車輪の対路面への摩擦力を増大させる摩擦力付加手段を備え、車輪を制動すべき緊急状態を検出する検出手段により緊急状態を検出すると、その緊急状態の度合いに応じて散布量の増減を制御するように構成した車両の運動制御装置としたのである。
この場合、緊急状態の度合いを演算するべきかの判断は、緊急状態の発生がドライバの制動装置の踏込みによる制動状態の変化から検出する場合と、制動装置以外の条件から緊急状態が生じていることを検出する場合とがある。制動状態の変化から緊急状態が検出される場合、そのときの緊急状態の条件によって緊急度合いがそれぞれ演算される。
この緊急度合いは、急制動の初期が最も高くなりその後低下する場合もあり、又車体速度が低速であればその速度に応じて決まる一定の度合いであることもある。前者は高、中速度で走行中に緊急状態が生じた場合であり、急制動を行なうと急速に減速されると共に一般に緊急度合いが減少すると考えられ、後者では低速走行中に緊急状態が生じると、対象との距離が短いため緊急度は高いままで緊急度合いは減少しないからである。
制動装置以外の条件から緊急状態を判断するのは、制動装置による制動条件だけでは緊急状態を判断することができず、それ以外の条件の変化によって演算すべきか否かの判断をしなければならないからである。このような条件とは、例えば後述するように前方障害物との衝突の可能性のある場合や、交差点が赤となって進入する場合、あるいはカーブした道路で車線を逸脱し、ガードレールに接触する可能性が高い場合などである。
上記いずれの場合も、緊急状態の始まりが判断されると、その後演算により緊急度合いが判定され、あるいは緊急状態の発生条件により緊急度合いが判定され、その判定に応じた緊急度の散布物の散布量が散布されることとなる。
この発明は、車両の走行中に急制動を必要とする緊急状態が生じた場合に、摩擦力付加手段による散布物の散布量を緊急度に応じて効果最大となるように散布し、かつ緊急度が低下すればその程度に応じて散布量を減少させることにより制動効果を最大とすることと、散布量を出来るだけ節約して経済性を確保するという二律背反の問題をバランスよく制御して最大の制動効果を得ることができるという利点が得られる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の車両の運動制御装置の要部構成図、図2は同装置の全体概略配置構成図である。この車両の運動制御装置Aは、摩擦力を増大させるために散布物を散布する作動部材をアクチュエータにより駆動して車輪の対路面への摩擦力を付加(増大)する摩擦力付加手段10と、ブレーキペダル2の踏込状態と車両の実制動状態をそれぞれ検出するセンサからの信号に基づいてアクチュエータの作動を制御する制御部20とを備えている。上記作動部材は、滑止め材としての散布物12を貯留する散布物容器11と、この容器から落下する散布物12をタイヤの前方に散布するため容器下端の開口を開閉する電磁弁(シャッタ)から成るアクチュエータ13とを備えている。
散布物は、例えば砂粒や融氷剤(MCA等)などの無機物又は植物種子、食用粒、松脂粉などの有機物で粒径数10μm〜数10mm程度の粒子状物である。散布物容器11には、図示していないが、散布物を保温するための保温手段(ヒータ)を設けておくとよい。散布物容器11は、排出し易くするため上部断面がホッパ状で下部に排出管を有する形状のものを示しているが、排出し易ければこの形状に限定するものではない。排出管の下部はアクチュエータ13の電磁弁で開閉され、その開閉度合いによって散布量を調整する。その調整方法については後で説明する。又、図示省略しているが、散布物容器11にはポンプから圧縮気体を送り込み、排出量の増減に応じて圧縮気体の補助により排出するようにしてもよい。
上記アクチュエータ13やヒータ、ポンプモータなどの他の電気的なアクチュエータへは制御部20から制御信号を送って、これら部材をそれぞれ所定の動作をするように制御する。但し、以下の各実施形態では特記しない限り上記アクチュエータ13のみをアクチュエータと呼ぶ。この制御部20へは、車輪の回転を検出する車輪速センサ22(22)、通常のブレーキ装置1(第1の制動装置)のマスタシリンダ(MC)4のMC圧力PMCを検出する圧力センサ21からの検出信号が送られ、これらの検出信号に基づいて制御部20は所要の種々の演算を行なうよう各種のプログラムが内蔵されている。なお、2はブレーキペダル、3はブースタである。又、車輪速センサ22は車輪Wと離れて図示しているが、実際には車輪Wと回転軸(図示せず)との連結部付近に取付けられていることは言うまでもない。
上記アクチュエータ13による開閉駆動は、後述するように散布量を緊急度に応じて増減するように制御部20からの信号により制御されるが、この開閉制御方法としては開口を所要の時間断続的に開閉して調整し、散布量を可変とするように駆動することができる。この場合アクチュエータ13を開閉動作させる際に開時間の比率で散布量を可変とさせ、数Hzの周波数でデューティ駆動する。
上記制御部20は、マイクロコンピュータにより構成され、各種の制御プログラムを記憶内蔵する固定記憶部(ROM)と、入力データを処理するための一時記憶部(RAM)と、各種データに基づく演算処理をし、制御信号を送り出すための演算処理部とを有する。そして、実際の制御部20は、図3に示すように、上記各種センサからの入力信号を受入れるインタフェース20EXを介して各種データ信号を一時記憶部(RAM)に記憶し、これらデータを所定のタイミングで送り演算、判定等の処理を行なう構成部を含む。即ち、後述する緊急状態の一態様としての制動状態をCPU20aにより演算する制動状態演算部20b、この演算に基づいて緊急状態であるかを判断する緊急状態判断部20c、さらに緊急度合いを演算、判定する緊急度演算判定部20d、その判定に基づく信号を摩擦力付加手段のアクチュエータのうちの蓋板駆動部13へ送る送信部20eなどである。
なお、20Wは電源回路であり、車両のエンジンのイグニッションスイッチIGSwを始動させるとバッテリBから電源が供給される。又、通常のブレーキ装置(第1の制動手段)は、ブレーキペダル2の踏力をブースタ3で増幅してマスタシリンダ4で液圧を発生し、図示しない電磁弁を介して各車輪のブレーキシリンダへ送るように構成されていることは詳細に説明するまでもない。さらに、通常のブレーキ装置は、ABS制御(アンチロックブレーキシステム)システムを含まないことを前提として以下では説明するが、ABS制御システムを含むブレーキ手段であってもよい。
又、摩擦力付加手段10を作動させるタイミングは、路面が凍結路のような低μ路で第1の制動手段による制動の限界を越えている場合や、水に濡れたあるいは砂利道のような中μ路以下の路面であっても、作動させるのが好ましい場合は、作動させる場合がある。従って、図示していないが、制御部20には車輪速センサ22、加速度センサ(減速度)23からの信号に基づいて車輪の速度、スリップ率、摩擦係数μを演算するプログラムを含む構成部が内蔵されているものとする。
以上の構成とした第1実施形態の車両の運動制御装置Aは、急制動時の初期に摩擦力を増大させるため緊急度が高いとして散布物の散布量を増加させるように制御が行なわれる。以下の説明では図4、図5のフローチャート、図6のタイムチャートを参照して説明する。まず、図5の第1実施形態の装置の具体的な作用を説明する前に、後述する他の実施形態のそれぞれにも共通するベーシックなフローチャートを示す図4のフローチャートに基づいて概略作用を説明する。図示のように、ステップS1 で初期化処理をした後、ステップS2 で演算タイミングを判断する。
ステップS2 における演算タイミングの判断とは、一定時間毎に定期的に処理を行なうためのタイマ処理(例10ms)である。ステップS3 では車両の制動をすべき緊急状態が始まったかどうかを判断する。この緊急状態の判断は緊急状態を表すデータの入力に基づいて行なう。緊急状態を表わすデータとは、例えばこの第1実施形態では圧力センサ21からのMC圧力PMC(Pressure in Master Cylinder )のデータ及び、MC圧力変化速度DPMC(Differential of Pressure)を演算した値である。他の例についてはそれぞれの実施形態で説明する。緊急状態と判断されると、ステップS4 ではその緊急状態の度合いを演算により判定し、かつその判定された緊急度に応じて散布物の散布を増加させ、摩擦力を増大させる信号を生じさせ、ステップS5 では上記信号により摩擦力を増大させるよう蓋板のアクチュエータを駆動して散布物が散布される。以上が共通の大略的なフローチャートである。
次に、第1実施形態の車両の運動制御装置の具体的な作用について図5、図6を参照して以下説明する。なお、図4で示し説明した事項は詳細説明では説明を省略する場合があるが、共通事項であるから当然共通に含まれる。ステップS10では圧力センサ21からの制動時のMC圧力PMCのデータが入力され、ステップS11では制動状態演算部20bでそのデータからMC圧力変化速度DPMCが演算されることは前述した通りである。このMC圧力変化速度DPMCの演算は、何等かの緊急状態が生じた場合に、ドライバーがブレーキペダル2を急激に踏込み液圧に大きく変化が生じるから、MC圧力PMCとMC圧力変化速度DPMCの検出データにより緊急状態が生じていることを判断をするためである。
ステップS12では、本システムを作動させる必要があるかどうか判別するために、車輪速センサ22からの信号に基づいて車両走行中であるかの判断を行なう。この場合、プログラムの始動はエンジンスタートと同時であるから、上述した圧力PMC、圧力変化速度DPMCの値が生じているか否かに拘らず、走行開始前ではステップS12の判断は必ずNOであり、従ってその後はまずステップS18へ進み、緊急状態フラグはoff(=0)とされ、次に、ステップS19の緊急状態フラグonかの判断も必ずNOとなり、ステップS23、S24でCTDE=0、DE=0として各パラメータは0に設定される。
さて、プログラムの先頭に戻り、再びステップS12の判断をする際は、車両が走行を始めていればYESとなりステップS13へ進む。このとき、走行中であることの判断は、例えば車輪速センサ22による信号が車輪速度V>5km/H以上であることを検出して行なえばよい。走行中と判断されれば、ステップS14へ進んでPMC>KPMCS か、ステップS15でDPMC>KDPMCかの判断が行なわれ、いずれかが成立しなければ緊急状態は未だ始まっていないと判断されてステップS19、S23、S24へ進み、プログラムの先頭に戻る。
ドライバが何らかの緊急制動(ブレーキ)をすべき状態を認識すると、当然MC圧力PMC、MC圧力変化速度DPMCは短時間に急激に上昇するから、これらの値が緊急状態の始まりを表す所定値KPMCS (KPは定数、sは start(始まり)の略)、KDPMCを超えたことをステップS14、S15で判断した結果に基づいて緊急状態の始まりが判断され、ステップS16で緊急状態フラグをon(=1)に設定する。
その後、ステップS19では再び緊急状態フラグがonかを判断するが、このときの判断はフラグが必ずonであるから、図6の(d)、(e)、(f)図に示すように、フラグonと共にステップS20で緊急状態の時間の演算(カウント)、及びステップS21で緊急状態の度合いDE(Degree of Emergency )が演算され、その度合いが時間毎に判定される。ステップS20では、演算タイミングを1LSB(least signficant bit)として、即ち演算タイミング毎にDEの演算を処理するため演算周期×時間=1サイクル時間を1LSBとする経過時間CTDEとして経過時間CTDE=CTDE+1により時間をインクリメントする。
ステップS21では、上記経過時間CTDEの初期T0 では緊急度が最も高いとして所定の設定値KDEMAx が設定され、演算式DE=KDEMAx −KCTDE・CTDEに従って時間が経過するにつれて緊急度が所定の割合で(直線的に)低下するとし、経過時間CTDEが所定時間T1 となった後は最小の緊急度KDEMIN を一定として保持し、車体速度が0(車輪速度0により検出)となった時間TE で緊急度DEが0となるように緊急度の演算が行なわれる。そこで、ステップS21で演算された緊急度合いをその各経過時間毎に判定し、判定された緊急度に応じた信号を送信部20eへ送り、ステップS22で散布物を散布するためのアクチュエータを駆動する。
図6の(g)、(h)図から分かるように、上記緊急度合いDEの演算によるDE値の変化に対応して、アクチュエータの駆動、散布量も変化していることが分かる。又、以上のような散布物の散布による急制動が一定時間TE 行なわれている間にMC圧力PMCが最終時の圧力KPMCE (E:終り)(KPMCE <PMC)が保たれている限り、ステップS17での判断は緊急状態が保持され、上記緊急度合いDEの演算が続けられる。
そして、MC圧力PMCが上記圧力KPMCE 以下になると、ステップS17ではYESの判断となり、ステップS18で緊急状態フラグはoff(=0)とされ、従ってその後のステップS19では当然判断はNOとなり、ステップS23、S24へ進んでCTDE=0、DE=0として各パラメータの値を初期状態に戻し、次の緊急状態が発生するまでは、緊急制動による動作は休止することとなる。
図7、図8に第2実施形態の車両の運動制御装置の作動を表すフローチャート及びタイムチャートを示す。この実施形態は、全てのハード的な構成要素は第1実施形態と同じであるが、第1実施形態と異なる条件での緊急状態に対応する制御に関しているため、制御プログラムの具体的な内容は第1実施形態と若干異なる。即ち、この実施形態では低速での緊急制動の制御を対象とするものであり、主として異なる機能を中心として説明する。但し、後述する車体速度VB は、ABS制御システムのような高精度なプログラムによる演算ではなく、車輪速センサ22からの車輪速信号に基づき、加速度センサ(図示せず)からの加速度信号を加味して簡略に推定する演算式で求められるものとする。
まず、異なる機能として、図7から分かるように、ステップSV がS16の後に加えられ、ステップS20、S23が省略され、ステップS21の演算式の内容が若干異なっている。なお、低速走行とは、例えば20〜10km/H程度以下で走行している状態であり、第1の制動手段により低速とされ、ステップS12における車両走行中かの判断によるタイミングの判断と同時に低速走行の条件も判断され、ステップS13以下に進むものとする。
この実施形態でも、最初のサイクルでステップS10、S11、S12、S18、S19、S24へ進み、次のサイクルでステップS13〜S16へ進むのは第1実施形態と同じであるが、この実施形態では低速走行であってもS13〜S15の判断により緊急状態が確認される。その結果ステップS14、S15の判断でMC圧力PMC、MC圧力変化速度DPMCが設定値KPMCS 、KDPMCより大であればステップS16で緊急状態のフラグがONとされ、緊急状態が発生しているから、ステップSV で現在の車体速度VB を緊急状態発生車体速度VBDE として記憶し、この車体速度VBDE に基づいてステップS21において緊急度合いDEを演算して度合いを判定する。この場合、緊急度合いDEは、演算式DE=KDEMAx −KBDE ・VBDE に基づいて行なわれる。但し、DE値は、緊急状態が生じた後の経過時間には関係なく、緊急状態が生じた瞬間の車体速度が低い程大きく、高い程小さくなり、短時間ではあるがその状態が持続される。これは、低速での急制動では、対象との距離が短い場合が多く、緊急度合いが高いからである。
ステップS21で緊急度合いDEが演算されると、ステップS22でこのDE値に応じた散布量を散布するようにアクチュエータが駆動される。従って、図8の(ロ)の低速の場合の(e)〜(g)に示すように、緊急状態が生じた際の緊急度に応じてアクチュエータを駆動し、散布量も多く散布される。但し、低速の場合は、停止までの時間、距離が短く、散布量を増大させても、多くの散布量を必要とせず、短い時間であっても制動効果を増大できる。なお、緊急状態が一定時間後に終了する際のフロー処理は第1実施形態と同じである。
第3実施形態の車両の運動制御装置の全体概略構成図を図9に、その作用のフローチャートを図10に示す。この実施形態では、第1、第2実施形態のように、圧力センサによる圧力、圧力変化速度の信号は用いずに、レーダセンサ24の信号を用いている。なお、レーダセンサ24は衝突の可能性のある前方障害物を検出する障害物検出手段の1つとして設けられており、障害物検出手段としては、この他にもレーザ光(可視光、赤外光を含む)や電波等の電磁波、超音波を対象物に発射し、その反射波を検出するセンサ、レーダ、TVカメラ等が含まれ、前方障害物を検出した信号により障害物までの相対距離及び接近速度(相対速度)の変化が少なくとも得られる機能を有するものでなければならない。又、この例ではABS制御回路30が制御部20に接続されている。その理由は後で説明する。その他は第1実施形態と同じであるから、図中に同じ符号を付して説明は省略する。
この実施形態では、アスファルト路面のような通常路を走行中にABS制御による制動が行なわれており、このような制動によってもなお衝突可能性がある場合に、より有効に制動効果を大きくする制御を対象とする。このため、この第3実施形態では、図10に示すように、まずステップS30でABS制御中であるかについて判断し、ABS制御中でなければステップS39へ進み、緊急状態フラグをoff(=0)とし、ステップS40で緊急度合いDEも=0とする。ABS制御中でなければ、まだ路面μを十分利用しておらず、μの値を上げる必要はないからである。
ステップS30でABS制御中と判断されると、ステップS31以下に進み、図10に示した概略フローに従って、以下の具体的な制御が行なわれる。即ち、ステップS31〜S34において緊急状態を表すデータとして前方障害物との相対距離を計測したデータがレーダセンサ24から入力され、前方障害物に対する衝突の可能性を上記データに基づいてステップS32で前方障害物との相対速度演算(=相対距離の時間変化)、ステップS33で前方障害物との相対加速度演算(=相対速度の時間変化)、ステップS34で障害物との衝突速度演算がそれぞれ行なわれる。
なお、この例でも図4中のステップS3 での演算タイミングが行なわれた後、ステップS30におけるABS制御中かの判断がされ、その後上記緊急状態を表すデータの計測、演算が行なわれ、又、上記相対速度、相対加速度の演算はレーダセンサ24で計測された相対距離の変化から行なわれる点で第1、第2実施形態の場合と若干異なる。
ここで、障害物との衝突速度とは、例えば障害物との相対距離が短い所定の距離となったとき、そのままの相対加速度で障害物に接近したとすると、必ず障害物(前方の走行中の車両又は静止物体)に車両が衝突することとなるから、所定距離となった瞬間の相対速度及び相対加速度値が持続するとして、そのまま車両が前方障害物に接近すれば衝突することとなる際の車両の前方障害物との相対速度値である。従って、相対距離が所定以下となった後に前方障害物の方が速度が速くなれば衝突速度は負となり、前方障害物より車両の方がなお加速されていれば衝突速度は正の値となる。
上記各種データの演算の結果、緊急状態を示すデータ、即ち障害物との相対距離、相対速度値、相対加速度値、及び衝突速度値が得られると、ステップS35において緊急状態フラグがonかの判断が行なわれる。この判断で最初は必ずフラグはoffであるからステップS36へ進み、障害物から所定距離以上離れている限り、衝突速度は0であるから衝突することはなく、判断は必ずNOとなり、ステップS39へ進んで緊急状態フラグはoff(=0)とされ、ステップS40では緊急度合いDE=0となる。
しかし、上記ルートの判断を繰り返しているうちに障害物との距離が所定値以下になり障害物に接近してくると緊急状態フラグはOFFであっても衝突速度は0以上(正)の値となり、衝突の可能性が生じているから従ってステップS37へ進んで緊急状態フラグ=onと設定し、かつステップS38では緊急度合いを最大の値DE=KDEMAX と設定する。従って、この最大の緊急度合いに応じた散布量を散布するよう摩擦力付加手段10のアクチュエータを作動させて緊急制動が行なわれ、制動効果最大(MAX)の制動が行なわれる。
従って、通常の路面であれば衝突が回避される状態にまで緊急度合いDEは最大に維持されて最大効果の制動が行なわれる。そして、プログラムが先頭に戻って次のステップS35に進むと、このステップS35での判断では緊急状態フラグはonであるから緊急状態は持続している(YES)としてステップS41へ進み、ここで再び衝突速度が>0(正)であるかの判断が行なわれる。このとき通常の路面であれば上記緊急状態への処理で十分減速されるから一般的には衝突速度は負となり、従ってその判断によりステップS45に進み、ここで緊急度合いDEは通常路面についてステップS38で設定された最大緊急度KDEMAX を緊急度DEの初期値として、その緊急度DE値からKD ・DE値を演算式 DE=DE−KD ・DEに従ってデクリメントする。
その結果、ステップS46ではDE値が所定の最小緊急度設定値KDEMIN よりなお高ければ、プログラムの先頭に戻って再びステップS45の演算を行ない、DE値がKDEMIN 以下になればDE=KDEMIN に設定する。その間ABS制動下で散布物の散布と共に緊急度合いは低下するが、ステップS47で最小の緊急度KD ・DEMIN に低下すれば、その状態で散布量は最小量として持続されて制動が行なわれる。
しかし、路面の摩擦係数μの値が、水や氷の影響で突然中又は低μ路に変化した場合は、ステップS41での衝突速度が急に正の値に変化(戻る)することがあり、この場合μの値に応じて、緊急度合いも変化する。従って、ステップS42ではまず前回の緊急度DE=KL ・DEMIN を初期値として、その程度に応じて緊急度合いを設定する必要がある。このため、上記初期値に対し演算式 DE=DE+Ku・DEに従ってDE値をインクリメンする。
そして、このDE値がステップS43で最大設定値KDEMAX 以下であり、かつ衝突速度が正の状態が続く限り直ちにプログラムの先頭に戻り、再びステップS42の演算を繰り返してステップS44で最大設定値KDEMAX にDE値を設定する。そして、この場合も最大量の散布物の散布を続けることとなるが、途中で衝突速度が再び負となれば緊急度は低下するから、その場合は再びステップS45へ当然戻ることとなる。なお、上記第3実施形態以降の各実施形態では、図5、図7で示したステップS22のアクチュエータ駆動の作用の表示を省略しているが、各実施形態においても同様に上記ステップが設けられている。
第4実施形態の車両の運動制御装置の全体概略構成を図11に示す。この実施形態では、第3実施形態の衝突防止のための障害物検出手段のレーダセンサ24に代えて交差点の信号機から交差点で停止すべき位置の停止線である距離位置Bとその手前所定位置の距離位置Aとを検出することができる位置検出手段としての画像検出手段25を備え、ABS制御回路30に加えてさらにBA(ブレーキアシスト)回路40が制御部20に接続されている点が異なる。その他第1実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付して説明を省略する。この実施形態の装置は交差点でドライバが赤信号を認識したときに、交差点までの距離と現状速度と路面μの値から交差点の停止線(距離位置B)で急制動を掛けただけでは交差点内に進入することとなり、停止すべき所定距離位置では停止不可能と判断される場合の制御を対象とする。
図12のフローチャート、及び図13の作用の説明図を参照してその制御内容について説明する。図13に示すように、所定速度Vで走行中の車両Xが交差点の信号機TSL(Traffic Signal Lamp )の信号が黄色から赤に変わる直前に交差点に接近したとする。距離位置Aは所定の速度VA でこの位置Aを通過した瞬間に赤信号をドライバが認識して通常のブレーキ制動を始めると停止すべき距離位置Bに停止することができる位置として設定されているものとする。又、画像検出手段25からの信号に基づいて路面上に距離位置B、Aのマークが印されていなくても、その距離位置B、Aと赤信号とを演算により自動認識できるものとする。
このような条件下で車両Xが交差点に近づいても、距離位置Aを通過するまでは、図12の制御サイクルは常に繰り返されているとしても、ステップS50、S51での距離位置B、Aについての有効タイマカウント値CTB 、CTA は初期値0のままであるから、フローチャートではステップS52へ進み、距離位置Aを検出する手前であれば直ちにステップS55へ進み緊急度合いDE=0とし、フローの先頭に戻ってこれを繰り返すだけである。しかし、距離位置Aを検出し、かつこのとき信号機TSLの信号が赤であれば、ステップS53へ進み、その時の車速V>KVA であるかを判断する。
この場合、ブレーキペダルをドライバが踏込んでABS制御が行なわれていることが前提である。従って、ステップS53での判断で車速V>KVA でない、即ち距離位置Bで停止するのに十分な低い値に設定された速度KVA 又はそれ以下であれば、何ら摩擦力付加手段10のアクチュエータを作動させることなく、通常のABS制御による制動で十分距離位置Bに停止できると判断されるから、この場合もステップS55へ進み、緊急度合いDE=0として先頭に戻る。
しかし、車速Vの値が設定値KVA 以上で十分減速されていない場合は、ステップS54へ進み距離位置Aの検出有効タイマでCTA =KCTA を設定する。この検出有効タイマの設定値は、アスファルトのような通常の摩擦係数μの路面であれば、通常のABS制御による制動で距離位置Bに停止できると考えられる最大必要制動時間の値KCTA として設定され、その後ステップS55へ進んでフローの先端に戻る。ステップS50では未だCTB =0のままであるから、ステップS51へ進み、その判断はCTA =0ではないからステップS56へ進み、ここでCTA のタイマ設定値を1ずつデクリメント(減算)する。
このデクリメトされる値は、例えばCTA の値が10秒であれば、1秒ずつというようにCTA の設定値の単位に合わせて設定される。その後ステップS57では距離位置Bの検出有りかが判断される。但し、この検出判断は車両Xが距離位置Bの手前の所定距離位置(例えば2〜3m)を車両Xが通過したかを意味する。従って、この手前距離位置を検出していない場合は、直ちに先頭に戻りデクリメントを繰り返す。そして、このデクリメントにより設定値CTA から減算された値によってその後の制御が異なる。
即ち、この減算値が未だ大きい値のまま、(例えば8秒)上記手前距離位置が検出されたときは、路面のμ値が小さく、ABS制御による急制動をしているにも拘わらずスリップして距離位置Bの手前距離位置へ早く到達していることになり、以下ではそのμ値の大小によって車速が異なることになる。従って、ステップS57で上記手前距離位置が検出されると、ステップS58以下のフローへ進み、車速の高(KVAH)、中(KVAM)、低(KVAL)によって緊急度が判断される。
ステップS58の判断で車速>KVAHであればステップS63で緊急度合いDE=KT DEMAX とされ最も緊急度が高く、ステップS59の判断で車速がKVAH以下かつKVAM以上であれば、ステップS64で緊急度合いDE=KT DEMED とされ緊急度は中程度、ステップS60の判断で車速がKVAM以下でかつKVAL以上であればステップS65で緊急度合いDE=KT DELOW と最も緊急度が低いとしてそれぞれ設定され、さらにステップS60の判断で車速がKVAL以下であればステップS61でCTA =0、S62でDE=0とし、緊急制動は不要とそれぞれ判断される。そして、それぞれの緊急度合いに応じて摩擦力付加手段のアクチュエータを作動させ、散布物を緊急度合いに応じた散布量を散布する。
上記緊急度合いDEを各ステップS63〜S65のいずれかで高、中、低のいずれかの状態であると判断した場合は、いずれの場合もステップS66で停止線である所定距離位置Bに対する時間設定値CTB を=KCTB と設定し、ステップS67でBA回路40に対しブレーキアシストon要求する信号を出力して急制動時に路面μ値を増大させると共に急制動をさらにBA回路40からの制御により強める。この後フローの先頭に戻れば、ステップS50での判断はNOとなり、ステップS68でCTB =CTB −1の演算を行い時間設定値CTB を1ずつデクリメントする。
上記時間設定値CTB は、緊急度合いに応じた路面μ値の上昇をさせるため散布量を増大させると共にBAブレーキアシストによる急制動を作動させて所定距離位置Bに停止するまでの車両の走行時間を測定するためであり、S68でのデクリメントの結果CTB 値が停止に近い程減少し、ステップS69の判断で停止すれば直ちにステップS71以下へ進み、ステップS71ではCTA =0、ステップS72ではCTB =0、ステップS73ではDE=0と各パラメータの設定値を0に戻す。ステップS69でなお車両が停止していなければ、ステップS70で走行停止スイッチ(STOP−SW)がoffとなっているかを判断し、スイッチがoffとなるまで続け、走行停止が確認されると上記ステップS71〜S73へ進み、制御は終了する。
なお、図示の例では 位置検出手段としての画像検出手段25により信号機TSLから所定機位置B、Aを検出するようにしたが、信号機TSLの手前に所定距離位置B、Aを表す微弱電波の信号を発信する発信器がそれぞれ路面下に埋設されるようになれば、画像検出手段25に代えて電波受信器を有する路面位置検出手段25’(図示せず)を備えるようにすることもできる。この方法は、電波に限らず、光、超音波などを用いた位置を検出することができる手段であればいずれの手段を用いてもよい。
第5実施形態の車両の運動制御装置の全体概略構成図を図14に示す。この実施形態では、第4実施形態の交差点の信号機TSLから路面の所定距離位置を検出する画像検出手段に代えて車両の4隅付近にそれぞれコーナソナーセンサによるコーナ障害物検出手段26(26a〜26d)を備え、VSC(Vehicle Stability Control 、走行安定化)制御回路50が制御部20に接続されている点が異なる。その他第1実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付して説明を省略する。
但し、コーナソナーセンサは、例えば超音波又は赤外光などのレーザ光を発射し、障害物からの反射により検出する方式のものが用いられる。そして、この実施形態の装置は、走行中の車両が道路のカーブしている場所でVSC制御下で操舵しているにも拘わらず、カーブを曲がり切れず、あるいは操舵ミスにより車両テールが流れてガードレールあるいはトンネル壁などに衝突する可能性が予想される場合の制御を対象とする。
図15のフローチャート、及び図16の作用の説明図を参照して以下その制御内容について説明する。図16に示すように、道路のカーブした位置をVSC制御下でカーブに合わせてハンドルで操舵しながら所定速度で走行しているにも拘わらずカーブを曲がり切れず、ケースAのように車両の右側前方コーナがガードレールGRに衝突する可能性が大である場合とする。上記ガードレールGRと車両の各コーナが所定距離以上離れているかは各コーナのコーナ障害物検出手段26により常に検出され、所定距離以上離れている限り警告信号は出力されない。
図15の制御サイクルは走行中常に繰り返して作動しているが、図15中のステップS80でVSC作動中かの判断でVSCが作動していない、即ちカーブした道路を走行していない限りVSC回路50は作動しないから、一般にはステップS87へ進み、緊急度合いDE=0として取り扱われるから、ガードレールに衝突することはない。しかし、道路のカーブに沿ってVSC制御下で曲がろうとすると、ステップS80の判断はYESとなり、ステップS81〜S84で4つの検出手段26のいずれがガードレールGRとの接近状態を検出しているかがそれぞれ判断される。図16のケースAではステップS82の検出手段26bが作動して警告をしている。
上記いずれかの検出手段26で警告が行なわれると、ガードレールGRとの衝突可能性大であるから、ステップS86へ進み、緊急度合いDEを=KDEH1(緊急度高)と設定し、その緊急度合いに応じて摩擦力付加手段10による散布量を増大させるようにアクチュエータを作動させる。この場合にブレーキ摩擦付加が必要な車輪例えば左後輪WRLに対して摩擦力付加手段10による散布量を増大させ路面のμ値を上昇させてこの車輪による制動効果を大にすれば、車両を通常より大きく操舵でき衝突を回避することができることとなる。どの車輪に対して散布量を増大させるかは、衝突可能性のある状態に対応して決まる。
VSC制御中の操舵による走行でいずれの検出手段も警告信号を出力しない場合は、緊急度合いDEは低いから、ステップS85でDE=KDENOR (緊急度普通)と設定し、低い緊急度に応じた散布量を散布すればよいこととなる。
この発明の車両の運動制御装置は、車両制動時に摩擦力付加手段による散布物の散布量を制御する際に最大の制動効果と経済性を両立するように制御状態を変化させるものであるから、全ての車両の制動装置に広く利用することができる。
第1実施形態の車両の運動制御装置の要部構成図 同上装置の全体概略配置構成図 制御部の概略ブロック図 全実施形態共通の作用のベースフローチャート 第1実施形態の車両の運動制御装置の作用の詳細フローチャート 第1実施形態の車両の運動制御装置の作用を説明するタイムチャート 第2実施形態の車両の運動制御装置の作用の詳細フローチャート 第2実施形態の車両の運動制御装置の作用を説明するタイムチャート 第3実施形態の車両の運動制御装置の全体概略配置構成図 第3実施形態の車両の運動制御装置の作用の詳細フローチャート 第4実施形態の車両の運動制御装置の全体概略配置構成図 第4実施形態の車両の運動制御装置の作用の詳細フローチャート 第4実施形態の車両の運動制御装置の作用の説明図 第5実施形態の車両の運動制御装置の全体概略配置構成図 第5実施形態の車両の運動制御装置の作用の詳細フローチャート 第5実施形態の車両の運動制御装置の作用の説明図
符号の説明
1 ブレーキ装置(第1の制動装置)
2 ブレーキペダル
3 ブースタ
4 マスタシリンダ
10 摩擦力付加手段
11 散布物容器
12 散布物
13 アクチュエータ
20 制御部
21 MC圧力センサ
22 車輪速センサ
23 加速度センサ

Claims (10)

  1. 散布物を散布する作動部材をアクチュエータにより駆動して車輪の対路面への摩擦力を増大させる摩擦力付加手段を備え、車輪を制動すべき緊急状態を検出する検出手段により緊急状態を検出すると、その緊急状態の度合いに応じて散布量の増減を制御するように構成した車両の運動制御装置。
  2. 前記摩擦力付加手段を、散布物を貯留する散布物貯留容器と、その出口を開閉する電磁弁を含むアクチュエータとを有し、アクチュエータを駆動して散布物の散布量の増減を調整自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載の車両の運動制御装置。
  3. 前記緊急状態の検出手段として車輪の制動状態を検出する車輪制動状態検出手段と、上記車輪制動状態検出手段からの信号に基づいてアクチュエータの作動を制御する制御部とを備え、制御部は上記車輪制動状態検出手段からの信号及び時間に基づいて緊急状態の度合いを判定し、その判定に応じて散布量の増減を制御するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の運動制御装置。
  4. 前記制御部が、緊急状態の時間を測るカウンタと、測定された時間に基づき緊急度合いを演算して緊急度を判定する判定部とを含み、この判定部による判定に基づいて散布量の増減を制御するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の車両の運動制御装置。
  5. 前記判定部は、ブレーキペダルの急激な踏込初期の急制動時の緊急度を最大と判定し、作動初期の散布量を終期より大きく設定するように構成したことを特徴とする請求項4に記載の車両の運動制御装置。
  6. 前記車輪制動状態検出手段を、車輪を液圧で制動するブレーキ手段の液圧及び液圧変化速度を検出するセンサとしたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の車両の運動制御装置。
  7. 前記緊急状態の検出手段として車輪の制動状態を検出する車輪制動状態検出手段と、車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、上記車輪制動状態検出手段及び車輪速度検出手段からの信号に基づいてアクチュエータの作動を制御する制御部とを備え、制御部は上記車輪速度検出手段からの信号に基づいて現在の車体速度を演算し、車輪制動状態検出手段からの信号に基づいて緊急状態を検出すると、その時の車体速度に基づいて緊急状態の度合いを判定し、その判定に応じて散布量の増減を制御するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の運動制御装置。
  8. 前記緊急状態の検出手段として障害物との相対距離を検出する手段と、その検出信号から障害物との相対速度、相対加速度、衝突速度を演算する演算部を含み、上記検出手段及び演算部からの信号に基づいてアクチュエータの作動を制御する制御部とを備え、制御部は上記相対距離及び衝突速度に基づいて緊急状態の度合いを判定し、その判定に応じて散布量の増減を制御するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の運動制御装置。
  9. 前記緊急状態の検出手段として交差点手前の路面の所定距離位置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段からの信号に基づいてアクチュエータの作動を制御する制御部とを備え、制御部は上記位置検出手段からの所定距離位置の信号及び時間に基づいて緊急状態の度合いを判定し、その判定に応じて散布量の増減を制御するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の運動制御装置。
  10. 前記緊急状態の検出手段としてコーナ衝突を検出するコーナ検出手段と、その検出信号に基づいてアクチュエータの作動を制御する制御部とを備え、制御部は上記コーナ検出手段からの警告信号に基づいて緊急状態の度合いを判定し、その判定に応じて散布量の増減を制御するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の運動制御装置。
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