JP2005204457A - 限流器 - Google Patents
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Abstract
【課題】定常運転状態におけるインダクタンスを適切に低減し限流器の性能を的確に向上できる限流器を得る。
【解決手段】永久磁石非存在域NPを介し鉄心2a,2bの延在方向に互いに隔てて配置される永久磁石1a,1b、鉄心2a,2bを囲んで巻回されるコイル3を備え、コイル3に電流が流れていない場合には鉄心2a,2bは磁気飽和し、コイル3に負荷電流が通電中にも鉄心2a,2bは磁気飽和が保たれるように構成され、コイル3に過大な電流が流れると、鉄心2aまたは2bの磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル3軸方向における鉄心2a,2bの永久磁石非存在域NPに対向する部分を囲む軸方向位置に限定してコイル3が設けられている構成とした。
【選択図】図2
【解決手段】永久磁石非存在域NPを介し鉄心2a,2bの延在方向に互いに隔てて配置される永久磁石1a,1b、鉄心2a,2bを囲んで巻回されるコイル3を備え、コイル3に電流が流れていない場合には鉄心2a,2bは磁気飽和し、コイル3に負荷電流が通電中にも鉄心2a,2bは磁気飽和が保たれるように構成され、コイル3に過大な電流が流れると、鉄心2aまたは2bの磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル3軸方向における鉄心2a,2bの永久磁石非存在域NPに対向する部分を囲む軸方向位置に限定してコイル3が設けられている構成とした。
【選択図】図2
Description
この発明は、電気回路の短絡事故などで発生する過電流を抑制する限流器に関するものである。
このような限流器は、二個の鉄心と、二個の永久磁石と、コイルとを備え、コイルに電流が流れていない場合には前記二個の鉄心は磁気飽和し、コイルに負荷電流が通電中にも前記二個の鉄心は磁気飽和が保たれるとともに、コイルに過大な電流が流れると前記二個の鉄心における一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成される(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に示される従来技術においては、互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心2a,2b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの間に配設され、永久磁石非存在域を介し前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石1a,1b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線を中心として前記第1および第2の鉄心2a,2bを囲んで巻回されるコイル3を備え、前記第1および第2の永久磁石1a,1bは前記第1および第2の鉄心2a,2bの磁場を強めるように配置されて、前記コイル3に電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和し、コイル3に負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和が保たれるとともに、前記コイル3に過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心における一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成されている。
この従来技術では、コイル3は互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向における全長にわたって巻回されている。すなわち、コイル3の軸方向長さは第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向長さにほぼ等しい。コイル3の軸方向両端部分は、第1および第2の鉄心2a,2bの永久磁石1a,1b配設部分を囲んで配置されている。
第1および第2の永久磁石1a,1bは前記第1および第2の鉄心2a,2bの磁場を強めるように配置されている。
コイル軸に沿った鉄心2a,2bの両端部は最も磁束が少なく、コイル軸に沿って限流器中央16に近づくにつれ鉄心中の磁束が増加する。永久磁石1a,1bがとぎれる位置近傍で鉄心2a,2bの磁束は最大になる。これ以上中央部に近づいても永久磁石がないために鉄心2a,2bの磁束は増加しない。
一般に限流器では永久磁石量を最小にするため、鉄心2a,2bにおける磁束密度最高部のみを飽和するように設定する。この場合、永久磁石存在部は磁束が弱くなり未飽和部となる。即ち、永久磁石存在部は透磁率は高い。従来例のように、永久磁石存在部10にもコイルを配置した場合、透磁率が高い部分の磁束がコイルに鎖交するため、低電流でもインダクタンスが高くなる欠点があった。
更に、従来はコイル軸方向に沿って永久磁石が存在しない鉄心2a,2bの中央部が永久磁石部よりも長い場合、磁気抵抗が高いために途中で磁束がもれ鉄心部で中央近傍に高い透磁率の領域が存在する。これにより透磁率が高い部分の磁束がコイル磁束鎖交部に存在するため、低電流でもインダクタンスが高くなる欠点があった。
第1および第2の永久磁石1a,1bは前記第1および第2の鉄心2a,2bの磁場を強めるように配置されている。
コイル軸に沿った鉄心2a,2bの両端部は最も磁束が少なく、コイル軸に沿って限流器中央16に近づくにつれ鉄心中の磁束が増加する。永久磁石1a,1bがとぎれる位置近傍で鉄心2a,2bの磁束は最大になる。これ以上中央部に近づいても永久磁石がないために鉄心2a,2bの磁束は増加しない。
一般に限流器では永久磁石量を最小にするため、鉄心2a,2bにおける磁束密度最高部のみを飽和するように設定する。この場合、永久磁石存在部は磁束が弱くなり未飽和部となる。即ち、永久磁石存在部は透磁率は高い。従来例のように、永久磁石存在部10にもコイルを配置した場合、透磁率が高い部分の磁束がコイルに鎖交するため、低電流でもインダクタンスが高くなる欠点があった。
更に、従来はコイル軸方向に沿って永久磁石が存在しない鉄心2a,2bの中央部が永久磁石部よりも長い場合、磁気抵抗が高いために途中で磁束がもれ鉄心部で中央近傍に高い透磁率の領域が存在する。これにより透磁率が高い部分の磁束がコイル磁束鎖交部に存在するため、低電流でもインダクタンスが高くなる欠点があった。
この発明は、定常運転状態におけるインダクタンスを適切に低減し限流器の性能を的確に向上できる限流器を得ようとするものである。
この発明に係る限流器では、互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心の間に配設され、永久磁石非存在域を介し前記第1および第2の鉄心の延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石、前記第1および第2の鉄心の延在方向と並行する軸線を中心として前記第1および第2の鉄心を囲んで巻回されるコイルを備え、前記コイルに電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心は磁気飽和し、前記コイルに負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心は磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイルに過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心における一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、前記コイル軸方向における前記第1および第2の鉄心の前記永久磁石非存在域に対向する部分を囲む軸方向位置に限定して前記コイルが設けられているものである。
この発明によれば、定常運転状態におけるインダクタンスを適切に低減し限流器の性能を的確に向上できる限流器を得ることができる。
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を図1から図6までについて説明する。図1は実施の形態1における限流器の構成を示す斜視図である。図2は実施の形態1における限流器の構成を示す断面図である。図3および図4は実施の形態1における鉄心の磁気飽和特性を示す線図である。図5は実施の形態1における短絡電流と限流された電流を示す線図である。図6(a)は実施の形態1における鉄心の磁束分布を示す平面図である。図6(b)は図6(a)のA−A線に沿った磁束分布を示す線図である。図6(c)は実施の形態1における磁束未飽和部と磁束飽和部を示す平面図である。
この発明による実施の形態1を図1から図6までについて説明する。図1は実施の形態1における限流器の構成を示す斜視図である。図2は実施の形態1における限流器の構成を示す断面図である。図3および図4は実施の形態1における鉄心の磁気飽和特性を示す線図である。図5は実施の形態1における短絡電流と限流された電流を示す線図である。図6(a)は実施の形態1における鉄心の磁束分布を示す平面図である。図6(b)は図6(a)のA−A線に沿った磁束分布を示す線図である。図6(c)は実施の形態1における磁束未飽和部と磁束飽和部を示す平面図である。
図1および図2において、一対の永久磁石1a,1bは対向配置された鉄心2a,2bの間に配置され、永久磁石1aの上面はN極、下面はS極に着磁されており、永久磁石1bの上面はS極、下面はN極に着磁されている。このように着磁されると、永久磁石1a,1bが鉄心内に作る磁場を強められる。もし、一方の磁石の極性が逆であれば、永久磁石1a,1bが鉄心内に作る磁場は弱められる。
一対の鉄心2a,2bは互いに並行して延在し、互いに対向配置され、その材質としては通常、ケイ素鋼板が用いられる。
鉄心2a,2bの外側には、コイル3が巻かれている。このコイル3は、単層状態で巻かれてもよいし、多層状態に巻かれてもよい。このコイル3には、コイル3の一端に接続された一方の端子3aおよびコイル3の他端に接続された他方の端子3bが設けられている。
コイル3は、鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線C1を中心として鉄心2a,2bを囲んで巻回されている。
一対の鉄心2a,2bは互いに並行して延在し、互いに対向配置され、その材質としては通常、ケイ素鋼板が用いられる。
鉄心2a,2bの外側には、コイル3が巻かれている。このコイル3は、単層状態で巻かれてもよいし、多層状態に巻かれてもよい。このコイル3には、コイル3の一端に接続された一方の端子3aおよびコイル3の他端に接続された他方の端子3bが設けられている。
コイル3は、鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線C1を中心として鉄心2a,2bを囲んで巻回されている。
軸線C1における軸方向長さL1をそれぞれ持つ一対の永久磁石1a,1bは、互いに並行して延在する鉄心2a,2bの間において、軸線C1における軸方向長さL2を持つ永久磁石非存在域NPを介し互いに間隔を置いて配置されている。
コイル3は、永久磁石1a,1b間の軸方向長さL2を持つ永久磁石非存在域NPに対向する鉄心2a,2bの中央部分を囲んで配置されている。コイル3の軸線C1方向における軸方向長さは、永久磁石非存在域NPの軸線C1における軸方向長さL2よりも小さい。
そして、コイル3の一端面を形成する図示左側端面3cは永久磁石1aの永久磁石非存在域NPに面する図示右側端面1cよりも所定の間隔を置いて軸線C1方向における軸方向位置として右側に位置する。すなわち、コイル3の端面3cは、永久磁石1aと永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E1よりも図示右側に位置する。また、コイル3の他端面を形成する図示右側端面3dは永久磁石1bの永久磁石非存在域NPに面する図示右側端面1dよりも所定の間隔を置いて軸線C1方向における軸方向位置として左側に位置する。すなわち、コイル3の端面3dは、永久磁石1bと永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E2よりも図示左側に位置する。
コイル3は、永久磁石1a,1b間の軸方向長さL2を持つ永久磁石非存在域NPに対向する鉄心2a,2bの中央部分を囲んで配置されている。コイル3の軸線C1方向における軸方向長さは、永久磁石非存在域NPの軸線C1における軸方向長さL2よりも小さい。
そして、コイル3の一端面を形成する図示左側端面3cは永久磁石1aの永久磁石非存在域NPに面する図示右側端面1cよりも所定の間隔を置いて軸線C1方向における軸方向位置として右側に位置する。すなわち、コイル3の端面3cは、永久磁石1aと永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E1よりも図示右側に位置する。また、コイル3の他端面を形成する図示右側端面3dは永久磁石1bの永久磁石非存在域NPに面する図示右側端面1dよりも所定の間隔を置いて軸線C1方向における軸方向位置として左側に位置する。すなわち、コイル3の端面3dは、永久磁石1bと永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E2よりも図示左側に位置する。
コイル3に電流が流れていない場合、鉄心2a,2bは永久磁石1a,1bにより磁気飽和されている。
鉄心2aのBH曲線を図3に、鉄心2bのBH曲線を図4に示す。なお、図3および図4において、Hは鉄心内部の磁界の強さ、Bは鉄心内部の磁束密度を表す。コイルに電流が流れていない場合、鉄心2aの磁界の強さHはHA1、鉄心2bの磁界の強さHはHB1になるよう構成されている。
鉄心2aの磁界の強さHがHA1であれば、鉄心2aは図3から分かるように磁気飽和状態にあり、鉄心2bの磁界の強さHがHB1であれば、鉄心2bは図4から分かるように磁気飽和状態にあるので、後で述べるように限流器のインダクタンスは小さい。
鉄心2aのBH曲線を図3に、鉄心2bのBH曲線を図4に示す。なお、図3および図4において、Hは鉄心内部の磁界の強さ、Bは鉄心内部の磁束密度を表す。コイルに電流が流れていない場合、鉄心2aの磁界の強さHはHA1、鉄心2bの磁界の強さHはHB1になるよう構成されている。
鉄心2aの磁界の強さHがHA1であれば、鉄心2aは図3から分かるように磁気飽和状態にあり、鉄心2bの磁界の強さHがHB1であれば、鉄心2bは図4から分かるように磁気飽和状態にあるので、後で述べるように限流器のインダクタンスは小さい。
コイル3の一方の端子3aから交流の負荷電流が流れ込むと磁束が発生し、鉄心2aはいっそう磁気飽和し、負荷電流のピーク時において、鉄心2aの磁界の強さHはHA2に移動する。他方、鉄心2bは減磁し、鉄心2bの磁界の強さHの絶対値は負荷電流のピーク時において、HB2に減少するが、飽和領域にある。
次に、コイル3の他方の端子3bから負荷電流が流れ込むと、鉄心2aは減磁され、電流ピーク時において磁界の強さHはHA3に減少するが、飽和領域にある。また、鉄心2bの磁界の強さHは電流ピーク時においてHB3になり、鉄心2bはいっそう磁気飽和する。上記のように、負荷電流通電時には、いずれの方向の電流が流れても鉄心2a,2bの一方が磁気飽和しているので、限流器のインダクタンスは低い状態にある。
次に、コイル3の他方の端子3bから負荷電流が流れ込むと、鉄心2aは減磁され、電流ピーク時において磁界の強さHはHA3に減少するが、飽和領域にある。また、鉄心2bの磁界の強さHは電流ピーク時においてHB3になり、鉄心2bはいっそう磁気飽和する。上記のように、負荷電流通電時には、いずれの方向の電流が流れても鉄心2a,2bの一方が磁気飽和しているので、限流器のインダクタンスは低い状態にある。
次に、短絡電流のような過大な電流が流れた場合について説明する。
コイル3の一方の端子3aから短絡電流が流れ込むと、鉄心2aの磁界の強さHは電流ピーク時にHA4になり、鉄心2aはいっそう大きく飽和する。これに対し、鉄心2bの磁界の強さHはHB6の右側の領域内のHB4になる。鉄心2bはHB6の右側の領域に入ると磁気飽和が解け、BH曲線の傾斜が高い領域に入るためインダクタンスが大きくなり短絡電流が抑制される。
次に、コイル3の他方の端子3bから短絡電流が流れ込むと鉄心2bの磁界の強さHは電流ピーク時にHB5になり、鉄心2bはいっそう大きく飽和する。これに対し、鉄心2aの磁界の強さHは電流ピーク時にHA5になり、鉄心2aの磁界の強さHがHA6の左側の領域に入ると磁気飽和が解け、BH曲線の傾斜が高い領域に入るためインダクタンスが大きくなり短絡電流が抑制される。
上記のように、短絡電流の通電時には、いずれの方向の電流が流れても一方の鉄心の磁気飽和が解けるので、限流器のインダクタンスは高い状態になり、短絡電流が抑制される。
なお、鉄心2aでは、大きな電流が流れるとHA8まで到達し、鉄心2bではHB8まで到達し、再度磁気飽和が生じる。この場合、インダクタンスは再度低い状態になり、限流作用は小さくなる。このため、大電流が流れても極力HA8,HB8の状態にならないようにすることが必要である。
コイル3の一方の端子3aから短絡電流が流れ込むと、鉄心2aの磁界の強さHは電流ピーク時にHA4になり、鉄心2aはいっそう大きく飽和する。これに対し、鉄心2bの磁界の強さHはHB6の右側の領域内のHB4になる。鉄心2bはHB6の右側の領域に入ると磁気飽和が解け、BH曲線の傾斜が高い領域に入るためインダクタンスが大きくなり短絡電流が抑制される。
次に、コイル3の他方の端子3bから短絡電流が流れ込むと鉄心2bの磁界の強さHは電流ピーク時にHB5になり、鉄心2bはいっそう大きく飽和する。これに対し、鉄心2aの磁界の強さHは電流ピーク時にHA5になり、鉄心2aの磁界の強さHがHA6の左側の領域に入ると磁気飽和が解け、BH曲線の傾斜が高い領域に入るためインダクタンスが大きくなり短絡電流が抑制される。
上記のように、短絡電流の通電時には、いずれの方向の電流が流れても一方の鉄心の磁気飽和が解けるので、限流器のインダクタンスは高い状態になり、短絡電流が抑制される。
なお、鉄心2aでは、大きな電流が流れるとHA8まで到達し、鉄心2bではHB8まで到達し、再度磁気飽和が生じる。この場合、インダクタンスは再度低い状態になり、限流作用は小さくなる。このため、大電流が流れても極力HA8,HB8の状態にならないようにすることが必要である。
図5に短絡電流ISと限流された電流ILを比較して示す。鉄心2aの磁界の強さHがHA6の左側の領域に入ると磁気飽和が解けて限流動作を始める。また、鉄心2bの磁界の強さHの絶対値がHB6の右側の領域に入ると磁気飽和が解けて限流動作を始める。
鉄心2a,2bの磁気飽和が解けるまでは、短絡電流は限流されないが、鉄心2a,2bの磁気飽和が解けると鉄心2a,2bのインダクタンスが増大し短絡電流ISが限流電流ILに抑制される。抑制された短絡電流ILは、限流器の負荷側に接続される開閉器で遮断される。
鉄心2a,2bの磁気飽和が解けるまでは、短絡電流は限流されないが、鉄心2a,2bの磁気飽和が解けると鉄心2a,2bのインダクタンスが増大し短絡電流ISが限流電流ILに抑制される。抑制された短絡電流ILは、限流器の負荷側に接続される開閉器で遮断される。
ところで、(A1)短絡電流を大きく限流させるには磁気飽和が解けた場合のインダクタンスが大きいこと、特に大きな電流までインダクタンスが大きいことが必要である。
一方、(A2)定格運転時である負荷電流通電時にはインダクタンスを小さくし、限流器両端の電圧を小さくしたい。インダクタンスが大きければ限流器両端の電圧が大きくなり、他の装置に加わる電圧が低下するなどの原因になる。
前記(A2)のためには、永久磁石で鉄心を十分飽和させること、特にコイルに鎖交する部分の鉄心を十分飽和させることが必要である。以下でこれが必要な理由について述べる。
コイル電流をi、コイルに鎖交する磁束をφとすると、インダクタンスは次の式1に示されるdφ/diに比例する。すなわち、微小変化後の電流i2と微小変化前の電流i1の間の磁束φ2と磁束φ1との差に比例する。
dφ/di=(φ2−φ1)/(i2−i1)…………(式1)
定常運転時即ち負荷電流運転時(コイル電流iが小さい場合)、永久磁石により鉄心は大部分飽和状態にあるが、飽和度が低い部分が存在すると鉄心の透磁率が高くなる。この場合、コイルに鎖交する磁束φはコイル断面積をS、コイルに鎖交する磁界をHとするとφ=μHSであるので、透磁率μが高い部分の磁束φが大きくなり、φ2−φ1も大きくなり、インダクタンスが大きくなる。
一方、(A2)定格運転時である負荷電流通電時にはインダクタンスを小さくし、限流器両端の電圧を小さくしたい。インダクタンスが大きければ限流器両端の電圧が大きくなり、他の装置に加わる電圧が低下するなどの原因になる。
前記(A2)のためには、永久磁石で鉄心を十分飽和させること、特にコイルに鎖交する部分の鉄心を十分飽和させることが必要である。以下でこれが必要な理由について述べる。
コイル電流をi、コイルに鎖交する磁束をφとすると、インダクタンスは次の式1に示されるdφ/diに比例する。すなわち、微小変化後の電流i2と微小変化前の電流i1の間の磁束φ2と磁束φ1との差に比例する。
dφ/di=(φ2−φ1)/(i2−i1)…………(式1)
定常運転時即ち負荷電流運転時(コイル電流iが小さい場合)、永久磁石により鉄心は大部分飽和状態にあるが、飽和度が低い部分が存在すると鉄心の透磁率が高くなる。この場合、コイルに鎖交する磁束φはコイル断面積をS、コイルに鎖交する磁界をHとするとφ=μHSであるので、透磁率μが高い部分の磁束φが大きくなり、φ2−φ1も大きくなり、インダクタンスが大きくなる。
ここで、従来の限流器のコイル電流が零の場合の、鉄心中の磁束分布Fを図6に示す。図6(a)は実施の形態1における鉄心の磁束分布を示す平面図である。図6(b)は図6(a)のA−A線に沿った磁束分布を示す線図である。図6(c)は実施の形態1における磁束未飽和部と磁束飽和部を示す平面図である。
図6(b)に示すように、鉄心部において、コイル軸C1に沿った鉄心2a,2bの両端部は最も磁束が少なく、コイル軸C1に沿って限流器中央C2に近づくにつれ鉄心2a,2b中の磁束が増加する。永久磁石1a,1bがとぎれる位置E1,E2近傍で鉄心の磁束は最大になる。これ以上中央部C2に近づいても永久磁石1a,1bがないために鉄心2a,2bの磁束は増加しない。
図6(b)に示すように、鉄心部において、コイル軸C1に沿った鉄心2a,2bの両端部は最も磁束が少なく、コイル軸C1に沿って限流器中央C2に近づくにつれ鉄心2a,2b中の磁束が増加する。永久磁石1a,1bがとぎれる位置E1,E2近傍で鉄心の磁束は最大になる。これ以上中央部C2に近づいても永久磁石1a,1bがないために鉄心2a,2bの磁束は増加しない。
鉄心2a,2b中でコイル軸C1に沿った方向で、A−A線上の磁束の分布Fを図6(b)に示す。
一般に限流器では永久磁石量を最小にするため、鉄心2a,2bにおける磁束密度最高部のみを飽和するように設定する。この場合、軸方向長さL1で示される鉄心2a,2bの永久磁石存在部は磁束が弱くなり未飽和部となる。すなわち、軸方向長さL1で示される鉄心2a,2bの永久磁石存在部は透磁率は高い。従来例のように、軸方向長さL1で示される永久磁石存在部にもコイルを配置した場合、透磁率が高い部分の磁束がコイルに鎖交するため、低電流でもインダクタンスが高くなる欠点があった。図6(c)では、鉄心2a,2bのうち、NSは磁束未飽和部、FSは磁束飽和部を示す。
一般に限流器では永久磁石量を最小にするため、鉄心2a,2bにおける磁束密度最高部のみを飽和するように設定する。この場合、軸方向長さL1で示される鉄心2a,2bの永久磁石存在部は磁束が弱くなり未飽和部となる。すなわち、軸方向長さL1で示される鉄心2a,2bの永久磁石存在部は透磁率は高い。従来例のように、軸方向長さL1で示される永久磁石存在部にもコイルを配置した場合、透磁率が高い部分の磁束がコイルに鎖交するため、低電流でもインダクタンスが高くなる欠点があった。図6(c)では、鉄心2a,2bのうち、NSは磁束未飽和部、FSは磁束飽和部を示す。
低電流でもインダクタンスが高くなる問題を回避するには、(B1)コイルを鉄心の飽和度が高い部分にのみ配置すること、(B2)コイル鎖交部の鉄心の飽和度を高めることが重要である。
前記(B1)のためには、鉄心2a,2bの磁束飽和部であるコイル軸C1に沿って永久磁石のない部分、すなわち軸線C1における軸方向長さL2で示される永久磁石非存在域NPに対向する鉄心2a,2bの部分を囲む軸方向位置範囲以内に、コイル両端部3c,3dが来るようにすることが必要であり。前記(B2)のためには、コイル軸に沿って永久磁石のない部分、すなわち軸線C1における軸方向長さL2で示される永久磁石非存在域NPの軸方向長さをある程度短くすることが重要である。
磁界計算の結果、永久磁石の軸方向長さL1よりも永久磁石1a,1bが存在しない永久磁石非存在域NPの軸方向長さL2が短ければ、鉄心2a,2bからの漏れが少なく鉄心中央部C2近傍でも透磁率が高くならないことが分かった。
なお、永久磁石1a,1bが大きく、永久磁石1a,1bの磁界が強い場合、磁束飽和部は軸方向長さL3の範囲のみならず永久磁石側L1にまで拡大する。この場合、コイル3を永久磁石側L1にまで拡張して配置しても良い。但し、永久磁石が大きくなり高価になる。
前記(B1)のためには、鉄心2a,2bの磁束飽和部であるコイル軸C1に沿って永久磁石のない部分、すなわち軸線C1における軸方向長さL2で示される永久磁石非存在域NPに対向する鉄心2a,2bの部分を囲む軸方向位置範囲以内に、コイル両端部3c,3dが来るようにすることが必要であり。前記(B2)のためには、コイル軸に沿って永久磁石のない部分、すなわち軸線C1における軸方向長さL2で示される永久磁石非存在域NPの軸方向長さをある程度短くすることが重要である。
磁界計算の結果、永久磁石の軸方向長さL1よりも永久磁石1a,1bが存在しない永久磁石非存在域NPの軸方向長さL2が短ければ、鉄心2a,2bからの漏れが少なく鉄心中央部C2近傍でも透磁率が高くならないことが分かった。
なお、永久磁石1a,1bが大きく、永久磁石1a,1bの磁界が強い場合、磁束飽和部は軸方向長さL3の範囲のみならず永久磁石側L1にまで拡大する。この場合、コイル3を永久磁石側L1にまで拡張して配置しても良い。但し、永久磁石が大きくなり高価になる。
この実施の形態1では、二個の鉄心2a,2b、互いに隔てて前記鉄心2a,2bの間に設けられる二個の永久磁石1a,1b、前記二個の永久磁石1a,1bは前記鉄心2a,2bの磁場を強めるようにかつ鉄心2a,2bの両端に配置され、前記二個の鉄心2a,2bの外側に巻かれたコイル3を有し、コイル3に電流が流れていない場合には前記2個の鉄心2a,2bは磁気飽和し、コイル3に負荷電流が通電中にも前記二個の鉄心2a,2bは磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイル3に過大な電流が流れると、一方の鉄心2aまたは2bの磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル3が、コイル軸方向にそった限流器中心近傍かつ永久磁石がない位置に配置されていることを特徴とする限流器が提案されている。
このように構成したことにより、負荷電流通電時に、コイルを二個の鉄心の磁気飽和が解けることがない位置に配置できるので低インダクタンスにすることができ、限流器の損失を抑えることができる。
この発明による実施の形態1によれば、互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心2a,2b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの間に配設され、永久磁石非存在域NPを介し前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石1a,1b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線C1を中心として前記第1および第2の鉄心2a,2bを囲んで巻回されるコイル3を備え、前記第1および第2の永久磁石1a,1bは前記第1および第2の鉄心2a,2bの磁場を強めるように配置されて、前記コイル3に電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和し、前記コイル3に負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイル3に過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心2a,2bにおける一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、前記コイル3軸方向における前記第1および第2の鉄心2a,2bの前記永久磁石非存在域NPに対向する部分を囲む軸方向位置に限定して前記コイル3が設けられているので、コイル軸方向における前記第1および第2の鉄心の前記永久磁石非存在域NPに対向する部分を囲む軸方向長さL2で示される軸方向位置に限定して前記コイル3を設けることにより、定常運転状態におけるインダクタンスを適切に低減し限流器の性能を的確に向上できる限流器を得ることができる。
実施の形態2.
この発明による実施の形態2を図7および図8について説明する。図7は実施の形態2における限流器の構成を示す斜視図である。図8は実施の形態2におけるコイルの磁界分布およびコイルの長さとの関係を示す線図である。
この実施の形態2において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
この発明による実施の形態2を図7および図8について説明する。図7は実施の形態2における限流器の構成を示す斜視図である。図8は実施の形態2におけるコイルの磁界分布およびコイルの長さとの関係を示す線図である。
この実施の形態2において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
図7において、一対の永久磁石1a,1bは対向配置された鉄心2a,2bの間に配置され、永久磁石1aの上面はN極、下面はS極に着磁されており、永久磁石1bの上面はS極、下面はN極に着磁されている。
一対の鉄心2a,2bは互いに並行して延在し、互いに対向配置され、その材質としては通常、ケイ素鋼板が用いられる。
鉄心2a,2bの外側には、コイル3が巻かれている。このコイルは、単層状態で巻かれてもよいし、多層状態に巻かれてもよい。このコイル3には、コイル3の一端に接続された一方の端子3aおよびコイル3の他端に接続された他方の端子3bが設けられている。
コイル3は、鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線C1を中心として鉄心2a,2bを囲んで巻回されている。
一対の鉄心2a,2bは互いに並行して延在し、互いに対向配置され、その材質としては通常、ケイ素鋼板が用いられる。
鉄心2a,2bの外側には、コイル3が巻かれている。このコイルは、単層状態で巻かれてもよいし、多層状態に巻かれてもよい。このコイル3には、コイル3の一端に接続された一方の端子3aおよびコイル3の他端に接続された他方の端子3bが設けられている。
コイル3は、鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線C1を中心として鉄心2a,2bを囲んで巻回されている。
軸線C1における軸方向長さL1をそれぞれ持つ一対の永久磁石1a,1bは、互いに並行して延在する鉄心2a,2bの間において、軸線C1における軸方向長さL2を持つ永久磁石非存在域NPを介し互いに間隔を置いて配置されている。
コイル3は、永久磁石1a,1b間の軸方向長さL3を持つ永久磁石非存在域NPに対向する鉄心2a,2bの中央部分を囲んで配置されている。コイル3の軸線C1方向における軸方向長さL3は、永久磁石非存在域NPの軸線C1における軸方向長さL2と等しい。
コイル3の一端面を形成する図示左側端面3eは永久磁石1aの永久磁石非存在域NPに面する図示右側端面1eと軸線C1方向における軸方向位置として同じ位置に配置される。すなわち、コイル3の端面3eの軸方向位置は、コイル3と永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E1と同位置の軸方向位置である。また、コイル3の他端面を形成する図示左端面3dは永久磁石1bの永久磁石非存在域NPに面する図示右側端面1dと軸線C1方向における軸方向位置として同じ位置に配置されている。すなわち、コイル3の端面3fの軸方向位置は、コイル3と永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E2と同位置の軸方向位置である。
コイル3は、永久磁石1a,1b間の軸方向長さL3を持つ永久磁石非存在域NPに対向する鉄心2a,2bの中央部分を囲んで配置されている。コイル3の軸線C1方向における軸方向長さL3は、永久磁石非存在域NPの軸線C1における軸方向長さL2と等しい。
コイル3の一端面を形成する図示左側端面3eは永久磁石1aの永久磁石非存在域NPに面する図示右側端面1eと軸線C1方向における軸方向位置として同じ位置に配置される。すなわち、コイル3の端面3eの軸方向位置は、コイル3と永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E1と同位置の軸方向位置である。また、コイル3の他端面を形成する図示左端面3dは永久磁石1bの永久磁石非存在域NPに面する図示右側端面1dと軸線C1方向における軸方向位置として同じ位置に配置されている。すなわち、コイル3の端面3fの軸方向位置は、コイル3と永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E2と同位置の軸方向位置である。
先に、短絡電流時に大きな電流までインダクタンスが大きいことが必要であると述べ、これを避けるにはコイル電流が大きい場合でもコイルが発生する磁界を小さくし、再飽和の図3,図4のHA8,HB8の状態に到達することを避けることが有効と述べた。
コイルターン数を減少させればコイル磁界を弱めることが可能であるが、コイルのターン数は必要なインダクタンスを確保するために低減できない。このため、コイル磁界低減にはコイルを長くすることが必要である。
コイルターン数を減少させればコイル磁界を弱めることが可能であるが、コイルのターン数は必要なインダクタンスを確保するために低減できない。このため、コイル磁界低減にはコイルを長くすることが必要である。
これらの関係を図8に示す。F1はコイルが短い場合の磁界分布で、F2はコイルが長い場合の磁界分布である。但し、両者のコイルのターン数は等しい。
コイルが短い場合、最高磁界F1mが、長い場合の最高磁界F2mに比べ非常に大きくなる。この最高磁界により限流器の中央部C2で飽和が解け、低電流においても、インダクタンスが増加する。このためコイル3の軸方向長さL3は極力長く取りたい。
実施の形態1では鉄心が飽和している軸方向長さL2で示される部分のいづれかに配置すると述べたが、コイル軸方向長さL3の最適値は、図7に示すようにコイル両端3e,3fの軸方向位置が永久磁石がない部分、すなわち永久磁石非存在域NPの軸方向両端と一致していることである。なお、コイル軸方向長さ位置は多少ずれていても問題ないことはいうまでもない。
コイルが短い場合、最高磁界F1mが、長い場合の最高磁界F2mに比べ非常に大きくなる。この最高磁界により限流器の中央部C2で飽和が解け、低電流においても、インダクタンスが増加する。このためコイル3の軸方向長さL3は極力長く取りたい。
実施の形態1では鉄心が飽和している軸方向長さL2で示される部分のいづれかに配置すると述べたが、コイル軸方向長さL3の最適値は、図7に示すようにコイル両端3e,3fの軸方向位置が永久磁石がない部分、すなわち永久磁石非存在域NPの軸方向両端と一致していることである。なお、コイル軸方向長さ位置は多少ずれていても問題ないことはいうまでもない。
この実施の形態2では、二個の鉄心2a,2b、互いに隔てて前記鉄心2a,2bの間に設けられる二個の永久磁石1a,1b、前記二個の永久磁石1a,1bは前記鉄心2a,2bの磁場を強めるようにかつ鉄心2a,2bの両端に配置され、前記二個の鉄心2a,2bの外側に巻かれたコイル3を有し、コイル3に電流が流れていない場合には前記2個の鉄心2a,2bは磁気飽和し、コイル3に負荷電流が通電中にも前記二個の鉄心は磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイル3に過大な電流が流れると、一方の鉄心2aまたは2bの磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル3の両端位置が、コイル軸方向にそって永久磁石存在位置と存在しない位置の境界E1,E2付近にあることを特徴とする限流器が提案されている。
このように構成したことにより、コイルの長さを極力長くできるので、コイルの磁界が弱くなり、短絡電流発生時に、大電流においても大きなインダクタンスを得ることができる。
この発明による実施の形態2によれば、互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心2a,2b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの間に配設され、永久磁石非存在域NPを介し前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石1a,1b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線C1を中心として前記第1および第2の鉄心2a,2bを囲んで巻回されるコイル3を備え、前記第1および第2の永久磁石1a,1bは前記第1および第2の鉄心2a,2bの磁場を強めるように配置されて、前記コイル3に電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和し、前記コイル3に負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイル3に過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心2a,2bにおける一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、前記コイル3の軸方向両端位置3e,3fが、コイル3軸方向における前記第1および第2の永久磁石1a,1bが配設された位置と前記永久磁石非存在域NPとの境界を示す軸方向位置E1,E2付近にあるようにしたので、コイルの軸方向両端位置が、コイル軸方向における前記第1および第2の永久磁石が配設された位置と前記永久磁石非存在域NPとの境界付近にあるようにすることにより、定常運転状態におけるインダクタンスを適切に低減し限流器の性能を的確に向上できる限流器を得ることができる。
実施の形態3.
この発明による実施の形態3を実施の形態2で示した図7について説明する。
この発明による実施の形態3を実施の形態2で示した図7について説明する。
図7で説明する。永久磁石のない部分の軸方向長さL2は短い方が良いと実施の形態1で述べた。一方、実施の形態2で、コイルの軸方向長さL3は極力長くするのが良く、コイル両端3e,3fを永久磁石のない部分、すなわち永久磁石非存在域NPの両端E1,E2に等しく設定するのが最適であると述べた。後者は永久磁石のない部分、すなわち永久磁石非存在域NPの軸方向長さL2は長い方が良いことを意味する。
上記より、永久磁石のない部分の軸方向長さL2には最適値がある。永久磁石のない部分の軸方向長さL2と永久磁石の長さL1の比LAを種々変化させて最適値を計算した結果、比LAが0.5から0.8程度に最適値があることが判明した。
定格の4倍の電流の短絡時のインダクタンスを1とし、定格のインダクタンスの比LBを求めた。この比は定格インダクタンスは小さい方が良いので小さい方が良いが、最適化後のインダクタンスの比LBは0.5以下が得られている。
一方、比LAが1.9と永久磁石がない部分の軸方向長さL2の方が永久磁石の軸方向長さL1よりも長い場合、比LBは1しか得られない。
更に、定格の6倍通電時はインダクタンスが大きい方が良く、定格の4倍の通電時短絡時のインダクタンスに対する比LCは大きい方が良い。比LAが最適の0.5から0.8程度の場合比LCは1程度の値が得られた。永久磁石が長い比LAが1.9の場合、比LCは0.3程度とインダクタンスが低下してしまう。
上記より、永久磁石のない部分の軸方向長さL2には最適値がある。永久磁石のない部分の軸方向長さL2と永久磁石の長さL1の比LAを種々変化させて最適値を計算した結果、比LAが0.5から0.8程度に最適値があることが判明した。
定格の4倍の電流の短絡時のインダクタンスを1とし、定格のインダクタンスの比LBを求めた。この比は定格インダクタンスは小さい方が良いので小さい方が良いが、最適化後のインダクタンスの比LBは0.5以下が得られている。
一方、比LAが1.9と永久磁石がない部分の軸方向長さL2の方が永久磁石の軸方向長さL1よりも長い場合、比LBは1しか得られない。
更に、定格の6倍通電時はインダクタンスが大きい方が良く、定格の4倍の通電時短絡時のインダクタンスに対する比LCは大きい方が良い。比LAが最適の0.5から0.8程度の場合比LCは1程度の値が得られた。永久磁石が長い比LAが1.9の場合、比LCは0.3程度とインダクタンスが低下してしまう。
この実施の形態3では、二個の鉄心2a,2b、互いに隔てて前記鉄心2a,2bの間に設けられる二個の永久磁石1a,1b、前記二個の永久磁石1a,1bは前記鉄心2a,2bの磁場を強めるようにかつ鉄心2a,2bの両端に配置され、前記二個の鉄心2a,2bの外側に巻かれたコイル3を有し、コイル3に電流が流れていない場合には前記2個の鉄心2a,2bは磁気飽和し、コイル3に負荷電流が通電中にも前記二個の鉄心は磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイル3に過大な電流が流れると、一方の鉄心2aまたは2bの磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル軸方向にそって、永久磁石1a,1bの軸方向長さL1に比べ永久磁石がない部分の軸方向長さL2の方が短いことを特徴とする限流器が提案されている。
このように構成したことにより、鉄心からの漏れが少なくなり、負荷電流通電時に、コイルを2個の鉄心の磁気飽和が解けることがなくでき、低インダクタンスにすることができ、損失を抑えることができる。
また、この実施の形態3では、二個の鉄心2a,2b、互いに隔てて前記鉄心2a,2bの間に設けられる二個の永久磁石1a,1b、前記二個の永久磁石1a,1bは前記鉄心2a,2bの磁場を強めるようにかつ鉄心2a,2bの両端に配置され、前記二個の鉄心2a,2bの外側に巻かれたコイル3を有し、コイル3に電流が流れていない場合には前記2個の鉄心2a,2bは磁気飽和し、コイル3に負荷電流が通電中にも前記二個の鉄心は磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイル3に過大な電流が流れると、一方の鉄心2aまたは2bの磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル軸方向にそって、永久磁石存在部に比べ永久磁石がない部分の比LAが1以下0.5以上であることを特徴とする限流器が提案されている。
このように構成したことにより、コイル長、永久磁石非存在部の長さを最適化できるので、負荷通電時に低インダクタンスにすることができ、かつ短絡電流発生時に、大電流でも大きなインダクタンスを得ることができる。
この発明による実施の形態3によれば、互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心2a,2b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの間に配設され、永久磁石非存在域NPを介し前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石1a,1b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線C1を中心として前記第1および第2の鉄心2a,2bを囲んで巻回されるコイル3を備え、前記第1および第2の永久磁石1a,1bは前記第1および第2の鉄心2a,2bの磁場を強めるように配置されて、前記コイル3に電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和し、前記コイル3に負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイル3に過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心2a,2bにおける一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル3の軸方向における前記第1および第2の永久磁石1a,1bの軸方向長さL1に比べ前記永久磁石非存在域NPの軸方向長さL2の方が短いようにしたので、コイル軸方向における前記第1および第2の永久磁石の軸方向長さに比べ前記永久磁石非存在域NPの軸方向長さの方が短いように選定することにより、定常運転状態におけるインダクタンスを適切に低減し限流器の性能を的確に向上できる限流器を得ることができる。
また、この発明による実施の形態3によれば、実施の形態2における構成において、互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心2a,2b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの間に配設され、永久磁石非存在域NPを介し前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石1a,1b、前記第1および第2の鉄心2a,2bの延在方向と並行する軸線C1を中心として前記第1および第2の鉄心2a,2bを囲んで巻回されるコイル3を備え、前記第1および第2の永久磁石1a,1bは前記第1および第2の鉄心2a,2bの磁場を強めるように配置されて、前記コイル3に電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和し、前記コイル3に負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心2a,2bは磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイル3に過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心2a,2bにおける一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル軸方向における前記第1および第2の永久磁石の軸方向長さL1に比べ前記永久磁石非存在域NPの軸方向長さL2の比LAが1以下0.5以上であるようにしたので、コイル軸方向における前記第1および第2の永久磁石の軸方向長さと前記永久磁石非存在域NPの軸方向長さとの比を所定値に選定することにより、定常運転状態におけるインダクタンスを適切に低減し限流器の性能を的確に向上できる限流器を得ることができる。
1a,1b 永久磁石、2a,2b 鉄心、3 コイル。
Claims (4)
- 互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心、前記第1および第2の鉄心の間に配設され、永久磁石非存在域を介し前記第1および第2の鉄心の延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石、前記第1および第2の鉄心の延在方向と並行する軸線を中心として前記第1および第2の鉄心を囲んで巻回されるコイルを備え、前記第1および第2の永久磁石は前記第1および第2の鉄心の磁場を強めるように配置されて、前記コイルに電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心は磁気飽和し、前記コイルに負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心は磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイルに過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心における一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、前記コイル軸方向における前記第1および第2の鉄心の前記永久磁石非存在域に対向する部分を囲む軸方向位置に限定して前記コイルが設けられていることを特徴とする限流器。
- 互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心、前記第1および第2の鉄心の間に配設され、永久磁石非存在域を介し前記第1および第2の鉄心の延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石、前記第1および第2の鉄心の延在方向と並行する軸線を中心として前記第1および第2の鉄心を囲んで巻回されるコイルを備え、前記第1および第2の永久磁石は前記第1および第2の鉄心の磁場を強めるように配置されて、前記コイルに電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心は磁気飽和し、前記コイルに負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心は磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイルに過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心における一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、前記コイルの軸方向両端位置が、コイル軸方向における前記第1および第2の永久磁石が配設された位置と前記永久磁石非存在域との境界付近にあることを特徴とする限流器。
- 互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心、前記第1および第2の鉄心の間に配設され、永久磁石非存在域を介し前記第1および第2の鉄心の延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石、前記第1および第2の鉄心の延在方向と並行する軸線を中心として前記第1および第2の鉄心を囲んで巻回されるコイルを備え、前記第1および第2の永久磁石は前記第1および第2の鉄心の磁場を強めるように配置されて、前記コイルに電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心は磁気飽和し、前記コイルに負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心は磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイルに過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心における一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル軸方向における前記第1および第2の永久磁石の軸方向長さに比べ前記永久磁石非存在域の軸方向長さの方が短いことを特徴とする限流器。
- 互いに並行して延在し対向して配置される第1および第2の鉄心、前記第1および第2の鉄心の間に配設され、永久磁石非存在域を介し前記第1および第2の鉄心の延在方向に互いに隔てて配置される第1および第2の永久磁石、前記第1および第2の鉄心の延在方向と並行する軸線を中心として前記第1および第2の鉄心を囲んで巻回されるコイルを備え、前記第1および第2の永久磁石は前記第1および第2の鉄心の磁場を強めるように配置されて、前記コイルに電流が流れていない場合には前記第1および第2の鉄心は磁気飽和し、前記コイルに負荷電流が通電中にも前記第1および第2の鉄心は磁気飽和が保たれるように構成され、前記コイルに過大な電流が流れると、前記第1および第2の鉄心における一方の鉄心の磁気飽和が解けるように構成された限流器において、コイル軸方向における前記第1および第2の永久磁石の軸方向長さに比べ前記永久磁石非存在域の軸方向長さの比が1以下0.5以上であることを特徴とする請求項2に記載の限流器。
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