JP7015657B2 - 直流給電用限流コイル - Google Patents
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Description
直流給電において使用される直流給電用限流コイルであって、
磁束を通しやすい材料で作られたコアと、
前記コアにおいて異なる位置に巻回され、差動接続の向きに接続された2つのコイルと、
前記コアに巻回され、前記2つのコイルの間に相互誘導が生じることを妨げる短絡コイルと、
を備え、
前記コアが、対向する第1のヨークおよび第2のヨークと、当該第1のヨークの一方の端部および当該第2のヨークの一方の端部を連結する第1の脚部と、当該第1のヨークの他方の端部および当該第2のヨークの他方の端部を連結する第2の脚部とを有し、
前記2つのコイルの一方が、前記第1の脚部に巻回されており、
前記2つのコイルの他方が、前記第2の脚部に巻回されており、
前記短絡コイルは、前記コアにおいて前記第1の脚部と前記第2の脚部の間に配置され、かつ前記2つのコイルからそれぞれ生じる磁束の大きさに差がある位置に配置されることを特徴とする。
前記コアが、前記第1のヨークの中間部分と前記第2のヨークの中間部分を連結する第4の脚部を有し、
前記短絡コイルが、前記第1のヨークと前記第2のヨークの少なくとも一方において前記第2の脚部と前記第4の脚部の間に配置され、かつ前記第1のヨークと前記第2のヨークのいずれにおいても前記第1の脚部と前記第4の脚部の間には配置されていないことを特徴とする。
前記コアが、前記第1のヨークの他方の端部から延長された第1の拡張ヨークと、前記第2のヨークの他方の端部から延長された第2の拡張ヨークと、当該第1の拡張ヨークにおける前記第1のヨークと反対側の端部と当該第2の拡張ヨークにおける前記第2のヨークと反対側の端部とを連結する第3の脚部を有することを特徴とする。
限流コイル100は、コイル10と、コア20とを有する。コイル10はコア20に巻かれている。コイル10は、巻き始めと巻き終わりがそれぞれ端子T1と端子T2に接続されている。コア20は、鉄のような磁束を通しやすい材料で作られている。ただし、コア20は、磁束を通しやすい材料であれば、鉄以外の材料で作られていてもよい。
短絡事故等が起こり、図2に示すように、端子T1と端子T2をそれぞれ正側と負側として急に大きな電圧が印加されると、端子T1から端子T2に向けてコイル10に電流iが流れる。電流iによって、コア20の内部に磁束Φ2が生じる。急に大きな電圧が印加された後、コイル10のインダクタンスのために電流iは徐々に増加し、それに伴い磁束Φ2は徐々に増加する。
このように、大きな電圧が印加されたとき、コア20内の磁束はΦ1+Φ2となり、Φ1から徐々に増加する。このため、限流コイル100は磁気飽和するまでに磁束の変化可能な幅が小さい。従って、電流iが増加すると、コア20は磁気飽和しやすい。コア20が磁気飽和すると、電流iは瞬時に増加する。
磁気飽和する直前まで電流iが増加した後、電流が遮断されてコイル10に流れる電流が0になっても、残留磁化のために磁束密度Bはc点までしか減少しない。そして、再度コイル10に直流電流Iが流れると、磁束密度Bはd点となる。この状態で急に大きな電圧が印加され、コイル10に電流iが流れるとき、磁束密度Bはd点からb点までしか増加しない。
この理由からも限流コイル100はコア20が磁気飽和するまでに磁束の変化可能な幅が小さい。
限流コイル200は、コイル11と、コイル12と、コア20とを有する。コイル11とコイル12は、差動接続されている。コイル11は、巻き始めが端子T1に接続されている。コイル12は、巻き始めが端子T2に接続されている。コイル11とコイル12の巻き終わりは接続されている。
コイル11とコイル12の自己インダクタンスをそれぞれL11とL12、相互インダクタンスをMとすると、限流コイル200の合成インダクタンスはL11+L12-2Mとなる。
磁気飽和する直前まで電流iが増加した後、電流が遮断されてコイル11とコイル12に流れる電流が0になると、コア20には残留磁化が生じる。しかし、再度コイル10に直流電流Iが流れると、磁束密度Bは略0となる。この状態で急に大きな電圧が印加され、コイル11とコイル12に電流iが流れるとき、磁束密度Bは略0からb点まで増加することができる。
このため。限流コイル200はコア20が磁気飽和するまでに磁束の変化可能な幅が大きい。
限流コイル1は、コイル11と、コイル12と、コア20と、短絡リング30とを有する。
限流コイル1のコイル11とコイル12は、限流コイル200と同様に、差動接続の向きに接続される。そして、コイル11とコイル12は、コア20において異なる位置に巻回される。コイル11は、巻き始めが端子T1に接続される。コイル12は、巻き始めが端子T2に接続される。コイル11とコイル12の巻き終わりは接続される。
なお、複数回巻かれた巻線を有し、その巻線の巻き始めと巻き終わりが短絡されているものを短絡コイルという。また、配線がリング状になっているものを短絡リングという。本発明において、短絡リングと短絡コイルのいずれを用いても作用と効果は同一である。そこで、本発明では、短絡リングは短絡コイルに含まれるものとする。
短絡リング30Aと短絡リング30Bは、渦電流を生じてそれらの配置された位置における磁束の変動を妨げる。
そして、電流iによって、コイル11には漏れ磁束ΦL21が生じ、コイル12には漏れ磁束ΦL22が生じる。時間が経過するとともに電流iが増加し、漏れ磁束ΦL21と漏れ磁束ΦL22は増加する。漏れ磁束ΦL21に対応するコイル11の自己インダクタンスをL21とし、漏れ磁束ΦL22に対応するコイル12の自己インダクタンスをL22とすると、限流コイル1の合成インダクタンスはL21+L22となる。電圧が急激に変化するとき、このインダクタンス(L21+L22)は電流iの急激な変化を抑制する。このため、図11に示すように、限流コイル1は、限流コイル200と比べて、電流iの増加率が小さく、電流を限流する性能が勝っている。
限流コイル1’は、限流コイル1に逆起電力抑止用ダイオードDrが付加されたものである。逆起電力抑止用ダイオードDrは、アノードが端子T2側に接続され、カソードが端子T1側に接続される。
端子T1から端子T2に向けて流れていた電流が遮断されると、図12に示すように、コイル11とコイル12に逆起電力が生じる。図12においてコイル11とコイル12の両端に付した+と-の符号は逆起電力の向きを示す。
コイル11とコイル12の逆起電力により流れる電流irは、コイル11とコイル12と逆起電力抑止用ダイオードDrによって形成されるループを流れる。
図13は、矩形状のコア21を有する限流コイル1Aの構成の一例を示す。
限流コイル1Aは、コイル11と、コイル12と、コア21と、短絡リング30Aと、短絡リング30Bと、逆起電力抑止用ダイオードDrとを有する。
コア21は、ヨークY1と、ヨークY2と、脚部P1と、脚部P2とを有する。ヨークY1とヨークY2は対向している。脚部P1は、ヨークY1の左の端部とヨークY2の左の端部を連結する。脚部P2は、ヨークY1の右の端部とヨークY2の右の端部を連結する。ヨークY2は、中間にギャップ(隙間)AG1を有する。ヨークY1とヨークY2と脚部P1と脚部P2とは矩形部を形成する。なお、ヨークY2は、中間にギャップ(隙間)AG1が無くてもよい。また、ヨークY1が中間にギャップ(隙間)を有していてもよい。
短絡リング30Aは、ヨークY1においてコイル12の近傍に配置されており、ヨークY1がその中心の孔を通っている。また、短絡リング30Bは、ヨークY2においてコイル12の近傍に配置されており、ヨーク2がその中心の孔を通っている。
なお、短絡リング30Aと短絡リング30Bは、いずれか一方のみでもよい。
限流コイル1Bは、コイル11と、コイル12と、コア22と、短絡リング30Aと、短絡リング30Bと、逆起電力抑止用ダイオードDrとを有する。
限流コイル1Bにおけるコイル11とコイル12と短絡リング30Aと短絡リング30Bと逆起電力抑止用ダイオードDrは、図13の限流コイル1Aのものと同一である。
限流コイル1Bは、コア22の構成が図13のコア21と異なる。コア22は、コア21に、拡張ヨークY3と、拡張ヨークY4と、脚部P3とが付加されたものである。すなわち、コア22は、ヨークY1と、ヨークY2と、拡張ヨークY3と、拡張ヨークY4と、脚部P1と、脚部P2と、脚部P3とを有する。
拡張ヨークY3は、ヨークY1の右の端部から延びる。拡張ヨークY4は、ヨークY2の右の端部から延びる。脚部P3は、拡張ヨークY3の右の端部(拡張ヨークY3におけるヨークY1と反対側の端部)と拡張ヨークY4の右の端部(拡張ヨークY4におけるヨークY2と反対側の端部)を連結する。脚部P3は中間にギャップ(隙間)AG2を有する。
限流コイル1Cは、コイル11と、コイル12と、コア23と、短絡リング30Aと、短絡リング30Bと、逆起電力抑止用ダイオードDrとを有する。
限流コイル1Cにおけるコイル11とコイル12と短絡リング30Aと短絡リング30Bと逆起電力抑止用ダイオードDrは、図13の限流コイル1Aのものと同一である。
限流コイル1Cは、コア23の構成が図13のコア21と異なる。コア23は、コア21に、脚部P4が付加されたものである。すなわち、コア23は、ヨークY1と、ヨークY2と、脚部P1と、脚部P2と、脚部P4とを有する。
脚部P4は、ヨークY1の中間部分とヨークY2の中間部分を連結する。脚部P4は、中間にギャップ(隙間)AG3を有する。
なお、短絡リング30Aと短絡リング30Bは、いずれか一方のみでもよい。
限流コイル1Dは、コイル11と、コイル12と、コア24と、短絡リング30Aと、短絡リング30Bと、逆起電力抑止用ダイオードDrとを有する。限流コイル1Dにおけるコイル11とコイル12と短絡リング30Aと短絡リング30Bと逆起電力抑止用ダイオードDrは、図15の限流コイル1Cのものと同一である。
限流コイル1Dは、コア24の構成が図15のコア23と異なる。コア24は、コア23に、拡張ヨークY3と、拡張ヨークY4と、脚部P3とが付加されたものである。すなわち、コア24は、ヨークY1と、ヨークY2と、拡張ヨークY3と、拡張ヨークY4と、脚部P1と、脚部P2と、脚部P3と、脚部P4とを有する。
拡張ヨークY3は、ヨークY1の右の端部から延びる。拡張ヨークY4は、ヨークY1の右の端部から延びる。脚部P3は、拡張ヨークY3の右の端部(拡張ヨークY3におけるヨークY1と反対側の端部)と拡張ヨークY4の右の端部(拡張ヨークY4におけるヨークY2と反対側の端部)を連結する。脚部P3は中間にギャップAG2を有する。
このため、本発明の直流給電用限流コイルを直流の給電線の途中に挿入することにより、時間が経過してもコアが磁気飽和しにくくなる。その結果、過大電流が突発的に生じにくくなる。そして、本発明の直流給電用限流コイルを遮断器やヒューズと共に用いることにより、遮断器やヒューズにより電流が遮断される前に過大電流が流れて遮断器や給電線に接続された機器等が損傷を受ける可能性を少なくすることができる。
Claims (3)
- 直流給電において使用される直流給電用限流コイルであって、
磁束を通しやすい材料で作られたコアと、
前記コアにおいて異なる位置に巻回され、差動接続の向きに接続された2つのコイルと、
前記コアに巻回され、前記2つのコイルの間に相互誘導が生じることを妨げる短絡コイルと、を備え、
前記コアが、対向する第1のヨークおよび第2のヨークと、当該第1のヨークの一方の端部および当該第2のヨークの一方の端部を連結する第1の脚部と、当該第1のヨークの他方の端部および当該第2のヨークの他方の端部を連結する第2の脚部とを有し、
前記2つのコイルの一方が、前記第1の脚部に巻回されており、
前記2つのコイルの他方が、前記第2の脚部に巻回されており、
前記短絡コイルは、前記コアにおいて前記第1の脚部と前記第2の脚部の間に配置され、かつ前記2つのコイルからそれぞれ生じる磁束の大きさに差がある位置に配置されることを特徴とする直流給電用限流コイル。 - 前記コアが、前記第1のヨークの中間部分と前記第2のヨークの中間部分を連結する第4の脚部を有し、
前記短絡コイルが、前記第1のヨークと前記第2のヨークの少なくとも一方において前記第2の脚部と前記第4の脚部の間に配置され、かつ前記第1のヨークと前記第2のヨークのいずれにおいても前記第1の脚部と前記第4の脚部の間には配置されていないことを特徴とする請求項1に記載の直流給電用限流コイル。 - 前記コアが、前記第1のヨークの他方の端部から延長された第1の拡張ヨークと、前記第2のヨークの他方の端部から延長された第2の拡張ヨークと、当該第1の拡張ヨークにおける前記第1のヨークと反対側の端部と当該第2の拡張ヨークにおける前記第2のヨークと反対側の端部とを連結する第3の脚部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の直流給電用限流コイル。
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