JP2005203494A - フリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体チップの裏面にバンプを作製しないで搭載できるフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法を得る。
【解決手段】導体回路cを形成した基板の少なくとも半導体チップ搭載面に、硬化後に薬液で難溶性のBステージ樹脂組成物bを配置又は形成し、その上に熱可塑性フィルムaを配置し、加熱硬化させて半導体チップ搭載用基板とし、半導体チップ搭載部にブラインドビア孔g及び/又は貫通孔fを形成させた後、全体を銅メッキするとともに、孔内部を銅メッキで充填させ、表層の銅メッキ部分を、熱可塑性フィルムa面まで、厚さ方向に平面的にエッチングした後、熱可塑性フィルムaを溶解除去させ、銅メッキ充填部の先端部分を樹脂組成物b層面より突出させることを特徴とする製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】導体回路cを形成した基板の少なくとも半導体チップ搭載面に、硬化後に薬液で難溶性のBステージ樹脂組成物bを配置又は形成し、その上に熱可塑性フィルムaを配置し、加熱硬化させて半導体チップ搭載用基板とし、半導体チップ搭載部にブラインドビア孔g及び/又は貫通孔fを形成させた後、全体を銅メッキするとともに、孔内部を銅メッキで充填させ、表層の銅メッキ部分を、熱可塑性フィルムa面まで、厚さ方向に平面的にエッチングした後、熱可塑性フィルムaを溶解除去させ、銅メッキ充填部の先端部分を樹脂組成物b層面より突出させることを特徴とする製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、フリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法に関するものであり、特にプリント配線板側に半導体チップ搭載接続用のバンプが形成された構造を有するプリント配線板の製造方法である。本発明のフリップチップ搭載用プリント配線板は、小型、軽量で高密度な半導体プラスチックパッケージ用等に好適に使用される。
近年、ますます小型、薄型、軽量化する電子機器において、高密度のプリント配線板が使用されるようになってきており、半導体チップをプリント配線板に搭載接続する方法は、ワイヤボンディング方式からフリップチップ方式になってきている。このフリップチップは裏面にハンダバンプ等が付いた半導体チップであり、これをバンプ接続用回路が形成されたプリント配線板上にバンプ金属を溶融させて搭載接続し、アンダーフィル樹脂で半導体チップとプリント配線板間の隙間を充填する構造となっている(例えば特許文献1〜3参照)。この場合、フリップチップを搭載するプリント配線板の表面は、一般にUV選択熱硬化型レジストで被覆されているが、UV選択熱硬化型レジストを塗布、露光、現像して得られる表面は凹凸が大きいことから、半導体チップを搭載接続後にアンダーフィル樹脂で充填する際に、未充填箇所が発生し、吸湿後の耐熱性が低下する等の問題があった。更に、バンプ接続用回路間の距離は狭いため、該UV選択熱硬化型レジストでは耐マイグレーション性等の電気的信頼性が劣る問題があり、改善が必要であった。更に、フリップチップにハンダバンプ等の接続用金属を予め接着するため厳密さが要求され、作製時の不良が多い等の問題点があった。
本発明は、フリップチップにハンダバンプ等の接続用金属を接着することなく、半導体チップをプリント配線板に搭載接続することが可能であり、且つ、プリント配線板の半導体チップ搭載面の被覆樹脂表面が平滑な、耐熱性、信頼性等に優れるフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法を提供するものである。
本発明は、フリップチップ搭載用プリント配線板の製造工程が、(1)導体回路を形成した基板の少なくとも半導体チップ搭載面に、硬化後に薬液で難溶性のBステージ樹脂組成物(a)層を配置又は形成し、この上に熱可塑性フィルム(b)を配置するか、或いは予め該Bステージ樹脂組成物(a)層と該熱可塑性フィルム(b)を複合させてフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートとし、この樹脂組成物(a)層面を、半導体チップ搭載面に対向させて配置し、加熱して硬化させて半導体チップ搭載用基板とし、(2)半導体チップ搭載用基板の半導体チップ搭載部にブラインドビア孔及び/又は貫通孔を形成させた後、全体を銅メッキするとともに、孔内部を銅メッキで充填させ、(3)表層の銅メッキ部分を、熱可塑性フィルム(b)面まで、厚さ方向に平面的にエッチングした後、(4)熱可塑性フィルム(b)を溶解除去させ、銅メッキ充填部の先端部分を樹脂組成物(a)層面より突出させることを特徴とするフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法であり、好ましくは、(2)の工程後に、銅メッキ表面を研磨して表面を平滑にし、(4)の工程後に、(5)露出した銅メッキ充填部分の先端部分を保護用金属で被覆し、被覆された銅メッキ充填部の先端部分に、バンプ用金属を付着させる製造方法であり、より好適には、樹脂組成物(a)が、シアン酸エステル樹脂を必須成分とする樹脂組成物であるフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法である。
本発明は、半導体チップ側でなく、プリント配線板側に半導体チップを接続するバンプを形成しておくことで、半導体チップにバンプを形成する手間が省け、作業性、経済性等に優れたフリップチップ搭載用プリント配線板を製造することができる。更に、プリント配線板の半導体チップ搭載面の樹脂組成物表面が平滑となるため、半導体チップ搭載接続後にアンダーフィル樹脂の充填不良発生がなく、また被覆樹脂として、シアン酸エステル樹脂組成物を使用することにより、耐熱性、電気的信頼性等に優れたものが得られ、今後ますます高密度化するフリップチップ搭載用プリント配線板として非常に有用なものが得られた。
本発明のフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法は、下記の製造工程によるものである。(1)導体回路を形成した基板の少なくとも半導体チップ搭載面に、硬化後に薬液で難溶性のBステージ樹脂組成物(a)層を配置又は形成し、この上に熱可塑性フィルム(b)を配置するか、或いは予め該Bステージ樹脂組成物(a)層と該熱可塑性フィルム(b)を複合させてフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートとし、この樹脂組成物(a)層面を、半導体チップ搭載面に対向させて配置し、加熱して硬化させて半導体チップ搭載用基板とし、(本発明で使用する「難溶性」の意味は、硬化処理後に同一の薬液で同一時間浸漬した場合に、熱可塑性フィルム(b)と比較し、相対的に溶解速度の遅いものを「難溶性」と表現する。)、(2)半導体チップ搭載用基板の半導体チップ搭載部にブラインドビア孔及び/又は貫通孔を形成させた後、必要によりデスミア処理を行った後、全体を銅メッキして孔内部を銅メッキで充填させ、(3)表層の銅メッキ部分を、厚さ方向に熱可塑性フィルム(b)面まで、平面的にエッチングし、(4)熱可塑性フィルム(b)を溶解除去させ、銅メッキ充填部の先端部分を樹脂組成物(a)層面より突出させることを特徴とするフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法であり、好ましくは、(2)の工程後に、銅メッキした表面を研磨して表面を平滑にする。これにより、銅メッキ充填部の表面は同じ高さで、且つ平滑となり、バンブ形成時の不良が更に改善される。更に、(4)の工程後に、(5)露出した銅メッキ充填部の先端部分を保護用金属で被覆し、被覆された銅メッキ充填部の先端部分に、バンプ用金属を付着させる製造方法であり、以上の工程でプリント配線板を製造することにより、プリント配線板に半導体チップ搭載用バンプが形成されたフリップチップ搭載用プリント配線板が得られる。
本発明に使用される硬化後に薬液で難溶性の樹脂組成物(a)層に使用する樹脂組成物(a)とは、後述の熱可塑性フィルム(b)と比較し、硬化処理後に同一の薬液で同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度が遅い性質を有する樹脂組成物であれば特に限定されないが、プリント配線板に使用される公知の熱硬化性樹脂組成物が好適である。これらの熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂、2重結合付加ポリフェニレンエーテル樹脂、これらの樹脂の臭素やリン含有化合物等の樹脂組成物などが挙げられ、1種或いは2種以上が適宜組み合わせて使用される。耐マイグレーション性等の信頼性、耐熱性等の点から、シアン酸エステル樹脂を必須成分とする樹脂組成物、例えばエポキシ樹脂等との併用がより好適である。これら熱硬化性樹脂には、必要に応じて、公知の触媒、硬化剤、硬化促進剤を使用する。
本発明の樹脂組成物(a)層に使用される樹脂組成物(a)に好適に使用されるシアン酸エステル樹脂とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類等である。
これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149等に記載のフェノールノボラック型シアン酸エステル化合物類等も用い得る。又、ナフタレン型シアン酸エステル化合物類も用いられ得る。更に、これらシアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量 400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記のシアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。この樹脂中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。更にはシアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂も使用できる。これらに1官能のシアン酸エステル化合物も特性に大きく影響しない量を添加できる。好適には 1〜10重量%である。これらのシアン酸エステル化合物は上記のものに限定されず、公知のものが使用可能である。これらは1種或いは2種以上が適宜組み合わせて使用される。
シアン酸エステル樹脂に好適に併用されるエポキシ樹脂としては、公知のものが使用できる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂類;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物類等が挙げられる。又、これらの公知の臭素付加樹脂、リン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種或いは2種類以上が適宜組み合わせて使用される。
本発明の樹脂組成物(a)層に使用される樹脂組成物(a)には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のelasticなゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン-イソプレンゴム、アクリルゴム、これらのコアシェルゴム、ポリエチレン-プロピレン共重合体、4-フッ化エチレン-6-フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の有機、無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は硬化剤、触媒が適宜配合される。特に炭酸ガスレーザーで孔あけする場合、孔形状を良好にするためは無機の充填剤が好適に添加される。例えば、シリカ、球状シリカ、アルミナ、タルク、焼成タルク、ウォラストナイト、合成雲母、酸化チタン、水酸化アルミニウム等の一般に公知のものが使用される。更に、これらの針状のもの等、公知の形状のものも使用できる。
本発明に使用される樹脂組成物(a)層には、全体のプリント配線板の剛性率を向上させることから、基材を使用することが好適である。使用される基材としては、プリント配線板に使用される公知の基材であれば、特に限定されない。具体的には、E、NE、D、S、Tガラス等の一般に公知のガラス繊維の不織布、織布;ポリオキサゾール、全芳香族ポリアミド、液晶ポリエステル等の一般に公知の有機繊維不織布、織布;これらの混抄布;ポリイミドフィルム、全芳香族ポリアミドフィルム、ポリオキサゾールフィルム、液晶ポリエステルフィルム等が挙げられる。これらの基材は、樹脂との密着性を向上させるため、公知の表面処理等を施すことが好ましい。
本発明に使用されるBステージ樹脂組成物(a)層の作製方法は特に限定されないが、例えば樹脂組成物(a)を溶剤に溶解・分散させるか無溶剤でワニスとし、離型フィルムの片面に塗布、乾燥してBステージ樹脂組成物(a)シートとする方法、基材に塗布、乾燥してBステージ樹脂組成物(a)シート(プリプレグ)とする方法、導体回路を形成した基板の上に、直接塗布、乾燥してBステージ樹脂組成物(a)層を形成する方法等、公知の方法で作製する。Bステージ樹脂組成物(a)層の厚さは特に限定されないが、好適には 10〜100μmであり、積層する基板の導体回路の厚さ、銅残率等によって、導体回路を形成した基板の導体回路が樹脂組成物(a)層で被覆される厚み、好適には導体回路上 1〜80μmとなるようにする。
本発明で使用される熱可塑性フィルム(b)に使用する熱可塑性樹脂は、それ自体がフィルム化可能な樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー等、及びこれらの公知の変性品等が使用できる。これらは、用途により1種或いは2種以上が適宜選択して使用される。熱可塑性フィルム(b)は、銅メッキの付着を良くするために公知のメッキ付着強度向上金属、例えばパラジウム等を添加できる。又、各種の公知の添加剤が添加して使用し得る。
本発明の熱可塑性フィルム(b)の厚さは特に限定はないが、好適には 5〜10μmである。5μmより薄いフィルムも使用可能であるが、Bステージ樹脂組成物(a)層に配置するときに破れる等の問題が生じ易く、又、10μmより厚くても良いが、樹脂組成物(a)層面より突出させた銅メッキ充填部の先端部分の高さが高くなるとバンプ用金属の付着がしにくい問題等がある。熱可塑性フィルム(b)の表面は、硬化後に熱可塑性フィルム(b)を溶解除去した際に、樹脂組成物(a)層表面を平滑にするため、好ましくは表面凹凸を 3μm以下とする。
本発明に使用されるフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートの製造方法は特に限定されなく、例えば樹脂組成物(a)を溶剤に溶解・分散させるか無溶剤でワニスとし、熱可塑性フィルム(b)の片面にロール等で塗布、乾燥してフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートとする方法、基材に塗布、乾燥してBステージ化するか、或いは離型フィルムの片面に塗布、乾燥してBステージシートとし、これを熱可塑性フィルム(b)の片面に配置し、加熱、加圧下にラミネート接着して一体化してフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートとする方法等、公知の方法が用いられる。
本発明に使用される導体回路を形成する基板は、特に限定されず、プリント配線板材料用の公知の金属箔張板、好適には銅張板が使用できる。具体的には、熱硬化性樹脂組成物及び/又は熱可塑性樹脂組成物などを使用した、無機繊維及び/又は有機繊維基材銅張積層板、耐熱性フィルム基材銅張板、更にはこれらの基材の組み合わせた複合基材銅張積層板及びこれらの多層銅張板、アディティブ法等で作製した多層銅張板等、公知のものが使用できる。金属箔張板に導体回路を形成した基板の導体厚さは特に限定されないが、好適には 3〜35μmである。この導体回路上は、樹脂組成物(a)層との接着性を高める公知の処理、例えば黒色酸化銅処理、薬液処理(例えばメック社のCZ処理)等を施すのが好ましい。
フリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法の(1)の工程は、導体回路を形成した基板の少なくとも半導体チップ搭載面に、硬化後に薬液で難溶性のBステージ樹脂組成物(a)層を配置するか、又は形成し、この上に熱可塑性フィルム(b)を配置するか、或いは予め該Bステージ樹脂組成物(a)層と該熱可塑性フィルム(b)を複合させてフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートとし、この樹脂組成物(a)層面を、半導体チップ搭載面に対向させて配置し、加熱して硬化させて半導体チップ搭載用基板とする。積層条件は特に限定されないが、好ましくは、温度 100〜250℃、圧力 5〜40kgf/cm2、真空度 30mmHg以下で 30分〜5時間積層成形する。積層は、最初から最後までこの条件でも良いが、ゲル化までは積層成形し、その後、取り出して加熱炉で後硬化することも可能である。もちろん、半硬化しておいて、銅メッキ部分を熱可塑性フィルム(b)面の位置までエッチング除去した後に、更に熱可塑性フィルム(b)を溶解する薬液で熱可塑性フィルム(b)を溶解除去して銅メッキ充填部の先端部分を露出突出させ、後硬化することも可能である。これは樹脂組成物(a)の薬液への耐性により、適宜選択することができる。この半導体チップ搭載用の突起は、半導体チップを裏面に搭載する場合は、同様に裏面にも形成できる。フリップチップ搭載面の裏面のハンダボールを接着する場合、好適にはBステージ樹脂組成物(a)シートを使用する。
フリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法の(2)の工程は、半導体チップ搭載用基板に、ブラインドビア孔及び/又は貫通孔を形成する。基板に孔を形成する方法は特に限定はなく、公知の方法が使用できる。例えば、孔径 20〜100μmであればUV-YAGレーザー、UV-Vanadateレーザー等の公知のUVレーザー、孔径 60〜150μmであれば炭酸ガスレーザーを使用する。又、ブラインドビア孔においてはプラズマ等の公知の方法でも加工可能である。貫通孔は金属ドリルでも形成できる。
次いで、孔あけした半導体チップ搭載用基板を銅メッキして、基板全体を銅メッキするとともに、孔内部を銅メッキで充填する。銅メッキは、無電解銅メッキ、電解銅メッキでブラインドビア孔を充填する公知の方法で行う。銅メッキ終了後に銅メッキの表面は、研磨して平滑するのが好ましい。その後に全体を銅メッキするとともにブラインドビア孔、貫通孔内部を銅メッキで充填する。この場合、銅メッキとは別の金属、例えばハンダ等の公知の金属で孔内を充填することもできる。しかしながら、作業性の点からは、銅メッキが好ましい。
フリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法の(3)の工程は、銅メッキでブラインドビア及び/又は孔貫通孔を充填した半導体チップ搭載用基板の表層の銅メッキ部分を、熱可塑性フィルム(b)面まで、厚さ方向に平面的にエッチングする。エッチングする方法は、プリント配線板の製造工程で使用される公知の銅メッキ部分のエッチング方法による。
フリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法の(4)の工程は、表層の銅メッキ部分を、熱可塑性フィルム(b)面まで、厚さ方向に平面的にエッチングした半導体チップ搭載用基板の熱可塑性フィルム(b)を溶解除去させ、銅メッキ充填部の先端部分を樹脂組成物(a)層面より突出させる。熱可塑性フィルム(b)の溶解に使用する薬液とは、熱可塑性フィルム(b)を溶解させ、樹脂組成物(a)は溶解させない薬液であれば特に限定されない。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酸、アルカリ溶液等が例示され、1種或いは2種以上を組み合せて使用することも可能であり、樹脂組成物(a)と熱可塑性フィルム(b)の耐薬品性により適宜選択して使用する。この薬液は、樹脂組成物(a)は溶解させず、銅メッキ部も殆ど溶解させないことから、銅メッキ充填部の先端部分が、樹脂組成物(a)層面より 5〜10μm 突出した形状となり、樹脂組成物(a)層表面が平滑なプリント配線板が得られる。この際、薬液により銅メッキが僅かに溶解しても樹脂組成物(a)層の表面から銅メッキ充填部の先端部分が突出した形状が得られれば良い。これら一連の工程により、本発明のフリップチップ搭載用プリント配線板が作製される。
その後、(5)の工程として、プリント配線板の表裏面に露出した回路を保護用金属、例えばニッケルメッキと金メッキ、ハンダメッキ等で被覆する。もちろん保護用金属で被覆しないですぐに銅メッキ充填部の先端部上に公知のバンプ用金属を付着させ、必要により加熱して銅メッキ充填部の頭頂部上に半導体チップ接続用バンプ金属を接着させることは可能であるが、裏面のハンダボール接着までには時間がかかり、回路表面が酸化される、錆が発生する等のために、公知の保護用金属で被覆する。その後、銅メッキ充填部分の先端部上にバンプ用金属を接着させ、このバンプ用金属面と半導体チップのバンプ接続面を合わせて加熱することにより搭載接続し、フリップチップ搭載プリント配線板とする。この半導体チップとプリント配線板の表層との隙間には、アンダーフィル樹脂で充填することが好適である。プリント配線板表面の樹脂組成物(a)面は平滑なため、アンダーフィル樹脂は確実に充填される。又、導体回路を被覆するのにUV選択熱硬化型レジストを使用しないため、耐熱性、信頼性等に優れたフリップチップ搭載プリント配線板が得られる。
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、『部』は重量部を表す。
実施例1
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンモノマー 400部を 150℃に溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、重量平均分子量 2073の樹脂を得、これをメチルエチルケトンに溶解し、ワニスAとした。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1001、ジャパンエポキシレジン<株>製) 350部、ビフェニル型エポキシ樹脂(NC3000、日本化薬<株>製) 50部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ESCN220F、住友化学工業<株>製) 100部を配合し、アセチルアセトン鉄 0.3部、緑色顔料 5部をメチルエチルケトンに溶解混合し、更に焼成タルク(BST200、日本タルク<株>製) 500部を加え、均一に攪拌混合してワニスBとした。このワニスBを、厚さ 30μmのガラス織布に含浸、乾燥して、厚さ 40μmでゲル化時間(at170℃、以下同じ) 130秒のBステージ樹脂組成物シート(プリプレグ)Cを作製した。又、厚さ 0.2mm、両面 3μm銅箔のBTレジン銅張積層板(CCL-HL832HS、三菱ガス化学<株>製)に金属ドリルで孔径 75μmの貫通孔を半導体チップ搭載部の外側にあけ、デスミア処理後に全体を銅メッキするとともに貫通孔内を銅メッキで充填し、表面を研磨して平滑にした後、回路を形成し、表層回路にメック社のCZ処理を施して回路基板Dとした。この回路基板Dの半導体チップ搭載面側に上記プリプレグCを置き、この上に、パラジウム 1重量%添加した厚さ 9μmのポリフェニレンエーテル樹脂フィルムを配置し、裏面にはプリプレグCを配置し、その外側に厚さ 25μmの離型PETフィルムを配置し、温度 190℃、20kgf/cm2、10mmHg以下の真空下で 2時間積層成形し、半導体チップ搭載用基板Fを得た。この半導体チップ搭載用基板Fの上面に、レーザー孔あけエントリーシート(LSE30、三菱ガス化学<株>製)を配置し、裏面にはレーザー孔あけバックアップシート(LSB90、三菱ガス化学<株>製)を配置し、100℃、 6kgf/cmでラミネートして接着した後、半導体チップ搭載範囲内の表面にUV-Vanadateレーザーを照射して孔径 40μmのブラインドビア孔及び貫通孔をあけ、表裏の孔あけ補助シートを剥離後に、裏面にUV-Vanadateレーザーを照射して、ハンダボール接続用孔を同様にブラインドビア孔の孔径 150μmで形成した。デスミア処理後に基板全体を銅メッキするとともにブラインドビア孔及び貫通孔内を銅メッキで充填してから、表層銅メッキ部を研磨して平滑にした後、表層の銅メッキ部分をエッチングして除去し、表面の熱可塑性フィルム、裏面の熱硬化性樹脂層を露出させた。表面の熱可塑性フィルムをトルエンで溶解除去して、表面の銅メッキ充填部の先端部分を突出させ、ニッケルメッキ、金メッキを施しフリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、バンプ用ハンダをこの突起に付着させ、半導体チップを加熱して搭載接着し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
実施例1
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンモノマー 400部を 150℃に溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、重量平均分子量 2073の樹脂を得、これをメチルエチルケトンに溶解し、ワニスAとした。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1001、ジャパンエポキシレジン<株>製) 350部、ビフェニル型エポキシ樹脂(NC3000、日本化薬<株>製) 50部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ESCN220F、住友化学工業<株>製) 100部を配合し、アセチルアセトン鉄 0.3部、緑色顔料 5部をメチルエチルケトンに溶解混合し、更に焼成タルク(BST200、日本タルク<株>製) 500部を加え、均一に攪拌混合してワニスBとした。このワニスBを、厚さ 30μmのガラス織布に含浸、乾燥して、厚さ 40μmでゲル化時間(at170℃、以下同じ) 130秒のBステージ樹脂組成物シート(プリプレグ)Cを作製した。又、厚さ 0.2mm、両面 3μm銅箔のBTレジン銅張積層板(CCL-HL832HS、三菱ガス化学<株>製)に金属ドリルで孔径 75μmの貫通孔を半導体チップ搭載部の外側にあけ、デスミア処理後に全体を銅メッキするとともに貫通孔内を銅メッキで充填し、表面を研磨して平滑にした後、回路を形成し、表層回路にメック社のCZ処理を施して回路基板Dとした。この回路基板Dの半導体チップ搭載面側に上記プリプレグCを置き、この上に、パラジウム 1重量%添加した厚さ 9μmのポリフェニレンエーテル樹脂フィルムを配置し、裏面にはプリプレグCを配置し、その外側に厚さ 25μmの離型PETフィルムを配置し、温度 190℃、20kgf/cm2、10mmHg以下の真空下で 2時間積層成形し、半導体チップ搭載用基板Fを得た。この半導体チップ搭載用基板Fの上面に、レーザー孔あけエントリーシート(LSE30、三菱ガス化学<株>製)を配置し、裏面にはレーザー孔あけバックアップシート(LSB90、三菱ガス化学<株>製)を配置し、100℃、 6kgf/cmでラミネートして接着した後、半導体チップ搭載範囲内の表面にUV-Vanadateレーザーを照射して孔径 40μmのブラインドビア孔及び貫通孔をあけ、表裏の孔あけ補助シートを剥離後に、裏面にUV-Vanadateレーザーを照射して、ハンダボール接続用孔を同様にブラインドビア孔の孔径 150μmで形成した。デスミア処理後に基板全体を銅メッキするとともにブラインドビア孔及び貫通孔内を銅メッキで充填してから、表層銅メッキ部を研磨して平滑にした後、表層の銅メッキ部分をエッチングして除去し、表面の熱可塑性フィルム、裏面の熱硬化性樹脂層を露出させた。表面の熱可塑性フィルムをトルエンで溶解除去して、表面の銅メッキ充填部の先端部分を突出させ、ニッケルメッキ、金メッキを施しフリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、バンプ用ハンダをこの突起に付着させ、半導体チップを加熱して搭載接着し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
実施例2
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンモノマー 450部、ビス(4-マレイミドフェニル)メタンモノマー 50部を 150℃で溶融させ、撹拌しながら 5時間反応させて重量平均分子量 1915の樹脂を作製後、これをメチルエチルケトンとN,N-ジメチルホルムアミドに溶解混合し、ワニスEとした。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、ジャパンエポキシレジン<株>製) 300部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DEN431、ダウ・ケミカル<株>製) 100部、ナフタレン型エポキシ樹脂(ESN-175S、新日鐵化学<株>製) 100部、オクチル酸亜鉛 0.3部、緑色顔料 5部をメチルエチルケトンに溶解して加え、均一に混合し、ワニスFとした。これを厚さ 25μmのPETフィルムの片面に塗布、乾燥して、厚さ 15μmでゲル化時間 151秒のBステージ樹脂組成物シートGを作製した。これを厚さ 4.2μmのプラズマ表面処理した全芳香族ポリアミドフルムの両面に、樹脂組成物面が全芳香族ポリアミドフルム側に向くように配置し、90℃、線圧 5kgf/cmで連続的にラミネート接着して、フィルム基材入りBステージ樹脂シートHを作製した。このフィルム基材入りBステージ樹脂シートHの片面のPETフィルムを剥離し、この樹脂面を厚さ 7μmのポリカーボネート樹脂フィルムの片面に当て、90℃、線圧 5kgf/cmで連続的にラミネート接着してフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートIを作製した。このBステージ樹脂組成物シートIを、実施例1の回路基板Dの半導体チップ搭載面の表面に、離型PETフィルムを剥離して配置し、裏面にはフィルム基材入りBステージ樹脂シートHの片面のPETフィルムを剥離して配置し、190℃、20kgf/cm2、10mmHg以下の真空下で 2時間積層成形し、半導体チップ搭載用基板Jを得た。この半導体チップ搭載用基板Jを用いて、半導体チップ搭載範囲内の表面に、UV-YAGレーザーを照射して孔径 50μmのブラインドビア孔をあけた。裏面はPETフィルムの上から孔径 150μmでハンダボール接続用孔部分を、同様にレーザーを照射してブラインドビア孔を形成し、裏面のPETフィルムを剥離した。基板全体を銅メッキするとともにブラインドビア孔内を銅メッキで充填してから、表層銅メッキ部を研磨して平滑にした後、表層の銅メッキ部分をエッチングして溶解除去し、表面の熱可塑性フィルム、裏面の熱硬化性樹脂層を露出させ、表面の熱可塑性フィルムをメチルエチルケトンとN,N’-ジメチルホルムアミドの混合溶剤で溶解除去して、表面の銅メッキ充填部の先端部分を突出させ、ニッケルメッキ、金メッキを施しフリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体チップを搭載接着し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンモノマー 450部、ビス(4-マレイミドフェニル)メタンモノマー 50部を 150℃で溶融させ、撹拌しながら 5時間反応させて重量平均分子量 1915の樹脂を作製後、これをメチルエチルケトンとN,N-ジメチルホルムアミドに溶解混合し、ワニスEとした。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、ジャパンエポキシレジン<株>製) 300部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DEN431、ダウ・ケミカル<株>製) 100部、ナフタレン型エポキシ樹脂(ESN-175S、新日鐵化学<株>製) 100部、オクチル酸亜鉛 0.3部、緑色顔料 5部をメチルエチルケトンに溶解して加え、均一に混合し、ワニスFとした。これを厚さ 25μmのPETフィルムの片面に塗布、乾燥して、厚さ 15μmでゲル化時間 151秒のBステージ樹脂組成物シートGを作製した。これを厚さ 4.2μmのプラズマ表面処理した全芳香族ポリアミドフルムの両面に、樹脂組成物面が全芳香族ポリアミドフルム側に向くように配置し、90℃、線圧 5kgf/cmで連続的にラミネート接着して、フィルム基材入りBステージ樹脂シートHを作製した。このフィルム基材入りBステージ樹脂シートHの片面のPETフィルムを剥離し、この樹脂面を厚さ 7μmのポリカーボネート樹脂フィルムの片面に当て、90℃、線圧 5kgf/cmで連続的にラミネート接着してフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートIを作製した。このBステージ樹脂組成物シートIを、実施例1の回路基板Dの半導体チップ搭載面の表面に、離型PETフィルムを剥離して配置し、裏面にはフィルム基材入りBステージ樹脂シートHの片面のPETフィルムを剥離して配置し、190℃、20kgf/cm2、10mmHg以下の真空下で 2時間積層成形し、半導体チップ搭載用基板Jを得た。この半導体チップ搭載用基板Jを用いて、半導体チップ搭載範囲内の表面に、UV-YAGレーザーを照射して孔径 50μmのブラインドビア孔をあけた。裏面はPETフィルムの上から孔径 150μmでハンダボール接続用孔部分を、同様にレーザーを照射してブラインドビア孔を形成し、裏面のPETフィルムを剥離した。基板全体を銅メッキするとともにブラインドビア孔内を銅メッキで充填してから、表層銅メッキ部を研磨して平滑にした後、表層の銅メッキ部分をエッチングして溶解除去し、表面の熱可塑性フィルム、裏面の熱硬化性樹脂層を露出させ、表面の熱可塑性フィルムをメチルエチルケトンとN,N’-ジメチルホルムアミドの混合溶剤で溶解除去して、表面の銅メッキ充填部の先端部分を突出させ、ニッケルメッキ、金メッキを施しフリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体チップを搭載接着し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
実施例3
ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート5045、ジャパンエポキシレジン<株>製) 800部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DEN431)200部、緑色顔料 5部、ジシアンジアミド 35部、2-エチル-4-メチルイミダゾール 1部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解混合し、ワニスKとした。このワニスKを、実施例1の基板Dの両面に、片面ずつ塗布、乾燥して、回路からの厚さ 15μmでゲル化時間 100〜110秒のBステージ樹脂組成物層を形成した基板Lを得た。この基板Lの半導体チップ搭載面側の上に実施例1のポリフェニレンエーテル樹脂フィルムを置き、裏面は、厚さ 25μmの離型PETフィルムを配置し、160℃、20kgf/cm2、10mmHgの真空下で 30分積層成形後にプレス装置から取り出し、加熱炉で 170℃にて5時間硬化させ、半導体チップ搭載用基板Mを得た。この半導体チップ搭載用基板Mを用いて実施例2と同様に加工を行い、フリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、実施例2と同様にして、半導体チップを搭載接続し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート5045、ジャパンエポキシレジン<株>製) 800部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DEN431)200部、緑色顔料 5部、ジシアンジアミド 35部、2-エチル-4-メチルイミダゾール 1部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解混合し、ワニスKとした。このワニスKを、実施例1の基板Dの両面に、片面ずつ塗布、乾燥して、回路からの厚さ 15μmでゲル化時間 100〜110秒のBステージ樹脂組成物層を形成した基板Lを得た。この基板Lの半導体チップ搭載面側の上に実施例1のポリフェニレンエーテル樹脂フィルムを置き、裏面は、厚さ 25μmの離型PETフィルムを配置し、160℃、20kgf/cm2、10mmHgの真空下で 30分積層成形後にプレス装置から取り出し、加熱炉で 170℃にて5時間硬化させ、半導体チップ搭載用基板Mを得た。この半導体チップ搭載用基板Mを用いて実施例2と同様に加工を行い、フリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、実施例2と同様にして、半導体チップを搭載接続し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例3のワニスKを、厚さ 25μmの離型PETフィルムの片面に塗布、乾燥して、厚さ 20μmでゲル化時間 151秒のBステージ樹脂組成物シートNを作製した。これを実施例1のポリフェニレンエーテル樹脂フィルムの片面に温度 80℃、線圧 6kgf/cmでラミネート接着して一体化させ、フィルム複合Bステージ樹脂組成物シートOを作製した。実施例2において、フィルム複合Bステージ樹脂組成物シートI,フィルム基材入りBステージ樹脂シートHの替わりに、フィルム複合Bステージ樹脂組成物シートO,Bステージ樹脂組成物シートNを使用する以外は実施例2と同様にして、回路基板Dに配置し、160℃、20kgf/cm2、10mmHgの真空下で 30分積層成形後にプレス装置から取り出し、加熱炉で 170℃にて5時間硬化させ、半導体チップ搭載用基板Pを得た。この半導体チップ搭載用基板Pを用いて実施例2と同様に加工を行い、フリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、実施例2と同様にして、半導体チップを搭載接続し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
実施例3のワニスKを、厚さ 25μmの離型PETフィルムの片面に塗布、乾燥して、厚さ 20μmでゲル化時間 151秒のBステージ樹脂組成物シートNを作製した。これを実施例1のポリフェニレンエーテル樹脂フィルムの片面に温度 80℃、線圧 6kgf/cmでラミネート接着して一体化させ、フィルム複合Bステージ樹脂組成物シートOを作製した。実施例2において、フィルム複合Bステージ樹脂組成物シートI,フィルム基材入りBステージ樹脂シートHの替わりに、フィルム複合Bステージ樹脂組成物シートO,Bステージ樹脂組成物シートNを使用する以外は実施例2と同様にして、回路基板Dに配置し、160℃、20kgf/cm2、10mmHgの真空下で 30分積層成形後にプレス装置から取り出し、加熱炉で 170℃にて5時間硬化させ、半導体チップ搭載用基板Pを得た。この半導体チップ搭載用基板Pを用いて実施例2と同様に加工を行い、フリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、実施例2と同様にして、半導体チップを搭載接続し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、熱可塑性樹脂組成物フィルム、プリプレグCの替わりに、UV選択熱硬化型レジストを使用し、回路基板表面に塗布し、露光、現像し、ニッケルメッキ、金メッキを施してプリント配線板とした。このプリント配線板に半導体チップを搭載し、同様に接着し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
実施例1において、熱可塑性樹脂組成物フィルム、プリプレグCの替わりに、UV選択熱硬化型レジストを使用し、回路基板表面に塗布し、露光、現像し、ニッケルメッキ、金メッキを施してプリント配線板とした。このプリント配線板に半導体チップを搭載し、同様に接着し、アンダーフィル樹脂を充填し、硬化させ、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例2において、フィルム複合Bステージ樹脂組成物シートI、フィルム基材入りBステージ樹脂シートHの替わりに、パターンメッキレジストを使用し、回路基板の上に回路上から厚さ 14μmとなるように塗布し、回路の上に孔径 50μmの孔を現像してあけ、この孔を銅メッキで充填してメッキレジストと同じ高さになるように充填し、フリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、この上にハンダをのせて加熱し、実施例2と同様にして、半導体チップを置いて加熱し、搭載接続してからアンダーフィル樹脂を流し込んで硬化し、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果表1に示す。
実施例2において、フィルム複合Bステージ樹脂組成物シートI、フィルム基材入りBステージ樹脂シートHの替わりに、パターンメッキレジストを使用し、回路基板の上に回路上から厚さ 14μmとなるように塗布し、回路の上に孔径 50μmの孔を現像してあけ、この孔を銅メッキで充填してメッキレジストと同じ高さになるように充填し、フリップチップ搭載用プリント配線板を作製した。その後、この上にハンダをのせて加熱し、実施例2と同様にして、半導体チップを置いて加熱し、搭載接続してからアンダーフィル樹脂を流し込んで硬化し、ハンダボールを接合してフリップチップ搭載プリント配線板とした。評価結果表1に示す。
表1
実 施 例 比 較 例
項 目 1 2 3 4 1 2
半導体バンプ
接続度(n/500) 0/ 0/ 0/ 0/ 0/ 55/
アンダーフィル樹脂
充填度(m/100) 0/ 0/ 0/ 0/ 22/ 8/
熱硬化性樹脂層
表面凹凸(μm) <3 <3 <3 <3 14 12
吸湿耐熱性 異常なし 異常なし 異常なし 異常なし 膨れ発生 膨れ発生
耐マイグレーション性
常態 6x1014 5x1014 6x1014 6x1014 6x1014 7x1014
300hrs. 5x1011 5x1011 1x1010 1x1010 2x109 2x109
450hrs. 5x1010 1x1011 2x109 3x109 <108 <108
600hrs. 4x1010 7x1010 <108 <108 − −
800hrs. 1x1010 5x1010 − − − −
弾性率(kgf/mm2) 2451 2377 2159 2189 1992 1957
実 施 例 比 較 例
項 目 1 2 3 4 1 2
半導体バンプ
接続度(n/500) 0/ 0/ 0/ 0/ 0/ 55/
アンダーフィル樹脂
充填度(m/100) 0/ 0/ 0/ 0/ 22/ 8/
熱硬化性樹脂層
表面凹凸(μm) <3 <3 <3 <3 14 12
吸湿耐熱性 異常なし 異常なし 異常なし 異常なし 膨れ発生 膨れ発生
耐マイグレーション性
常態 6x1014 5x1014 6x1014 6x1014 6x1014 7x1014
300hrs. 5x1011 5x1011 1x1010 1x1010 2x109 2x109
450hrs. 5x1010 1x1011 2x109 3x109 <108 <108
600hrs. 4x1010 7x1010 <108 <108 − −
800hrs. 1x1010 5x1010 − − − −
弾性率(kgf/mm2) 2451 2377 2159 2189 1992 1957
<測定方法>
1)半導体バンプ接続度:半導体チップの接続不良の有無を電気的に確認した。(分母に検査数、分子に接続不良が見られた数を示す)
2)樹脂充填度:アンダーフィル樹脂の半導体チップと基板間の充填状態を超音波探査機で確認した。(分母に検査数、分子に充填不良が見られた数を示す)
3)表面凹凸: プリント配線板の半導体チップ搭載面の表面凹凸を粗さ計で測定し、最大凹凸を示した。
4)吸湿耐熱性:ハンダボールの接合していないプリント配線板を用い、JEDEC Level IIで、鉛リフローハンダ温度 Max.260℃での外観異常の有無を観察した。
5)耐マイグレーション性:表層のバンプパッド導体間距離を 50μmとした半導体チップを搭載しないプリント配線板を用い、85℃・85%RH、100VDC 印加して回路間の絶縁抵抗値を測定した。
6)弾性率: 回路導体及び孔の形成を行わずに、同様の構成で絶縁体だけの積層板を作製し、JIS C6481のDMA法に準じて弾性率を測定し、25℃の弾性率を示した。
1)半導体バンプ接続度:半導体チップの接続不良の有無を電気的に確認した。(分母に検査数、分子に接続不良が見られた数を示す)
2)樹脂充填度:アンダーフィル樹脂の半導体チップと基板間の充填状態を超音波探査機で確認した。(分母に検査数、分子に充填不良が見られた数を示す)
3)表面凹凸: プリント配線板の半導体チップ搭載面の表面凹凸を粗さ計で測定し、最大凹凸を示した。
4)吸湿耐熱性:ハンダボールの接合していないプリント配線板を用い、JEDEC Level IIで、鉛リフローハンダ温度 Max.260℃での外観異常の有無を観察した。
5)耐マイグレーション性:表層のバンプパッド導体間距離を 50μmとした半導体チップを搭載しないプリント配線板を用い、85℃・85%RH、100VDC 印加して回路間の絶縁抵抗値を測定した。
6)弾性率: 回路導体及び孔の形成を行わずに、同様の構成で絶縁体だけの積層板を作製し、JIS C6481のDMA法に準じて弾性率を測定し、25℃の弾性率を示した。
a 熱可塑性フィルム
b Bステージ樹脂組成物層(プリプレグ)
c 導体回路
d 積層板
e レーザービーム
f レーザーで加工された貫通孔
g レーザーで加工されたブラインドビア孔
h 銅メッキで充填したブラインドビア孔
i 研磨して平滑となった銅メッキ表面
j エッチング液
k 銅メッキで充填した貫通孔
l 露出した熱可塑性フィルム
m 熱可塑性フィルム溶解溶液
n 熱可塑性フィルム面までエッチングされた銅メッキ表面
o 銅メッキ充填部の突出した先端部分
p バンプ用金属
q 半導体チップ
r 半導体チップのバンプ接続用回路
s パターンメッキレジスト
t 現像で除去した孔
u パターンメッキレジスト表面までメッキされた銅メッキの窪み
b Bステージ樹脂組成物層(プリプレグ)
c 導体回路
d 積層板
e レーザービーム
f レーザーで加工された貫通孔
g レーザーで加工されたブラインドビア孔
h 銅メッキで充填したブラインドビア孔
i 研磨して平滑となった銅メッキ表面
j エッチング液
k 銅メッキで充填した貫通孔
l 露出した熱可塑性フィルム
m 熱可塑性フィルム溶解溶液
n 熱可塑性フィルム面までエッチングされた銅メッキ表面
o 銅メッキ充填部の突出した先端部分
p バンプ用金属
q 半導体チップ
r 半導体チップのバンプ接続用回路
s パターンメッキレジスト
t 現像で除去した孔
u パターンメッキレジスト表面までメッキされた銅メッキの窪み
Claims (8)
- (1)導体回路を形成した基板の少なくとも半導体チップ搭載面に、硬化後に薬液で難溶性のBステージ樹脂組成物(a)層を配置又は形成し、この上に熱可塑性フィルム(b)を配置するか、或いは予め該Bステージ樹脂組成物(a)層と該熱可塑性フィルム(b)を複合させてフィルム複合Bステージ樹脂組成物シートとし、この樹脂組成物(a)層面を、半導体チップ搭載面に対向させて配置し、加熱して硬化させて半導体チップ搭載用基板とし、
(2)半導体チップ搭載用基板の半導体チップ搭載部にブラインドビア孔及び/又は貫通孔を形成させた後、全体を銅メッキするとともに、孔内部を銅メッキで充填させ、
(3)表層の銅メッキ部分を、熱可塑性フィルム(b)面まで、厚さ方向に平面的にエッチングした後、
(4)熱可塑性フィルム(b)を溶解除去させ、銅メッキ充填部の先端部分を樹脂組成物(a)層面より突出させることを特徴とするフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法。 - 該(2)の工程後に、銅メッキ表面を研磨して表面を平滑にすることを特徴とする請求項1記載のフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法。
- 該(4)の工程後に、(5)露出した銅メッキ充填部の先端部分を保護用金属で被覆することを特徴とする請求項1又は2記載のフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法。
- 保護用金属で被覆された銅メッキ充填部の先端部分に、バンプ用金属を付着させることを特徴とする請求項3に記載のフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法。
- 該熱可塑性フィルム(b)が、銅メッキ付着強度向上剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法。
- 該熱可塑性フィルム(b)の厚みが、5〜10μmである請求項1〜5のいずれかに記載のフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法。
- 該樹脂組成物(a)層が、基材補強されている請求項1〜6のいずれかに記載のフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法。
- 該樹脂組成物(a)が、シアン酸エステル樹脂を必須成分とする樹脂組成物である請求項1〜7のいずれかに記載のフリップチップ搭載用プリント配線板の製造方法。
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